板谷内科クリニックブログ

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薬についての記事一覧

内科

インフルエンザ治療薬の種類や効果、副作用について

内科に関する記事です。
この記事では「インフルエンザの治療薬」について解説していきます。後半部分では「インフルエンザの治療薬の副作用」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 インフルエンザの薬の基本知識 市販でインフルエンザに有効な治療薬 抗インフルエンザ薬の副作用 インフルエンザの初期症状に適した薬の選び方 インフルエンザ市販薬を服用される際の注意点 インフルエンザ治療薬と予防接種の併用について インフルエンザの治療薬の適切な使い方と管理方法 当院では予約なしでインフルエンザ予防接種が可能です   インフルエンザの薬の基本知識 インフルエンザの治療薬は、大きく分けて飲み薬・吸入薬・点滴の3種類があります。飲み薬は、タミフル・ゾフルーザ・シンメトレル、吸入薬はリレンザ・イナビル、点滴はラピアクタという薬です。これらの薬は、体内でインフルエンザウイルスが増殖するのを抑える作用があります。 【インフルエンザの薬1】タミフル®︎ タミフルは、A型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている抗インフルエンザ薬です。インフルエンザウイルスが増えるときに必要な酵素・ノイラミニダーゼの働きを妨げて、症状を緩和したり、予防したりします。ただし、インフルエンザウイルスが増えてしまってからタミフルを服用しても効果はないため、発熱などの症状が出てから48時間以内に服用を開始する必要があります。なお、タミフルは基本的に、成人は錠剤1錠を1日2回、計5日間服用します。 【インフルエンザの薬2】ゾフルーザ®︎ ゾフルーザは2018年2月に登場した「抗インフルエンザ薬」の新薬です。1回服用するだけでよいというのが最大の特徴になります。これまで、抗インフルエンザ薬は「ノイラミニダーゼ阻害薬」のみでしたが、ゾフルーザは「エンドヌクレアーゼ」と呼ばれる別の作用機序で効果を発揮します。インフルエンザウイルスを消失させる速度が速いと言われており、周囲の人への感染を減らせるのではないかとの期待がされています。ただし、薬剤相互作用や副作用については未知であり、その安全性は確定されていません。そのため、日本小児科学会は12歳未満の服用については推奨しないとしています。 【インフルエンザの薬3】リレンザ®︎ リレンザはA型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている吸入薬です。リレンザは、インフルエンザウイルスの表面に存在する酵素を阻害するだけでなく、ウイルスが感染細胞から遊離するのも阻害し、インフルエンザウイルスの感染拡大を阻止します。なお、リレンザは、粉薬を直接気道に届けることで、ウイルスの増殖を抑えることが期待できる吸入薬です。したがって、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など呼吸器に病気のある方は、気道に対する刺激になって「喘息発作」を誘発する可能性があるため注意が必要になります。 【インフルエンザの薬4】イナビル®︎ イナビルは、A型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている吸入薬です。イナビルは、インフルエンザウイルスの増殖を防ぐ働きがあり、症状の緩和や感染予防に役立ちます。イナビルはリレンザと同様、気道に粉薬を入れるため慎重に使用する必要があります。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などがある方は、必ず医師に相談してから使用してください。なお、イナビルは長時間作用型のため、処方された分を1回吸入するだけでよいというのが最大の特徴になります。 【インフルエンザの薬5】ラピアクタ®︎ ラピアクタは、A型・B型両方のインフルエンザに有効と言われている点滴薬です。ラピアクタは、インフルエンザウイルスの「ノイラミニダーゼ」というウイルス増殖に関与する酵素を阻害し、ウイルス増殖を抑える効果があります。したがって、インフルエンザウイルスが増殖してしまった後では薬の効果は発揮できず、発症後48時間以内に使用する必要があります。 【インフルエンザの薬6】シンメトレル®︎ シンメトレルはA型インフルエンザに対して効果のある飲み薬です。シンメトレルは、ノイラミニダーゼ阻害薬ではなく、A型インフルエンザウイルスに存在する「蛋白構造」に作用し、脱殻というウイルスの増殖工程を阻害することでウイルスの増殖を防ぎます。なお、シンメトレルは、感染初期に使用することで発熱の期間が1~2日短くなり、治りが早くなる効果が期待できます。 市販でインフルエンザに有効な治療薬 残念ながらインフルエンザの治療薬として使用される「抗インフルエンザ薬」は、市販薬では販売されていません。そして、市販の風邪薬はインフルエンザを完治させるほどの効果は期待できません。したがって、インフルエンザが疑われる場合は医療機関を受診してください。なお、インフルエンザと普通の風邪の違いについて知りたい方は「令和5年度インフルエンザQ&A」をご覧ください。   抗インフルエンザ薬の副作用 抗インフルエンザウイルス薬は、適切な時期(発症から48時間以内)から使用を開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。しかし残念なことに「抗インフルエンザウイルス薬」には、吐き気、下痢、口内炎、めまい、頭痛、不眠などさまざまな副作用が報告されています。副作用については以下をご覧ください。 【抗インフルエンザ薬の副作用1】タミフル®︎ タミフルを服用した際の副作用としては、下痢、腹痛、吐き気などが報告されています。 【抗インフルエンザ薬の副作用2】ゾフルーザ®︎ ゾフルーザを服用した際の副作用としては、下痢、吐き気、頭痛、嘔吐などが報告されています。 【抗インフルエンザ薬の副作用3】リレンザ®︎ リレンザを服用した際に考えられる副作用は、血圧低下、呼吸困難、咽頭・喉頭浮腫などがあげられます。他にも、発作的な息切れ、下痢、発疹、吐き気、嘔吐、嗅覚障害、顔面浮腫、蕁麻疹なども報告されていますが、これらの可能性は低いです。 【抗インフルエンザ薬の副作用4】イナビル®︎ イナビルを服用した際に考えられる副作用は、失神、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗などが挙げられます。また、発作的な息切れなどの症状も確認されていますが、どの副作用も発現する確率は低いです。 【抗インフルエンザ薬の副作用5】ラピアクタ®︎ ラピアクタを服用した際の副作用としては、下痢、吐き気、嘔吐などが報告されています。 【抗インフルエンザ薬の副作用6】シンメトレル®︎ シンメトレルを服用した際の副作用としては、めまい、ふらつき、立ちくらみ、不眠、幻覚、興奮、頭痛、便秘、食欲不振、吐き気、口の渇き、浮腫などが報告されています。 インフルエンザの初期症状に適した薬の選び方 インフルエンザは、感染してから約1~3日間程度の潜伏期間の後に、38℃以上の高熱、関節痛、頭痛、全身倦怠感などが突然あらわれます。インフルエンザの薬は市販されていないため、感染が疑わしい症状が出た場合は、速やかに医療機関で検査を受けてください。インフルエンザウイルスは初期ほど急激に増えるため、発症後48時間以内に投与することが重要です。したがって、市販の風邪薬で対処するようなことは絶対に避けてください。インフルエンザの治療薬を発症後48時間以内に投与することで、症状の軽減や合併症のリスクを低減することが期待されます。   インフルエンザ市販薬を服用される際の注意点 インフルエンザにかかっている場合、市販の解熱剤を安易に使うことは望ましくありません。なぜなら解熱剤の成分のなかには、インフルエンザの合併症を引き起こす原因となりうるものがあるからです。具体的には、アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸の3種です。これらが含まれる解熱剤をインフルエンザ感染時に服用すると、インフルエンザ脳炎・脳症の発症リスクを高めたり、重症化したりする危険性があります。またアスピリンには、肝機能障害や精神神経症状をきたす「ライ症候群」という合併症を引き起こす可能性も指摘されています。この合併症は主に乳幼児が発症しやすいとされていますが、成人でもまれに発症することがあるため、インフルエンザ感染時に服用することは避けてください。なお、こういった成分は市販の風邪薬にも含まれているケースが多いです。したがって、風邪かインフルエンザか判断できない場合は、安易に市販薬を使うことはやめてください。インフルエンザウイルスの感染が疑わしい症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。   インフルエンザ治療薬と予防接種の併用について インフルエンザ予防接種は、インフルエンザの重症化を防ぐ上で極めて有効な方法です。したがって、インフルエンザの重症化を予防するためにもインフルエンザ予防接種を推奨します。しかし、インフルエンザ予防接種をしても、手洗い・うがいをしっかりしても、完全にインフルエンザの感染を防ぐことはできません。そのため、インフルエンザウイルスの感染が不安な方は、抗インフルエンザ薬の予防投与をご検討ください。抗インフルエンザ薬の予防投与は、「インフルエンザに絶対かかりたくない」と考えている方にお勧めです。抗インフルエンザ薬を予防内服することによって、7~8割の方がインフルエンザの発症を防げると言われています。したがって、「大事なプレゼンが迫っている」「入学受験がある」など、人生の中で「どうしても今だけはインフルエンザにかかりたくない」という局面がある方は、抗インフルエンザ薬の予防投与をご検討ください。 インフルエンザの治療薬の適切な使い方と管理方法 インフルエンザの治療薬を適切に使用し、安全に管理をするためには医師の指示に従うことが大切です。用法・用量を正確に守り、予定通り服用を続けることが治療の鍵となります。また、薬物の保管は涼しい場所で湿気や直射日光を避け、小児の手の届かない場所に保管することが重要です。そして治療期間が終了したら、残った薬剤は処分し、再度使用しないように注意してください。なお、インフルエンザの治療薬を使用する際は、副作用やアレルギー反応に留意し、異常な症状が見られれば直ちに医師に報告するよう心掛けてください。   当院では予約なしでインフルエンザ予防接種が可能です インフルエンザウイルスに感染すると、約1週間で回復する場合が多いです。しかし、「インフルエンザ脳炎」や「ウイルス性肺炎」といった重大な合併症が現れて重症化する場合もあります。したがって、重症化のリスクを下げるためにもインフルエンザ予防接種を推奨いたします。特に、高齢者や基礎疾患をお持ちの方には、インフルエンザ予防接種を強く推奨いたします。なお、当院では、予約なしでインフルエンザ予防接種を実施しております。現在、診察時間内であれば当日の接種も可能ですので、突然の接種希望にも柔軟に対応できます。インフルエンザ予防接種をご希望の方は、お気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2024.01.19

内科

不眠症薬の種類と効果、使い方や副作用の解説

内科に関する記事です。
この記事では、「不眠症の薬」について解説していきます。後半部分では「不眠症の薬の使い方」や「不眠症の薬の注意点」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 不眠症の種類について 不眠症の原因について 不眠症の薬の種類について 不眠症の薬の使い方と注意点について クリニックでの診察について 不眠症の治療は何科に行けばいいのか? まとめ   不眠症の種類について まずは不眠症の種類をご紹介します。不眠症には、大きく分けて以下4つのパターンがあります。 【不眠症のタイプ1】入眠困難 床についてもなかなか(30分~1時間以上)眠りにつけない。 【不眠症のタイプ2】中途覚醒 いったん眠りについても、翌朝起床するまでの間、夜中に何度も目が覚める。 【不眠症のタイプ3】早朝覚醒 希望する時刻、あるいは通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない。 【不眠症のタイプ4】熟睡障害 眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない。 これらの4つの症状は、どれか1つではなく2つ以上重複して現れる場合もあります。特に高齢者の場合は複数の症状を訴える人が多くみられます。不眠症の症状について詳しく知りたい方は「不眠症 - e-ヘルスネット - 厚生労働省」をご覧ください。 <慢性不眠症と短期不眠症の違い> 不眠症は慢性不眠症(慢性不眠障害)と短期不眠症(短期不眠障害)の2つに分けられます。不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症、3カ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。   不眠症の原因について 不眠症の原因はストレス・心や身体の病気・薬の副作用など様々です。ここでは不眠症を引き起こす主な原因をご紹介します。 【不眠症の原因1】心理的原因 何らかのストレスに関連して起こる不眠です。 【不眠症の原因2】身体的原因 身体の病気や症状が原因で起こる不眠です。 【不眠症の原因3】薬理学的原因 服用している薬や、アルコール、カフェイン、ニコチンなどが原因で起こる不眠です。 【不眠症の原因4】精神医学的原因 精神や神経の病に伴って起こる不眠です。精神や神経の病には、不眠を伴うことが少なくありません。なかでも不眠になりやすいのは、不安と抑うつになります。 ※このように不眠の原因はストレス・こころやからだの病気・薬の副作用など様々です。したがって不眠症の治療では、原因に応じた対処が必要になります。   不眠症の薬の種類について 不眠症の薬にはベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、メラトニン受容体作動薬の3つの種類があります。 【不眠症の薬の種類1】ベンゾジアゼピン系睡眠薬 ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは、「ベンゾジアゼピン受容体」の働きを活性化することで、GABAと呼ばれるリラックスを促す神経伝達物質の作用を強めて、入眠を促す睡眠薬のことです。ベンゾジアゼピン睡眠薬は、睡眠を促す作用のほかにも不安感の軽減などの効果があります。ベンゾジアゼピン睡眠薬の中で“代表的な薬剤”は下記の通りです。 <ハルシオン> ハルシオンは、超短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、非常に即効性に優れている睡眠薬です。個人差はあるものの、服用後10~30分後には眠気を感じられ、1~2時間で血中濃度が最大値になることから、主に入眠障害に用いられます。 <レンドルミン> レンドルミンは、短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、脳をリラックスさせる作用が強い睡眠薬です。ハルシオンに比べて、作用時間が長いため、入眠後も睡眠薬の効果が続き、中途覚醒や早朝覚醒の改善も期待できます。 <サイレース> サイレースは、中間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、催眠作用に非常に優れています。中間作用型であるため、睡眠時間全体に効果が認められ、入眠障害だけではなく、中途覚醒や早朝覚醒の改善も期待できます。 <ドラール> ドラールは、長時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、催眠作用に特化した薬です。作用時間が非常に長いので、中途覚醒や早朝覚醒にも高い効果を示す上に、体内で成分が分解されるとともに、抗不安薬としての効果も発揮します。そのため、強い不安感やストレスなどによって引き起こされる睡眠障害の改善が期待できます。 【不眠症の薬の種類2】非ベンゾジアゼピン系睡眠薬 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン骨格という化学構造をもたない睡眠導入剤のことです。主に催眠と鎮静作用に関わっており、抗不安作用と筋弛緩作用が少ないという特徴があります。なお、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、依存性耐性が比較的少ないので、一般的に「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」から治療を開始することが多いです。以下、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中で“代表的な薬剤”です。 <マイスリー> マイスリーは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に分類されている睡眠薬です。催眠作用があるため、不眠症の治療薬として処方されています。なお、従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは異なり、筋弛緩作用が弱いという特徴をもっています。 <アモバン> アモバンは、非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬です。寝つきが悪い人に対して治療に用いられたり、手術前に麻酔が円滑に行われる目的のために使用されたりします。なお、アモバンの特徴は、その効果の早さです。作用時間が短く、翌日に眠気が残りにくい睡眠薬になります。 <ルネスタ> ルネスタは、非ベンゾジアゼピン系の薬剤に分類されている睡眠薬です。催眠と鎮静作用があるため、不眠症の治療薬として認可されています。なおルネスタは、依存性、持ち越し効果が少ないという特徴があります。 【不眠症の薬の種類3】メラトニン受容体作動薬 メラトニン受容体作動薬は、体内で睡眠に深く関わるホルモン(メラトニン)の受容体に作用し、自然に近い生理的睡眠を誘導し、不眠症における入眠困難などを改善する薬です。メラトニン受容体作動薬は、依存性や健忘などの副作用が少なく、高齢者にも使用しやすいことが特徴です。以下、メラトニン受容体作動薬の中で“代表的な薬剤”です。 <メラトベル> メラトベルとは、メラトニンを成分とした入眠改善薬です。メラトベルは、脳内のメラトニン受容体に作用して、睡眠を促進する作用があります。なおメラトベルは、一般的なベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比べて、副作用のリスクが低く、依存症の発生リスクも低いとされています。 <ロゼレム> ロゼレム(一般名:ラメルテオン)は、メラトニン受容体作動薬に分類される新しい睡眠薬です。ロゼレムは、有効成分の「ラメルテオン」がメラトニン受容体に作用することで、人間の体内時計のリズムを整え、睡眠を誘発する作用があります。なお、ロゼレムは、特に睡眠の入りが遅くなる「遅延性睡眠相症候群」に対して有効性が高いことが知られています。   不眠症の薬の使い方と注意点について 以下、不眠症の薬の使い方と注意点です。 【不眠症の薬の使い方と注意点1】決められた用法・用量を守る 「睡眠薬が効かない」と感じても、一度にたくさん飲んだり、追加で飲むことはしてはいけません。翌日にはひどい眠気が残ったり、ふらつきや記憶障害などの恐れがあるため、危険です。医師が決めた用法や用量は必ず守ってください。なお、もし睡眠薬の効果を感じられない場合は、早めに医師に相談することをお勧めします。 【不眠症の薬の使い方と注意点2】アルコールと一緒に飲まない アルコールと睡眠薬を一緒に摂取すると、それぞれの作用が増強され、副作用が生じる可能性があります。一緒に飲むことで記憶障害、呼吸抑制、翌日の眠気、ふらつきなどが報告されているため、一緒に摂取することは絶対に避けてください。 【不眠症の薬の使い方と注意点3】睡眠薬を飲んだら横になる 睡眠薬の効果が現れるのは、服用後30分〜1時間程度です。服用後に多少のふらつきが生じることがあるため、車の運転や機械操作などは非常に危険です。また、服用後に活動を続けると、眠気のタイミングを逃してしまい、かえって睡眠の妨げになることがあります。ですので、睡眠薬を服用したら、すぐに横になるようにしてください。 【不眠症の薬の使い方と注意点4】他の薬を併用する場合は必ず医師に相談する 睡眠薬は、種類によって他の薬の効果を強めたり、弱めたりすることがあります。飲み合わせによっては副作用があらわれる場合もあるため、他の薬を併用する場合は、必ず医師に相談してください。事前に相談することで、薬の相互作用を避けることができます。 【不眠症の薬の使い方と注意点5】副作用が出た場合は医師に相談する 不眠症の薬には多かれ少なかれ副作用があります。副作用が出た場合は放置せず、医師に相談してください。なお、睡眠薬の主な副作用には、眠気、倦怠感、めまい、ふらつき、喉の渇き、口の渇き、便秘、下痢、頭痛、集中力の低下、不安、興奮、幻覚、記憶障害、肝機能障害などがあります。 【不眠症の薬の使い方と注意点6】他の人の睡眠薬を飲まない 睡眠薬の処方は、一人ひとりの症状に合わせて処方されています。自分の症状にあった睡眠薬を飲まないと、副作用があらわれたり、かえって症状が悪化する恐れがあります。睡眠薬はどれも一緒というわけではないので、他の人に睡眠薬をあげたり、もらったりするのは止めてください。 【不眠症の薬の使い方と注意点7】自己判断でやめない 睡眠薬を急に止めてしまうと、反動で眠れなくなったり、不安感が強く出てしまい、かえって不眠を悪化させてしまうことがあります。睡眠薬をやめる時は、医師と話し合いながら徐々に減らしていくと、スムーズにやめることができます。睡眠薬の不安や気になることがあれば、必ず医師に伝えてください。 また連用すると認知機能の低下が起こる可能性が示唆されていますので、用法・用量は決められたものを必ず服用ください。 クリニックでの診察について クリニックでの診察は、一般的に以下の流れで進みます。 まず初めに問診を行います。不眠症には、ストレスや精神的な要因、身体的な疾患、薬物の副作用などが原因として考えられます。そのため、病歴や現在の生活状況、睡眠に関する問診を詳しく行い、不眠症の原因を特定します。また、睡眠の質や時間、日中の眠気や疲れなどを評価するために、睡眠日誌の記入をお願いすることもあります。 次に、必要に応じて検査を行います。睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群などの睡眠障害を疑う場合には、睡眠ポリグラフ検査や筋電図検査を行います。また、身体的な疾患が疑われる場合には、血液検査やレントゲン検査、心電図検査などを行うことがあります。 診断が確定したら、次は薬の処方を行います。不眠症の治療には、睡眠導入剤や睡眠維持剤、抗うつ薬などがあります。薬の種類や量は、患者さんの症状や身体状況に応じて適切なものを選択します。また、薬剤治療だけでなく、睡眠ハイジーンの指導や、リラックス法の習得などの非薬物療法も併用することがあります。 なお、治療方針については、患者さんの症状や状態に合わせて、可能な限り個別に決定いたします。不眠症は放置すると、疲労感やイライラなどの症状を引き起こすだけでなく、生活習慣病やうつ病などの重篤な疾患を引き起こす可能性もあります。そのため、適切な治療を早期に行い、患者さんがより良い睡眠と健康な生活を送れるようにサポートします。   不眠症の治療は何科に行けばいいのか? 不眠症の症状については、一般の内科で相談が可能です。不眠に加えて気分の落ち込みや、精神的ストレスも感じている場合は精神科、体にも症状が出ているときは心療内科を受診するといいかもしれません。 何科に行くべきかわからない方や精神科の診察が不安な方は内科でも症状の相談は可能です。 また、必要に応じて他の診療科を紹介しますので、不眠症の症状にお心当たりのある方は放置せず、お近くの医療機関にご相談ください。   まとめ 不眠症は原因によって対象法が異なるため、正確な原因の診断が何より大切です。睡眠が浅い、寝付けないなど、睡眠に関して問題があることで「日常生活に支障が出ている」と感じている方は、早めに専門家に相談することをお勧めします。睡眠不足は単に睡眠の問題だけでなく、体の病気、心の病気の原因となることもあります。また、睡眠障害自体が“心の病気”の前兆の可能性もあるため、睡眠に関する症状がある方は、放置せずにお近くの医療機関に足を運び、適切な診断・治療を受けてください。なお、当院では、睡眠に関する問診と検査を丁寧に行い、患者さんの症状に合わせた適切な薬を処方しています。睡眠に関する症状に悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2023.04.06

糖尿病・代謝内科

糖尿病治療に使う薬の紹介

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病治療に使う薬」をご紹介していきます。後半部分では「薬による糖尿病治療で気をつけること」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病治療薬の特徴 糖尿病治療薬について 糖尿病治療薬|経口血糖降下薬 経口血糖降下薬による糖尿病治療が適している人とは 糖尿病治療薬|インスリン注射 薬による糖尿病治療で気をつけること まとめ   糖尿病治療薬の特徴 糖尿病の治療薬は、大きく分けて「血糖値を下げる薬(経口血糖降下薬)」と「インスリン注射」の2種類に分けられます。 血糖値を下げる薬は、「食事療法」と「運動療法」を2~3ヵ月行っても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。 一方、インスリン注射は1型糖尿病の患者さんや、血糖降下薬を使用しても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。   糖尿病治療薬について ここからは、「経口血糖降下薬」と「インスリン注射」について解説していきます。   糖尿病治療薬|経口血糖降下薬 血糖値を下げる飲み薬のことを「経口血糖降下薬(けいこうけっとうこうかやく)」と呼びます。 経口血糖降下薬は、その作用から大きく分けて3種類に分類されます。以下をご覧ください。   【経口血糖降下薬の種類1】インスリン抵抗性改善系 インスリン抵抗性改善系は、主に脂肪組織に働きかけ、脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させます。その名の通り「インスリン抵抗性」を改善することで血糖を下げる薬です。 以下、インスリン抵抗性改善系の薬です。   <チアゾリジン薬> チアゾリジン薬は、肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬です。 インスリンに対する体の感受性を高めることで血糖値を下げます。   <グリミン薬> グリミン薬は、血糖値に応じて膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。 また、肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖が取り込まれるのを改善してインスリンの効果を高めたりします。   【経口血糖降下薬の種類2】インスリン分泌促進系 インスリン分泌促進系は、膵臓の「β細胞(べーたさいぼう)」に作用してインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。簡単にご説明すると「インスリンを出しやすくする薬」になります。 以下、インスリン分泌促進系の薬です。   <GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬> GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促し血糖値を下げる薬です。 膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。 そして血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。   <スルホニル尿素薬> スルホニル尿素薬は、膵臓からのインスリンの分泌を増やし血糖を下げる飲み薬です。 膵臓のインスリンを作る働きがある程度、残っている患者さんで効果があります。   <速効型インスリン分泌促進薬> 速効型インスリン分泌促進薬は、インスリン分泌のスピードを早めて、食後の血糖の上昇を抑える働きがあります。 そのためインスリンをすばやく分泌させることで食後高血糖を改善することから、インスリン分泌パターンの改善薬ともいえます。 なお、食後のインスリン分泌量を増加させる作用は「スルホニル尿素薬」に比べて弱くなっています。   【経口血糖降下薬の種類3】糖吸収・排泄調節系 糖吸収・排泄調節系は、糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬です。 簡単にご説明すると「糖の吸収をゆっくりにして、血糖の急な上昇を抑える薬」になります。 なお、糖吸収・排泄調節系の薬には、体に取り込んだ糖を尿中に出させる効果もあります。 以下、糖吸収・排泄調節系の薬です。   <α-グルコシダーゼ阻害薬> α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。 食前の血糖値はそれほど高くないけれども、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。   <SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬> SGLT2阻害薬は、尿から余分な糖を出すことで血糖値を下げる薬です。 単独で使用する場合には低血糖のリスクも低く、国内では2014年に糖尿病の新薬として使用が開始されました。 なお、SGLT2阻害薬は副次的な効果として、体重の減少が認められています(尿から糖が出るので体重が減少します)。   経口血糖降下薬による糖尿病治療が適している人とは 経口血糖降下薬はインスリン非依存状態にあり、食事療法・運動療法を十分に行っていても血糖コントロールがうまくいかない患者さんに使われます。 つまり、経口血糖降下薬で治療効果を望むことができるのは、自分の膵臓からインスリンを出す力が残っている、「インスリン非依存状態」にある患者さんです(多くは2型糖尿病の方です)。   糖尿病治療薬|インスリン注射 インスリン注射は、効果があらわれるまでのタイミングと、持続時間によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、配合溶解、持効型溶解の6つに分類されます。 注射の回数も1日1~4回以上のもの以外にも、最近では1日1回の注射で効果が24時間持続するタイプもあります。   <超速効型インスリン製剤> 超速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンにかなり近づけることができます。 食事直前の自己注射で、食後の血糖値の上昇を抑えて食後高血糖を改善します。 超速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は10~20分と早いので、食事の直前に注射でき、仕事などで食事時間が不規則になった場合への対応が可能ですので、生活の質を高めることができます。   <速効型インスリン製剤> 速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンに近づけます。 食事の約30分前に自己注射して、食後の血糖値の上昇を抑制して食後高血糖を改善します。 速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は30分~1時間で、インスリンの作用が持続する時間は5~8時間です。 レギュラーインスリンとも呼ばれ、筋肉注射や静脈注射が唯一可能なインスリン製剤です。   <中間型インスリン製剤> 中間型インスリン製剤は健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的として、インスリンの効果が持続的に作用するようにつくられたインスリン製剤です。 不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制します。 注射してから効果が出るまでの時間は1~3時間で、インスリンの作用が持続する時間は18~24時間です。   <混合型インスリン製剤> 混合型インスリン製剤は、超速効型や速効型インスリンと中間型インスリンを、いろいろな割合であらかじめ混合したインスリン製剤です。 インスリンの基礎分泌、追加分泌の補填を同時に行えるようにつくられた製剤です。 混合型インスリン製剤の効果の発現は、「超速効型」または「速効型インスリン製剤」「中間型インスリン製剤」のそれぞれの作用時間にみられますが、作用の持続時間は「中間型インスリン製剤」とほぼ同じになります。   <配合溶解インスリン製剤> 配合溶解インスリン製剤は、超速効型インスリン製剤と持効型溶解インスリン製剤を混ぜてある製剤です。 超速効型インスリンと持効型溶解インスリンのそれぞれの作用発現時間に効果が発現します。 なお、混合型インスリン製剤の作用時間は「持効型溶解インスリン」とほぼ同じになります。   <持効型溶解インスリン製剤> 持効型溶解インスリン製剤は、健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的につくられたインスリン製剤です。 不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。 インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日で、注射してから効果が出るまでの時間は1~2時間です。   糖尿病の薬物療法で気をつけること 糖尿病の薬物療法では、以下の点に注意してください。 【薬による糖尿病治療の注意点1】食事療法・運動療法をやめてしまう 経口血糖降下薬による治療を始めると、血糖コントロールの改善が認められ、食事療法・運動療法をやめてしまう患者さんがいらっしゃいます。 糖尿病の治療の基本は、食事療法・運動療法です。 薬物療法を開始しても、この二つは変わりません。食事療法・運動療法を継続することで体重の増加を防げます。 またお薬の量を抑えることもできますので、無理のない範囲で継続してください。   【薬による糖尿病治療の注意点2】副作用(副反応) 残念ながら、インスリンには副作用(副反応)があります。 インスリン療法における主な副作用(副反応)は、「低血糖症状」です。 インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。 低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。 そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。   まとめ 糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。 そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。 健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 なお、糖尿病の治療薬は、患者さんの病状や合併症の有無、生活習慣などを考慮してから適したものを選びます。 糖尿病の治療薬についてご相談したい方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.23

アレルギー科

千葉市で花粉症にお困りの方にお伝えしたい薬について

アレルギー科に関する記事です。
花粉症は春先が憂鬱になってしまう原因のひとつ。目のかゆみ、くしゃみ、鼻水など、主に「目と鼻の症状」を引き起こします。しかしながらアレルギー反応を起こす花粉の種類によっては、のどや皮膚のかゆみ、咳やたん、下痢や食欲の減退といった症状を引き起こすこともあります。ですから、花粉症に苦しめられ、頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。 この記事では、千葉市で花粉症にお困りの方に向けて「花粉症に有効な薬」をご紹介していきます。花粉症に苦しんでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。 【目次】 千葉市で花粉症にお困りの方にお伝えしたい薬について 花粉症とはどのような症状か? 花粉症に有効な薬の種類について 花粉症に有効な内服薬の種類 【内服薬の種類1】第1世代抗ヒスタミン薬 【内服薬の種類2】第2世代抗ヒスタミン薬 【内服薬の種類3】抗ロイコトリエン薬 【内服薬の種類4】ステロイド内服薬 【内服薬の種類5】サイトカイン阻害 抗ヒスタミン薬を服用するとなぜ眠くなるのか? 花粉症に有効な点鼻薬の種類 【点鼻薬の種類1】血管収縮点鼻薬 【点鼻薬の種類2】ステロイド点鼻薬 【点鼻薬の種類3】ケミカルメディエーター遊離抑制点鼻薬 【点鼻薬の種類4】抗ヒスタミン薬点鼻薬 花粉症に有効な点眼薬の種類 【点眼薬の種類1】抗アレルギー点眼薬 【点眼薬の種類2】ステロイド点眼薬 【点眼薬の種類3】免疫抑制剤点眼薬 【点眼薬の種類4】眼軟膏 スギ花粉症にはシダキュアを用いた舌下免疫療法がおすすめです 舌下免疫療法とは? 花粉症の治療薬を使う時の注意 花粉症を根本から治療したい方には舌下免疫療法をおすすめします     花粉症とはどのような症状か? 花粉症とは、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称。主に「アレルギー性鼻炎」と「アレルギー性結膜炎」が生じます。花粉が鼻に入ると、直後にくしゃみ、鼻汁が生じ、少し遅れてから鼻づまりの「即時相(そくじそう)反応」が生じます。ですから、初めて花粉症になったときには、検査をしなければ「かぜ」と間違う場合もございます。なお、花粉症の治療法については「千葉市で花粉症にお困りの方に効果的な治療法を紹介します」で解説しております。花粉症の治療法が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。   花粉症に有効な薬の種類について 花粉症に有効な薬には、主に「内服薬」「点鼻薬」「点眼薬」があります。花粉症では、つらい症状の部位や程度に合わせて適切な薬を選びましょう。花粉症に有効な「内服薬」「点鼻薬」「点眼薬」については下記をご覧ください。   花粉症に有効な内服薬の種類 内服薬は有効成分が血管をめぐり「体のすみずみ」に送り届けられます。ですので、目、鼻、のど、など「体全体のアレルギー反応」を抑えることができます。代表的な内服薬の種類は以下の通りです。 【内服薬の種類1】第1世代抗ヒスタミン薬 第1世代抗ヒスタミン薬は、鼻炎症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑え、鼻水、くしゃみ、鼻づまりを改善します。第1世代抗ヒスタミン薬の多くは「抗コリン成分」「血管収縮成分」が配合されているため、鼻水や鼻づまりを総合的に抑えてくれることが特徴です。 【内服薬の種類2】第2世代抗ヒスタミン薬 第2世代抗ヒスタミン薬は「抗ヒスタミン作用」だけではなく、抗アレルギー作用(アレルギー症状の発生を抑える)も併せ持ちます。そのため、花粉飛散シーズンに「花粉症の初期症状」が出始めたタイミングから使用すると効果的です。なお、第2世代抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用が第1世代抗ヒスタミン薬に比べて少ないことが特徴として挙げまれます。 【内服薬の種類3】抗ロイコトリエン薬 抗ロイコトリエン薬、特に鼻閉に有効性のある薬です。ロイコトリエンは、血管を拡張させ鼻粘膜の腫脹をおこす化学伝達物質です。眠気などの症状も少なく、喘息でも使用されることの多い薬剤です。なお、抗ロイコトリエン薬は「抗ヒスタミン薬」にあわせて使用されることが多いです。 【内服薬の種類4】ステロイド内服薬 ステロイド内服薬とは、ステロイドの飲み薬です。内服のステロイドはいろいろな種類があります。ステロイド内服薬は、血糖上昇のおそれ、むくみ、月経異常など様々な副作用が心配されますので、安易に使わないように注意する必要があります。 【内服薬の種類5】サイトカイン阻害薬 サイトカイン阻害薬は、ヘルパーT細胞のTh2細胞からのサイトカイン(具体的には「インターロイキン4」と「インターロイキン5」)がつくられるのを抑える作用をあらわします。これにより、免疫グロブリンであるIgE抗体の産生が抑えられたり、白血球の一つである好酸球の組織浸潤が抑えられる結果、抗アレルギー作用をあらわすとされます。なお、サイトカイン阻害薬は、鼻閉に効果が高いと言われています。   抗ヒスタミン薬を服用するとなぜ眠くなるのか? 抗ヒスタミン薬は名前の通り「ヒスタミンの作用」をブロックする働きを持つ薬です(ヒスタミンは、脳内で覚醒状態を維持したり、学習能力を高めたりする働きをしています)。抗ヒスタミン薬を服用すると、アレルギー反応を抑えてくれる力がありますが、脳に移行すると、脳内でのヒスタミンの働きを抑えてしまいます。そのため、気づかないうちに眠気に襲われたり、集中力が低下したりといった「インペアード・パフォーマンス」を引き起こすのです(インペアードは英語で「正常に機能しない」という意味です)。インペアード・パフォーマンスについては「日本予防医学協会のサイト」に詳しく記載しておりますので、気になる方はご覧ください。   花粉症に有効な点鼻薬の種類 点鼻薬は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状に有効。特に鼻づまりがつらい方に効果的です。点鼻薬は内服薬に比べて「早く効果を実感できる」「眠気などの副作用が起こりにくい」といった利点がございます。 【点鼻薬の種類1】血管収縮点鼻薬 血管収縮点鼻薬は、鼻粘膜の血管を収縮し、鼻づまりを解消します。速効性があり、鼻づまりが比較的早く解消されますが、効果は一時的。さらに、長期間連用してしまうと逆に鼻づまりになりやすくなるといった副作用もあるため注意が必要です。 【点鼻薬の種類2】ステロイド点鼻薬 ステロイド点鼻薬は、花粉症の元となるアレルギー反応を抑えるため、鼻づまりだけではなく、鼻水・くしゃみにも効果をあらわします。血管収縮点鼻薬と比べると、鼻づまりへの効きの速さは劣りますが、継続的に使用すると症状が出にくくなる「抗アレルギー作用」も併せ持つことが特徴です。 【点鼻薬の種類3】ケミカルメディエーター遊離抑制点鼻薬 ケミカルメディエーター遊離抑制点鼻薬は、花粉が体内に入ったとき、アレルギー症状を引き起こす体内物質(ヒスタミンやメディエーター)が出るのを抑える薬。点鼻薬の他に、経口薬、点眼薬があります。ケミカルメディエーター遊離抑制点鼻薬は、アレルギー性鼻炎にともなう「くしゃみ」や「鼻水」を軽減します。しかしながら比較的強くないため、現在はほとんど使用されておりません。 【点鼻薬の種類4】抗ヒスタミン薬点鼻薬 抗ヒスタミン薬点鼻薬は、もともと内服薬としても使われている成分を点鼻薬にしたものです。抗ヒスタミン薬点鼻薬は「ステロイド点鼻薬」の登場する前は、点鼻薬の主流を担っていました。しかしながら最近では、補助的な位置づけにあり、抗ヒスタミン薬点鼻薬はほとんど使われなくなりました。なお、抗ヒスタミン薬点鼻薬は点鼻でありながら、飲み薬のように多少眠くなるため、使用する際は十分に注意してください。   花粉症に有効な点眼薬の種類 点眼薬は、目のかゆみ、充血、異物感などの症状に有効。花粉症の症状が軽度であれば「市販で購入できる目薬」でも対応できます。しかし症状がひどい場合や「花粉症なのか、他の原因による症状なのか」がはっきりしない場合は、病院を受診し、症状に適した薬を処方してもらうようにしましょう。 【点眼薬の種類1】抗アレルギー点眼薬 抗アレルギー点眼薬は、花粉によるアレルギー反応の元を抑えます。そのため、花粉による目のかゆみの発生を起こりにくくします。抗アレルギー点眼薬の中には、花粉飛散の「1〜2週間前」から使用できる点眼もあります。ですので、毎年、花粉飛散シーズンになると「目が痒くなってつらい」という方はマスクやメガネなどと共に、抗アレルギー点眼薬で対策をとるといいでしょう。 【点眼薬の種類2】ステロイド点眼薬 ステロイド点眼薬は、ステロイドに炎症をとる強い作用がありますので、炎症を抑えたい場面で使われます。ステロイド点眼薬は炎症による「腫れ」や「赤み」を抑える上、かゆみや痛みも和らげます。ですので、非常に効果的な点眼薬と言えます。しかしステロイド点眼薬には「眼圧上昇」や「異物が体内に侵入する時におこる防御反応を抑制する」といった副作用があります。ですから、ステロイド点眼薬は、効果と副作用のバランスを考えて、医師の指示のもと慎重に使用しましょう。 【点眼薬の種類3】免疫抑制剤点眼薬 免疫抑制剤点眼薬は、免疫反応を抑えることで、アレルギー性結膜疾患の中で症状が重い「春季カタル」による目の腫れなどの症状を改善する薬。一般的に「抗アレルギー点眼薬」や「ステロイド点眼薬」の治療では安定しない患者様に対して処方されます。 【点眼薬の種類4】眼軟膏 眼軟膏には「炎症や痛みを抑制する軟膏」「細菌を殺す軟膏」など様々な種類があります。眼軟膏は普通の軟膏と違い、無菌的に調製しております。ですから、目の中(結膜内)に入れても心配いりません。なお、眼軟膏は患部へ塗って使用するため、点眼薬よりも長い間効き目を持続させることが可能です。   スギ花粉症にはシダキュアを用いた舌下免疫療法がおすすめです スギ花粉症の患者様には「シダキュア(分類名: 減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬, 標準化スギ花粉エキス)」を用いた舌下免疫療法がおすすめです。シダキュアとは、スギ花粉症のアレルゲン免疫療法のお薬。スギ花粉を原料とするエキスから作られています。シダキュアを用いた舌下免疫療法は、長期にわたり正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、症状をおさえる効果が期待できます。 ※舌下錠(ぜっかじょう)とは、舌の下に薬を入れ,急速に有効成分を口腔粘膜から吸収させる錠剤。舌の下にくすりを入れて、飲み込んだり、かみ砕いたりせず、唾液で自然に溶かします。   舌下免疫療法とは? 舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)とは、アレルギーの原因(アレルゲン)となる物質を少しずつ長い間(3〜5年)投与することでアレルゲンに身体を慣らしていき、アレルギー症状を改善させる治療法。スギ花粉症とダニのアレルギー症状を根本的に治すことができる唯一の治療法になります。2014年に舌下免疫療法が開始されるまで、減感作療法(げんかんさりょうほう)といえば「皮下免疫療法(ひかめんえきりょうほう)」が主流でした。しかし舌下免疫療法のほうが「簡便で続けやすい」「アナフィラキシーショックが少ない」など利点が多いため、現在では「舌下免疫療法」が主流となっております。なお、舌下免疫療法については「舌下免疫療法にお悩みの方へ」に詳しく記載しておりますので、ぜひご覧ください。   花粉症の治療薬を使う時の注意 花粉症の症状は飛散量で変化します。飛散量が少ない時に一時的に症状が良くなったからといって薬を止めてしまうと、飛散量が増えた時に症状が一気に悪化してしまいます。ですから、症状が軽くなっても継続して使用しましょう。なお、病気の治療は症状が出てから行うのが原則ですが、花粉症の場合は別。症状が出る前から治療を開始することが認められています。ですから、花粉飛散期の前(2週間程度前)から薬による治療を始めましょう。そうすることで「花粉症の症状を軽くする」「花粉症の症状が出る期間を短くする」などの効果が期待できます。   花粉症を根本から治療したい方には舌下免疫療法をおすすめします 花粉症の治療法には舌下免疫療法をおすすめします。なぜなら、舌下免疫療法は根治療法。上述した通り「スギ花粉症」と「ダニのアレルギー症状」を根本から治すことができる唯一の治療法とされています(個人差はあります)。もちろん花粉症の根治療法の中には「皮下免疫療法」もございますが、こちらは注射が必要です。そのため、毎回痛みが伴います。それに月1回〜数回程度の通院が必要になりますので、毎月、時間を確保しなくてはいけません。ですから、花粉症の治療をお考えの方には、舌下免疫療法を強くおすすめしております。当院での診察をご希望の方はいつでもお越しください。なお、来院後にスムーズに受診されたい方は「アイチケット」から順番をお取りください  

2022.03.24