板谷内科クリニックブログ

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内科

脂質異常症の原因とは?食生活・肥満・遺伝・病気との関係や改善方法を解説

内科に関する記事です。
健康診断で「LDLコレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と指摘され、原因が気になっている患者は少なくありません。脂質異常症は、食生活の乱れだけで起こるわけではありません。遺伝的な体質や運動不足、喫煙・飲酒などの生活習慣、さらには他の病気や服用中の薬剤が関係している場合もあります。そのため、原因を正しく理解することが、改善への第一歩になります。この記事では、脂質異常症を引き起こす主な原因を整理しながら、生活習慣でできる改善策、そして検査や治療が必要になるケースについても詳しく解説いたします。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 脂質異常症とは 脂質異常症になる主な原因 遺伝が原因となる脂質異常症もある 他の病気が原因となる脂質異常症 薬が原因となる場合もある 脂質の種類によって考えられる原因は異なる 脂質異常症を放置するとどうなる? 脂質異常症の原因を調べる検査 脂質異常症を改善するためにできること まとめ   脂質異常症とは 脂質異常症とは、血液中に含まれるLDLコレステロールや中性脂肪、HDLコレステロールといった脂質の値が、基準の範囲から外れている状態を指します。具体的には、LDLコレステロールや中性脂肪が基準より高い場合、またはHDLコレステロールが基準より低い場合に、脂質異常症と診断されます。これらの脂質にはそれぞれ異なる役割があります。LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ運ぶ役割を担っており、増えすぎると血管の壁に蓄積し、動脈硬化を進める原因になります。そのため「悪玉コレステロール」と呼ばれています。なお、中性脂肪は体を動かすエネルギー源として使われる脂質ですが、余った分は脂肪として体内に蓄積されるため、増えすぎると肥満や動脈硬化のリスクを高めます。一方で、HDLコレステロールは血管壁に溜まった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す働きを持つため、「善玉コレステロール」と呼ばれています。脂質異常症の厄介な点は、自覚症状がほとんどないまま進行することです。痛みやだるさといった体の変化を感じにくいため、健康診断で指摘されて初めて気づく患者が多く見られます。そのため、自覚症状がないからといって放置せず、数値の変化に気を配ることが大切です。   脂質異常症になる主な原因 脂質異常症は一つの原因だけで起こるものではありません。ここでは、日常生活に潜む代表的な原因について、それぞれ詳しく解説します。 食生活の乱れ 脂質異常症の原因として、まず食生活の乱れが挙げられます。バターや肉の脂身などに多く含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎると、肝臓でのLDLコレステロールの生成が促進され、血中濃度が上昇します。また、ご飯やパン、菓子類などの糖質を過剰に摂取すると、余った糖質が中性脂肪に変換されて体内に蓄積されやすくなります。さらに、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続くと、余分なエネルギーが脂肪として蓄積され、脂質値全体に悪影響を及ぼします。このように、脂質異常症は特定の栄養素の摂りすぎだけでなく、食事全体のバランスやエネルギー量とも密接に関わっています。 運動不足 運動不足も、脂質異常症を引き起こす大きな原因の一つです。体を動かす機会が減ると、筋肉で消費されるエネルギー量が低下し、消費しきれなかったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。これにより肥満が進行すると、脂質代謝そのものが乱れ、中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を招きます。加えて、運動には中性脂肪を分解する酵素の働きを高める効果があるため、運動不足が続くと、この分解機能が十分に発揮されず、脂質バランスがさらに崩れやすくなります。日常的な運動習慣の有無は、脂質値に直接的な影響を与える要因といえます。 肥満・内臓脂肪 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症と深く関わっています。内臓脂肪が増えると、脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスが崩れ、中性脂肪の合成が促進されます。また、内臓脂肪の蓄積はインスリンの働きを低下させる原因にもなり、これが中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を招きます。さらに、内臓脂肪型肥満は動脈硬化の進行とも関連が深く、脂質異常症を放置すると心血管疾患のリスクがさらに高まります。ウエスト周りの脂肪が気になる患者は、脂質値の変化にも注意を払うことが望ましいといえます。 飲酒 過度な飲酒も、脂質異常症、特に中性脂肪の上昇と密接に関係しています。アルコールが肝臓で分解される過程において、中性脂肪の合成が促進されるためです。日常的に飲酒量が多い状態が続くと、肝臓での中性脂肪の生成が増え続け、血中の中性脂肪値が高い状態が定着しやすくなります。また、過度な飲酒は肥満やエネルギー過多にもつながりやすく、脂質代謝全体にも影響を及ぼします。適量を超える飲酒習慣がある患者は、中性脂肪の数値に特に注意を払うことをおすすめします。 喫煙 喫煙も、脂質異常症のリスクを高める要因として知られています。タバコに含まれる成分は、HDLコレステロールの働きを低下させ、血中濃度を減少させる作用があります。HDLコレステロールが低下すると、血管壁に蓄積した余分なコレステロールの回収機能が弱まり、動脈硬化が進行しやすくなります。さらに、喫煙は血管内皮を傷つけ、LDLコレステロールが血管壁に沈着しやすい環境を作り出すことも指摘されています。このように、喫煙は脂質値そのものに加え、動脈硬化のリスクを複合的に高める習慣といえます。 脂質異常症は、食生活の乱れや運動不足、肥満、飲酒、喫煙など、複数の生活習慣が絡み合って起こります。原因を正しく理解し、生活習慣を見直すことが、脂質値の改善につながります。   遺伝が原因となる脂質異常症もある 脂質異常症は、生活習慣が悪い人だけがなる病気ではありません。中には、生まれ持った体質によってLDLコレステロールが高くなる「家族性高コレステロール血症(FH)」という遺伝性の疾患も存在します。これは、LDLコレステロールを肝臓に取り込む役割を担う受容体の働きに、遺伝的な異常が生じることで起こります。この受容体がうまく機能しないと、血液中のLDLコレステロールを十分に処理できず、若い頃から高い数値が続くことになります。なお、家族性高コレステロール血症の特徴として、食生活や運動習慣に大きな問題がないにもかかわらず、10代や20代といった若年層からLDLコレステロール値が高い状態が続く点が挙げられます。また、この疾患は遺伝によって受け継がれるため、血縁者にも同様の傾向がみられることが少なくありません。加えて、コレステロールが蓄積しやすい体質のため、動脈硬化が若いうちから進行しやすく、放置すると心筋梗塞などの冠動脈疾患を若年で発症するリスクも高まります。そのため、家族に高コレステロール血症と診断された方がいる場合や、若くして心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患を経験した血縁者がいる場合には、自覚症状がなくても一度医療機関へ相談することをおすすめします。早期に発見し、適切な治療を始めることで、将来的な心血管疾患のリスクを大きく減らすことにつながります。生活習慣を整えていても脂質値が改善しにくい患者は、遺伝的な要因が関わっている可能性も視野に入れて、専門的な検査を受けることが望ましいといえます。   他の病気が原因となる脂質異常症 脂質異常症の中には、他の病気が原因となって起こるものもあります。このように、他の疾患によって二次的に脂質値が乱れる状態は「続発性(二次性)脂質異常症」と呼ばれます。ここでは、原因となりやすい代表的な病気について解説します。 糖尿病 糖尿病と脂質異常症は、併存しやすい関係にあることが知られています。インスリンの働きが低下すると、脂肪の分解が進みやすくなり、肝臓での中性脂肪の合成が促進されます。また、糖代謝の異常はHDLコレステロールの低下や、小型で酸化されやすい性質を持つLDLコレステロールの増加にもつながりやすく、動脈硬化のリスクをさらに高める要因となります。そのため、糖尿病の患者は、血糖値だけでなく脂質値の変化にも注意を払うことが大切です。糖尿病については「千葉市都賀で生活習慣病が気になる方へ|基礎知識から予防・管理まで解説」でより詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症も、脂質異常症の原因となる病気の一つです。甲状腺ホルモンには、LDLコレステロールを肝臓で分解・排出する働きを助ける役割がありますが、甲状腺機能が低下すると、この働きが弱まり、LDLコレステロールが血液中に蓄積しやすくなります。加えて、甲状腺機能低下症は中性脂肪の代謝にも影響を及ぼすことがあり、あわせて数値が上昇するケースもみられます。生活習慣に大きな変化がないのに脂質値が急に悪化した場合は、甲状腺の機能を確認することも重要です。なお、甲状腺機能低下症については「甲状腺機能低下症の症状とは?初期症状や女性にみられやすい変化、検査・治療を解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 腎臓病 腎臓病も、脂質代謝に影響を及ぼすことがある病気です。特に、ネフローゼ症候群と呼ばれる腎疾患では、尿中に大量のタンパク質が排出されることで血液中のタンパク質濃度が低下し、これを補おうとして肝臓でのコレステロール合成が活発になります。その結果、LDLコレステロールや中性脂肪が上昇しやすくなります。なお、慢性腎臓病においても腎機能の低下に伴って脂質代謝のバランスが崩れ、脂質異常症を合併することが少なくありません。腎機能の状態と脂質値は互いに関連しているため、どちらも継続的に確認することが望ましいといえます。 肝臓・胆道系の病気など 肝臓や胆道系の病気も、脂質値に異常をもたらすことがあります。肝臓は脂質の合成や分解、コレステロールの排出に深く関わる臓器であるため、肝機能が低下すると脂質代謝全体に影響が及びやすくなります。また、胆道が閉塞して胆汁の流れが滞る病気では、本来排出されるはずのコレステロールが血液中に滞留し、数値が上昇する場合があります。このほかにも、クッシング症候群や一部の薬剤なども脂質値に影響を与えることが知られており、原因は多岐にわたります。 このように、脂質異常症は他の病気によって引き起こされている場合があります。この場合、生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらないことも多く、原因となっている疾患そのものを治療することが重要になります。数値の改善がみられない際は、背景にある病気の有無を確認することをおすすめします。   薬が原因となる場合もある 脂質異常症は、服用している薬剤の影響によって起こる場合もあります。治療のために使用している薬が、体内の脂質代謝に作用し、結果としてLDLコレステロールや中性脂肪の値を変化させることがあるためです。例えば、ステロイド薬や一部の利尿薬、経口避妊薬などは、脂質値に影響を及ぼす可能性がある薬剤として知られています。また、薬の種類によって、LDLコレステロールが上昇しやすいもの、中性脂肪が上昇しやすいものなど、影響の現れ方はさまざまです。このように薬剤が原因となっている場合、他の疾患が原因のケースと同様、生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらないことがあります。ただし、薬剤性の脂質異常症が疑われるからといって、自己判断で服用中の薬を中止することは避けてください。持病の治療のために処方されている薬を急に中断すると、もとの病状が悪化してしまう危険性があります。薬の効果と脂質値への影響を天秤にかけながら、治療方針を検討することが大切です。そのため、健康診断などで脂質値の異常を指摘され、服用中の薬剤との関連が疑われる場合には、自己判断で対応せず、処方医または薬剤師へ相談することをおすすめします。医師が薬の種類や量を調整したり、必要に応じて他の薬剤への変更を検討したりすることで、脂質値の改善が期待できる場合もあります。現在治療中の病気があり、薬を服用している患者は、脂質値の変化についても定期的に確認しておくと安心です。   脂質の種類によって考えられる原因は異なる 脂質異常症とひと口にいっても、どの数値に異常があるかによって、考えられる原因は異なります。 LDLコレステロールが高い場合 LDLコレステロールが高い場合、まず考えられるのは食生活の影響です。飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪の摂りすぎは、肝臓でのLDLコレステロールの生成を促進します。また、家族性高コレステロール血症のように、遺伝的にLDLコレステロールが高くなる体質を持つ患者も存在します。この場合、若いうちから数値が高く、生活習慣の乱れがなくても改善しにくいという特徴がみられます。さらに、甲状腺機能低下症もLDLコレステロールを上昇させる原因の一つです。甲状腺ホルモンにはLDLコレステロールの分解を助ける働きがあるため、この機能が低下すると、血液中に蓄積しやすくなります。このように、LDLコレステロールが高い背景には、生活習慣・遺伝・他の病気など、複数の要因が関わっている場合があります。 中性脂肪が高い場合 中性脂肪が高い場合には、糖質やアルコールの過剰摂取が大きく関係しています。ご飯やパン、菓子類などの糖質を摂りすぎると、余った分が中性脂肪として体内に蓄積されやすくなります。また、アルコールも肝臓での中性脂肪の合成を促進するため、飲酒量が多い患者では数値が上昇しやすい傾向がみられます。加えて、肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、中性脂肪の代謝に悪影響を及ぼす要因として知られています。さらに、糖尿病のようにインスリンの働きが低下する病気も、中性脂肪の上昇と深く関わっています。このように、中性脂肪が高い場合には、食生活や飲酒習慣に加え、肥満や糖代謝の異常が背景にあるケースが多くみられます。 HDLコレステロールが低い場合 HDLコレステロールが低い場合には、運動不足が主な原因の一つとして挙げられます。運動には、HDLコレステロールを増やす働きがあるため、日頃から体を動かす機会が少ないと、数値が低下しやすくなります。また、肥満、特に内臓脂肪の蓄積もHDLコレステロールを低下させる要因として知られています。さらに、喫煙もHDLコレステロールに悪影響を及ぼすことが分かっており、タバコに含まれる成分がHDLコレステロールの働きを妨げ、血中濃度を減少させます。このように、HDLコレステロールが低い背景には、運動習慣の不足や肥満、喫煙といった、複数の生活習慣が重なっている場合が少なくありません。 検査値からみる原因と見直したいポイント これまで解説してきた内容を、検査値ごとに整理すると以下の通りです。 検査値 関連する生活習慣・疾患 見直したいポイント LDLコレステロールが高い 飽和脂肪酸の多い食生活、家族性高コレステロール血症、甲状腺機能低下症など 動物性脂肪の摂りすぎを控える、若年からの高値や家族歴があれば医療機関へ相談 中性脂肪が高い 糖質・アルコールの過剰摂取、肥満、糖尿病など 糖質・お酒の摂取量を見直す、適正体重を目指す HDLコレステロールが低い 運動不足、肥満、喫煙など 有酸素運動を習慣にする、禁煙に取り組む LDL・中性脂肪ともに高い 摂取エネルギー過多、内臓脂肪の蓄積など 食事量・内容全体を見直す、内臓脂肪を減らす取り組みを行う 数値に大きな変動がある 薬剤の影響、他の病気(腎臓病・肝臓病など) 服用中の薬を自己判断で中止せず医師に相談する どの数値に異常がみられるかによって、関連しやすい生活習慣や疾患、見直すべきポイントは異なります。ご自身の検査結果と照らし合わせながら、原因を把握する際の参考にしてください。 このように、脂質異常症は「どの数値が」「どの方向に」異常を示しているかによって、考えられる原因が異なります。LDLコレステロールが高い場合には食生活や遺伝、甲状腺機能低下症、中性脂肪が高い場合には糖質・アルコールの過剰摂取や肥満、糖尿病、HDLコレステロールが低い場合には運動不足や肥満、喫煙といった要因が関係しています。自分の検査結果のどこに異常があるのかを正しく把握することで、見直すべき生活習慣や、疑うべき病気の方向性も見えてきます。数値の意味を理解したうえで、原因に応じた対策に取り組むことが、脂質異常症の改善につながります。   脂質異常症を放置するとどうなる? 脂質異常症を放置すると、動脈硬化が静かに進行していきます。血液中に増えすぎたLDLコレステロールは血管の内壁に入り込み、そこに蓄積していくことで血管の壁が厚く、硬くなっていきます。この状態が動脈硬化であり、血管の内側が狭くなることで血流が悪化し、全身のさまざまな臓器に負担がかかるようになります。動脈硬化は、自覚症状がないまま進行することが多いため、気づいたときにはかなり進行しているケースも少なくありません。動脈硬化が進行すると、心臓や脳、足の血管など、全身の血管に影響が及びます。また、心臓に栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋梗塞や狭心症を引き起こすリスクが高まります。さらに、脳の血管で同様の変化が起こると、脳梗塞につながる可能性があります。加えて、足の血管の動脈硬化が進行すると、末梢動脈疾患を発症し、歩行時の痛みやしびれ、重症化すると足の壊死に至ることもあります。これらはいずれも、命に関わる、あるいは生活の質を大きく損なう病気です。このように、脂質異常症は自覚症状が乏しいまま進行し、気づかないうちに重大な病気のリスクを高めてしまう病気です。だからこそ、自分の脂質異常症がどのような原因によって起こっているのかを正しく理解し、それに応じた改善や治療に早めに取り組むことが重要になります。原因を知ることは、単に数値を下げるためだけでなく、将来の心血管疾患を防ぎ、健康な生活を長く維持するための第一歩といえます。   脂質異常症の原因を調べる検査 脂質異常症と診断された場合、単にLDLコレステロールや中性脂肪の数値を確認するだけでなく、その背景にある原因を調べる検査を行う場合があります。これまで説明してきたように、脂質異常症には食生活や運動不足といった生活習慣によるものだけでなく、遺伝や他の病気、服用中の薬剤が関係しているケースもあるため、原因を明らかにすることが、その後の治療方針を決めるうえで重要な意味を持ちます。具体的な検査では、まずLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪といった脂質の数値を詳しく確認します。これらの数値のバランスを見ることで、動脈硬化のリスクをより正確に把握することができます。また、甲状腺機能低下症が脂質異常症の原因になっている場合もあるため、必要に応じて甲状腺ホルモンの値を調べる血液検査を行うことがあります。加えて、肝臓や腎臓の機能も脂質代謝と深く関わっているため、肝機能・腎機能に関する項目もあわせてチェックされることが一般的です。なお、このほかにも糖尿病の有無を確認するための血糖値やHbA1cの検査、家族性高コレステロール血症が疑われる場合には、家族歴の聞き取りや遺伝子検査が行われることもあります。このように、脂質異常症の検査は、数値の異常を見つけるだけでなく、その原因を多角的に探るために行われます。原因に応じた適切な治療を受けるためにも、医療機関での検査を通じて、自身の脂質異常症の背景を正しく把握しておくことが大切です。   脂質異常症を改善するためにできること 脂質異常症の原因は人によってさまざまであるため、改善方法もその原因に応じて考えることが大切です。ここでは、脂質異常症を改善するためにできることについて解説します。 食生活を見直す 脂質異常症の改善において、食生活の見直しは基本となる取り組みです。ただし、原因や脂質値の状態によって、意識すべきポイントは異なります。LDLコレステロールが高い場合には、バターや脂身の多い肉などに含まれる飽和脂肪酸を控え、青魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸を意識的に取り入れることが望ましいといえます。また、中性脂肪が高い場合には、ご飯やパン、菓子類、アルコールなど、糖質やエネルギーの摂りすぎに注意する必要があります。このように、自分の脂質値のどこに問題があるのかを把握したうえで、それに合わせた食事内容を選ぶことが、効果的な改善につながります。 適度な運動を続ける 運動習慣を身につけることも、脂質異常症の改善に役立ちます。特に、ウォーキングや水泳、サイクリングといった有酸素運動は、中性脂肪の分解を促し、HDLコレステロールを増やす効果が期待できます。運動は、激しい内容よりも、無理なく継続できる強度と頻度で行うことが重要です。急に負荷の高い運動を始めると長続きしにくいため、まずは一日20~30分程度のウォーキングなど、日常生活に取り入れやすい運動から始めることをおすすめします。なお、通勤時に階段を使う、一駅分歩くなど、生活の中で体を動かす機会を増やす工夫も効果的です。 適正体重を目指す 肥満や内臓脂肪の蓄積がみられる場合には、体重管理に取り組むことが脂質値の改善につながります。内臓脂肪が減少すると、中性脂肪の合成が抑えられるとともに、HDLコレステロールの値が改善しやすくなることが知られています。体重を減らす際は、急激な減量ではなく、食事の見直しと運動を組み合わせながら、無理のないペースで進めることが大切です。また、体重だけでなく、ウエスト周囲径の変化にも注目すると内臓脂肪の減り具合を確認する目安になります。適正体重を維持することは、脂質異常症だけでなく、他の生活習慣病の予防にもつながります。 飲酒・喫煙を見直す 過度な飲酒や喫煙の習慣がある場合には、これらを見直すことも脂質異常症の改善に有効です。飲酒量が多いと中性脂肪が上昇しやすくなるため、適量を意識し、休肝日を設けるなどの工夫が求められます。また、喫煙はHDLコレステロールを低下させ、動脈硬化のリスクを高める要因となるため、禁煙に取り組むことが望ましいといえます。加えて、喫煙は血管そのものにも負担をかけるため、脂質値の改善とあわせて、血管の健康を守るという観点からも禁煙は重要な取り組みといえます。 必要に応じて薬物療法を行う 生活習慣の改善を行っても十分に脂質値が下がらない場合や、動脈硬化のリスクが高いと判断される場合には、薬物療法を検討することがあります。使用する薬剤は、LDLコレステロールを下げるものや中性脂肪を下げるものなど、脂質値の状態や原因によって選択されます。また、家族性高コレステロール血症のように遺伝的な要因が関わっている場合や、他の病気が背景にある場合には、生活習慣の改善とあわせて薬物療法が必要になることも少なくありません。なお、薬物療法の必要性については、脂質値や年齢、他の危険因子の有無などを踏まえて、医師が総合的に判断します。 脂質異常症の改善には、食生活の見直しや運動習慣、体重管理、飲酒・喫煙の見直しといった生活習慣の改善が基本となります。ただし、家族性高コレステロール血症のような遺伝性の脂質異常症や、他の病気・薬剤が原因となっている続発性の脂質異常症の場合には、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないことがあります。このようなケースでは、原因疾患の治療や薬物療法をあわせて行うことが必要になります。自分の脂質異常症がどのような原因によるものかを把握したうえで、生活習慣の改善と、必要に応じた医療的なサポートを組み合わせて取り組むことが、健康な血管を維持するために大切です。   まとめ ここまで解説してきたように、脂質異常症の原因は食生活の乱れだけでなく、運動不足や肥満、遺伝、他の病気、服用中の薬剤など、多岐にわたります。そのため、健康診断で脂質値の異常を指摘された際には、自分の生活習慣を振り返るとともに、それ以外の原因が隠れている可能性についても視野に入れることが大切です。特に、生活習慣に大きな乱れがないにもかかわらずLDLコレステロールが高い場合には、家族性高コレステロール血症のような遺伝性疾患の可能性も考慮する必要があります。なお、脂質異常症は原因によって適切な対応が異なる病気です。健康診断で脂質異常を指摘された際に、これを放置してしまうと、自覚症状のないまま動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など重大な病気につながるおそれがあります。したがって指摘を受けた際には、原因を確認するとともに、動脈硬化のリスクがどの程度あるのかを把握することが重要です。原因を正しく理解することが、その後の改善や治療の方向性を決めるための第一歩になります。当院では、脂質異常症をはじめ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に関する診療を行っております。血液検査による脂質値や血糖値の確認に加え、必要に応じて甲状腺機能や肝機能・腎機能などの検査もあわせて実施し、原因を多角的に確認しながら診療を進めてまいります。健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪の数値について指摘を受けた方、原因がわからず不安を感じている方は、放置せずに一度当院までご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

アレルギー内科

アレルギー性鼻炎の症状とは?くしゃみ・鼻水・鼻づまりの特徴や風邪との違いを解説

アレルギー内科に関する記事です。
鼻水・鼻づまり・くしゃみが何日も続くと、「これは風邪なのか、それともアレルギーなのか…」と迷う方は多いです。アレルギー性鼻炎には、風邪とは異なるいくつかの特徴的な症状があります。また、花粉症もアレルギー性鼻炎の一種であり、季節によって症状が現れやすい時期が異なります。さらに、副鼻腔炎など似た症状を起こす病気もあるため、自己判断だけで見分けるのは難しい場合があります。この記事では、アレルギー性鼻炎の症状の特徴に加え、風邪や副鼻腔炎との違い、検査や治療、日常生活でできるセルフケアについて詳しく解説します。症状が続いて不安な方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 アレルギー性鼻炎とは アレルギー性鼻炎の代表的な3つの症状 鼻以外に現れることがある症状 花粉症とアレルギー性鼻炎の違い アレルギー性鼻炎と風邪の症状の違い 副鼻腔炎との違いは? 子どものアレルギー性鼻炎で気付きたい症状 アレルギー性鼻炎の検査・診断 アレルギー性鼻炎の治療方法 日常生活でできるアレルギー性鼻炎対策 まとめ   アレルギー性鼻炎とは アレルギー性鼻炎は、体内に入ってきた特定の物質(アレルゲン)に対して免疫が過剰に反応し、鼻の粘膜に炎症が起こる病気です。原因となるアレルゲンが鼻の粘膜に付着すると、体はそれを排除しようとして、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を引き起こします。これは体を守るための防御反応ですが、過剰に働くことで日常生活に支障をきたすことがあります。アレルギー性鼻炎は、症状が現れる時期によって大きく二つに分けられます。一つは「季節性アレルギー性鼻炎」で、代表的なものが花粉症です。スギやヒノキ、イネ科植物などの花粉が飛散する時期に一致して症状が現れるため、患者自身も原因に気づきやすい傾向があります。もう一つは「通年性アレルギー性鼻炎」で、ハウスダストやダニ、ペットの毛などが主な原因となります。こちらは季節を問わず一年を通して症状が続くため、風邪や体質と誤解されやすい点に注意が必要です。なお、どちらのタイプも根本的な原因はアレルゲンに対する免疫反応であり、症状のメカニズム自体に大きな違いはありません。   アレルギー性鼻炎の代表的な3つの症状 アレルギー性鼻炎では、くしゃみ・鼻水・鼻づまりという3つの症状が特に多くみられます。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。 くしゃみ アレルギー性鼻炎のくしゃみは、一度だけでなく連続して何度も出やすいことが特徴です。アレルゲンが鼻の粘膜を刺激すると、体はそれを外に出そうとして反射的にくしゃみを繰り返します。朝起きた直後や、掃除・花粉の多い屋外に出た際など、特定のタイミングで急に始まることも少なくありません。また、風邪のくしゃみは発熱や喉の痛みなど他の症状を伴うことが多いのに対し、アレルギー性鼻炎の場合は発熱を伴わずくしゃみだけが続く点も見分けるポイントになります。さらに、目のかゆみや涙目を同時に感じる場合は、アレルギーが関係している可能性が高くなります。日常生活の中で「同じ場所や時間帯にくしゃみが出やすい」と感じる場合は、注意して観察することをおすすめします。 鼻水 アレルギー性鼻炎でみられる鼻水は、水のように透明でさらさらしていることが典型的です。粘り気が少なく、ティッシュで拭いてもすぐに出てくるような、止まりにくい鼻水が続く場合はアレルギーが関係していることがあります。加えて、鼻水と一緒にくしゃみや鼻づまりが同時に起こることも多く、これらの症状が組み合わさることでアレルギー性鼻炎が疑われます。なお、風邪の場合は経過とともに鼻水の色が黄色や緑色に変化し粘り気が増す傾向がありますが、アレルギー性鼻炎では透明な状態が長く続きやすい点が異なります。特定の季節や場所で症状が強くなる場合は、花粉やハウスダストなど身の回りのアレルゲンを一度見直してみてください。 鼻づまり 鼻づまりは、アレルゲンによる炎症で鼻の粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなることで起こります。鼻呼吸がしづらくなるため、無意識のうちに口呼吸になってしまう方も少なくありません。特に夜間に症状が強くなると、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりすることがあり、睡眠の質に影響を及ぼす場合があります。さらに、日中も鼻づまりが続くと頭がぼんやりしたり、集中力が続かなかったりすることがあり、仕事や勉強のパフォーマンスにも関わってきます。なお、左右の鼻の詰まり方が入れ替わるように感じることも、アレルギー性鼻炎の鼻づまりによくみられる特徴です。長引く鼻づまりを放置せず、症状が続く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。 アレルギー性鼻炎では、連続するくしゃみ、透明でさらさらした鼻水、鼻粘膜の腫れによる鼻づまりという3つの症状が代表的です。これらが重なって長く続く場合は、風邪ではなくアレルギーが関係している可能性があります。   鼻以外に現れることがある症状 アレルギー性鼻炎は鼻の症状だけでなく、目や喉、全身の状態にも影響を及ぼすことがあります。ここでは、鼻以外に現れることがある症状について解説します。 目のかゆみ・充血・涙 花粉などがアレルゲンとなっている場合、鼻だけでなく目にも症状が現れることが多くあります。目のかゆみは代表的な症状のひとつで、こすりたくなるほど強いかゆみを感じることもあります。また、白目の部分が赤くなる充血や、涙が止まらなくなるといった症状を伴うこともあり、これらはアレルギー性結膜炎と呼ばれる状態です。花粉症の時期に目と鼻の両方に症状が出る場合は、同じアレルゲンが原因となっているケースが多いと考えられます。なお、目をこすりすぎると角膜を傷つける恐れがあるため、かゆみが強いときは冷やしたタオルで目元を冷やすなど、こすらずに対処することを心がけてください。 喉の違和感・咳 アレルギー性鼻炎では、鼻水が鼻の奥から喉へと流れ込む「後鼻漏」と呼ばれる状態が起こることがあります。これにより、喉にイガイガとした違和感を覚えたり、痰が絡むような感覚が続いたりすることがあります。また、喉に流れ込んだ鼻水が刺激となって、乾いた咳が出やすくなる場合もあります。特に横になると鼻水が喉へ流れやすくなるため、就寝時や起床直後に咳が出やすいと感じる方もいます。風邪と異なり発熱を伴わずに喉の違和感や咳だけが続く場合は、アレルギーが関係している可能性を考えてみてください。 頭が重い・集中しにくい 鼻づまりが続くと、脳への酸素供給がスムーズにいかなくなることなどから、頭が重く感じられたり、ぼんやりとした感覚が続いたりすることがあります。また、鼻で十分に呼吸ができないことで体全体が軽い疲労状態になり、日中の集中力が続きにくくなる場合もあります。仕事や勉強に取り組んでいても、いつの間にか意識がそれてしまう、作業の効率が上がらないと感じるときは、鼻づまりが影響しているかもしれません。症状が軽いうちは見過ごされがちですが、集中力の低下が続く場合は一度耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。 口呼吸・睡眠への影響 鼻づまりによって鼻呼吸が難しくなると、無意識のうちに口呼吸へと切り替わってしまうことがあります。口呼吸が続くと喉が乾燥しやすくなり、朝起きたときに喉の痛みや違和感を覚える方も少なくありません。また、夜間に鼻づまりが強くなると呼吸がしづらくなり、途中で目が覚めてしまうなど、睡眠の質が低下することがあります。十分な睡眠が取れないと、日中の眠気や集中力低下にもつながるため、鼻づまりによる口呼吸や睡眠への影響は軽視できません。気になる症状がある場合は、寝る前の鼻づまり対策を工夫してみてください。 アレルギー性鼻炎は、鼻の症状だけでなく目のかゆみや喉の違和感、集中力の低下、睡眠への影響など、全身にさまざまな形で現れることがあります。これらの症状に心当たりがある場合は、鼻の症状と合わせて確認してみてください。   花粉症とアレルギー性鼻炎の違い 花粉症とアレルギー性鼻炎は、しばしば同じものとして語られますが、正確には花粉症はアレルギー性鼻炎の中の一つのタイプです。アレルギー性鼻炎は、特定のアレルゲンに対して免疫が過剰に反応し、鼻の粘膜に炎症が起こる病気全般を指します。その中でも、スギやヒノキ、イネ科植物、ブタクサなどの花粉が原因となり、決まった季節に症状が現れるものを花粉症、医学的には季節性アレルギー性鼻炎と呼びます。日本ではスギ花粉が春先に飛散量のピークを迎えることから、花粉症といえば春のイメージを持つ方も多いですが、原因となる植物によって飛散時期は異なり、夏や秋に症状が出る方もいます。一方、アレルギー性鼻炎にはもう一つ、通年性アレルギー性鼻炎というタイプがあります。こちらの主な原因は、ハウスダストやダニ、カビ、ペットの毛やフケなど、季節を問わず身の回りに存在するアレルゲンです。そのため、特定の季節に限らず一年を通して症状が続きやすく、掃除の際に症状が悪化したり、寝具に触れる時間帯である朝方に症状が強く出たりすることもあります。このように整理すると、「アレルギー性鼻炎イコール花粉症」ではないことがわかります。花粉症は季節性アレルギー性鼻炎の代表例ではありますが、アレルギー性鼻炎全体からみればその一部にすぎません。年間を通して鼻の症状が続く場合は、花粉ではなくダニやハウスダストなど、身近な原因が関わっている可能性も考えてみてください。   アレルギー性鼻炎と風邪の症状の違い 鼻水やくしゃみ、鼻づまりが続くと、アレルギー性鼻炎なのか風邪なのか判断に迷うことがあります。両者は似た症状を示すことが多いものの、鼻水の性状や発熱の有無など、いくつかの点で違いがみられます。代表的な症状の違いは以下の通りです。 項目 アレルギー性鼻炎 風邪 鼻水 透明でさらさらしている 初期は透明、次第に粘り気のある黄色や緑色に変化 くしゃみ 連続して出やすい 単発的にみられる程度 鼻づまり 症状として多くみられる みられることがある 目のかゆみ みられやすい(充血・涙を伴うことも) あまりみられない 発熱 ほとんど伴わない 伴う場合がある 症状の持続期間 数日〜数週間、またはそれ以上続くことがある 1週間〜10日程度で落ち着くことが多い   アレルギー性鼻炎では、水のように透明でさらさらとした鼻水が続くことが多く、連続したくしゃみがみられやすい傾向があります。また、目のかゆみや充血を伴うことも多く、花粉やハウスダストなど特定のアレルゲンに触れたタイミングで症状が強くなることが特徴です。発熱を伴うことは少なく、症状は数日から数週間、あるいはそれ以上続くこともあります。一方、風邪の場合は、初期は透明な鼻水でも次第に粘り気のある黄色や緑色の鼻水に変化していくことが多く、くしゃみは単発的にみられる程度にとどまることが一般的です。また、発熱や喉の痛み、体のだるさなど全身の症状を伴いやすく、目のかゆみが出ることはあまりありません。多くの場合、1週間から10日程度で症状が落ち着いていきます。このように、鼻水の性状や発熱の有無、症状が続く期間などを確認することで、ある程度アレルギー性鼻炎と風邪を見分けることができます。ただし、風邪をきっかけにアレルギー性鼻炎の症状が悪化したり、両方の症状が同時に現れたりすることもあり、症状だけで明確に判断することが難しい場合も少なくありません。症状が長引く場合や、市販薬を使っても改善がみられない場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断を受けることをおすすめします。   副鼻腔炎との違いは? 副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に炎症が起こる病気で、アレルギー性鼻炎と症状が似ている部分があるため混同されやすい病気です。見分けるポイントの一つが鼻水の性状です。アレルギー性鼻炎の鼻水は水のように透明でさらさらしていることが多いのに対し、副鼻腔炎では粘り気のある黄色や緑色の鼻水が出やすく、鼻の奥にドロッとした感覚が残ることもあります。また、副鼻腔炎では鼻水が喉に流れ込む後鼻漏が強く出やすく、痰の絡んだような咳が続くこともあります。顔面痛や頭痛の有無も、両者を見分ける手がかりになります。なお、副鼻腔炎では、額や頬、目の周りといった副鼻腔がある部分に重だるい痛みや圧迫感を覚えることがあり、前かがみになると痛みが強まる場合もあります。一方で、アレルギー性鼻炎では顔面痛を伴うことは比較的少なく、主に鼻や目、喉といった粘膜の症状が中心となります。さらに、嗅覚の低下も注目したい症状です。副鼻腔炎が進行すると、鼻の粘膜の腫れや膿の貯留によって、においを感じにくくなることがあります。アレルギー性鼻炎でも鼻づまりが強い場合に一時的に嗅覚が鈍ることはありますが、副鼻腔炎ほど長期間にわたって嗅覚低下が続くことは少ない傾向にあります。このように、鼻水の色や粘り気、顔面痛や頭痛、嗅覚の変化などを確認することで、ある程度両者を見分けることができます。ただし、自己判断だけで正確に区別することは難しく、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎を併発しているケースも少なくありません。症状が2週間以上続く場合や、痛みや膿のような鼻水が気になる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。   子どものアレルギー性鼻炎で気付きたい症状 子どもは自分の症状をうまく言葉で説明できないことが多く、周囲の大人が行動の変化から気付いてあげる必要があります。次のような様子がみられる場合は、アレルギー性鼻炎の可能性を考えてみてください。 ・鼻や目を頻繁にこする ・くしゃみを繰り返す ・いつも口が開いている ・鼻水が続いている ・鼻の下が赤くなっている、皮膚が荒れている ・食事や睡眠中に鼻をすする音が気になる ・夜間に何度も目を覚ます、いびきをかく ・集中力が続かず、ぼんやりしていることが多い ・鼻を上に向けて何度もクンクンさせる仕草をする 子どものアレルギー性鼻炎は、本人が「鼻がつらい」とはっきり訴えられないことも多く、周囲の大人が普段の様子から気付いてあげることが大切です。頻繁に鼻や目をこする、くしゃみを繰り返す、口がいつも開いているといった行動は、鼻の不快感を無意識にしぐさで表しているサインかもしれません。また、集中力が続かなかったり、夜間何度も目を覚ましたりする様子がみられる場合は、鼻づまりが睡眠や日中の活動に影響している可能性もあります。このような様子が続くときは、早めに小児科や耳鼻咽喉科に相談し、子どもの負担を減らしてあげることをおすすめします。   アレルギー性鼻炎の検査・診断 アレルギー性鼻炎の診断は、問診や検査を通して症状の原因を明らかにしていく流れで進められます。ここでは、アレルギー性鼻炎の検査・診断について解説します。 問診 診断の第一歩は問診です。医師は、いつ頃から症状が始まったか、どのような時期や場所で症状が出やすいか、どのくらいの頻度で症状が続いているかなどを詳しく確認します。また、自宅の環境やペットの有無、掃除の頻度、仕事や学校での過ごし方といった生活環境についても質問することがあります。これらの情報は、季節性のアレルギー性鼻炎なのか、通年性のアレルギー性鼻炎なのかを見極めるうえで重要な手がかりとなります。さらに、家族にアレルギー体質の方がいるかどうかも、診断の参考になる場合があります。なお、問診で得られた情報をもとに、必要な検査の方向性が決まっていきます。 血液検査(特異的IgE抗体) 問診で症状の傾向が把握できたら、原因となるアレルゲンを特定するために血液検査を行う場合があります。この検査では、スギやヒノキ、ダニ、ハウスダストなど、特定のアレルゲンに対する特異的IgE抗体の値を調べます。数値が高いほど、そのアレルゲンに対する反応が強い可能性があると考えられます。また、一度の採血で複数のアレルゲンをまとめて調べられる検査もあり、原因がはっきりしない場合の手がかりとして役立ちます。血液検査の結果は、今後の治療方針やセルフケアの方向性を決めるうえでも参考にされます。 必要に応じたその他の検査 症状や診察の結果によっては、血液検査以外の検査が追加で行われることもあります。例えば、鼻の粘膜の状態を直接確認するための鼻鏡検査や、鼻の中の分泌物を採取して炎症細胞の有無を調べる鼻汁好酸球検査などが挙げられます。また、皮膚に直接アレルゲンを反応させて調べる皮膚テストが行われる場合もあります。これらの検査は、症状が複雑な場合や、他の病気との区別が必要な場合に選択されることが多く、医師が総合的に判断したうえで実施されます。 アレルギー性鼻炎の診断は、問診で症状や生活環境を確認したうえで、必要に応じて血液検査やその他の検査を組み合わせて行われます。原因を正しく把握することが、その後の治療やセルフケアにつながります。   アレルギー性鼻炎の治療方法 アレルギー性鼻炎の治療には、原因物質を避ける工夫から薬物療法、体質改善を目指す治療法まで、いくつかの選択肢があります。ここでは、アレルギー性鼻炎の治療方法について解説します。 アレルゲンの回避 治療の基本となるのが、原因となるアレルゲンをできるだけ避けることです。花粉が原因の場合は、飛散量の多い時期に外出時マスクやメガネを着用したり、帰宅後に衣類や髪についた花粉を払い落としたりする工夫が役立ちます。また、ダニやハウスダストが原因の場合は、こまめな掃除機がけや寝具の洗濯、換気を心がけることで室内のアレルゲンを減らすことができます。なお、ペットの毛が原因となっている場合は、寝室への出入りを制限するなどの対策も検討してみてください。アレルゲンを完全に避けることは難しいものの、日常生活の中でできる範囲の対策を積み重ねることが、症状の軽減につながります。 薬物療法 症状を和らげる目的で、薬物療法が広く用いられています。くしゃみや鼻水が中心の場合は抗ヒスタミン薬、鼻づまりが強い場合は鼻噴霧用ステロイド薬など、症状のタイプや強さに応じて薬が選ばれます。また、症状が複数重なっている場合は、複数の薬を組み合わせて使用することもあります。市販薬でも一定の効果が期待できますが、眠気などの副作用が出る薬もあるため、症状が長引く場合や強い場合は医療機関を受診し、体質や生活スタイルに合った薬を処方してもらうことをおすすめします。 アレルゲン免疫療法 薬物療法とは異なるアプローチとして、アレルゲン免疫療法という治療法があります。これは、原因となるアレルゲンを少量ずつ体に取り入れることで、体を徐々に慣らし、アレルギー反応そのものを起こしにくくすることを目指す治療法です。スギ花粉やダニなど、対象となるアレルゲンが決まっており、舌の下に薬剤を投与する舌下免疫療法などの方法があります。なお、治療には数年単位の期間が必要となるため、患者の症状や生活状況、希望に応じて医師と相談しながら実施が検討されます。 アレルギー性鼻炎の治療は、アレルゲンの回避を基本としながら、症状に応じた薬物療法や、体質改善を目指すアレルゲン免疫療法を組み合わせて行われます。自分に合った治療法を見つけるためにも、医師との相談を続けていくことが大切です。   日常生活でできるアレルギー性鼻炎対策 アレルギー性鼻炎の症状を和らげるためには、治療と並行して日常生活の中でできる対策を取り入れることも大切です。花粉が多い時期には、外出時にマスクやメガネを着用することで、鼻や目に入る花粉の量を減らすことができます。マスクは花粉の粒子をブロックしやすい素材のものを選び、顔にしっかりフィットさせて隙間ができないようにすることがポイントです。また、メガネやゴーグルタイプのアイウェアを併用すると、目のかゆみや充血の予防にもつながります。天気予報やニュースで花粉の飛散量が多いと予想される日は、外出時間を短くしたり、洗濯物を室内に干したりするなどの工夫も効果的です。さらに、外出先で花粉を浴びた後は、室内に持ち込まない工夫も欠かせません。帰宅時には玄関に入る前に衣類や髪についた花粉を手で払い落とすことを習慣にしてください。特にウールなど花粉が付着しやすい素材の服は避け、表面がツルツルとした素材の上着を選ぶと花粉を落としやすくなります。また、帰宅後はできるだけ早めに顔や手を洗い、うがいをすることで、粘膜に付着した花粉を洗い流すことができます。玄関先に空気清浄機を置いたり、こまめに換気をしたりすることも、室内の花粉濃度を下げるうえで役立ちます。なお、ダニやハウスダストが原因となっている場合は、寝具や室内環境を清潔に保つことが重要な対策となります。布団やシーツはこまめに洗濯し、天日干しや乾燥機を活用してダニの繁殖を抑えるよう心がけてください。加えて、床や畳はカーペットよりもダニが繁殖しにくいため、可能であれば掃除機がけの頻度を増やし、フローリング部分を丁寧に掃除することもおすすめです。ぬいぐるみやカーテンなど、ほこりがたまりやすいアイテムも定期的に洗濯し、部屋全体の換気を意識することで、アレルゲンの少ない室内環境を維持しやすくなります。   まとめ アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを代表的な症状とし、鼻の粘膜がアレルゲンに反応することで引き起こされる病気です。目のかゆみや喉の違和感、頭が重く感じるといった症状を伴うこともあり、日常生活に影響を及ぼす場合も少なくありません。また、原因は花粉だけに限らず、ダニやハウスダストなどによって一年を通して症状が続く通年性アレルギー性鼻炎もあるため、季節に関係なく鼻の不調が続く場合はこちらのタイプも視野に入れてみてください。花粉症をはじめとした「アレルギー疾患の症状について徹底解説!」でも症状の特徴について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。なお、アレルギー性鼻炎は、風邪や副鼻腔炎など似た症状を持つ病気との区別が難しいこともあります。市販薬を使ってもなかなか症状が改善しない場合や、鼻水・鼻づまりが長期間続く場合は、自己判断で様子をみるのではなく、早めに医療機関を受診してください。当院では、問診や血液検査を通してアレルギーの原因を調べ、症状や体質に応じた薬物療法など、アレルギー性鼻炎をはじめとしたアレルギー疾患の診療を行っています。花粉症や蕁麻疹などでお困りの方は、「都賀駅近くのアレルギー科。花粉症や蕁麻疹の症状には、アレルギー科の診察と検査を」もあわせてご覧いただき、症状が気になる際はお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

甲状腺機能低下症の症状とは?初期症状や女性にみられやすい変化、検査・治療を解説

内科に関する記事です。
「最近疲れやすい…」「寒がりになった…」「むくみが気になる…」「体重が増えた…」、このような体調の変化を感じていませんか。原因がはっきりしないまま、日々の疲労や気候のせいだと考えている方も多いです。これらの症状は、甲状腺機能低下症のサインである可能性があります。甲状腺は全身の代謝を調整する重要な臓器であり、その働きが低下すると、体のさまざまな部分に影響が及びます。したがって症状が多岐にわたり、初期段階では見過ごされやすい病気でもあります。この記事では、甲状腺機能低下症の症状や原因、検査方法、治療法、受診のタイミングについて詳しく解説します。心当たりのある方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 甲状腺機能低下症とは 甲状腺機能低下症の主な症状 初期の甲状腺機能低下症は気付きにくい 女性にみられることがある症状 甲状腺機能亢進症との症状の違い 甲状腺機能低下症の主な原因 甲状腺機能低下症を調べる検査 甲状腺機能低下症の治療 こんな症状が続く場合は内科・内分泌内科へ まとめ   甲状腺機能低下症とは 甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの産生や分泌が低下し、体に必要な量のホルモンを作り出せなくなった状態を指します。甲状腺は喉仏の下あたりに位置する小さな臓器ですが、全身に大きな影響を及ぼすホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、体内の代謝を調整する働きを担っています。エネルギーの産生や消費に関わるため、不足すると代謝全体が低下し、疲労感や体重増加といった症状につながります。また、体温の調節にも関与しており、機能が低下すると寒さを感じやすくなります。さらに、心臓の働きにも影響を与えるため、脈拍が遅くなるなどの変化が現れることもあります。このように甲状腺ホルモンは、全身のさまざまな機能を維持するうえで欠かせない存在です。なお、甲状腺機能低下症とよく混同される病気に橋本病があります。橋本病は自己免疫の異常により甲状腺に慢性的な炎症が生じる病気であり、甲状腺機能低下症を引き起こす原因のひとつです。ただし、橋本病があっても甲状腺の働きが保たれている場合もあるため、両者は完全に同じ意味ではありません(橋本病について詳しくは後述します)。   甲状腺機能低下症の主な症状 甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、全身のさまざまな部分に症状が現れる病気です。ここでは、甲状腺機能低下症の代表的な症状について解説します。 疲れやすい・だるい・眠気が強い 甲状腺ホルモンは、体の代謝を調整する役割を担っています。そのため、分泌量が低下すると、全身の代謝が落ち、体を動かすためのエネルギーが不足しやすくなります。その結果、以前と同じような生活を送っていても疲れを感じやすくなったり、だるさが続いたりすることがあります。また、日中に強い眠気を感じるようになる患者も少なくありません。こうした症状は、加齢や日々の疲労と区別がつきにくいため、見過ごされやすい点にも注意が必要です。 寒がりになる 甲状腺ホルモンには、体温を維持するための熱産生を促す働きもあります。そのため、分泌が低下すると熱を作り出す力が弱まり、以前よりも寒さを強く感じるようになることがあります。周囲の人が寒さを感じていない環境でも、自分だけ冷えを感じる、手足の先が冷たく感じるといった変化がみられる場合は、体温調節の機能に影響が出ている可能性があります。 むくみが出る 甲状腺機能低下症では、皮膚の下に水分やムチンと呼ばれる物質がたまりやすくなり、むくみとして現れることがあります。特に、まぶたや顔全体、手足にむくみが出やすく、朝起きたときに顔がむくんでいる、指輪や靴がきつく感じるといった変化で気づくことも少なくありません。このむくみは、指で押してもすぐには戻らない特徴を持つ場合があります。 体重が増える 代謝が低下することで、エネルギーの消費量が減り、食事量や運動量が大きく変わっていないにもかかわらず、体重が増加することがあります。また、体内に水分がたまりやすくなることも、体重増加の一因となります。急激な体重増加ではなく、緩やかに数キロ増えるといった変化が多いため、加齢や生活習慣の影響と思い込んでしまう患者も少なくありません。 便秘になりやすい 甲状腺ホルモンは、消化管の動きにも関わっています。分泌量が低下すると、腸の動きが緩やかになり、便秘が生じやすくなります。もともと便通に問題がなかった患者でも、便が出にくくなった、排便の回数が減ったといった変化がみられることがあり、市販薬や食生活の工夫だけでは改善しにくい場合もあります。 皮膚が乾燥する 皮膚や髪にも、甲状腺機能低下の影響が現れることがあります。皮膚の新陳代謝が落ちることで、乾燥やかさつきが目立つようになり、かゆみを伴うこともあります。また、髪の毛が細くなる、抜け毛が増える、眉毛の外側が薄くなるといった変化がみられる場合もあります。これらの変化は徐々に進行することが多く、本人が気づきにくい傾向があります。 動作や思考がゆっくりになる 甲状腺ホルモンは、脳の働きにも関与しているため、分泌が低下すると、思考や動作の速度がゆっくりになることがあります。具体的には、集中力や記憶力の低下、物覚えの悪さ、無気力な状態が続くといった症状がみられます。こうした変化は、うつ状態や認知機能の低下と間違われることもあるため、注意深く見極める必要があります。 声がかすれる 喉の周辺にも、むくみのような変化が生じることがあり、声帯やその周囲の組織に影響が及ぶと、声がかすれる嗄声という症状が現れることがあります。風邪でもないのに声のかすれが長く続く場合は、甲状腺の機能に変化が生じている可能性も考えられます。 甲状腺機能低下症の症状は多岐にわたりますが、すべての症状がすべての患者に現れるわけではありません。症状の現れ方や程度には個人差があり、複数の症状が同時に出る場合もあれば、一部の症状のみがゆるやかに進行する場合もあります。気になる変化が続く場合は、自己判断せず、医療機関で相談してください。   初期の甲状腺機能低下症は気付きにくい 甲状腺機能低下症は、初期の段階では明確な自覚症状として現れにくく、「なんとなく疲れる」「最近太りやすくなった気がする」といった、日常的な不調として現れることが多くなっています。症状の程度も緩やかで、日によって波があることも多いため、病気のサインとして意識されないまま過ごしてしまう患者も少なくありません。また、甲状腺機能低下症でみられる疲労感やだるさ、体重の変化、気分の落ち込みといった症状は、加齢による体力の低下や、睡眠不足、日々のストレス、更年期による体調変化などとも似ているため、区別がつきにくいという特徴があります。特に中高年の患者では、これらの症状を年齢のせいと捉えてしまい、医療機関を受診するタイミングを逃してしまうこともあります。そのため、だるさや冷え、便秘、体重の増加といった症状のうち、複数のものが同時に、かつ長期間にわたって続いている場合には、単なる体調不良や加齢による変化と決めつけず、一度検査を検討してください。血液検査によって甲状腺ホルモンの数値を確認することで、症状の背景に甲状腺機能低下症が隠れていないかを調べることができます。気になる症状が続く場合は、早めに医師へ相談してください。   女性にみられることがある症状 甲状腺機能低下症は男女ともにみられる病気ですが、女性の患者ではホルモンバランスの影響を受けやすい部位に、特徴的な変化が現れることがあります。例えば、月経周期が乱れる、経血量が増える、月経痛が強くなるといった月経に関する変化がみられることがあります。また、顔や手足のむくみ、体重の増加、冷えといった症状も、女性の患者から訴えられることが比較的多い症状です。これらの変化は、更年期や日々の体調の波によるものと捉えられやすく、甲状腺機能の低下が背景にあると気づかれにくい傾向があります。また、甲状腺機能は妊娠や妊活とも関わりが深く、甲状腺ホルモンの分泌が低下していると、月経不順や排卵の異常につながることがあります。さらに、妊娠を希望している場合や、すでに妊娠している場合には、甲状腺機能の状態が母体や胎児の健康に影響を及ぼす可能性もあるため、気になる症状がある場合は早めに検査を受けておくことが望ましいといえます。なお、甲状腺機能低下症は女性に多くみられる病気ではあるものの、女性だけの病気というわけではありません。男性の患者にも同様の症状がみられることがあるため、性別にかかわらず、複数の症状が続く場合には、医療機関で相談してください。   甲状腺機能亢進症との症状の違い 甲状腺の病気には、ホルモンの分泌が低下する甲状腺機能低下症だけでなく、逆にホルモンの分泌が過剰になる甲状腺機能亢進症もあります。甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症は、どちらも甲状腺ホルモンの異常によって起こる病気ですが、ホルモンが不足するか過剰になるかによって、現れる症状の方向性が大きく異なります。例えば、甲状腺機能低下症では体の代謝が落ちるため、寒がりになったり、体重が増えやすくなったり、脈拍がゆっくりになったりする傾向がみられます。一方、甲状腺機能亢進症では代謝が過剰に亢進するため、暑がりになったり、食欲があるにもかかわらず体重が減少したり、脈拍が速くなったりするなど、低下症とは反対の方向の変化が現れやすくなります。また、精神面や活動性についても、低下症では無気力や動作の緩慢さがみられやすいのに対し、亢進症ではイライラや落ち着きのなさ、手の震えなどがみられやすいという傾向があります。症状の傾向を整理すると、以下の通りです。 比較項目 甲状腺機能低下症 甲状腺機能亢進症 体温感覚 寒がりになる 暑がりになる 体重 増えやすい 食欲があっても減少しやすい 脈拍 ゆっくりになる 速くなる 便通 便秘になりやすい 下痢になりやすい 精神・活動性 無気力、動作が緩慢になる イライラ、落ち着きのなさ、手の震え   このように、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症では、症状の現れ方に一定の傾向の違いがあります。ただし、この比較はあくまで一般的な傾向を理解するための目安であり、自己診断のためのものではありません。実際には、症状の現れ方には個人差があり、典型的な傾向と異なるパターンを示す患者もいます。気になる症状がある場合は、比較表の内容だけで判断せず、血液検査などを通じて医師の診断を受けてください。   甲状腺機能低下症の主な原因 甲状腺機能低下症は、原因によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、甲状腺機能低下症を引き起こす代表的な原因について解説します。 橋本病 甲状腺機能低下症の原因として最も多いのが、橋本病と呼ばれる病気です。橋本病は、自己免疫の異常によって、本来体を守るはずの免疫が誤って自分自身の甲状腺を攻撃してしまうことで起こります。この状態が続くと、甲状腺の組織が徐々に炎症を起こし、甲状腺ホルモンを十分に作れなくなっていきます。橋本病は中年以降の女性に多くみられる傾向がありますが、進行はゆるやかなことが多く、初期には自覚症状がほとんどないまま経過することも少なくありません。 甲状腺の手術・治療後 甲状腺に腫瘍や結節などがみつかり、手術によって甲状腺の一部または全部を摘出した場合、残った甲状腺の働きだけではホルモンが不足し、機能低下症を引き起こすことがあります。また、バセドウ病などの治療として放射性ヨウ素治療を受けた場合にも、治療の影響で甲状腺の機能が低下することがあります。これらの治療を受けた患者は、治療後も定期的に甲状腺機能の検査を受け、状態を確認していくことが大切です。 薬剤などの影響 一部の薬剤には、甲状腺の機能に影響を及ぼすものがあります。例えば、不整脈の治療に用いられる薬剤や、精神疾患の治療に使われる薬剤の中には、長期的に使用することで甲状腺ホルモンの分泌に影響を与えるものが知られています。このような薬剤を服用している患者は、定期的な血液検査によって甲状腺機能の変化を確認しておくと安心です。気になる症状がある場合は、自己判断で薬を中止せず、処方医に相談してください。 下垂体・視床下部の異常 甲状腺機能低下症は、甲状腺そのものに原因がある場合だけでなく、脳にある下垂体や視床下部の異常によって引き起こされることもあります。下垂体からは、甲状腺を刺激するホルモンが分泌されており、この働きに異常が生じると、甲状腺自体に問題がなくても、結果的に甲状腺ホルモンの分泌が低下することがあります。このタイプの原因は比較的まれですが、下垂体の腫瘍などが背景にある場合もあるため、専門的な検査が必要になることがあります。 甲状腺機能低下症の原因は、自己免疫による橋本病が中心となりますが、治療の影響や薬剤、下垂体の異常など、さまざまな要因が関わっていることがあります。原因によって今後の見通しや治療方針も異なるため、甲状腺機能の異常が疑われる場合は、血液検査などを通じて原因を確認し、医師の説明を受けてください。   甲状腺機能低下症を調べる検査 甲状腺機能低下症が疑われる場合には、血液検査を中心にいくつかの検査を組み合わせて診断していきます。ここでは、甲状腺機能低下症を調べる際に用いられる代表的な検査について解説します。 TSH検査 TSH検査は、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンの量を調べる検査です。TSHは、甲状腺に働きかけて甲状腺ホルモンの分泌を促す役割を担っています。甲状腺ホルモンの分泌が不足すると、体はそれを補おうとして、下垂体からより多くのTSHを分泌するようになります。そのため、TSHの数値が基準値よりも高い場合は、甲状腺の働きが低下している可能性を示す重要なサインとなります。甲状腺機能を評価するうえで、TSH検査はスクリーニングの中心的な役割を担っており、健康診断の甲状腺項目にも含まれることが多い検査です。 FT4(遊離T4)検査 FT4検査は、血液中に含まれる甲状腺ホルモンのうち、体内で実際に作用することができる形のホルモン量を調べる検査です。甲状腺で作られたホルモンの多くは、たんぱく質と結合した状態で血液中を流れていますが、その中でたんぱく質と結合していない、いわゆる「遊離」の状態にあるホルモンがFT4です。甲状腺の機能が低下すると、このFT4の数値が基準値よりも低くなる傾向があります。TSHとFT4を組み合わせて確認することで、甲状腺機能低下症の有無や進行の程度を、より正確に把握することができます。 甲状腺自己抗体検査 甲状腺自己抗体検査は、自分自身の甲状腺を攻撃してしまう抗体が、体内に存在するかどうかを調べる検査です。甲状腺機能低下症の原因として多い橋本病は、免疫の異常によって自分の甲状腺を誤って攻撃してしまうことで起こる病気であり、この検査によって背景にある原因を推測する手がかりが得られます。代表的な抗体には、抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体などがあり、これらが陽性であれば、自己免疫による甲状腺の異常が関与している可能性が高くなります。 超音波検査 超音波検査は、体の外から超音波を当てて、甲状腺の内部の状態を画像として確認する検査です。放射線を使わないため、体への負担が少なく、繰り返し行いやすい検査でもあります。この検査では、甲状腺全体の大きさや形、内部に結節や腫れ、炎症を示す変化がないかといった、血液検査だけでは分からない構造的な情報を確認することができます。なお、橋本病など、甲状腺そのものに変化が生じている場合には、超音波検査によって甲状腺の状態をより詳しく把握することができます。 甲状腺機能低下症の診断には、TSHやFT4といった血液検査を基本としながら、必要に応じて自己抗体検査や超音波検査を組み合わせていきます。それぞれの検査で分かることが異なるため、症状や血液検査の結果に応じて、追加の検査が必要かどうかを医師と相談してください。   甲状腺機能低下症の治療 甲状腺機能低下症の治療では、体内で不足している甲状腺ホルモンを、内服薬によって補うことが基本となります。用いられる薬剤には、体内で作られる甲状腺ホルモンと同じ成分が含まれており、不足分を補うことで、代謝の低下によって生じていた倦怠感やむくみ、冷えといった症状の改善が期待できます。多くの場合、1日1回の服用で済むため、日常生活の中で無理なく続けやすい治療といえます。また、治療を開始した後は、定期的に血液検査を行いながらTSHやFT4の数値を確認し、薬の投与量を調整していきます。ホルモンの補充量が少なすぎると症状の改善が不十分になり、逆に多すぎると動悸や不眠といった甲状腺機能亢進症に似た症状が現れることがあるため、患者一人ひとりの体に合った量を見極めることが重要です。投与量が安定した後も、数か月から半年に一度程度の頻度で検査を行い、状態を継続的に確認していきます。なお、症状が改善したからといって、自己判断で薬の量を減らしたり、服用を中止したりしないでください。甲状腺ホルモンの補充は、症状がおさまった後も体内のホルモンバランスを維持するために必要な治療であり、自己判断で中断すると、再び症状が悪化することがあります。体調の変化や薬について気になることがあれば、自己判断せず、必ず医師に相談してください。   こんな症状が続く場合は内科・内分泌内科へ 次のような症状が続いている場合には、甲状腺機能低下症が背景にある可能性も考えられるため、医療機関への相談を検討してください。 ・原因不明の疲労感が続く ・寒がりが強くなった ・急に体重が増えた ・むくみや便秘が続く ・健康診断などで甲状腺の異常を指摘された これらの症状は、一つひとつを見ると日常的な体調不良として見過ごされやすいものです。ただし、複数の症状が同時に、かつ長期間にわたって続いている場合には、体の中で甲状腺の働きに変化が生じている可能性も考えられます。特に、疲労感やだるさが続いているにもかかわらず、はっきりとした原因が見当たらない場合や、健康診断で甲状腺に関する数値を指摘されたことがある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、一度医療機関で相談してください。血液検査によって甲状腺ホルモンの数値を確認することで、症状の背景に甲状腺機能低下症が隠れていないかを調べることができます。気になる症状が続いている場合は早めに内科や内分泌内科を受診し、必要な検査を受けてください。   まとめ 甲状腺機能低下症は、疲労感やだるさ、寒がり、体重増加、むくみ、便秘、皮膚の乾燥、声のかすれなど、全身にさまざまな症状を引き起こす病気です。甲状腺ホルモンが体の代謝や熱産生、消化管の動きなど、幅広い機能に関わっているため、その分泌が低下すると、体のいたるところに影響が及びます。また、これらの症状は一つひとつが加齢や疲労、ストレス、更年期による体調変化などと似ているため、日常的な不調と区別がつきにくいという特徴があります。そのため、症状を放置してしまい、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。だるさや冷え、体重の変化といった症状が複数、かつ長期間にわたって続いている場合には、自己判断で様子を見続けるのではなく、血液検査を通じて甲状腺の状態を確認しておくことが重要です。当院では、TSHやFT4といった甲状腺ホルモンの血液検査をはじめ、必要に応じて甲状腺自己抗体検査や超音波検査を組み合わせながら、甲状腺・内分泌疾患の診療を行っています。健康診断で甲状腺の異常を指摘された患者や、原因のはっきりしない体調不良が続いている患者は、ぜひ当院へご相談ください。症状や検査結果に応じて、適切な検査と診療をご提案いたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

口渇は糖尿病のサイン?喉が渇く原因や糖尿病との関係、受診の目安を解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
「水を飲んでもすぐに喉が渇く…」「最近、急に水分を多く取るようになった…」と感じている方は少し注意が必要です。口渇は糖尿病でみられる代表的な症状の一つですが、口渇だけで糖尿病と判断することはできません。夏の暑さや塩分の多い食事、薬の副作用などでも同じような症状が現れることがあります。この記事では、糖尿病による口渇が起こる仕組みや併発しやすい症状、他の原因との見分け方、検査や受診の目安まで詳しく解説します。気になる症状に心当たりがある方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 糖尿病で口渇が起こるのはなぜ? こんな口渇は糖尿病の可能性がある? 口渇と一緒に現れやすい糖尿病の症状 喉が渇く原因は糖尿病だけではない 糖尿病が疑われるときに行う検査 口渇が続く場合はいつ病院を受診する? まとめ   糖尿病で口渇が起こるのはなぜ? 糖尿病で口渇が起こる背景には、血糖値の状態が深く関わっています。健康な状態では、腎臓が血液中のブドウ糖をほとんど再吸収し、尿として排出することはありません。しかし血糖値が一定の基準を超えて高くなると、腎臓で処理しきれなかったブドウ糖が尿中へあふれ出るようになります。このとき、ブドウ糖は水分を引き連れて排出される性質を持っているため、尿の量が通常よりも増えてしまいます。これを「浸透圧利尿」と呼びます。体内の水分が尿として多く失われると、血液の濃度が上がり、脳は水分不足を感知して強い喉の渇きを引き起こします。その結果、水分を補おうとして自然と飲水量が増えていきます。つまり「高血糖→尿量増加→体内の水分不足→喉の渇き→多飲」という一連の流れが、体の中で連続して起こっているのです。さらに、飲水量が増えれば尿量もまた増えるため、多尿と多飲が互いに影響し合いながら進んでいきます。このようにして、口渇・多尿・多飲という三つの症状は、単独で現れるのではなく、血糖値の上昇を起点として連鎖的にセットで現れやすくなります。喉の渇きとともに尿の回数や量に変化を感じる場合は、体からのサインとして受け止めておくことが大切です。   こんな口渇は糖尿病の可能性がある? 日常的に感じる喉の渇きの中には、糖尿病のサインが隠れていることがあります。ここでは、注意しておきたい口渇の特徴について詳しく解説します。 水を飲んでもすぐに喉が渇く 暑い時期や運動をした後に喉が渇くのは、汗をかいて体内の水分が失われるためであり、水分を補給すれば自然と落ち着いていきます。ところが、涼しい環境で過ごしていても、特に運動をしていなくても、水を飲んですぐにまた喉が渇いてしまう場合は注意が必要です。このような口渇が数日以上続いているときは、一時的な体調の変化とは考えにくくなります。特に思い当たる理由がないまま強い口渇が続いている場合は、血糖値を確認しておくことを検討してください。早めに状態を把握しておくことが、その後の対応につながります。 水分を取る量が以前より増えた 糖尿病では、体内の水分が不足しやすくなるため、それを補おうとして自然に飲水量が増えていきます。これを「多飲」と呼びます。多飲は本人にとって自覚しにくい変化ですが、日常生活の中でふと気付くきっかけがあります。例えば、以前よりペットボトル飲料の消費が明らかに増えた、寝る前や夜中に水を飲む回数が増えた、外出時に飲み物を持ち歩く量が増えたなど、身の回りの変化として現れることが多くあります。こうした変化に心当たりがある場合は、単なる習慣の変化として片付けず、体からのサインとして意識しておくことが大切です。 尿の回数・量も増えている 血糖値が高くなると、尿中へ余分なブドウ糖が排出され、それに伴って水分も一緒に排出されるため、尿の量が増えていきます。これが「多尿」と呼ばれる状態です。尿量が増えると体内の水分がさらに不足し、喉の渇きがいっそう強くなるという悪循環が生まれます。なお、トイレの回数が増えた、夜中に何度も目が覚めてトイレに行くようになったといった変化がある場合は、口渇と多尿がセットで起こっている可能性があります。このような状態が続くときは、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 口渇・多飲・多尿は、糖尿病において連動して現れやすい症状です。単発の喉の渇きであれば心配のいらないことも多いですが、複数の症状が重なって続いている場合は、体からの重要なサインとして受け止めておく必要があります。気になる変化がある方は、我慢せず早めに医療機関に相談してください。   口渇と一緒に現れやすい糖尿病の症状 糖尿病では、口渇だけでなくさまざまな症状が同時に現れることがあります。ここでは、口渇と一緒に現れやすい糖尿病の症状について解説します。 尿の回数や量が増える 血糖値が高くなると、腎臓で処理しきれなかったブドウ糖が尿中へ排出され、それに伴って水分も一緒に排出されていきます。その結果、尿の回数や量が増える「多尿」という状態が起こります。多尿によって体内の水分がさらに失われると、喉の渇きがいっそう強くなり、口渇と多尿が互いに影響し合いながら進んでいきます。トイレに行く回数が明らかに増えた、一回あたりの尿量が多くなったと感じる場合は、血糖値の変化が関わっている可能性があるため、注意して経過を見ておくことが大切です。 夜中にトイレへ行く回数が増える 日中だけでなく、夜間にトイレへ行く回数が増えることも、糖尿病でみられやすい変化の一つです。就寝中は本来、水分の再吸収が働き「尿量」が抑えられますが、血糖値が高い状態では夜間も多尿の影響が続きやすくなります。そのため、眠りが浅くなったり睡眠不足につながったりすることも少なくありません。なお、夜間頻尿については「夜中のトイレが近いのは糖尿病のサイン?夜間頻尿の原因と受診タイミングを医師が解説」でより詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。 疲れやすい・だるい 血糖値が高い状態が続くと、体内でブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなり、疲労感やだるさを感じやすくなります。加えて、多尿によって水分や電解質が失われることも、体の疲れやすさに関係しています。休息を取っても回復しにくい疲労感が続く場合は、単なる生活習慣の乱れだけでなく、血糖値の変化が背景にある可能性があります。なお、疲労と血糖値の関係については「疲れやすいのは糖尿病のサイン?疲労と血糖値の関係・見分け方を医師が解説」でより詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご確認ください。 食べているのに体重が減る しっかり食事を摂っているにもかかわらず体重が減っていく場合も、糖尿病でみられる特徴的な症状です。血糖値が高い状態では、ブドウ糖がエネルギーとして十分に活用されず、尿と一緒に体外へ排出されてしまいます。そのため、体は不足したエネルギーを補おうとして、筋肉や脂肪を分解し始めます。食事量を変えていないのに体重が減少している、以前より痩せてきたと周囲から言われるといった変化がある場合は、早めに血糖値を確認しておくことをおすすめします。 傷が治りにくい 血糖値が高い状態が続くと、血流や免疫機能に影響が及び、小さな傷や炎症が治りにくくなることがあります。また、細菌に対する抵抗力も低下しやすくなるため、傷口が化膿しやすくなったり、治るまでに通常より時間がかかったりすることも少なくありません。なお、傷の治りが遅いと感じる場合の背景については「傷が治りにくいのは糖尿病のサイン?血流・神経・免疫から考える回復遅延の原因と対策」でより詳しく解説していますので、思い当たる方はあわせてお読みください。 目がかすむ 血糖値が高い状態が続くと、目のレンズにあたる水晶体の水分バランスが変化し、一時的に目がかすんで見えることがあります。これは血糖値の変動によって起こる一時的な症状であることが多いですが、高血糖の状態が長期間続くと、網膜の血管に影響が及び、視力に関わる合併症につながることもあります。次に述べる手足のしびれと同様、神経や血管への影響が背景にあることも少なくないため、目のかすみが続く場合は放置せず、早めに眼科や内科で相談することが大切です。 手足がしびれる 血糖値が高い状態が続くと、末梢神経に影響が及び、手足の先にしびれや違和感を覚えることがあります。特に足の指先や足裏など、体の末端部分から症状が現れやすいことが知られています。加えて、しびれとあわせて感覚が鈍くなる場合もあり、小さなケガや靴擦れに気付きにくくなることもあるため注意が必要です。手足のしびれが続く、左右対称に症状が出ているといった場合は、神経障害が関係している可能性があるため、早めの受診を検討してください。 口渇とあわせて、多尿・疲労感・体重減少・傷の治りにくさ・目のかすみ・手足のしびれなどが重なって現れる場合は、糖尿病が背景にある可能性があります。複数の症状に心当たりがある方は放置せず早めに医療機関を受診してください。   喉が渇く原因は糖尿病だけではない 喉の渇きは糖尿病だけでなく、日常のさまざまな場面でも起こる自然な体の反応です。ここでは、糖尿病以外で考えられる代表的な原因について解説します。 暑さ・運動・発汗による水分不足 気温が高い環境で過ごしたときや、運動をして汗を多くかいたときには、体内の水分が失われ、喉の渇きを感じやすくなります。汗には水分だけでなく塩分などのミネラルも含まれているため、大量に汗をかいた後は特に強い口渇を感じることがあります。このような場合は、水分を補給し、しばらく安静にしていれば、症状は自然と落ち着いていきます。ただし、暑さや運動という明確なきっかけがないにもかかわらず強い口渇が続く場合や、水分を補給してもすぐにまた喉が渇いてしまう場合は、一時的な水分不足とは異なる可能性があるため、注意して経過を見ておくことが大切です。 塩分の多い食事 塩分を多く含む食事を摂ると、血液中の塩分濃度が一時的に高くなり、体はそれを薄めようとして水分を欲するようになります。そのため、味の濃い料理やインスタント食品、加工食品などを食べた後に喉の渇きを強く感じることは珍しくありません。このような口渇は、食事の内容に起因する一時的なものであり、時間の経過とともに自然とおさまっていきます。なお、水分を摂ることで比較的早く症状が落ち着く場合は、大きな心配はいらないことが多いです。ただし、塩分摂取に心当たりがないにもかかわらず口渇が続く場合には、他の原因を考える必要があります。 発熱・下痢などによる脱水 発熱時には体温を下げようとして発汗量が増え、下痢の際には消化管から多くの水分が失われるため、いずれも体内の水分不足を招きやすくなります。このような脱水状態では、喉の渇きとともに、口の中の乾燥感や倦怠感、尿量の減少などがあわせて現れることもあります。なお、症状が長引く場合や水分を摂取しても改善が見られない場合には、脱水が進行している可能性があるため注意が必要です。発熱や下痢といった原因がはっきりしている場合は、その原因に応じた対処を行うことが基本となりますが、症状が重い場合や小さな子ども・高齢者の場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 薬の影響や口腔内の乾燥 一部の薬には、副作用として唾液の分泌量を減らし、口の中を乾燥させやすくするものがあります。例えば、抗ヒスタミン薬や降圧薬、抗うつ薬などは口渇を引き起こしやすいことが知られています。また、加齢に伴って唾液の分泌量が自然に減少することも、口腔内の乾燥や喉の渇きにつながる要因の一つです。さらに、口呼吸の習慣がある場合や、空気が乾燥した環境で長時間過ごしている場合にも、同じような症状が現れることがあります。このような口渇は、薬の服用状況や生活環境を振り返ることで原因に気付けることが多く、必要に応じて主治医や薬剤師に相談することで対応できる場合があります。 その他の病気による口渇 喉の渇きは、糖尿病以外の病気が背景にあって現れることもあります。例えば、シェーグレン症候群のように唾液腺の機能そのものが低下する病気や、腎臓の機能が低下して水分の調整がうまくいかなくなる腎疾患などが挙げられます。また、甲状腺機能の異常によって代謝が変化し、口渇や発汗の増加につながることもあります。このように、口渇の背景にはさまざまな病気が隠れている可能性があるため、原因がはっきりしないまま症状が続く場合には、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関で詳しく調べてもらうことが大切です。 このように、喉の渇きは暑さや食事、薬の影響などさまざまな要因で起こるため、口渇という症状だけでは糖尿病と判断することはできません。ただし、原因に心当たりがないまま口渇が続く場合や、他の症状を伴う場合には、自己判断せず早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。   糖尿病が疑われるときに行う検査 口渇や多尿などの症状から糖尿病が疑われる場合、いくつかの検査を組み合わせて診断が行われます。ここでは、糖尿病が疑われるときに行う代表的な検査について解説します。 血糖値検査 血糖値検査は、採血によって血液中のブドウ糖の濃度を調べる検査です。食事の影響を受けやすいため、空腹時に測定する「空腹時血糖値」や、食後の値を確認する「随時血糖値」など、目的に応じていくつかの方法が使い分けられます。血糖値はそのときの食事内容や体調によって変動しやすいという特徴があるため、一度の測定だけで糖尿病と診断されることは少なく、後述するHbA1c検査など他の検査結果とあわせて総合的に判断されます。なお、口渇や多尿といった症状が続いている場合には、まず血糖値検査によって現在の血糖の状態を確認することが基本となります。 HbA1c検査 HbA1c検査は、採血によって過去1〜2か月間の血糖値の平均的な状態を調べる検査です。血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を数値で表すもので、その日の食事や体調に左右されにくいという特徴があります。そのため、血糖値検査の結果とあわせて確認することで、一時的な変動ではなく、継続的な高血糖の有無をより正確に把握することができます。なお、HbA1cの目標値については「HbA1cの目標値って何?|糖尿病の疑いがある方へ」でより詳しく解説していますので、数値の見方が気になる方はあわせてご覧ください。 尿糖検査 尿糖検査は、尿の中にブドウ糖が含まれていないかを調べる検査です。健康な状態では、血液中のブドウ糖はほとんど腎臓で再吸収されるため、尿中にはほぼ排出されません。しかし血糖値が一定の基準を超えて高くなると、再吸収しきれなかったブドウ糖が尿中へあふれ出るようになり、尿糖として検出されるようになります。尿糖検査は体への負担が少なく、簡便に行える検査ですが、尿糖の有無だけで糖尿病の診断が確定するわけではありません。なお、尿糖と糖尿病の関係については「千葉市都賀で尿糖が気になる方へ|症状や原因・糖尿病との関係や対策まで解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。 糖尿病が疑われる際には、血糖値検査・HbA1c検査・尿糖検査などを組み合わせることで、より正確な診断につなげることができます。口渇や多尿などの症状が続いている場合は、自己判断せず、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。   口渇が続く場合はいつ病院を受診する? 口渇は一時的な体調変化で起こることも多いですが、中には受診を検討したほうがよいケースもあります。ここでは、受診の目安となる具体的なケースについて解説します。 数日以上強い口渇が続く 暑さや食事の影響による口渇であれば、水分を補給し、しばらく安静にしていれば自然と落ち着いていくことがほとんどです。ところが、特に思い当たる理由がないまま、数日以上にわたって強い口渇が続いている場合は注意が必要です。水を飲んでも渇きが治まらない、常に口の中が乾いているように感じるといった状態が続いているときは、一時的な水分不足とは考えにくくなります。このような口渇が長引いている場合は、血糖値をはじめとした体の状態を確認するためにも、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 多飲・多尿もみられる 口渇とあわせて、飲水量やトイレの回数が明らかに増えている場合は、体からのサインとして受け止める必要があります。以前よりペットボトル飲料の消費量が増えた、夜中に何度もトイレに起きるようになったといった変化がある場合、口渇・多飲・多尿がセットで起こっている可能性があります。これらの症状は、血糖値の上昇によって連鎖的に現れやすいことが知られています。なお、複数の症状が重なって続いている場合は、単独の症状よりも体への負担が大きいと考えられるため、様子を見続けるのではなく、早めに受診して検査を受けることが大切です。 急激な体重減少がある 食事量を特に変えていないにもかかわらず、体重が急激に減少している場合も、受診を検討したいケースの一つです。血糖値が高い状態が続くと、体はエネルギー不足を補おうとして、筋肉や脂肪を分解し始めます。そのため、食べているのに痩せていく、以前より明らかに体が細くなったと周囲から指摘されるといった変化がみられることがあります。このような体重減少は、単なるダイエットや食生活の変化とは異なる可能性があるため、口渇などの症状とあわせて心当たりがある場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。 強い倦怠感がある 十分に休息を取っているにもかかわらず、強い疲労感やだるさが続いている場合も、注意しておきたいサインの一つです。血糖値が高い状態では、体がブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できず、疲れやすさにつながりやすくなります。加えて、口渇や多尿によって水分やミネラルが失われることも、倦怠感を強める要因となります。日常生活に支障が出るほどの疲労感が続いている場合や、休んでも回復しにくいと感じる場合は、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診することが大切です。 健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された 自覚症状がなくても、健康診断で血糖値やHbA1cの数値について指摘を受けた場合は、放置せずに医療機関を受診することが重要です。糖尿病は初期の段階では自覚症状が乏しいことも多く、口渇などの症状が現れる頃には、すでに血糖値がかなり高くなっていることも少なくありません。健康診断の結果は、体の状態を客観的に知ることができる貴重な機会です。数値に指摘があった場合は、症状の有無にかかわらず、早めに詳しい検査を受けておくことをおすすめします。 口渇が数日以上続く場合や、多飲・多尿、体重減少、強い倦怠感などを伴う場合、また健康診断で数値を指摘された場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。早期に対応することが、その後の体への負担を軽くすることにつながります。   まとめ 強い口渇は、体が発する重要なサインのひとつであり、その背景には高血糖が関わっていることがあります。喉の渇きは暑さや食事、薬の影響など日常的な要因でも起こりますが、水を飲んでもすぐに渇きを感じる状態が続いている場合や、特に思い当たる理由がないまま口渇が長引いている場合には、注意しておく必要があります。また、多飲・多尿・急激な体重減少・強い倦怠感などの症状を伴っているときは、単独の口渇よりも体への影響が大きいと考えられるため、より注意深く経過をみていくことが大切です。口渇という症状だけでは、糖尿病かどうかを判断することはできません。同じような症状であっても、原因は人によってさまざまであるため、血糖値検査やHbA1c検査、尿糖検査などを通じて、体の状態を客観的に確認することが重要になります。自己判断で様子を見続けてしまうと、気付かないうちに症状が進行してしまう可能性もあるため、気になる変化がある場合は、早めに検査を受けておくことをおすすめします。なお、当院では、血糖値やHbA1cの測定をはじめ、糖尿病が疑われる際に必要となる基本的な検査に対応しております。検査結果に応じて、生活習慣の見直しや、必要な場合には治療方針について丁寧にご説明いたします。口渇や多飲・多尿など、気になる症状が続いている方は、一人で抱え込まず、お早めに当院までご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

脱水と高血圧の関係は?血圧への影響・症状・水分補給の注意点を医師が解説

内科に関する記事です。
「脱水になると血圧はどうなるのか…」「上がるのか下がるのか…」と疑問に思う方は多いと思います。実は、脱水の初期には血管が収縮して血圧が上がりやすく、「進行すると循環血液量が減って血圧が下がる」という二つの側面があります。さらに、高血圧の患者の場合は、降圧薬の種類や腎機能によって注意すべきポイントが変わってきます。そのため、自己判断で水分量を調整するのではなく、正しい知識を身につけたうえで対応することが大切です。この記事では、脱水と血圧の関係を整理したうえで、高血圧の方に適した水分補給の方法や、経口補水液の使い方、受診の目安まで具体的にご説明します。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 脱水になると血圧はどう変化する? 高血圧の人が脱水に注意すべき理由 脱水で見られる主な症状 降圧薬を服用している人の脱水時の注意点 高血圧の人に適した水分補給の方法 塩分補給や経口補水液は必要? 脱水を予防する生活上のポイント 医療機関を受診する目安 まとめ   脱水になると血圧はどう変化する? 体内の水分が不足すると、血液の量そのものが減少します。血液量が減ると心臓から送り出される血液の量も少なくなり、結果として血圧が下がりやすくなります。血圧が下がると、立ちくらみやめまい、ふらつきを感じることがあり、重度の場合には失神に至ることもあるため注意が必要です。一方で、体には血圧を一定に保とうとする仕組みが備わっています。脱水によって血圧が下がりそうになると、交感神経が働き、血管を収縮させたり心拍数を上げたりすることで、血圧を維持しようとします。そのため、脱水の状態でも一時的に血圧が上がる場合があります。このように、脱水時の血圧変化には個人差があり、同じ程度の脱水であっても血圧が下がる方もいれば、一時的に上がる方もいます。したがって、血圧の数値だけを見て脱水の有無や重症度を判断することはできません。めまいや倦怠感、口の渇きなど、他の症状もあわせて確認することが大切です。なお、高血圧の治療中の方が脱水を起こした場合の血圧管理については、「千葉市若葉区の都賀で高血圧の症状にお困りの患者の方へ」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   高血圧の人が脱水に注意すべき理由 高齢になると喉の渇きを感じる感覚が鈍くなり、体内の水分が不足していても自覚しにくくなります。さらに、暑い時期や発熱、下痢、嘔吐などがあると体から水分が失われやすくなるため、気づかないうちに脱水が進んでしまうことがあります。高血圧の患者、特に高齢の方は、こうした変化に日頃から注意を払うことが大切です。また、高血圧に加えて糖尿病や慢性腎臓病、心不全などを併せ持っている場合、水分や塩分の管理はより複雑になります。糖尿病があると尿量が増えやすく、慢性腎臓病があると水分や塩分の調整機能そのものが低下します。また、心不全がある場合は、水分を摂りすぎると心臓に負担がかかる一方、不足すると脱水を招くため、バランスの取り方に個別の配慮が必要です。続いて、利尿薬を服用している方についても触れておきます。利尿薬は体内の余分な水分や塩分を尿として排出することで血圧を下げる薬ですが、その作用によって脱水のリスクが高まりやすくなります。特に暑い季節や体調不良時には、通常よりも脱水に陥りやすい状態になっていることを意識してください。なお、脱水が進んで腎臓への血流が減少すると、急性腎障害を引き起こしたり、もともとの腎機能がさらに悪化したりする可能性があります。腎臓は血流量に敏感な臓器であるため、脱水と腎機能の関係についても十分注意することが求められます。   脱水で見られる主な症状 脱水が起こると、体はさまざまなサインを発します。初期段階で見られやすい症状は次の通りです。 ・口や喉の渇き ・尿量の減少 ・濃い色の尿 ・皮膚や口腔内の乾燥 ・汗が出にくくなる ・軽い倦怠感 脱水が進行すると、めまいや立ちくらみ、頭痛、強い倦怠感、動悸、筋肉の痙攣などが現れる場合があります。ただし、こうした症状は高血圧に伴う頭痛やめまいと重なる部分が多く、症状だけを見て脱水によるものか高血圧によるものかを自己判断することは難しい場合があります。そのため、日頃から血圧の状態と体調の変化をあわせて確認しておくことが大切です。なお、意識が朦朧としている、自力で水分を飲むことができない、尿がほとんど出ていないといった状態が見られる場合は重度の脱水が疑われます。このような場合は様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。   降圧薬を服用している人の脱水時の注意点 利尿薬やARB、ACE阻害薬などの降圧薬を服用している方は、脱水が起こった際に特有のリスクがあります。利尿薬は体内の水分や塩分を排出する作用があるため、脱水と重なると血圧が下がりすぎることがあります。また、ARBやACE阻害薬は腎臓の血流を調整する働きに関わっているため、脱水によって腎臓への血流が減った状態でこれらの薬を服用し続けると、腎機能が悪化する可能性があります。続いて、体調不良時の服薬についても触れておきます。下痢や嘔吐、発熱、大量の発汗が続いている場合や、食事や水分を十分に摂れない状態が続いている場合は、普段どおりに降圧薬を服用することが必ずしも適切とは限りません。体の状態によって、薬の作用が普段より強く出てしまうことがあるためです。ただし、だからといって自己判断で薬を中止したり量を減らしたりすることは避けてください。体調不良時にどのように対応するか、あらかじめ主治医と相談し、方針を決めておくことが望ましい対応です。また、日頃から家庭血圧や体重、尿量、体調の変化を記録しておくと、体調不良時の状態を主治医に正確に伝える助けになります。記録をもとに相談することで、より適切な対応につながります。なお、降圧薬の種類ごとの特徴や治療方針については、「千葉市都賀で高血圧症にお悩みの方へ|原因・症状・治療・生活改善まで解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   高血圧の人に適した水分補給の方法 普段の水分補給は、水や無糖のお茶を基本にすることをおすすめします。糖分を含む飲み物やアルコールは、摂りすぎると血圧や体重に影響を与えることがあるため、日常的な水分補給には向いていません。また、喉が渇いてから一気に飲むのではなく、喉が渇く前から少量ずつこまめに水分を摂ることが大切です。具体的なタイミングとしては、起床後、外出前、運動の前後、入浴の前後、就寝前などが挙げられます。これらの場面では体から水分が失われやすかったり、血液が濃縮しやすかったりするため、意識して水分を補うようにしてください。さらに、一度に大量の水を飲むことは避けてください。体調や発汗量に応じて、水分を何回かに分けて摂取するほうが体への負担が少なく、無理なく続けやすい方法です。特に暑い時期や体調不良時には、こまめな補給を心がけることが望ましい対応です。なお、心不全や腎機能低下などによって水分制限を受けている方については、こうした一般的な目安をそのまま当てはめることはできません。制限量は病状によって異なるため、必ず主治医の指示を優先し、自己判断で水分量を調整しないようにしてください。   塩分補給や経口補水液は必要? 通常どおり食事が取れている日常生活では、高血圧の方が脱水予防のために塩分を意識して増やす必要はありません。むしろ、高血圧の管理においては塩分の摂りすぎに注意することが基本であり、脱水対策を理由に塩分を増やすことは推奨されません。一方で、炎天下での作業や大量の発汗、下痢や嘔吐などによって水分と一緒に電解質も失われた場合には、水だけでは補いきれないことがあります。このような場面では、経口補水液が適していることがあります。経口補水液には水分とともにナトリウムなどの電解質が適切な濃度で含まれており、体に吸収されやすいように作られています。ただし、経口補水液にはナトリウムが多く含まれているため、日常的な水分補給として常用したり、大量に摂取したりすることは避けてください。あくまで体調不良時や大量に汗をかいた際など、必要な場面に限って使用することが望ましい方法です。なお、高血圧に加えて心臓病や腎臓病があり、食事や水分の制限を受けている方は、経口補水液の使用が体に負担をかける可能性があります。使用する前に、必ず医師や薬剤師に相談してください。   脱水を予防する生活上のポイント 脱水を防ぐためには、まず生活環境を整えることが基本です。室温や湿度をこまめに確認し、暑さを感じる前からエアコンや扇風機を活用して、室内が高温多湿にならないようにしてください。特に高齢の方は暑さを感じにくいことがあるため、体感だけに頼らず、温度計や湿度計を目安にすることをおすすめします。また、気温が高い時間帯の外出や激しい運動はできるだけ避けてください。どうしても外出や運動が必要な場合は、こまめに休憩を取り、その都度水分を補給することを心がけてください。汗を多くかく状況では、水分が失われるスピードが速くなるため、意識的な対応が求められます。さらに、発熱や下痢、嘔吐、食欲不振がある日については、通常より注意深い体調管理が必要です。こうした日は、水分摂取量や尿量、体重、家庭血圧の変化を意識して確認し、いつもと違う様子がないかを見ておくことが大切です。なお、飲酒は尿量を増やす作用があるため、水分補給の代わりにはなりません。お酒を飲む際は、あわせて水などで十分な水分を補うようにしてください。   医療機関を受診する目安 水分を摂ってもめまいや立ちくらみ、頭痛、吐き気、強い倦怠感が改善しない場合は、様子を見続けず早めに内科へ相談してください。脱水以外の原因が隠れていることもあるため、症状が長引く場合は自己判断せず医師に相談することが大切です。また、血圧が普段よりも著しく高い、あるいは低い場合や、尿量が明らかに減っている場合、動悸や胸痛を感じる場合も受診を検討してください。こうした症状は、脱水と血圧の変動が組み合わさって起こっている可能性があり、放置すると状態が悪化することもあります。さらに、意識が朦朧としている、痙攣が起きている、呼吸が苦しい、自力で水分を飲むことができない、長時間にわたって尿がまったく出ていないといった状態が見られる場合は、重度の脱水や別の緊急事態が疑われます。このような場合はためらわず、救急要請を検討してください。なお、受診の際には、普段の血圧と当日の血圧、現在服用している薬、水分摂取量、尿量、下痢や嘔吐、発熱の有無などをまとめて伝えると、診察がスムーズに進みます。あらかじめメモをしておくと安心です。   まとめ ここまで、脱水と血圧の関係について説明してきました。脱水が起こると、循環血液量の減少によって血圧が下がることがある一方で、体が血流を維持しようとする反応によって一時的に血圧が上がる場合もあります。このように、脱水時の血圧変化には二つの側面があり、血圧の数値だけで脱水の有無や重症度を判断することはできません。また、高血圧の患者においては、年齢や服用している降圧薬の種類、腎機能、心疾患の有無などによって、脱水時に注意すべきリスクが一人ひとり異なります。同じように水分補給をしていても、体の状態によって影響の出方が変わってくるため、自分自身の体質や持病を踏まえた対応が大切です。脱水を予防するための基本は、喉が渇く前からのこまめな水分補給、暑さを避けるための環境調整、そして家庭血圧や尿量、体調の変化をこまめに確認することです。これらを日頃から意識することで、脱水と血圧の急な変動をあわせて防ぎやすくなります。なお、千葉市若葉区・都賀周辺にお住まいで、高血圧や脱水時の血圧管理について不安のある方は、ひとりで悩まず当院までご相談ください。患者一人ひとりの状態に合わせて、丁寧に診察いたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

高血圧と熱中症の関係は?なりやすい理由・血圧変動・予防法を医師が解説

内科に関する記事です。
夏の気温上昇とともに、「高血圧の人は熱中症になりやすいのか」「熱中症になると血圧はどう変化するのか」と不安に感じる方は少なくありません。実際には、高血圧という状態そのものだけでなく、暑さによる脱水や血圧の変動、服用中の降圧薬、年齢や合併症の有無など、さまざまな要因が熱中症リスクに関わっています。この記事では、「高血圧と熱中症の関係」をわかりやすく整理したうえで、注意すべき症状や、水分・塩分補給の方法、服薬時の注意点、受診の目安まで具体的にご紹介します。ご自身やご家族の体調管理にお役立てください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 高血圧と熱中症にはどのような関係がある? 高血圧の人が熱中症に注意すべき理由 熱中症になると血圧は上がる?下がる? 高血圧の人が注意したい熱中症の症状 高血圧の人の熱中症予防 熱中症対策で塩分を増やしてもよい? 降圧薬を服用している人の注意点 熱中症が疑われるときの対処法 医療機関を受診する目安 まとめ   高血圧と熱中症にはどのような関係がある? 高血圧があるからといって、必ず熱中症になるわけではありません。ただし、暑さによる脱水や体温調節機能の低下、降圧薬の作用などが重なると、体への負担が大きくなりやすいため注意が必要です。汗を多くかくと体内の水分量が減り、血液の量や血管の状態にも変化が生じます。その結果、血圧が急に下がったり逆に上がったりと、大きく変動することがあります。また、脱水が進むと血液が濃くなりやすく、「めまい」や「ふらつき」といった症状につながる場合もあります。さらに、高齢の方や糖尿病・腎臓病・心疾患などを合併している方、屋外での作業やスポーツを行う方は「体温調節機能」や「血圧の調整力」が低下しやすいため、特にリスクが高いといえます。加えて、暑さを感じにくくなっていたり、喉の渇きに気づきにくくなっていたりするケースもあるため、周囲の見守りも大切になります。高血圧の症状そのものについては、「千葉市若葉区の都賀で高血圧の症状にお困りの患者の方へ」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。   高血圧の人が熱中症に注意すべき理由 高齢の高血圧患者は、喉の渇きや暑さそのものを感じにくくなっていることが少なくありません。そのため、体が水分を必要としているにもかかわらず、自覚が遅れて水分補給のタイミングを逃してしまうことがあります。気づいたときにはすでに脱水が進んでいるケースもあるため、周囲からの声かけも重要です。また、高血圧が長く続くと動脈硬化が進みやすく、自律神経の働きも低下しやすくなります。本来、暑い環境では血管を広げたり汗をかいたりすることで体温を調整しますが、これらの機能が十分に働かないと、熱がこもりやすくなり、体温調節がうまくいかなくなる場合があります。さらに、糖尿病や慢性腎臓病、心不全などを合併している方の場合、水分と塩分の管理がより複雑になります。水分を多く摂りすぎても、少なすぎても体に負担がかかるため、自己判断だけでの調整は難しくなりやすい点に注意してください。加えて、一人暮らしでエアコンを使う習慣が少なかったり、気温の高い時間帯に外出したりする生活環境も、リスクを高める要因になります。こうした環境要因は本人が気づきにくいこともあるため、家族や周囲の方が意識して見守ることも大切です。   熱中症になると血圧は上がる?下がる? 熱中症になったとき、血圧がどう変化するかは一概には言えません。暑さによって血管が広がると、血液が体の表面近くに集まりやすくなります。また、発汗や脱水によって体内を巡る血液の量そのものが減ると、血圧が下がる方向に働くことがあります。ふらつきや立ちくらみを感じる場合は、こうした血圧低下が関係している可能性があります。一方で、暑さによる強いストレスや体の痛み、体調不良、自律神経の乱れなどが影響し、一時的に血圧が上がる場合もあります。体が異常事態に反応して血管を収縮させたり、心拍数を上げたりすることで、数値が普段より高く出ることも珍しくありません。このように、熱中症のときの血圧変化には個人差があり、上がる場合も下がる場合もあるため、血圧の数値だけを見て熱中症かどうか、あるいは重症度を判断することはできません。血圧はあくまで体の状態を知るための一つの手がかりとして捉えてください。なお、普段の数値と比べて著しく高い、あるいは著しく低いと感じる場合に加えて、強い頭痛や吐き気、意識が朦朧とするなどの症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。   高血圧の人が注意したい熱中症の症状 熱中症の症状は人によってさまざまで、軽い不調から命に関わる状態まで幅があります。特に高血圧のある方は、普段感じている頭痛やめまいと熱中症の症状が重なりやすいため、早めに変化に気づくことが大切です。代表的な症状は次の通りです。 ・めまい ・立ちくらみ ・大量の発汗 ・筋肉痛 ・こむら返り ・頭痛 ・吐き気 ・倦怠感 ・顔のほてり、皮膚の赤み ・意識がぼんやりする 高血圧に伴う頭痛やめまいと、熱中症による頭痛やめまいは似た症状として現れることが多く、症状だけで「これは血圧のせいだ」「これは熱中症だ」と自己判断するのは難しい面があります。そのため、暑い環境にいた後や汗を多くかいた後に体調の変化を感じた場合は、熱中症の可能性も念頭に置いて対応してください。なお、意識が朦朧としている、痙攣が見られる、自力で水分を飲むことができない、呼びかけへの反応がいつもと違うといった様子がある場合は、重症化している可能性があります。ためらわずに救急要請を検討してください。普段、感じる頭痛と血圧の関係については「朝起きると頭が重いのは高血圧?具体的な症状や原因、対策について解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。   高血圧の人の熱中症予防 熱中症を防ぐためには、喉が渇く前から少量ずつこまめに水分を取ることを基本にしてください。喉の渇きを感じた時点ではすでに体内の水分が不足していることも多いため、「渇く前に飲む」という意識を持つことが大切です。具体的なタイミングとしては、起床後にコップ一杯の水を飲むことに加えて、外出前や運動の前後、入浴の前後、就寝前などに水分を補給する習慣をつけてください。一度に大量に飲むのではなく、少しずつ回数を分けて取り入れると、体への負担も少なく続けやすくなります。また、室温や湿度をこまめに確認し、エアコンや扇風機を上手に活用してください。屋外に出る際は、帽子や日傘を使い、通気性のよい衣服を選ぶことで、体にこもる熱を軽減できます。エアコンの使用をためらう方もいますが、熱中症予防のためには適切に活用することが重要です。さらに、気温の高い時間帯の外出や激しい運動は避け、活動の合間にこまめな休憩を確保してください。無理を続けると、気づかないうちに体に負担がかかっていることがあります。加えて、家庭血圧を日頃から測定し、普段の数値と大きく異なる場合や体調に不安を感じる場合は、無理をせず休息を取ってください。   熱中症対策で塩分を増やしてもよい? 熱中症対策として塩分を意識される方も多いですが、1日3食をきちんと取れている日常生活の中では、熱中症予防のために一律で塩分量を増やす必要はありません。通常の食事で摂取している塩分でも、日々の水分バランスを保つには十分なことがほとんどです。高血圧のある方は、基本的にはこれまで通りの減塩方針を続けてください。熱中症を気にするあまり、塩飴や塩分タブレットを日常的に摂り続けると、かえって塩分の摂りすぎにつながり、血圧管理に影響を及ぼす可能性があります。塩分は熱中症予防の目的だけで安易に増やすものではないと理解しておいてください。ただし、炎天下での作業や長時間の運動など、大量に汗をかく状況では、水分とともに体内の塩分も失われます。このような場合には、一時的に塩分を含む飲料や食品で補うことが必要になる場面もあります。あくまで発汗量が多いときに限った対応として捉えてください。また、心不全や腎機能の低下、むくみのある方は、水分や塩分の調整が体調に大きく影響します。自己判断で増やしたり減らしたりせず、主治医の指示に従って対応してください。塩分と血圧の関係については、「千葉市都賀で高血圧症にお悩みの方へ|原因・症状・治療・生活改善まで解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。   降圧薬を服用している人の注意点 降圧薬を服用している方は、夏場の体調管理に特に気を配ってください。服薬内容によっては、発汗が多くなる時期に脱水や血圧低下のリスクが高まることがあります。特に利尿薬を使用している場合、体内の水分が排出されやすくなるため、汗によって失われる水分と合わさることで脱水が進みやすくなる点に注意してください。脱水が進むと、ふらつきや立ちくらみといった症状が現れやすくなります。また、腎臓への血流が減ることで、腎機能が一時的に悪化する場合もあります。そのため、こうした変化に早く気づけるよう、体調の変化とあわせて家庭血圧をこまめに確認する習慣をつけてください。体調不良を感じたり、血圧がいつもより低くなったりした場合でも、自己判断で降圧薬を中止したり量を減らしたりしないでください。急に服薬を止めると、かえって体調を崩す原因になることがあります。気になる症状がある場合は、服薬を続けたまま医療機関に相談することが基本です。さらに、夏場の水分摂取量や薬の量の調整について不安がある場合は、自己判断で対応せず、事前に主治医へ相談してください。体調や生活状況に応じて、適切な指示を受けることができます。   熱中症が疑われるときの対処法 熱中症が疑われる場合は、まず涼しい場所へ速やかに移動してください。屋外であれば日陰、可能であればエアコンの効いた室内へ移動し、衣服を緩めて体から熱を逃がしやすい状態にすることが基本です。あわせて、首まわりやわきの下、足の付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすと、効率よく体温を下げることができます。保冷剤や濡れタオルなどを活用してください。また、意識がはっきりしていて、自分で水分を飲める状態であれば、水分や経口補水液を少量ずつ摂取させてください。一気に大量に飲ませるのではなく、状態を見ながら少しずつ補給することが大切です。一方で、意識が朦朧としている、呼びかけへの反応が鈍い、嘔吐がみられるといった場合は、無理に水分を飲ませないでください。誤って気管に入り込む危険があるため、こうした状態では口から水分を与えることは避けてください。なお、応急処置を行っても症状が改善しない場合や、血圧が普段と大きく異なる場合、また水分をうまく取れない場合は、自己対応を続けず、速やかに医療機関へ相談してください。早めの判断が、重症化を防ぐことにつながります。   医療機関を受診する目安 熱中症が疑われる状況で冷却や水分補給を行っても、頭痛や吐き気、めまい、強い倦怠感が改善しない場合は、我慢を続けずに早めに内科へ相談してください。時間が経てば自然に回復すると考えて様子を見続けると、対応が遅れてしまうこともあります。また、血圧が普段より著しく高い、あるいは低い状態が続く場合や、尿量が明らかに少ない、動悸や胸痛を感じるといった症状がある場合も、受診を検討してください。特に尿量の減少は、脱水や腎機能への負担を示すサインとなることがあるため、見過ごさないようにしてください。さらに、意識が朦朧とする、痙攣が起きる、体の一部に麻痺がある、激しい胸痛や呼吸困難がある、自力で水分を飲むことができないといった場合は、緊急性が高い状態と考えられます。ためらわずに救急要請を検討してください。なお、医療機関を受診する際は、普段の血圧の数値と当日測定した血圧、症状が始まった時間、水分摂取の状況、現在服用している降圧薬について、できる限り正確に伝えてください。これらの情報は、診察や治療方針を判断するうえで重要な手がかりになります。   まとめ 高血圧のある方は、高血圧という状態そのものだけでなく、暑さによる脱水や血圧の変動、加齢、糖尿病・腎臓病・心疾患などの合併症、服用中の降圧薬といった要因が重なることで、熱中症のリスクが高まりやすくなります。日頃から自分自身の体調や生活環境を意識しておくことが大切です。予防の基本としては、喉が渇く前からのこまめな水分補給、室温や湿度の管理、暑い時間帯の外出や運動を避けること、そして家庭血圧と体調の変化をこまめに確認することが挙げられます。これらを日常生活の中で無理なく続けることが、熱中症予防につながります。また、熱中症対策として塩分を日常的に増やす必要はありません。大量に汗をかいたときなど、一時的に塩分補給が必要になる場面を除いては、これまで通りの減塩を基本として続けてください。なお、千葉市若葉区・都賀周辺にお住まいで、高血圧や夏場の血圧管理について不安のある方は、自己判断で対応を続けず、当院までご相談ください。日頃の血圧の状態やお薬の内容を踏まえたうえで、患者一人ひとりに合わせたアドバイスをいたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

糖尿病の熱中症対策に適した飲み物は?水・お茶・スポーツドリンク・経口補水液の選び方

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
夏場の水分補給は熱中症予防に欠かせませんが、糖尿病がある場合は少し注意が必要です。スポーツドリンクや経口補水液には糖質や塩分が含まれており、飲み方によっては血糖値や持病、服薬状況に影響することがあります。そのため、「何を飲めばよいのか」と迷う患者も少なくありません。この記事では、普段の水分補給、汗を多くかいたとき、熱中症が疑われるときの3つの場面に分け、それぞれに適した「飲み物」と注意点を具体的にご紹介します。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 糖尿病患者の熱中症対策では飲み物選びが重要 普段の水分補給は水や無糖のお茶が基本 糖尿病患者はスポーツドリンクを飲んでもよい? 経口補水液・OS-1はいつ飲む? 水だけでは足りないケースと塩分補給 熱中症対策として避けたい飲み物 低血糖時は飲み物の選び方が異なる 飲み物を選ぶときに確認したい成分表示 糖尿病薬を使用している人の水分補給の注意点 医療機関を受診する目安 まとめ   糖尿病患者の熱中症対策では飲み物選びが重要 糖尿病がある人は、高血糖の影響で尿量が増えやすく、また自律神経障害によって喉の渇きを感じにくくなることもあり、気づかないうちに脱水が進んでいる場合があります。そのため、喉が渇いたと感じてから水分を取るのではなく、暑い時期はこまめに「早めの水分補給」を心がけることが大切です。ただし水分補給だからといって、糖分の多い飲料を大量に飲むことにはリスクも伴います。血糖値が急に上がると、体はそれを尿として排出しようとするため、かえって尿量が増え、脱水がさらに悪化してしまうこともあります。熱中症対策のつもりが、血糖コントロールを乱す原因になってしまっては本末転倒です。つまり、「水分さえ取れば何でもよい」というわけではなく、そのときの状況や体調に応じて、適した飲み物を選ぶ視点が欠かせません。なお、糖尿病と脱水の関係については「糖尿病と脱水症状の関係」で、血糖コントロールの基本については「血糖コントロールの基本と実践的な改善方法|糖尿病患者向けガイド」でより詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。   普段の水分補給は水や無糖のお茶が基本 日常生活の中での水分補給は、水や白湯、無糖のお茶を基本にしてください。糖分や添加物を気にせず飲めるため、血糖値への影響を心配せずに続けやすい点がメリットです。水分補給は、一度にたくさん飲むよりも、少量を何度かに分けて取る方法をおすすめします。例えば起床後や外出前、運動の前後、入浴の前後、就寝前など、生活の節目ごとにコップ一杯程度を目安に補給すると、無理なく習慣化できます。また、コーヒーや濃いお茶を選ぶ際には注意が必要です。カフェインには利尿作用があり、摂取量が多くなると、かえって体内の水分が失われやすくなります。水分補給のつもりがカフェイン飲料に偏ってしまうと、十分な水分が確保できていない場合もあるため、無糖のお茶や水と組み合わせながらバランスよく取り入れてください。さらに、アルコールは水分補給の代わりにはなりません。利尿作用によって脱水を招きやすいうえ、血糖値の変動にも影響を与えることがあるため、熱中症対策としての飲み物には適していません。夏場に飲酒の機会が増える人は、この点を意識しておくと安心です。なお、飲酒が糖尿病に及ぼす影響については「お酒が糖尿病に与える影響について」で、コーヒーと糖尿病の関係については「コーヒーと糖尿病の関係、予防効果や摂取量について」でより詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。   糖尿病患者はスポーツドリンクを飲んでもよい? スポーツドリンクは、水分と一緒にナトリウムやカリウムなどの電解質を補給できる点が大きな利点です。汗を多くかいたときには、水だけでなくこうした電解質も失われるため、スポーツドリンクが役立つ場面もあります。ただし、商品によっては糖質を多く含むものもあるため、糖尿病がある人は選び方に注意してください。日常的な水分補給としてスポーツドリンクを大量に飲み続けると、血糖値が上昇しやすくなります。さらに、清涼飲料水を習慣的に多量摂取することで急激な高血糖状態に陥る「清涼飲料水ケトーシス」を招く可能性もあるため、普段の水分補給には水や無糖のお茶を基本とし、スポーツドリンクは必要な場面に限って取り入れることをおすすめします。大量に汗をかいた場合であっても、飲む前にパッケージの糖質量を確認する習慣をつけてください。そのうえで、喉の渇きが落ち着いたら無理に飲み続けず、体の状態を見ながら量を調整することが大切です。なお、糖質オフや低糖質をうたう商品を選ぶ場合も、ナトリウム量や人工甘味料の有無を確認しておくと安心です。特に血糖コントロールが不良な人、腎機能が低下している人、高血圧や心不全を合併している人は、飲み方によって体調に影響が出ることがあるため、事前に主治医へ相談してください。糖尿病の原因となる食べ物については「糖尿病の原因となる食べ物について」で、清涼飲料水ケトーシスとも関連する糖尿病ケトアシドーシスについては「糖尿病ケトアシドーシスの症状や原因、治療法について」でより詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。   経口補水液・OS-1はいつ飲む? 経口補水液(OS-1など)は、脱水状態にあるときに、水分と電解質を効率よく補うための飲料です。健康な状態での日常的な水分補給として、習慣的に飲み続けるものではない点をまず理解しておいてください。使用が検討されるのは、下痢や嘔吐が続いているとき、また大量の発汗によって脱水が疑われるときなどです。こうした場面では、体から失われた水分と電解質を速やかに補う目的で活用します。ただし、経口補水液にも糖質とナトリウムが含まれています。そのため、糖尿病がある人はもちろん、腎臓病や心臓病、高血圧を合併している人は、自己判断で大量に飲み続けることは避けてください。体調や持病によっては、糖質やナトリウムの摂取量に配慮が必要な場合があるため、症状が続くときや量に迷うときは、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。また、意識が朦朧としている、自力で水分を飲めない、嘔吐を繰り返しているといった場合は、無理に経口補水液を飲ませようとせず、救急要請を優先してください。こうした状態は重度の脱水や熱中症の可能性があり、飲み物での対応より医療的な処置が急がれます。なお、糖尿病と高血圧の関係については「糖尿病と高血圧の関係」でより詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。   水だけでは足りないケースと塩分補給 通常の食事を取れており、室内で過ごすことが多い場合は、熱中症予防のために塩分を積極的に追加する必要はあまりありません。食事から一定量の塩分は自然と摂取できているため、水や無糖のお茶による水分補給を基本にしてください。一方で、炎天下での作業や運動などによって大量に汗をかいた場合は、水分だけでなく電解質の補給も必要になることがあります。汗にはナトリウムなどのミネラルが含まれており、水だけを補給し続けると、体内の電解質バランスが崩れることもあるため、こうした場面ではスポーツドリンクや塩分を含む食品を組み合わせて取り入れてください。塩飴や塩分タブレットも電解質補給の選択肢のひとつですが、商品によっては糖質が含まれているものもあります。糖尿病がある人は血糖値への影響を、高血圧がある人は塩分量を、それぞれ成分表示で確認してから活用することをおすすめします。なお、腎機能が低下している人、心不全がある人、むくみが出やすい人は、水分や塩分の摂取量について自己判断で調整せず、主治医の指示を優先してください。持病によっては、水分や塩分の取りすぎがかえって体に負担をかける場合があります。   熱中症対策として避けたい飲み物 砂糖入りの清涼飲料水や炭酸飲料、加糖コーヒー、エナジードリンクなどは、糖質量が多く、血糖値を急激に上げやすい飲み物です。喉が渇いたときに手軽に飲みやすい反面、熱中症対策としての水分補給には向いていないため、こうした飲料を主な水分源にすることは避けてください。果汁100%ジュースや野菜ジュースも、体によいイメージを持たれがちですが、商品によっては糖質を多く含んでいます。栄養補給として少量楽しむ分には問題なくても、水分補給を目的として大量に飲み続けると、血糖値の上昇につながる可能性があるため注意してください。また、甘い飲み物は血糖値の上昇に伴って口の渇きを感じやすくなることがあり、渇きを潤そうとさらに甘い飲み物を飲んでしまう悪循環に陥ることもあります。喉の渇きが続くときこそ、水や無糖のお茶に切り替える意識を持ってください。アルコールやカフェイン飲料についても、利尿作用によって体内の水分が失われやすいため、これらを中心に水分補給を行うことは避けてください。熱中症対策としては、水分と電解質をバランスよく補える飲み物を基本に選ぶことが大切です。   低血糖時は飲み物の選び方が異なる 熱中症予防のための水分補給と、低血糖を改善するための糖分補給は、目的がまったく異なります。ここまでは水分と電解質の補給を中心に説明してきましたが、低血糖が疑われる場面では対応の考え方を切り替える必要があるため、混同しないよう気をつけてください。冷汗が出る、手が震える、動悸がする、強い空腹感があるといった症状が見られ、血糖測定によって低血糖が確認できた場合は、主治医から指示されている方法に沿って、ブドウ糖や糖分を含む飲料を摂取してください。普段は糖質を控える意識があっても、低血糖時には必要な対応であるため、日頃から自分に合った対処法を主治医と確認しておくと安心です。ただし、意識が朦朧としている、あるいは意識障害がある場合には誤嚥の危険があるため、無理に飲み物を飲ませることは避けてください。このような状態では、水分や糖分の摂取よりも速やかな医療対応が優先されます。熱中症と高血糖、低血糖は、いずれも冷汗や倦怠感、意識の変化など似た症状が現れることがあり、自己判断での見極めが難しい場合もあります。判断に迷うときは、無理に対応しようとせず、早めに医療機関へ相談してください。   飲み物を選ぶときに確認したい成分表示 飲み物を選ぶときは、パッケージに記載されている栄養成分表示を確認する習慣をつけてください。特に炭水化物または糖質の量、食塩相当量、そして1本あたりの容量の3点は、糖尿病がある人にとって重要な判断材料になります。成分表示は「100mLあたり」で記載されていることが多く、この数値だけを見て判断すると、実際に飲む量との差に気づきにくくなります。例えば500mLのペットボトルを1本飲みきる場合、100mLあたりの糖質量を5倍して計算する必要があるため、容量表示もあわせて確認し、実際に摂取する糖質量を把握するようにしてください。また、「低糖」「カロリーオフ」「ゼロ」といった表示は目に留まりやすいものの、これらの表示だけで安心して選ぶのは避けてください。商品によって基準や含まれる成分は異なるため、表示の言葉だけで判断せず、栄養成分表示を実際に見て確認する習慣が大切です。なお、普段飲んでいる飲み物が自分に適しているか迷う場合は、無理に自己判断せず、商品名や成分表示を撮影した写真を受診時に持参し、主治医や管理栄養士に確認してもらう方法もあります。日頃の飲み物選びに不安があるときは、遠慮せず相談してください。   糖尿病薬を使用している人の水分補給の注意点 SGLT2阻害薬など、尿から糖を排出することで血糖値を下げる薬を使用している人は、その作用によって尿量が増えやすく、脱水に特に注意が必要です。暑い時期は汗による水分喪失も加わるため、こまめな水分補給をより意識して行ってください。発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などで食事や水分がいつも通り取れないときは、「シックデイ」と呼ばれる体調不良時の対応が必要になる場合があります。薬の量や飲み方を調整すべきかどうかは自己判断せず、事前に主治医からシックデイルールについて説明を受けておき、実際にそうした状態になったときは指示に従って対応してください。体調不良のときであっても、糖尿病薬やインスリンを自己判断で中止したり、量を減らしたりすることは避けてください。血糖コントロールが乱れる原因になるだけでなく、思わぬ体調悪化につながることもあるため、薬の調整が必要と感じた場合も、必ず主治医に相談したうえで対応してください。なお、尿量が急に減った、体重が短期間で大きく変化した、強い喉の渇きが続く、血糖値が普段よりも著しく高いといった様子が見られる場合は、様子を見続けず早めに受診してください。これらは脱水や体調悪化のサインである可能性があります。   医療機関を受診する目安 水分を取っても頭痛、吐き気、めまい、強い倦怠感などの症状が改善しない場合は、無理に様子を見続けず、早めに内科へ相談してください。熱中症の初期症状は水分補給によって軽快することが多いものの、改善が見られないときは体の中で別の異常が起きている可能性もあります。また、血糖値が普段よりも著しく高い、あるいは低い状態が続いている場合、水分をうまく取れない場合、嘔吐を繰り返している場合も、受診を検討するタイミングです。こうした状態は、脱水や血糖コントロールの乱れが同時に進んでいることもあるため、自己対応で経過を見るのではなく、医療機関で相談してください。なお、意識が朦朧としている、痙攣が見られる、呼びかけへの反応がいつもと違う、自力で飲み物を飲めないといった状態がある場合は、様子を見ることを優先せず、速やかに救急要請を検討してください。受診する際は、糖尿病の種類、使用している薬やインスリンの内容、直近の血糖値の推移、実際に飲んだ飲料の種類と量、症状が始まった時間などを整理して伝えると、診察がスムーズに進みます。可能な範囲でメモにまとめておくと、医療者にも状況が伝わりやすくなります。   まとめ ここまで、糖尿病がある人の熱中症対策における飲み物選びについて説明してきました。改めて確認すると、普段の水分補給は水や無糖のお茶を基本とし、こまめに少量ずつ補給することが大切です。スポーツドリンクや経口補水液は、大量に汗をかいたときや脱水が疑われるときに役立つ飲み物ですが、糖質や塩分が含まれているため、日常的に飲み続けたり、必要以上に大量摂取したりすることは避けてください。そのときの体調や状況に応じて、適した飲み物を選び分ける意識を持つことが、血糖コントロールと熱中症予防の両立につながります。また、適切な水分量や塩分量は、持病の有無、腎機能の状態、服用している薬の内容によって一人ひとり異なります。そのため、自己判断で対応を続けることに不安がある場合は、遠慮せず主治医へ相談してください。なお、当院でも糖尿病の管理や熱中症対策に関するご相談を承っております。水分補給の方法や飲み物選びについて気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

糖尿病の人は熱中症になりやすい?原因・症状・予防法を医師が解説

内科に関する記事です。
夏が近づくと、「糖尿病だと熱中症になりやすいのでは…」「暑い日に血糖値が上がるのはなぜ…」と不安を感じる患者は少なくありません。糖尿病の人は高血糖による尿量増加や脱水、自律神経障害による発汗調節の低下などが重なり、「熱中症のリスク」が高まりやすいと考えられています。したがって、体調の変化を軽視せず、早めに対処することが大切です。この記事では、糖尿病と熱中症の関係や血糖値への影響、原因を整理したうえで、水分補給や血糖管理の方法、受診の目安まで具体的に解説します。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 糖尿病の人は熱中症になりやすい? 糖尿病の人が熱中症になりやすい理由 高血糖と脱水が引き起こす悪循環 糖尿病患者が注意したい熱中症の症状 熱中症と低血糖・高血糖の見分け方 糖尿病患者の熱中症予防 糖尿病の熱中症対策に適した飲み物 夏場の糖尿病薬・インスリンで注意すること 1型糖尿病と2型糖尿病で異なる注意点 高齢の糖尿病患者が特に注意すべき理由 医療機関を受診する目安 まとめ   糖尿病の人は熱中症になりやすい? 糖尿病がある人は糖尿病がない人と比べて、脱水や体温調節の異常が起こりやすいため、熱中症に対して注意が必要です。高血糖が続くと尿量が増えて体内の水分が失われやすくなります。加えて、糖尿病による神経障害が進むと、汗をかく機能そのものが低下し、体温をうまく下げられなくなることもあります。ただし、糖尿病があるからといって、すべての患者が必ず熱中症になるわけではありません。血糖コントロールの状態、合併症の有無、服用している薬、年齢、そして日々の生活環境などの要素が重なることで、リスクが高まっていきます。そのため、自分がどの程度リスクを抱えているかを把握しておくことが大切です。なお、特に注意してほしいのは、高齢の患者、血糖コントロールが不十分な患者、腎機能が低下している患者、そして屋外での活動が多い患者です。これらに当てはまる場合は、暑い時期に入る前から水分補給や体調管理を意識して行ってください。   糖尿病の人が熱中症になりやすい理由 糖尿病の人はなぜ熱中症になりやすいのでしょうか。ここでは、その原因を血糖値や自律神経の働きなど複数の視点から詳しく解説します。 尿量増加による水分喪失 高血糖の状態が続くと、腎臓は血液中の余分な糖を尿として排出しようとします。このとき糖と一緒に水分も多く排出されるため、尿量が増え、体内の水分が失われやすくなります。これは浸透圧利尿と呼ばれる現象です。喉の渇きを感じる前に体内の水分量が減ってしまうことも多く、気づかないうちに脱水が進んでいるケースも少なくありません。そのため、血糖値が高めの日は特に、意識的な水分補給が求められます。また、頻尿が続くと外出や就寝時の水分摂取を控えてしまう患者もいるため、生活面での工夫も必要になってきます。 脱水と高血糖の悪循環 脱水が進むと血液中の水分が減り、血液が濃縮された状態になります。すると血液中の糖の濃度、つまり血糖値がさらに上昇しやすくなります。血糖値が上がれば、それに伴って尿量もさらに増えるため、脱水がいっそう進むという悪循環に陥ります。この状態が続くと、めまいや倦怠感、意識障害といった症状が現れることもあり、熱中症と高血糖の症状が重なって見分けにくくなる場合もあります。したがって、暑い時期は喉の渇きを感じなくても、こまめに水分を摂る習慣をつけてください。 自律神経障害による体温調節の乱れ 糖尿病が長期間にわたると、神経に障害が生じる糖尿病性自律神経障害を合併することがあります。自律神経は発汗や皮膚の血流をコントロールし、体温を一定に保つ役割を担っています。この機能が低下すると、暑いときに十分な汗をかけなくなったり、皮膚の血流がうまく増えなかったりして、体内にこもった熱を外に逃がしにくくなります。結果として、周囲の人よりも体温が上がりやすくなり、熱中症のリスクが高まります。加えて、自律神経障害は自覚しにくいことも多いため、気づかないうちに体温調節機能が低下している可能性もあります。 暑さや渇きを感じにくくなる感覚の低下 糖尿病による神経障害は、体温調節だけでなく感覚の認識にも影響を及ぼすことがあります。具体的には、暑さそのものを感じにくくなったり、喉の渇きを自覚しにくくなったりする場合があります。この感覚の鈍さがあると、水分補給や涼しい場所への移動といった対処が遅れてしまい、結果的に熱中症が重症化してから気づくこともあります。また、糖尿病性腎症や心疾患などの合併症がある患者は、水分や塩分の管理がより複雑になります。腎機能や心機能の状態によっては、水分の摂り方に制限がかかる場合もあるため、自己判断せず主治医に相談しながら対応を進めてください。 糖尿病の人が熱中症になりやすい理由には、高血糖による尿量増加、脱水と高血糖の悪循環、自律神経障害による体温調節の乱れ、そして暑さや渇きを感じにくくなる感覚の低下が関係しています。これらの要因は単独で起こることもあれば、複数が重なって熱中症のリスクをさらに高めることもあります。特に合併症を抱えている患者は、水分や塩分の管理が複雑になるため、体調の変化を放置せず、早めに対応することが大切です。日頃から血糖コントロールを意識し、暑い時期はこまめな水分補給と休憩を心がけてください。少しでも異変を感じた場合は、無理をせず速やかに医療機関へ相談することをおすすめします。   高血糖と脱水が引き起こす悪循環 気温が上昇し、発汗によって体内の水分が減少すると、体内の糖の量が変わらなくても血液が濃縮され、血糖値が高く出やすくなります。これは、血液中の水分が減ることで、相対的に血糖の濃度が高まるためです。普段と同じ食事量や運動量であっても、暑い時期は血糖値が上がりやすくなることがあるため、季節による変化として理解しておいてください。また、汗を大量にかく状況では自覚がないまま脱水が進んでいることも多く、血糖値の上昇に気づきにくい点にも注意が必要です。さらに、血糖値が高くなると、体は余分な糖を尿として排出しようとするため、尿量が増加します。この多尿によって体内の水分がさらに失われ、脱水が一段と進みます。なお、脱水が進めば血液はより濃縮され、血糖値はいっそう上昇しやすくなるため、高血糖と脱水が互いを悪化させる悪循環に陥ってしまいます。この悪循環が続くと、短時間のうちに体調が急激に悪化することもあるため、暑い時期の血糖管理には普段以上の注意を払ってください。このような状態になると、強い喉の渇き、頻回な排尿、著しい倦怠感、吐き気、意識がぼんやりするといった症状が現れることがあります。これらは熱中症でもみられる症状であるため、体調不良の原因が熱中症によるものなのか、重度の高血糖によるものなのか、判断が難しい場合が少なくありません。そのため、症状だけで自己判断せず、可能であれば血糖測定器で数値を確認してください。数値が普段より大きく外れている場合や、水分を摂っても症状が改善しない場合は、様子を見続けずに早めに医療機関へ相談することをおすすめします。   糖尿病患者が注意したい熱中症の症状 熱中症は誰にでも起こり得るものですが、糖尿病がある患者は症状の現れ方や見分け方に特有の注意点があります。ここでは、一般的な熱中症の症状を確認したうえで、糖尿病の患者が特に気をつけたいポイントを解説します。一般的な熱中症でみられる症状には、以下のようなものがあります。これらの症状に心当たりがある場合は、涼しい場所へ移動し、水分と塩分を補給しながら安静にしてください。 ・めまい ・立ちくらみ ・大量の発汗 ・筋肉痛 ・こむら返り ・頭痛 ・吐き気 ・倦怠感 ・顔のほてりや体温の上昇 ・脈が速くなる 糖尿病がある患者の場合、喉の渇き、倦怠感、吐き気、意識のぼんやりといった症状は、熱中症だけでなく高血糖や低血糖でも起こり得るため、原因の見極めが難しくなります。特に注意してほしいのは低血糖の症状です。冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感などがみられる場合は、熱中症ではなく低血糖を疑ってください。この場合、水分補給だけでなく糖分の摂取が必要になることもあるため、対応が大きく異なります。そして、意識がはっきりしない、自力で水分を飲むことができない、痙攣が起きている、呼びかけへの反応がおかしいといった状態がみられる場合は、様子を見ずに直ちに救急要請を検討してください。判断に迷う時間が長引くほど対応が遅れる可能性があるため、少しでも危険を感じたら早めの行動を優先してください。   熱中症と低血糖・高血糖の見分け方 熱中症、低血糖、高血糖は、めまいや倦怠感、吐き気、意識のぼんやりといった症状が重なる部分が多く、症状だけを見て完全に区別することは容易ではありません。特に暑い時期は熱中症を疑いがちですが、実際には血糖値の異常が背景にある場合もあるため、思い込みで判断せず、複数の可能性を念頭に置いて対応することが大切です。体調の変化に気づいたら、まずは涼しい場所で安静にしながら、状況を落ち着いて確認してください。なお、血糖自己測定器や持続血糖測定器を使用している場合は、可能な範囲で血糖値を確認してください。数値を確認することで、低血糖なのか高血糖なのか、あるいは血糖値には大きな異常がなく熱中症の可能性が高いのかを判断する手がかりになります。また、低血糖が疑われ、本人の意識がはっきりしており、安全に飲み込める状態であれば、主治医から指示された方法に従ってブドウ糖などを補給してください。普段からどのような対応を取るべきか、事前に主治医と確認しておくと、いざというときに落ち着いて行動しやすくなります。一方で、意識がない、もしくは反応が乏しい人に対しては、無理に飲み物や食べ物を与えないでください。誤って気道に入ってしまう危険があるため、意識がない場合は口から何かを摂らせようとせず、安全な体位を保ちながら救急要請を行ってください。さらに、高血糖の状態が続いている場合や、吐き気、腹痛といった症状がある場合、水分をうまく摂れない場合は、自己判断で経過を見続けず、早めに医療機関へ相談してください。判断に迷う状況こそ、専門家の判断を仰ぐことが安全につながります。   糖尿病患者の熱中症予防 熱中症を防ぐ基本は、喉が渇く前から少量ずつ、こまめに水分を取ることです。糖尿病がある患者は喉の渇きを感じにくい場合もあるため、喉が渇いたと感じてから飲むのではなく、時間を決めて意識的に水分を摂る習慣をつけてください。一度に大量に飲むよりも、少しずつ回数を分けて飲むほうが体への負担も少なく、水分を効率よく取り入れられます。具体的なタイミングとしては、起床後、外出前、運動の前後、入浴の前後、そして就寝前が挙げられます。これらの場面をあらかじめ習慣として組み込んでおくと、水分補給を忘れにくくなります。また、室内にいるからといって油断せず、エアコンや扇風機を適切に使用し、室温と湿度をこまめに確認してください。節電を意識するあまり冷房を控えすぎると、室内でも熱中症のリスクが高まるため注意が必要です。さらに、気温や湿度が高い時間帯の外出や激しい運動はできるだけ避け、外出する場合は日陰を選んで小まめに休憩を取ってください。帽子や日傘、通気性のよい衣服、冷却グッズなどを活用すると、体温の上昇を抑えやすくなります。そして、食事を抜くと血糖値が不安定になりやすいため、暑い時期でも体調に合わせて規則正しく食事を摂ることを心がけてください。なお、食欲がないときは、消化のよいものを少量ずつ摂るなど工夫してください。加えて、血糖値や体重、尿量、体調の変化について、普段よりも注意して確認する習慣をつけてください。これらの数値や体調の変化に早めに気づくことで、脱水や血糖値の異常を早期に発見しやすくなります。   糖尿病の熱中症対策に適した飲み物 熱中症対策として水分補給が大切だとわかっていても、どのような飲み物を選べばよいか迷う患者は多いのではないでしょうか。普段の水分補給は、水や無糖のお茶など、糖質を含まない、もしくは糖質の少ない飲み物を基本としてください。清涼飲料水やジュースなどは飲みやすい反面、糖質量が多いものもあるため、日常的な水分補給としては適していません。一方で、スポーツドリンクは汗で失われた水分や電解質を補給できる飲み物として知られていますが、商品によっては糖質が多く含まれているものもあります。そのため、喉が渇くたびに日常的に大量摂取してしまうと、血糖値の上昇につながる可能性があるため注意してください。運動時や発汗量が多いときの一時的な使用にとどめ、飲む量や頻度を意識することが大切です。また、大量に汗をかいた場合や脱水症状がみられる場合は、水分だけでなく電解質の補給が必要になることもあります。ただし、糖尿病に加えて高血圧や腎臓病がある患者は、塩分や糖質、カリウムなどの制限が必要な場合があり、適切な飲料は人によって異なります。そして、経口補水液は、日常的な水分補給のために飲むものではなく、脱水がみられるときに使用する飲料であることも理解しておいてください。なお、普段から習慣的に飲むものではない点に注意が必要です。飲料の選択や摂取量に迷う場合は、自己判断せず主治医や医療機関へ相談してください。糖尿病患者の熱中症対策に適した飲み物については「糖尿病の熱中症対策に適した飲み物は?水・お茶・スポーツドリンク・経口補水液の選び方」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   夏場の糖尿病薬・インスリンで注意すること 糖尿病治療薬の中には、尿量を増やす作用を持つものがあります。代表的なものにSGLT2阻害薬があり、余分な糖を尿として排出する仕組み上、通常より尿量が増えやすくなります。このような薬を使用している患者は、もともと脱水になりやすい状態にあるため、夏場は特に意識して水分を補給してください。また、利尿薬を併用している場合も同様に脱水のリスクが高まるため、体調の変化に注意を払う必要があります。体調不良や食欲不振によって食事量が減った場合でも、糖尿病薬やインスリンを自己判断で中止したり、量を減らしたりしないでください。食事が摂れないからといって薬を勝手に止めると、かえって血糖コントロールが乱れる原因になることがあります。発熱、嘔吐、下痢、食欲不振などの体調不良がみられる際は、あらかじめ主治医から説明を受けているシックデイルールに従って対応してください。なお、シックデイルールの内容は患者ごとに異なるため、普段から確認しておくと安心です。さらに、インスリン製剤や血糖測定器、センサーなどの機器は、高温や直射日光に弱い性質を持つものが多くあります。製品ごとに定められた保管温度や保管方法を確認し、それに従って管理してください。特に注意してほしいのが、車内や屋外への放置です。夏場の車内は短時間でも高温になりやすく、薬剤の効果が損なわれたり、機器が正常に作動しなくなったりする恐れがあります。外出時は保冷バッグを活用するなど、薬剤や機器を適切な温度で持ち運ぶ工夫を心がけてください。   1型糖尿病と2型糖尿病で異なる注意点 1型糖尿病の患者は、体内でインスリンをほとんど、あるいはまったく作ることができないため、インスリン不足に対して特に注意が必要です。体調不良や脱水などをきっかけにインスリンが不足すると、急激な高血糖に加えて、糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれる重篤な状態に陥ることがあります。これは血糖値の異常だけでなく、吐き気や腹痛、意識障害などを伴うこともあるため、早期の対応が求められます。そのため、体調が悪いときであっても、基礎インスリンを自己判断で中止しないでください。なお、食事が摂れないと不安になり、インスリンを控えてしまう患者もいますが、基礎インスリンは体の基本的な代謝を支える役割があるため、自己判断での中止は危険を伴います。血糖値やケトン体の確認方法、体調不良時の対応については、事前に主治医と相談し、シックデイの具体的な手順を確認しておいてください。一方で、2型糖尿病の患者は、年齢や体格、腎機能の状態、心血管疾患の有無、服用している薬の種類などによって、熱中症のリスクが大きく異なります。特に高齢の患者や肥満傾向のある患者、腎機能が低下している患者は、体温調節機能や水分代謝に影響が出やすく、注意がより必要になります。また、服薬内容によって脱水を起こしやすい薬を使用している場合もあるため、自分の治療内容を把握しておくことが大切です。このように、1型糖尿病と2型糖尿病では注意すべきポイントが異なりますが、共通して言えるのは、糖尿病の型にかかわらず、それぞれの治療内容に沿った夏場の管理が重要だということです。自分がどのようなリスクを抱えているのか、日頃から主治医と確認しながら、無理のない対策を続けてください。   高齢の糖尿病患者が特に注意すべき理由 高齢の糖尿病患者は、若い世代と比べて熱中症のリスクがより高くなる傾向があります。その理由の一つに、加齢に伴う感覚機能の低下があります。高齢になると喉の渇きを感じにくくなり、暑さそのものへの感覚も鈍くなりやすいため、水分補給や涼しい環境への移動が遅れがちになります。加えて、体温調節を担う発汗機能も加齢とともに低下しやすく、暑さに対する体の防御反応がうまく働きにくくなります。また、生活環境も熱中症のリスクに大きく関わってきます。一人暮らしをしている高齢者は、体調の変化に自分自身で気づきにくく、周囲に助けを求めるタイミングを逃してしまうことがあります。さらに、認知機能の低下がある場合は、水分補給の必要性を忘れてしまったり、エアコンの操作が難しく使用を控えてしまったりすることもあります。節約志向からエアコンをあまり使わない生活を続けている高齢者も少なくないため、こうした生活環境の見直しも重要です。そのため、家族や周囲の人は、室温が適切に保たれているか、水分や食事をきちんと摂れているか、尿量に変化がないか、そして反応や会話の様子がいつもと違わないかを定期的に確認してください。離れて暮らしている場合は、電話やビデオ通話などを活用し、こまめに様子を確認することも役立ちます。なお、糖尿病に加えて心不全や腎臓病がある高齢者は、水分の摂り方に特別な配慮が必要になる場合があります。熱中症を心配するあまり自己判断で水分量を増やしてしまうと、心臓や腎臓に負担をかけてしまう可能性もあるため、必ず主治医の指示に従い、適切な水分量を確認しながら過ごしてください。   医療機関を受診する目安 めまいや頭痛、吐き気、強い倦怠感といった症状がみられる場合、涼しい場所での休息や水分補給によって改善することもありますが、しばらく様子を見ても症状が改善しない場合は、我慢せず早めに内科へ相談してください。特に糖尿病がある患者は、これらの症状が熱中症によるものか、血糖値の異常によるものか判断しにくいことが多いため、症状が長引く場合は自己判断を続けずに医療機関を頼ってください。また、水分をうまく摂ることができない、嘔吐を繰り返している、血糖値が普段と比べて著しく高い、あるいは低い状態が続いているといった場合も、受診を検討してください。自宅での対応だけでは改善が難しい状態であるサインとなることがあります。さらに、尿量が極端に少ない、短期間で体重が急に減った、強い口の渇きが続いているといった状態がみられる場合は、脱水が進んでいる可能性を疑ってください。これらは自覚しにくい場合もあるため、普段の状態と比べて明らかな変化がないか、こまめに確認する習慣をつけておくと気づきやすくなります。そして、意識がはっきりしない、痙攣が起きている、呼びかけへの反応がいつもと違う、自力で水分を飲むことができないといった状態がみられる場合は、様子を見ずに直ちに救急要請を検討してください。なお、受診の際は、糖尿病の種類、使用している薬やインスリンの内容、直近の血糖値の推移、水分摂取量、そして症状が始まったおおよその時間を伝えてください。これらの情報は診察や治療方針の判断に役立つため、可能であればメモやアプリの記録を持参すると、スムーズに状況を伝えられます。   まとめ ここまで解説してきたように、糖尿病患者は高血糖による多尿と脱水、自律神経障害による体温調節機能の低下、さらには合併症や服薬内容などが重なることで、熱中症のリスクが高くなる可能性があります。糖尿病があるからといって必ず熱中症になるわけではありませんが、自分がどのような要因を抱えているのかを理解し、日頃から備えておくことが大切です。予防の基本は、喉が渇く前からこまめに水分を補給すること、室温や湿度を適切に管理すること、血糖値の変化を普段より注意深く確認すること、そして薬剤やインスリン、測定機器を正しい方法で保管することです。これらを日々の生活の中に無理なく取り入れ、習慣として続けていくことが、熱中症を防ぐうえで大きな支えになります。また、熱中症と低血糖・高血糖は症状が似ているため、症状だけで原因を判断するのは難しい場合があります。めまいや倦怠感、吐き気などの体調不良が続くときは、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関へ相談してください。特に高齢の患者や合併症がある患者は、体調の変化が急激に進むこともあるため、少しでも不安を感じたら早めに行動することをおすすめします。なお、千葉市都賀周辺にお住まいで、糖尿病や夏場の血糖管理について不安を感じている方は、ぜひ当院へご相談ください。一人ひとりの治療内容や生活状況に合わせて、無理のない熱中症対策をご提案いたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

高血圧は何科を受診すればいい?内科・循環器科の違いと受診の目安を医師が解説

内科に関する記事です。
「血圧が高いと言われたけれど、何科を受診すればいいのだろう」と迷っている方は多くいます。「内科なのか…」「循環器科なのか…」と判断に困るケースは少なくありません。この記事では、高血圧の受診先の選び方をわかりやすく整理します。内科と循環器科の使い分け、受診のタイミング、当日の診察の流れまで順を追って確認してみてください。受診へのハードルを少しでも下げるきっかけになれば幸いです。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 高血圧で受診できる診療科の種類 最初は内科でよい理由 循環器内科への受診・紹介が必要なケース 緊急受診・救急対応が必要な血圧の目安 受診時に準備しておくこと 内科受診後の一般的な流れ まとめ   高血圧で受診できる診療科の種類 高血圧と診断された際、どの診療科を受診すればよいか迷う方は多くいます。実は、症状や状態によって適切な受診先は異なります。ここでは、高血圧で受診できる主な診療科の特徴と、それぞれの役割について詳しく解説します。 内科(一般内科・総合内科) 高血圧の治療において、最初の受診先として最も適しているのが内科です。内科では、血圧測定や問診をもとに高血圧の診断を行い、生活習慣の改善指導から降圧薬の処方まで幅広く対応しています。特に「かかりつけ医」として定期的に通院できる点が大きな強みです。血圧の経過を継続的に観察しながら、必要に応じて専門科への紹介も行ってくれます。初めて高血圧を指摘された場合や、特別な自覚症状がない場合は、まず内科への受診を検討してみてください。 循環器内科 循環器内科は、心臓や血管を専門とする診療科です。高血圧に加えて、胸の痛みや動悸、息切れなどの症状がある場合、狭心症・心不全・不整脈といった疾患が背景にある可能性があります。そのため、このような症状が見られる場合は循環器内科の受診が勧められます。また、内科で治療を続けても血圧のコントロールが難しいケースや、心臓への負担が懸念される場合にも、内科医から循環器内科へ紹介されることがあります。なお、高血圧が進行した段階での心血管リスクを詳しく評価したい場合にも、循環器内科が力を発揮します。 腎臓内科 高血圧と腎臓は密接な関係があります。腎臓の機能が低下すると血圧が上昇しやすくなり、逆に高血圧が続くと腎臓にダメージを与えるという悪循環が生じます。腎臓内科では、高血圧の原因が腎臓疾患にある場合や、慢性腎臓病(CKD)の合併が疑われる場合に専門的な診療が行われます。なお、一般的には内科や循環器内科からの紹介という形で受診するケースが多く、尿検査や血液検査で腎機能の異常が見つかった際に受診を勧められることがあります。 高血圧の受診先は、症状や状態によって内科・循環器内科・腎臓内科と異なります。特別な症状がなく「まずどこに行けばいいかわからない」という場合は、内科(かかりつけ医)への受診が最も一般的で合理的な第一選択です。その後、必要に応じて専門科へ紹介してもらう流れが、スムーズな治療への近道となります。気になる症状があれば、早めに受診するようにしてください。   最初は内科でよい理由 高血圧と診断された場合、まず内科を受診することを勧めます。高血圧の多くは「本態性高血圧」と呼ばれ、特定の疾患が原因ではなく、遺伝的要因や生活習慣が複合的に関与して血圧が上昇するタイプです。この本態性高血圧は、内科での診断・治療で完結するケースがほとんどです。最初から専門科を探す必要はなく、身近な内科からスタートするのが合理的な選択といえます。例えば内科では、診断の精度を高めるためにさまざまな検査を行います。血液検査や尿検査によって腎臓や肝臓の状態を確認し、心電図や胸部X線によって心臓や血管への影響を評価します。これらの検査を通じて、高血圧による臓器障害の有無や、二次性高血圧(腎臓病など別の疾患が原因の高血圧)の可能性を調べることができます。そのため、内科を受診するだけで、高血圧の全体像をある程度把握することが可能です。加えて、生活習慣の改善指導も内科で受けることができます。減塩食の取り入れ方、適切な運動量の目安、体重管理の方法など、血圧を下げるために日常生活でできることを具体的にアドバイスしてもらえます。薬による治療だけでなく、生活習慣の見直しを並行して進めることが、高血圧の管理においては非常に重要です。なお、かかりつけの内科医がいる場合は、糖尿病や脂質異常症といった他の生活習慣病と合わせて管理できるという大きな利点があります。複数の疾患をひとりの医師が継続して診ることで、治療の一貫性が保たれ、薬の飲み合わせなどのリスクも管理しやすくなります。高血圧の治療は長期にわたることが多いため、信頼できる「かかりつけ医」を持つことが、健康管理の大きな支えになります。   循環器内科への受診・紹介が必要なケース 内科での治療が高血圧の基本となりますが、症状や検査結果によっては循環器内科での専門的な診療が必要になることがあります。ここでは、循環器内科への受診・紹介が必要となる代表的なケースについて解説します。 高血圧に加えて動悸・息切れ・胸の痛みがある 高血圧の症状に加えて、動悸や息切れ、胸の痛みや圧迫感といった症状が現れている場合は、心臓や血管に何らかの異常が生じている可能性があります。これらの症状は、狭心症・心不全・不整脈などのサインである場合があり、放置すると重篤な状態に進展するリスクがあります。そのため、このような症状が見られる場合は内科を経由せず、速やかに循環器内科を受診することを勧めます。 心電図・エコー検査で心臓への影響が疑われる 内科での検査において、心電図や心エコー検査で異常が指摘された場合も、循環器内科への紹介が必要になります。高血圧が長期間続くと、心臓に負荷がかかり続け、左室肥大や心機能の低下といった変化が生じることがあります。これらの変化は自覚症状が乏しいまま進行することも多く、検査で異常が見つかった段階で専門的な評価を受けることが重要です。 降圧薬を使っても血圧が下がりにくい難治性高血圧 複数の降圧薬を適切に使用しているにもかかわらず、血圧が目標値まで下がらない状態を「難治性高血圧」と呼びます。このような場合、薬の種類や組み合わせの見直しが必要になることがあり、循環器内科での専門的な評価が求められます。また、血圧測定の方法や服薬状況の確認など、多角的な視点からのアプローチが必要となるケースもあります。 二次性高血圧(原発性アルドステロン症・腎動脈狭窄など)が疑われる 高血圧の中には、ホルモン異常や腎臓の血管の狭窄など、特定の疾患が原因となっている「二次性高血圧」が存在します。原発性アルドステロン症や腎動脈狭窄などがその代表例です。これらは原因となる疾患を治療することで血圧が改善する可能性があるため、早期に見つけることが重要です。内科での初期評価を経て、二次性高血圧が疑われる場合に循環器内科や専門科への紹介が行われます。 循環器内科への受診が必要なケースはいくつかありますが、基本的にはまず内科で診察・検査を受け、必要に応じて循環器内科へ紹介してもらうルートが一般的です。自己判断で受診先を決めることが難しい場合は、迷わず内科に相談するようにしてください。適切なタイミングで専門科につながることが、高血圧の重症化を防ぐ大切な一歩となります。   緊急受診・救急対応が必要な血圧の目安 高血圧の多くは緊急性が低く、落ち着いて内科を受診すれば問題ありません。ただし、血圧の数値や症状によっては、一刻を争う対応が必要になる場合があります。収縮期血圧が180mmHg以上を超えている場合、特に注意が必要です。さらに、激しい頭痛・吐き気・嘔吐・視力の変化・言葉のもつれ・手足の麻痺やしびれといった症状が同時に現れている場合は、「高血圧緊急症」の可能性があります。高血圧緊急症とは、急激な血圧上昇によって脳・心臓・腎臓などの重要な臓器に深刻なダメージが生じている、あるいは生じつつある状態です。脳卒中や大動脈解離、急性心不全などの命に関わる疾患が背景にある可能性もあるため、速やかな対処が求められます。このような状況では、内科や循環器内科への予約を取っている時間はありません。救急外来への受診、または救急車の利用を迷わず選択してください。「少し様子を見てから判断しよう」という判断は非常に危険です。症状が現れてから時間が経過するほど、臓器へのダメージが広がるリスクが高まります。また、本人が症状を過小評価してしまうケースも少なくありません。周囲にいる家族や同僚が異変に気づいた場合も、本人の意向を待たずに救急対応を取るようにしてください。高血圧緊急症は、早期対応が予後を大きく左右します。少しでも該当する症状があると感じたら、ためらわずに救急を利用することが、命を守る最善の行動です。   受診時に準備しておくこと まず、家庭での血圧記録を用意してください。診察室で測定する血圧は、緊張や環境の影響を受けやすく、普段の血圧を正確に反映しないことがあります。そのため、自宅で毎朝・毎晩測定した血圧の値を5〜7日分まとめて持参することを勧めます。手帳への記録でも、スマートフォンのアプリでも構いません。継続的なデータがあると、医師が血圧の傾向を把握しやすくなります。次に、現在服用している薬やサプリメントの情報を整理しておいてください。一部の薬やサプリメントは血圧に影響を与えることがあります。お薬手帳をお持ちの場合は必ず持参し、手帳がない場合は薬の名前と用量をメモしておくと診察の助けになります。加えて、健康診断の結果票がある場合は持参することを勧めます。血圧を指摘されたタイミングや当時の数値が記録されていると、医師が経過を把握するうえで非常に有用な情報となります。さらに、気になる症状についても事前にメモしておくと安心です。頭痛・めまい・動悸など、いつ頃から・どのような状況で・どの程度の強さで現れているかを整理しておくことで、診察時に伝え漏れを防ぐことができます。限られた診察時間を有効に使うためにも、事前の準備を丁寧に行うようにしてください。   内科受診後の一般的な流れ 「受診したら何をされるのだろう」と不安に感じる方もいると思います。あらかじめ診察の流れを把握しておくことで、当日を落ち着いて迎えることができます。ここでは、内科で高血圧の診察を受ける際の一般的な流れを順に紹介します。 問診 診察の最初に行われるのが問診です。医師は、いつ頃から血圧が高いと指摘されているか、これまでの血圧の経過や推移について丁寧に確認します。また、食事の内容・運動習慣・喫煙・飲酒といった日常の生活習慣も重要な情報となります。加えて、家族に高血圧や心臓病・脳卒中の方がいるかどうかという家族歴、過去にかかった病気や手術の既往歴、現在服用している薬やサプリメントの内容についても確認が行われます。問診は診断の土台となる重要なステップです。医師に正確な情報を伝えるためにも、事前に内容を整理してメモしておくことを強く勧めます。 検査 問診のあとは、各種検査が行われます。血圧は緊張や体調・時間帯によって変動しやすいため、診察室内で複数回測定し、より実態に近い値を把握します。血液検査では、腎臓・肝臓の機能、血糖値、コレステロール値などを確認し、高血圧が引き起こしている臓器への影響を総合的に評価します。尿検査では、タンパク尿の有無を調べることで腎臓へのダメージを確認することができます。心電図検査は心臓への負荷や不整脈の有無を調べるために標準的に実施されます。さらに、状況に応じて胸部X線や心エコー検査が追加されることもあります。検査結果は治療方針を決める重要な判断材料となるため、指示された検査はしっかり受けるようにしてください。 治療方針の決定 検査結果と問診の内容をもとに、医師が総合的に治療方針を決定します。血圧の上昇が軽度で臓器への影響が見られない場合は、まず減塩・適度な運動・禁煙・節酒といった生活習慣の改善を優先し、一定期間経過を観察するケースがあります。一方で、血圧が高く臓器への負担が懸念される場合や、糖尿病・脂質異常症などのリスク因子が重なる場合は、早い段階から降圧薬の服用を開始することもあります。なお、治療方針が決まったあとは、次回受診までの期間の目安や、自宅での血圧測定の頻度・タイミング・記録の方法についても丁寧に説明を受けます。医師の指示をもとに、自宅での血圧管理を継続してください。 内科受診の流れは、問診・検査・治療方針の決定という順序で進むのが一般的です。初回の受診では検査項目が多くなることもありますが、いずれも高血圧の状態を正確に把握し、適切な治療につなげるために欠かせないものです。受診当日は時間に余裕を持って臨み、医師の説明をしっかり聞くようにしてください。   まとめ 高血圧と指摘されたとき、どこを受診すればよいか迷う方は少なくありません。上記でお伝えしてきたように、特別な症状がない場合はまず内科(一般内科・かかりつけ医)を第一選択として受診することを勧めます。内科では、診断から検査・生活習慣の指導・降圧薬の処方まで、高血圧の治療に必要なことがほぼ対応可能です。動悸・息切れ・胸の痛みといった症状がある場合や、降圧薬を使用しても血圧のコントロールが難しい難治性高血圧の場合は、循環器内科での専門的な評価が必要になります。その場合も、まず内科を受診し、医師の判断のもとで紹介してもらうルートが一般的です。また、収縮期血圧が180mmHg以上で頭痛・視力変化・手足の麻痺などを伴う場合は、高血圧緊急症の可能性があるため、ためらわずに救急外来を受診するようにしてください。なお、受診前には、自宅で測定した朝・夜の血圧値を5〜7日分記録して持参することを勧めます。家庭血圧のデータは診断の精度を高める重要な情報となり、医師がより適切な治療方針を判断するための助けになります。千葉市都賀周辺にお住まいの方で、血圧が気になる方や健診で高血圧を指摘された方は、ぜひ当院へご相談ください。血圧測定・血液検査・生活習慣の指導を丁寧に行っています。一人で抱え込まず、まずはお気軽に受診してみてください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

血圧の正常値・年齢別の目安をわかりやすく解説|高めと言われたら何をすべきか

内科に関する記事です。
血圧の数値を見て、「これは正常なのか」「年齢的に高めでも仕方ないのか」と疑問に感じることはありませんか。血圧は年齢や体質、測定する時間帯や環境によっても変動するため、数値だけを見て一概に判断することはできません。正しく血圧を理解するためには、基準値の意味や年齢ごとの傾向を知ることが大切です。この記事では、血圧の正常値の基準について解説します。また、年齢別に見られる血圧の傾向や「測定値が高めだった場合の対処法」についても紹介します。ご自身の血圧と向き合うための参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 血圧の「上」と「下」の意味 成人の血圧区分(日本高血圧学会ガイドライン2019基準) 年齢別の平均血圧の傾向 年齢別に「正常値の目安」はあるか 「正常高値血圧」でも安心できない理由 こんな場合は内科への受診を検討する まとめ   血圧の「上」と「下」の意味 血圧を測定すると、必ず2つの数値が表示されます。この2つの数値には、それぞれ異なる意味があります。上の血圧と呼ばれるものは、正式には収縮期血圧といいます。これは、心臓がぎゅっと収縮して血液を全身に送り出す瞬間に、血管にかかる圧力のうち最も高い値を示しています。一方で、下の血圧は拡張期血圧と呼ばれており、心臓が次の拍動に向けて広がり、血液を取り込んでいる際にかかる圧力のうち最も低い値を表しています。血圧を表記する際には、「収縮期血圧/拡張期血圧」という形式で数値を並べ、単位にはmmHgを用いるのが一般的です。例えば「120/80mmHg」と表記された場合、上の血圧が120、下の血圧が80であることを意味します。なお、ここで注意していただきたいのは、判定の方法です。高血圧の診断は、上下どちらの数値で行うべきか迷う患者も少なくありません。実際には、上の血圧と下の血圧のどちらか一方でも基準値を超えていれば、高血圧と判定されます。「両方が同時に高くなければ問題ない」と考えるのは誤りですので、注意してください。   成人の血圧区分(日本高血圧学会ガイドライン2019基準) 日本高血圧学会のガイドラインでは、血圧の数値をいくつかの区分に分けて、リスクの程度を判断しています。まず、ご自身の血圧がどの区分に当たるのかを確認するために、以下の表をご覧ください。 成人の血圧区分(日本高血圧学会ガイドライン2019基準) 分類 収縮期血圧(mmHg)   拡張期血圧(mmHg) 至適血圧 120未満 かつ 80未満 正常血圧 120〜129 かつ/または 80未満 正常高値血圧 130〜139 かつ/または 85〜89 Ⅰ度高血圧(軽症) 140〜159 かつ/または 90〜99 Ⅱ度高血圧(中等症) 160〜179 かつ/または 100〜109 Ⅲ度高血圧(重症) 180以上 かつ/または 110以上 ※診察室血圧の基準です。家庭血圧は診察室血圧より5mmHg低い値が基準となるため、家庭で測定した場合は135/85mmHg以上が高血圧の目安となります。 この表からわかるとおり、血圧の区分は細かく分類されています。中でも注目していただきたいのが、正常高値血圧という区分です。この区分は高血圧そのものには該当しないものの、将来的に高血圧へ移行するリスクが高いとされています。そのため、現時点で数値に問題がなくても、生活習慣を見直すきっかけとして活用してください。また、診察室で測定した血圧と、家庭で測定した血圧では、基準値が異なる点にも注意が必要です。家庭血圧は診察室血圧よりも5mmHg低い値が基準となるため、自宅で135/85mmHg以上であった場合は、高血圧の可能性を考慮してください。なお、日々の血圧管理においては、どちらの基準で数値を確認しているのかを意識することが大切です。   年齢別の平均血圧の傾向 血圧は、加齢とともに上昇する傾向があります。特に収縮期血圧(上の血圧)においてその変化は顕著です。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、年代ごとに以下のような傾向が見られます。20〜30代では、収縮期血圧の平均は120mmHg前後で、男性は女性よりやや高めに推移します。この時期はまだ大きな問題が生じにくいですが、生活習慣の乱れが将来の血圧上昇につながることを意識してください。40〜50代になると、収縮期血圧の平均は130mmHg前後まで上昇します。さらに、この年代から高血圧の有病者数が急増するため、定期的な血圧測定を習慣化することが重要です。60代以上では、収縮期血圧が140mmHg以上に達する割合が増加します。加えて、この年代に多く見られるのが「孤立性収縮期高血圧」です。これは収縮期血圧のみが高くなる状態で、動脈硬化の進行が主な原因とされています。なお、注意していただきたいのは、「年齢が上がれば血圧が上がるのは当たり前」という思い込みです。高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの重大なリスク因子であり、年齢にかかわらず適切な管理が必要です。血圧の変化を「加齢のせい」と片付けず、早めに医師へ相談することを心がけてください。   年齢別に「正常値の目安」はあるか 「若いうちは多少血圧が高くても問題ない」と考える方は少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。日本高血圧学会では、成人であれば年齢にかかわらず、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧と診断します。つまり、診断基準そのものに年齢による差はありません。一方で、治療における降圧目標は、年齢や合併症の有無によって異なります。例えば75歳以上の高齢者では、急激な血圧低下による転倒やめまいのリスクを考慮し、収縮期血圧140mmHg未満を目標とするなど、個々の状態に応じた管理が推奨されています。そのため、降圧目標は医師と相談のうえ、患者一人ひとりに合わせて設定することが重要です。また、30〜40代の比較的若い世代においても、血圧管理を軽視しないことが大切です。この年代での高血圧は自覚症状が乏しく、気づかないまま放置されるケースが多く見られます。なお、高血圧の状態が長年続くと動脈硬化が進行し、将来的な脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まることが知られています。「年齢が若いから大丈夫」という思い込みを捨て、定期的に血圧を測定する習慣を身につけてください。血圧の異常を早期に発見し、適切な対策を講じることが、将来の健康を守る第一歩となります。気になる数値が続く場合は、早めに医師へ相談することをお勧めします。   「正常高値血圧」でも安心できない理由 血圧の数値が130〜139/85〜89mmHgの範囲に収まっている場合、「正常高値血圧」と呼ばれます。高血圧の診断基準である140/90mmHgには達していないため、「問題ない」と安心してしまう方も多くいます。しかし、この数値域は決して油断できる状態ではありません。正常高値血圧の段階でも、至適血圧(120/80mmHg未満)と比較すると、心筋梗塞や脳卒中などの心血管病を発症するリスクが明らかに高いことが分かっています。さらに、この状態を放置すると、将来的に高血圧へ進行する可能性が高く、早期からの対策が非常に重要です。では、具体的にどのような生活改善が有効でしょうか。まず取り組んでいただきたいのが減塩です。1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることを目標にしてください。加えて、週に150分以上の有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)を習慣化することで、血圧の低下が期待できます。また、喫煙は血管を収縮させ血圧を上昇させるため、禁煙は優先度の高い対策の一つです。節酒についてもアルコールの過剰摂取は血圧上昇につながるため、適量を守ることが大切です。これらの生活習慣の改善を継続することで、正常域への回復が十分に期待できます。「まだ高血圧ではないから大丈夫」という考えを改め、正常高値血圧の段階から積極的に生活を見直すことが、将来の健康を守る重要な一歩となります。   こんな場合は内科への受診を検討する 血圧は「沈黙の病」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行することが少なくありません。そのため、気づいたときには深刻な状態になっているケースもあります。以下に当てはまる場合は、早めに内科への受診を検討してください。 複数回測定して収縮期140mmHg以上または拡張期90mmHg以上が続く 血圧は、測定するタイミングや体調によって変動するものです。そのため、1回の測定だけで判断することは適切ではありません。ただし、日を変えて複数回測定しても収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の状態が続く場合は、高血圧と診断される可能性があります。この状態を放置すると動脈硬化や心臓・腎臓への負担が蓄積されるため、早めに内科を受診し、医師の判断を仰いでください。 家庭血圧が135/85mmHg以上になることが多い 病院で測定する「診察室血圧」に対し、自宅で測る「家庭血圧」は、より日常の血圧実態を反映しています。家庭血圧の基準は診察室血圧よりやや低く設定されており、135/85mmHg以上が続く場合は高血圧に相当すると考えられています。なお、家庭血圧は起床後1時間以内と就寝前の2回、安静な状態で測定することが推奨されています。この数値が繰り返し基準を超えるようであれば、受診を検討してください。 健診で「要再検査」「要精密検査」の判定を受けた 職場や自治体の健康診断で「要再検査」または「要精密検査」の判定を受けた場合は、必ず医療機関を受診してください。健診の結果をそのまま放置する方も少なくありませんが、この判定は早期対応が必要なサインです。加えて、健診時の血圧は緊張などの影響を受けやすいため、改めて落ち着いた環境で再測定・精査を行うことが重要です。医師による評価を受けることで、適切な管理方針を決めることができます。 頭痛・肩こり・めまい・動悸など気になる症状がある 高血圧は自覚症状が乏しいことで知られていますが、血圧が非常に高い状態では、頭痛・肩こり・めまい・動悸といった症状が現れることがあります。これらの症状が繰り返し起こる場合、血圧との関連が疑われます。また、これらは他の疾患のサインである可能性もあるため、症状が気になる場合は自己判断せず、内科を受診して原因を確認することをお勧めします。 高血圧の家族歴がある・生活習慣の乱れがある 高血圧には遺伝的な要因も関与しており、親や兄弟に高血圧の患者がいる場合は、自身も発症リスクが高まる傾向があります。さらに、塩分の多い食事・運動不足・喫煙・過度の飲酒・慢性的なストレスといった生活習慣の乱れは、血圧上昇の大きな要因となります。現時点で血圧が正常範囲であっても、これらに該当する場合は定期的な測定と生活習慣の見直しを行い、必要に応じて医師へ相談してください。 血圧の異常は、早期発見・早期対応が重要です。「症状がないから大丈夫」と思わず、測定値や健診結果、体の変化に敏感になることが大切です。気になるサインがあれば、ためらわず内科を受診してください。医師と連携しながら血圧を適切に管理することが、将来の健康を守る確かな一歩となります。   まとめ 上述した通り、成人の高血圧診断基準は年齢にかかわらず一律で、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上です。「年齢が上がれば血圧が高くなるのは当たり前」という考えは誤りであり、この思い込みが適切な治療や管理の遅れにつながります。また、高血圧と診断される前の段階である正常高値血圧(収縮期130〜139mmHg)においても、心血管病のリスクは確実に高まっています。そのため、この段階から減塩・運動・禁煙・節酒といった生活習慣の改善に取り組むことが、将来の高血圧や心筋梗塞・脳卒中の予防に直結します。数値が少し高めになってきたと感じたら、早めに対策を始めてください。なお、血圧の管理は、自覚症状がないからこそ定期的な測定と専門家への相談が欠かせません。千葉市都賀周辺にお住まいの方は、ぜひ当院へご相談ください。当院では血圧測定・血液検査・生活指導を通じて、患者一人ひとりの状態に合わせたサポートを行っています。「数値が気になる」「生活習慣を見直したい」といった段階からでも、お気軽にお越しください。早めの受診が、将来の健康を守る大きな力となります。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

男性に多い糖尿病の症状とは?見逃しやすいサインと早期受診のポイントを医師が解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
「疲れが取れない…」「夜中に何度もトイレに起きる…」といった変化を、年齢や仕事の疲れだと考えてしまう男性は少なくありません。実はこうした症状は糖尿病の初期段階で現れるサインである可能性があります。男性は女性と比べて医療機関を受診するタイミングが遅くなる傾向があり、その結果、糖尿病の発見が遅れてしまうことが少なくありません。したがって症状を自己判断して、放置することは絶対に避けてください。また、症状に気づいた時点で、すでに病状が進行しているケースも見られますので注意してください。この記事では、男性に多く見られる糖尿病の症状、見落としやすいサイン、そして受診を検討すべきタイミングについて詳しく解説します。心当たりのある方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 糖尿病の症状の全体像 男性に特に現れやすい・見落とされやすい糖尿病の症状 男性の糖尿病発見が遅れる3つの理由 放置した場合のリスク|合併症 こんな症状があれば早めに受診を|チェックリスト まとめ   糖尿病の症状の全体像 糖尿病、特に2型糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどないまま進行することが多い病気です。20代や30代では「自分はまだ大丈夫」と思い込みやすく、40代になっても定期的なチェックを後回しにしてしまう方も少なくありません。そのため、症状を感じてから受診した時点で、すでに数年にわたり高血糖状態が続いていたケースも珍しくありません。自覚症状がないからといって、血糖値に問題がないとは言えませんので、注意してください。なお、代表的な症状として、まず喉の渇きが強くなり、水分を多く摂るようになる口の渇き・多飲が挙げられます。また、それに伴って尿の回数や量が増える多尿・頻尿も特徴的なサインです。さらに、食事量が変わらないにもかかわらず体重が落ちていく体重減少、そして十分に休んでも疲れが取れない疲れやすさも、糖尿病に多く見られる症状です。これらは単独で現れることもあれば、複数が同時に現れることもありますので、心当たりがある方は注意して見てください。糖尿病の初期症状については「糖尿病の初期症状が出た方はいつでも当院にご相談ください」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   男性に特に現れやすい・見落とされやすい糖尿病の症状 男性は糖尿病の症状を「年齢」や「疲れ」のせいと捉え、見過ごしてしまう傾向があります。ここでは、男性に特に現れやすく、見落とされやすい糖尿病の症状について解説します。 強い疲労感・体力低下 糖尿病になると、インスリンが十分に働かず、細胞にエネルギーが行き渡らない状態になります。その結果、慢性的なだるさや倦怠感が続くようになります。この症状は仕事の疲れや睡眠不足と混同されやすく、受診のきっかけになりにくい点が問題です。20代や30代では多少の疲れも気力で乗り切れるため気づきにくく、40代になって「以前より疲れやすくなった」「集中力が続かない」と感じても、年齢のせいだと判断してしまう男性は少なくありません。なお、十分に休んでも回復しない疲労感は、単なる体力の低下ではなく、体内で血糖がうまく利用できていないサインかもしれません。心当たりがある場合は、自己判断で済ませず、一度血糖値をチェックしてください。 頻尿・夜間のトイレ 血糖値が高い状態が続くと、浸透圧利尿という仕組みによって尿量や排尿回数が増えます。これが、糖尿病に多く見られる頻尿の原因です。ただし、頻尿は前立腺肥大や膀胱炎でも起こるため、混同されやすい症状でもあります。糖尿病による頻尿は、1回あたりの尿量が多く、尿の色が薄いという特徴があるため、見分ける際の参考にしてください。また、夜中に何度も尿意で起きる場合は、単なる老化現象ではなく、糖尿病の可能性として意識することが大切です。40代以降に夜間のトイレが増えたと感じる方は、一度検査でチェックしてみることをおすすめします。 性機能の低下(ED:勃起不全) 糖尿病による高血糖状態が続くと、末梢神経や血管に障害が起こり、陰茎への血流が低下します。これがEDを引き起こす原因の一つです。EDは、糖尿病の比較的早期から現れる症状であるにもかかわらず、本人が「年齢のせい」や「ストレス」と捉えてしまい、見逃されやすいサインでもあります。30代や40代でEDを自覚しても、糖尿病と結びつけて考える方は多くありません。なお、EDの背景に血糖値の異常が隠れている可能性は十分に考えられます。そのため、EDを自覚している場合は、それをきっかけに血糖値をチェックすることを強くおすすめします。早期に気づくことで、適切な対策につなげることができます。 筋肉量の減少・体力の低下 インスリンが不足すると、体はエネルギー源として筋肉を分解するようになります。これを糖新生の亢進と呼びます。その結果、食欲は変わらないにもかかわらず、筋肉量が落ち、体重が減っていくという変化が現れることがあります。一見、健康的な体重減少に見えるため、本人が異変に気づきにくい点も特徴です。さらに、男性はこうした筋力低下を「加齢によるもの」と片付けてしまいやすい傾向があります。20代や30代で鍛えていた体が、40代になって急に締まりがなくなったと感じる場合、それは年齢だけが原因とは限りません。急激な筋肉量の減少は、糖尿病が進行しているサインである可能性があるため、注意してください。 傷の治りが遅い・皮膚トラブルの繰り返し 高血糖の状態が続くと、免疫機能が低下し、血流も悪くなります。その結果、皮膚にできた傷や水虫、毛包炎などが治りにくくなります。特に、男性に多く見られる水虫(足白癬)は、糖尿病があると重症化しやすい点に注意が必要です。一度治っても繰り返し再発する場合や、なかなか完治しない場合は、単なる皮膚の問題ではなく、糖尿病が関係している可能性を考えてください。小さな傷でも治りが遅いと感じたら、皮膚科だけでなく、血糖値の検査もチェックしてみることをおすすめします。 男性に現れやすい糖尿病の症状は、疲労感や頻尿、ED、筋肉量の減少、皮膚トラブルなど多岐にわたります。いずれも「年齢」や「疲れ」として片付けられやすく、見落とされやすい点が共通しています。なお、これらの症状の背景には、糖尿病による高血糖状態が隠れている可能性があります。一つでも心当たりがある場合は、放置せずに医療機関で血糖値をチェックしてください。早期に気づくことが、症状の悪化を防ぐ第一歩になります。   男性の糖尿病発見が遅れる3つの理由 糖尿病を早期に発見できれば、それだけ対策の選択肢も広がります。しかし、男性の場合、発見が遅れてしまう傾向があります。ここでは、男性の糖尿病発見が遅れる3つの理由について解説します。 症状を「仕事疲れ・加齢」と自己解釈しやすい 糖尿病の初期症状である疲労感や倦怠感は、仕事の忙しさや年齢による体力の変化と非常に似ています。そのため、男性は症状を感じても「仕事疲れだろう」「もう若くないから」と自己解釈し、受診に結びつけない傾向があります。特に、20代や30代では多少の不調があっても気力で乗り切れてしまうため、症状そのものに気づきにくい時期でもあります。そして40代になり、疲れやだるさを実感するようになっても、「もうそういう年齢だから」と片付けてしまう男性は少なくありません。この自己解釈の積み重ねが、結果として糖尿病の発見を遅らせる大きな要因になります。実際には、糖尿病による疲労には特有のサインがあり、単なる疲れとは区別できる場合があります。疲労感が糖尿病のサインかどうかについては、「疲れやすいのは糖尿病のサイン?疲労と血糖値の関係・見分け方を医師が解説」でより詳しく解説していますので、気になる方はあわせて確認してください。 男性は定期的な医療機関への受診を避ける傾向(職場健診だけで満足しがち) 男性は女性に比べて、体調に変化があってもすぐに医療機関を受診しない傾向があります。多くの場合、年に一度の職場健診を受けていれば十分だと考えてしまいます。ただ、職場健診の血糖検査だけでは、糖尿病の初期段階を必ずしも捉えられるとは限りません。検査のタイミングや項目によっては、異常が見つかりにくいケースもあります。20代や30代のうちは健診結果に大きな異常が出にくいため、油断してしまう方も多くいます。また、健診結果に多少の指摘があっても、「経過観察」のまま再検査や精密検査を受けずに放置してしまう男性も少なくありません。その結果、40代以降になって初めて自覚症状が表面化し、次の健診まで発見の機会が持ち越されることで、進行に気づくまでの時間が長くなってしまいます。年に一度の健診だけに頼らず、気になる変化があればその都度チェックする姿勢が大切です。 体型が標準〜痩せ型でも糖尿病になるという認識が低い 糖尿病というと、肥満体型の人がかかる病気というイメージを持っている方が多くいます。そのため、標準体型や痩せ型の男性は、自分は糖尿病とは無縁だと思い込みやすい傾向があります。しかし、実際には体型に関わらず糖尿病を発症するケースは少なくありません。特に、筋肉量が少なく内臓脂肪が多いタイプの体型では、見た目が痩せていても血糖値が高くなることがあります。20代や30代でこうした体型だった方が、40代になって代謝が落ち、さらに血糖値が上がりやすくなることも珍しくありません。このような認識のずれにより、症状が出ていても糖尿病を疑わず、受診が後回しになってしまいます。体型だけで安心せず、症状や検査結果にも目を向け、定期的にチェックすることが大切です。 症状を自己解釈で片付けてしまうこと、定期受診を避けて職場健診だけに頼ること、そして体型による思い込みがあること。この3つが重なると、糖尿病の発見が数年単位で遅れる可能性があります。いずれも一つひとつは小さな油断に見えますが、積み重なることで進行に気づかないまま時間が過ぎてしまいます。心当たりがある方は、健診結果や体の変化を見直し、早めに医療機関を受診してください。   放置した場合のリスク|合併症 糖尿病を放置すると、三大合併症と呼ばれる神経障害・網膜症・腎症が進行し、日常生活への影響が大きくなっていきます。まず、神経障害が進行すると、手足のしびれや痛み、さらには感覚が鈍くなる症状が現れます。男性の場合、この神経障害がEDの悪化に直結することも少なくありません。また、感覚が鈍くなることで、足の傷や火傷に気づきにくくなる点にも注意が必要です。次に、腎症が進行すると、腎臓の機能が徐々に低下し、末期になると透析治療が必要になる可能性があります。実際、日本における透析が必要になる原因疾患の第1位は、糖尿病性腎症です。一度透析が必要な状態になると、生活の自由度は大きく制限されてしまいます。さらに、糖尿病は血管にもダメージを与えるため、心筋梗塞や脳卒中のリスクが非糖尿病者と比べて2〜4倍高くなることもわかっています。これらは命に直結する病気であるため、決して軽視できません。20代や30代のうちは自覚症状がなくても、40代以降にこれらの合併症が表面化するケースも珍しくありません。定期的なチェックを怠らず、早期の対策を心がけてください。   こんな症状があれば早めに受診を|チェックリスト これまで紹介してきた症状を踏まえ、以下の項目に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。 ・口が渇く・水分を大量に飲むようになった ・夜中にトイレに起きる回数が増えた ・原因不明の体重・筋肉の減少がある ・疲れやすい・集中力の低下が続いている ・勃起不全(ED)が気になる ・傷の治りが遅い・皮膚トラブルが繰り返す ・家族に糖尿病を指摘された人がいる ・健康診断で血糖値・HbA1cの異常を指摘されたことがある これらの項目のうち、1つでも当てはまる場合は、放置せずに早めに内科を受診し、血液検査を受けることをおすすめします。複数の項目に心当たりがある場合は、なおさら注意が必要です。20代や30代では、自覚症状が乏しいため、チェックリストに当てはまっても見過ごしてしまうことがあります。そのため、放置せずに、早めの対応を心がけてください。なお、こうした小さな変化の積み重ねが、40代以降の合併症につながっていく可能性があります。また、健康診断で異常を指摘された経験がある場合は、「経過観察」のままにせず、再検査や精密検査を受けることが大切です。症状がなくても、定期的にチェックする習慣を持つことが、早期発見の第一歩になります。心当たりのある方は、この機会に一度、医療機関での血液検査を検討してください。   まとめ 男性の糖尿病は、疲れやすさやED、頻尿、筋肉の減少といった、日常生活に溶け込んだ症状から現れることが多く、発見が遅れやすいという特徴があります。これらの症状を「年齢のせい」「仕事の疲れ」と自己判断してしまうことが、発見を遅らせる大きな要因になっています。なお、この自己判断のまま放置を続けると、神経障害や腎症、さらには心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患のリスクも高まっていきます。逆に、自覚症状が軽いうちに対処できれば、その後の生活への影響を抑えられる可能性が高くなります。20代や30代では症状を実感しにくく、40代になってから不調を感じ始める方も少なくありません。だからこそ、年代を問わず、定期的にチェックする習慣を持つことが大切です。千葉市都賀周辺にお住まいで、今回ご紹介したような症状に心当たりがある方は、当院にて血液検査や診察、生活指導を行っておりますので、ぜひご検討ください。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。 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2026.08.26

内科

健康診断で血圧が高いと言われたら何をすべき?受診タイミングと生活改善の進め方を医師が解説

内科に関する記事です。
健康診断で血圧が高いと指摘されても、自覚症状がなければ「本当に問題があるのか」と疑問に思う方は多いはずです。たしかに、健診時の血圧の値が高かったというだけで、ただちに高血圧と診断されるわけではありません。しかし、自覚症状がないことと体に負担がかかっていないことは、必ずしもイコールではありませんので、放置するのは避けてください。この記事では、健診結果の正しい読み方や受診を検討すべき目安、さらに今日から始められる生活改善の方法について詳しく解説していきます。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 健診で血圧が高いと判定される基準 「一度高かっただけ」は過信禁物|白衣高血圧と仮面高血圧 すぐに受診すべき血圧の目安 受診前にできる生活改善(すぐに始めること) 内科を受診したら何をするか(検査・治療の流れ) まとめ   健診で血圧が高いと判定される基準 健康診断における血圧測定は通常1回のみで、診察室血圧として収縮期140mmHg以上、または拡張期90mmHg以上であれば高血圧の判定目安となります(日本高血圧学会ガイドラインを参照)。一方で、収縮期130〜139mmHg、または拡張期85〜89mmHgの範囲は「正常高値血圧」に分類されます。これは高血圧そのものではありませんが、将来的に高血圧へ進行しやすい区分ですので、軽視せずに生活習慣を見直すきっかけにしてください。また、健診結果には判定区分が記載されており、内容を正しく理解しておくことも大切です。例えば「要経過観察」は今後の数値変化を定期的に確認すべき段階を、「要再検査」は同じ検査を改めて行い数値を再確認すべき段階を意味します。さらに、「要精密検査」は、より詳しい検査によって原因を調べる必要がある段階を示しています。なお、判定区分の表記(A〜Eなど)は健診機関によって異なる場合がありますので、結果に不明な点があれば、健診機関や医療機関へ確認してください。   「一度高かっただけ」は過信禁物|白衣高血圧と仮面高血圧 血圧の数値は、測る場所やタイミングによって大きく変わることがあります。ここでは、診察室と自宅で結果が異なる「白衣高血圧」と「仮面高血圧」について解説します。 白衣高血圧 白衣高血圧とは、診察室や健診会場という緊張する環境でのみ血圧が上昇し、自宅で測ると正常な範囲に収まるケースを指します。緊張や不安によって一時的に交感神経が活発になり、血圧が上がることが主な原因です。したがって、健診で高い数値が出たからといって、ただちに高血圧と決めつける必要はありません。なお、白衣高血圧と判定された場合も、当面は薬物治療が不要とされるだけであり、完全に安心できるわけではない点には注意してください。なぜなら、白衣高血圧の方は将来的に本格的な高血圧へ移行するリスクが、正常な血圧の方に比べて高いことがわかっているためです。そのため、家庭血圧を定期的に記録し、経過観察を続けることが大切です。 仮面高血圧 仮面高血圧は、白衣高血圧とは逆の現象です。診察室で測定すると正常値であるにもかかわらず、職場にいるときや早朝、夜間など日常生活の中では血圧が高くなっているケースを指します。診察室では数値が隠れてしまうため、自分自身でも気づきにくいことが特徴です。さらに注意すべき点として、仮面高血圧による心血管リスクは、通常の高血圧(本態性高血圧)と同程度に高いことが指摘されています。つまり、健診結果が「正常」と出ていても、それだけで油断してよいとは限りません。仮面高血圧の多くは、家庭血圧測定によって初めて発見されますので、自覚症状がなくても一度測定してみてください。 診断確定に家庭血圧が重要な理由 診察室血圧は1回限りの測定であるため、緊張や体調の影響を受けやすく、実際の血圧を正確に反映しきれない場合があります。そこで、日本高血圧学会では家庭血圧(135/85mmHg以上)を高血圧判定における優先基準として位置づけています。具体的な測定方法としては、朝は起床後1時間以内かつ排尿後、朝食や服薬の前に1〜2回測定してください。続けて、夜は就寝前に同様に1〜2回測定し、これを5〜7日間継続して平均値を確認します。なお、1回だけ高い数値が出ても慌てる必要はありません。緊張や寝不足など一時的な要因も多いため、数日間の傾向で判断することを心がけてください。 健診で血圧が高いと言われても、それが白衣高血圧である可能性もありますし、反対に健診結果が正常でも仮面高血圧が隠れている可能性もあります。つまり、診察室での1回の測定だけでは、本当の血圧の状態を正確に把握できない場合があるということです。したがって、ご自身の血圧を正しく知るためには、家庭での継続的な測定が欠かせません。日々の記録を医療機関に持参すれば、より適切な診断や生活指導につながります。「一度高かっただけ」「一度正常だっただけ」という結果に一喜一憂せず、まずは家庭血圧を習慣として取り入れてみてください。   すぐに受診すべき血圧の目安 健診で血圧が高いと指摘された場合、数値によって対応の緊急度が大きく異なりますので、まずは目安を知っておいてください。特定健診における受診勧奨判定値は、令和6年度から収縮期160mmHg以上、または拡張期100mmHg以上に設定されており、この水準に達している場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。また、収縮期180mmHg以上という非常に高い数値に加えて、激しい頭痛や吐き気、視力の変化といった症状を伴う場合は、高血圧緊急症の可能性があります。この場合は様子を見るのではなく、直ちに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。なお、健診結果が140/90mmHg以上であった場合は、ただちに救急対応が必要というわけではありません。しかし、これは高血圧と診断される基準にあたる数値ですので、自覚症状がなくても軽視はできません。そのため、食事内容の見直しや適度な運動など生活改善を試みながら、なるべく早めに内科を受診し、医師に相談することを検討してください。緊急性の高い症状がない場合でも、数値が高い状態を放置すると血管への負担が蓄積していきますので、早期の対応を心がけてください。   受診前にできる生活改善(すぐに始めること) 医療機関を受診する前であっても、自分で取り組める対策は数多くあります。ここでは、受診前にできる生活改善について解説します。 減塩 血圧対策の中でも特に効果が大きいのが、塩分摂取量の見直しです。日本高血圧学会では1日6g未満を減塩の目標として推奨しています。日本人の食生活は塩分が多くなりやすい特徴があり、ラーメンの汁を全部飲んでしまうだけで、1日の目標量に近づいてしまうこともあります。そのため、まずは外食や加工食品に含まれる塩分量を意識してください。なお、醤油やソースは「かけ」ではなく「つけ」に変える、味噌汁は1日1杯までに減らすなど、小さな工夫を積み重ねていくことをおすすめします。 適度な運動 運動も、血圧を下げるうえで効果が期待できる習慣の一つです。具体的には、ウォーキングを1日30分程度行う有酸素運動によって、収縮期血圧が4〜9mmHg低下する効果が報告されています。さらに、定期的な運動は血管をしなやかに保つ働きや、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。なお、運動習慣がない方は、いきなり長時間の運動を始めるのではなく、まずは「いつもより10分多く歩く」程度から始めてください。無理のない範囲で継続することが、結果的に血圧改善につながります。 節酒 飲酒も血圧に影響を与える要因の一つです。男性は1日あたり純アルコール換算で20g未満、具体的にはビール中瓶1本程度を目安に抑えてください。女性の場合は、その半量程度がおおむねの目安となります。なお、「休肝日を設ければ平日は多く飲んでよい」という考え方は誤解ですので、避けてください。大切なのは1日あたりの量を継続的に控えることです。また、飲酒量の適正化は血圧だけでなく、肝機能や生活習慣病全般の予防にもつながりますので、合わせて意識してください。 禁煙 喫煙は、ニコチンの作用によって血管が収縮し、血圧を一時的に上昇させます。さらに、喫煙を続けることで血管の動脈硬化が進みやすくなり、長期的には脳卒中や心筋梗塞といった心血管疾患のリスクが高まります。したがって、血圧改善の観点だけでなく、将来の心血管リスクを下げるためにも禁煙を強くおすすめします。なお、自分の意志だけでの禁煙が難しい場合は、禁煙外来など医療機関のサポートを利用する方法もありますので、検討してください。 体重管理 肥満は、高血圧の大きなリスク因子の一つとして知られています。体重を1kg減少させることで、収縮期血圧が約1mmHg低下する効果が期待できます。そのため、肥満傾向のある方は、まず無理のない範囲での減量を目標にしてください。なお、急激な減量は体への負担が大きいため、1か月あたり1〜3kg程度のペースを目安に進めることをおすすめします。また、食事制限と運動を組み合わせることで、減量の効果がより高まりますので、両方を意識して取り組んでください。 ここまで、減塩・運動・節酒・禁煙・体重管理という5つの生活改善について解説しました。いずれも、すぐに大きな効果が出るものではありませんが、継続することで着実に血圧へよい影響を与えていきます。したがって、一度にすべてを完璧に行う必要はなく、まずは取り組みやすいものから始めてください。なお、生活改善を続けても数値が改善しない場合や、もともと数値が高い場合は、自己判断のみで様子を見るのではなく、早めに内科を受診し、医師に相談することを心がけてください。   内科を受診したら何をするか(検査・治療の流れ) 健診で指摘を受けたあと、実際に内科を受診すると何が行われるのか、見通しがつかないと不安に感じる方も多いはずです。ここでは、内科を受診したら何をするかについて解説します。 問診 受診時には、まず問診によって現在の状態を詳しく確認します。具体的には、家庭で測定した血圧の記録があれば必ず持参してください。診察室での1回の測定だけでなく、日常生活における血圧の傾向を把握することが、適切な診断につながります。また、頭痛やめまいといった自覚症状の有無、食事や運動などの生活習慣、現在服用している薬についても確認します。さらに、ご家族に高血圧や脳卒中、心疾患の方がいるかどうかという家族歴も、リスク評価のうえで重要な情報となりますので、合わせて伝えてください。 検査 問診に続いて、体への影響を確認するための検査を行います。血液検査では、腎機能や脂質、血糖の値を測定し、糖尿病や脂質異常症など高血圧と関連しやすい病気が隠れていないかを確認します。また、尿検査によってタンパク尿の有無を調べることで、腎臓への負担がかかっていないかを評価します。さらに、心電図検査を行い、心臓に負担がかかっていないか、不整脈が生じていないかを確認します。なお、すでに健診でこれらのデータを取得している場合は、重複した検査が省略されることもありますので、健診結果は受診時に持参してください。 治療方針の決定 問診と検査の結果をもとに、医師は治療方針を総合的に判断します。血圧の数値だけでなく、年齢や合併症の有無、検査で見つかったリスク因子の数なども踏まえて、生活習慣の改善のみで経過観察とするか、降圧薬による治療を開始するかを決定します。なお、降圧薬を開始した場合であっても、薬の効果だけに頼ってよいわけではありません。減塩や運動、節酒、禁煙といった生活改善は、薬物治療と並行して継続することが重要です。なぜなら、生活習慣の改善が進むことで、将来的に薬の減量が可能になる場合もあるためです。 内科を受診すると、問診と検査によって現在の血圧の状態や体への影響を総合的に評価し、その結果に基づいて治療方針が決定されます。すぐに薬物治療が始まるとは限らず、生活改善のみで経過を見る場合も少なくありません。また、降圧薬による治療が始まった場合でも、それは生活改善をやめてよいという意味ではありませんので、誤解しないようにしてください。受診を先延ばしにせず、早めに相談することが、今後の健康を守るための第一歩になります。   まとめ 健診で血圧が高いと指摘されても、自覚症状がないからといって放置するのは避けてください。健診時の数値はあくまで1回の測定にすぎません。もちろん、緊張による白衣高血圧の可能性もありますが、反対に診察室では正常でも「自宅では高くなる仮面高血圧」が隠れている場合もあります。したがって、まずは家庭血圧を測定し、朝晩それぞれ1〜2回、5〜7日間程度記録を続けて、ご自身の血圧の実態を正確に把握することが大切です。そのうえで、収縮期160mmHg以上である場合や、複数回の測定で140/90mmHg以上が続く場合は、自己判断のみで様子を見るのではなく、内科への受診を検討してください。特に収縮期180mmHg以上に加えて激しい頭痛や吐き気、視力の変化を伴う場合は、高血圧緊急症の可能性がありますので、直ちに医療機関を受診してください。なお、千葉市都賀周辺にお住まいの方は、当院にて血圧測定や血液検査、生活指導をご案内しております。健診結果について不安な点や疑問がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

痩せていても糖尿病になる?痩せ型糖尿病の原因・症状・改善策を医師が解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
「体重は標準なのに、血糖値が高いと言われた…」、そんな経験はありませんか。糖尿病は肥満の人がなる病気というイメージが根強くありますが、それは誤りです。実は日本人は、痩せていても糖尿病を発症しやすい体質的な特性を持っています。本記事では、痩せているのに糖尿病になる原因から、見逃しやすい症状、男性特有のリスク、そして具体的な改善策まで詳しく解説します。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 痩せていても糖尿病になるのはなぜか 痩せ型糖尿病の主な原因 痩せ型糖尿病に現れやすい症状 痩せ型の男性が特に注意すべき理由 痩せ型糖尿病の改善・予防策 こんな方は早めに受診・血液検査を まとめ   痩せていても糖尿病になるのはなぜか 「糖尿病=肥満」というイメージは、主に欧米型の2型糖尿病から生まれたものです。欧米では過食や肥満によってインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が発症の主な原因となります。しかし、日本人の2型糖尿病は異なります。日本人はそもそも膵臓のβ細胞によるインスリン分泌能力が欧米人と比べて低く、同じ食事量・同じ体型であっても血糖値が上がりやすい体質的な背景を持っています。つまり、肥満がなくてもインスリン分泌が追いつかなくなることで、糖尿病を発症してしまうのです。実際、日本糖尿病学会の疫学データによると、糖尿病患者の多くはBMIが正常範囲(18.5〜25)に収まっており、「痩せているから安心」とは言い切れない実態が明らかになっています。さらに、糖尿病予備群まで範囲を広げると、標準体型の人が占める割合はより一層高くなります。そのため、体重だけを根拠に「自分は大丈夫」と過信することは非常に危険です。特に男性は、女性に比べて定期的な健康診断を受ける機会が少なく、症状が現れても受診を後回しにしがちな傾向があります。糖尿病は初期段階では自覚症状に乏しく、気づかないまま進行してしまうケースが少なくありません。原因を正しく理解し、早期に改善へ向けた行動を取ることが、将来の合併症予防につながります。   痩せ型糖尿病の主な原因 痩せていても糖尿病になる原因は、一つではありません。インスリンの分泌機能、筋肉量、そして遺伝的な体質など、複数の要因が絡み合っています。「自分は痩せているから関係ない」と考えている方こそ、以下の原因をしっかり確認してください。 インスリン分泌不全(膵β細胞の機能低下) 食事をすると血糖値が上昇しますが、健康な状態では膵臓のβ細胞がインスリンを速やかに分泌し、血糖値を正常範囲に戻します。しかし、このβ細胞の機能が低下していると、血糖値の上昇に見合うだけのインスリンを分泌できず、食後の高血糖が続くようになります。日本人はもともと欧米人に比べてβ細胞の数や機能が少ない傾向にあり、これが痩せ型でも糖尿病を発症しやすい根本的な原因の一つです。さらに、加齢とともにβ細胞の機能は徐々に低下します。加えて、慢性的なストレスや睡眠不足は血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促し、β細胞への負担をさらに増大させます。過食や肥満がなくても、こうした日常的な負荷が積み重なることで、インスリン分泌不全は進行してしまいます。 筋肉量の少なさ(サルコペニア型インスリン抵抗性) 筋肉は、食後に上昇したブドウ糖を取り込む主要な臓器です。そのため、筋肉量が少ないと食後の血糖をうまく処理できず、血糖値が下がりにくい状態が続きます。体重が標準範囲内であっても、体脂肪率が高く筋肉量が少ない「隠れ肥満」や「低筋肉型」の体型の人は、このリスクが特に高くなります。なお、男性の場合、デスクワーク中心の生活や運動習慣のなさが筋肉量の低下を招きやすく、見た目の体型と実際の体組成が大きく異なるケースも珍しくありません。そして、運動不足や加齢によって筋肉量がさらに減少すると、血糖コントロールが悪化し、それがまた運動意欲の低下を招くという悪循環に陥りやすくなります。症状が出る前に、日頃から筋肉量を意識した生活習慣を心がけることが大切です。 遺伝的要因・家族歴 糖尿病の発症には、生活習慣だけでなく遺伝的な要因も深く関係しています。両親や兄弟に糖尿病の患者がいる場合、インスリン分泌能力の低さが遺伝的に引き継がれている可能性があり、発症リスクは明らかに高くなります。特に注意が必要なのは、痩せ型でなおかつ家族歴がある場合です。「体型的には問題ない」という安心感から検査を後回しにしがちですが、遺伝的リスクと体質的なインスリン分泌の低さが重なると、自覚症状がないまま血糖値の異常が進行することがあります。したがって、家族に糖尿病の患者がいる痩せ型の方は、自覚症状の有無にかかわらず、定期的な血糖検査を優先的に受けるようにしてください。 痩せ型糖尿病の原因は、インスリン分泌不全・筋肉量の不足・遺伝的要因の三つが主に挙げられます。これらは互いに影響し合い、体型だけでは判断できない形で発症リスクを高めます。大切なのは「痩せているから安心」という思い込みを捨て、早期に検査を受けることです。原因を正しく理解した上で、適切な改善策に取り組んでください。   痩せ型糖尿病に現れやすい症状 糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんど現れません。特に痩せ型の場合、肥満による体のだるさや息切れといったサインが出にくいため、異常が進行していても気づかないまま過ごしてしまうケースが多くあります。症状が出たときにはすでに病状が進んでいることも珍しくありません。ここでは、痩せ型糖尿病に現れやすい代表的な症状について解説します。 口の渇き・多飲(高血糖による浸透圧の上昇) 血糖値が高い状態が続くと、血液中のブドウ糖濃度が上昇し、血液の浸透圧が高まります。体はこのバランスを戻そうとして細胞内の水分を血液中に引き出すため、細胞が脱水状態になり、強い口の渇きを感じるようになります。そのため、水やお茶を大量に飲むようになる「多飲」の症状が現れます。「最近やたらと喉が渇く」「水分を取っても渇きが収まらない」と感じる場合は、血糖値の異常を疑う一つのサインとして受診を検討してください。 頻尿・夜中のトイレ(浸透圧利尿) 血糖値が一定の閾値を超えると、腎臓がブドウ糖を尿として排出しようとします。この際、ブドウ糖が水分を一緒に引き連れて排泄されるため、尿の量と回数が増える「頻尿」が起こります。特に夜中に何度もトイレに起きるようになった場合は注意が必要です。男性であれば前立腺の問題と混同しやすいですが、口の渇きや倦怠感を伴う場合は、糖尿病による症状である可能性も視野に入れてください。 疲れやすい・倦怠感(細胞にエネルギーが届かない) インスリンの分泌が不十分だと、血液中にブドウ糖が余っているにもかかわらず、細胞の中にエネルギーとして取り込まれません。その結果、体は慢性的なエネルギー不足の状態に陥り、強い倦怠感や疲れやすさとして症状が現れます。「十分寝ているのに疲れが取れない」「午後になると極端にだるくなる」といった状態が続く場合、原因の一つとして高血糖が関係している可能性があります。 食べているのにさらに体重が減る(筋肉・脂肪の分解) インスリンが不足すると、体はブドウ糖をエネルギーとして利用できないため、代わりに筋肉や脂肪を分解してエネルギーを補おうとします。そのため、食事量が減っていないにもかかわらず体重が落ちていくという症状が現れます。痩せ型の人はもともと体重が少ないため、さらなる体重減少は体への負担が大きく、筋肉量の低下にもつながります。「食欲はあるのに痩せてきた」という変化は、見逃さないようにしてください。 傷が治りにくい・感染しやすい(免疫機能低下) 高血糖の状態が続くと、白血球の機能が低下し、免疫力が落ちます。その結果、小さな傷がなかなか治らない、皮膚の感染症を繰り返すといった症状が現れやすくなります。また、末梢神経や血流にも影響が及ぶため、足の傷に気づきにくくなり、悪化してしまうケースもあります。こうした症状は糖尿病の進行を示すサインである可能性があるため、改善が見られない場合は早めに受診してください。 ここまで紹介した口の渇き・頻尿・倦怠感・体重減少・傷の治りにくさは、いずれも糖尿病に現れやすい代表的な症状です。これらが複数重なって現れている場合は、糖尿病の可能性を意識して、できるだけ早く医療機関を受診してください。特に男性は症状を「疲れのせい」と片付けてしまいがちですが、放置すると合併症のリスクが高まります。なお、高血糖が長期間続いた場合に起こりうる合併症の種類や予防方法については、「糖尿病合併症の種類と予防方法」でより詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。早期発見・早期改善が、将来の健康を守る最大の手段です。   痩せ型の男性が特に注意すべき理由 痩せ型の糖尿病リスクは、実は男性において特に見過ごされやすい問題です。その原因の一つが、内臓脂肪の蓄積しやすさにあります。男性は女性に比べて皮下脂肪よりも内臓脂肪がつきやすい傾向があり、見た目は細身であっても内臓脂肪型肥満、いわゆる「隠れ肥満」の状態になっているケースが少なくありません。体重や見た目だけで健康を判断することの危うさは、男性において特に当てはまります。さらに、男性ホルモンであるテストステロンの低下も見逃せない要因です。加齢とともにテストステロンが減少すると、筋肉量の低下やインスリン抵抗性の悪化につながり、血糖コントロールが難しくなります。加えて、男性は飲酒や喫煙の頻度が女性より高い傾向があります。アルコールの過剰摂取は膵臓への負担を増大させ、β細胞機能の低下を招きます。喫煙もまた、インスリンの効きを悪化させる原因となることが知られています。これらの生活習慣が重なることで、血糖コントロールの改善はさらに困難になります。そして最も懸念されるのが、男性の受診率の低さです。健康診断や医療機関への受診率は女性と比べて低く、症状が現れても「たいしたことはない」と後回しにしがちな傾向があります。糖尿病は初期に自覚症状が出にくいため、気づいたときにはすでに進行しているというケースも多くあります。「痩せている男性だから大丈夫」という思い込みは非常に危険です。年に一度の血液検査を習慣にして、早期発見・早期改善につなげてください。   痩せ型糖尿病の改善・予防策 痩せ型糖尿病の改善・予防において大切なのは、体重を落とすことではなく、血糖値のコントロールを整えることです。食事・運動・生活習慣の三つの柱を見直すことで、発症リスクを下げ、進行を抑えることができます。それぞれ具体的に解説します。 食事の改善 痩せ型の方に必要なのは、カロリーを極端に減らす「食事制限」ではなく、血糖値の上がり方を緩やかにする「食事の質の改善」です。まず取り入れてほしいのが、食べる順番の工夫です。食物繊維を多く含む野菜や海藻類を最初に食べ、次にタンパク質、最後に炭水化物を摂ることで、食後の血糖上昇を抑えることができます。また、白米や白いパンよりも低GI食品を選ぶことも効果的です。さらに、タンパク質を十分に摂ることは筋肉量の維持・増加にもつながり、インスリン感受性の改善にも役立ちます。なお、欠食やまとめ食いは一度に血糖値を急上昇させる「血糖スパイク」を招く原因になるため、三食規則正しく食べることを心がけてください。 運動の改善 運動は、血糖コントロールの改善において非常に重要な役割を果たします。ウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動は、筋肉がブドウ糖を消費するのを助け、血糖値を下げる効果があります。そして、痩せ型の方に特に意識してほしいのが筋力トレーニングです。筋肉量を増やすことでインスリン感受性が高まり、血糖を取り込む力が向上します。男性であれば週2〜3回のスクワットや体幹トレーニングから始めるのが取り組みやすいです。加えて、食後30分以内に軽く体を動かす習慣をつけることで、食後の血糖上昇を効果的に抑えることができます。なお、激しい運動でなくても、食後の散歩程度で十分な効果が期待できます。 生活習慣の見直し 食事や運動と同様に、日常の生活習慣も血糖コントロールに大きく影響します。睡眠不足や慢性的なストレスは、血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促し、インスリンの効きを悪化させます。そのため、毎日7時間程度の質の高い睡眠を確保することを意識してください。また、喫煙はインスリンの分泌を抑制し、血糖を上げる原因の一つです。症状の有無にかかわらず、禁煙は糖尿病の予防・改善において最優先で取り組むべき課題です。なお、飲酒については、適量を守ることが基本ですが、空腹時の飲酒は低血糖を引き起こすリスクがあるため、必ず食事とともに摂るようにしてください。 痩せ型糖尿病の改善・予防は、食事の質の向上・適切な運動習慣・生活習慣の見直しの三つを継続することが基本です。特別なことを始めるよりも、毎日の小さな積み重ねが血糖コントロールの安定につながります。「痩せているから大丈夫」という思い込みを手放し、今日からできることを一つずつ実践してください。   こんな方は早めに受診・血液検査を 糖尿病は「太っている人の病気」ではありません。痩せ型の方こそ、自覚症状がないまま血糖値の異常が進行しやすいという点を忘れないでください。「太っていないから健診を受けていない」という方は特に注意が必要です。以下に当てはまる項目がある方は、症状の有無にかかわらず、早めに血液検査を受けることを強くお勧めします。 健診で血糖値・HbA1cの異常を指摘された 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と記載されていた場合、それは見逃してはいけないサインです。一度の検査で異常値が出た場合でも、「痩せているから大丈夫だろう」と放置してしまう方が少なくありません。しかし、血糖値やHbA1cの異常は、すでに膵臓のインスリン分泌機能が低下し始めているサインである可能性があります。早期に医療機関を受診し、精密検査を受けることで、糖尿病への移行を防ぐことができます。指摘を受けたまま放置せず、必ず受診してください。 親・兄弟に糖尿病患者がいる 家族に糖尿病の患者がいる場合、インスリン分泌能力の低さが遺伝的に受け継がれている可能性があります。特に痩せ型で家族歴がある方は、体質的なリスクと遺伝的なリスクが重なっている状態です。自覚症状がなくても、すでに血糖値の異常が始まっているケースがあります。そのため、家族歴がある方は定期的な血液検査を習慣にしてください。年に一度の検査で早期発見につなげることが、将来の合併症予防において最も効果的な改善策の一つです。 最近、口の渇き・倦怠感・体重減少が気になる 口の渇き、疲れやすさ、食べているのに体重が減るといった症状は、糖尿病のサインである可能性があります。これらの症状は「忙しいから」「年齢のせいだろう」と見過ごされがちですが、複数の症状が重なっている場合は特に注意が必要です。男性の場合、こうした体の変化を自覚していても受診をためらうケースが多く、発見が遅れる原因になっています。症状が軽いうちこそ、早めに血液検査を受けてください。放置すれば症状は進行し、治療がより困難になります。 痩せているが運動習慣がなく筋肉量に自信がない 体重が標準範囲内であっても、運動習慣がなく筋肉量が少ない方は、血糖を処理する力が低下しています。見た目では判断できない「隠れ肥満」や「低筋肉型」の状態は、血糖コントロールの悪化につながりやすい体質です。「痩せているから問題ない」という思い込みが、受診の遅れを招く最大の原因です。一度体組成計で筋肉量・体脂肪率を確認し、気になる場合は血液検査とあわせて医師に相談してください。 ここまで紹介した四つの項目に一つでも当てはまる方は、できるだけ早く血液検査を受けてください。痩せ型の糖尿病は自覚症状が出にくいからこそ、定期的な検査による早期発見が何よりも重要です。特に男性は受診をためらいがちですが、発見が遅れるほど改善は難しくなります。「太っていないから安心」という思い込みを今すぐ手放してください。なお、健診でHbA1cの異常を指摘された方は「HbA1cが高いと言われたら|正常値・危険な数値・下げ方と受診のタイミングを解説」を、血糖値の異常を指摘された方は「健康診断で血糖値が高いと言われたら|正常値・判断基準・次にすべき行動を解説」をあわせてご覧ください。いずれも、次に取るべき行動を具体的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。   まとめ 痩せ型糖尿病は、インスリン分泌不全・筋肉量の少なさ・遺伝的要因という三つの原因が重なることで発症します。体重が標準範囲内であっても、日本人は膵臓のインスリン分泌能力が低いという体質的な特性を持っており、「痩せているから安心」とは決して言えません。さらに厄介なのは、初期段階では自覚症状がほとんど現れないという点です。口の渇きや倦怠感、体重減少といった症状が出たときには、すでに病状が進行していることもあります。特に男性は受診をためらいがちなため、気づかないまま悪化させてしまうリスクが高く、注意が必要です。家族に糖尿病の患者がいる方、疲れやすさや口の渇きが続いている方、運動習慣がなく筋肉量に不安がある方は、症状が軽いうちに血液検査を受けてください。早期に発見し、食事・運動・生活習慣の改善に取り組むことが、合併症を防ぐ最大の手段です。千葉市都賀周辺にお住まいの方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。なお、当院では血液検査・診察・生活指導まで、一人ひとりの状態に合わせて丁寧に対応しています。「痩せているから大丈夫」と思っている方こそ、一度受診してみてください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

むくみは糖尿病のサイン?腎症・神経障害・血流障害による浮腫の原因と受診タイミングを医師が解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
「足がむくむ…」「夕方になると靴がきつくなる…」、そんな症状に心当たりはありませんか。むくみの原因は疲れや塩分のとりすぎだけではありません。糖尿病が引き起こす腎症・神経障害・血流障害といった合併症が、むくみの背景に潜んでいることがあります。この記事では、むくみと糖尿病の関係、原因の種類と特徴、そして受診すべきタイミングについて詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 むくみ(浮腫)とは何か|糖尿病と関係するしくみ 糖尿病によるむくみの主な3つの原因 糖尿病によるむくみの特徴|ほかの原因との見分け方 むくみと一緒に現れる糖尿病の関連症状 こんなむくみは要注意|受診サインチェックリスト むくみが気になったら何科を受診すればよいか まとめ   むくみ(浮腫)とは何か|糖尿病と関係するしくみ むくみ(浮腫)とは、本来血管内にあるべき水分が細胞の外側ににじみ出し、組織に過剰にたまることで手や足などが腫れた状態を指します。健康な状態では、腎臓が余分な水分や塩分をしっかりと排泄することで、体内の水分バランスを一定に保っています。しかし、糖尿病の状態が続くと、この精密なバランス調節が崩れてきます。高血糖の状態が長期間続くことで、腎臓の細かい血管がダメージを受け、糖尿病性腎症へと進行することがあります。また、腎臓の機能が低下すると、余分な水分や塩分をうまく体外に出せなくなり、その結果としてむくみが現れます。さらに、糖尿病は腎臓だけでなく、神経や血管にも影響を及ぼします。なお、神経障害が起きると血管の収縮・拡張をコントロールする機能が乱れ、血流障害が生じると足の静脈に水分がたまりやすくなります。したがって、糖尿病のむくみは単一の原因ではなく、腎臓・神経・血管という複数の経路が複雑に絡み合って生じるものと理解してください。   糖尿病によるむくみの主な3つの原因 糖尿病によるむくみは、単純な水分のとりすぎとは異なり、体の内部で起きている複雑な変化が関係しています。原因を正しく理解することが、適切な対処への第一歩になりますので、それぞれの仕組みについて詳しく見ていきます。 糖尿病性腎症(最多原因) 高血糖の状態が長期間続くと、腎臓にある糸球体という非常に細かい血管が徐々に傷ついていきます。糸球体は血液をろ過する重要な役割を担っていますが、その機能が低下すると、本来は体内にとどまるべきタンパク質(アルブミン)が尿に漏れ出てしまいます。血中のアルブミンが減ると、血管内の水分を引き止める力(膠質浸透圧)が弱まり、水分が血管の外に滲み出してむくみが生じます。さらに腎機能が低下すると、余分な水分や塩分を体外に排泄できなくなり、手や足だけでなく全身性のむくみへと進行することがあります。なお、糖尿病性腎症は日本における透析が必要となる原因疾患の第1位であり(e-ヘルスネット参照)、決して軽視できない合併症です。糖尿病性腎症を含む合併症の種類と予防方法については「糖尿病合併症の種類と予防方法」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 糖尿病性神経障害(自律神経障害) 糖尿病が進行すると、手足の末梢神経だけでなく、血管の動きをコントロールする自律神経にも障害が生じることがあります。自律神経が正常に働かなくなると、血管の収縮・拡張の調節が乱れ、下肢の静脈に血液がうっ滞しやすくなります。その結果、足や足首にむくみが現れてきます。また、神経障害によるむくみは左右対称に起こりやすいという特徴があり、片側だけが腫れている場合は別の原因を疑うことも重要です。神経障害によるむくみは痛みを感じにくいケースもあるため、気づかないうちに悪化していることがありますので、日頃から足の状態を注意して観察するようにしてください。 薬の副作用(一部の糖尿病治療薬) むくみの原因が糖尿病そのものではなく、治療薬の副作用である場合もあります。インスリン抵抗性を改善するチアゾリジン系薬は、体内に水分をため込む作用があり、むくみが副作用として現れることが知られています。加えて、一部のインスリン製剤を使い始めた際にもむくみが生じることがあります。薬を変えることでむくみが改善するケースもありますが、自己判断で薬を中止することは血糖コントロールの乱れにつながる危険がありますので、むくみが気になる場合はすぐに主治医に相談するようにしてください。 糖尿病によるむくみの主な原因は、糖尿病性腎症・自律神経障害・薬の副作用の3つです。高血糖が腎臓や神経・血管にダメージを与えることで、体内の水分バランスが崩れ、手や足にむくみが現れます。それぞれ原因や対処法が異なるため、むくみを感じたら自己判断せず、早めに医師に相談するようにしてください。   糖尿病によるむくみの特徴|ほかの原因との見分け方 糖尿病によるむくみは、足首・すね・足の甲といった下肢から始まることが多いです。糖尿病性腎症が進行すると、顔や手にまでむくみが広がることもあります。また、指で10秒以上強く押したときに指の跡がへこんだまま残る「圧痕性浮腫」が現れやすいのも特徴のひとつですので、気になる部位を押して確認してみてください。なお、むくみの原因はさまざまであり、糖尿病以外の疾患でも同様の症状が出ることがあります。例えば、心臓の機能が低下して生じるむくみは全身に現れやすく、横になっても改善しにくい傾向があります。一方で、下肢静脈瘤によるむくみは片側だけに起こりやすく、夕方にかけて悪化するという特徴があります。また、腎臓の障害が原因の場合は、朝から顔にむくみが出ることが多く、この点が足から始まる糖尿病性のむくみとの大きな違いといえます。さらに、短期間での体重増加・尿量の減少・尿の泡立ちといった変化がむくみと同時に起きている場合は、高血糖による腎臓へのダメージ、すなわち糖尿病性腎症の可能性が高まりますので、注意してください。これらの症状が重なったときは、速やかに医療機関を受診することを強くおすすめします。   むくみと一緒に現れる糖尿病の関連症状 むくみは糖尿病の合併症が進行しているサインである場合があります。むくみと同時に他の症状が現れているときは、体が発しているSOSと受け止めることが大切です。それぞれの症状の意味について、詳しく解説します。 疲れやすい・だるさ(腎機能低下による貧血・老廃物の蓄積) 高血糖が続くことで腎臓の機能が低下すると、本来なら体外に排出されるべき老廃物が血液中に蓄積されていきます。この状態が続くと、全身に慢性的なだるさや疲れやすさが現れます。また、腎臓は赤血球の産生を促すホルモンを分泌する役割も担っており、腎機能が低下するとそのホルモンの分泌が減り、貧血が起こりやすくなります。貧血になると酸素が全身に十分に届かなくなるため、ちょっとした動作でも息切れしたり、強い倦怠感を感じたりすることがあります。むくみと同時にこのようなだるさが続く場合は、腎機能の状態を確認するために早めに受診してください。 尿が泡立つ・尿量の変化(タンパク尿・腎機能低下のサイン) 尿が泡立つ症状は、尿にタンパク質が漏れ出ているサインである可能性があります。健康な腎臓はタンパク質を尿に出さないよう働きますが、糖尿病性腎症が進行するとそのフィルター機能が壊れ、アルブミンなどのタンパク質が尿に混じるようになります。また、腎機能の低下に伴い、尿量が極端に減ったり、逆に夜間に何度もトイレに起きるといった変化が現れることもあります。尿の泡立ちはしばらくしても消えないことが特徴であり、トイレのたびに確認する習慣をつけることが早期発見につながりますので、意識して観察するようにしてください。 血圧が上がりやすくなった(腎症による二次性高血圧) 腎臓は血圧の調節にも深く関わっています。腎機能が低下すると、余分な水分や塩分を排泄する力が弱まり、血液量が増えることで血圧が上昇しやすくなります。この状態を二次性高血圧と呼び、糖尿病性腎症の進行とともに現れることが多いです。さらに、高血圧は腎臓へのダメージをさらに加速させるという悪循環に陥りやすいため、注意が必要です。むくみと血圧の上昇が同時に起きている場合は、腎症が相当程度進行している可能性がありますので、速やかに医師に相談してください。 手足のしびれ・感覚の鈍さ(神経障害の合併) 高血糖が長期間続くと、手や足の末梢神経が傷つき、しびれや感覚の鈍さが現れることがあります。初期には足の指先にじんじんとした違和感を感じることが多く、進行すると足全体の感覚が鈍くなっていきます。感覚が鈍くなると、小さな傷や低温やけどに気づきにくくなり、足のトラブルが重症化するリスクが高まります。また、神経障害はむくみの原因にもなるため、しびれとむくみが同時に現れている場合は、糖尿病による複数の合併症が進行している可能性を疑ってください。 疲れやすさ・尿の泡立ち・血圧の上昇・手足のしびれは、いずれもむくみと同時に現れやすい糖尿病の関連症状です。これらの症状が重なっている場合は、すでに腎臓や神経への合併症が進行しているサインである可能性があります。糖尿病性腎症をはじめとする合併症は、早期に発見して対処することで進行を遅らせることができますので、思い当たる症状がある場合はためらわずに受診してください。糖尿病の初期症状や受診のタイミングについては「糖尿病の初期症状が出た方はいつでも当院にご相談ください」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   こんなむくみは要注意|受診サインチェックリスト むくみが気になっているものの、「様子を見ていれば治るだろう」と放置していませんか。むくみは疲れや塩分のとりすぎによる一時的なものもありますが、糖尿病が関係している場合は放置すると症状が進行するリスクがあります。自分のむくみがどのような状態にあるかを把握するために、まずは以下の「チェックリスト」で確認してみてください。 ・2週間以上むくみが続いている、または徐々に悪化している ・両足が対称的にむくんでいる ・尿が泡立つ、尿量が減った・短期間で体重が急に増えた ・健康診断で血糖値、HbA1cの異常、またはタンパク尿を指摘されたことがある ・血圧が高めで推移している ・足を押すと指の跡がへこんだまましばらく残る ・手や顔にもむくみが出ている ・足のしびれや感覚の鈍さを同時に感じている 上記のチェック項目に1つでも当てはまる場合は、早めに医療機関を受診してください。むくみは一見軽い症状に思えますが、糖尿病性腎症をはじめとする合併症が背景にある場合、放置することで腎機能の低下が加速し、最終的には人工透析が必要な腎不全に至るリスクがあります。特に複数の項目に当てはまる場合は、すでに合併症が進行している可能性がありますので、自己判断せず速やかに専門医に相談するようにしてください。   むくみが気になったら何科を受診すればよいか 手や足のむくみが続いている場合、まずは内科(一般内科・糖尿病内科)を受診してください。糖尿病に伴うむくみは、腎臓や神経・血管の異常が背景にあることが多く、内科では血糖コントロールの状態と臓器への影響を同時に評価することができます。内科では主に血液検査と尿検査によって状態を確認します。血液検査では血糖値・HbA1c・クレアチニン・アルブミンなどを測定し、高血糖の程度と腎機能の状態を把握します。加えて尿検査では尿タンパクや尿アルブミンを調べることで、糖尿病性腎症の早期サインをとらえることができます。これらの検査を組み合わせることで、むくみの原因が糖尿病によるものかどうかをより正確に判断することが可能です。また、検査の結果によっては、腎臓専門医への紹介が必要になるケースもあります。糖尿病性腎症が一定程度進行している場合は、内科と腎臓内科が連携して治療にあたることが一般的ですので、紹介を勧められた際はためらわずに受診するようにしてください。むくみは「たいしたことない」と感じやすい症状ですが、症状が軽いうちに受診することが腎症の進行を防ぐことにつながります。気になるむくみがある場合は、早めに足を運ぶことを強くおすすめします。なお、血糖値の異常を指摘されたことがある方は特に注意が必要です。受診の判断基準については「健康診断で血糖値が高いと言われたら|正常値・判断基準・次にすべき行動を解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   まとめ 糖尿病によるむくみの主な原因は、糖尿病性腎症・神経障害・薬の副作用の3つです。なかでも糖尿病性腎症は最も頻度が高く、高血糖が腎臓にダメージを与えることで水分バランスが崩れ、手や足にむくみが現れます。腎症は日本における透析原因疾患の第1位でもあり、放置すると腎不全や透析が必要な状態へと進行するリスクがあります。むくみは一時的な疲れや塩分のとりすぎでも起こりますが、2週間以上続く・尿が泡立つ・体重が急に増えるといった症状が重なる場合は、合併症が進行しているサインである可能性があります。そのため、気になる症状があれば自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。血糖コントロールを適切に行い、専門的な検査で腎機能や神経の状態を定期的に把握することが、むくみの悪化を防ぐ最善の方法です。千葉市都賀周辺にお住まいで、むくみや血糖値の異常が気になる方は、ぜひ当院へご相談ください。なお、当院では血液検査・尿検査・診察・生活指導を通じて、患者一人ひとりの状態に合わせたサポートを行っています。「少し気になる程度」という段階からでも構いませんので、気軽にお声がけください。早期の受診が、将来の腎不全や透析リスクを大きく下げることにつながります。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

傷が治りにくいのは糖尿病のサイン?血流・神経・免疫から考える回復遅延の原因と対策

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
「ちょっとした傷なのになかなか治らない…」「いつの間にか傷が悪化していた…」そんな経験に心当たりはありませんか。実は、この症状が糖尿病の重要なサインである可能性があります。傷が治りにくい背景には「血流・神経・免疫」という3つの機能の低下が深く関与しています。また、それぞれの機能が低下することで、傷の修復が妨げられ、気づかないうちに悪化するリスクも高まります。この記事では、そのメカニズムと日常生活で注意すべきポイントを詳しく解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 健康な人と糖尿病患者で傷の治り方が違う理由 糖尿病で傷が治りにくくなる3つの原因 特に注意が必要な「足の傷」(糖尿病足病変) こんな傷・症状があれば受診を|チェックリスト 傷が治りにくいと感じたら何科を受診すればよいか まとめ   健康な人と糖尿病患者で傷の治り方が違う理由 そもそも、傷はどのように治るのでしょうか。まず、健康な人の傷の治癒プロセスを確認してください。 通常の傷の治癒プロセス ・止血期:傷口の血液が固まり、出血を止めます ・炎症期:免疫細胞が集まり、細菌や異物を排除します ・増殖期:新しい細胞が生成され、傷口が塞がれていきます ・リモデリング期:皮膚が再構築され、傷跡が目立たなくなります 健康な人では、上記の4つのステップがスムーズに進み、小さな傷であれば数日から1週間程度で回復します。しかし糖尿病の患者では、高血糖状態が続くことでこの各ステップに支障をきたします。止血がうまくいかず、炎症期では免疫細胞の働きが鈍くなります。また、増殖期に必要な細胞の生成も滞り、リモデリング期まで正常に進みにくくなります。さらに、血流や神経・免疫機能の低下が重なることで、傷の回復はより一層遅れてしまいます。では、なぜ糖尿病になるとこれほどまでに傷が治りにくくなるのでしょうか。その背景には、「血流・神経・免疫」という3つの機能低下が深く関わっています。   糖尿病で傷が治りにくくなる3つの原因 糖尿病の患者では、傷がなかなか治らない原因があります。その背景には、高血糖が長期間続くことで引き起こされる「血流・神経・免疫」3つの機能低下が深く関わっています。それぞれのメカニズムを詳しく解説しますので、ぜひ確認してください。 血流障害(細小血管・大血管のダメージ) 高血糖状態が続くと、全身の血管壁が少しずつ傷つき、細い血管が狭くなったり詰まったりしていきます。血流が低下すると、傷の修復に欠かせない酸素や栄養分、そして免疫細胞が傷口に届きにくくなり、治癒のプロセスが大幅に遅れてしまいます。また、心臓から遠い足先ほど血流が届きにくいため、足の傷は特に重症化しやすい傾向があります。糖尿病患者に足のトラブルが多いのは、こうした血流障害が深く関係しています。 神経障害(感覚鈍麻で傷に気づかない) 高血糖が末梢神経にダメージを与えると、足や手の感覚が徐々に鈍くなっていきます。痛みや熱さを感じにくくなるため、靴ずれや小さな切り傷、やけどに気づかないまま放置してしまうことがあります。さらに、傷の存在に気づかない間に細菌が侵入し、感染や潰瘍へと進行してしまうケースも少なくありません。「痛くないから大丈夫」という判断が、重大なリスクにつながる可能性があることを覚えておいてください。 免疫機能の低下(感染リスクの上昇) 高血糖の状態では、細菌と戦う白血球の働きが抑制され、体の感染への抵抗力が低下します。傷口から細菌が侵入した場合、通常であれば軽度の炎症で済むところが、蜂窩織炎や壊死性筋膜炎といった重篤な感染症へと発展するリスクがあります。加えて、血流障害による酸素不足も重なることで、感染した組織の回復はさらに困難になります。健康な人では問題にならないような小さな傷でも、糖尿病の患者では決して油断できません。 糖尿病で傷が治りにくくなる背景には、血流障害・神経障害・免疫機能の低下という3つの原因が複雑に絡み合っています。そのため、小さな傷でも軽視せず、早めに適切なケアをすることが大切です。また、日頃から血糖値のコントロールを意識することが、傷の悪化を防ぐ最大の予防策となります。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。   特に注意が必要な「足の傷」(糖尿病足病変) 糖尿病の合併症の中でも、特に深刻なリスクをもたらすのが「糖尿病足病変(diabetic foot)」です。神経障害・血流障害・免疫機能の低下という3つの問題が重なることで、足に潰瘍や壊疽が生じやすくなります。糖尿病の患者は感覚が鈍くなっているため、靴ずれや小石による小さな傷でも気づかないことがあります。そのため、傷が悪化してから初めて異変に気づくケースが非常に多く、発見が遅れるほど治療は困難になります。また、血流障害によって組織への酸素供給が不足した状態では、感染した組織が壊死へと進行するリスクも高まります。実際に、足潰瘍や壊疽は糖尿病患者における下肢切断の最も多い原因のひとつとされており、日本創傷外科学会のデータでも糖尿病は下肢切断に至る主要な基礎疾患として挙げられています。こうした深刻な事態を防ぐために、日常的なフットケアが非常に重要です。まず、毎日足全体を丁寧に観察し、傷・赤み・腫れ・変色がないかを確認してください。次に、皮膚の乾燥はひび割れや傷の原因となるため、入浴後には保湿クリームを使ってしっかりと保湿することが大切です。また、合わない靴は靴ずれや圧迫による傷の原因となりますので、足にフィットした靴を選ぶようにしてください。加えて、自分では気づきにくい足の状態を定期的に医療機関でチェックしてもらうことも、早期発見・早期治療につながります。「これくらいの傷なら大丈夫」という判断が、取り返しのつかない結果を招くことがあります。糖尿病がある場合、小さな傷でも決して軽視しないでください。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。なお、糖尿病足病変を含む合併症全般の種類や予防方法については「糖尿病合併症の種類と予防方法」でより詳しく解説していますので、ぜひ合わせて確認してください。日本創傷外科学会のデータ   こんな傷・症状があれば受診を|チェックリスト 傷の治りにくさや足のしびれは、糖尿病のサインである可能性があります。以下のチェックリストを確認して、該当する項目がないか確認してください。 受診を検討すべき症状チェックリスト ・1〜2週間経っても改善しない傷、切り傷がある ・傷口が赤く腫れている、膿が出ている、臭いがある ・足や手の感覚が鈍い、しびれがある ・足が冷たい、皮膚の色が悪い(青白い・黒ずんでいる) ・足に変形やタコ、魚の目がある ・傷ができてもなかなか痛みを感じない ・健康診断で血糖値、HbA1cの異常を指摘されたことがある ・最近、傷の回復が以前より遅くなったと感じる 上記のうち、一つでも当てはまる項目がある場合は、できるだけ早めに医療機関を受診してください。糖尿病による合併症は、早期に発見し適切な治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。また、「たった一つだけだから大丈夫」と自己判断せず、些細な変化でも医師に相談することが大切です。特に、傷口から膿が出ている・皮膚が黒ずんでいるといった症状がある場合は、感染や壊疽が進行している可能性があります。そのため、一刻も早く受診するようにしてください。加えて、糖尿病の診断を既に受けている方は、症状が軽くても定期的な受診を怠らないようにしてください。なお、傷の治りにくさ以外にも、糖尿病にはさまざまな初期症状が現れることがあります。気になる症状がある方は「糖尿病の初期症状が出た方はいつでも当院にご相談ください」もぜひ参考にしてください。   傷が治りにくいと感じたら何科を受診すればよいか 傷がなかなか治らないと感じたとき、「どの科に行けばいいのかわからない」と迷う方は少なくありません。傷の状態や症状によって適切な受診先が異なりますので、以下を参考に受診先を検討してください。まず、傷口の赤みや腫れ、皮膚のただれなど、皮膚症状が主体である場合は、皮膚科または形成外科への受診が適しています。皮膚科では感染や炎症への対処、形成外科では傷の修復や瘢痕治療を専門的に行っています。そのため、見た目の変化が気になる段階では、これらの科への受診を検討してください。また、糖尿病の診断をまだ受けていない方や、健康診断で血糖値の異常を指摘されたことがある方は、内科(一般内科・糖尿病内科)への受診をおすすめします。傷の治りにくさが糖尿病によるものであれば、血糖コントロールを行わない限り、傷の治療だけを続けても再発や悪化を繰り返す可能性があります。根本的な原因に向き合うためにも、内科での診察を受けてください。さらに、足に潰瘍や壊疽の疑いがある場合は、早急に内科を受診し、必要に応じて血管外科や形成外科への紹介を受けることが重要です。血流障害が進行している場合は、外科的な処置が必要になるケースもあります。なお、どの科に行くべきか迷った場合は、まずかかりつけの内科医に相談することが、最も確実な第一歩となります。傷だけを治療しても、血糖値のコントロールが不十分なままでは、同じ問題が繰り返されます。傷の治りにくさを感じたら、表面的なケアにとどまらず、その背景にある血糖の状態にも目を向けることが大切です。血糖値の基準や健康診断で異常を指摘された際の対応については「健康診断で血糖値が高いと言われたら|正常値・判断基準・次にすべき行動を解説」で詳しく解説していますので、ぜひ合わせて確認してください。   まとめ 傷の回復を妨げる主な原因は、血流障害・神経障害・免疫機能の低下という3つの機能低下です。これらが複合的に重なることで、小さな傷でも治癒が遅れ、気づかないうちに悪化するリスクが高まります。特に足の傷は注意が必要です。神経障害によって痛みを感じにくくなっているため、傷の存在自体に気づかないことがあります。また、血流障害が加わることで組織への酸素供給が不足し、感染から潰瘍・壊疽へと急速に進行するケースもあります。壊疽が進行した場合、下肢切断を余儀なくされる可能性もあるため、早期発見・早期受診が非常に重要です。「たかが傷」と軽視せず、治りが遅いと感じたら、まず医療機関への受診を検討してください。そのうえで、血糖値のコントロールを含めた根本的な治療に取り組むことが、再発防止と健康維持につながります。千葉市都賀周辺にお住まいの方で、傷の治りにくさや血糖値の異常が気になる方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。なお、当院では血液検査による血糖値の確認をはじめ、診察・生活指導まで一貫してサポートしています。加えて、糖尿病の早期発見・早期治療に力を入れており、患者一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を心がけています。「まだ大丈夫」と思わず、気になる症状があれば早めに受診してください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26