板谷内科クリニックブログ

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運動してはいけないについての記事一覧

糖尿病・代謝内科

糖尿病患者のうち運動してはいけないケースについて解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では「糖尿病患者が運動してはいけないといわれる理由」について解説していきます。後半部分では「糖尿病に効果的な運動プログラム」をご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病と運動の関係性について 糖尿病患者のうち運動してはいけない人とは 糖尿病患者に推奨される運動療法 安全な運動療法のためのメディカルチェック 糖尿病に効果的な運動プログラム 糖尿病患者が日常生活に取り入れるべき運動療法 運動時の血糖管理と注意点 まとめ:内科医からのアドバイス   糖尿病と運動の関係性について 糖尿病治療において、運動療法は食事療法や薬物療法と並ぶ重要な柱です。適切な運動は血糖値の改善だけでなく、インスリンの働きを高め、肥満の解消や心肺機能の向上にも効果があります。しかし、運動療法は諸刃の剣とも言える性質を持っています。 運動療法は、正しく実施すれば血糖コントロールの強力な味方となりますが、間違った方法で行うと期待する効果が得られないばかりか、かえって健康を損なう可能性があるのです。例えば、急激な運動は血糖値の急上昇や低血糖を引き起こす危険があります。 また、膝関節や腰部への過度な負担は、運動器障害のリスクを高めてしまいます。特に肥満がある方や高齢の方は、関節への負担に十分な注意が必要です。そのため、運動を始める前には必ず主治医に相談し、自分の体力や病状に合った運動の種類、強度、時間について、アドバイスを受けることが大切です。   糖尿病患者のうち運動してはいけない人とは 糖尿病治療において運動療法は基本となりますが、すべての患者に運動が推奨されるわけではありません。特に注意が必要なのは、血糖コントロールが極めて不安定な方です。血糖値が300mg/dL以上の高値を示している場合、運動によってさらに血糖値が上昇する可能性があるため危険です。 また、重症の糖尿病性網膜症の方も運動を控える必要があります。さらに、重度の糖尿病性腎症や心疾患を合併している方、足部に潰瘍や感染症がある方も運動は控えめにすべきです。より具体的に、以下に運動を禁止または制限すべき状態をまとめました。 運動を禁止すべき状態 • 血糖コントロールが著しく不良な場合(空腹時血糖値250mg/dL以上、または尿ケトン体中等度以上陽性) • 増殖性網膜症・増殖前網膜症で出血リスクが高い場合、およびレーザー治療後3〜6ヶ月以内 • 腎症が進行し、顕性腎症後期(第3B期)以降の方(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上) • 心筋梗塞などの重篤な心血管系疾患がある場合 • 高度の自律神経障害を伴う場合 • 1型糖尿病でケトーシスがある場合 • 急性感染症に罹患している場合 運動を制限すべき状態 • 重症高血圧(収縮期血圧180mmHg以上、または拡張期血圧110mmHg以上) • 骨関節疾患などの整形外科的問題がある場合(特に肥満者や高齢者は注意) • 糖尿病性壊疽がある場合 • 単純網膜症がある場合 これらの状態にある方は、必ず主治医に相談してください。状況に応じて各専門医の意見も仰ぎながら、安全で適切な運動方法を検討していく必要があります。 また、場合によっては、座位でできる軽い運動や、理学療法士の指導のもとでの運動など、個々の状態に合わせた活動方法を選択することが重要です。   糖尿病患者に推奨される運動療法 糖尿病の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが推奨されています。ここでは、それぞれの運動の特徴と実践方法について解説します。 【糖尿病患者に推奨される運動療法1】有酸素運動 有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに酸素を使う運動のことです。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが一般的な有酸素運動の例になります。 有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。なお、一般的に週150分以上の有酸素運動が推奨されています。この目標に向かって努力することで、健康的な生活習慣を築くことができます。 【糖尿病患者に推奨される運動療法2】レジスタンス運動 レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動のことです。ウエイトトレーニング、体幹トレーニング、ゴムチューブを使ったエクササイズなどがレジスタンス運動の例になります。 レジスタンス運動は、筋肉量を増やし、血糖値の管理をサポートするのに役立ちます。また、筋力トレーニングは骨密度を向上させ、骨粗鬆症のリスクを減らすのにも効果的です。そのため、糖尿病予防に極めて効果的な運動だと考えられています。なお、レジスタンス運動は、筋肉量の増加、筋力の向上、筋持久力の向上を促す筋力トレーニングとして、高齢者からアスリートまで広く行われています。 日本糖尿病学会の運動指針では、有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせた運動を推奨しています。具体的には、中等度の有酸素運動を週150分以上(できれば毎日30分程度)、レジスタンス運動を週2〜3回行うことを目標としています。ただし、これらは一般的な目安であるため、年齢や体力、合併症の有無などによって適切な運動量は異なります。 運動を始める前には必ず主治医に相談し、個々の状態に合わせた運動計画を立てることが大切です。継続的な運動習慣を築くためには、無理のない範囲から始め、徐々に運動量を増やしていくことをお勧めします。   安全な運動療法のためのメディカルチェック 運動療法を安全かつ効果的に実施するためには、患者の身体状況を総合的に評価することが不可欠です。そのために行うのが、メディカルチェックです。メディカルチェックでは、まず血糖コントロールの状態を評価します。具体的には、空腹時血糖値、HbA1c値、血圧などの基本的な検査データをチェックし、運動療法が可能な状態かどうかを判断します。 また、網膜症や腎症、神経障害といった糖尿病性合併症の有無とその程度も慎重に確認します。さらに、心血管系の状態を確認するため、心電図検査や必要に応じて運動負荷試験を実施します。加えて、膝や足関節などの運動器の状態も入念にチェックします。これらのメディカルチェックの結果を総合的に判断し、個々の患者に適した運動の種類、強度、時間、頻度を決定していきます。 運動療法を始める前には、必ずメディカルチェックを受け、主治医の指示のもとで安全に運動を開始することが大切です。   糖尿病に効果的な運動プログラム 糖尿病の方に効果的な1週間の運動プログラムをご紹介します。このプログラムは、有酸素運動とレジスタンス運動をバランスよく組み合わせて構成されています。 【月曜日・木曜日】有酸素運動中心の日 • 準備運動(5〜10分)   - 全身のストレッチ   - 軽い足踏み運動 • メイン運動:ウォーキング(20〜30分)   - 強度:会話ができる程度   - 心拍数:安静時の30〜40%増 • 整理運動(5分)   - クールダウンのための軽いストレッチ 【火曜日・金曜日】レジスタンス運動の日 • 準備運動(5〜10分)   - 関節の回旋運動   - 軽いストレッチ • メイン運動:筋力トレーニング(20〜30分)   - スクワット:10〜15回×2〜3セット   - 腹筋運動:10〜15回×2〜3セット   - 腕立て伏せ(壁押しでも可):10回×2セット   - かかと上げ:20回×2セット   ※セット間は1〜2分の休憩を入れる • 整理運動(5分)   - 全身のストレッチ 【水曜日】水中運動の日 • 準備運動(5〜10分)   - プールサイドでのストレッチ • メイン運動:水中歩行(20〜30分)   - 水深:胸程度まで   - バリエーション:前後歩き、横歩き • 整理運動(5分)   - 軽いストレッチ 【土曜日】有酸素運動の日 • 準備運動(5〜10分)   - 全身のストレッチ • メイン運動:自転車こぎまたはエアロバイク(20〜30分)   - 強度:軽く汗ばむ程度   - 徐々に時間を延ばしていく • 整理運動(5分)   - クールダウン 【日曜日】休養日 • 軽いストレッチ程度にとどめる • 散歩程度の軽い運動は可 これらのプログラムは、あくまでも基本的な例です。 年齢、体力、合併症の有無などによって、適切な運動量は異なりますので、必ず主治医と相談の上、個々の状態に合わせたプログラムを作成することが重要です。   糖尿病患者が日常生活に取り入れるべき運動療法 上述した通り、糖尿病の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせが推奨されています。では具体的に、日常生活の中でどのように運動を取り入れていけばよいのでしょうか。まず目標とする1日の歩数は、健康な成人の場合8000歩以上ですが、糖尿病患者の場合はより意識的に歩数を増やし、1万歩を目指すことをお勧めします。 ただし、いきなり歩数を増やすのではなく、現在の歩数から徐々に増やしていくことが継続のコツです。例えば、通勤や買い物の際に一つ手前の駅やバス停で降りて歩く、エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使う、昼休みに10分程度の散歩を取り入れるなど、できることから始めてください。なお、活動量の増加は、単に運動量を増やすだけでなく、生活リズムの改善にもつながります。 また、規則正しい運動習慣は、食事時間の安定化や睡眠の質の向上といった好ましい変化をもたらし、結果として血糖値の安定化に寄与します。実際、継続的な運動習慣を持つ患者は、HbA1cの改善が見られるケースが多く、インスリンの感受性も高まることが報告されています。運動療法は決して特別なことではありません。日常生活の中で少しずつ活動量を増やしていくことで、自然と血糖コントロールの改善につながっていきます。   運動時の血糖管理と注意点 糖尿病患者にとって運動は血糖コントロールの改善に有効ですが、安全に行うためにはいくつかの注意点があります。ここでは、運動時の血糖管理のポイントと注意すべき事項を詳しく解説します。 【運動時の血糖管理と注意点1】運動時の低血糖リスク インスリンや血糖降下薬を使用している方は、運動時の低血糖に特に注意が必要です。特に食前や空腹時の運動は避け、食後2時間程度が運動の適切なタイミングとされています。 また、運動による血糖降下作用は翌日まで持続する可能性があるため、継続的な血糖値のモニタリングが重要です。運動強度や時間については、必ず主治医に相談して、個々の状態に合わせた調整を行ってください。 【運動時の血糖管理と注意点2】血糖コントロールと運動制限 血糖値が著しく高い状態(空腹時血糖250mg/dL以上)での運動は、かえって血糖値を上昇させる可能性があります。また、重症の網膜症や腎症がある方は、激しい運動により症状が悪化するリスクがあります。 したがって運動を始める前に、現在の血糖コントロール状態や合併症の有無を確認し、主治医と相談しながら適切な運動プログラムを決定することが大切です。 【運動時の血糖管理と注意点3】足のケアと適切な運動用具 糖尿病患者にとって、足のケアは合併症予防の観点から特に重要です。運動前後には必ず足の観察を行い、傷や水疱、発赤、腫れがないかをしっかりと確認してください。 また、運動靴は足に合ったものを選び、靴擦れを防ぐために新しい靴はじっくり慣らしていくことが大切です。 【運動時の血糖管理と注意点4】運動前後の血糖測定の重要性 安全な運動療法のために、運動前後の血糖測定は欠かせません。運動前の血糖値が70mg/dL未満の場合は低血糖のリスクが高いため、運動を控えめにするか、糖分を摂取してから開始してください。 また、運動後の血糖測定により、その方に適した運動強度や時間を把握することができます。定期的な血糖測定を習慣化し、運動の効果を確認しながら進めていくことが大切です。 【運動時の血糖管理と注意点5】水分補給と体調管理 運動中は通常以上に水分を失うため、適切な水分補給が重要です。特に気温の高い時期は、こまめな水分補給を心がけてください。ただし、激しい運動時は、スポーツドリンクなどの糖分を含む飲料は血糖値の上昇を招く可能性があるため、主治医に相談の上で選択してください。 運動は糖尿病治療の重要な柱ですが、安全に継続するためには適切な血糖管理と準備が欠かせません。血糖値の測定、水分補給、足のケアなど、基本的な注意点を押さえながら、無理のない範囲で運動を続けていくことが、良好な血糖コントロールにつながります。   まとめ:内科医からのアドバイス 運動療法は血糖コントロールを改善する上で効果的な治療法です。しかし、ただ闇雲に運動を始めるのではなく、血糖コントロールの状態や合併症の有無によって、運動の種類や強度を慎重に選択し、安全に、そして効果的に続けていくことが重要です。特に重要なのは、個々の状況に合わせた運動プログラムの作成です。 例えば、普段からデスクワークが中心の方は、軽いウォーキングから始めることが望ましいです。一方、体力に自信がある方であれば、ジョギングや水泳といった有酸素運動と軽い筋トレを組み合わせることも効果的です。さらに、運動療法を安全に継続するためには、定期的な診察と血糖値のモニタリングが欠かせません。 運動による体調の変化や気になる症状があれば、早めに医療機関に相談することをお勧めします。無理のない範囲で始め、徐々に運動量を増やしていくことで、安全かつ効果的に血糖コントロールの改善を目指してください。 なお当院では、患者一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2025.02.05