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糖尿病患者のうち運動してはいけないケースについて解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「糖尿病患者が運動してはいけないといわれる理由」について解説していきます。後半部分では「糖尿病に効果的な運動プログラム」をご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
糖尿病と運動の関係性について
糖尿病患者のうち運動してはいけない人とは
糖尿病患者に推奨される運動療法
安全な運動療法のためのメディカルチェック
糖尿病に効果的な運動プログラム
糖尿病患者が日常生活に取り入れるべき運動療法
運動時の血糖管理と注意点
まとめ:内科医からのアドバイス
糖尿病と運動の関係性について
糖尿病治療において、運動療法は食事療法や薬物療法と並ぶ重要な柱です。適切な運動は血糖値の改善だけでなく、インスリンの働きを高め、肥満の解消や心肺機能の向上にも効果があります。しかし、運動療法は諸刃の剣とも言える性質を持っています。
運動療法は、正しく実施すれば血糖コントロールの強力な味方となりますが、間違った方法で行うと期待する効果が得られないばかりか、かえって健康を損なう可能性があるのです。例えば、急激な運動は血糖値の急上昇や低血糖を引き起こす危険があります。
また、膝関節や腰部への過度な負担は、運動器障害のリスクを高めてしまいます。特に肥満がある方や高齢の方は、関節への負担に十分な注意が必要です。そのため、運動を始める前には必ず主治医に相談し、自分の体力や病状に合った運動の種類、強度、時間について、アドバイスを受けることが大切です。
糖尿病患者のうち運動してはいけない人とは
糖尿病治療において運動療法は基本となりますが、すべての患者に運動が推奨されるわけではありません。特に注意が必要なのは、血糖コントロールが極めて不安定な方です。血糖値が300mg/dL以上の高値を示している場合、運動によってさらに血糖値が上昇する可能性があるため危険です。
また、重症の糖尿病性網膜症の方も運動を控える必要があります。さらに、重度の糖尿病性腎症や心疾患を合併している方、足部に潰瘍や感染症がある方も運動は控えめにすべきです。より具体的に、以下に運動を禁止または制限すべき状態をまとめました。
運動を禁止すべき状態
• 血糖コントロールが著しく不良な場合(空腹時血糖値250mg/dL以上、または尿ケトン体中等度以上陽性)
• 増殖性網膜症・増殖前網膜症で出血リスクが高い場合、およびレーザー治療後3〜6ヶ月以内
• 腎症が進行し、顕性腎症後期(第3B期)以降の方(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)
• 心筋梗塞などの重篤な心血管系疾患がある場合
• 高度の自律神経障害を伴う場合
• 1型糖尿病でケトーシスがある場合
• 急性感染症に罹患している場合
運動を制限すべき状態
• 重症高血圧(収縮期血圧180mmHg以上、または拡張期血圧110mmHg以上)
• 骨関節疾患などの整形外科的問題がある場合(特に肥満者や高齢者は注意)
• 糖尿病性壊疽がある場合
• 単純網膜症がある場合
これらの状態にある方は、必ず主治医に相談してください。状況に応じて各専門医の意見も仰ぎながら、安全で適切な運動方法を検討していく必要があります。
また、場合によっては、座位でできる軽い運動や、理学療法士の指導のもとでの運動など、個々の状態に合わせた活動方法を選択することが重要です。
糖尿病患者に推奨される運動療法
糖尿病の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが推奨されています。ここでは、それぞれの運動の特徴と実践方法について解説します。
【糖尿病患者に推奨される運動療法1】有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに酸素を使う運動のことです。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが一般的な有酸素運動の例になります。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。なお、一般的に週150分以上の有酸素運動が推奨されています。この目標に向かって努力することで、健康的な生活習慣を築くことができます。
【糖尿病患者に推奨される運動療法2】レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動のことです。ウエイトトレーニング、体幹トレーニング、ゴムチューブを使ったエクササイズなどがレジスタンス運動の例になります。
レジスタンス運動は、筋肉量を増やし、血糖値の管理をサポートするのに役立ちます。また、筋力トレーニングは骨密度を向上させ、骨粗鬆症のリスクを減らすのにも効果的です。そのため、糖尿病予防に極めて効果的な運動だと考えられています。なお、レジスタンス運動は、筋肉量の増加、筋力の向上、筋持久力の向上を促す筋力トレーニングとして、高齢者からアスリートまで広く行われています。
日本糖尿病学会の運動指針では、有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせた運動を推奨しています。具体的には、中等度の有酸素運動を週150分以上(できれば毎日30分程度)、レジスタンス運動を週2〜3回行うことを目標としています。ただし、これらは一般的な目安であるため、年齢や体力、合併症の有無などによって適切な運動量は異なります。
運動を始める前には必ず主治医に相談し、個々の状態に合わせた運動計画を立てることが大切です。継続的な運動習慣を築くためには、無理のない範囲から始め、徐々に運動量を増やしていくことをお勧めします。
安全な運動療法のためのメディカルチェック
運動療法を安全かつ効果的に実施するためには、患者の身体状況を総合的に評価することが不可欠です。そのために行うのが、メディカルチェックです。メディカルチェックでは、まず血糖コントロールの状態を評価します。具体的には、空腹時血糖値、HbA1c値、血圧などの基本的な検査データをチェックし、運動療法が可能な状態かどうかを判断します。
また、網膜症や腎症、神経障害といった糖尿病性合併症の有無とその程度も慎重に確認します。さらに、心血管系の状態を確認するため、心電図検査や必要に応じて運動負荷試験を実施します。加えて、膝や足関節などの運動器の状態も入念にチェックします。これらのメディカルチェックの結果を総合的に判断し、個々の患者に適した運動の種類、強度、時間、頻度を決定していきます。
運動療法を始める前には、必ずメディカルチェックを受け、主治医の指示のもとで安全に運動を開始することが大切です。
糖尿病に効果的な運動プログラム
糖尿病の方に効果的な1週間の運動プログラムをご紹介します。このプログラムは、有酸素運動とレジスタンス運動をバランスよく組み合わせて構成されています。
【月曜日・木曜日】有酸素運動中心の日
• 準備運動(5〜10分)
- 全身のストレッチ
- 軽い足踏み運動
• メイン運動:ウォーキング(20〜30分)
- 強度:会話ができる程度
- 心拍数:安静時の30〜40%増
• 整理運動(5分)
- クールダウンのための軽いストレッチ
【火曜日・金曜日】レジスタンス運動の日
• 準備運動(5〜10分)
- 関節の回旋運動
- 軽いストレッチ
• メイン運動:筋力トレーニング(20〜30分)
- スクワット:10〜15回×2〜3セット
- 腹筋運動:10〜15回×2〜3セット
- 腕立て伏せ(壁押しでも可):10回×2セット
- かかと上げ:20回×2セット
※セット間は1〜2分の休憩を入れる
• 整理運動(5分)
- 全身のストレッチ
【水曜日】水中運動の日
• 準備運動(5〜10分)
- プールサイドでのストレッチ
• メイン運動:水中歩行(20〜30分)
- 水深:胸程度まで
- バリエーション:前後歩き、横歩き
• 整理運動(5分)
- 軽いストレッチ
【土曜日】有酸素運動の日
• 準備運動(5〜10分)
- 全身のストレッチ
• メイン運動:自転車こぎまたはエアロバイク(20〜30分)
- 強度:軽く汗ばむ程度
- 徐々に時間を延ばしていく
• 整理運動(5分)
- クールダウン
【日曜日】休養日
• 軽いストレッチ程度にとどめる
• 散歩程度の軽い運動は可
これらのプログラムは、あくまでも基本的な例です。
年齢、体力、合併症の有無などによって、適切な運動量は異なりますので、必ず主治医と相談の上、個々の状態に合わせたプログラムを作成することが重要です。
糖尿病患者が日常生活に取り入れるべき運動療法
上述した通り、糖尿病の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが推奨されています。では具体的に、日常生活の中でどのように運動を取り入れていけばよいのでしょうか。まず目標とする1日の歩数は、健康な成人の場合8000歩以上ですが、糖尿病患者の場合はより意識的に歩数を増やし、1万歩を目指すことをお勧めします。
ただし、いきなり歩数を増やすのではなく、現在の歩数から徐々に増やしていくことが継続のコツです。例えば、通勤や買い物の際に一つ手前の駅やバス停で降りて歩く、エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使う、昼休みに10分程度の散歩を取り入れるなど、できることから始めてください。なお、活動量の増加は、単に運動量を増やすだけでなく、生活リズムの改善にもつながります。
また、規則正しい運動習慣は、食事時間の安定化や睡眠の質の向上といった好ましい変化をもたらし、結果として血糖値の安定化に寄与します。実際、継続的な運動習慣を持つ患者は、HbA1cの改善が見られるケースが多く、インスリンの感受性も高まることが報告されています。運動療法は決して特別なことではありません。日常生活の中で少しずつ活動量を増やしていくことで、自然と血糖コントロールの改善につながっていきます。
運動時の血糖管理と注意点
糖尿病患者にとって運動は血糖コントロールの改善に有効ですが、安全に行うためにはいくつかの注意点があります。ここでは、運動時の血糖管理のポイントと注意すべき事項を詳しく解説します。
【運動時の血糖管理と注意点1】運動時の低血糖リスク
インスリンや血糖降下薬を使用している方は、運動時の低血糖に特に注意が必要です。特に食前や空腹時の運動は避け、食後2時間程度が運動の適切なタイミングとされています。
また、運動による血糖降下作用は翌日まで持続する可能性があるため、継続的な血糖値のモニタリングが重要です。運動強度や時間については、必ず主治医に相談して、個々の状態に合わせた調整を行ってください。
【運動時の血糖管理と注意点2】血糖コントロールと運動制限
血糖値が著しく高い状態(空腹時血糖250mg/dL以上)での運動は、かえって血糖値を上昇させる可能性があります。また、重症の網膜症や腎症がある方は、激しい運動により症状が悪化するリスクがあります。
したがって運動を始める前に、現在の血糖コントロール状態や合併症の有無を確認し、主治医と相談しながら適切な運動プログラムを決定することが大切です。
【運動時の血糖管理と注意点3】足のケアと適切な運動用具
糖尿病患者にとって、足のケアは合併症予防の観点から特に重要です。運動前後には必ず足の観察を行い、傷や水疱、発赤、腫れがないかをしっかりと確認してください。
また、運動靴は足に合ったものを選び、靴擦れを防ぐために新しい靴はじっくり慣らしていくことが大切です。
【運動時の血糖管理と注意点4】運動前後の血糖測定の重要性
安全な運動療法のために、運動前後の血糖測定は欠かせません。運動前の血糖値が70mg/dL未満の場合は低血糖のリスクが高いため、運動を控えめにするか、糖分を摂取してから開始してください。
また、運動後の血糖測定により、その方に適した運動強度や時間を把握することができます。定期的な血糖測定を習慣化し、運動の効果を確認しながら進めていくことが大切です。
【運動時の血糖管理と注意点5】水分補給と体調管理
運動中は通常以上に水分を失うため、適切な水分補給が重要です。特に気温の高い時期は、こまめな水分補給を心がけてください。ただし、激しい運動時は、スポーツドリンクなどの糖分を含む飲料は血糖値の上昇を招く可能性があるため、主治医に相談の上で選択してください。
運動は糖尿病治療の重要な柱ですが、安全に継続するためには適切な血糖管理と準備が欠かせません。血糖値の測定、水分補給、足のケアなど、基本的な注意点を押さえながら、無理のない範囲で運動を続けていくことが、良好な血糖コントロールにつながります。
まとめ:内科医からのアドバイス
運動療法は血糖コントロールを改善する上で効果的な治療法です。しかし、ただ闇雲に運動を始めるのではなく、血糖コントロールの状態や合併症の有無によって、運動の種類や強度を慎重に選択し、安全に、そして効果的に続けていくことが重要です。特に重要なのは、個々の状況に合わせた運動プログラムの作成です。
例えば、普段からデスクワークが中心の方は、軽いウォーキングから始めることが望ましいです。一方、体力に自信がある方であれば、ジョギングや水泳といった有酸素運動と軽い筋トレを組み合わせることも効果的です。さらに、運動療法を安全に継続するためには、定期的な診察と血糖値のモニタリングが欠かせません。
運動による体調の変化や気になる症状があれば、早めに医療機関に相談することをお勧めします。無理のない範囲で始め、徐々に運動量を増やしていくことで、安全かつ効果的に血糖コントロールの改善を目指してください。
なお当院では、患者一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2025.02.05
【医師監修】糖尿病 - グリコアルブミン(GA)の検査方法や目標数値について
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「グリコアルブミン(GA)の検査方法」について解説していきます。後半部分では「グリコアルブミン数値の見方」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
グリコアルブミン(GA)とは何か、糖尿病との関係について
グリコアルブミン検査の基礎知識:方法と診断基準
グリコアルブミンとHbA1cとの違い
グリコアルブミンと1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)との違い
グリコアルブミン数値の見方、目標値と正常値
血糖コントロールにグリコアルブミンを活用する方法
透析患者や妊婦に必要なグリコアルブミンの管理
普段からグリコアルブミンを意識して糖尿病対策を行いましょう
グリコアルブミン(GA)とは何か、糖尿病との関係について
グリコアルブミンは血糖の管理指標です。主に糖尿病の検査で使われています。以下に、グリコアルブミン(GA)の基本的な知識と、糖尿病管理における役割について解説します。
<グリコアルブミン(GA)とは>
グリコアルブミン(GA)は、血液中のアルブミンというタンパク質にブドウ糖が結合した物質です。血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くと、アルブミンへのブドウ糖の結合が増加し、GAの値も上昇します。アルブミンの寿命は約2〜3週間であるため、GAの値は過去2〜3週間の血糖コントロール状態を反映します。
この特徴により、GAは短期間の血糖値の変動を評価できる有用な指標として注目されています。なお、測定は通常の採血で行うことができ、特別な前処置も必要ないため、患者の負担が少ない検査です。
ただし、肝臓疾患や甲状腺機能障害がある場合は、値が影響を受ける可能性があるため、解釈には注意が必要です。
<グリコアルブミン(GA)と糖尿病の関係>
グリコアルブミン(GA)は糖尿病の血糖コントロールを評価する重要な指標です。従来から使用されているHbA1cが過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映するのに対し、GAはより短期間の血糖状態を反映するという特徴があります。このため、治療内容の変更や食事・運動療法の効果を比較的早期に評価することができます。
特に、貧血や腎臓病などでHbA1cが正確に測定できない場合や、妊娠糖尿病の管理など、より迅速な血糖コントロールの評価が必要な場合に有用です。また、透析患者の血糖コントロール評価にも適しています。GAは、このようにHbA1cを補完する形で、糖尿病治療における重要な指標として位置づけられており、患者の状態に応じて使い分けることで、より適切な糖尿病管理が可能となります。
グリコアルブミン検査の基礎知識:方法と診断基準
グリコアルブミン検査は、糖尿病の診断や治療効果を評価するための重要な検査です。以下に、検査方法と診断基準について詳しく解説します。
<検査方法>
グリコアルブミン検査は、通常の採血で実施します。採血は、朝食前の空腹時採血である必要はなく、食事の影響を受けないため、時間を問わず実施できます。採血量は数ミリリットルと少量で、所要時間もわずか数分です。なお、採血した血液は専用の検査機器で分析され、結果は通常、数時間から1日程度で判明します。
グリコアルブミン検査は、特別な前処置や食事制限も必要ないため、患者の日常生活に支障をきたすことはありません。
<診断基準と評価>
グリコアルブミンの基準値は11〜16%とされています。糖尿病患者の場合、血糖コントロールの目標値は、以下のように設定されています。
・優れたコントロール:16%未満
・良好なコントロール:16〜20%
・不十分なコントロール:20〜24%
・不良なコントロール:24%以上
ただし、これらの値は目安であり、年齢や合併症の有無、生活状況などによって、個々の患者に適した目標値が設定されます。また、急激な血糖値の変動や、肝臓・腎臓の疾患がある場合は、値が影響を受ける可能性があるため、他の検査結果と併せて総合的に評価することが重要です。
<検査の特徴と注意点>
グリコアルブミン検査には、他の血糖値検査にはない独自の特徴があります。HbA1cと比較して短期間の血糖コントロール状態を評価できることが最大の特徴です。また、様々な病態や状況においても正確な評価が可能という利点があります。以下が主な特徴です。
・過去2〜3週間の血糖状態を反映
・食事の影響を受けない
・貧血の影響を受けにくい
・妊娠中の血糖管理にも有用
・透析患者の血糖評価に適している
ただし、以下の場合は値が影響を受ける可能性があるため、主治医との相談が必要です。
・重度の肝機能障害
・甲状腺機能障害
・ネフローゼ症候群
・著しい低アルブミン血症
このように、グリコアルブミン検査には注意が必要な場合もありますが、適切に活用することで、より正確な血糖コントロールの評価が可能となります。
患者の状態に応じて、他の検査結果と組み合わせながら、総合的な評価を行うことが重要です。
グリコアルブミンとHbA1cとの違い
グリコアルブミン(GA)とHbA1cは、どちらも血糖コントロールの状態を評価する重要な指標ですが、その特徴は大きく異なります。HbA1cは赤血球中のヘモグロビンに糖が結合したもので、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖値を反映します。一方、GAは血液中のアルブミンに糖が結合したもので、過去2〜3週間の血糖状態を反映します。
この違いにより、GAはより短期間での血糖コントロールの変化を評価できるため、治療効果の確認や薬剤調整に適しています。
なお、GAは貧血や腎臓病の影響を受けにくく、透析患者や妊婦の血糖評価に特に有用です。一方、HbA1cは長期的な血糖コントロールの評価に優れており、糖尿病の診断基準としても使用されています。そのため、両者は相互に補完し合う関係にあり、患者の状態や目的に応じて使い分けることが重要です。
特に、治療内容を変更した際は、GAで短期的な効果を確認し、HbA1cで長期的な評価を行うという組み合わせが効果的です。このように両検査の特徴を理解し、適切に活用することで、より精度の高い血糖コントロールが可能となります。
グリコアルブミン数値の見方、目標値と正常値
糖尿病の治療において、血糖コントロールの状態を正確に把握することは非常に重要です。グリコアルブミン(GA)は、その重要な指標の一つとして用いられています。ここでは、GA値の基本的な見方と、コントロールの目標について解説します。
<基準値と数値の意味>
グリコアルブミン(GA)の基準値は11〜16%です。この値を超えると、血糖値が高めで推移していることを示します。そのため、数値が高いほど血糖コントロールが不良であることを意味し、逆に基準値に近いほど良好な状態だと判断できます。また、血糖コントロールが安定している場合、GAの値はHbA1cの約3倍になるという特徴があります。
<血糖コントロールの評価と自己管理>
糖尿病患者の血糖コントロール状態は、以下の基準で評価されます。
・優れたコントロール:16%未満
・良好なコントロール:16〜20%
・不十分なコントロール:20〜24%
・不良なコントロール:24%以上
これらの基準値を参考に、定期的な検査で自身の血糖コントロール状態を確認することが大切です。ただし、これはあくまでも目安であり、年齢や合併症の有無、生活状況によって、個々に適切な目標値が設定されます。特に治療内容を変更したときや、食事・運動習慣を見直したとき、体調の変化を感じたときは、GAの値に注意を払う必要があります。したがって、定期的な検査と記録を通じて、自身の健康状態の変化を早期に把握し、より良い血糖コントロールを行うことが大切です。
グリコアルブミン数値とHbA1cの換算値について
グリコアルブミン(GA)とHbA1cの間にはおおよその換算関係があり、一般的な目安としてGAの値をおよそ3で割ることで、HbA1cの値に近似できます。つまり、GAが21%の場合、HbA1cは約7%と推定されます。
ただしこの換算はあくまで簡易的なもので、より正確な換算にはHbA1cの値に応じて異なる計算式が用いられます。特にHbA1cが約5.9%を境に、異なる換算式が適用されます。
重要な点として、この換算は血糖値が安定している場合に最も信頼性が高くなるもので、急激な血糖変動がある場合や貧血、肝機能障害、妊娠中などの特定の条件下では、GAとHbA1cの値が予想以上に乖離することがあります。
グリコアルブミンと1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)との違いとは
1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)とは
1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)は天然に存在する単糖類の一種で、ほとんどすべての食品に含まれています。血中に一定量存在し、短期的な血糖変動を反映する血糖管理の指標として使用されます。
1,5-AGの特徴:
1. 血糖値が約180mg/dL以上になると尿中に排泄され、血中濃度が低下します。
2. 過去1〜2週間の血糖変動、特に高血糖の程度を反映します。
3. HbA1cが正常値に近い患者でも、直近数日間の高血糖を検出できます。
4. 食後高血糖や血糖変動の評価に特に有用です。
一方、グリコアルブミン(GA)は血液中のアルブミンのうち、ブドウ糖と結合したものの割合を測定します。GAは過去2〜4週間の平均血糖値を反映し、比較的短期の血糖コントロールの指標として用いられます。
グリコアルブミンと1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)の具体的な違い
1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)とグリコアルブミン(GA)は、どちらも短期的な血糖コントロールの指標として使用されますが、いくつかの重要な違いがあります。
1,5-AGは、血中に一定量存在する単糖類の一種で、血糖値が約180mg/dL以上になると尿中に排泄され、血中濃度が低下します。この特性により、1,5-AGは過去数日間の血糖変動、特に高血糖の程度を敏感に反映します。
一方、GAは血液中のアルブミンのうち、ブドウ糖と結合したものの割合を測定します。GAは過去1〜2週間(特に直近2週間)の平均血糖状態を反映します。主な違いとして、1,5-AGはより短期間(数日間)の血糖変動を反映し、軽度の高血糖にも敏感に反応します。
GAは1〜2週間の平均的な血糖コントロールを示すため、1,5-AGよりも長期的な指標となります。また、1,5-AGは食後高血糖や血糖変動の評価に特に有用であり、HbA1cが正常値に近い患者でも直近の高血糖を検出できます。
一方、GAは治療効果の判定や比較的短期の血糖コントロールの評価に適しています。測定対象も異なり、1,5-AGは血中の1,5-アンヒドログルシトール濃度を測定しますが、GAは糖化されたアルブミンの割合を測定します。
これらの違いにより、1,5-AGとGAは互いに補完的な役割を果たし、患者の状態や治療目的に応じて適切に選択されます。
血糖コントロールにグリコアルブミンを活用する方法
グリコアルブミン(GA)は過去2〜3週間の血糖状態を反映するため、生活習慣の改善効果や治療の効果を比較的早期に確認することができます。この特徴を活かし、以下のような形で活用することをお勧めします。まず、定期的な検査値の記録をつけてください。
GAの値と併せて、その時の生活状況(食事内容、運動量、服薬状況など)も記録すると、どのような生活習慣が血糖コントロールに影響しているかが分かりやすくなります。また、季節の変化や行事などで生活リズムが変わるときは、特に注意して値をチェックすることが重要です。夏場の運動不足や年末年始の食生活の乱れなどは、短期間で血糖コントロールに影響を与える可能性がありますので、ご注意ください
。さらに、特に注意したい生活習慣の改善ポイントとしては、規則正しい食事、適度な運動、十分な睡眠が挙げられます。これらを意識的に実践し、その効果をGA値の変化で確認することで、自身に合った生活リズムを見つけることができます。また、ストレス管理も重要な要素です。
定期的な検査で数値が改善していることを確認できれば、それが次の励みにもなります。なお、生活習慣の改善を始める際は、必ず主治医に相談し、自分に適した目標や方法を設定することが大切です。GAの値を指標としながら、無理のない範囲で継続的に取り組むことが、良好な血糖コントロールへの近道となります。
透析患者や妊婦に必要なグリコアルブミンの管理
透析患者や妊婦の場合、通常のHbA1c検査では正確な血糖コントロールの評価が難しいことがあります。そのため、グリコアルブミン(GA)検査が特に重要な役割を果たします。それぞれの状況に応じた管理方法について解説します。
<透析患者の場合>
透析患者では、貧血や赤血球の寿命短縮により、HbA1cが実際の血糖状態より低く表示されることがあります。そのため、GAによる評価が重要です。透析患者の場合、以下の点に特に注意が必要です。
・目標値は通常より若干高めに設定(18〜20%程度)
・透析日と非透析日での血糖値の変動に注意
・低血糖のリスクが高いため、細やかな血糖管理が必要
・食事制限と血糖コントロールの両立が重要
<妊婦の場合>
妊娠中は母体の血糖コントロールが胎児の発育に直接影響するため、より厳密な管理が求められます。GAは短期間の血糖状態を反映するため、妊婦の血糖管理に特に適しています。
以下、GAを用いた妊婦の血糖管理における重要なポイントです。
・妊娠中の目標値は通常より厳しく設定(15〜16%未満)
・妊娠経過に伴う血糖値の変動に注意
・つわりなどによる食事量の変化にも注意
・2〜4週間ごとの定期的な検査が推奨
なお、両者に共通する重要なポイントとして、以下が挙げられます。
・主治医との密な連携
・食事・運動療法の適切な実施
・定期的な検査値の記録
・体調変化への迅速な対応
・低血糖対策の徹底
このように、透析患者や妊婦の場合は、より慎重な血糖管理が必要です。GAを活用した適切な管理により、安全で効果的な治療を実現することができます。不安な点がある場合は、必ず医療機関に相談してください。
普段からグリコアルブミンを意識して糖尿病対策を行いましょう
グリコアルブミン(GA)検査は、2~3週間の血糖状態を反映する重要な指標です。この検査値を意識することで、より細やかな血糖コントロールが可能となり、合併症予防にもつながります。そのため、多くの患者にお勧めです。
日常生活では、食事の内容や量、運動の頻度がGAに直接影響します。例えば、食後高血糖を防ぐために、野菜から食べる、ゆっくり良く噛んで食べるなどの工夫が効果的です。
また、食後の15分程度の軽い散歩や、週3回30分程度の有酸素運動を取り入れることで、血糖値の改善が期待できます。これらの取り組みの成果は、定期的なGA検査で確認することができますので、より細やかな血糖コントロールを目指される方には、特にお勧めの検査です。
なお、当院では、患者一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方がいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2025.02.05
糖尿病患者必見!スローカロリーで血糖値コントロールを改善する方法
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「スローカロリー」について解説していきます。後半部分では「スローカロリー食品の種類と選び方」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
スローカロリーとは?
スローカロリーの仕組みと効果
糖尿病予防と管理におけるスローカロリーの役割
スローカロリー食品の種類と選び方
日常生活でのスローカロリー活用法
スローカロリー摂取時の注意点
よくある疑問と回答
スローカロリーで効果的な糖尿病対策を行いましょう
スローカロリーとは?
スローカロリーとは、カロリーの「量」ではなく「質」に注目した食事の考え方です。具体的には、食べ物が体内で消化・吸収される速度に着目し、ゆっくりと時間をかけて消化・吸収される食品を選択することを意味します。
例えば、食物繊維が豊富な野菜や全粒穀物、良質なたんぱく質を含む食品などがスローカロリー食品の代表例です。これらの食品は、消化に時間がかかるため、血糖値の急激な上昇を防ぎ、穏やかな血糖値の変動をもたらします。
なお、糖尿病患者さんにとって、スローカロリーの考え方は血糖コントロールの面で特に重要です。急激な血糖値の上昇は、膵臓に過度な負担をかけ、インスリンの分泌量を増加させます。
これは長期的に見ると、インスリンの効きを悪くする原因となり得ます。一方、スローカロリーの考え方に基づいた食事では、緩やかな血糖値の上昇となるため、膵臓への負担が少なく、より安定した血糖コントロールが期待できます。
また、ゆっくりと消化される食品は満腹感が持続するため、食べ過ぎの予防にもつながります。このように、スローカロリーを意識した食事は、糖尿病の治療において重要な役割を果たし、より良い血糖コントロールの実現に貢献します。
スローカロリーの仕組みと効果
スローカロリーの仕組みは、食べ物の消化吸収速度を調整することで、体内でのエネルギー利用を最適化することです。スローカロリーでは、特に糖質の吸収に焦点を当てており、代表的な糖質としては、パラチノースが挙げられます。
パラチノースは、砂糖(スクロース)と同じ分子式を持つ二糖類ですが、分子の結合様式が異なることで、体内での消化・吸収の速度が大きく変化します。通常の砂糖が小腸で速やかに分解されるのに対し、パラチノースは4~5倍もの時間をかけてゆっくりと消化・吸収されます。
この特徴的な消化・吸収の仕組みが、血糖値上昇の抑制に重要な役割を果たしています。また、パラチノースの場合、小腸の上部から下部にかけて広い範囲で少しずつ消化・吸収が行われます。
これにより、一度に大量の糖が血液中に流れ込むことを防ぎ、食後の急激な血糖値上昇を抑制することができます。
なお、血糖値の緩やかな上昇は、インスリン分泌にも望ましい影響をもたらします。通常の砂糖を摂取した場合、急激な血糖値の上昇に対応するため、膵臓から大量のインスリンが一度に分泌されます。
一方、パラチノースの場合、血糖値の上昇が緩やかなため、インスリンの分泌も適度な量に抑えられます。この結果、膵臓への負担が軽減され、長期的な血糖コントロールの改善が期待できます。
また、過剰なインスリン分泌を抑制することで、脂肪の蓄積も抑えられ、肥満予防の効果も期待できます。
糖尿病予防と管理におけるスローカロリーの役割
スローカロリーの考え方を取り入れた食事は、糖尿病の予防と管理において多面的な効果をもたらします。
最も重要な効果は、血糖コントロールの改善です。食後の急激な血糖値上昇を抑制することで、膵臓への負担を軽減し、インスリンの過剰分泌を防ぎます。
これにより、より安定した血糖値の推移が実現でき、HbA1cの改善も期待できます。また、スローカロリー食品の摂取は、効果的な体重管理にも貢献します。
ゆっくりと消化・吸収される食品は満腹感が持続するため、過食を防ぐことができます。さらに、インスリンの分泌が適度に抑えられることで、体脂肪の蓄積も抑制されます。この効果は、肥満の予防だけでなく、すでに体重過多の方の体重管理にも有効です。
なお、長期的な健康維持の観点からも、スローカロリーは重要な役割を果たします。安定した血糖コントロールは、糖尿病の合併症リスクを低減させます。また、急激な血糖値の変動による血管へのダメージを軽減することで、心血管疾患の予防にも寄与します。
さらに、適切な体重管理は、関節への負担を軽減し、運動習慣の維持を容易にします。このように、スローカロリーを意識した食生活は、総合的な健康維持に貢献し、より質の高い生活の実現を支援します。
スローカロリー食品の種類と選び方
スローカロリーを実践する上で、まず注目したいのは自然食品に含まれるスローカロリー成分です。食物繊維が豊富な野菜、全粒穀物、豆類は、天然のスローカロリー食品として代表的です。
特に、ブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜、オートムールや玄米などの全粒穀物には、食物繊維に加えてビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
また、大豆や小豆などの豆類は、良質なたんぱく質と食物繊維を同時に摂取できる優れた食材です。さらに、市販のスローカロリー製品も、日常的な食事管理に役立ちます。近年は、パラチノースやイソマルトオリゴ糖を使用したお菓子や飲料、難消化性デキストリンを配合したパンや麺類など、様々な製品が開発されています。
これらの製品は、従来の食品と比べて血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。ただし、製品選びの際は、単に「スローカロリー」の表示だけでなく、総カロリーや他の栄養成分にも注意を払うことが重要です。
なお、栄養バランスを考慮したスローカロリー食品の選択方法として、「三色食品群」の考え方を取り入れることをお勧めします。
赤(たんぱく質)、緑(ビタミン・ミネラル)、黄(炭水化物・脂質)の各群からスローカロリー食品を選ぶことで、必要な栄養素をバランスよく摂取できます。例えば、魚や肉などのたんぱく質源は、食物繊維が豊富な野菜と組み合わせることで、より効果的な血糖値の上昇抑制が期待できます。
また、炭水化物を選ぶ際は、白米や食パンよりも、玄米や全粒粉パンを選択するなど、より消化に時間のかかる食品を意識的に取り入れることが大切です。
グリセミックインデックス(GI)とスローカロリーの違いとは?
スローカロリーとよく似た考えとしてグリセミック・インデックス(GI)があります。
グリセミック・インデックス(GI)の概要と特徴
グリセミック・インデックス(GI)は、食品に含まれる炭水化物(糖質50g)を摂取した後の血糖値上昇の度合いを数値化した指標です。ブドウ糖のGI値を100とし、他の食品のGI値を相対的に表します。
GI値70以上を高GI食、56〜69を中GI食、55以下を低GI食と分類します。GIの特徴として、個別の食品の糖質吸収速度を反映する点が挙げられます。
これにより、食後の血糖上昇を予測し、糖尿病管理や健康維持に活用できます。しかし、GIは実際の食事量を考慮していないため、グリセミック・ロード(GL)という指標も併用されることがあります。
グリセミック・インデックス(GI)とスローカロリーの具体的な違い
スローカロリーとGIの主な違いは、アプローチの方法にあります。GIは数値化された客観的な指標であり、個々の食品に適用されます。
一方、スローカロリーは食事全体や食べ方にも注目する、より包括的な食事アプローチです。GIは科学的な根拠に基づいた指標ですが、日常的な実践には専門知識が必要です。
対して、スローカロリーは日常的な食習慣の中で実践しやすい特徴があります。
両者とも急激な血糖上昇を抑え、健康的な食生活を促進することを目指していますが、GIはより詳細な食品選択に、スローカロリーは全体的な食事バランスと食べ方に焦点を当てています。
これらの概念を適切に組み合わせることで、より効果的な血糖管理と健康維持が可能になります。
日常生活でのスローカロリー活用法
日々の食事にスローカロリーを取り入れる方法は、意外にも簡単です。まず、主食では白米に大麦や雑穀を混ぜる、食パンの代わりに全粒粉パンを選ぶなど、少しの工夫で始められます。
副菜については、食物繊維が豊富な野菜を意識的に増やし、特に食事の最初に食べることで、その後の糖質の吸収をゆるやかにすることができます。また、油を使う調理の際は、オリーブオイルなどの良質な油を選ぶことで、食材の消化吸収速度をさらに緩やかにすることができます。
さらに、お菓子作りや料理での砂糖の代替にも、スローカロリーの考え方を活用できます。例えばパラチノースは砂糖と同程度の甘さを持ちながら、血糖値の上昇を抑える効果があるため、お菓子作りの砂糖代替として最適です。
また、マフィンやパンケーキを作る際は、小麦粉の一部を大豆粉や玄米粉に置き換えることで、食物繊維量を増やすことができます。
なお、最近は運動時のスローカロリー活用も注目されています。持久系のスポーツでは、運動中のエネルギー供給を安定させるため、スローカロリー食品が効果的です。
例えば、マラソンや長時間の自転車運動の際は、急激な血糖値の上昇と低下を避けるため、スローカロリー成分を含むエネルギー補給食品を選ぶことをお勧めします。また、運動後の回復食としても、スローカロリー食品は理想的です。
ゆっくりとエネルギーが補給されることで、疲労回復を促進し、次の運動に向けての体調管理にも役立ちます。
スローカロリー摂取時の注意点
糖尿病患者さんのスローカロリー食品摂取については、日本糖尿病学会の食事療法ガイドラインに沿った管理が不可欠です。
このガイドラインでは、1日の総エネルギー摂取量や炭水化物の割合が明確に定められており、スローカロリー食品を利用する場合でもこの基準を遵守する必要があります。具体的には、炭水化物の摂取量は総エネルギーの50~60%を目安とし、たとえスローカロリー食品であっても、この範囲を超えないよう注意が必要です。
また、食品交換表を用いて、スローカロリー食品を適切な単位数で管理することも重要です。さらに、スローカロリー食品の過剰摂取には注意が必要です。血糖値の上昇が緩やかであることから、「たくさん食べても大丈夫」という誤った認識を持ちやすいですが、これは危険です。
過剰摂取は結果として総カロリーの摂り過ぎにつながり、肥満や栄養バランスの乱れを引き起こす可能性があります。また、一部のスローカロリー食品では、多量摂取により腹部膨満感や軟便などの消化器症状が現れることがあります。
なお、他の治療法との併用においても、いくつかの注意点があります。特に、インスリン注射や血糖降下薬を使用している方は、スローカロリー食品の導入により、従来の薬剤の効果タイミングとの間にずれが生じる可能性があります。
また、食後血糖値の変動パターンが変化することで、低血糖のリスクが高まる場合もあります。そのため、スローカロリー食品を取り入れる際は、血糖値の自己測定をより慎重に行い、必要に応じて薬剤の使用タイミングや量の調整を検討する必要があります(これらの調整は医師の指導のもとで行うようにしてください)。
よくある疑問と回答
ここでは、スローカロリーに関する疑問について分かりやすく解説していきます。正しい理解を深めることで、より効果的にスローカロリーを実践していただければと思います。
【よくある疑問と回答1】スローカロリーの安全性
スローカロリーは、人体の自然な消化・吸収の過程に沿った考え方であり、基本的な安全性は確認されています。特に、パラチノースなどのスローカロリー素材は、長年の研究と使用実績があり、食品安全委員会でも安全性が認められています。
ただし、個人の体質や健康状態によっては、消化器症状が現れる場合があります。特に初めて取り入れる際は、少量から始めて徐々に量を増やしていくことをお勧めします。また、特定の持病がある方は、事前に医師に相談することが望ましいです。
スローカロリーを実践する際は、過剰摂取を避け、バランスの取れた食事の一部として取り入れることで、安全に効果を得ることができます。
【よくある疑問と回答2】効果が現れるまでの期間
スローカロリーの効果は、短期的な効果と長期的な効果に分けられます。食後の血糖値上昇抑制効果は、スローカロリー食品を摂取した直後から確認できます。
一方、HbA1cの改善や体重管理などの長期的な効果は、継続的な実践が重要です。一般的に、毎日の食事で意識的にスローカロリーを取り入れた場合、1~2ヶ月程度で血糖コントロールの改善傾向が現れ始めます。
そして3~6ヶ月程度の継続で、より安定した効果が期待できます。ただし、これらの期間は個人差が大きく、生活習慣や運動習慣、他の治療との組み合わせによっても変わってきます。
【よくある疑問と回答3】従来の糖質制限との違い
従来の糖質制限が糖質の「量」を制限するアプローチであるのに対し、スローカロリーは糖質の「質」に着目したアプローチです。
糖質制限では、総糖質量を厳しく制限するため、食事の選択肢が限られ、長期的な継続が難しいケースもあります。一方、スローカロリーでは、糖質を含む食品でも、ゆっくり消化・吸収されるものを選ぶことで、急激な血糖値の上昇を防ぎます。このため、より幅広い食品選択が可能で、通常の食生活に近い形で実践できます。
また、必要な栄養素をバランスよく摂取しやすく、長期的な継続がしやすいという特徴があります。
スローカロリーで効果的な糖尿病対策を行いましょう
糖尿病の管理において、継続的な血糖コントロールは最も重要な課題です。スローカロリーは、この課題に対する有効なアプローチの一つとして注目されています。スローカロリーは、従来の厳格な食事制限とは異なり、日常的な食生活の中で無理なく実践できる特徴があるため、長期的な継続が可能です。
また、毎食の少しずつの工夫が、安定した血糖値の維持につながり、合併症予防にも貢献します。さらに、スローカロリーは単なる血糖管理の手段ではなく、総合的な健康づくりのツールとしても注目されています。
ゆっくりと消化・吸収される食品を意識的に選ぶことは、食事の質を見直すきっかけとなり、より健康的な食生活習慣の形成につながります。このため、積極的にスローカロリーを実践することを推奨しております。
なお、当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2025.02.05
糖尿病 - 血糖自己測定(SMBG)の正しい方法とメリット、尿糖測定との違いについて
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「血糖自己測定」について解説していきます。後半部分では、「血糖測定器を使う際の注意点」や「測定結果の見方」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
血糖自己測定とは?
血糖測定器を使った適切な測定方法
持続血糖測定のFreeStyleリブレとは?
血糖測定器を使う際の注意点
測定結果の見方と活用法
血糖コントロールへの応用
血糖自己測定の保険適用と費用
よくある質問(FAQ)
適切な方法で血糖自己測定を行いましょう
血糖自己測定とは?
血糖自己測定(SMBG:Self-Monitoring of Blood Glucose)は、患者さん自身が専用の測定器を使って指先から少量の血液を採取し、血糖値を測定する方法です。
この自己測定は、糖尿病治療において非常に重要な役割を果たしています。特にインスリン治療中の患者さんにとって、低血糖の早期発見や予防、インスリン量の調整に不可欠なツールとなっています。
血糖値は食事、運動、ストレスなどの影響で日内変動が大きいため、定期的な医療機関での検査だけでは、日々の血糖値の変動を把握することが困難です。そのため、自己測定によって血糖値を測定することが重要です。
血糖自己測定により、食前・食後の血糖値の変化や、運動による影響を確認することができるため、より細やかな治療調整が可能となります。また、測定結果を記録することで、生活習慣と血糖値の関係性を理解し、自己管理能力の向上にもつながります。
なお、測定頻度については治療内容や血糖コントロールの状態によって個人差がありますが、一般的な目安として、インスリン治療中の方は1日3-4回(毎食前と就寝前)の測定が推奨されます。
また、経口糖尿病薬を使用している方は、基本的には主治医の指示に従いますが、週に2-3回程度の測定で十分な場合も多いです。定期的な測定により、より安全で効果的な糖尿病治療を実現することができます。
血糖測定器を使った適切な測定方法
正確な測定値を得るためには、適切な手順で実施することが不可欠です。ここでは、患者さんご自身が安全かつ正確に血糖値を測定するための手順をわかりやすく説明します。まずは測定を始める前に、以下の物品をご準備ください。
<必要な物品>
・血糖測定器
・血糖測定用センサー
・穿刺器具
・穿刺針(ランセット)
・アルコール綿
・記録ノート
・使用済み針専用の廃棄容器
以下、正確に血糖値を測定するための手順です。
<測定手順>
1.必要物品を準備します
測定に必要な物品をすべて手の届く場所に用意します。そして測定器の電源を入れ、正常に作動することを確認します。なお、センサーの使用期限を確認し、期限切れのものは使用しないようにしてください。
2.流水で手を洗い、乾かす
微温湯でしっかりと手を洗います。手が冷たいと血液が出にくいため、必要に応じて少し温めてください。そして清潔なタオルでよく水分を拭き取ってください。
3.穿刺具に針をセットします
新しい穿刺針を取り出し、穿刺器具に正しくセットします。この時、針先に触れないよう注意してください。なお、深さ調整は自分の皮膚の厚さに合わせて設定してください。
4.測定器にセンサーをセットします
センサーを測定器に差し込みます。この時、測定器の表示を確認し、正しく認識されているか確認します。エラーが表示された場合は、センサーを差し直してください。
5.消毒綿で指先(手のひら)を消毒し、よく乾燥させます
アルコール綿で穿刺部位を丁寧に消毒します。アルコールが完全に乾いてから穿刺を行ってください。アルコールが残っていると、測定値に影響を与える可能性がありますので、ご注意ください。
6.穿刺します
中指か薬指の腹部の端から少し内側を穿刺します。同じ場所を繰り返し穿刺しないよう、部位をローテーションすることが大切です。
7.必要量の血液をセンサーに吸い取ります
十分な量の血液が出たら、センサーの先端を血液に軽く触れさせます。強く押しつけたり、こすりつけたりせず、自然に吸い上げられるのを待ちます。
8.数秒程度で結果が表示されます
測定器の表示画面に測定値が表示されるまで、静かに待ちます。エラーが表示された場合は、新しいセンサーで再測定を行ってください。
9.結果を記録します
測定値を記録ノートに記入します。日付、時間、食事との関係(食前・食後など)も併せて記録しておくと、血糖値の変動パターンを把握するのに役立ちます。
10.針を針捨てに捨てて片付けます
使用済みの穿刺針は、必ず専用の廃棄容器に入れます。決して家庭ごみとして捨てないでください。廃棄容器がいっぱいになったら、かかりつけの医療機関や薬局に相談するか、お住まいの自治体の指示に従って適切に処分してください。
持続血糖測定のFreeStyleリブレとは?
持続血糖測定デバイスであるFreeStyleリブレは、糖尿病患者の血糖管理に革新をもたらしています。このデバイスは、isCGM(間歇スキャン式持続グルコースモニタリング)技術を使用し、従来の指先穿刺による血糖測定に代わる新しい選択肢となっています。
リブレの主な特徴:
1. 14日間連続使用可能:センサーを上腕に装着すると、2週間にわたって血糖値の変動を記録します。
2. 非侵襲的測定:指先穿刺が不要で、服の上からでもスキャンが可能です。
3. リアルタイムデータ:最新のリブレ2では、1分ごとに血糖値が更新されます。
4. 血糖変動の可視化:スマートフォンアプリを通じて、血糖値の推移をグラフで確認できます。
5. アラート機能:低血糖や高血糖時にアラートを設定できます。
6. 耐水性:入浴やプールでも使用可能です。
リブレは、特にインスリン使用中の患者に保険適用されていますが、その便利さから適用外の患者にも人気があります。
ただし、急激な血糖変動時には従来の血糖測定器による確認が推奨されます。この革新的なデバイスにより、患者は血糖値の「点」ではなく「線」としての変動を把握でき、より詳細な糖尿病管理が可能になっています。
血糖測定器を使う際の注意点
血糖測定は、糖尿病の治療において欠かせない検査ですが、正確な測定値を得るためには、いくつかの重要な注意点があります。測定値の信頼性に影響を与える要因を理解し、適切な測定方法を身につけることで、より効果的な血糖コントロールが可能となります。以下では、血糖測定を行う際の主な注意点について解説します。
【血糖測定器を使う際の注意点1】採血部位
採血部位は、一般的に指先の腹部が推奨されます。特に中指や薬指の端から2-3mm程度内側が適していますが、同じ部位に頻回に穿刺すると痛みや傷跡の原因となるため、部位をローテーションすることが重要です。
親指や人差し指は神経が豊富で痛みを感じやすいため避けてください。また、浮腫のある部位や傷、感染のある部位からの採血は避ける必要があります。
【血糖測定器を使う際の注意点2】血糖値を変動させる因子を把握
正確な血糖値を得るためには、測定値に影響を与える様々な因子を理解することが重要です。食事や運動はもちろんのこと、発熱、ストレス、薬剤(特にステロイド薬)なども血糖値に影響を与えます。
また、手が冷たい場合や汚れている場合も、正確な測定値が得られない可能性があります。測定前には手を温め、十分な手洗いを行うことが大切です。測定時には、これらの因子を記録しておくことで、血糖値の変動パターンを理解するのに役立ちます。
【血糖測定器を使う際の注意点3】耳朶への穿刺は針刺し事故に注意
耳朶からの採血は、医療従事者が実施する場合に限り認められていますが、針刺し事故のリスクが高い部位です。
患者さんが突然動いた際に針が目に刺さる危険性があるため、実施する場合は必ずゴーグルを着用し、患者さんにも測定中は動かないよう十分に説明する必要があります。なお、可能な限り、より安全な指先からの採血を選択することをお勧めします。
【血糖測定器を使う際の注意点4】測定値にはバラつきがある
血糖測定器は、医療機関で使用される臨床検査機器と比べると、ある程度の誤差が生じることは避けられません。同じ血液サンプルで複数回測定しても、測定値に±10%程度のバラつきが生じることがあります。
このため、測定値が予想と大きく異なる場合は、再測定を行うことをお勧めします。また、定期的に医療機関での検査値と比較して、測定器の精度を確認することも重要です。
測定結果の見方と活用法
一般的に、空腹時血糖値は70-130mg/dL、食後2時間の血糖値は180mg/dL未満が目標とされていますが、これらの目標値は年齢や合併症の有無などによって個人差があります。そのため、血糖値の測定結果は、単に数値を記録するだけでなく、適切に解釈し活用することが重要です。
まず測定値は必ず記録し、時間帯や食事との関係、運動の有無、服薬状況なども一緒にメモしておくことをお勧めします。これにより、日々の生活習慣と血糖値の関係が明確になり、より効果的な自己管理が可能となります。
また、低血糖(70mg/dL未満)や著しい高血糖(250mg/dL以上)が記録された場合は、その時の状況を詳しく記録し、医療機関に相談することが大切です。
さらに定期的な通院の際には、記録した測定結果を必ず持参し、医師に確認してもらってください。これらの情報は、治療方針の調整や合併症予防に重要な役割を果たします。
血糖コントロールへの応用
血糖自己測定は、日常生活における血糖値の変動を把握し、より良い血糖コントロールを実現するための重要なツールです。
測定結果を効果的に活用することで、自身の治療への理解が深まり、より積極的な自己管理が可能となります。
特に食事療法との組み合わせでは、食前・食後の血糖値を測定することで、食事内容が血糖値に与える影響を具体的に理解することができます。また、運動療法においては、運動前後の血糖値を確認することで、運動が血糖値に及ぼす影響を理解し、より安全で効果的な運動習慣を確立することができます。
さらに服薬中の方は、薬の効果や作用時間を血糖値の推移から確認することができるため、医師による治療方針の調整にも重要な情報となります。ただし、測定値に一喜一憂せず、長期的な変動傾向を見ることが大切です。
定期的な測定と記録を続け、その結果を医療チームと共有することで、より良い血糖コントロールを実現し、合併症の予防につなげることができます。
血糖自己測定の保険適用と費用
糖尿病の治療において、血糖自己測定(SMBG)は重要な管理ツールとして位置づけられているため、保険診療の対象となっています。血糖自己測定器加算は、インスリン製剤又はGLP-1受容体作動薬の注射を行っている患者さん、または血糖自己測定の必要性が認められる患者さんが対象となります。測定回数に応じた保険点数は以下の通りです。
月20回以上:350点
月30回以上:465点
月40回以上:580点
月60回以上:830点
月90回以上:1,170点
月120回以上:1,490点
2023年度の診療報酬改定により、血糖自己測定指導加算(50点)が新設されました。これは、血糖自己測定の手技、結果の解釈を含めた血糖管理に関する指導を行った場合に算定できます。
なお、保険適用の上限回数は、2型糖尿病の方は月60回まで、1型糖尿病の方や妊娠中の糖尿病の方、妊娠糖尿病の方は月120回までとなっています。これを超える場合は自己負担となります。
基本的に患者さんの自己負担額は、保険の種類や負担割合によって異なりますが、1点を10円として計算されます。また、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を使用する場合は、別途1,250点が加算されます。これは、インスリン自己注射を1日1回以上実施している方が対象となります。
さらに、消耗品として、血糖測定器の貸与料、血糖測定センサー、穿刺器具、穿刺針、消毒用アルコール綿などが保険適用に含まれています。これらの管理や使用方法については、医療機関で適切な指導を受けることが重要です。
よくある質問(FAQ)
測定に対する不安や疑問を解消することは、より効果的な自己管理につながります。ここでは、よくある質問についてわかりやすく解説します。実際の測定を始める前に、ぜひご参考にしてください。
【よくある質問1】血糖測定時の痛み
血糖測定では、指先に小さな穴を開けて採血を行うため、若干の痛みを伴います。しかし、現在の穿刺針は非常に細く作られており、多くの方は「蚊に刺されたような軽い痛み」程度と感じています。
また、穿刺の深さを調節できる機種が多いため、自分に合った設定を見つけることで痛みを最小限に抑えることができます。
痛みを軽減するコツとしては、指先の端から少し内側を穿刺すること、同じ場所を続けて刺さないこと、そして手を温めてから測定することが挙げられます。
【よくある質問2】血糖自己測定器の選び方
血糖測定器の選択は、生活スタイルや使用頻度、操作のしやすさなどを考慮して決めることが大切です。主な選択のポイントとしては、測定に必要な血液量(少ない方が採血時の負担が少なくなります)、測定時間の長さ、データの記録・管理機能、画面の見やすさ、本体の大きさなどがあります。
また、センサーや穿刺針などの消耗品の入手のしやすさや価格も重要な検討材料となります。かかりつけの医療機関や薬局に相談し、実際に機器を手に取って操作性を確認することをお勧めします。
【よくある質問3】低血糖時の対処法
低血糖(血糖値70mg/dL未満)を感じたら、まず血糖値を測定して確認することが大切です。具体的には低血糖が確認されたら、すぐにブドウ糖(5-10g)や砂糖(角砂糖2-3個)、ジュース(100-200ml)などの糖質を摂取します。
この時、チョコレートなどの脂質を含む食品は吸収が遅いため避けてください。そして糖質を摂取して15分後に再度血糖値を測定し、改善が見られない場合は追加で糖質を摂取してください。
なお、低血糖が改善しても次の食事までに時間がある場合は、低血糖の再発を防ぐため、ビスケットなどの補食をとることをお勧めします。
適切な方法で血糖自己測定を行いましょう
血糖自己測定は、糖尿病治療において欠かせない自己管理ツールです。日々の血糖値を把握することで、食事や運動、服薬による血糖値の変動を理解し、より効果的な治療につなげることができます。
また、低血糖の早期発見や予防にも役立つため、より安全な治療生活を送ることができます。したがって、積極的に血糖自己測定を行うことをお勧めします。
継続的な血糖自己測定と記録は、よりよい血糖コントロールを実現するための第一歩となります。そのため、測定結果は定期的な診察時に必ず主治医に提示し、治療方針の確認や調整に活用してください。
当院で患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2025.02.05
糖尿病患者のための低血糖対策完全ガイド:症状、原因、対処法
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「低血糖」について解説していきます。後半部分では「低血糖状態になった時の対処法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
低血糖の状態と基準値について
低血糖の症状について
低血糖の主な原因について
低血糖状態になった時の対処法
低血糖の予防方法について
特殊な状況での低血糖対策
周囲で誰かが低血糖状態になった時の対応方法
低血糖を恐れずに適切な糖尿病管理を心がけましょう
低血糖の状態と基準値について
一般的に、低血糖は血糖値が70 mg/dL未満に低下した状態と定義されます。しかし、個人差があるため、症状が現れる血糖値は人によって異なることがあります。そのため、健康な人の空腹時血糖値は通常70〜99 mg/dLの範囲内ですが、糖尿病患者さんの場合、血糖コントロールの目標値は個別に設定されます。なお、糖尿病患者さんが低血糖に注意を払う必要があるのは、低血糖が深刻な健康リスクをもたらす可能性があるためです。具体的には、低血糖状態が続くと、脳や他の重要な臓器が十分なエネルギーを得られず、意識障害や昏睡などの重篤な状態に陥る恐れがあります。また、低血糖の経験が頻繁にあると、低血糖に対する身体の警告反応が鈍くなり、重症低血糖のリスクが高まることもあります。したがって、低血糖には細心の注意を払う必要があります。糖尿病治療において、血糖値を適切な範囲内に保つことが重要ですが、過度な血糖降下は避けなければなりません。特に、インスリン療法や一部の経口血糖降下薬を使用している患者さんは低血糖のリスクが高くなるため、定期的な血糖モニタリングや適切な食事管理、運動と薬物療法のバランスを取ることが重要です。また、患者さん自身が低血糖の症状を認識し、対処法を知っておくことも、安全な糖尿病管理において不可欠です。
低血糖の症状について
低血糖の症状は個人によって異なりますが、一般的に初期症状から重症化までの段階があります。多くの場合、低血糖の初期症状として動悸、発汗、手の震えが現れます。これらの症状は、体が血糖値の低下を感知し、アドレナリンなどのホルモンを分泌することで生じます。また、空腹感、めまい、頭痛、集中力の低下なども初期症状として現れることがあります。これらの初期症状は、体が低血糖を警告するサインであり、迅速に対処することで重症化を防ぐことができます。しかし、低血糖が進行すると、より深刻な症状が現れる可能性がありますので油断してはいけません。
低血糖が重症化した場合、意識障害や昏睡といった危険な状態に陥ることがあります。また、意識障害の前段階では、異常な行動、言動の混乱、視力障害などが現れることがあります。さらに重症化すると、痙攣や昏睡状態に至る可能性もあり、生命に関わる危険な状況となります。したがって、低血糖の症状を絶対に放置してはいけません。
無自覚低血糖について
無自覚低血糖(むじかくていけっとう)は、低血糖を繰り返すことで、通常の低血糖症状を自覚できなくなった状態を指します。この状態は、特に糖尿病患者にとって危険な合併症の一つです。無自覚低血糖の主な特徴:
1. 症状の欠如:血糖値が低下しても、発汗、動悸、震え、不安などの典型的な低血糖症状が現れません。
2. 危険性:症状を感じないため、適切な対処が遅れ、重度の低血糖に陥るリスクが高まります。
3. 発生メカニズム:頻繁な低血糖により、体が低血糖状態に順応してしまい、通常の警告信号が鈍くなります。
4. 対処の困難さ:症状を自覚できないため、血糖値の急激な低下を見逃す可能性が高くなります。
無自覚低血糖への対応:
・定期的な血糖自己測定を行い、血糖値の変動を把握することが重要です。
・一定期間、低血糖を起こさないよう血糖コントロールを行い、体を再度低血糖に反応させる必要があります。
・家族や周囲の人に状況を説明し、低血糖の兆候に気づいてもらうよう協力を求めることが大切です。
低血糖で注意すべきは、症状に個人差があることです。同じ血糖値でも、ある人は強い症状を感じる一方で、別の人はほとんど症状を感じない場合があります。また、長年糖尿病を患っている人や頻繁に低血糖を経験している人では、低血糖に対する身体の反応が鈍くなり、初期症状を感じにくくなることがあります。そのため、糖尿病患者さんは自身の低血糖症状のパターンを把握し、定期的に血糖値をチェックすることが重要です。
低血糖の主な原因について
低血糖は、糖尿病治療と生活習慣の両面に関連しています。最も一般的な原因の一つは、インスリン注射や血糖降下薬の使用です。これらの薬剤は血糖値を下げる目的で使用されますが、適切な量を超えて投与された場合や、食事量と合わないタイミングで使用された場合に低血糖を引き起こす可能性があります。
特に、インスリン療法を受けている1型糖尿病患者さんや、スルホニル尿素薬などの強力な血糖降下薬を使用している2型糖尿病患者さんは、低血糖のリスクが高くなります。次に、食事量の不足や運動量の増加も、低血糖の重要な要因となります。具体的には、通常の食事量よりも少ない場合や食事を抜いた場合、体内の血糖値が低下しやすくなります。
また、予想以上に激しい運動や長時間の運動を行った場合も、体内のブドウ糖が急速に消費され、低血糖を引き起こす可能性があります。特に、インスリンや血糖降下薬を使用している患者さんが運動量を急に増やした場合、低血糖のリスクが高まりますので注意が必要です。なお、アルコール摂取も低血糖の原因となることがあります。アルコールは肝臓でのブドウ糖産生を抑制し、血糖値を低下させる作用があります。特に、食事を十分に摂らずにアルコールを飲む場合や、大量に飲酒する場合は注意が必要です。これらの要因は単独で作用することもありますが、複数の要因が重なって低血糖を引き起こすこともあります。
例えば、薬の過量投与と食事量の不足が重なったり、運動量の増加とアルコール摂取が組み合わさったりすることで、低血糖のリスクが高まります。そのため、糖尿病患者さんは自身の治療内容や生活習慣を十分に理解し、これらの要因のバランスを適切に管理することが重要です。
低血糖状態になった時の対処法
低血糖の症状が現れた際、まずは意識の有無を確認し、状況に応じて適切な対応をとる必要があります。ここでは、「意識がある場合」と「意識が朦朧としている場合」の2つのシナリオに分けて、具体的な対処法を紹介します。
<意識がある場合>
意識がある状態で低血糖症状が現れた場合、速やかに血糖値を上昇させることが重要です。まず、ブドウ糖10gまたは砂糖10g、あるいはブドウ糖を含むジュース150〜200mLを摂取します。これらの糖分は速やかに吸収され、血糖値の上昇を促します。ただし、ブドウ糖や砂糖以外の糖分は効果が現れるまでに時間がかかるため、避けるべきです。そして次に、摂取後15分経過しても症状が改善しない、または血糖値が60mg/dL以下の場合は、同量の糖分を再度摂取します。それでも回復が見られない場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。
なお、特に注意が必要なのは、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している患者さんです。この薬剤は多糖類の分解・吸収を抑制するため、砂糖などでは低血糖への対処として効果がありません。そのため、必ずブドウ糖を携帯しておくことが重要です。低血糖への対処を効果的に行うためには、日頃から準備をしておくことが大切です。ブドウ糖や砂糖を常に携帯し、定期的に血糖値をチェックする習慣をつけてください。また、家族や周囲の人々にも低血糖の症状と対処法を理解してもらい、必要な際にサポートを受けられるようにしておくことが重要です。
<意識が朦朧としている場合>
意識が朦朧としている、または自分で対応できない重度の低血糖状態の場合は、周囲の人の助けが不可欠です。この状況では、患者さん自身がブドウ糖を摂取することが困難なため、家族や周囲の人が適切な対応をとる必要があります。まず、ブドウ糖や砂糖を患者さんの口に含ませたり、飲み込むことが難しい場合は、口唇や歯肉に塗りつけるなどの応急処置を行います。これにより、少量でも糖分が吸収され、血糖値の上昇が期待できます。さらに、より効果的な対処法として、グルカゴン注射があります。グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンです。
1バイアル(1mg)を筋肉内または皮下に注射することで、速やかに血糖値を上昇させることができます。特に1型糖尿病患者さんや重篤な低血糖のリスクが高い患者さんには、医師からグルカゴン注射が処方され、使用方法が説明されます。なお、これらの応急処置を行った後は、速やかに主治医に連絡を取るか、または救急医療機関を受診することが重要です。重度の低血糖は生命に関わる可能性があるため、専門的な医療処置が必要となる場合がありますので、ご注意ください。低血糖状態に対処するためには、日頃から、家族や周囲の人々に低血糖の症状と対処法について理解してもらい、グルカゴン注射の使用方法やブドウ糖の保管場所を共有しておくことが大切です。また、患者さん自身も定期的に血糖値をチェックし、低血糖のリスクが高まる状況(食事の遅れ、激しい運動後など)に注意を払うことが重要です。適切な準備と周囲の理解があれば、重度の低血糖にも迅速かつ効果的に対応することができます。
低血糖の予防方法について
低血糖の予防は、糖尿病管理において非常に重要な要素です。その中でも、規則正しい食事は低血糖予防の基本となります。食事を抜いたり、食事時間が大幅に遅れたりすることで血糖値が急激に低下する可能性があるため、一日三食を定時に摂ることが推奨されます。また、長時間の活動や就寝前には、適度な間食を取ることで夜間や早朝の低血糖を予防できます。ただし、間食の量や内容は個々の治療計画に応じて調整する必要があります。なお、運動は血糖コントロールに有効ですが、低血糖のリスクも伴います。
したがって運動時は、その強度や持続時間に応じて事前に血糖値をチェックし、必要に応じて補食を摂るなどの対策が重要です。特に、インスリン注射や血糖降下薬を使用している場合は、運動のタイミングや薬の投与量を調整することが必要になる場合があります。また、長時間の運動や激しい運動を行う際は、運動中や運動後の低血糖にも注意が必要です。
さらに、万が一の低血糖に備えて、常にブドウ糖や砂糖を携帯することも重要な予防策です。特に外出時や運動時には、すぐに摂取できるよう準備しておくことが大切です。ブドウ糖タブレットやジュースなど、速やかに吸収される形態の糖分を選ぶことが推奨されます。
特殊な状況での低血糖対策
特殊な状況下での低血糖は、より危険を伴うため、適切な対策が不可欠です。ここでは、夜間、車の運転中、アルコール摂取時における低血糖のリスクと対策について詳しく解説します。これらの状況を理解し、適切な対応を取ることで、安全な日常生活を送ることができます。
<夜間低血糖>
夜間低血糖は、睡眠中に発生するため特に危険です。睡眠中は身体の反応が鈍くなり、低血糖の症状に気づきにくくなります。また、長時間の空腹状態や、日中の激しい運動の影響が夜間に現れることもありますので注意が必要です。夜間低血糖の対策としては、就寝前に血糖値をチェックし、必要に応じて軽い間食を摂ることが効果的です。特に、インスリン注射をしている場合は、夕方や就寝前のインスリン量を調整することも考慮すべきです。また、継続的な血糖モニタリングシステムの使用も、夜間低血糖の早期発見と予防に役立ちます。さらに、家族にも夜間低血糖の危険性を理解してもらい、異常に気づいた際の対応方法を共有しておくことも重要です。
<車の運転中の低血糖>
車の運転中の低血糖は、事故につながる可能性が高いため極めて危険です。運転前には必ず血糖値をチェックし、低血糖の兆候がある場合は運転を控えるべきです。特に長距離ドライブの際は、定期的に休憩を取り、血糖値の確認と必要に応じた補食を行うことが重要です。また、車内には常にブドウ糖や速やかに吸収される糖分を含む食品を備えておくことも大切です。さらに、低血糖症状を感じた場合は、直ちに安全な場所に車を停め、適切な処置を行うことが必要です。なお、同乗者がいる場合は、自身が糖尿病であることを伝え、低血糖時のサポートを依頼しておくことも有効な対策となります。運転中の低血糖は判断力や反応速度を低下させるため、常に注意を払い、安全運転を心がけることが重要です。
<アルコール摂取時>
アルコールは肝臓でのブドウ糖産生を抑制するため、特に空腹時の飲酒は危険です。また、アルコールの影響で低血糖症状に気づきにくくなることもありますので注意が必要です。アルコール摂取時の対策としては、飲酒時には必ず食事を摂ることが重要です。特に炭水化物を含む食事を一緒に取ることで、血糖値の急激な低下を防ぐことができます。また、飲酒量を控えめにし、血糖値の変動に注意を払うことも大切です。さらに飲酒後は、就寝前と翌朝の血糖値チェックを忘れずに行い、必要に応じて補食を摂ることが推奨されます。アルコールの影響は個人差が大きいため、自身の反応を把握し、適切な対策を講じることが重要です。
特殊な状況下での低血糖対策は、日常生活の中で意識的に取り入れることが重要です。個々の生活スタイルや治療法に合わせて、医療チームと相談しながら最適な対策を見出していくことが、安全で快適な生活を送るための鍵となります。常に注意を払い、適切な準備と対応を心がけることで、特殊な状況下でも低血糖のリスクを最小限に抑えることが可能です。
周囲で誰かが低血糖状態になった時の対応方法
ここでは、低血糖状態に陥った際の対応方法について3つの側面から詳しく説明します。
<意識障害時の対応>
低血糖による意識障害は緊急事態であるため、迅速かつ適切な対応が求められます。まず、患者さんの安全を確保することが重要です。転倒や怪我を防ぐため、患者さんを安全な場所に移動させ、横たわらせます。そして意識がある程度あり、飲み込む力がある場合は、ブドウ糖や砂糖水など、速やかに吸収される糖分を摂取させます。
ただし、完全に意識がない場合や飲み込む力が弱い場合は、窒息の危険があるため、絶対に口から何かを与えてはいけません。完全に意識がない場合や飲み込む力が弱い場合は、患者さんの頬の内側や歯茎にブドウ糖ゲルや砂糖を塗り、ゆっくりと吸収させてください。この方法は、窒息のリスクを軽減しつつ、少量の糖分を体内に取り入れることができます。なお、意識障害時は、患者さんの呼吸と脈拍を確認し、必要に応じて心肺蘇生法を開始することも重要です。また、他の人に救急車の要請を依頼するなど、迅速な医療介入を求めることも不可欠です。患者さんの回復後も、再度低血糖に陥る可能性があるため、医療機関での診察を受けるまで患者さんのそばを離れず、状態を注意深く観察し続けることが重要です。
<グルカゴン注射の使用方法>
グルカゴン注射は、重度の低血糖時に血糖値を急速に上昇させる効果的な手段です。しかし、その使用方法を正しく理解し、適切に実施することが重要です。まず、グルカゴンキットの内容物を確認します。通常、粉末の入ったバイアルと、希釈液の入ったシリンジが含まれています。使用手順は以下の通りです。
・まず、シリンジ内の希釈液を粉末の入ったバイアルに注入します。そしてバイアルを軽く振って、粉末を完全に溶解させます。
・次に、溶解した液体をシリンジに吸い戻します。そして空気を抜き、適切な量を準備します。
準備が整いましたら次は注射です。注射部位は、上腕、大腿、または臀部の皮下や筋肉内が適しています。アルコール綿で注射部位を消毒し、皮膚をつまんで注射針を刺し、ゆっくりと溶液を注入します。そして注射後は、患者さんを横向きに寝かせ、窒息を防ぐ姿勢を取らせます。なお、グルカゴン注射後、通常10〜15分程度で意識が回復し始めますので、意識が戻ったら、経口で糖分を摂取させ、血糖値の安定を図ります。ただし、グルカゴン注射の効果は一時的であるため、必ず医療機関での診察を受けることが重要です。また、使用後は医療従事者に報告し、新しいグルカゴンキットを入手する必要があります。
<医療機関への連絡のタイミング>
低血糖状態での医療機関への連絡は、状況の重症度と患者さんの反応に応じて判断する必要があります。基本的には、低血糖症状が現れた時点で、できるだけ早く医療機関に連絡することが望ましいです。特に、以下のような状況では、直ちに救急医療サービスを要請すべきです。
・患者さんが意識を失っている、または意識が朦朧としている場合
・グルカゴン注射を実施した場合
・糖分の摂取やグルカゴン注射後も症状が改善しない、または再び悪化する場合
・患者さんが一人で対応できない状況や、繰り返し低血糖を起こしている場合
・低血糖の原因が不明な場合や、通常とは異なる症状が現れた場合
医療機関に連絡する際は、患者さんの状態、行った対応、血糖値(測定できる場合)などの情報を正確に伝えることが重要です。また、患者さんの糖尿病治療歴や使用している薬剤についての情報も、可能な限り提供することが望ましいです。これらの情報は、医療従事者が適切な処置を判断する上で非常に重要となります。低血糖への対応は、迅速さと適切さが求められる重要な場面です。周囲の人々が正しい知識と冷静な判断力を持つことで、患者さんの生命を守り、深刻な合併症を防ぐことができます。
低血糖を恐れずに適切な糖尿病管理を心がけましょう
適切な糖尿病管理のためには、定期的な血糖測定が不可欠です。これにより、自身の血糖値の傾向を把握し、低血糖のリスクを最小限に抑えながら、良好な血糖コントロールを維持することができます。また、日々の生活習慣の中で、食事、運動、服薬などを適切に管理することも重要です。これらの自己管理を通じて、自分の体調の変化に敏感になり、低血糖の前兆を早期に察知する能力も養われていきます。しかし、糖尿病管理は決して患者さん一人で抱え込むものではありません。定期的に医療機関を受診し、かかりつけ医と密接に連携を取ることで、より安全で効果的な糖尿病管理が可能となります。したがって、定期的に医療機関を受診してください。なお、当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2025.02.05
糖尿病の大血管合併症:動脈硬化から心筋梗塞・脳梗塞まで解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「大血管合併症」について解説していきます。後半部分では、「大血管合併症の治療方法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
糖尿病の大血管合併症とは?
大血管障害が起こる原因
大血管障害の診断と予防
大血管合併症の治療方法
大血管障害と他の糖尿病合併症の関連
大血管障害について不安な方はいつでもご相談ください
糖尿病の大血管合併症とは?
大血管合併症とは、主に動脈硬化が原因で心臓、脳、または末梢の大きな血管に生じる障害を指します。これらの血管は、体の主要な部分に血液を供給する重要な役割を担っています。
糖尿病患者では、長期にわたる高血糖状態によって血管内皮細胞の機能が低下し、動脈硬化が促進されます。
また、糖尿病に伴う脂質異常症や高血圧も動脈硬化を加速させる要因となります。これらの要因が複合的に作用することで、大血管合併症のリスクが高まります。そして一般的に、糖尿病患者は非糖尿病者と比較して、大血管合併症の発症リスクが2〜4倍高いことが知られています。
このリスクの上昇は、糖尿病の罹患期間や血糖コントロールの状態、その他の危険因子(喫煙、肥満、高血圧など)の有無によって変動するため、注意が必要です。なお、大血管合併症は主に3つの主要な疾患群に分類されます。それぞれの特徴と影響について説明します。
<虚血性心疾患>
虚血性心疾患は、冠動脈の動脈硬化により心筋への血流が減少することで引き起こされます。主な症状として、胸痛や息切れが挙げられますが、糖尿病患者では神経障害の影響で痛みを感じにくいことがあるため、無症状で進行することもあります。
代表的な疾患には狭心症と心筋梗塞があり、狭心症は一時的な心筋虚血、心筋梗塞は持続的な虚血による心筋細胞の壊死を特徴とします。なお、診断には心電図、心エコー、冠動脈造影などが用いられ、治療法としては薬物療法、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)などがあります。ただし、糖尿病患者では、血糖コントロールに加えて、脂質異常症や高血圧の管理も重要です。また、定期的な心機能検査を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
<脳血管疾患>
脳血管疾患には、主に脳梗塞と脳出血が含まれます。脳梗塞は脳の血管が詰まることで引き起こされ、脳出血は血管が破れることで発生します。脳血管疾患は、突然の麻痺、言語障害、視覚異常、めまい、激しい頭痛などの症状が現れる可能性があります。
また、糖尿病患者では、高血糖による血管内皮細胞の障害や血液凝固能の亢進により、脳血管疾患のリスクが高まりますので注意が必要です。なお、脳血管疾患の診断にはCTやMRI、脳血管造影などの画像検査が用いられます。
治療法は発症からの時間や症状の程度によって異なりますが、急性期には血栓溶解療法や血管内治療が行われることがあります。
<末梢動脈疾患>
末梢動脈疾患(PAD)は、主に下肢の動脈が狭窄または閉塞することで引き起こされます。典型的な症状として、間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる歩行時の下肢の痛みや冷感、色調変化、潰瘍形成などが挙げられます。末梢動脈疾患は重症化すると、安静時疼痛や壊疽により下肢切断のリスクも高まります。また、糖尿病患者では高血糖による血管障害に加え、末梢神経障害によって痛みを感じにくくなり、無自覚のまま病態が進行することがあります。なお、末梢動脈疾患の診断には足関節上腕血圧比(ABI)の測定や超音波検査、CT・MR血管造影などが用いられます。そして治療では、運動療法や薬物療法、重症例では血管内治療や外科的血行再建術が行われます。
これらの大血管合併症は、糖尿病患者のQOL(生活の質)や生命予後に大きな影響を与える可能性があるため、適切な血糖コントロールや生活習慣の改善、定期的な検査による早期発見・早期治療が重要です。
大血管障害が起こる原因
大血管合併症の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っています。最も重要な原因は、長期にわたる高血糖状態です。高血糖は血管内皮細胞の機能を低下させ、動脈硬化を促進します。具体的には、高血糖によって活性酸素種(ROS)の産生が増加し、血管内皮細胞に障害や炎症反応を引き起こします。
また、糖化最終産物(AGEs)の蓄積も血管壁の構造を変化させ、動脈硬化を加速させます。さらに、インスリン抵抗性も重要な要因です。インスリン抵抗性は脂質代謝異常を引き起こし、LDLコレステロールの増加やHDLコレステロールの低下をもたらします。これらの脂質異常症も動脈硬化の進行を促進します。
加えて、糖尿病に伴う高血圧も血管壁への負担を増大させ、動脈硬化を悪化させる要因となります。なお、これらの糖尿病特有の要因に加え、一般的な動脈硬化の危険因子も大血管合併症の発症に関与します。例えば、喫煙、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣関連因子や、年齢、性別、遺伝的素因といった非修正可能な因子も重要です。
特に、これらの要因が複数重なることで、相乗的に大血管合併症のリスクが高まります。したがって、大血管合併症の予防と管理には、血糖コントロールだけでなく、総合的な生活習慣の改善や各種危険因子の適切な管理が不可欠です。
大血管障害の診断と予防
大血管障害は糖尿病患者の生命予後に大きく影響する合併症です。そのため、早期発見と適切な予防策が重要となります。ここでは、大血管障害の診断方法と効果的な予防策について詳しく解説します。
<大血管障害の診断と予防についての概要>
大血管障害の診断は、症状の有無にかかわらず定期的な「スクリーニング検査」から始まります。心臓、脳、末梢動脈それぞれに対して適切な検査が選択されます。予防においては、血糖値と血圧の厳格なコントロールに加えて、生活習慣の改善も重要な柱となります。なお、生活習慣の改善には食事療法、運動療法、禁煙などが含まれます。また、必要に応じて薬物療法も導入されます。
<心臓・脳・末梢動脈に対する検査方法>
心臓については、心電図検査、心エコー、負荷心電図、冠動脈CT、心筋シンチグラフィーなどが用いられます。脳に関しては、頭部MRI/MRA、頸動脈エコーなどが主な検査方法です。そして、末梢動脈疾患の診断には、ABI(足関節上腕血圧比)測定、下肢動脈エコー、CT血管造影などが活用されます。これらの検査を定期的に受けることで、無症状の段階から病変を発見し、早期介入につなげることができます。
<血糖値と血圧の適切な管理方法>
血糖管理では、HbA1c値を指標とし、個々の患者の状態に応じた目標値を設定します。一般的には7.0%未満を目指しますが、年齢や合併症の有無により調整します。また、血圧管理の目標は130/80mmHg未満とされていますが、これも個別化が必要です。なお、両者の管理には、生活習慣の改善と適切な薬物療法の組み合わせが効果的です。定期的な自己測定と医療機関での評価を行い、必要に応じて治療内容を調整していきます。
<生活習慣改善(食事、運動、禁煙)と予防のための薬物療法>
食事療法では、適正なカロリー摂取と栄養バランスの改善が重要です。特に、脂質や塩分の摂取量に注意を払う必要があります。次に、運動療法は、有酸素運動を中心に週150分以上の実施が推奨されます。また、生活習慣の改善には禁煙が欠かせません。禁煙は大血管障害予防において非常に重要な要素であるため、必要に応じて禁煙補助薬の使用も考慮します。なお、薬物療法としては、抗血小板薬、スタチン、降圧薬などが用いられます。これらは、個々の患者のリスク因子に応じて選択されます。
大血管合併症の治療方法
糖尿病における大血管合併症の治療は、患者の状態や合併症の進行度に応じて、薬物療法から外科的治療まで多岐にわたります。治療の基本は、血糖コントロールの改善と心血管イベントのリスク因子の管理です。これらに加えて、合併症の種類や重症度に応じた特異的な治療が行われます。ここでは、薬物療法、外科的治療、リハビリテーションについて詳しく説明します。
<薬物療法>
薬物療法は大血管合併症の予防と治療の両面で重要な役割を果たします。例えば、抗血小板薬は血栓形成を抑制し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを低下させます。そして、脂質異常症治療薬、特にスタチン系薬剤は、LDLコレステロールを低下させ動脈硬化の進行を抑制します。さらに、降圧薬や血糖降下薬も併用され、総合的なリスク管理が行われます。なお、これらの治療薬は一次予防(合併症発症前)、二次予防(合併症発症後)の両方で有効性が示されています。
<外科的治療>
大血管合併症が進行した場合、外科的治療が必要となることがあります。冠動脈疾患に対しては、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)やステント留置術が行われます(より重症例では冠動脈バイパス術も選択肢となります)。脳血管疾患に対しては、頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術が行われることがあります。また、末梢動脈疾患では、血管形成術やバイパス術が実施されます。これらの治療法は、症状の改善と長期的な予後の向上を目的としています。
<リハビリテーション>
外科的治療後や急性期治療後のリハビリテーションは、機能回復と再発予防に重要な役割を果たします。例えば、心臓リハビリテーションでは、運動療法を中心に、患者教育や生活指導が包括的に行われます。これにより、心機能の回復だけでなく、再発予防や生活の質の向上も図ることができます。なお、脳卒中後のリハビリテーションでは、機能回復訓練や日常生活動作の訓練が重点的に行われます。また、末梢動脈疾患に対しても、適切な運動療法が実施されます。リハビリテーションは、身体機能の改善だけでなく、患者の自己管理能力の向上にも貢献します。
大血管合併症の治療においては、これらの治療法を適切に組み合わせ、個々の患者の状態に応じた最適な治療計画を立てることが重要です。また、治療と並行して、生活習慣の改善や定期的な検査によるフォローアップも欠かせません。継続的な血糖管理と併せて、総合的なアプローチを行うことで、大血管合併症の進行を抑制し、患者のQOLと生命予後の改善を目指します。
大血管障害と他の糖尿病合併症の関連
糖尿病における大血管障害は、単独で発症するわけではなく、他の糖尿病合併症と密接に関連しています。特に、細小血管症や神経障害との相互作用は重要です。まず、細小血管症との関連を考えると、網膜症、腎症、神経障害などの細小血管合併症は、大血管障害の進行を加速させる因子となります。
例えば、糖尿病性腎症による慢性腎臓病は、動脈硬化を促進し、心血管イベントのリスクを高めます。また、網膜症の存在は、冠動脈疾患や脳卒中のリスク上昇と関連しています。これは、網膜血管の変化が全身の血管状態を反映しているためと考えられます。
一方で、大血管障害も細小血管症の進行に影響を与えます。大血管の動脈硬化は、臓器への血流を低下させ、細小血管障害をさらに悪化させる可能性があります。さらに神経障害との関係も重要です。自律神経障害は心血管系に直接的な影響を与え、心拍変動の低下や起立性低血圧などを引き起こし、心血管イベントのリスクを高めます。
なお、末梢神経障害は足の感覚低下をもたらし、気づかないうちに足の傷が悪化し、末梢動脈疾患と相まって重篤な足病変を引き起こす可能性があります。これらの合併症は相互に影響し合い、複雑な病態を形成します。したがって、大血管障害の管理においては、他の糖尿病合併症の存在や進行度を考慮した総合的なアプローチが必要です。早期からの適切な血糖コントロールと、各合併症に対する定期的なスクリーニングと管理が、合併症の進行予防と患者のQOL維持に重要な役割を果たします。
大血管合併症について不安な方はいつでもご相談ください
大血管合併症は深刻な問題ですが、適切な健康管理と予防策を講じることで、その発症リスクを大幅に低減できます。したがって、総合的な健康管理と自己管理を徹底してください。健康管理では、血糖値のコントロールはもちろんのこと、適切な食事療法、運動療法、そして必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、合併症の予防や進行の抑制に大きな効果が期待できます。
また、定期的な検診や自己管理の習慣化は、早期発見・早期治療にもつながります。さらに、禁煙や適度な飲酒、ストレス管理なども、大血管合併症の予防に寄与します。
これらの生活習慣の改善は、単に糖尿病の管理だけでなく、全体的な健康状態の向上にもつながりますので、積極的に行ってください。
なお、当院では、患者一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2025.02.05
血糖コントロールの基本と実践的な改善方法|糖尿病患者向けガイド
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「血糖コントロール」について解説していきます。後半部分では「食事療法」と「運動療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
血糖コントロールとは?
血糖コントロール不良が引き起こす合併症リスク
食事療法と運動療法で実践する血糖コントロール
インスリンと経口薬による薬物療法の基礎知識
血糖自己測定と定期検査で血糖を上手にコントロールしましょう
血糖コントロールとは?
血糖コントロールとは、高血糖を改善し、可能な限り正常な血糖値に近づけることを指します。血糖コントロールの柱となるのは、食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。そして、血糖コントロールの大切な指標としてHbA1c(ヘモグロビンA1c)があります。日本糖尿病学会では2012年4月1日より、HbA1cの表記をHbA1c(JDS値)からHbA1c(NGSP値)に統一し、HbA1c(NGSP値)が6.5%以上であれば糖尿病型と診断する基準としています。なお、血糖コントロールの目標は、すべての患者さんに一律に設定されるものではありません。むしろ、個々の患者さんの状況に応じて、慎重に設定する必要があります。特に、以下の要因を考慮することが重要です。
<年齢>
若年者や中年者では、将来の合併症リスクを考慮して、より厳格な血糖コントロールが求められることがあります。一方、高齢者では低血糖のリスクを避けるため、やや緩やかな目標設定が適切な場合があります。
<合併症の有無>
すでに重度の合併症(例:進行した網膜症や腎症)がある場合、急激な血糖改善によって症状が悪化する可能性があるため、緩やかな血糖コントロールが推奨されることがあります。なお、合併症がない、または軽度の場合は、より厳格なコントロールが望ましいです。
<罹病期間>
血糖コントロールでは、糖尿病と診断されてからの期間も考慮します。初期段階では厳格なコントロールが有効ですが、長期罹患者では個々の状況に応じた柔軟な対応が必要です。
<低血糖のリスク>
低血糖を起こしやすい患者さん(例:インスリン治療中、腎機能低下、高齢者)では、低血糖を避けるためにやや高めの目標設定が必要な場合があります。
具体的な数値目標としては、一般的にはHbA1c値7%未満を目指しますが、上記の要因を考慮して6.0%~8.0%の範囲で個別に設定されることが多いです。血糖コントロールは単に数値を下げることだけが目的ではなく、患者さん一人ひとりの状況に合わせた、きめ細やかな対応が求められます。
血糖コントロール不良が引き起こす合併症リスク
高血糖が持続すると、血管に障害を引き起こし、血液循環が悪化します。これにより、心臓病や脳卒中のリスクが増大します。また、高血糖は神経にも影響を及ぼし、末梢神経障害や神経痛を引き起こすことがあります。さらに、高血糖は眼にも悪影響を与え、網膜症や失明の原因となることがあります。このように、糖尿病は体内のさまざまな部位に悪影響を及ぼし、合併症を引き起こす要因となります。そのため、早期の血糖管理と定期的な健康チェックが重要です。糖尿病の症状に心当たりがある方、または検診などで血糖値に異常を指摘された方は、速やかに医療機関を受診してください。
食事療法と運動療法で実践する血糖コントロール
血糖コントロールにおいて、食事療法と運動療法は非常に重要な役割を果たします。以下で、食事療法と運動療法について具体的に説明します。
【食事療法と運動療法で実践する血糖コントロール1】食事療法
食事療法とは、食事の内容や摂取方法を調整することで、症状の改善を目指す治療法です。食事療法の主な目的は、血糖値の急激な上昇を防ぎ、体重を適正に保ち、必要な栄養素をバランスよく摂取することです。そのため、食事療法では個々の患者さんの状態に応じて、適切なカロリー摂取量と栄養バランスを設定します。栄養バランスを考えた食材には、以下のものがあります。
<きのこ類>
きのこは低カロリーで食物繊維が豊富です。食物繊維は糖の吸収を遅らせるため、血糖値の上昇を抑制します。さらに、きのこに含まれるβ-グルカンは胃や腸で膨らみ、満腹感を得やすくし、お通じの調子も整えます。したがって糖尿病予防には、きのこ類を積極的に摂取することがお勧めです。
<緑黄色野菜>
緑黄色野菜は低カロリーで食物繊維が豊富なうえ、糖質や脂質の代謝に必要なビタミンやミネラルも多く含んでいます。特にブロッコリーや小松菜には、糖の代謝を促進する葉酸が豊富です。したがって野菜を選ぶ際は、緑黄色野菜を中心に摂取してください。ただし、南瓜やれんこん、芋類は糖質が多いため食べ過ぎには注意が必要です。
<大豆製品(高野豆腐)>
高野豆腐にはレジスタントプロテインが含まれており、これは食物繊維と似た働きをします。レジスタントプロテインは糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぎます。したがって、高野豆腐を積極的に食事に取り入れてください。
<玄米や胚芽米>
玄米や胚芽米にはクロムというミネラルが含まれています。クロムはインスリンが糖を細胞に取り込む際に助けとなり、インスリンの働きをスムーズにします。そのため、白米の代わりに玄米や胚芽米を選ぶことで、血糖値の管理がしやすくなります。
<魚>
アジ、さば、さんまなどの青魚には、インスリン分泌を改善する脂肪が豊富に含まれています。特に、これらの魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、抗炎症作用があり、インスリンの感受性を高める効果があります。これにより血糖値の管理が容易になり、糖尿病予防に役立ちます。また、EPAとDHAは心血管の健康にも寄与するため、全身の健康維持にも効果的です。青魚を定期的に摂取することで、これらの健康効果を得ることができます。
食事療法では、食べ方も重要です。適切な摂取方法を心がけることで、血糖値のコントロールや体重の管理が促進されます。以下、食事の摂り方のポイントです。
<ゆっくり食べる>
急いで食事をすると、食べすぎの原因となるだけでなく、血糖値の急激な上昇をもたらす可能性があります。食事をゆっくりと楽しむことで、適切な量を摂取しやすくなります。
<野菜類から食べる>
食事を始める際は、野菜類から摂ることが重要です。野菜や豆類を最初に摂ることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにし、食事全体のカロリー摂取量を調整することができます。
<規則正しい食事を心がける>
日々の食事を3食、規則正しく摂ることが重要です。不規則な食事や食事を抜くことは血糖値の乱れを招きやすく、糖尿病のリスクを高めますので、ご注意ください。
<よく噛んで食べる>
食事をゆっくり噛むことで、満腹感を早く感じることができます。十分に噛んで食べる習慣を身につけてください。
<腹八分目>
食べ過ぎは血糖値の乱れや肥満の原因となります。食事を摂る際は腹八分目に留め、適度な量を摂取してください。
【食事療法と運動療法で実践する血糖コントロール2】運動療法
運動療法とは、運動を治療手段とした医療技術です。運動療法は、体内のインスリンの効率的な利用を促進し、筋肉が血糖を取り込むのを助けます。また、運動によって体重が減少し、肥満や過体重のリスクが低下します。そのため、インスリン抵抗性が改善され、糖尿病の発症リスクが軽減されます。さらに、運動は心血管の健康にも寄与します。血圧やコレステロール値の改善が期待できるため、糖尿病に関連する心血管疾患のリスクを低減します。また、運動はストレスの軽減にも効果があります。ストレスは血糖値の上昇に繋がるため、精神的な健康を保つことも糖尿病予防に重要です。このように、運動は血糖値管理、心血管の健康向上、ストレス軽減など、さまざまな面から糖尿病予防に役立ちます。なお、血糖コントロールに効果的な運動には、「有酸素運動」と「レジスタンス運動」があります。
<有酸素運動>
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに酸素を使う運動のことです。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが一般的な有酸素運動の例になります。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。なお、一般的に「週150分以上」の有酸素運動が推奨されています。この目標に向かって努力することで、健康的な生活習慣を築くことができます。
<レジスタンス運動>
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動のことです。ウエイトトレーニング、体幹トレーニング、ゴムチューブを使ったエクササイズなどがレジスタンス運動の例になります。レジスタンス運動は、筋肉量を増やし、血糖値の管理をサポートするのに役立ちます。また、筋力トレーニングは骨密度を向上させ、骨粗鬆症のリスクを減らすのにも効果的です。そのため、糖尿病予防に極めて効果的な運動だと考えられています。なお、レジスタンス運動は、筋肉量の増加、筋力の向上、筋持久力の向上を促す筋力トレーニングとして、高齢者からアスリートまで広く行われています。
インスリンと経口薬による薬物療法の基礎知識
「食事療法」や「運動療法」は糖尿病管理の基本ですが、これらだけでは十分な血糖コントロールが困難な場合があります。そのようなケースでは、医師の判断のもと薬物療法を導入します。薬物療法は主に「経口血糖降下薬」と「インスリン注射」の2種類に大別されます。経口血糖降下薬は、通常、2型糖尿病の患者さんに対して使用されます。一方、インスリン注射は1型糖尿病の患者さんにとっては必須の治療法です。また、2型糖尿病の患者さんでも、経口血糖降下薬で十分な効果が得られない場合や、特定の状況(例:重症感染症、手術前後、妊娠中など)では使用されます。以下で、経口血糖降下薬とインスリン注射の詳細を解説します。
経口血糖降下薬
血糖値を下げる飲み薬のことを「経口血糖降下薬(けいこうけっとうこうかやく)」と呼びます。経口血糖降下薬は、その作用から大きく分けて3種類に分類されます。以下をご覧ください。
【経口血糖降下薬の種類1】インスリン抵抗性改善系
インスリン抵抗性改善系は、主に脂肪組織に働きかけ、脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させます。その名の通り「インスリン抵抗性」を改善することで血糖を下げる薬です。以下、インスリン抵抗性改善系の薬です。
<ビグアナイド薬>
ビグアナイド薬(例:メトホルミン)は、肝臓での糖新生を抑制し、筋肉での糖取り込みを促進します。低血糖を起こしにくい、体重増加が少ないといった特徴があり、欧米では第一選択薬として利用されています。
<グリミン薬>
グリミン薬は、血糖値に応じて膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。また、肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖が取り込まれるのを改善してインスリンの効果を高めたりします。
<チアゾリジン薬>
チアゾリジン薬は、肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬です。インスリンに対する体の感受性を高めることで血糖値を下げます。
【経口血糖降下薬の種類2】インスリン分泌促進系
インスリン分泌促進系は、膵臓の「β細胞(べーたさいぼう)」に作用してインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。簡単にご説明すると「インスリンを出しやすくする薬」になります。以下、インスリン分泌促進系の薬です。
<GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬>
GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促し血糖値を下げる薬です。膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。そして血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。
<スルホニル尿素薬>
スルホニル尿素薬は、膵臓からのインスリンの分泌を増やし血糖を下げる飲み薬です。膵臓のインスリンを作る働きがある程度、残っている患者さんで効果があります。
<速効型インスリン分泌促進薬>
速効型インスリン分泌促進薬は、インスリン分泌のスピードを早めて、食後の血糖の上昇を抑える働きがあります。そのためインスリンをすばやく分泌させることで食後高血糖を改善することから、インスリン分泌パターンの改善薬ともいえます。なお、食後のインスリン分泌量を増加させる作用は「スルホニル尿素薬」に比べて弱くなっています。
【経口血糖降下薬の種類3】糖吸収・排泄調節系
糖吸収・排泄調節系は、糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬です。簡単にご説明すると「糖の吸収をゆっくりにして、血糖の急な上昇を抑える薬」になります。なお、糖吸収・排泄調節系の薬には、体に取り込んだ糖を尿中に出させる効果もあります。以下、糖吸収・排泄調節系の薬です。
<α-グルコシダーゼ阻害薬>
α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。食前の血糖値はそれほど高くないけれども、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。
<SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬>
SGLT2阻害薬は、尿から余分な糖を出すことで血糖値を下げる薬です。単独で使用する場合には低血糖のリスクも低く、国内では2014年に糖尿病の新薬として使用が開始されました。なお、SGLT2阻害薬は副次的な効果として、体重の減少が認められています(尿から糖が出るので体重が減少します)。
経口血糖降下薬はインスリン非依存状態にあり、食事療法・運動療法を十分に行っていても血糖コントロールがうまくいかない患者さんに使われます。つまり、経口血糖降下薬で治療効果を望むことができるのは、自分の膵臓からインスリンを出す力が残っている、「インスリン非依存状態」にある患者さんです(多くは2型糖尿病患者さんです)。
インスリン注射
インスリン注射は、効果があらわれるまでのタイミングと、持続時間によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、配合溶解、持効型溶解の6つに分類されます。注射の回数も1日1~4回以上のもの以外にも、最近では1日1回の注射で効果が24時間持続するタイプもあります。
<超速効型インスリン製剤>
超速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンにかなり近づけることができます。食事直前の自己注射で、食後の血糖値の上昇を抑えて食後高血糖を改善します。超速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は10~20分と早いので、食事の直前に注射でき、仕事などで食事時間が不規則になった場合への対応が可能ですので、生活の質を高めることができます。
<速効型インスリン製剤>
速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンに近づけます。食事の約30分前に自己注射して、食後の血糖値の上昇を抑制して食後高血糖を改善します。速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は30分~1時間で、インスリンの作用が持続する時間は5~8時間です。レギュラーインスリンとも呼ばれ、筋肉注射や静脈注射が唯一可能なインスリン製剤です。
<中間型インスリン製剤>
中間型インスリン製剤は、健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的として、インスリンの効果が持続的に作用するようにつくられたインスリン製剤です。不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制します。注射してから効果が出るまでの時間は1~3時間で、インスリンの作用が持続する時間は18~24時間です。
<混合型インスリン製剤>
混合型インスリン製剤は、超速効型や速効型インスリンと中間型インスリンを、いろいろな割合であらかじめ混合したインスリン製剤です。インスリンの基礎分泌、追加分泌の補填を同時に行えるようにつくられた製剤です。混合型インスリン製剤の効果の発現は、「超速効型」または「速効型インスリン製剤」「中間型インスリン製剤」のそれぞれの作用時間にみられますが、作用の持続時間は「中間型インスリン製剤」とほぼ同じになります。
<配合溶解インスリン製剤>
配合溶解インスリン製剤は、超速効型インスリン製剤と持効型溶解インスリン製剤を混ぜてある製剤です。超速効型インスリンと持効型溶解インスリンのそれぞれの作用発現時間に効果が発現します。なお、混合型インスリン製剤の作用時間は「持効型溶解インスリン」とほぼ同じになります。
<持効型溶解インスリン製剤>
持効型溶解インスリン製剤は、健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的につくられたインスリン製剤です。不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。注射してから効果が出るまでの時間は1~2時間で、インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日にわたります。
<世界初の週1回投与のインスリン製剤>
週1回投与のインスリン製剤として、「インスリン イコデク」(商品名:アウィクリ®注)が2024年6月24日に日本で製造販売承認を取得しました。これは世界初の週1回投与の基礎インスリン製剤です。
主な特徴として、週1回の皮下注射で7日間にわたる血糖降下作用が期待でき、患者の負担を大幅に軽減できます。
一方で、注意点としては、投与後2〜4日に低血糖のリスクが高まる傾向があり、慎重な経過観察が必要です。また、1目盛りが10単位刻みのため、インスリン感受性が高い患者には不向きです。日々の活動量の変動が大きい患者や、認知症などで毎日注射してしまう可能性がある患者には適していません。
血糖自己測定と定期検査で血糖を上手にコントロールしましょう
適切な血糖コントロールを行うためには、日々の「自己血糖測定」と「定期的な医療機関での検査」が欠かせません。自己血糖測定は、簡易血糖測定器を用いて、自分で血糖値を測定することです。通常、指先から少量の血液を採取し、専用の測定器を使用して血糖値を測定します。測定の頻度は個々の状況に応じて異なりますが、一般的には朝食前の空腹時や、食後2時間、就寝前などに測定することが推奨されます。そして測定結果は必ず記録し、医療機関での診察時に提示することが重要です。これにより、日々の生活や食事との関連を把握し、より適切な治療方針を立てることができます。
一方、適切な血糖コントロールを行うためには、定期的な医療機関での検査も重要です。通常、1~3ヶ月に一度の頻度で受診し、HbA1c(ヘモグロビンA1c)などの検査を受けます。HbA1cは過去1~2ヶ月の平均的な血糖コントロール状態を反映する指標で、自己血糖測定では得られない長期的な血糖管理の状況を把握することができます。また、定期検査では血糖値以外にも、血圧、体重、腎機能、脂質プロファイルなど、糖尿病に関連する様々な項目をチェックします。これにより、合併症の早期発見や予防にもつながりますので、積極的に医療機関を受診してください。
なお、糖尿病は初期段階では自覚症状がないことが多いため、健康診断や他の病気の検査をしている際に偶然見つかることもあります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、糖尿病の症状の可能性を感じた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方は、まずお気軽に医療機関にご相談ください。早期発見・早期治療が、合併症の予防と良好な血糖コントロールの維持には重要です。
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2025.02.05
【医師監修】メタボリックシンドロームとは一体何か?簡単に解説します
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「メタボリックシンドローム」について解説していきます。後半部分では「メタボリックシンドロームの予防と改善方法」をご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームの原因
メタボリックシンドロームを放置する危険性
メタボリックシンドロームの予防と改善方法
特定健診を受け、メタボ予防を行いましょう
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドローム(Metabolic syndrome)とは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることで、心臓病や脳卒中などのリスクが高まる病態を指します。具体的には、男性では腹囲が85cm以上、女性では90cm以上であることに加え、血圧・血糖・血清脂質のうち2つ以上が基準値を超えると「メタボリックシンドローム」と診断されます。したがって、腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームに該当しません。
メタボリックシンドロームは、放置すると心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症を引き起こす可能性がある危険な病態です。そのため、メタボリックシンドロームを予防するためには、早期発見と適切な対策が極めて重要になります。メタボリックシンドロームを予防するためにも、定期的な健康診断を受け、自身の健康状態を把握してください。
なお現在、メタボリックシンドロームは予備群も含めると男性は40~74歳で2人に1人、女性は5人に1人存在し、増加傾向にあるといわれています。メタボリックシンドロームは、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患だけでなく、高尿酸血症や慢性腎臓病、認知症、がんなどの発症リスクも高めますので十分にご注意ください。
メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームの診断基準は、内臓脂肪の蓄積を示す腹囲測定を必須項目とし、これに加えて複数の代謝異常を評価します。以下、メタボリックシンドロームの診断基準です。
<腹部肥満>
ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上
<血圧>
収縮期血圧(最高血圧) 130mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧) 85mmHg以上
(いずれか、または両方)
<血糖値>
空腹時血糖値 110mg ⁄ dl以上
<中性脂肪値・HDLコレステロール値>
中性脂肪値 150mg ⁄ dl以上
HDLコレステロール値 40mg ⁄ dl未満
(いずれか、または両方)
ウエストサイズの基準について、男性の基準値(85cm以上)は比較的多くの人が該当します。一方で、女性の基準値(90cm以上)に該当する人は少ないため、一部の医療専門家は女性向けの基準をより厳しくすべきだと考えています。また、近年では「ウエストサイズは身長の半分を目安にすべき」という意見も出ています。
なぜなら、身長180cmの人と150cmの人が同じ基準でよいはずがないからです。もちろん、この数値はあくまで目安のため、ウエストサイズが身長の半分以下でも注意が必要です。ウエストサイズが基準値未満でも、不適切な食生活や運動不足などにより、内臓脂肪が増加するリスクがありますので、十分にご注意ください。
メタボリックシンドロームの原因
メタボリックシンドロームの主な原因は、過剰なカロリー摂取と運動不足です。高脂肪・高糖質の食事を頻繁に摂り、必要以上のカロリーを摂取すると、体内に余分な脂肪が蓄積されます。特に内臓脂肪の増加はインスリン抵抗性を引き起こし、血糖値の上昇や脂質代謝異常を招く可能性があります。さらに、運動不足も深刻な問題です。日常的な身体活動が不足するとエネルギー消費が減少し、脂肪が蓄積されやすくなります。
また、筋肉量の減少により基礎代謝が低下し、太りやすい体質を作り出しますので、ご注意ください。なお、肥満には「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」があります(内臓脂肪型肥満はお腹の中、腸のまわりに多くの脂肪が蓄積した肥満です。
一方、皮下脂肪型肥満はお尻や太ももなどの肉付きがよくなるものです)。飲みすぎ、食べすぎ、栄養の偏り、運動不足などの生活習慣が重なると、内臓脂肪型肥満のリスクが高まります。さらに、こうした生活習慣の乱れは、高血圧、脂質異常症、高血糖といった健康問題を引き起こしやすくなり、その結果、内臓脂肪型肥満、高血圧、脂質異常症が組み合わさり、メタボリックシンドロームへと進行することになりますので、ご注意ください。
メタボリックシンドロームは命に関わる重大な病気のリスクを高めるため、早期発見と適切な対策が極めて重要です。
メタボリックシンドロームを放置する危険性
メタボリックシンドロームの方は、そうでない方と比べて、2型糖尿病を発症するリスクが約3倍も高くなります。また、非アルコール性脂肪肝、高尿酸血症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などの病気にもつながることがあるため、注意が必要です。メタボリックシンドロームは自覚症状が少ないため、放置されやすい傾向があります。そのため、メタボリックシンドロームを予防するためには、定期的な健康診断を受け、自身の健康状態を正確に把握することが重要です。
さらに、メタボリックシンドロームの予防には、生活習慣の改善が不可欠です。バランスの取れた食事や定期的な運動を通じて、メタボリックシンドロームを予防してください。また、必要な場合は薬による治療も検討してください。適切な時期に薬物療法を開始し、危険因子を管理することも重要です。
メタボリックシンドロームの予防と改善方法
メタボリックシンドロームの予防・改善において最も重要なのは生活療法です。過食や運動不足などの生活習慣を改善することが必要です。以下に、メタボリックシンドロームの予防・改善方法をご紹介します。メタボリックシンドローム
【メタボリックシンドロームの予防と改善方法1】バランスの取れた食事
メタボリックシンドロームの食事療法の基本は、適正なエネルギー摂取を行った上で、運動をしてエネルギー消費を増やすことです。具体的には、日々の食事は標準体重当たりタンパク質量1.0~1.2g(動物性タンパク質40~50%)、必須脂肪酸2g/日、脂肪20g/日、糖質100g/日以上が良いとされています。そして配分は、炭水化物60%、脂肪20~25%、タンパク質15~20%が良いとされています。なお、食事では以下のような工夫をすることも大切です。
・アルコールは適量を守り、過剰に摂取しないようにする
・食塩の摂取量は1日あたり10g以下に抑える
・こんにゃくやキノコなど、食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取する
・グリセミックインデックス(GI)が低い食品を選ぶ
・甘いジュースやお菓子の摂取を控える
・食事はよく噛んで食べ、満腹感を得るまで腹七分~八分に留める
・緑黄色野菜を意識的に取り入れる
・間食や夜食は避け、決まった時間に食事を摂る
【メタボリックシンドロームの予防と改善方法2】定期的な運動
メタボリックシンドロームの予防において、運動は非常に効果的です。メタボリックシンドロームの改善には、週に10メッツ・時以上のウォーキング、ジョギング、水泳、体操などの有酸素運動が推奨されています。
また、筋力トレーニングを週2回程度取り入れることで、基礎代謝の向上が期待できるため、おすすめです。さらに、運動量が多いほど内臓脂肪が減少しやすいという報告もあります。したがって、運動を毎日継続することが重要です。
個人の体力や運動能力、生活環境に応じて、適切な運動の強度や時間を検討してください。
【メタボリックシンドロームの予防と改善方法3】ストレス管理
慢性的なストレスは、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を増加させ、内臓脂肪の蓄積を促進します。また、ストレスによる過食や飲酒も問題を悪化させる可能性があります。
したがって、メタボリックシンドロームの予防するためにもストレス管理は大切です。なお、効果的なストレス管理のためには、定期的な運動によるエンドルフィンの分泌促進、十分な休息と趣味の時間の確保が重要です。
さらに、家族や友人との交流などの社会的つながりもストレス解消に役立ちます。これらの方法を組み合わせることで、ストレス耐性を高め、メタボリックシンドロームのリスクを軽減できます。
【メタボリックシンドロームの予防と改善方法4】十分な睡眠
不十分な睡眠は、食欲を調整するホルモンのバランスを崩し、過食や肥満のリスクを高めます。そのため、十分な睡眠を確保することが重要です。メタボリックシンドロームの予防には、睡眠時間をしっかり確保することが不可欠です。なお、健康的な睡眠のためには、規則正しい就寝・起床時間の設定が基本です。また、寝室の環境(温度、湿度、静けさ)を快適に保ち、就寝前のブルーライト(スマートフォン、タブレットなど)の使用を控えることも効果的です。質の良い睡眠は、ホルモンバランスの調整や代謝機能の維持に重要な役割を果たします。
【メタボリックシンドロームの予防と改善方法5】喫煙
喫煙は内臓脂肪の蓄積を促進し、インスリン抵抗性を高めることが知られています。また、血管の収縮や動脈硬化を引き起こし、高血圧のリスクを上昇させます。さらに、喫煙は善玉コレステロールを減少させ、悪玉コレステロールを増加させることで、脂質代謝異常を引き起こします。加えて、喫煙は炎症反応を促進し、酸化ストレスを増大させることで、全身の代謝に悪影響を与えます。これらの影響により、喫煙者はメタボリックシンドロームに陥るリスクが非喫煙者と比べて著しく高くなります。したがって、メタボリックシンドロームの予防と健康維持のためには、禁煙が非常に重要です。禁煙は困難を伴うこともありますが、禁煙外来や禁煙補助薬の利用、周囲のサポートを得ることで、成功の可能性が高まります。禁煙によって、メタボリックシンドロームのリスクだけでなく、がんや心血管疾患のリスクも大幅に低減できます。
【メタボリックシンドロームの予防と改善方法6】定期的な健康診断
年に1回以上の健康診断は、メタボリックシンドロームの早期発見と予防に不可欠です。健康診断では、体重、BMI、腹囲の測定、血圧測定、血液検査(血糖値、HbA1c、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、肝機能検査、尿検査などが行われます。
これらの検査結果を経年的に比較することで、自身の健康状態の変化を把握し、必要に応じて早期に生活習慣の改善や医療介入を行うことができます。また、健康診断の結果について医師に相談し、個別のアドバイスを受けることも重要です。
定期的な健康診断を通じて自身の健康状態を正確に把握し、適切な予防策を講じることで、メタボリックシンドロームのリスクを大幅に軽減できます。
特定健診を受け、メタボリックシンドローム予防を行いましょう
現在、40歳以上74歳以下の方を対象に、特定健康診査・特定保健指導を実施しています。特定健康診査・特定保健指導とは、メタボリックシンドロームの観点から健康状態を評価し、「メタボリックシンドロームに該当する方」や「それに近い状態の方」に対して、適切な情報提供や生活習慣改善の指導を行い、糖尿病や心臓・血管の病気の発症を減らすことを目指す取り組みです。
特定健康診査・特定保健指導を実施することで、多くの効果が期待できます。まず、健康リスクを早期に把握し、重症化を防ぐことができます。
また、個人の生活習慣や健康状態に応じた効果的な改善策を提案することで、より個別化された指導が可能になります。これにより、生活習慣病の予防が進み、長期的な医療費の削減にもつながります。
さらに、定期的な健診と指導を通じて、自身の健康管理への意識が高まり、健康的な生活習慣を身につけることで生活の質が向上します。したがって、メタボリックシンドロームや生活習慣病に心当たりのある方には、特定健康診査・特定保健指導を推奨いたします。なお、当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。
高血圧や高血糖に心当たりのある方、あるいは日常生活の乱れにより「生活習慣病かもしれない…」と感じている方などがいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2025.02.05
ミトコンドリア糖尿病とは?症状や診断基準、治療法について解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「ミトコンドリア糖尿病」について解説していきます。後半部分では、「ミトコンドリア糖尿病の治療方法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
ミトコンドリア糖尿病とは?
ミトコンドリア糖尿病の特徴や症状
ミトコンドリア糖尿病の治療方法
ミトコンドリア糖尿病における食事療法と運動療法の重要性
ミトコンドリア糖尿病の早期発見と適切な管理を心がけましょう
ミトコンドリア糖尿病とは?
ミトコンドリア糖尿病とは、ミトコンドリアDNAの変異によって発症する糖尿病です。ミトコンドリアは細胞内に存在する小さな器官で、エネルギー産生などに重要な役割を果たしています。このミトコンドリアDNAの変異が原因となる糖尿病をミトコンドリア糖尿病と呼びます。ミトコンドリア糖尿病は、日本の糖尿病患者さんの約1%に存在するとされており、単一遺伝子による糖尿病としては最多です。
また、ミトコンドリアDNAは後天的な変異を起こしやすい特徴があるため、加齢とともに変異が蓄積し、ミトコンドリア機能に障害を及ぼす可能性があります。そのため、ミトコンドリア糖尿病を放置してはいけません。ミトコンドリア糖尿病を放置すると、感音性難聴に加え、心筋症や脳症などの合併症リスクが高まるため、早期診断と適切な治療が重要です。なお、ミトコンドリアは16,569塩基対からなる独自のDNAを持っています。このDNAに変異が生じると、膵β細胞の機能が低下し、インスリン分泌が不十分となり糖尿病が発症します。
ミトコンドリア糖尿病の特徴や症状
ミトコンドリア糖尿病は、1型糖尿病、SPIDDM、2型糖尿病と多様な病型を示すことが特徴です。症状としては、高頻度で感音性難聴を伴うのが特徴になります。また、心筋症や心刺激伝導障害、脳症の症状も他の糖尿病型より高頻度に認められます。
さらに、ミトコンドリア糖尿病の主な特徴として、著しいインスリン分泌能の低下、母系遺伝、若年発症、血管合併症の進行しやすさなどが挙げられます。なお、ミトコンドリア糖尿病で重要なのは、症状が徐々に進行することです。初期には軽微な症状しか示さないこともありますが、時間とともに多様な症状が顕在化します。
そのため、早期診断と適切な管理が極めて重要です。また、ミトコンドリア糖尿病は母系遺伝の形式をとるため、家族歴が重要な診断の手がかりとなります。つまり、母親がミトコンドリア糖尿病であった場合、その子供も発症する可能性があるため注意が必要です。母親がミトコンドリア糖尿病である方は、ミトコンドリア糖尿病の可能性を疑い、専門医による精査を検討してください。早期発見と適切な治療が、患者さんのQOL向上と合併症予防に重要な役割を果たします。
ミトコンドリア糖尿病の治療方法
ミトコンドリア糖尿病の治療法としては、主にインスリン療法や薬物療法が行われます。
【ミトコンドリア糖尿病の治療方法1】インスリン療法
インスリン療法とは、体外からインスリンを投与して血糖値をコントロールする治療法です。ミトコンドリア糖尿病の場合、膵臓のβ細胞の機能低下が急速に進行するため、診断後早期からインスリン療法を開始することが多いです。
具体的には、患者さんの症状や進行度に応じて、速効型や持効型などの多様なインスリン製剤を組み合わせて使用します。そして、頻繁に血糖測定を行い、インスリン量を適切に調整します。なお、ミトコンドリア機能障害により低血糖のリスクが高まる可能性があるため、慎重な血糖管理が必要です。
【ミトコンドリア糖尿病の治療方法2】薬物療法
薬物療法とは、経口血糖降下薬を用いて血糖値をコントロールする方法です。ミトコンドリア糖尿病の治療では、以下の薬剤が考慮されます。
<メトホルミン>
メトホルミンは、2型糖尿病の治療に広く使用されるビグアナイド系薬剤です。メトホルミンの主な作用は、肝臓での糖新生抑制とインスリン感受性の改善です。
具体的には、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化することで、肝臓での糖産生を抑制し、骨格筋でのグルコース取り込みを促進します。また、腸管からのグルコース吸収も抑制します。なお、ミトコンドリア糖尿病患者さんにおいては、メトホルミンの使用に関して以下の点に注意が必要です。
・低用量から開始し、徐々に増量する
・定期的な腎機能検査と肝機能検査の実施
・乳酸値のモニタリング
・ミトコンドリア機能に関連する症状(筋力低下、疲労感など)を注意深く観察する
・他の薬剤との相互作用を確認する
メトホルミンは、ミトコンドリア糖尿病の治療において慎重に扱うべき薬剤です。使用する場合は、個々の患者さんの状態を十分に評価し、綿密なモニタリングのもとで行う必要があります。また、他の治療選択肢との比較検討も重要です。
<イメグリミン>
イメグリミン(薬品名:ツイミーグ)は、ミトコンドリア糖尿病治療の新たな選択肢として注目されています。イメグリミンは、ミトコンドリア機能を改善し、インスリン分泌を促進する効果があります。
具体的には、イメグリミンは細胞内のミトコンドリアを介して、膵臓の膵β細胞に作用し、グルコース濃度に依存したインスリン分泌を促進します。また、肝臓での糖新生を抑制し、骨格筋での糖取り込みを改善することで血糖値を低下させます。
さらに、インスリン抵抗性の改善にも寄与します。イメグリミンは、ミトコンドリアの酸化ストレスを軽減し、ATP産生を増加させる特性があるため、ミトコンドリア糖尿病患者さんにとって有益な可能性があります。
<DPP-4阻害薬>
シタグリプチンやビルダグリプチンなどのDPP-4阻害薬は、インクレチンホルモンの分解を抑制することでインスリン分泌を促進し、血糖値を低下させます。ミトコンドリア機能への直接的な影響は少ないとされているため、比較的安全に使用できる可能性があります。
<GLP-1受容体作動薬>
リラグルチドやセマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制、胃排出遅延などの作用により血糖値を改善します。また、食欲抑制効果もあり、体重管理にも有効です。ミトコンドリア機能への直接的な影響は少ないとされています。
<SGLT2阻害薬>
ダパグリフロジンやエンパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬は、腎臓でのグルコース再吸収を抑制することで血糖値を低下させます。ただし、脱水リスクやケトアシドーシスのリスクがあるため、ミトコンドリア糖尿病患者さんでは慎重に使用する必要があります。
<チアゾリジン誘導体>
ピオグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体は、インスリン感受性を改善する効果があります。しかし、ミトコンドリア機能への影響が懸念されるため、使用には慎重な判断が必要です。
<スルホニル尿素薬>
グリメピリドやグリクラジドなどのスルホニル尿素薬は、膵臓からのインスリン分泌を促進します。ただし、低血糖のリスクが高く、また長期的な膵臓への負担が懸念されるため、ミトコンドリア糖尿病患者さんでは使用に注意が必要です。
これらの薬剤の使用は、患者さんの状態、合併症の有無、ミトコンドリア機能障害の程度、そして薬剤の作用機序と副作用プロファイルを慎重に考慮して決定されます。また、治療効果と副作用のモニタリングを継続的に行い、必要に応じて薬剤の調整を行うことが極めて重要です。
ミトコンドリア糖尿病における食事療法と運動療法の重要性
ミトコンドリア糖尿病の治療では、薬物療法だけでなく、適切な食事療法や運動療法も重要です。
<食事療法>
食事療法とは、食事の量や成分を調整することで病気の改善を目指すものです。ミトコンドリア糖尿病における食事療法では、血糖コントロールを改善し、ミトコンドリア機能をサポートすることを目的とします。
また食物繊維の摂取や少量頻回の食事を心がけ、代謝負荷を軽減します。なお、食事療法において重要なのは、各患者さんの状態、合併症、ミトコンドリア機能障害の程度に応じて、医師と相談しながら個別の食事計画を立てることです。
<運動療法>
運動療法とは、疾患の治療や予防のために運動を活用することです。運動は、体内でのインスリンの効率的な利用を促進し、筋肉が血糖を取り込むのを助けます。
また、運動によって体重が減少し、肥満や過体重のリスクが低下するため、インスリン抵抗性が改善され、糖尿病の発症リスクが軽減されます。
ただし、ミトコンドリア糖尿病の場合、過度の運動はミトコンドリアに負担をかける可能性があるため、低強度の運動から始めることが大切です。
運動を行う際は無理をせず、個々の体力や健康状態に合わせたプランを立ててください。なお、糖尿病予防に効果的な運動には、「有酸素運動」と「レジスタンス運動」があります。
有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに酸素を使う運動のことです。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが一般的な有酸素運動の例になります。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。なお、一般的に「週150分以上」の有酸素運動が推奨されています。この目標に向かって努力することで、健康的な生活習慣を築くことができます。
レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動のことです。ウエイトトレーニング、体幹トレーニング、ゴムチューブを使ったエクササイズなどがレジスタンス運動の例になります。
レジスタンス運動は血糖値の管理をサポートするのに役立ち、筋肉量の増加、筋力の向上、筋持久力の向上を促す筋力トレーニングとして、高齢者からアスリートまで広く行われています。
またその他にも筋力トレーニングは骨密度を向上させ、骨粗鬆症のリスクを減らすのにも効果的です。そのため、糖尿病予防に極めて効果的な運動だと考えられています。
ミトコンドリア糖尿病の早期発見と適切な管理を心がけましょう
ミトコンドリア糖尿病では、早期発見と適切な管理が患者さんの生活の質を維持し、合併症のリスクを軽減する上で非常に重要です。早期発見のポイントとしては、若年での糖尿病発症、難聴や視力低下などの感覚器障害、筋力低下や易疲労感、母系遺伝の家族歴(特に糖尿病と難聴の組み合わせ)に注意が必要です。
これらの症状がある場合、一般的な糖尿病検査に加えて、遺伝子検査や筋生検(筋肉組織の一部を採取して調べる検査)などの特殊検査を考慮する必要があります。なお、適切な管理においては、個別化された治療アプローチ、定期的なモニタリング、合併症の予防と早期発見、多職種連携(医師、看護師、栄養士など複数の専門家による協力)、患者さんの教育が重要です。
具体的には、薬物療法、食事療法、運動療法を患者さんの状態に合わせて慎重に設計し、血糖値だけでなくミトコンドリア機能に関連する様々な指標を定期的にチェックします。また、心臓、腎臓、神経系など多臓器に影響を及ぼす可能性があるため、定期的な検査も欠かせません。ミトコンドリア糖尿病の管理は複雑ですが、早期発見と適切な管理により、多くの患者さんが良好な生活の質を維持することができます。症状や家族歴に心当たりがある場合は、専門医への相談を躊躇せず、積極的に健康管理に取り組むことが大切です。
なお、当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2025.02.05
MODY(家族性若年糖尿病)とは?原因・症状・治療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「MODY(家族性若年糖尿病)」について解説していきます。後半部分では、「MODY(家族性若年糖尿病)の治療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
MODY(家族性若年糖尿病)とは?特徴と一般的な糖尿病との違いについて
MODY(家族性若年糖尿病)の原因について
MODY(家族性若年糖尿病)の症状と診断方法
MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴
MODY(家族性若年糖尿病)の治療法
MODY(家族性若年糖尿病)の合併症とリスク
MODY(家族性若年糖尿病)についてご相談したい方へ
MODY(家族性若年糖尿病)とは?特徴と一般的な糖尿病との違いについて
MODY(Maturity-Onset Diabetes of the Young)は、家族性若年糖尿病とも呼ばれる遺伝性の糖尿病です。通常25歳未満で発症し、常染色体優性遺伝形式をとることが特徴です。また、MODYは2型糖尿病と似た症状を示しますが、1型や2型糖尿病とは異なる遺伝的原因によって発症します。具体的には、MODYは糖代謝に関わる単一遺伝子の機能障害が原因で発症し、肥満を伴わないことが多いです。なお、MODYと一般的な糖尿病との大きな違いは、発症年齢と遺伝形式にあります。1型糖尿病は自己免疫疾患であり、2型糖尿病は主に生活習慣や環境要因が関与しますが、MODYは単一遺伝子の変異が原因です。また、MODYは肥満とは無関係に発症することが多く、初期段階ではインスリン抵抗性が見られないことが多いです。さらに、MODYの治療アプローチも一般的な糖尿病とは異なります。MODYのタイプによっては、スルホニル尿素薬などの特定の経口血糖降下薬で良好なコントロールが得られる場合があり、必ずしもインスリン療法を必要としません。また、MODYは一般的に進行が緩やかで、合併症のリスクが比較的低いことがあります。このように、MODYは発症の仕組み、診断方法、治療アプローチ、そして疾患の進行において、一般的な糖尿病とは異なる独特な特徴を持つ疾患であると言えます。
MODY(家族性若年糖尿病)の原因について
MODYは単一遺伝子の変異によって引き起こされる特殊な型の糖尿病です。MODYに関係する遺伝子は、これまでに約14種類が判明しており、その中でもHNF-1α(MODY3)、HNF-4α(MODY1)、GCK(MODY2)が主要なものです。そして、これらの遺伝子の多くは、膵臓のβ細胞の機能維持に重要な役割を果たしています。具体的には、インスリンの転写因子や膵臓の発生、グルコース代謝に関与する遺伝子などが含まれます。これらの遺伝子に変異が生じることで、インスリンの産生や分泌に異常が起こり、結果として糖尿病を発症します。なお、各遺伝子の変異によってMODYのサブタイプが決定され、それぞれ臨床像や治療反応性が異なる可能性があります。
そのため、遺伝子検査による正確な診断は、個々の患者さんに最適な治療方針を立てる上で非常に重要です。また、MODYの遺伝様式は常染色体優性遺伝であり、親から子へ50%の確率で遺伝子変異が受け継がれる可能性があります。
このような遺伝的背景を理解することは、家族内での早期診断や予防的介入にも役立つ可能性があります。
なお遺伝子検査については保険適用がなされないのでご注意ください。
MODY(家族性若年糖尿病)の症状と診断方法
MODYの典型的な症状としては、若年期からの高血糖と膵β細胞機能の進行性低下が挙げられます。また、口渇、多飲、多尿、体重減少といった症状も見られることがあります。しかし、患者さんによっては症状が軽微であったり、無症状であることも珍しくありません。したがって多くの場合、患者自身が自覚症状を通じて気づくことは難しく、健康診断や家族歴の調査などで偶然発見されることがあります。このため、家族に若年発症の糖尿病患者さんがいる場合は、たとえ症状がなくても定期的な血糖検査が推奨されます。なお、診断には標準的な糖尿病の診断基準が用いられますが、MODYの確定診断には遺伝子検査が不可欠です。この検査により特定の遺伝子変異を確認することで、適切な治療方針の決定や家族のスクリーニングに役立ちます。そのため、若年発症の糖尿病患者さんは、症状の有無にかかわらず、MODYの可能性を考慮して積極的に遺伝子検査を検討することが重要です。
MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴
MODY(家族性若年糖尿病)は、遺伝子変異の違いにより複数のサブタイプに分類されます。ここでは、最も一般的で臨床的に重要なMODY1からMODY6までについて説明します。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴1】MODY1
MODY1は、HNF4A遺伝子異常による糖尿病です。HNF4Aは、転写因子と呼ばれる遺伝子の一つで、膵臓や肝臓などの分化・発生に関与しています。MODY1は、MODY2やMODY3に比べて稀な糖尿病です。また、MODY1の患者さんは通常、思春期または若年成人期に発症し、進行性のインスリン分泌障害を示します。なお、MODY1の特徴的な症状としては、巨大児と新生児期の高インスリン血症による低血糖が見られます。さらに、低血糖や大型児出産のリスクが高く、腎機能障害や脂質異常症を伴うことがあります。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴2】MODY2
MODY2は、グルコキナーゼ(GCK)遺伝子の変異によるもので、全MODYの約30〜50%を占める最も一般的なタイプです。他のMODYタイプとは異なり、MODY2は通常軽度の高血糖を示し、年齢とともに悪化することはほとんどありません。多くの場合、治療を必要とせず、合併症のリスクも低いのが特徴です。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴3】MODY3
MODY3は、HNF1A遺伝子異常による糖尿病です。MODY2に次いで頻度が高く、全MODYの約30~50%を占めます。MODY3の患者さんは通常、思春期または若年成人期に発症し、進行性のインスリン分泌障害を示します。なお、MODY3の特徴としては、尿中のグルコース排泄閾値が低く、スルホニル尿素薬に対する感受性が高いことが挙げられます。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴4】MODY4
MODY4は、PDX1遺伝子の変異によるもので、非常に稀なタイプです。この遺伝子は膵臓の発生と機能に重要な役割を果たします。なお、MODY4の患者さんは、インスリン分泌障害と膵外分泌機能不全を示すことがあります。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴5】MODY5
MODY5は、HNF1B遺伝子の変異によるもので、全MODYの約5%を占めます。MODY5の特徴は、糖尿病以外にも多彩な症状を呈することです。腎嚢胞、腎機能障害、生殖器異常、膵臓の構造異常などが見られることがあります。また、インスリン分泌障害だけでなく、インスリン抵抗性も示すことがあります。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴6】MODY6
MODY6は、NEUROD1遺伝子の変異によるもので、非常に稀なタイプです。この遺伝子は膵β細胞の発生と機能に関与しています。なお、MODY6の患者さんは、若年期に発症する進行性のインスリン分泌障害を示します。
MODY(家族性若年糖尿病)の治療法
MODYの治療法は、各タイプに応じて異なり、主にインスリン療法、薬物療法、そして遺伝カウンセリングが行われます(MODYは遺伝子の異常が原因となるため、根本的な治療法はまだありません)。
<インスリン療法>
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法です。MODYの治療において、インスリン療法は特定のタイプで有効です。特にMODY2やMODY3では、インスリン分泌の問題が関連しているため、インスリン療法が治療の基本となります。なお、インスリン療法は、血糖値の管理を効果的に行うための手段として用いられますが、すべてのMODY患者さんに適用されるわけではありません。MODYの中にはインスリン分泌能が保たれているケースもあります。
<薬物療法>
薬物療法とは、経口糖尿病薬やSGLT2阻害薬などを使用して血糖値を管理する方法です。MODYの治療において、薬物療法はより広範に使用されます。特にMODYやMODY4型など、インスリン抵抗性が主な問題ではない場合に有効です。これらのタイプでは、血糖コントロールを改善するために、経口糖尿病薬やSGLT2阻害薬などが処方されます。
<遺伝カウンセリング>
MODYの治療には、遺伝カウンセリングも重要な役割を果たします。MODYは遺伝的な要因が大きいため、家族歴や遺伝子検査を通じて、正確な診断と治療方針の決定が求められます。遺伝カウンセリングを通じて、患者さんやその家族が疾患の理解を深め、適切な治療と予防策を講じることができます。なお、遺伝カウンセリングでは、疾患と遺伝・遺伝子の関係、子への遺伝のリスクといった医学的情報だけでなく、心理的・社会的支援も行われます。
MODYの治療は、個々の遺伝的要因に基づいた専門的なアプローチが必要です。インスリン療法、薬物療法、そして遺伝カウンセリングを組み合わせることで、より効果的な管理が可能となります。
MODY(家族性若年糖尿病)の合併症とリスク
MODYは、インスリン分泌の異常によって発症するため、長期的にはさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。血糖値が適切に管理されていない場合、心血管疾患、腎機能障害、網膜症などの合併症が進行するリスクが高まります。特に、MODY1やMODY3では、腎症や網膜症などの「細小血管合併症」を併発する頻度が高いです。また、MODY3やMODY5では、心血管疾患や腎障害のリスクが増加することが知られています。そのため、MODYの管理には、単なる血糖コントロールにとどまらず、これらの長期的な健康リスクを見据えた全体的なアプローチが求められます。具体的にMODYの合併症を予防し、管理するためには、以下のポイントが重要です。
<定期的な血糖値のモニタリング>
血糖値を定期的にチェックし、目標範囲内に保つことで、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。自己血糖測定やHbA1cのチェックを通じて、日々の血糖コントロールを行うことが推奨されます。
<生活習慣の改善>
健康的な食事と定期的な運動は、血糖コントロールを助け、心血管疾患や肥満などのリスクを減少させます。特に、バランスの取れた食事と適度な運動を取り入れることが重要です。
<早期の医療介入>
合併症の兆候を早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。定期的な眼科検診や腎機能検査を行うことで、合併症の進行を防ぐことができます。
<医師との連携>
専門医との継続的なフォローアップを受け、個別の治療計画を立てることが重要です。治療方針や生活習慣の変更について、医師と相談しながら進めることで、より効果的な管理が可能となります。
MODYの合併症とリスクを管理するためには、血糖コントロールだけでなく、生活習慣の見直しと定期的な医療チェックが不可欠です。長期的な健康を維持するためには、これらの予防策と管理方法を実践することが重要です。
MODY(家族性若年糖尿病)についてご相談したい方へ
MODYは、インスリン分泌の異常によって発症するため、長期的にはさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。診断が遅れると、血糖コントロールが不十分となり、合併症のリスクが増大します。
特にMODYのタイプによっては、特定の治療法や薬物が必要とされるため、正確な診断によって最適な治療法を選択することが大切です。MODYの発症年齢や症状の程度には個人差がありますので、MODYが疑われる場合や家族にMODY患者さんがいる場合は、専門医に相談し、必要に応じて遺伝子検査や遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。
MODYについてご相談したい方、または検診などで血糖値に異常を指摘された方がいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2025.02.05
糖尿病予防のための運動ガイド:効果的な方法と実践のコツ
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「糖尿病予防に効果的な運動」について解説していきます。後半部分では、「運動の注意点」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
なぜ糖尿病予防には運動が効果的なのか?
糖尿病予防に効果的な運動の種類
糖尿病予防のための運動方法とタイミング
糖尿病予防のための運動メニュー例
糖尿病予防における運動の注意点
糖尿病予防のご相談なら板谷内科クリニックへ
なぜ糖尿病予防には運動が効果的なのか?
糖尿病予防において、運動は極めて有効な手段です。運動は、体内の「インスリン」の効率的な利用を促進し、筋肉が血糖を取り込むのを助けます。また、運動によって体重が減少し、肥満や過体重のリスクが低下します。そのため、インスリン抵抗性が改善され、糖尿病の発症リスクが軽減されます。さらに、運動は心血管の健康にも寄与します。血圧やコレステロール値の改善が期待できるため、糖尿病に関連する心血管疾患のリスクを低減します。また、運動はストレスの軽減にも効果があります。ストレスは血糖値の上昇に繋がるため、精神的な健康を保つことも糖尿病予防に重要です。このように、運動は血糖値管理、心血管の健康向上、ストレス軽減など、様々な面から糖尿病予防に役立ちます。したがって、運動は糖尿病予防において非常に効果的な手段と言えます。なお、運動療法の目的は、血糖値のコントロールを改善し、糖尿病の合併症を予防することです。運動は、筋肉の柔軟性や強度を向上させ、代謝を改善します。これにより、血糖値の上昇を抑え、インスリンの効果を高めることができます。そのため、適切な運動計画を立て、定期的に運動することが重要です。「厚生労働省のサイト」や「糖尿病を改善するための運動」でも同様の見解を述べております。
糖尿病予防に効果的な運動の種類
糖尿病予防に効果的な運動には、「有酸素運動」と「レジスタンス運動」があります。
【糖尿病予防に効果的な運動の種類1】有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに酸素を使う運動のことです。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが一般的な有酸素運動の例になります。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。なお、一般的に「週150分以上」の有酸素運動が推奨されています。この目標に向かって努力することで、健康的な生活習慣を築くことができます。
【糖尿病予防に効果的な運動の種類2】レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動のことです。ウエイトトレーニング、体幹トレーニング、ゴムチューブを使ったエクササイズなどがレジスタンス運動の例になります。レジスタンス運動は、筋肉量を増やし、血糖値の管理をサポートするのに役立ちます。また、筋力トレーニングは骨密度を向上させ、骨粗鬆症のリスクを減らすのにも効果的です。そのため、糖尿病予防に極めて効果的な運動だと考えられています。なお、レジスタンス運動は、筋肉量の増加、筋力の向上、筋持久力の向上を促す筋力トレーニングとして、高齢者からアスリートまで広く行われています。レジスタンス運動について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センターのサイト」をご覧ください。
有酸素運動とレジスタンス運動の併用は、それぞれの運動単独よりも効果的に糖尿病を改善させることが報告されています。したがって、両方の運動をバランスよく取り入れることが糖尿病予防にとって重要です。「糖尿病ネットワーク」でも同様の見解を述べております。
糖尿病予防のための運動方法とタイミング
食後1時間後に運動すると、食後の高血糖状態が改善されることが知られています。そのため、運動を実施するタイミングとしては、食後1時間後がお勧めです。
次に、運動の頻度に関しては、「できるだけ毎日」、少なくとも「週に3~5回」行うのが良いとされています。そのため、時間に余裕のある方は週に5日間、1日あたり30分以上の運動を行ってください。なお、運動強度については、中等度の全身を使った有酸素運動がお勧めです。1度運動すると48~72時間の予防効果が持続すると言われています。
そして運動時間は各20~60分間行い、計150分以上が一般的に推奨されています。定期的に運動をすることで、血糖値のコントロールが向上し、糖尿病のリスクを軽減できます。したがって、適度な運動を定期的に行ってください。「運動に適した時間帯はいつ?」でも同様の見解を述べております。
糖尿病予防のための運動メニュー例
健康な生活を維持し、糖尿病のリスクを低減するためには、適切な運動が重要です。以下、糖尿病予防のための運動メニューの例になります。
有酸素運動(週3〜5回)
ウォーキング:毎日30分から60分のウォーキング。
ジョギング:20分から30分のジョギング。
サイクリング:1時間のサイクリングを週に2回行う。
水泳:週に1〜2回の水泳を取り入れる。
レジスタンス運動(週2〜3回)
ウエイトトレーニング:上半身と下半身の筋力トレーニングを行う。
ボディウェイトトレーニング:腕立て伏せ、スクワット、腹筋などのエクササイズを行う。
ヨガやピラティス:柔軟性を高め、筋力を向上させる。
ストレッチ(毎日)
朝起きてからのストレッチ:身体を目覚めさせ、柔軟性を保つ。
就寝前のストレッチ:リラックスし、筋肉の緊張を解く。
アクアエクササイズ(週1〜2回)
アクアエクササイズとは、水中で行う運動のことです。水中でのウォーキング、レジスタンスエクササイズ、ダンスなどが代表的なアクアエクササイズになります。アクアエクササイズは、有酸素運動とレジスタンス運動の両方を行うことができるため、バランス良く運動ができます。また、水の浮力を活用するため、肥満や関節への負担が心配な方に適しています。したがって、アクアエクササイズは健康的な運動習慣を築く上で優れた選択肢だと言えます。なお、アクアエクササイズは週に1〜2回、30分程度を継続的に行うことが推奨されています。
バランス運動(週1回)
バランス能力とは、静止状態を保ち続ける能力のことを指します。バランス能力を養うためには、片足で立ったり、ステップ運動を取り入れたりして、体幹を鍛えてください。また、バランスボールなどのトレーニンググッズの使用もバランス能力の向上に役立ちます。したがって、バランスボールなどのトレーニンググッズを積極的に活用してください。なお、バランス運動は簡単な動作で体を鍛えることができますが、転倒しないように注意してください。
糖尿病予防のためには、これらの運動をバランスよく取り入れることが重要です。ただし、運動を始める前には医師と相談し、個々の体力や健康状態に合わせたプランを立てることが大切です。
糖尿病予防における運動の注意点
糖尿病予防において、運動は極めて有効な手段です。ただし、運動は適切な方法で行うことが重要です。以下、運動における主な注意点になります。
【糖尿病予防における運動の注意点1】準備体操をする
急に運動を始めるとケガをする可能性があります。特に運動習慣がない方は注意が必要です。ケガをしないためにも、運動する前はしっかりと準備体操を行なってください。
【糖尿病予防における運動の注意点2】こまめに水分補給をする
運動中は、こまめに水分補給をし、脱水にならないようにすることも大切です。運動中は想像以上に汗をかいておりますので、こまめに水分補給を行ってください。
【糖尿病予防における運動の注意点3】血圧
運動をすると、一時的に血圧は上がります。ですので、重症の高血圧の方、労作性狭心症や心不全、腎不全などを合併している方は運動に注意が必要です。運動を始めるにあたっては、担当医とよく相談してから行ってください。
【糖尿病予防における運動の注意点4】軽い運動から始める
気合を入れて運動することはいいことですが、ケガをする可能性があります。特に運動習慣がない方は危険です。運動する際は無理せず、軽い運動から始めてください。
【糖尿病予防における運動の注意点5】高血糖と低血糖
運動中に高血糖や低血糖になるリスクがあります。特に糖尿病患者は、血糖値のコントロールが重要です。運動前後にはメディカルチェックを受け、血糖値の管理に留意してください。
※運動療法における注意点について知りたい方は「【糖尿病改善と予防】運動療法の効果や注意点について」をご覧ください。
糖尿病予防のご相談なら板谷内科クリニックへ
糖尿病になっても初期段階では自覚症状がありません。そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2025.02.04
子供のインフルエンザ症状と治療法:潜伏期間や初期症状、薬やワクチンについて
内科に関する記事です。
この記事では「子供のインフルエンザ」について解説していきます。後半部分では「インフルエンザの治療法」や「インフルエンザワクチン予防接種」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インフルエンザとは?
子供のインフルエンザ潜伏期間について
子供のインフルエンザ初期症状
子供のインフルエンザの治療法
子供のインフルエンザの治療薬について
子供のインフルエンザワクチン予防接種について
インフルエンザ薬の副作用について
子供のインフルエンザについてはいつでも当院にご相談ください
インフルエンザとは?
インフルエンザは、鼻や口から侵入した「インフルエンザウイルス」が肺や気道で感染・増殖することで引き起こされる疾患です。インフルエンザウイルスは、その型によって流行時期や症状が異なりますので、インフルエンザの検査をする際には、ウイルスの型も特定します。現在、インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型、D型の4種類があります。この中でヒトに感染するインフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3種類です。D型に関しては、ヒトに感染することはなく、家畜にのみ感染します。インフルエンザウイルスの種類について詳しく知りたい方は「国立感染症研究所のホームページ」をご覧ください。
子供のインフルエンザ潜伏期間について
インフルエンザウイルスの潜伏期間は一般的に1~3日とされています。ただし、潜伏期間は年齢や体質、体調によって個人差があり、この期間が長くなることもあります。例えば、子供や高齢者は通常、免疫系が未発達または衰えているため、潜伏期間が長くなることがあります。また、基礎疾患を抱えている方も同様です。インフルエンザウイルスの潜伏期間は個人差が大きいため「インフルエンザ陽性者」との接触があった場合は十分に注意してください。「日本WHO協会のホームページ」や「千葉市感染症情報センター」でも同様のことを伝えています。
子供のインフルエンザ初期症状
子供のインフルエンザでよく見られる初期症状としては、頭痛、関節痛、咳、鼻水、および38℃以上の急な発熱が挙げられます。子供が発熱した場合は氷枕を使用して、首筋や脇の下、太股のつけ根など、太い血管のある部位を冷やしてください。そして、冬は暖房を強くしすぎず、夏はクーラーの風が直接当たらないように注意してください。また、インフルエンザにかかった子供が発熱すると、一時的に「理解できない言動」や「異常な行動」をすることがあります。これを「熱せん妄」と呼びます。熱せん妄は、ほとんどの場合は短時間で収まりますが、場合によっては長時間続いたり、痙攣を引き起こしたりする可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。なお、インフルエンザは通常の風邪と比較して、高熱と全身症状が特徴です。インフルエンザにかかると、突然高熱が出てぐったりします。そして発熱後2~3日中には、熱が38~39℃以上になり、5日以内には下がります。ただし、熱が下がったように見えても、また高熱が出ることもあるので注意してください。インフルエンザの症状について詳しく知りたい方は「インフルエンザの症状について知ろう」をご覧ください。
子供のインフルエンザの治療法
インフルエンザの治療では、抗インフルエンザ薬を用いた「薬物療法」のほか、症状を緩和するための「対症療法」が行われます。
<抗インフルエンザ薬を用いた薬物療法>
抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑制し、症状の軽減や回復を促進します。ただし、抗インフルエンザ薬は、症状が出てから2日以内に投与を開始する必要があるため、診断が遅れると効果が薄れることがあります。なお、残念ながらインフルエンザの治療薬として使用される「抗インフルエンザ薬」は、市販薬では販売されていません。そして、市販の風邪薬はインフルエンザを完治させるほどの効果は期待できません。したがって、インフルエンザが疑われる場合は医療機関を受診してください。
<対症療法>
対症療法とは、直接の原因を治すのではなく、今みられる症状に対して一時的に症状を和らげる治療法です。例えば、高熱の場合は解熱鎮痛薬を使用し、黄色い痰など細菌の二次感染が疑われる場合には、抗生物質を使用します(抗生物質はウイルス感染に対して効果がないことに留意する必要があります)。なお、水分補給や栄養摂取が困難な場合には、点滴による補液が必要となる場合があります。
インフルエンザの治療は、ウイルスの型だけでなく、年齢、全身状態などの症状や状況に応じて、医師の判断のもと選択していきます。
子供のインフルエンザの治療薬について
インフルエンザの治療薬は、大きく分けて飲み薬・吸入薬・点滴の3種類があります。飲み薬は、タミフル・ゾフルーザ・シンメトレル、吸入薬はリレンザ・イナビル、点滴はラピアクタという薬です。これらの薬は、体内でインフルエンザウイルスが増殖するのを抑える作用があります。
【インフルエンザの治療薬1】タミフル®︎
タミフルは、A型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている抗インフルエンザ薬です。インフルエンザウイルスが増えるときに必要な酵素・ノイラミニダーゼの働きを妨げて、症状を緩和したり、予防したりします。ただし、インフルエンザウイルスが増えてしまってからタミフルを服用しても効果はないため、発熱などの症状が出てから48時間以内に服用を開始する必要があります。なお、タミフルは基本的に、成人は錠剤1錠を1日2回、計5日間服用します。
【インフルエンザの治療薬2】ゾフルーザ®︎
ゾフルーザは2018年2月に登場した「抗インフルエンザ薬」の新薬です。1回服用するだけでよいというのが最大の特徴になります。これまで、抗インフルエンザ薬は「ノイラミニダーゼ阻害薬」のみでしたが、ゾフルーザは「エンドヌクレアーゼ」と呼ばれる別の作用機序で効果を発揮します。インフルエンザウイルスを消失させる速度が速いと言われており、周囲の人への感染を減らせるのではないかとの期待がされています。ただし、薬剤相互作用や副作用については未知であり、その安全性は確定されていません。そのため、日本小児科学会は12歳未満の服用については推奨しないとしています。
【インフルエンザの治療薬3】リレンザ®︎
リレンザはA型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている吸入薬です。リレンザは、インフルエンザウイルスの表面に存在する酵素を阻害するだけでなく、ウイルスが感染細胞から遊離するのも阻害し、インフルエンザウイルスの感染拡大を阻止します。なお、リレンザは、粉薬を直接気道に届けることで、ウイルスの増殖を抑えることが期待できる吸入薬です。したがって、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など呼吸器に病気のある方は、気道に対する刺激になって「喘息発作」を誘発する可能性があるため注意が必要になります。
【インフルエンザの治療薬4】イナビル®︎
イナビルは、A型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている吸入薬です。イナビルは、インフルエンザウイルスの増殖を防ぐ働きがあり、症状の緩和や感染予防に役立ちます。イナビルはリレンザと同様、気道に粉薬を入れるため慎重に使用する必要があります。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などがある方は、必ず医師に相談してから使用してください。なお、イナビルは長時間作用型のため、処方された分を1回吸入するだけでよいというのが最大の特徴になります。
【インフルエンザの治療薬5】ラピアクタ®︎
ラピアクタは、A型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている点滴薬です。ラピアクタは、インフルエンザウイルスの「ノイラミニダーゼ」というウイルス増殖に関与する酵素を阻害し、ウイルス増殖を抑える効果があります。したがって、インフルエンザウイルスが増殖してしまった後では薬の効果は発揮できず、発症後48時間以内に使用する必要があります。
【インフルエンザの治療薬6】シンメトレル®︎
シンメトレルはA型インフルエンザに対して効果のある飲み薬です。シンメトレルは、ノイラミニダーゼ阻害薬ではなく、A型インフルエンザウイルスに存在する「蛋白構造」に作用し、脱殻というウイルスの増殖工程を阻害することでウイルスの増殖を防ぎます。なお、シンメトレルは、感染初期に使用することで発熱の期間が1~2日短くなり、治りが早くなる効果が期待できます。
子供のインフルエンザワクチン予防接種について
インフルエンザ予防接種は、インフルエンザの重症化を防ぐ上で極めて有効な方法です。したがって、インフルエンザの発症を予防するためにもインフルエンザの予防接種を推奨します。インフルエンザは悪化すると、気管支炎や肺炎、脳症などの重篤な合併症を引き起こす恐れがありますので、基礎疾患をお持ちの方には、インフルエンザの予防接種を強く推奨いたします。「千葉市のホームページ」でも同様のことを伝えております。なお、インフルエンザ予防接種を受けると、副反応が起こる可能性があります。これには、局所的な反応と全身的な症状が含まれます。局所的な反応と全身的な症状は、以下の通りです。
<局所的な反応>
・皮膚の発赤、紅斑、腫れ
・蕁麻疹や強いかゆみ
・掻痒感や疼痛
局所的な症状は、予防接種後に10~20%の人々で発生することがあります。通常、数日間続きますが、自然治癒します。
<全身的な症状>
・発熱
・頭痛
・倦怠感
全身的な症状は、予防接種後に5~10%の人々で発生することがあります。通常、2~3日間続きます。ただし、稀に重篤な合併症であるアナフィラキシーが起こることがあります。アナフィラキシーは強いアレルギー反応であり、血圧低下などの症状が現れます。特に、予防接種直後や15分以内に現れることがあります。したがって、予防接種後は30分間、安静にして医療機関で経過を観察することが重要です。
インフルエンザ薬の副作用について
抗インフルエンザ薬を適切な時期(発症から48時間以内)に使用すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。しかし、抗インフルエンザ薬には、吐き気、下痢、口内炎、めまい、頭痛、不眠など、さまざまな副作用が報告されています。したがって、抗インフルエンザ薬を使用する際は、副作用の可能性も考慮する必要があります。
子供のインフルエンザについてはいつでも当院にご相談ください
インフルエンザウイルスに感染すると、約1週間で回復する場合が多いです。しかし、「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」といった重大な合併症が現れて重症化する場合もあります。したがって、重症化のリスクを軽減するためにも、インフルエンザ予防接種を推奨いたします。特に、基礎疾患をお持ちの方には、強くインフルエンザ予防接種をお勧めします。なお、当院ではインフルエンザ予防接種を実施しております。インフルエンザ予防接種をご希望の方は、お気軽にご相談ください。また、インフルエンザの初期症状の疑いがある方、あるいは体調不良が続いている方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
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2025.02.04
インフルエンザの後遺症について
内科に関する記事です。
この記事では「インフルエンザの後遺症」について解説していきます。後半部分では「インフルエンザ後遺症の一般的な症状」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インフルエンザに後遺症はあるのか
後遺症と合併症の違い
インフルエンザ後遺症の一般的な症状
インフルエンザ潜伏期間の一般的な長さ
インフルエンザ後遺症の影響
コロナウイルスの後遺症の違い
インフルエンザの後遺症については板谷内科クリニックに相談ください
インフルエンザに後遺症はあるのか
結論を申し上げますと、インフルエンザは後遺症を引き起こす可能性があります。インフルエンザは、鼻や口から侵入した「インフルエンザウイルス」が肺や気道で感染・増殖することで引き起こされる疾患です。通常、インフルエンザウイルスに感染してから1~3日間程度の潜伏期間の後に、38℃以上の高熱、関節痛、頭痛、全身倦怠感などが突然あらわれます。そして、その後に鼻水・咳などの症状が出現し、約1週間程度で軽快するのが典型的なインフルエンザの症状です。ただし、一部の患者さんでは、インフルエンザ後にさまざまな後遺症が発生することがあります。最も一般的な後遺症の一つは、肺炎や中耳炎などの二次感染症の発症です。また、心臓や脳に影響を及ぼすこともあるため、「ウイルス性肺炎」や「インフルエンザ脳炎」などの合併症が起こることがあります。さらに、インフルエンザがトリガーとなって免疫系が過剰に反応し、肺炎球菌や赤痢菌などの他の病原体による感染症が引き起こされることもあります。したがって、インフルエンザ感染後に体調に異常を感じたら、速やかに医療機関を受診することが重要です。
後遺症と合併症の違い
合併症は、病気や手術、検査の過程で関連して発生する症状や疾患を指します。例えば、インフルエンザの合併症は、インフルエンザに罹患したことが原因で、別の疾患や症状が発生することを意味します。一方、後遺症は、ケガや病気の急性期が終わった後に残る、あるいは長期間継続する症状を指します。合併症が発生すると、通常、治療期間が延長されるため、後遺症の発生リスクは高くなります。
インフルエンザ後遺症の一般的な症状
インフルエンザ後遺症の一般的な症状は、以下の通りです。
・喉が痛くて声が出ない
・熱や寒気、倦怠感が続き睡眠障害がある
・味覚障害や嗅覚異常、鼻水などの副鼻腔炎の症状がある
・咳や痰が長引き息苦しい
インフルエンザは、免疫力の弱い子供だけでなく、大人でも重篤な合併症を引き起こす可能性があります。高齢者や心疾患、呼吸器疾患を持つ方は、上記の症状に加えて「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」などの合併症を併発する可能性が高まります。重篤な合併症になった場合、後遺症が出現するだけでなく、死亡する可能性もありますので、ご注意ください。
インフルエンザ潜伏期間の一般的な長さ
インフルエンザウイルスの潜伏期間は、一般的に1~3日が平均とされています。ただし、潜伏期間は年齢や体質、体調によって個人差があり、この期間が長くなることもあります。例えば、子供や高齢者は通常、免疫系が未発達または衰えているため、潜伏期間が長くなることがあります。また、基礎疾患を抱えている方も同様です。インフルエンザウイルスの潜伏期間は個人差が大きいため「インフルエンザ陽性者」との接触があった場合は十分に注意してください。
インフルエンザ後遺症の影響
インフルエンザウイルスに感染すると、約1週間で回復する場合が多いです。しかし一部の患者さんでは「咳や痰が長引いて息苦しい…」「喉が痛くて声が出ない…」などインフルエンザ後にさまざまな後遺症が発生することがあります。また、「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」といった重大な合併症が現れて重症化する場合もあります。したがって、早期の医療介入が重要です。速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることで後遺症のリスクを軽減できます。また、予防接種を受けることでインフルエンザ感染のリスクを軽減し、後遺症の発症を予防することができます。特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方には、積極的にインフルエンザ予防接種を受けることをお勧めします。
コロナウイルスの後遺症の違い
一般的に、新型コロナウイルスに感染した人は、インフルエンザ感染者よりも後遺症リスクが高いと考えられています。名古屋工業大学の調査では、インフルエンザに感染してから2カ月以内に「せき」や「頭痛」で受診するリスクは、感染していない人に比べて約1.8倍程度であり、倦怠感に関しては「ほぼ変わりなし」と報告されています。
一方、新型コロナ感染者と感染していない人を比較すると、せきで受診するリスクは約8.20倍、呼吸困難は約7.92倍、味覚や嗅覚の障害は約5.97倍、倦怠感は約3.64倍、頭痛は約2.87倍と、インフルエンザの場合よりも高い傾向が示されています。このことから、一般的に新型コロナウイルスに感染した人は、インフルエンザ感染者よりも後遺症リスクが高いとされています。
インフルエンザの後遺症については板谷内科クリニックに相談ください
インフルエンザウイルスに感染すると、約1週間で回復する場合が多いです。しかし「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」といった重大な合併症が現れて重症化する場合もあります。
したがって、重症化のリスクを下げるためにもインフルエンザ予防接種を推奨いたします。特に、高齢者や基礎疾患をお持ちの方には、インフルエンザ予防接種を強く推奨いたします。なお、当院ではインフルエンザ予防接種を実施しております。診察時間内であれば当日の接種も可能ですので、突然の接種希望にも柔軟に対応できます。
インフルエンザ予防接種をご希望の方は、お気軽にご連絡ください。また、インフルエンザ感染後から体調不良が続いている方、あるいはインフルエンザ感染後の後遺症についてご相談したい方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
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2025.02.04
インフルエンザの検査方法や費用、時間について
内科に関する記事です。
この記事では「インフルエンザの検査方法」について解説していきます。後半部分では「インフルエンザ検査の費用」や「インフルエンザ検査時の注意点」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インフルエンザとは
インフルエンザの検査の種類
一般的なインフルエンザの検査方法
インフルエンザの検査時期(タイミング)
インフルエンザ迅速検査について
発熱のないインフルエンザについて
インフルエンザ検査とPCR検査との違い
インフルエンザ検査の費用
インフルエンザ検査時の注意点
インフルエンザ検査についての相談は板谷内科クリニックへ
インフルエンザとは
インフルエンザは、鼻や口から侵入した「インフルエンザウイルス」が肺や気道で感染・増殖することで引き起こされる疾患です。感染してから約1~3日間程度の潜伏期間の後に、38℃以上の高熱、関節痛、頭痛、全身倦怠感などが突然あらわれます。以下、インフルエンザの主な症状です。
・発熱
・全身倦怠感
・喉の痛み
・悪寒
・関節痛・筋肉痛
・頭痛
・食欲不振
・嘔吐
・下痢
・咳・痰
・鼻水
通常の風邪と比較して、インフルエンザは「高熱」と「全身症状」が特徴です。インフルエンザの症状について詳しく知りたい方は「インフルエンザかな?症状がある方へ」をご覧ください。
インフルエンザの検査の種類
インフルエンザの検査には、次の4種類があります。
<迅速診断キットを使用した検査>
迅速診断キットによる検査は、綿棒でのどや鼻の奥の粘膜をこすり、そこについた組織や分泌物からウイルスを検出する検査です。迅速診断キットによる検査は、短時間(約5分)で簡便に診断できるだけでなく、A型とB型の鑑別も可能です。したがって現在、最も主流となっている検査になります。
<PCR検査>(当院では実施していません)
PCR検査は、のどや鼻の奥を拭い採取した液を検体とし、インフルエンザウイルスの遺伝子を検出する検査です。PCR検査では、ウイルスの型や構造を詳細に調べることができます。そのため、「新型ウイルスであるかどうか」を判定することが可能です。
<ウイルス分離検査>
ウイルス分離検査は、のどや鼻の奥を拭って採取した液からウイルスを分離して判定する検査です。ウイルス分離検査は、結果が出るまでに「1週間程度」かかりますが、ウイルスの種類などまで詳しく分かります。したがって、非常に優れた検査と言われております。
なおウィルス分離検査は一般的なクリニック等では実施していません。
<血清抗体検査>(当院では実施していません)
血清抗体検査は、インフルエンザの発症後1週間以内と、症状が治まった頃にもう1回の計2回、採血を行って「インフルエンザウイルスに対する抗体ができているか」を調べます。ただし、結果が得られるまでに通常2週間程度かかるため、現在では、あまり行われていません。
一般的なインフルエンザの検査方法
インフルエンザの検査では、一般的には「迅速抗原検出キット」が使用されます。この検査では、鼻の粘膜から採取するために綿棒が使用されます。なぜなら、インフルエンザウイルスは鼻から咽頭にかけての上気道の粘膜に付着しやすいからです。もちろん、医療機関によっては喉から採取するケースもありますが、喉から採取する方法は「鼻の奥からの採取」と比べるとウイルスの検出率が低くなります。
そのため、一般的には鼻の奥に綿棒を入れて採取します。なお、迅速抗原検出キットでは、採取した検体を含んだ綿棒を検査薬に浸し、その液体を検査キットに置くことでウイルスの有無を判定します。「インフルエンザの検査について解説しているサイト」でも同様の見解を述べております。
インフルエンザの検査時期(タイミング)
インフルエンザに感染すると、通常は感染後1日から3日程度で症状が現れます。しかし、感染初期の段階ではウイルス量が少ないため、検査で陰性となる可能性があります。そのため、正確な検査結果を得るためには、発熱してから12~24時間経過してから検査を受けることが推奨されています。正しい検査結果を得るためにも、発熱してから12~24時間経過して検査を受けることをお勧めします。
インフルエンザ迅速検査について
インフルエンザ迅速検査は、インフルエンザの抗原を迅速に検出する診断法です。この検査では、鼻腔からの検体採取を行い、約10分から15分で診断結果が得られます。インフルエンザ迅速検査は、通常のPCR検査よりも迅速に結果を得ることができるため、初期症状が現れた直後から感染の有無を迅速に確認できます。しかし、感染初期にはウイルス量が少ないため、偽陰性の可能性があることに留意する必要があります。また、インフルエンザ迅速検査では、インフルエンザに感染している場合に必ずしも陽性になるわけではありません。それに検査陰性であっても、インフルエンザに感染していないとも言い切れません。したがって、インフルエンザの流行期においてインフルエンザ様症状を呈して受診された場合、検査が陰性であっても臨床診断上、インフルエンザと診断されることがあります。
発熱のないインフルエンザについて
インフルエンザは通常の風邪に比べ、「高熱」と「全身症状」が特徴です。ただし、全ての方にインフルエンザの症状が起こるわけではありません。風邪とほぼ同様のケースもあり、なかには自分がインフルエンザに感染したことに気づかない方もいます(熱なし)。インフルエンザに感染していることに気づかないままでいると、自分でも気づかないうちに周囲にウイルスを広げてしまう可能性があります。
そのため、早い段階で自分がインフルエンザに感染していることに気づき、適切な対処をすることが非常に重要です。また、隠れインフルの場合、通常のインフルエンザと比べて症状が軽いことが挙げられますので、「少しでもおかしい」と感じたら、早めに病院へ行くことが大切になります。
インフルエンザ検査とPCR検査との違い
現在、実施されている検査には「抗原検査」と「PCR検査」があります。以下、「抗原検査」と「PCR検査」の違いです。
<抗原検査> <PCR検査>
感染症名 新型コロナウイルス感染症 新型コロナウイルス感染症
インフルエンザ
検出するもの ウイルスを特徴づけるタンパク質 ウイルスを特徴づける遺伝子配列
メリット 検査結果が早い 少ないウイルス量でも検出可能
デメリット ウイルス量が少ないと検出不可 検査結果が遅い
抗原検査は、PCR検査に比べて結果が出るのが早いという利点があります。しかし、一定のウイルス量がないと検出されないことがあります。したがって、可能であれば両方ともに「PCR検査」を行なうことをお勧めします。PCR検査を行うことで、より正確な結果を得ることが可能です。
インフルエンザ検査の費用
インフルエンザ検査の費用は、保険適用の場合は約2,000円程度が目安です。ただし、健康保険の種類によって異なります。検査自体が約2,000円程度かかりますので、診察料や薬代などを合わせると、1割負担で5,000円、2割負担で6,000円、3割負担で7,000円程度になります。なお、初診の場合は、初診料が若干加算されることがありますので、安く見積もらないように注意してくださいね。
インフルエンザ検査時の注意点
インフルエンザ検査は、感染の初期段階でも遅すぎるタイミングでも正しい結果を得ることができません。したがって、インフルエンザ検査は、発熱から12~24時間のタイミングで受けるように注意してください。なお、発熱していているのに陰性結果が出た場合、医師から翌日に再検査を勧められることがあります。その場合は翌日に再検査を受けるようにしてください。インフルエンザは、検査を受けるまでは感染の有無が分かりませんが、油断は禁物です。検査前からインフルエンザに感染している可能性を考慮して、周囲に感染を広げないように行動してください。インフルエンザの感染拡大を防ぐためには、手洗いやマスクの着用、密閉・密集・密接の回避が重要です。また、発症初期の段階で医療機関を受診し、専門医の指示に従うことも重要になります。
インフルエンザ検査についての相談は板谷内科クリニックへ
インフルエンザウイルスに感染すると、約1週間で回復する場合が多いです。しかし、「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」といった重大な合併症が現れて重症化する場合もあります。したがって、重症化のリスクを下げるためにもインフルエンザ予防接種を推奨いたします。
特に、高齢者や基礎疾患をお持ちの方には、インフルエンザ予防接種を強く推奨いたします。なお、当院では、インフルエンザ検査を実施しております。インフルエンザ予防接種をご希望の方は、お気軽にご連絡ください。
また、インフルエンザの症状についてご相談したい方、あるいは自分がインフルエンザなのか気になる方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2025.02.04
インフルエンザ脳症とは:症状や予防、治療法も解説
内科に関する記事です。
この記事では、「インフルエンザ脳症の症状」について解説していきます。後半部分では「インフルエンザ脳症の診断方法」や「インフルエンザ脳症の予防策」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インフルエンザ脳症とは
インフルエンザ脳症の主な症状
インフルエンザ脳症の年齢別症状
インフルエンザ脳症の原因と発症メカニズム
インフルエンザ脳症の診断方法
インフルエンザ脳症の治療方法
インフルエンザ脳症の予防策
インフルエンザ脳症についての相談は板谷内科クリニックへ
インフルエンザ脳症とは
インフルエンザ脳症とは、インフルエンザウイルスの感染後に「痙攣」や「意識障害」、「異常行動」や「異常言動」などの症状を引き起こす重篤な脳の疾患です。インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる深刻な合併症の一つになります。インフルエンザ脳症は、主に5歳以下の幼児に発症する場合が多く、発症してから急速に意識障害などが進行するのが特徴です。また、予後が良好な軽症例もありますが、時には「後遺症が残ること」や「死に至ること」もあります。したがって、インフルエンザ脳症は極めて深刻な合併症とされています。なお、インフルエンザ脳症は、正式には一つの疾患ではなく、意識障害などを起こす複数の疾患を含む「症候群」のことを指します。具体的には次のようなものが挙げられます。
<ライ症候群>
ライ症候群は、インフルエンザなどのウイルスに感染後、激しい吐き気や嘔吐、痙攣や錯乱、さらには昏睡などの症状と共に脳の炎症や腫れ、肝機能の低下が見られる極めて稀な病気です。ライ症候群は、感染症に罹患中、アスピリンを使用した18歳以下の子供に見られることが多いのが特徴です。なお、急性期を乗り越えた患者さんの多くは回復しますが、症状が重かった場合には「障害」や「痙攣性」の疾患などが残ることもあります。
<急性壊死性脳症(ANE)>
急性壊死性脳症(ANE)は、瀰漫性脳浮腫に両側対称性の視床病変を伴うウイルス性の急性脳症です。急性壊死性脳症は、ウイルス感染後に急激な意識障害や痙攣などの症状が現れます。また、大脳側脳室周囲白質や上皮脳幹被蓋、小脳髄質、内包、被殻にも病変が見られることがあります。なお、急性壊死性脳症は、特に東アジアの幼児に多く見られます。
インフルエンザ脳症の主な症状
インフルエンザ脳症は、高熱など通常のインフルエンザの症状が出たのち、数時間から24時間以内で急激に症状が現れるケースが多いです。代表的な初期症状としては、痙攣、意識障害、異常言動や異常行動などが挙げられます。インフルエンザ脳症は進行のスピードが早いため、早期治療が何よりも大切です。早期治療により軽症化の可能性が高まります。したがって、痙攣、意識障害、異常言動や異常行動などの初期症状が現れた際は、速やかに医療機関を受診してください。
インフルエンザ脳症の年齢別症状
インフルエンザ脳症の症状は、年齢によって異なる傾向があります。0~4歳、5~19歳、20~59歳、60歳以上の4つの年齢群に分け、国立感染症研究所が調査した結果、発熱に関しては各年齢群で88.9~95.5%と高い割合で認められております。一方、痙攣に関しては、熱性痙攣を起こしやすい0~4歳で高い割合です。また、5~19歳、20~59歳では頭痛や嘔吐が比較的多く見られています。そして、20~59歳、60歳以上では小児と比較して、項部硬直、髄液細胞数の増加のみられる割合が多いです。なお、国立感染症研究所の発表では、届出時に死亡と届け出られていた症例に関しては、0~4歳では6.9%、5~19歳では4.9%、20~59歳では9.7%、60歳以上では15.2%であったと伝えています。このような結果から成人例は、小児例よりも少ないものの、症状ごとには小児例との差異もあり、重症度においては決して軽視はできないと考えられています。
インフルエンザ脳症の原因と発症メカニズム
インフルエンザ脳症の原因は、インフルエンザウイルス感染によるサイトカインストーム、高炎症性サイトカイン血症と考えられています。インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、免疫系はそれに反応して「サイトカイン」と呼ばれる炎症性分子を放出します。通常、サイトカインはインフルエンザウイルスとの戦いに役立ちますが、時には免疫応答が過剰になり、身体全体に炎症を引き起こすことがあります。この状態をサイトカインストームと呼びます。なお、高炎症性サイトカイン血症の状態では、血液中のサイトカインのレベルが異常に上昇し、血管の通透性が増し、神経系にも影響を及ぼす可能性があります。これにより、脳組織が直接損傷を受け、炎症反応が起こり、さらに神経細胞の機能が影響を受けることで、インフルエンザ脳症が発症します。
インフルエンザ脳症の診断方法
インフルエンザ脳症が疑われる場合、通常は次の手順で診断が行われます。まず、問診と診察が行われ、その後に「インフルエンザ迅速検査キット」を使用して感染を確認します。そして症状や意識障害などの有無からインフルエンザ脳症が疑われるときには、血液検査で全身の状態、脳や腎臓、肝臓などの臓器の状態を調べ、さらに脳波検査により脳の機能、意識障害や痙攣の原因などを調べ、頭部MRI検査で脳の炎症の有無や炎症の広がりなどを確認します。また、熱性痙攣や脳腫瘍、脳出血といった他の疾患との鑑別を目的として、頭部CT検査も実施されます。さらに、免疫細胞の数や種類を調べるために脳脊髄液検査も行われることがあります。インフルエンザ脳症の診断方法について詳しく知りたい方は「インフルエンザ脳症ガイドライン」をご覧ください。
インフルエンザ脳症の治療方法
インフルエンザ脳症の治療法は、基本的には呼吸器や循環器などを管理して全身状態を保つ支持療法に加え、抗ウイルス薬の投与や、ガンマグロブリン大量療法などの特異的治療が行われます。そして、それでも期待された効果が得られない場合などには、脳低温療法や、血漿交換療法などの特殊治療が行われます。ただし、この治療法は実施例が限られており、費用や副作用の問題も考慮する必要があります。そのため、専門医との細かな相談が重要です。なお、上述した治療法は、特別な合併症(細菌性肺炎、呼吸不全、DIC、多臓器不全等)を伴わない場合の治療法になります。特別な合併症を伴った場合は、臨床症状、検査データ、重症度に応じて迅速に、できる限りの集中治療を施行する必要があります。インフルエンザ脳症の治療方法について詳しく知りたい方は「国立感染症研究所のホームページ」をご覧ください。
インフルエンザ脳症の予防策
インフルエンザ脳症の予防策としては、インフルエンザ予防接種が有効です。インフルエンザ予防接種は、インフルエンザに罹りにくくするとともに、感染した場合には「症状の重篤化」を防ぐとされています。したがって、インフルエンザ予防接種は「インフルエンザ脳症の発症リスク」を軽減する効果が期待されます。インフルエンザは悪化すると、気管支炎や肺炎、脳症などの重篤な合併症を引き起こす恐れがありますので、高齢者や基礎疾患をお持ちの方には、インフルエンザ予防接種を強く推奨いたします(インフルエンザ予防接種をしてもインフルエンザにかかる場合があります)。なお、インフルエンザウイルスへの感染を予防するためには、手洗い・消毒などの基本的な感染対策も重要です。以下、基本的な感染対策です。
<人混みに出ない>
インフルエンザが流行している時期は、不要な外出は避けたほうが安心です。「ショッピングセンター」や「繁華街」などの人混みでインフルエンザに感染することも多いため、インフルエンザが流行している時期は、ご注意ください。なお、やむを得ず外出する場合は、なるべく短時間で済ませることをお勧めします。
<適度な湿度を保つ>
空気が乾燥すると、のどの粘膜の“防御機能”が低下します。したがって、乾燥しやすい室内では加湿器の使用をお勧めします。免疫効果を正常に作用させるためには50~60%程度の湿度が必要になりますので、加湿器などで“室内の湿度”を適切に維持するよう心掛けてください。
<マスクを着用する>
マスクによるインフルエンザ予防は、効果が薄いことが示されています。ただし、全く効果がないわけではありません。近くにいる誰かが「くしゃみ」や「咳」をしたときには、マスクによって飛沫感染を防ぐことができます。また、「くしゃみ」や「咳」が出る人が周囲にウイルスを拡散しないためにもマスクは有効です。したがって、人混みに出る場合などにはマスクの着用をお勧めします。
<毎日の食事で免疫力を高める>
インフルエンザウイルスの感染を防ぐためには、毎日の食事で免疫力を高めて、「インフルエンザにかからない体づくり」をすることも大切です。具体的には、免疫システムに欠かせない「ビタミンC」と体のエネルギー産生に必要な「ビタミンB1群」、鼻やのどの粘膜を強化する働きのある「ビタミンB2」「ビタミンB6」を多くとることがポイントになります。なお、免疫力を高めるためには1日3食、規則正しく食べることも大切です。免疫力を高めるためにも、栄養バランスのとれた食事と良好な生活習慣を心掛けてください。
<手洗い・手の消毒>
手についたウイルスが口や鼻に入るというのが、インフルエンザウイルスの感染経路としてとても多いケースです。したがって、インフルエンザの予防として最もお勧めなのは、手洗い・手の消毒になります。手洗い・手の消毒をこまめに行えばウイルスを撃退し、インフルエンザウイルスの感染を防ぐことができますので、小まめに手洗い・手の消毒を行ってください。
<うがい>
うがいは、のどに付着したウイルスの数を減らしたり、洗い流したりするために有効と言われています。口の中をきれいに保てば、口からうつる「インフルエンザ」や「風邪」などの感染症を防ぐことができますので、外出先から戻ったら「うがい」を行ってください。
インフルエンザ脳症について不安な方はかかりつけ医に相談を
インフルエンザウイルスに感染すると、約1週間で回復する場合が多いです。しかし、「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」といった重大な合併症が現れて重症化する場合もあります。したがって、重症化のリスクを下げるためにもインフルエンザ予防接種を推奨いたします。
特に、高齢者や基礎疾患をお持ちの方には、インフルエンザ予防接種を強く推奨いたします。なお、当院では、予約なしでインフルエンザ予防接種を実施しております。現在、診察時間内であれば当日の接種も可能ですので、突然の接種希望にも柔軟に対応できます。インフルエンザ予防接種をご希望の方は、お気軽にご連絡ください。
また、インフルエンザ脳症についてご相談したい方、あるいは自分がインフルエンザ脳症なのか気になる方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
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