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脂質異常症の原因とは?食生活・肥満・遺伝・病気との関係や改善方法を解説

内科に関する記事です。
健康診断で「LDLコレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と指摘され、原因が気になっている患者は少なくありません。脂質異常症は、食生活の乱れだけで起こるわけではありません。遺伝的な体質や運動不足、喫煙・飲酒などの生活習慣、さらには他の病気や服用中の薬剤が関係している場合もあります。そのため、原因を正しく理解することが、改善への第一歩になります。この記事では、脂質異常症を引き起こす主な原因を整理しながら、生活習慣でできる改善策、そして検査や治療が必要になるケースについても詳しく解説いたします。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 脂質異常症とは 脂質異常症になる主な原因 遺伝が原因となる脂質異常症もある 他の病気が原因となる脂質異常症 薬が原因となる場合もある 脂質の種類によって考えられる原因は異なる 脂質異常症を放置するとどうなる? 脂質異常症の原因を調べる検査 脂質異常症を改善するためにできること まとめ   脂質異常症とは 脂質異常症とは、血液中に含まれるLDLコレステロールや中性脂肪、HDLコレステロールといった脂質の値が、基準の範囲から外れている状態を指します。具体的には、LDLコレステロールや中性脂肪が基準より高い場合、またはHDLコレステロールが基準より低い場合に、脂質異常症と診断されます。これらの脂質にはそれぞれ異なる役割があります。LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ運ぶ役割を担っており、増えすぎると血管の壁に蓄積し、動脈硬化を進める原因になります。そのため「悪玉コレステロール」と呼ばれています。なお、中性脂肪は体を動かすエネルギー源として使われる脂質ですが、余った分は脂肪として体内に蓄積されるため、増えすぎると肥満や動脈硬化のリスクを高めます。一方で、HDLコレステロールは血管壁に溜まった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す働きを持つため、「善玉コレステロール」と呼ばれています。脂質異常症の厄介な点は、自覚症状がほとんどないまま進行することです。痛みやだるさといった体の変化を感じにくいため、健康診断で指摘されて初めて気づく患者が多く見られます。そのため、自覚症状がないからといって放置せず、数値の変化に気を配ることが大切です。   脂質異常症になる主な原因 脂質異常症は一つの原因だけで起こるものではありません。ここでは、日常生活に潜む代表的な原因について、それぞれ詳しく解説します。 食生活の乱れ 脂質異常症の原因として、まず食生活の乱れが挙げられます。バターや肉の脂身などに多く含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎると、肝臓でのLDLコレステロールの生成が促進され、血中濃度が上昇します。また、ご飯やパン、菓子類などの糖質を過剰に摂取すると、余った糖質が中性脂肪に変換されて体内に蓄積されやすくなります。さらに、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続くと、余分なエネルギーが脂肪として蓄積され、脂質値全体に悪影響を及ぼします。このように、脂質異常症は特定の栄養素の摂りすぎだけでなく、食事全体のバランスやエネルギー量とも密接に関わっています。 運動不足 運動不足も、脂質異常症を引き起こす大きな原因の一つです。体を動かす機会が減ると、筋肉で消費されるエネルギー量が低下し、消費しきれなかったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。これにより肥満が進行すると、脂質代謝そのものが乱れ、中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を招きます。加えて、運動には中性脂肪を分解する酵素の働きを高める効果があるため、運動不足が続くと、この分解機能が十分に発揮されず、脂質バランスがさらに崩れやすくなります。日常的な運動習慣の有無は、脂質値に直接的な影響を与える要因といえます。 肥満・内臓脂肪 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症と深く関わっています。内臓脂肪が増えると、脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスが崩れ、中性脂肪の合成が促進されます。また、内臓脂肪の蓄積はインスリンの働きを低下させる原因にもなり、これが中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を招きます。さらに、内臓脂肪型肥満は動脈硬化の進行とも関連が深く、脂質異常症を放置すると心血管疾患のリスクがさらに高まります。ウエスト周りの脂肪が気になる患者は、脂質値の変化にも注意を払うことが望ましいといえます。 飲酒 過度な飲酒も、脂質異常症、特に中性脂肪の上昇と密接に関係しています。アルコールが肝臓で分解される過程において、中性脂肪の合成が促進されるためです。日常的に飲酒量が多い状態が続くと、肝臓での中性脂肪の生成が増え続け、血中の中性脂肪値が高い状態が定着しやすくなります。また、過度な飲酒は肥満やエネルギー過多にもつながりやすく、脂質代謝全体にも影響を及ぼします。適量を超える飲酒習慣がある患者は、中性脂肪の数値に特に注意を払うことをおすすめします。 喫煙 喫煙も、脂質異常症のリスクを高める要因として知られています。タバコに含まれる成分は、HDLコレステロールの働きを低下させ、血中濃度を減少させる作用があります。HDLコレステロールが低下すると、血管壁に蓄積した余分なコレステロールの回収機能が弱まり、動脈硬化が進行しやすくなります。さらに、喫煙は血管内皮を傷つけ、LDLコレステロールが血管壁に沈着しやすい環境を作り出すことも指摘されています。このように、喫煙は脂質値そのものに加え、動脈硬化のリスクを複合的に高める習慣といえます。 脂質異常症は、食生活の乱れや運動不足、肥満、飲酒、喫煙など、複数の生活習慣が絡み合って起こります。原因を正しく理解し、生活習慣を見直すことが、脂質値の改善につながります。   遺伝が原因となる脂質異常症もある 脂質異常症は、生活習慣が悪い人だけがなる病気ではありません。中には、生まれ持った体質によってLDLコレステロールが高くなる「家族性高コレステロール血症(FH)」という遺伝性の疾患も存在します。これは、LDLコレステロールを肝臓に取り込む役割を担う受容体の働きに、遺伝的な異常が生じることで起こります。この受容体がうまく機能しないと、血液中のLDLコレステロールを十分に処理できず、若い頃から高い数値が続くことになります。なお、家族性高コレステロール血症の特徴として、食生活や運動習慣に大きな問題がないにもかかわらず、10代や20代といった若年層からLDLコレステロール値が高い状態が続く点が挙げられます。また、この疾患は遺伝によって受け継がれるため、血縁者にも同様の傾向がみられることが少なくありません。加えて、コレステロールが蓄積しやすい体質のため、動脈硬化が若いうちから進行しやすく、放置すると心筋梗塞などの冠動脈疾患を若年で発症するリスクも高まります。そのため、家族に高コレステロール血症と診断された方がいる場合や、若くして心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患を経験した血縁者がいる場合には、自覚症状がなくても一度医療機関へ相談することをおすすめします。早期に発見し、適切な治療を始めることで、将来的な心血管疾患のリスクを大きく減らすことにつながります。生活習慣を整えていても脂質値が改善しにくい患者は、遺伝的な要因が関わっている可能性も視野に入れて、専門的な検査を受けることが望ましいといえます。   他の病気が原因となる脂質異常症 脂質異常症の中には、他の病気が原因となって起こるものもあります。このように、他の疾患によって二次的に脂質値が乱れる状態は「続発性(二次性)脂質異常症」と呼ばれます。ここでは、原因となりやすい代表的な病気について解説します。 糖尿病 糖尿病と脂質異常症は、併存しやすい関係にあることが知られています。インスリンの働きが低下すると、脂肪の分解が進みやすくなり、肝臓での中性脂肪の合成が促進されます。また、糖代謝の異常はHDLコレステロールの低下や、小型で酸化されやすい性質を持つLDLコレステロールの増加にもつながりやすく、動脈硬化のリスクをさらに高める要因となります。そのため、糖尿病の患者は、血糖値だけでなく脂質値の変化にも注意を払うことが大切です。糖尿病については「千葉市都賀で生活習慣病が気になる方へ|基礎知識から予防・管理まで解説」でより詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症も、脂質異常症の原因となる病気の一つです。甲状腺ホルモンには、LDLコレステロールを肝臓で分解・排出する働きを助ける役割がありますが、甲状腺機能が低下すると、この働きが弱まり、LDLコレステロールが血液中に蓄積しやすくなります。加えて、甲状腺機能低下症は中性脂肪の代謝にも影響を及ぼすことがあり、あわせて数値が上昇するケースもみられます。生活習慣に大きな変化がないのに脂質値が急に悪化した場合は、甲状腺の機能を確認することも重要です。なお、甲状腺機能低下症については「甲状腺機能低下症の症状とは?初期症状や女性にみられやすい変化、検査・治療を解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 腎臓病 腎臓病も、脂質代謝に影響を及ぼすことがある病気です。特に、ネフローゼ症候群と呼ばれる腎疾患では、尿中に大量のタンパク質が排出されることで血液中のタンパク質濃度が低下し、これを補おうとして肝臓でのコレステロール合成が活発になります。その結果、LDLコレステロールや中性脂肪が上昇しやすくなります。なお、慢性腎臓病においても腎機能の低下に伴って脂質代謝のバランスが崩れ、脂質異常症を合併することが少なくありません。腎機能の状態と脂質値は互いに関連しているため、どちらも継続的に確認することが望ましいといえます。 肝臓・胆道系の病気など 肝臓や胆道系の病気も、脂質値に異常をもたらすことがあります。肝臓は脂質の合成や分解、コレステロールの排出に深く関わる臓器であるため、肝機能が低下すると脂質代謝全体に影響が及びやすくなります。また、胆道が閉塞して胆汁の流れが滞る病気では、本来排出されるはずのコレステロールが血液中に滞留し、数値が上昇する場合があります。このほかにも、クッシング症候群や一部の薬剤なども脂質値に影響を与えることが知られており、原因は多岐にわたります。 このように、脂質異常症は他の病気によって引き起こされている場合があります。この場合、生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらないことも多く、原因となっている疾患そのものを治療することが重要になります。数値の改善がみられない際は、背景にある病気の有無を確認することをおすすめします。   薬が原因となる場合もある 脂質異常症は、服用している薬剤の影響によって起こる場合もあります。治療のために使用している薬が、体内の脂質代謝に作用し、結果としてLDLコレステロールや中性脂肪の値を変化させることがあるためです。例えば、ステロイド薬や一部の利尿薬、経口避妊薬などは、脂質値に影響を及ぼす可能性がある薬剤として知られています。また、薬の種類によって、LDLコレステロールが上昇しやすいもの、中性脂肪が上昇しやすいものなど、影響の現れ方はさまざまです。このように薬剤が原因となっている場合、他の疾患が原因のケースと同様、生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらないことがあります。ただし、薬剤性の脂質異常症が疑われるからといって、自己判断で服用中の薬を中止することは避けてください。持病の治療のために処方されている薬を急に中断すると、もとの病状が悪化してしまう危険性があります。薬の効果と脂質値への影響を天秤にかけながら、治療方針を検討することが大切です。そのため、健康診断などで脂質値の異常を指摘され、服用中の薬剤との関連が疑われる場合には、自己判断で対応せず、処方医または薬剤師へ相談することをおすすめします。医師が薬の種類や量を調整したり、必要に応じて他の薬剤への変更を検討したりすることで、脂質値の改善が期待できる場合もあります。現在治療中の病気があり、薬を服用している患者は、脂質値の変化についても定期的に確認しておくと安心です。   脂質の種類によって考えられる原因は異なる 脂質異常症とひと口にいっても、どの数値に異常があるかによって、考えられる原因は異なります。 LDLコレステロールが高い場合 LDLコレステロールが高い場合、まず考えられるのは食生活の影響です。飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪の摂りすぎは、肝臓でのLDLコレステロールの生成を促進します。また、家族性高コレステロール血症のように、遺伝的にLDLコレステロールが高くなる体質を持つ患者も存在します。この場合、若いうちから数値が高く、生活習慣の乱れがなくても改善しにくいという特徴がみられます。さらに、甲状腺機能低下症もLDLコレステロールを上昇させる原因の一つです。甲状腺ホルモンにはLDLコレステロールの分解を助ける働きがあるため、この機能が低下すると、血液中に蓄積しやすくなります。このように、LDLコレステロールが高い背景には、生活習慣・遺伝・他の病気など、複数の要因が関わっている場合があります。 中性脂肪が高い場合 中性脂肪が高い場合には、糖質やアルコールの過剰摂取が大きく関係しています。ご飯やパン、菓子類などの糖質を摂りすぎると、余った分が中性脂肪として体内に蓄積されやすくなります。また、アルコールも肝臓での中性脂肪の合成を促進するため、飲酒量が多い患者では数値が上昇しやすい傾向がみられます。加えて、肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、中性脂肪の代謝に悪影響を及ぼす要因として知られています。さらに、糖尿病のようにインスリンの働きが低下する病気も、中性脂肪の上昇と深く関わっています。このように、中性脂肪が高い場合には、食生活や飲酒習慣に加え、肥満や糖代謝の異常が背景にあるケースが多くみられます。 HDLコレステロールが低い場合 HDLコレステロールが低い場合には、運動不足が主な原因の一つとして挙げられます。運動には、HDLコレステロールを増やす働きがあるため、日頃から体を動かす機会が少ないと、数値が低下しやすくなります。また、肥満、特に内臓脂肪の蓄積もHDLコレステロールを低下させる要因として知られています。さらに、喫煙もHDLコレステロールに悪影響を及ぼすことが分かっており、タバコに含まれる成分がHDLコレステロールの働きを妨げ、血中濃度を減少させます。このように、HDLコレステロールが低い背景には、運動習慣の不足や肥満、喫煙といった、複数の生活習慣が重なっている場合が少なくありません。 検査値からみる原因と見直したいポイント これまで解説してきた内容を、検査値ごとに整理すると以下の通りです。 検査値 関連する生活習慣・疾患 見直したいポイント LDLコレステロールが高い 飽和脂肪酸の多い食生活、家族性高コレステロール血症、甲状腺機能低下症など 動物性脂肪の摂りすぎを控える、若年からの高値や家族歴があれば医療機関へ相談 中性脂肪が高い 糖質・アルコールの過剰摂取、肥満、糖尿病など 糖質・お酒の摂取量を見直す、適正体重を目指す HDLコレステロールが低い 運動不足、肥満、喫煙など 有酸素運動を習慣にする、禁煙に取り組む LDL・中性脂肪ともに高い 摂取エネルギー過多、内臓脂肪の蓄積など 食事量・内容全体を見直す、内臓脂肪を減らす取り組みを行う 数値に大きな変動がある 薬剤の影響、他の病気(腎臓病・肝臓病など) 服用中の薬を自己判断で中止せず医師に相談する どの数値に異常がみられるかによって、関連しやすい生活習慣や疾患、見直すべきポイントは異なります。ご自身の検査結果と照らし合わせながら、原因を把握する際の参考にしてください。 このように、脂質異常症は「どの数値が」「どの方向に」異常を示しているかによって、考えられる原因が異なります。LDLコレステロールが高い場合には食生活や遺伝、甲状腺機能低下症、中性脂肪が高い場合には糖質・アルコールの過剰摂取や肥満、糖尿病、HDLコレステロールが低い場合には運動不足や肥満、喫煙といった要因が関係しています。自分の検査結果のどこに異常があるのかを正しく把握することで、見直すべき生活習慣や、疑うべき病気の方向性も見えてきます。数値の意味を理解したうえで、原因に応じた対策に取り組むことが、脂質異常症の改善につながります。   脂質異常症を放置するとどうなる? 脂質異常症を放置すると、動脈硬化が静かに進行していきます。血液中に増えすぎたLDLコレステロールは血管の内壁に入り込み、そこに蓄積していくことで血管の壁が厚く、硬くなっていきます。この状態が動脈硬化であり、血管の内側が狭くなることで血流が悪化し、全身のさまざまな臓器に負担がかかるようになります。動脈硬化は、自覚症状がないまま進行することが多いため、気づいたときにはかなり進行しているケースも少なくありません。動脈硬化が進行すると、心臓や脳、足の血管など、全身の血管に影響が及びます。また、心臓に栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋梗塞や狭心症を引き起こすリスクが高まります。さらに、脳の血管で同様の変化が起こると、脳梗塞につながる可能性があります。加えて、足の血管の動脈硬化が進行すると、末梢動脈疾患を発症し、歩行時の痛みやしびれ、重症化すると足の壊死に至ることもあります。これらはいずれも、命に関わる、あるいは生活の質を大きく損なう病気です。このように、脂質異常症は自覚症状が乏しいまま進行し、気づかないうちに重大な病気のリスクを高めてしまう病気です。だからこそ、自分の脂質異常症がどのような原因によって起こっているのかを正しく理解し、それに応じた改善や治療に早めに取り組むことが重要になります。原因を知ることは、単に数値を下げるためだけでなく、将来の心血管疾患を防ぎ、健康な生活を長く維持するための第一歩といえます。   脂質異常症の原因を調べる検査 脂質異常症と診断された場合、単にLDLコレステロールや中性脂肪の数値を確認するだけでなく、その背景にある原因を調べる検査を行う場合があります。これまで説明してきたように、脂質異常症には食生活や運動不足といった生活習慣によるものだけでなく、遺伝や他の病気、服用中の薬剤が関係しているケースもあるため、原因を明らかにすることが、その後の治療方針を決めるうえで重要な意味を持ちます。具体的な検査では、まずLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪といった脂質の数値を詳しく確認します。これらの数値のバランスを見ることで、動脈硬化のリスクをより正確に把握することができます。また、甲状腺機能低下症が脂質異常症の原因になっている場合もあるため、必要に応じて甲状腺ホルモンの値を調べる血液検査を行うことがあります。加えて、肝臓や腎臓の機能も脂質代謝と深く関わっているため、肝機能・腎機能に関する項目もあわせてチェックされることが一般的です。なお、このほかにも糖尿病の有無を確認するための血糖値やHbA1cの検査、家族性高コレステロール血症が疑われる場合には、家族歴の聞き取りや遺伝子検査が行われることもあります。このように、脂質異常症の検査は、数値の異常を見つけるだけでなく、その原因を多角的に探るために行われます。原因に応じた適切な治療を受けるためにも、医療機関での検査を通じて、自身の脂質異常症の背景を正しく把握しておくことが大切です。   脂質異常症を改善するためにできること 脂質異常症の原因は人によってさまざまであるため、改善方法もその原因に応じて考えることが大切です。ここでは、脂質異常症を改善するためにできることについて解説します。 食生活を見直す 脂質異常症の改善において、食生活の見直しは基本となる取り組みです。ただし、原因や脂質値の状態によって、意識すべきポイントは異なります。LDLコレステロールが高い場合には、バターや脂身の多い肉などに含まれる飽和脂肪酸を控え、青魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸を意識的に取り入れることが望ましいといえます。また、中性脂肪が高い場合には、ご飯やパン、菓子類、アルコールなど、糖質やエネルギーの摂りすぎに注意する必要があります。このように、自分の脂質値のどこに問題があるのかを把握したうえで、それに合わせた食事内容を選ぶことが、効果的な改善につながります。 適度な運動を続ける 運動習慣を身につけることも、脂質異常症の改善に役立ちます。特に、ウォーキングや水泳、サイクリングといった有酸素運動は、中性脂肪の分解を促し、HDLコレステロールを増やす効果が期待できます。運動は、激しい内容よりも、無理なく継続できる強度と頻度で行うことが重要です。急に負荷の高い運動を始めると長続きしにくいため、まずは一日20~30分程度のウォーキングなど、日常生活に取り入れやすい運動から始めることをおすすめします。なお、通勤時に階段を使う、一駅分歩くなど、生活の中で体を動かす機会を増やす工夫も効果的です。 適正体重を目指す 肥満や内臓脂肪の蓄積がみられる場合には、体重管理に取り組むことが脂質値の改善につながります。内臓脂肪が減少すると、中性脂肪の合成が抑えられるとともに、HDLコレステロールの値が改善しやすくなることが知られています。体重を減らす際は、急激な減量ではなく、食事の見直しと運動を組み合わせながら、無理のないペースで進めることが大切です。また、体重だけでなく、ウエスト周囲径の変化にも注目すると内臓脂肪の減り具合を確認する目安になります。適正体重を維持することは、脂質異常症だけでなく、他の生活習慣病の予防にもつながります。 飲酒・喫煙を見直す 過度な飲酒や喫煙の習慣がある場合には、これらを見直すことも脂質異常症の改善に有効です。飲酒量が多いと中性脂肪が上昇しやすくなるため、適量を意識し、休肝日を設けるなどの工夫が求められます。また、喫煙はHDLコレステロールを低下させ、動脈硬化のリスクを高める要因となるため、禁煙に取り組むことが望ましいといえます。加えて、喫煙は血管そのものにも負担をかけるため、脂質値の改善とあわせて、血管の健康を守るという観点からも禁煙は重要な取り組みといえます。 必要に応じて薬物療法を行う 生活習慣の改善を行っても十分に脂質値が下がらない場合や、動脈硬化のリスクが高いと判断される場合には、薬物療法を検討することがあります。使用する薬剤は、LDLコレステロールを下げるものや中性脂肪を下げるものなど、脂質値の状態や原因によって選択されます。また、家族性高コレステロール血症のように遺伝的な要因が関わっている場合や、他の病気が背景にある場合には、生活習慣の改善とあわせて薬物療法が必要になることも少なくありません。なお、薬物療法の必要性については、脂質値や年齢、他の危険因子の有無などを踏まえて、医師が総合的に判断します。 脂質異常症の改善には、食生活の見直しや運動習慣、体重管理、飲酒・喫煙の見直しといった生活習慣の改善が基本となります。ただし、家族性高コレステロール血症のような遺伝性の脂質異常症や、他の病気・薬剤が原因となっている続発性の脂質異常症の場合には、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないことがあります。このようなケースでは、原因疾患の治療や薬物療法をあわせて行うことが必要になります。自分の脂質異常症がどのような原因によるものかを把握したうえで、生活習慣の改善と、必要に応じた医療的なサポートを組み合わせて取り組むことが、健康な血管を維持するために大切です。   まとめ ここまで解説してきたように、脂質異常症の原因は食生活の乱れだけでなく、運動不足や肥満、遺伝、他の病気、服用中の薬剤など、多岐にわたります。そのため、健康診断で脂質値の異常を指摘された際には、自分の生活習慣を振り返るとともに、それ以外の原因が隠れている可能性についても視野に入れることが大切です。特に、生活習慣に大きな乱れがないにもかかわらずLDLコレステロールが高い場合には、家族性高コレステロール血症のような遺伝性疾患の可能性も考慮する必要があります。なお、脂質異常症は原因によって適切な対応が異なる病気です。健康診断で脂質異常を指摘された際に、これを放置してしまうと、自覚症状のないまま動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など重大な病気につながるおそれがあります。したがって指摘を受けた際には、原因を確認するとともに、動脈硬化のリスクがどの程度あるのかを把握することが重要です。原因を正しく理解することが、その後の改善や治療の方向性を決めるための第一歩になります。当院では、脂質異常症をはじめ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に関する診療を行っております。血液検査による脂質値や血糖値の確認に加え、必要に応じて甲状腺機能や肝機能・腎機能などの検査もあわせて実施し、原因を多角的に確認しながら診療を進めてまいります。健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪の数値について指摘を受けた方、原因がわからず不安を感じている方は、放置せずに一度当院までご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

アレルギー内科

アレルギー性鼻炎の症状とは?くしゃみ・鼻水・鼻づまりの特徴や風邪との違いを解説

アレルギー内科に関する記事です。
鼻水・鼻づまり・くしゃみが何日も続くと、「これは風邪なのか、それともアレルギーなのか…」と迷う方は多いです。アレルギー性鼻炎には、風邪とは異なるいくつかの特徴的な症状があります。また、花粉症もアレルギー性鼻炎の一種であり、季節によって症状が現れやすい時期が異なります。さらに、副鼻腔炎など似た症状を起こす病気もあるため、自己判断だけで見分けるのは難しい場合があります。この記事では、アレルギー性鼻炎の症状の特徴に加え、風邪や副鼻腔炎との違い、検査や治療、日常生活でできるセルフケアについて詳しく解説します。症状が続いて不安な方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 アレルギー性鼻炎とは アレルギー性鼻炎の代表的な3つの症状 鼻以外に現れることがある症状 花粉症とアレルギー性鼻炎の違い アレルギー性鼻炎と風邪の症状の違い 副鼻腔炎との違いは? 子どものアレルギー性鼻炎で気付きたい症状 アレルギー性鼻炎の検査・診断 アレルギー性鼻炎の治療方法 日常生活でできるアレルギー性鼻炎対策 まとめ   アレルギー性鼻炎とは アレルギー性鼻炎は、体内に入ってきた特定の物質(アレルゲン)に対して免疫が過剰に反応し、鼻の粘膜に炎症が起こる病気です。原因となるアレルゲンが鼻の粘膜に付着すると、体はそれを排除しようとして、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を引き起こします。これは体を守るための防御反応ですが、過剰に働くことで日常生活に支障をきたすことがあります。アレルギー性鼻炎は、症状が現れる時期によって大きく二つに分けられます。一つは「季節性アレルギー性鼻炎」で、代表的なものが花粉症です。スギやヒノキ、イネ科植物などの花粉が飛散する時期に一致して症状が現れるため、患者自身も原因に気づきやすい傾向があります。もう一つは「通年性アレルギー性鼻炎」で、ハウスダストやダニ、ペットの毛などが主な原因となります。こちらは季節を問わず一年を通して症状が続くため、風邪や体質と誤解されやすい点に注意が必要です。なお、どちらのタイプも根本的な原因はアレルゲンに対する免疫反応であり、症状のメカニズム自体に大きな違いはありません。   アレルギー性鼻炎の代表的な3つの症状 アレルギー性鼻炎では、くしゃみ・鼻水・鼻づまりという3つの症状が特に多くみられます。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。 くしゃみ アレルギー性鼻炎のくしゃみは、一度だけでなく連続して何度も出やすいことが特徴です。アレルゲンが鼻の粘膜を刺激すると、体はそれを外に出そうとして反射的にくしゃみを繰り返します。朝起きた直後や、掃除・花粉の多い屋外に出た際など、特定のタイミングで急に始まることも少なくありません。また、風邪のくしゃみは発熱や喉の痛みなど他の症状を伴うことが多いのに対し、アレルギー性鼻炎の場合は発熱を伴わずくしゃみだけが続く点も見分けるポイントになります。さらに、目のかゆみや涙目を同時に感じる場合は、アレルギーが関係している可能性が高くなります。日常生活の中で「同じ場所や時間帯にくしゃみが出やすい」と感じる場合は、注意して観察することをおすすめします。 鼻水 アレルギー性鼻炎でみられる鼻水は、水のように透明でさらさらしていることが典型的です。粘り気が少なく、ティッシュで拭いてもすぐに出てくるような、止まりにくい鼻水が続く場合はアレルギーが関係していることがあります。加えて、鼻水と一緒にくしゃみや鼻づまりが同時に起こることも多く、これらの症状が組み合わさることでアレルギー性鼻炎が疑われます。なお、風邪の場合は経過とともに鼻水の色が黄色や緑色に変化し粘り気が増す傾向がありますが、アレルギー性鼻炎では透明な状態が長く続きやすい点が異なります。特定の季節や場所で症状が強くなる場合は、花粉やハウスダストなど身の回りのアレルゲンを一度見直してみてください。 鼻づまり 鼻づまりは、アレルゲンによる炎症で鼻の粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなることで起こります。鼻呼吸がしづらくなるため、無意識のうちに口呼吸になってしまう方も少なくありません。特に夜間に症状が強くなると、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりすることがあり、睡眠の質に影響を及ぼす場合があります。さらに、日中も鼻づまりが続くと頭がぼんやりしたり、集中力が続かなかったりすることがあり、仕事や勉強のパフォーマンスにも関わってきます。なお、左右の鼻の詰まり方が入れ替わるように感じることも、アレルギー性鼻炎の鼻づまりによくみられる特徴です。長引く鼻づまりを放置せず、症状が続く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。 アレルギー性鼻炎では、連続するくしゃみ、透明でさらさらした鼻水、鼻粘膜の腫れによる鼻づまりという3つの症状が代表的です。これらが重なって長く続く場合は、風邪ではなくアレルギーが関係している可能性があります。   鼻以外に現れることがある症状 アレルギー性鼻炎は鼻の症状だけでなく、目や喉、全身の状態にも影響を及ぼすことがあります。ここでは、鼻以外に現れることがある症状について解説します。 目のかゆみ・充血・涙 花粉などがアレルゲンとなっている場合、鼻だけでなく目にも症状が現れることが多くあります。目のかゆみは代表的な症状のひとつで、こすりたくなるほど強いかゆみを感じることもあります。また、白目の部分が赤くなる充血や、涙が止まらなくなるといった症状を伴うこともあり、これらはアレルギー性結膜炎と呼ばれる状態です。花粉症の時期に目と鼻の両方に症状が出る場合は、同じアレルゲンが原因となっているケースが多いと考えられます。なお、目をこすりすぎると角膜を傷つける恐れがあるため、かゆみが強いときは冷やしたタオルで目元を冷やすなど、こすらずに対処することを心がけてください。 喉の違和感・咳 アレルギー性鼻炎では、鼻水が鼻の奥から喉へと流れ込む「後鼻漏」と呼ばれる状態が起こることがあります。これにより、喉にイガイガとした違和感を覚えたり、痰が絡むような感覚が続いたりすることがあります。また、喉に流れ込んだ鼻水が刺激となって、乾いた咳が出やすくなる場合もあります。特に横になると鼻水が喉へ流れやすくなるため、就寝時や起床直後に咳が出やすいと感じる方もいます。風邪と異なり発熱を伴わずに喉の違和感や咳だけが続く場合は、アレルギーが関係している可能性を考えてみてください。 頭が重い・集中しにくい 鼻づまりが続くと、脳への酸素供給がスムーズにいかなくなることなどから、頭が重く感じられたり、ぼんやりとした感覚が続いたりすることがあります。また、鼻で十分に呼吸ができないことで体全体が軽い疲労状態になり、日中の集中力が続きにくくなる場合もあります。仕事や勉強に取り組んでいても、いつの間にか意識がそれてしまう、作業の効率が上がらないと感じるときは、鼻づまりが影響しているかもしれません。症状が軽いうちは見過ごされがちですが、集中力の低下が続く場合は一度耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。 口呼吸・睡眠への影響 鼻づまりによって鼻呼吸が難しくなると、無意識のうちに口呼吸へと切り替わってしまうことがあります。口呼吸が続くと喉が乾燥しやすくなり、朝起きたときに喉の痛みや違和感を覚える方も少なくありません。また、夜間に鼻づまりが強くなると呼吸がしづらくなり、途中で目が覚めてしまうなど、睡眠の質が低下することがあります。十分な睡眠が取れないと、日中の眠気や集中力低下にもつながるため、鼻づまりによる口呼吸や睡眠への影響は軽視できません。気になる症状がある場合は、寝る前の鼻づまり対策を工夫してみてください。 アレルギー性鼻炎は、鼻の症状だけでなく目のかゆみや喉の違和感、集中力の低下、睡眠への影響など、全身にさまざまな形で現れることがあります。これらの症状に心当たりがある場合は、鼻の症状と合わせて確認してみてください。   花粉症とアレルギー性鼻炎の違い 花粉症とアレルギー性鼻炎は、しばしば同じものとして語られますが、正確には花粉症はアレルギー性鼻炎の中の一つのタイプです。アレルギー性鼻炎は、特定のアレルゲンに対して免疫が過剰に反応し、鼻の粘膜に炎症が起こる病気全般を指します。その中でも、スギやヒノキ、イネ科植物、ブタクサなどの花粉が原因となり、決まった季節に症状が現れるものを花粉症、医学的には季節性アレルギー性鼻炎と呼びます。日本ではスギ花粉が春先に飛散量のピークを迎えることから、花粉症といえば春のイメージを持つ方も多いですが、原因となる植物によって飛散時期は異なり、夏や秋に症状が出る方もいます。一方、アレルギー性鼻炎にはもう一つ、通年性アレルギー性鼻炎というタイプがあります。こちらの主な原因は、ハウスダストやダニ、カビ、ペットの毛やフケなど、季節を問わず身の回りに存在するアレルゲンです。そのため、特定の季節に限らず一年を通して症状が続きやすく、掃除の際に症状が悪化したり、寝具に触れる時間帯である朝方に症状が強く出たりすることもあります。このように整理すると、「アレルギー性鼻炎イコール花粉症」ではないことがわかります。花粉症は季節性アレルギー性鼻炎の代表例ではありますが、アレルギー性鼻炎全体からみればその一部にすぎません。年間を通して鼻の症状が続く場合は、花粉ではなくダニやハウスダストなど、身近な原因が関わっている可能性も考えてみてください。   アレルギー性鼻炎と風邪の症状の違い 鼻水やくしゃみ、鼻づまりが続くと、アレルギー性鼻炎なのか風邪なのか判断に迷うことがあります。両者は似た症状を示すことが多いものの、鼻水の性状や発熱の有無など、いくつかの点で違いがみられます。代表的な症状の違いは以下の通りです。 項目 アレルギー性鼻炎 風邪 鼻水 透明でさらさらしている 初期は透明、次第に粘り気のある黄色や緑色に変化 くしゃみ 連続して出やすい 単発的にみられる程度 鼻づまり 症状として多くみられる みられることがある 目のかゆみ みられやすい(充血・涙を伴うことも) あまりみられない 発熱 ほとんど伴わない 伴う場合がある 症状の持続期間 数日〜数週間、またはそれ以上続くことがある 1週間〜10日程度で落ち着くことが多い   アレルギー性鼻炎では、水のように透明でさらさらとした鼻水が続くことが多く、連続したくしゃみがみられやすい傾向があります。また、目のかゆみや充血を伴うことも多く、花粉やハウスダストなど特定のアレルゲンに触れたタイミングで症状が強くなることが特徴です。発熱を伴うことは少なく、症状は数日から数週間、あるいはそれ以上続くこともあります。一方、風邪の場合は、初期は透明な鼻水でも次第に粘り気のある黄色や緑色の鼻水に変化していくことが多く、くしゃみは単発的にみられる程度にとどまることが一般的です。また、発熱や喉の痛み、体のだるさなど全身の症状を伴いやすく、目のかゆみが出ることはあまりありません。多くの場合、1週間から10日程度で症状が落ち着いていきます。このように、鼻水の性状や発熱の有無、症状が続く期間などを確認することで、ある程度アレルギー性鼻炎と風邪を見分けることができます。ただし、風邪をきっかけにアレルギー性鼻炎の症状が悪化したり、両方の症状が同時に現れたりすることもあり、症状だけで明確に判断することが難しい場合も少なくありません。症状が長引く場合や、市販薬を使っても改善がみられない場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断を受けることをおすすめします。   副鼻腔炎との違いは? 副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に炎症が起こる病気で、アレルギー性鼻炎と症状が似ている部分があるため混同されやすい病気です。見分けるポイントの一つが鼻水の性状です。アレルギー性鼻炎の鼻水は水のように透明でさらさらしていることが多いのに対し、副鼻腔炎では粘り気のある黄色や緑色の鼻水が出やすく、鼻の奥にドロッとした感覚が残ることもあります。また、副鼻腔炎では鼻水が喉に流れ込む後鼻漏が強く出やすく、痰の絡んだような咳が続くこともあります。顔面痛や頭痛の有無も、両者を見分ける手がかりになります。なお、副鼻腔炎では、額や頬、目の周りといった副鼻腔がある部分に重だるい痛みや圧迫感を覚えることがあり、前かがみになると痛みが強まる場合もあります。一方で、アレルギー性鼻炎では顔面痛を伴うことは比較的少なく、主に鼻や目、喉といった粘膜の症状が中心となります。さらに、嗅覚の低下も注目したい症状です。副鼻腔炎が進行すると、鼻の粘膜の腫れや膿の貯留によって、においを感じにくくなることがあります。アレルギー性鼻炎でも鼻づまりが強い場合に一時的に嗅覚が鈍ることはありますが、副鼻腔炎ほど長期間にわたって嗅覚低下が続くことは少ない傾向にあります。このように、鼻水の色や粘り気、顔面痛や頭痛、嗅覚の変化などを確認することで、ある程度両者を見分けることができます。ただし、自己判断だけで正確に区別することは難しく、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎を併発しているケースも少なくありません。症状が2週間以上続く場合や、痛みや膿のような鼻水が気になる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査を受けることをおすすめします。   子どものアレルギー性鼻炎で気付きたい症状 子どもは自分の症状をうまく言葉で説明できないことが多く、周囲の大人が行動の変化から気付いてあげる必要があります。次のような様子がみられる場合は、アレルギー性鼻炎の可能性を考えてみてください。 ・鼻や目を頻繁にこする ・くしゃみを繰り返す ・いつも口が開いている ・鼻水が続いている ・鼻の下が赤くなっている、皮膚が荒れている ・食事や睡眠中に鼻をすする音が気になる ・夜間に何度も目を覚ます、いびきをかく ・集中力が続かず、ぼんやりしていることが多い ・鼻を上に向けて何度もクンクンさせる仕草をする 子どものアレルギー性鼻炎は、本人が「鼻がつらい」とはっきり訴えられないことも多く、周囲の大人が普段の様子から気付いてあげることが大切です。頻繁に鼻や目をこする、くしゃみを繰り返す、口がいつも開いているといった行動は、鼻の不快感を無意識にしぐさで表しているサインかもしれません。また、集中力が続かなかったり、夜間何度も目を覚ましたりする様子がみられる場合は、鼻づまりが睡眠や日中の活動に影響している可能性もあります。このような様子が続くときは、早めに小児科や耳鼻咽喉科に相談し、子どもの負担を減らしてあげることをおすすめします。   アレルギー性鼻炎の検査・診断 アレルギー性鼻炎の診断は、問診や検査を通して症状の原因を明らかにしていく流れで進められます。ここでは、アレルギー性鼻炎の検査・診断について解説します。 問診 診断の第一歩は問診です。医師は、いつ頃から症状が始まったか、どのような時期や場所で症状が出やすいか、どのくらいの頻度で症状が続いているかなどを詳しく確認します。また、自宅の環境やペットの有無、掃除の頻度、仕事や学校での過ごし方といった生活環境についても質問することがあります。これらの情報は、季節性のアレルギー性鼻炎なのか、通年性のアレルギー性鼻炎なのかを見極めるうえで重要な手がかりとなります。さらに、家族にアレルギー体質の方がいるかどうかも、診断の参考になる場合があります。なお、問診で得られた情報をもとに、必要な検査の方向性が決まっていきます。 血液検査(特異的IgE抗体) 問診で症状の傾向が把握できたら、原因となるアレルゲンを特定するために血液検査を行う場合があります。この検査では、スギやヒノキ、ダニ、ハウスダストなど、特定のアレルゲンに対する特異的IgE抗体の値を調べます。数値が高いほど、そのアレルゲンに対する反応が強い可能性があると考えられます。また、一度の採血で複数のアレルゲンをまとめて調べられる検査もあり、原因がはっきりしない場合の手がかりとして役立ちます。血液検査の結果は、今後の治療方針やセルフケアの方向性を決めるうえでも参考にされます。 必要に応じたその他の検査 症状や診察の結果によっては、血液検査以外の検査が追加で行われることもあります。例えば、鼻の粘膜の状態を直接確認するための鼻鏡検査や、鼻の中の分泌物を採取して炎症細胞の有無を調べる鼻汁好酸球検査などが挙げられます。また、皮膚に直接アレルゲンを反応させて調べる皮膚テストが行われる場合もあります。これらの検査は、症状が複雑な場合や、他の病気との区別が必要な場合に選択されることが多く、医師が総合的に判断したうえで実施されます。 アレルギー性鼻炎の診断は、問診で症状や生活環境を確認したうえで、必要に応じて血液検査やその他の検査を組み合わせて行われます。原因を正しく把握することが、その後の治療やセルフケアにつながります。   アレルギー性鼻炎の治療方法 アレルギー性鼻炎の治療には、原因物質を避ける工夫から薬物療法、体質改善を目指す治療法まで、いくつかの選択肢があります。ここでは、アレルギー性鼻炎の治療方法について解説します。 アレルゲンの回避 治療の基本となるのが、原因となるアレルゲンをできるだけ避けることです。花粉が原因の場合は、飛散量の多い時期に外出時マスクやメガネを着用したり、帰宅後に衣類や髪についた花粉を払い落としたりする工夫が役立ちます。また、ダニやハウスダストが原因の場合は、こまめな掃除機がけや寝具の洗濯、換気を心がけることで室内のアレルゲンを減らすことができます。なお、ペットの毛が原因となっている場合は、寝室への出入りを制限するなどの対策も検討してみてください。アレルゲンを完全に避けることは難しいものの、日常生活の中でできる範囲の対策を積み重ねることが、症状の軽減につながります。 薬物療法 症状を和らげる目的で、薬物療法が広く用いられています。くしゃみや鼻水が中心の場合は抗ヒスタミン薬、鼻づまりが強い場合は鼻噴霧用ステロイド薬など、症状のタイプや強さに応じて薬が選ばれます。また、症状が複数重なっている場合は、複数の薬を組み合わせて使用することもあります。市販薬でも一定の効果が期待できますが、眠気などの副作用が出る薬もあるため、症状が長引く場合や強い場合は医療機関を受診し、体質や生活スタイルに合った薬を処方してもらうことをおすすめします。 アレルゲン免疫療法 薬物療法とは異なるアプローチとして、アレルゲン免疫療法という治療法があります。これは、原因となるアレルゲンを少量ずつ体に取り入れることで、体を徐々に慣らし、アレルギー反応そのものを起こしにくくすることを目指す治療法です。スギ花粉やダニなど、対象となるアレルゲンが決まっており、舌の下に薬剤を投与する舌下免疫療法などの方法があります。なお、治療には数年単位の期間が必要となるため、患者の症状や生活状況、希望に応じて医師と相談しながら実施が検討されます。 アレルギー性鼻炎の治療は、アレルゲンの回避を基本としながら、症状に応じた薬物療法や、体質改善を目指すアレルゲン免疫療法を組み合わせて行われます。自分に合った治療法を見つけるためにも、医師との相談を続けていくことが大切です。   日常生活でできるアレルギー性鼻炎対策 アレルギー性鼻炎の症状を和らげるためには、治療と並行して日常生活の中でできる対策を取り入れることも大切です。花粉が多い時期には、外出時にマスクやメガネを着用することで、鼻や目に入る花粉の量を減らすことができます。マスクは花粉の粒子をブロックしやすい素材のものを選び、顔にしっかりフィットさせて隙間ができないようにすることがポイントです。また、メガネやゴーグルタイプのアイウェアを併用すると、目のかゆみや充血の予防にもつながります。天気予報やニュースで花粉の飛散量が多いと予想される日は、外出時間を短くしたり、洗濯物を室内に干したりするなどの工夫も効果的です。さらに、外出先で花粉を浴びた後は、室内に持ち込まない工夫も欠かせません。帰宅時には玄関に入る前に衣類や髪についた花粉を手で払い落とすことを習慣にしてください。特にウールなど花粉が付着しやすい素材の服は避け、表面がツルツルとした素材の上着を選ぶと花粉を落としやすくなります。また、帰宅後はできるだけ早めに顔や手を洗い、うがいをすることで、粘膜に付着した花粉を洗い流すことができます。玄関先に空気清浄機を置いたり、こまめに換気をしたりすることも、室内の花粉濃度を下げるうえで役立ちます。なお、ダニやハウスダストが原因となっている場合は、寝具や室内環境を清潔に保つことが重要な対策となります。布団やシーツはこまめに洗濯し、天日干しや乾燥機を活用してダニの繁殖を抑えるよう心がけてください。加えて、床や畳はカーペットよりもダニが繁殖しにくいため、可能であれば掃除機がけの頻度を増やし、フローリング部分を丁寧に掃除することもおすすめです。ぬいぐるみやカーテンなど、ほこりがたまりやすいアイテムも定期的に洗濯し、部屋全体の換気を意識することで、アレルゲンの少ない室内環境を維持しやすくなります。   まとめ アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを代表的な症状とし、鼻の粘膜がアレルゲンに反応することで引き起こされる病気です。目のかゆみや喉の違和感、頭が重く感じるといった症状を伴うこともあり、日常生活に影響を及ぼす場合も少なくありません。また、原因は花粉だけに限らず、ダニやハウスダストなどによって一年を通して症状が続く通年性アレルギー性鼻炎もあるため、季節に関係なく鼻の不調が続く場合はこちらのタイプも視野に入れてみてください。花粉症をはじめとした「アレルギー疾患の症状について徹底解説!」でも症状の特徴について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。なお、アレルギー性鼻炎は、風邪や副鼻腔炎など似た症状を持つ病気との区別が難しいこともあります。市販薬を使ってもなかなか症状が改善しない場合や、鼻水・鼻づまりが長期間続く場合は、自己判断で様子をみるのではなく、早めに医療機関を受診してください。当院では、問診や血液検査を通してアレルギーの原因を調べ、症状や体質に応じた薬物療法など、アレルギー性鼻炎をはじめとしたアレルギー疾患の診療を行っています。花粉症や蕁麻疹などでお困りの方は、「都賀駅近くのアレルギー科。花粉症や蕁麻疹の症状には、アレルギー科の診察と検査を」もあわせてご覧いただき、症状が気になる際はお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

甲状腺機能低下症の症状とは?初期症状や女性にみられやすい変化、検査・治療を解説

内科に関する記事です。
「最近疲れやすい…」「寒がりになった…」「むくみが気になる…」「体重が増えた…」、このような体調の変化を感じていませんか。原因がはっきりしないまま、日々の疲労や気候のせいだと考えている方も多いです。これらの症状は、甲状腺機能低下症のサインである可能性があります。甲状腺は全身の代謝を調整する重要な臓器であり、その働きが低下すると、体のさまざまな部分に影響が及びます。したがって症状が多岐にわたり、初期段階では見過ごされやすい病気でもあります。この記事では、甲状腺機能低下症の症状や原因、検査方法、治療法、受診のタイミングについて詳しく解説します。心当たりのある方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 甲状腺機能低下症とは 甲状腺機能低下症の主な症状 初期の甲状腺機能低下症は気付きにくい 女性にみられることがある症状 甲状腺機能亢進症との症状の違い 甲状腺機能低下症の主な原因 甲状腺機能低下症を調べる検査 甲状腺機能低下症の治療 こんな症状が続く場合は内科・内分泌内科へ まとめ   甲状腺機能低下症とは 甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの産生や分泌が低下し、体に必要な量のホルモンを作り出せなくなった状態を指します。甲状腺は喉仏の下あたりに位置する小さな臓器ですが、全身に大きな影響を及ぼすホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、体内の代謝を調整する働きを担っています。エネルギーの産生や消費に関わるため、不足すると代謝全体が低下し、疲労感や体重増加といった症状につながります。また、体温の調節にも関与しており、機能が低下すると寒さを感じやすくなります。さらに、心臓の働きにも影響を与えるため、脈拍が遅くなるなどの変化が現れることもあります。このように甲状腺ホルモンは、全身のさまざまな機能を維持するうえで欠かせない存在です。なお、甲状腺機能低下症とよく混同される病気に橋本病があります。橋本病は自己免疫の異常により甲状腺に慢性的な炎症が生じる病気であり、甲状腺機能低下症を引き起こす原因のひとつです。ただし、橋本病があっても甲状腺の働きが保たれている場合もあるため、両者は完全に同じ意味ではありません(橋本病について詳しくは後述します)。   甲状腺機能低下症の主な症状 甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、全身のさまざまな部分に症状が現れる病気です。ここでは、甲状腺機能低下症の代表的な症状について解説します。 疲れやすい・だるい・眠気が強い 甲状腺ホルモンは、体の代謝を調整する役割を担っています。そのため、分泌量が低下すると、全身の代謝が落ち、体を動かすためのエネルギーが不足しやすくなります。その結果、以前と同じような生活を送っていても疲れを感じやすくなったり、だるさが続いたりすることがあります。また、日中に強い眠気を感じるようになる患者も少なくありません。こうした症状は、加齢や日々の疲労と区別がつきにくいため、見過ごされやすい点にも注意が必要です。 寒がりになる 甲状腺ホルモンには、体温を維持するための熱産生を促す働きもあります。そのため、分泌が低下すると熱を作り出す力が弱まり、以前よりも寒さを強く感じるようになることがあります。周囲の人が寒さを感じていない環境でも、自分だけ冷えを感じる、手足の先が冷たく感じるといった変化がみられる場合は、体温調節の機能に影響が出ている可能性があります。 むくみが出る 甲状腺機能低下症では、皮膚の下に水分やムチンと呼ばれる物質がたまりやすくなり、むくみとして現れることがあります。特に、まぶたや顔全体、手足にむくみが出やすく、朝起きたときに顔がむくんでいる、指輪や靴がきつく感じるといった変化で気づくことも少なくありません。このむくみは、指で押してもすぐには戻らない特徴を持つ場合があります。 体重が増える 代謝が低下することで、エネルギーの消費量が減り、食事量や運動量が大きく変わっていないにもかかわらず、体重が増加することがあります。また、体内に水分がたまりやすくなることも、体重増加の一因となります。急激な体重増加ではなく、緩やかに数キロ増えるといった変化が多いため、加齢や生活習慣の影響と思い込んでしまう患者も少なくありません。 便秘になりやすい 甲状腺ホルモンは、消化管の動きにも関わっています。分泌量が低下すると、腸の動きが緩やかになり、便秘が生じやすくなります。もともと便通に問題がなかった患者でも、便が出にくくなった、排便の回数が減ったといった変化がみられることがあり、市販薬や食生活の工夫だけでは改善しにくい場合もあります。 皮膚が乾燥する 皮膚や髪にも、甲状腺機能低下の影響が現れることがあります。皮膚の新陳代謝が落ちることで、乾燥やかさつきが目立つようになり、かゆみを伴うこともあります。また、髪の毛が細くなる、抜け毛が増える、眉毛の外側が薄くなるといった変化がみられる場合もあります。これらの変化は徐々に進行することが多く、本人が気づきにくい傾向があります。 動作や思考がゆっくりになる 甲状腺ホルモンは、脳の働きにも関与しているため、分泌が低下すると、思考や動作の速度がゆっくりになることがあります。具体的には、集中力や記憶力の低下、物覚えの悪さ、無気力な状態が続くといった症状がみられます。こうした変化は、うつ状態や認知機能の低下と間違われることもあるため、注意深く見極める必要があります。 声がかすれる 喉の周辺にも、むくみのような変化が生じることがあり、声帯やその周囲の組織に影響が及ぶと、声がかすれる嗄声という症状が現れることがあります。風邪でもないのに声のかすれが長く続く場合は、甲状腺の機能に変化が生じている可能性も考えられます。 甲状腺機能低下症の症状は多岐にわたりますが、すべての症状がすべての患者に現れるわけではありません。症状の現れ方や程度には個人差があり、複数の症状が同時に出る場合もあれば、一部の症状のみがゆるやかに進行する場合もあります。気になる変化が続く場合は、自己判断せず、医療機関で相談してください。   初期の甲状腺機能低下症は気付きにくい 甲状腺機能低下症は、初期の段階では明確な自覚症状として現れにくく、「なんとなく疲れる」「最近太りやすくなった気がする」といった、日常的な不調として現れることが多くなっています。症状の程度も緩やかで、日によって波があることも多いため、病気のサインとして意識されないまま過ごしてしまう患者も少なくありません。また、甲状腺機能低下症でみられる疲労感やだるさ、体重の変化、気分の落ち込みといった症状は、加齢による体力の低下や、睡眠不足、日々のストレス、更年期による体調変化などとも似ているため、区別がつきにくいという特徴があります。特に中高年の患者では、これらの症状を年齢のせいと捉えてしまい、医療機関を受診するタイミングを逃してしまうこともあります。そのため、だるさや冷え、便秘、体重の増加といった症状のうち、複数のものが同時に、かつ長期間にわたって続いている場合には、単なる体調不良や加齢による変化と決めつけず、一度検査を検討してください。血液検査によって甲状腺ホルモンの数値を確認することで、症状の背景に甲状腺機能低下症が隠れていないかを調べることができます。気になる症状が続く場合は、早めに医師へ相談してください。   女性にみられることがある症状 甲状腺機能低下症は男女ともにみられる病気ですが、女性の患者ではホルモンバランスの影響を受けやすい部位に、特徴的な変化が現れることがあります。例えば、月経周期が乱れる、経血量が増える、月経痛が強くなるといった月経に関する変化がみられることがあります。また、顔や手足のむくみ、体重の増加、冷えといった症状も、女性の患者から訴えられることが比較的多い症状です。これらの変化は、更年期や日々の体調の波によるものと捉えられやすく、甲状腺機能の低下が背景にあると気づかれにくい傾向があります。また、甲状腺機能は妊娠や妊活とも関わりが深く、甲状腺ホルモンの分泌が低下していると、月経不順や排卵の異常につながることがあります。さらに、妊娠を希望している場合や、すでに妊娠している場合には、甲状腺機能の状態が母体や胎児の健康に影響を及ぼす可能性もあるため、気になる症状がある場合は早めに検査を受けておくことが望ましいといえます。なお、甲状腺機能低下症は女性に多くみられる病気ではあるものの、女性だけの病気というわけではありません。男性の患者にも同様の症状がみられることがあるため、性別にかかわらず、複数の症状が続く場合には、医療機関で相談してください。   甲状腺機能亢進症との症状の違い 甲状腺の病気には、ホルモンの分泌が低下する甲状腺機能低下症だけでなく、逆にホルモンの分泌が過剰になる甲状腺機能亢進症もあります。甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症は、どちらも甲状腺ホルモンの異常によって起こる病気ですが、ホルモンが不足するか過剰になるかによって、現れる症状の方向性が大きく異なります。例えば、甲状腺機能低下症では体の代謝が落ちるため、寒がりになったり、体重が増えやすくなったり、脈拍がゆっくりになったりする傾向がみられます。一方、甲状腺機能亢進症では代謝が過剰に亢進するため、暑がりになったり、食欲があるにもかかわらず体重が減少したり、脈拍が速くなったりするなど、低下症とは反対の方向の変化が現れやすくなります。また、精神面や活動性についても、低下症では無気力や動作の緩慢さがみられやすいのに対し、亢進症ではイライラや落ち着きのなさ、手の震えなどがみられやすいという傾向があります。症状の傾向を整理すると、以下の通りです。 比較項目 甲状腺機能低下症 甲状腺機能亢進症 体温感覚 寒がりになる 暑がりになる 体重 増えやすい 食欲があっても減少しやすい 脈拍 ゆっくりになる 速くなる 便通 便秘になりやすい 下痢になりやすい 精神・活動性 無気力、動作が緩慢になる イライラ、落ち着きのなさ、手の震え   このように、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症では、症状の現れ方に一定の傾向の違いがあります。ただし、この比較はあくまで一般的な傾向を理解するための目安であり、自己診断のためのものではありません。実際には、症状の現れ方には個人差があり、典型的な傾向と異なるパターンを示す患者もいます。気になる症状がある場合は、比較表の内容だけで判断せず、血液検査などを通じて医師の診断を受けてください。   甲状腺機能低下症の主な原因 甲状腺機能低下症は、原因によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、甲状腺機能低下症を引き起こす代表的な原因について解説します。 橋本病 甲状腺機能低下症の原因として最も多いのが、橋本病と呼ばれる病気です。橋本病は、自己免疫の異常によって、本来体を守るはずの免疫が誤って自分自身の甲状腺を攻撃してしまうことで起こります。この状態が続くと、甲状腺の組織が徐々に炎症を起こし、甲状腺ホルモンを十分に作れなくなっていきます。橋本病は中年以降の女性に多くみられる傾向がありますが、進行はゆるやかなことが多く、初期には自覚症状がほとんどないまま経過することも少なくありません。 甲状腺の手術・治療後 甲状腺に腫瘍や結節などがみつかり、手術によって甲状腺の一部または全部を摘出した場合、残った甲状腺の働きだけではホルモンが不足し、機能低下症を引き起こすことがあります。また、バセドウ病などの治療として放射性ヨウ素治療を受けた場合にも、治療の影響で甲状腺の機能が低下することがあります。これらの治療を受けた患者は、治療後も定期的に甲状腺機能の検査を受け、状態を確認していくことが大切です。 薬剤などの影響 一部の薬剤には、甲状腺の機能に影響を及ぼすものがあります。例えば、不整脈の治療に用いられる薬剤や、精神疾患の治療に使われる薬剤の中には、長期的に使用することで甲状腺ホルモンの分泌に影響を与えるものが知られています。このような薬剤を服用している患者は、定期的な血液検査によって甲状腺機能の変化を確認しておくと安心です。気になる症状がある場合は、自己判断で薬を中止せず、処方医に相談してください。 下垂体・視床下部の異常 甲状腺機能低下症は、甲状腺そのものに原因がある場合だけでなく、脳にある下垂体や視床下部の異常によって引き起こされることもあります。下垂体からは、甲状腺を刺激するホルモンが分泌されており、この働きに異常が生じると、甲状腺自体に問題がなくても、結果的に甲状腺ホルモンの分泌が低下することがあります。このタイプの原因は比較的まれですが、下垂体の腫瘍などが背景にある場合もあるため、専門的な検査が必要になることがあります。 甲状腺機能低下症の原因は、自己免疫による橋本病が中心となりますが、治療の影響や薬剤、下垂体の異常など、さまざまな要因が関わっていることがあります。原因によって今後の見通しや治療方針も異なるため、甲状腺機能の異常が疑われる場合は、血液検査などを通じて原因を確認し、医師の説明を受けてください。   甲状腺機能低下症を調べる検査 甲状腺機能低下症が疑われる場合には、血液検査を中心にいくつかの検査を組み合わせて診断していきます。ここでは、甲状腺機能低下症を調べる際に用いられる代表的な検査について解説します。 TSH検査 TSH検査は、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンの量を調べる検査です。TSHは、甲状腺に働きかけて甲状腺ホルモンの分泌を促す役割を担っています。甲状腺ホルモンの分泌が不足すると、体はそれを補おうとして、下垂体からより多くのTSHを分泌するようになります。そのため、TSHの数値が基準値よりも高い場合は、甲状腺の働きが低下している可能性を示す重要なサインとなります。甲状腺機能を評価するうえで、TSH検査はスクリーニングの中心的な役割を担っており、健康診断の甲状腺項目にも含まれることが多い検査です。 FT4(遊離T4)検査 FT4検査は、血液中に含まれる甲状腺ホルモンのうち、体内で実際に作用することができる形のホルモン量を調べる検査です。甲状腺で作られたホルモンの多くは、たんぱく質と結合した状態で血液中を流れていますが、その中でたんぱく質と結合していない、いわゆる「遊離」の状態にあるホルモンがFT4です。甲状腺の機能が低下すると、このFT4の数値が基準値よりも低くなる傾向があります。TSHとFT4を組み合わせて確認することで、甲状腺機能低下症の有無や進行の程度を、より正確に把握することができます。 甲状腺自己抗体検査 甲状腺自己抗体検査は、自分自身の甲状腺を攻撃してしまう抗体が、体内に存在するかどうかを調べる検査です。甲状腺機能低下症の原因として多い橋本病は、免疫の異常によって自分の甲状腺を誤って攻撃してしまうことで起こる病気であり、この検査によって背景にある原因を推測する手がかりが得られます。代表的な抗体には、抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体などがあり、これらが陽性であれば、自己免疫による甲状腺の異常が関与している可能性が高くなります。 超音波検査 超音波検査は、体の外から超音波を当てて、甲状腺の内部の状態を画像として確認する検査です。放射線を使わないため、体への負担が少なく、繰り返し行いやすい検査でもあります。この検査では、甲状腺全体の大きさや形、内部に結節や腫れ、炎症を示す変化がないかといった、血液検査だけでは分からない構造的な情報を確認することができます。なお、橋本病など、甲状腺そのものに変化が生じている場合には、超音波検査によって甲状腺の状態をより詳しく把握することができます。 甲状腺機能低下症の診断には、TSHやFT4といった血液検査を基本としながら、必要に応じて自己抗体検査や超音波検査を組み合わせていきます。それぞれの検査で分かることが異なるため、症状や血液検査の結果に応じて、追加の検査が必要かどうかを医師と相談してください。   甲状腺機能低下症の治療 甲状腺機能低下症の治療では、体内で不足している甲状腺ホルモンを、内服薬によって補うことが基本となります。用いられる薬剤には、体内で作られる甲状腺ホルモンと同じ成分が含まれており、不足分を補うことで、代謝の低下によって生じていた倦怠感やむくみ、冷えといった症状の改善が期待できます。多くの場合、1日1回の服用で済むため、日常生活の中で無理なく続けやすい治療といえます。また、治療を開始した後は、定期的に血液検査を行いながらTSHやFT4の数値を確認し、薬の投与量を調整していきます。ホルモンの補充量が少なすぎると症状の改善が不十分になり、逆に多すぎると動悸や不眠といった甲状腺機能亢進症に似た症状が現れることがあるため、患者一人ひとりの体に合った量を見極めることが重要です。投与量が安定した後も、数か月から半年に一度程度の頻度で検査を行い、状態を継続的に確認していきます。なお、症状が改善したからといって、自己判断で薬の量を減らしたり、服用を中止したりしないでください。甲状腺ホルモンの補充は、症状がおさまった後も体内のホルモンバランスを維持するために必要な治療であり、自己判断で中断すると、再び症状が悪化することがあります。体調の変化や薬について気になることがあれば、自己判断せず、必ず医師に相談してください。   こんな症状が続く場合は内科・内分泌内科へ 次のような症状が続いている場合には、甲状腺機能低下症が背景にある可能性も考えられるため、医療機関への相談を検討してください。 ・原因不明の疲労感が続く ・寒がりが強くなった ・急に体重が増えた ・むくみや便秘が続く ・健康診断などで甲状腺の異常を指摘された これらの症状は、一つひとつを見ると日常的な体調不良として見過ごされやすいものです。ただし、複数の症状が同時に、かつ長期間にわたって続いている場合には、体の中で甲状腺の働きに変化が生じている可能性も考えられます。特に、疲労感やだるさが続いているにもかかわらず、はっきりとした原因が見当たらない場合や、健康診断で甲状腺に関する数値を指摘されたことがある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、一度医療機関で相談してください。血液検査によって甲状腺ホルモンの数値を確認することで、症状の背景に甲状腺機能低下症が隠れていないかを調べることができます。気になる症状が続いている場合は早めに内科や内分泌内科を受診し、必要な検査を受けてください。   まとめ 甲状腺機能低下症は、疲労感やだるさ、寒がり、体重増加、むくみ、便秘、皮膚の乾燥、声のかすれなど、全身にさまざまな症状を引き起こす病気です。甲状腺ホルモンが体の代謝や熱産生、消化管の動きなど、幅広い機能に関わっているため、その分泌が低下すると、体のいたるところに影響が及びます。また、これらの症状は一つひとつが加齢や疲労、ストレス、更年期による体調変化などと似ているため、日常的な不調と区別がつきにくいという特徴があります。そのため、症状を放置してしまい、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。だるさや冷え、体重の変化といった症状が複数、かつ長期間にわたって続いている場合には、自己判断で様子を見続けるのではなく、血液検査を通じて甲状腺の状態を確認しておくことが重要です。当院では、TSHやFT4といった甲状腺ホルモンの血液検査をはじめ、必要に応じて甲状腺自己抗体検査や超音波検査を組み合わせながら、甲状腺・内分泌疾患の診療を行っています。健康診断で甲状腺の異常を指摘された患者や、原因のはっきりしない体調不良が続いている患者は、ぜひ当院へご相談ください。症状や検査結果に応じて、適切な検査と診療をご提案いたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

糖尿病・代謝内科

口渇は糖尿病のサイン?喉が渇く原因や糖尿病との関係、受診の目安を解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
「水を飲んでもすぐに喉が渇く…」「最近、急に水分を多く取るようになった…」と感じている方は少し注意が必要です。口渇は糖尿病でみられる代表的な症状の一つですが、口渇だけで糖尿病と判断することはできません。夏の暑さや塩分の多い食事、薬の副作用などでも同じような症状が現れることがあります。この記事では、糖尿病による口渇が起こる仕組みや併発しやすい症状、他の原因との見分け方、検査や受診の目安まで詳しく解説します。気になる症状に心当たりがある方は、ぜひ参考にしてください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 糖尿病で口渇が起こるのはなぜ? こんな口渇は糖尿病の可能性がある? 口渇と一緒に現れやすい糖尿病の症状 喉が渇く原因は糖尿病だけではない 糖尿病が疑われるときに行う検査 口渇が続く場合はいつ病院を受診する? まとめ   糖尿病で口渇が起こるのはなぜ? 糖尿病で口渇が起こる背景には、血糖値の状態が深く関わっています。健康な状態では、腎臓が血液中のブドウ糖をほとんど再吸収し、尿として排出することはありません。しかし血糖値が一定の基準を超えて高くなると、腎臓で処理しきれなかったブドウ糖が尿中へあふれ出るようになります。このとき、ブドウ糖は水分を引き連れて排出される性質を持っているため、尿の量が通常よりも増えてしまいます。これを「浸透圧利尿」と呼びます。体内の水分が尿として多く失われると、血液の濃度が上がり、脳は水分不足を感知して強い喉の渇きを引き起こします。その結果、水分を補おうとして自然と飲水量が増えていきます。つまり「高血糖→尿量増加→体内の水分不足→喉の渇き→多飲」という一連の流れが、体の中で連続して起こっているのです。さらに、飲水量が増えれば尿量もまた増えるため、多尿と多飲が互いに影響し合いながら進んでいきます。このようにして、口渇・多尿・多飲という三つの症状は、単独で現れるのではなく、血糖値の上昇を起点として連鎖的にセットで現れやすくなります。喉の渇きとともに尿の回数や量に変化を感じる場合は、体からのサインとして受け止めておくことが大切です。   こんな口渇は糖尿病の可能性がある? 日常的に感じる喉の渇きの中には、糖尿病のサインが隠れていることがあります。ここでは、注意しておきたい口渇の特徴について詳しく解説します。 水を飲んでもすぐに喉が渇く 暑い時期や運動をした後に喉が渇くのは、汗をかいて体内の水分が失われるためであり、水分を補給すれば自然と落ち着いていきます。ところが、涼しい環境で過ごしていても、特に運動をしていなくても、水を飲んですぐにまた喉が渇いてしまう場合は注意が必要です。このような口渇が数日以上続いているときは、一時的な体調の変化とは考えにくくなります。特に思い当たる理由がないまま強い口渇が続いている場合は、血糖値を確認しておくことを検討してください。早めに状態を把握しておくことが、その後の対応につながります。 水分を取る量が以前より増えた 糖尿病では、体内の水分が不足しやすくなるため、それを補おうとして自然に飲水量が増えていきます。これを「多飲」と呼びます。多飲は本人にとって自覚しにくい変化ですが、日常生活の中でふと気付くきっかけがあります。例えば、以前よりペットボトル飲料の消費が明らかに増えた、寝る前や夜中に水を飲む回数が増えた、外出時に飲み物を持ち歩く量が増えたなど、身の回りの変化として現れることが多くあります。こうした変化に心当たりがある場合は、単なる習慣の変化として片付けず、体からのサインとして意識しておくことが大切です。 尿の回数・量も増えている 血糖値が高くなると、尿中へ余分なブドウ糖が排出され、それに伴って水分も一緒に排出されるため、尿の量が増えていきます。これが「多尿」と呼ばれる状態です。尿量が増えると体内の水分がさらに不足し、喉の渇きがいっそう強くなるという悪循環が生まれます。なお、トイレの回数が増えた、夜中に何度も目が覚めてトイレに行くようになったといった変化がある場合は、口渇と多尿がセットで起こっている可能性があります。このような状態が続くときは、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 口渇・多飲・多尿は、糖尿病において連動して現れやすい症状です。単発の喉の渇きであれば心配のいらないことも多いですが、複数の症状が重なって続いている場合は、体からの重要なサインとして受け止めておく必要があります。気になる変化がある方は、我慢せず早めに医療機関に相談してください。   口渇と一緒に現れやすい糖尿病の症状 糖尿病では、口渇だけでなくさまざまな症状が同時に現れることがあります。ここでは、口渇と一緒に現れやすい糖尿病の症状について解説します。 尿の回数や量が増える 血糖値が高くなると、腎臓で処理しきれなかったブドウ糖が尿中へ排出され、それに伴って水分も一緒に排出されていきます。その結果、尿の回数や量が増える「多尿」という状態が起こります。多尿によって体内の水分がさらに失われると、喉の渇きがいっそう強くなり、口渇と多尿が互いに影響し合いながら進んでいきます。トイレに行く回数が明らかに増えた、一回あたりの尿量が多くなったと感じる場合は、血糖値の変化が関わっている可能性があるため、注意して経過を見ておくことが大切です。 夜中にトイレへ行く回数が増える 日中だけでなく、夜間にトイレへ行く回数が増えることも、糖尿病でみられやすい変化の一つです。就寝中は本来、水分の再吸収が働き「尿量」が抑えられますが、血糖値が高い状態では夜間も多尿の影響が続きやすくなります。そのため、眠りが浅くなったり睡眠不足につながったりすることも少なくありません。なお、夜間頻尿については「夜中のトイレが近いのは糖尿病のサイン?夜間頻尿の原因と受診タイミングを医師が解説」でより詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。 疲れやすい・だるい 血糖値が高い状態が続くと、体内でブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなり、疲労感やだるさを感じやすくなります。加えて、多尿によって水分や電解質が失われることも、体の疲れやすさに関係しています。休息を取っても回復しにくい疲労感が続く場合は、単なる生活習慣の乱れだけでなく、血糖値の変化が背景にある可能性があります。なお、疲労と血糖値の関係については「疲れやすいのは糖尿病のサイン?疲労と血糖値の関係・見分け方を医師が解説」でより詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご確認ください。 食べているのに体重が減る しっかり食事を摂っているにもかかわらず体重が減っていく場合も、糖尿病でみられる特徴的な症状です。血糖値が高い状態では、ブドウ糖がエネルギーとして十分に活用されず、尿と一緒に体外へ排出されてしまいます。そのため、体は不足したエネルギーを補おうとして、筋肉や脂肪を分解し始めます。食事量を変えていないのに体重が減少している、以前より痩せてきたと周囲から言われるといった変化がある場合は、早めに血糖値を確認しておくことをおすすめします。 傷が治りにくい 血糖値が高い状態が続くと、血流や免疫機能に影響が及び、小さな傷や炎症が治りにくくなることがあります。また、細菌に対する抵抗力も低下しやすくなるため、傷口が化膿しやすくなったり、治るまでに通常より時間がかかったりすることも少なくありません。なお、傷の治りが遅いと感じる場合の背景については「傷が治りにくいのは糖尿病のサイン?血流・神経・免疫から考える回復遅延の原因と対策」でより詳しく解説していますので、思い当たる方はあわせてお読みください。 目がかすむ 血糖値が高い状態が続くと、目のレンズにあたる水晶体の水分バランスが変化し、一時的に目がかすんで見えることがあります。これは血糖値の変動によって起こる一時的な症状であることが多いですが、高血糖の状態が長期間続くと、網膜の血管に影響が及び、視力に関わる合併症につながることもあります。次に述べる手足のしびれと同様、神経や血管への影響が背景にあることも少なくないため、目のかすみが続く場合は放置せず、早めに眼科や内科で相談することが大切です。 手足がしびれる 血糖値が高い状態が続くと、末梢神経に影響が及び、手足の先にしびれや違和感を覚えることがあります。特に足の指先や足裏など、体の末端部分から症状が現れやすいことが知られています。加えて、しびれとあわせて感覚が鈍くなる場合もあり、小さなケガや靴擦れに気付きにくくなることもあるため注意が必要です。手足のしびれが続く、左右対称に症状が出ているといった場合は、神経障害が関係している可能性があるため、早めの受診を検討してください。 口渇とあわせて、多尿・疲労感・体重減少・傷の治りにくさ・目のかすみ・手足のしびれなどが重なって現れる場合は、糖尿病が背景にある可能性があります。複数の症状に心当たりがある方は放置せず早めに医療機関を受診してください。   喉が渇く原因は糖尿病だけではない 喉の渇きは糖尿病だけでなく、日常のさまざまな場面でも起こる自然な体の反応です。ここでは、糖尿病以外で考えられる代表的な原因について解説します。 暑さ・運動・発汗による水分不足 気温が高い環境で過ごしたときや、運動をして汗を多くかいたときには、体内の水分が失われ、喉の渇きを感じやすくなります。汗には水分だけでなく塩分などのミネラルも含まれているため、大量に汗をかいた後は特に強い口渇を感じることがあります。このような場合は、水分を補給し、しばらく安静にしていれば、症状は自然と落ち着いていきます。ただし、暑さや運動という明確なきっかけがないにもかかわらず強い口渇が続く場合や、水分を補給してもすぐにまた喉が渇いてしまう場合は、一時的な水分不足とは異なる可能性があるため、注意して経過を見ておくことが大切です。 塩分の多い食事 塩分を多く含む食事を摂ると、血液中の塩分濃度が一時的に高くなり、体はそれを薄めようとして水分を欲するようになります。そのため、味の濃い料理やインスタント食品、加工食品などを食べた後に喉の渇きを強く感じることは珍しくありません。このような口渇は、食事の内容に起因する一時的なものであり、時間の経過とともに自然とおさまっていきます。なお、水分を摂ることで比較的早く症状が落ち着く場合は、大きな心配はいらないことが多いです。ただし、塩分摂取に心当たりがないにもかかわらず口渇が続く場合には、他の原因を考える必要があります。 発熱・下痢などによる脱水 発熱時には体温を下げようとして発汗量が増え、下痢の際には消化管から多くの水分が失われるため、いずれも体内の水分不足を招きやすくなります。このような脱水状態では、喉の渇きとともに、口の中の乾燥感や倦怠感、尿量の減少などがあわせて現れることもあります。なお、症状が長引く場合や水分を摂取しても改善が見られない場合には、脱水が進行している可能性があるため注意が必要です。発熱や下痢といった原因がはっきりしている場合は、その原因に応じた対処を行うことが基本となりますが、症状が重い場合や小さな子ども・高齢者の場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 薬の影響や口腔内の乾燥 一部の薬には、副作用として唾液の分泌量を減らし、口の中を乾燥させやすくするものがあります。例えば、抗ヒスタミン薬や降圧薬、抗うつ薬などは口渇を引き起こしやすいことが知られています。また、加齢に伴って唾液の分泌量が自然に減少することも、口腔内の乾燥や喉の渇きにつながる要因の一つです。さらに、口呼吸の習慣がある場合や、空気が乾燥した環境で長時間過ごしている場合にも、同じような症状が現れることがあります。このような口渇は、薬の服用状況や生活環境を振り返ることで原因に気付けることが多く、必要に応じて主治医や薬剤師に相談することで対応できる場合があります。 その他の病気による口渇 喉の渇きは、糖尿病以外の病気が背景にあって現れることもあります。例えば、シェーグレン症候群のように唾液腺の機能そのものが低下する病気や、腎臓の機能が低下して水分の調整がうまくいかなくなる腎疾患などが挙げられます。また、甲状腺機能の異常によって代謝が変化し、口渇や発汗の増加につながることもあります。このように、口渇の背景にはさまざまな病気が隠れている可能性があるため、原因がはっきりしないまま症状が続く場合には、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関で詳しく調べてもらうことが大切です。 このように、喉の渇きは暑さや食事、薬の影響などさまざまな要因で起こるため、口渇という症状だけでは糖尿病と判断することはできません。ただし、原因に心当たりがないまま口渇が続く場合や、他の症状を伴う場合には、自己判断せず早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。   糖尿病が疑われるときに行う検査 口渇や多尿などの症状から糖尿病が疑われる場合、いくつかの検査を組み合わせて診断が行われます。ここでは、糖尿病が疑われるときに行う代表的な検査について解説します。 血糖値検査 血糖値検査は、採血によって血液中のブドウ糖の濃度を調べる検査です。食事の影響を受けやすいため、空腹時に測定する「空腹時血糖値」や、食後の値を確認する「随時血糖値」など、目的に応じていくつかの方法が使い分けられます。血糖値はそのときの食事内容や体調によって変動しやすいという特徴があるため、一度の測定だけで糖尿病と診断されることは少なく、後述するHbA1c検査など他の検査結果とあわせて総合的に判断されます。なお、口渇や多尿といった症状が続いている場合には、まず血糖値検査によって現在の血糖の状態を確認することが基本となります。 HbA1c検査 HbA1c検査は、採血によって過去1〜2か月間の血糖値の平均的な状態を調べる検査です。血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を数値で表すもので、その日の食事や体調に左右されにくいという特徴があります。そのため、血糖値検査の結果とあわせて確認することで、一時的な変動ではなく、継続的な高血糖の有無をより正確に把握することができます。なお、HbA1cの目標値については「HbA1cの目標値って何?|糖尿病の疑いがある方へ」でより詳しく解説していますので、数値の見方が気になる方はあわせてご覧ください。 尿糖検査 尿糖検査は、尿の中にブドウ糖が含まれていないかを調べる検査です。健康な状態では、血液中のブドウ糖はほとんど腎臓で再吸収されるため、尿中にはほぼ排出されません。しかし血糖値が一定の基準を超えて高くなると、再吸収しきれなかったブドウ糖が尿中へあふれ出るようになり、尿糖として検出されるようになります。尿糖検査は体への負担が少なく、簡便に行える検査ですが、尿糖の有無だけで糖尿病の診断が確定するわけではありません。なお、尿糖と糖尿病の関係については「千葉市都賀で尿糖が気になる方へ|症状や原因・糖尿病との関係や対策まで解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。 糖尿病が疑われる際には、血糖値検査・HbA1c検査・尿糖検査などを組み合わせることで、より正確な診断につなげることができます。口渇や多尿などの症状が続いている場合は、自己判断せず、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。   口渇が続く場合はいつ病院を受診する? 口渇は一時的な体調変化で起こることも多いですが、中には受診を検討したほうがよいケースもあります。ここでは、受診の目安となる具体的なケースについて解説します。 数日以上強い口渇が続く 暑さや食事の影響による口渇であれば、水分を補給し、しばらく安静にしていれば自然と落ち着いていくことがほとんどです。ところが、特に思い当たる理由がないまま、数日以上にわたって強い口渇が続いている場合は注意が必要です。水を飲んでも渇きが治まらない、常に口の中が乾いているように感じるといった状態が続いているときは、一時的な水分不足とは考えにくくなります。このような口渇が長引いている場合は、血糖値をはじめとした体の状態を確認するためにも、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 多飲・多尿もみられる 口渇とあわせて、飲水量やトイレの回数が明らかに増えている場合は、体からのサインとして受け止める必要があります。以前よりペットボトル飲料の消費量が増えた、夜中に何度もトイレに起きるようになったといった変化がある場合、口渇・多飲・多尿がセットで起こっている可能性があります。これらの症状は、血糖値の上昇によって連鎖的に現れやすいことが知られています。なお、複数の症状が重なって続いている場合は、単独の症状よりも体への負担が大きいと考えられるため、様子を見続けるのではなく、早めに受診して検査を受けることが大切です。 急激な体重減少がある 食事量を特に変えていないにもかかわらず、体重が急激に減少している場合も、受診を検討したいケースの一つです。血糖値が高い状態が続くと、体はエネルギー不足を補おうとして、筋肉や脂肪を分解し始めます。そのため、食べているのに痩せていく、以前より明らかに体が細くなったと周囲から指摘されるといった変化がみられることがあります。このような体重減少は、単なるダイエットや食生活の変化とは異なる可能性があるため、口渇などの症状とあわせて心当たりがある場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。 強い倦怠感がある 十分に休息を取っているにもかかわらず、強い疲労感やだるさが続いている場合も、注意しておきたいサインの一つです。血糖値が高い状態では、体がブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できず、疲れやすさにつながりやすくなります。加えて、口渇や多尿によって水分やミネラルが失われることも、倦怠感を強める要因となります。日常生活に支障が出るほどの疲労感が続いている場合や、休んでも回復しにくいと感じる場合は、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診することが大切です。 健康診断で血糖値やHbA1cを指摘された 自覚症状がなくても、健康診断で血糖値やHbA1cの数値について指摘を受けた場合は、放置せずに医療機関を受診することが重要です。糖尿病は初期の段階では自覚症状が乏しいことも多く、口渇などの症状が現れる頃には、すでに血糖値がかなり高くなっていることも少なくありません。健康診断の結果は、体の状態を客観的に知ることができる貴重な機会です。数値に指摘があった場合は、症状の有無にかかわらず、早めに詳しい検査を受けておくことをおすすめします。 口渇が数日以上続く場合や、多飲・多尿、体重減少、強い倦怠感などを伴う場合、また健康診断で数値を指摘された場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。早期に対応することが、その後の体への負担を軽くすることにつながります。   まとめ 強い口渇は、体が発する重要なサインのひとつであり、その背景には高血糖が関わっていることがあります。喉の渇きは暑さや食事、薬の影響など日常的な要因でも起こりますが、水を飲んでもすぐに渇きを感じる状態が続いている場合や、特に思い当たる理由がないまま口渇が長引いている場合には、注意しておく必要があります。また、多飲・多尿・急激な体重減少・強い倦怠感などの症状を伴っているときは、単独の口渇よりも体への影響が大きいと考えられるため、より注意深く経過をみていくことが大切です。口渇という症状だけでは、糖尿病かどうかを判断することはできません。同じような症状であっても、原因は人によってさまざまであるため、血糖値検査やHbA1c検査、尿糖検査などを通じて、体の状態を客観的に確認することが重要になります。自己判断で様子を見続けてしまうと、気付かないうちに症状が進行してしまう可能性もあるため、気になる変化がある場合は、早めに検査を受けておくことをおすすめします。なお、当院では、血糖値やHbA1cの測定をはじめ、糖尿病が疑われる際に必要となる基本的な検査に対応しております。検査結果に応じて、生活習慣の見直しや、必要な場合には治療方針について丁寧にご説明いたします。口渇や多飲・多尿など、気になる症状が続いている方は、一人で抱え込まず、お早めに当院までご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

脱水と高血圧の関係は?血圧への影響・症状・水分補給の注意点を医師が解説

内科に関する記事です。
「脱水になると血圧はどうなるのか…」「上がるのか下がるのか…」と疑問に思う方は多いと思います。実は、脱水の初期には血管が収縮して血圧が上がりやすく、「進行すると循環血液量が減って血圧が下がる」という二つの側面があります。さらに、高血圧の患者の場合は、降圧薬の種類や腎機能によって注意すべきポイントが変わってきます。そのため、自己判断で水分量を調整するのではなく、正しい知識を身につけたうえで対応することが大切です。この記事では、脱水と血圧の関係を整理したうえで、高血圧の方に適した水分補給の方法や、経口補水液の使い方、受診の目安まで具体的にご説明します。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 脱水になると血圧はどう変化する? 高血圧の人が脱水に注意すべき理由 脱水で見られる主な症状 降圧薬を服用している人の脱水時の注意点 高血圧の人に適した水分補給の方法 塩分補給や経口補水液は必要? 脱水を予防する生活上のポイント 医療機関を受診する目安 まとめ   脱水になると血圧はどう変化する? 体内の水分が不足すると、血液の量そのものが減少します。血液量が減ると心臓から送り出される血液の量も少なくなり、結果として血圧が下がりやすくなります。血圧が下がると、立ちくらみやめまい、ふらつきを感じることがあり、重度の場合には失神に至ることもあるため注意が必要です。一方で、体には血圧を一定に保とうとする仕組みが備わっています。脱水によって血圧が下がりそうになると、交感神経が働き、血管を収縮させたり心拍数を上げたりすることで、血圧を維持しようとします。そのため、脱水の状態でも一時的に血圧が上がる場合があります。このように、脱水時の血圧変化には個人差があり、同じ程度の脱水であっても血圧が下がる方もいれば、一時的に上がる方もいます。したがって、血圧の数値だけを見て脱水の有無や重症度を判断することはできません。めまいや倦怠感、口の渇きなど、他の症状もあわせて確認することが大切です。なお、高血圧の治療中の方が脱水を起こした場合の血圧管理については、「千葉市若葉区の都賀で高血圧の症状にお困りの患者の方へ」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   高血圧の人が脱水に注意すべき理由 高齢になると喉の渇きを感じる感覚が鈍くなり、体内の水分が不足していても自覚しにくくなります。さらに、暑い時期や発熱、下痢、嘔吐などがあると体から水分が失われやすくなるため、気づかないうちに脱水が進んでしまうことがあります。高血圧の患者、特に高齢の方は、こうした変化に日頃から注意を払うことが大切です。また、高血圧に加えて糖尿病や慢性腎臓病、心不全などを併せ持っている場合、水分や塩分の管理はより複雑になります。糖尿病があると尿量が増えやすく、慢性腎臓病があると水分や塩分の調整機能そのものが低下します。また、心不全がある場合は、水分を摂りすぎると心臓に負担がかかる一方、不足すると脱水を招くため、バランスの取り方に個別の配慮が必要です。続いて、利尿薬を服用している方についても触れておきます。利尿薬は体内の余分な水分や塩分を尿として排出することで血圧を下げる薬ですが、その作用によって脱水のリスクが高まりやすくなります。特に暑い季節や体調不良時には、通常よりも脱水に陥りやすい状態になっていることを意識してください。なお、脱水が進んで腎臓への血流が減少すると、急性腎障害を引き起こしたり、もともとの腎機能がさらに悪化したりする可能性があります。腎臓は血流量に敏感な臓器であるため、脱水と腎機能の関係についても十分注意することが求められます。   脱水で見られる主な症状 脱水が起こると、体はさまざまなサインを発します。初期段階で見られやすい症状は次の通りです。 ・口や喉の渇き ・尿量の減少 ・濃い色の尿 ・皮膚や口腔内の乾燥 ・汗が出にくくなる ・軽い倦怠感 脱水が進行すると、めまいや立ちくらみ、頭痛、強い倦怠感、動悸、筋肉の痙攣などが現れる場合があります。ただし、こうした症状は高血圧に伴う頭痛やめまいと重なる部分が多く、症状だけを見て脱水によるものか高血圧によるものかを自己判断することは難しい場合があります。そのため、日頃から血圧の状態と体調の変化をあわせて確認しておくことが大切です。なお、意識が朦朧としている、自力で水分を飲むことができない、尿がほとんど出ていないといった状態が見られる場合は重度の脱水が疑われます。このような場合は様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。   降圧薬を服用している人の脱水時の注意点 利尿薬やARB、ACE阻害薬などの降圧薬を服用している方は、脱水が起こった際に特有のリスクがあります。利尿薬は体内の水分や塩分を排出する作用があるため、脱水と重なると血圧が下がりすぎることがあります。また、ARBやACE阻害薬は腎臓の血流を調整する働きに関わっているため、脱水によって腎臓への血流が減った状態でこれらの薬を服用し続けると、腎機能が悪化する可能性があります。続いて、体調不良時の服薬についても触れておきます。下痢や嘔吐、発熱、大量の発汗が続いている場合や、食事や水分を十分に摂れない状態が続いている場合は、普段どおりに降圧薬を服用することが必ずしも適切とは限りません。体の状態によって、薬の作用が普段より強く出てしまうことがあるためです。ただし、だからといって自己判断で薬を中止したり量を減らしたりすることは避けてください。体調不良時にどのように対応するか、あらかじめ主治医と相談し、方針を決めておくことが望ましい対応です。また、日頃から家庭血圧や体重、尿量、体調の変化を記録しておくと、体調不良時の状態を主治医に正確に伝える助けになります。記録をもとに相談することで、より適切な対応につながります。なお、降圧薬の種類ごとの特徴や治療方針については、「千葉市都賀で高血圧症にお悩みの方へ|原因・症状・治療・生活改善まで解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。   高血圧の人に適した水分補給の方法 普段の水分補給は、水や無糖のお茶を基本にすることをおすすめします。糖分を含む飲み物やアルコールは、摂りすぎると血圧や体重に影響を与えることがあるため、日常的な水分補給には向いていません。また、喉が渇いてから一気に飲むのではなく、喉が渇く前から少量ずつこまめに水分を摂ることが大切です。具体的なタイミングとしては、起床後、外出前、運動の前後、入浴の前後、就寝前などが挙げられます。これらの場面では体から水分が失われやすかったり、血液が濃縮しやすかったりするため、意識して水分を補うようにしてください。さらに、一度に大量の水を飲むことは避けてください。体調や発汗量に応じて、水分を何回かに分けて摂取するほうが体への負担が少なく、無理なく続けやすい方法です。特に暑い時期や体調不良時には、こまめな補給を心がけることが望ましい対応です。なお、心不全や腎機能低下などによって水分制限を受けている方については、こうした一般的な目安をそのまま当てはめることはできません。制限量は病状によって異なるため、必ず主治医の指示を優先し、自己判断で水分量を調整しないようにしてください。   塩分補給や経口補水液は必要? 通常どおり食事が取れている日常生活では、高血圧の方が脱水予防のために塩分を意識して増やす必要はありません。むしろ、高血圧の管理においては塩分の摂りすぎに注意することが基本であり、脱水対策を理由に塩分を増やすことは推奨されません。一方で、炎天下での作業や大量の発汗、下痢や嘔吐などによって水分と一緒に電解質も失われた場合には、水だけでは補いきれないことがあります。このような場面では、経口補水液が適していることがあります。経口補水液には水分とともにナトリウムなどの電解質が適切な濃度で含まれており、体に吸収されやすいように作られています。ただし、経口補水液にはナトリウムが多く含まれているため、日常的な水分補給として常用したり、大量に摂取したりすることは避けてください。あくまで体調不良時や大量に汗をかいた際など、必要な場面に限って使用することが望ましい方法です。なお、高血圧に加えて心臓病や腎臓病があり、食事や水分の制限を受けている方は、経口補水液の使用が体に負担をかける可能性があります。使用する前に、必ず医師や薬剤師に相談してください。   脱水を予防する生活上のポイント 脱水を防ぐためには、まず生活環境を整えることが基本です。室温や湿度をこまめに確認し、暑さを感じる前からエアコンや扇風機を活用して、室内が高温多湿にならないようにしてください。特に高齢の方は暑さを感じにくいことがあるため、体感だけに頼らず、温度計や湿度計を目安にすることをおすすめします。また、気温が高い時間帯の外出や激しい運動はできるだけ避けてください。どうしても外出や運動が必要な場合は、こまめに休憩を取り、その都度水分を補給することを心がけてください。汗を多くかく状況では、水分が失われるスピードが速くなるため、意識的な対応が求められます。さらに、発熱や下痢、嘔吐、食欲不振がある日については、通常より注意深い体調管理が必要です。こうした日は、水分摂取量や尿量、体重、家庭血圧の変化を意識して確認し、いつもと違う様子がないかを見ておくことが大切です。なお、飲酒は尿量を増やす作用があるため、水分補給の代わりにはなりません。お酒を飲む際は、あわせて水などで十分な水分を補うようにしてください。   医療機関を受診する目安 水分を摂ってもめまいや立ちくらみ、頭痛、吐き気、強い倦怠感が改善しない場合は、様子を見続けず早めに内科へ相談してください。脱水以外の原因が隠れていることもあるため、症状が長引く場合は自己判断せず医師に相談することが大切です。また、血圧が普段よりも著しく高い、あるいは低い場合や、尿量が明らかに減っている場合、動悸や胸痛を感じる場合も受診を検討してください。こうした症状は、脱水と血圧の変動が組み合わさって起こっている可能性があり、放置すると状態が悪化することもあります。さらに、意識が朦朧としている、痙攣が起きている、呼吸が苦しい、自力で水分を飲むことができない、長時間にわたって尿がまったく出ていないといった状態が見られる場合は、重度の脱水や別の緊急事態が疑われます。このような場合はためらわず、救急要請を検討してください。なお、受診の際には、普段の血圧と当日の血圧、現在服用している薬、水分摂取量、尿量、下痢や嘔吐、発熱の有無などをまとめて伝えると、診察がスムーズに進みます。あらかじめメモをしておくと安心です。   まとめ ここまで、脱水と血圧の関係について説明してきました。脱水が起こると、循環血液量の減少によって血圧が下がることがある一方で、体が血流を維持しようとする反応によって一時的に血圧が上がる場合もあります。このように、脱水時の血圧変化には二つの側面があり、血圧の数値だけで脱水の有無や重症度を判断することはできません。また、高血圧の患者においては、年齢や服用している降圧薬の種類、腎機能、心疾患の有無などによって、脱水時に注意すべきリスクが一人ひとり異なります。同じように水分補給をしていても、体の状態によって影響の出方が変わってくるため、自分自身の体質や持病を踏まえた対応が大切です。脱水を予防するための基本は、喉が渇く前からのこまめな水分補給、暑さを避けるための環境調整、そして家庭血圧や尿量、体調の変化をこまめに確認することです。これらを日頃から意識することで、脱水と血圧の急な変動をあわせて防ぎやすくなります。なお、千葉市若葉区・都賀周辺にお住まいで、高血圧や脱水時の血圧管理について不安のある方は、ひとりで悩まず当院までご相談ください。患者一人ひとりの状態に合わせて、丁寧に診察いたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26

内科

高血圧と熱中症の関係は?なりやすい理由・血圧変動・予防法を医師が解説

内科に関する記事です。
夏の気温上昇とともに、「高血圧の人は熱中症になりやすいのか」「熱中症になると血圧はどう変化するのか」と不安に感じる方は少なくありません。実際には、高血圧という状態そのものだけでなく、暑さによる脱水や血圧の変動、服用中の降圧薬、年齢や合併症の有無など、さまざまな要因が熱中症リスクに関わっています。この記事では、「高血圧と熱中症の関係」をわかりやすく整理したうえで、注意すべき症状や、水分・塩分補給の方法、服薬時の注意点、受診の目安まで具体的にご紹介します。ご自身やご家族の体調管理にお役立てください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 当日の順番予約はこちらから 【目次】 高血圧と熱中症にはどのような関係がある? 高血圧の人が熱中症に注意すべき理由 熱中症になると血圧は上がる?下がる? 高血圧の人が注意したい熱中症の症状 高血圧の人の熱中症予防 熱中症対策で塩分を増やしてもよい? 降圧薬を服用している人の注意点 熱中症が疑われるときの対処法 医療機関を受診する目安 まとめ   高血圧と熱中症にはどのような関係がある? 高血圧があるからといって、必ず熱中症になるわけではありません。ただし、暑さによる脱水や体温調節機能の低下、降圧薬の作用などが重なると、体への負担が大きくなりやすいため注意が必要です。汗を多くかくと体内の水分量が減り、血液の量や血管の状態にも変化が生じます。その結果、血圧が急に下がったり逆に上がったりと、大きく変動することがあります。また、脱水が進むと血液が濃くなりやすく、「めまい」や「ふらつき」といった症状につながる場合もあります。さらに、高齢の方や糖尿病・腎臓病・心疾患などを合併している方、屋外での作業やスポーツを行う方は「体温調節機能」や「血圧の調整力」が低下しやすいため、特にリスクが高いといえます。加えて、暑さを感じにくくなっていたり、喉の渇きに気づきにくくなっていたりするケースもあるため、周囲の見守りも大切になります。高血圧の症状そのものについては、「千葉市若葉区の都賀で高血圧の症状にお困りの患者の方へ」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。   高血圧の人が熱中症に注意すべき理由 高齢の高血圧患者は、喉の渇きや暑さそのものを感じにくくなっていることが少なくありません。そのため、体が水分を必要としているにもかかわらず、自覚が遅れて水分補給のタイミングを逃してしまうことがあります。気づいたときにはすでに脱水が進んでいるケースもあるため、周囲からの声かけも重要です。また、高血圧が長く続くと動脈硬化が進みやすく、自律神経の働きも低下しやすくなります。本来、暑い環境では血管を広げたり汗をかいたりすることで体温を調整しますが、これらの機能が十分に働かないと、熱がこもりやすくなり、体温調節がうまくいかなくなる場合があります。さらに、糖尿病や慢性腎臓病、心不全などを合併している方の場合、水分と塩分の管理がより複雑になります。水分を多く摂りすぎても、少なすぎても体に負担がかかるため、自己判断だけでの調整は難しくなりやすい点に注意してください。加えて、一人暮らしでエアコンを使う習慣が少なかったり、気温の高い時間帯に外出したりする生活環境も、リスクを高める要因になります。こうした環境要因は本人が気づきにくいこともあるため、家族や周囲の方が意識して見守ることも大切です。   熱中症になると血圧は上がる?下がる? 熱中症になったとき、血圧がどう変化するかは一概には言えません。暑さによって血管が広がると、血液が体の表面近くに集まりやすくなります。また、発汗や脱水によって体内を巡る血液の量そのものが減ると、血圧が下がる方向に働くことがあります。ふらつきや立ちくらみを感じる場合は、こうした血圧低下が関係している可能性があります。一方で、暑さによる強いストレスや体の痛み、体調不良、自律神経の乱れなどが影響し、一時的に血圧が上がる場合もあります。体が異常事態に反応して血管を収縮させたり、心拍数を上げたりすることで、数値が普段より高く出ることも珍しくありません。このように、熱中症のときの血圧変化には個人差があり、上がる場合も下がる場合もあるため、血圧の数値だけを見て熱中症かどうか、あるいは重症度を判断することはできません。血圧はあくまで体の状態を知るための一つの手がかりとして捉えてください。なお、普段の数値と比べて著しく高い、あるいは著しく低いと感じる場合に加えて、強い頭痛や吐き気、意識が朦朧とするなどの症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。   高血圧の人が注意したい熱中症の症状 熱中症の症状は人によってさまざまで、軽い不調から命に関わる状態まで幅があります。特に高血圧のある方は、普段感じている頭痛やめまいと熱中症の症状が重なりやすいため、早めに変化に気づくことが大切です。代表的な症状は次の通りです。 ・めまい ・立ちくらみ ・大量の発汗 ・筋肉痛 ・こむら返り ・頭痛 ・吐き気 ・倦怠感 ・顔のほてり、皮膚の赤み ・意識がぼんやりする 高血圧に伴う頭痛やめまいと、熱中症による頭痛やめまいは似た症状として現れることが多く、症状だけで「これは血圧のせいだ」「これは熱中症だ」と自己判断するのは難しい面があります。そのため、暑い環境にいた後や汗を多くかいた後に体調の変化を感じた場合は、熱中症の可能性も念頭に置いて対応してください。なお、意識が朦朧としている、痙攣が見られる、自力で水分を飲むことができない、呼びかけへの反応がいつもと違うといった様子がある場合は、重症化している可能性があります。ためらわずに救急要請を検討してください。普段、感じる頭痛と血圧の関係については「朝起きると頭が重いのは高血圧?具体的な症状や原因、対策について解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。   高血圧の人の熱中症予防 熱中症を防ぐためには、喉が渇く前から少量ずつこまめに水分を取ることを基本にしてください。喉の渇きを感じた時点ではすでに体内の水分が不足していることも多いため、「渇く前に飲む」という意識を持つことが大切です。具体的なタイミングとしては、起床後にコップ一杯の水を飲むことに加えて、外出前や運動の前後、入浴の前後、就寝前などに水分を補給する習慣をつけてください。一度に大量に飲むのではなく、少しずつ回数を分けて取り入れると、体への負担も少なく続けやすくなります。また、室温や湿度をこまめに確認し、エアコンや扇風機を上手に活用してください。屋外に出る際は、帽子や日傘を使い、通気性のよい衣服を選ぶことで、体にこもる熱を軽減できます。エアコンの使用をためらう方もいますが、熱中症予防のためには適切に活用することが重要です。さらに、気温の高い時間帯の外出や激しい運動は避け、活動の合間にこまめな休憩を確保してください。無理を続けると、気づかないうちに体に負担がかかっていることがあります。加えて、家庭血圧を日頃から測定し、普段の数値と大きく異なる場合や体調に不安を感じる場合は、無理をせず休息を取ってください。   熱中症対策で塩分を増やしてもよい? 熱中症対策として塩分を意識される方も多いですが、1日3食をきちんと取れている日常生活の中では、熱中症予防のために一律で塩分量を増やす必要はありません。通常の食事で摂取している塩分でも、日々の水分バランスを保つには十分なことがほとんどです。高血圧のある方は、基本的にはこれまで通りの減塩方針を続けてください。熱中症を気にするあまり、塩飴や塩分タブレットを日常的に摂り続けると、かえって塩分の摂りすぎにつながり、血圧管理に影響を及ぼす可能性があります。塩分は熱中症予防の目的だけで安易に増やすものではないと理解しておいてください。ただし、炎天下での作業や長時間の運動など、大量に汗をかく状況では、水分とともに体内の塩分も失われます。このような場合には、一時的に塩分を含む飲料や食品で補うことが必要になる場面もあります。あくまで発汗量が多いときに限った対応として捉えてください。また、心不全や腎機能の低下、むくみのある方は、水分や塩分の調整が体調に大きく影響します。自己判断で増やしたり減らしたりせず、主治医の指示に従って対応してください。塩分と血圧の関係については、「千葉市都賀で高血圧症にお悩みの方へ|原因・症状・治療・生活改善まで解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。   降圧薬を服用している人の注意点 降圧薬を服用している方は、夏場の体調管理に特に気を配ってください。服薬内容によっては、発汗が多くなる時期に脱水や血圧低下のリスクが高まることがあります。特に利尿薬を使用している場合、体内の水分が排出されやすくなるため、汗によって失われる水分と合わさることで脱水が進みやすくなる点に注意してください。脱水が進むと、ふらつきや立ちくらみといった症状が現れやすくなります。また、腎臓への血流が減ることで、腎機能が一時的に悪化する場合もあります。そのため、こうした変化に早く気づけるよう、体調の変化とあわせて家庭血圧をこまめに確認する習慣をつけてください。体調不良を感じたり、血圧がいつもより低くなったりした場合でも、自己判断で降圧薬を中止したり量を減らしたりしないでください。急に服薬を止めると、かえって体調を崩す原因になることがあります。気になる症状がある場合は、服薬を続けたまま医療機関に相談することが基本です。さらに、夏場の水分摂取量や薬の量の調整について不安がある場合は、自己判断で対応せず、事前に主治医へ相談してください。体調や生活状況に応じて、適切な指示を受けることができます。   熱中症が疑われるときの対処法 熱中症が疑われる場合は、まず涼しい場所へ速やかに移動してください。屋外であれば日陰、可能であればエアコンの効いた室内へ移動し、衣服を緩めて体から熱を逃がしやすい状態にすることが基本です。あわせて、首まわりやわきの下、足の付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすと、効率よく体温を下げることができます。保冷剤や濡れタオルなどを活用してください。また、意識がはっきりしていて、自分で水分を飲める状態であれば、水分や経口補水液を少量ずつ摂取させてください。一気に大量に飲ませるのではなく、状態を見ながら少しずつ補給することが大切です。一方で、意識が朦朧としている、呼びかけへの反応が鈍い、嘔吐がみられるといった場合は、無理に水分を飲ませないでください。誤って気管に入り込む危険があるため、こうした状態では口から水分を与えることは避けてください。なお、応急処置を行っても症状が改善しない場合や、血圧が普段と大きく異なる場合、また水分をうまく取れない場合は、自己対応を続けず、速やかに医療機関へ相談してください。早めの判断が、重症化を防ぐことにつながります。   医療機関を受診する目安 熱中症が疑われる状況で冷却や水分補給を行っても、頭痛や吐き気、めまい、強い倦怠感が改善しない場合は、我慢を続けずに早めに内科へ相談してください。時間が経てば自然に回復すると考えて様子を見続けると、対応が遅れてしまうこともあります。また、血圧が普段より著しく高い、あるいは低い状態が続く場合や、尿量が明らかに少ない、動悸や胸痛を感じるといった症状がある場合も、受診を検討してください。特に尿量の減少は、脱水や腎機能への負担を示すサインとなることがあるため、見過ごさないようにしてください。さらに、意識が朦朧とする、痙攣が起きる、体の一部に麻痺がある、激しい胸痛や呼吸困難がある、自力で水分を飲むことができないといった場合は、緊急性が高い状態と考えられます。ためらわずに救急要請を検討してください。なお、医療機関を受診する際は、普段の血圧の数値と当日測定した血圧、症状が始まった時間、水分摂取の状況、現在服用している降圧薬について、できる限り正確に伝えてください。これらの情報は、診察や治療方針を判断するうえで重要な手がかりになります。   まとめ 高血圧のある方は、高血圧という状態そのものだけでなく、暑さによる脱水や血圧の変動、加齢、糖尿病・腎臓病・心疾患などの合併症、服用中の降圧薬といった要因が重なることで、熱中症のリスクが高まりやすくなります。日頃から自分自身の体調や生活環境を意識しておくことが大切です。予防の基本としては、喉が渇く前からのこまめな水分補給、室温や湿度の管理、暑い時間帯の外出や運動を避けること、そして家庭血圧と体調の変化をこまめに確認することが挙げられます。これらを日常生活の中で無理なく続けることが、熱中症予防につながります。また、熱中症対策として塩分を日常的に増やす必要はありません。大量に汗をかいたときなど、一時的に塩分補給が必要になる場面を除いては、これまで通りの減塩を基本として続けてください。なお、千葉市若葉区・都賀周辺にお住まいで、高血圧や夏場の血圧管理について不安のある方は、自己判断で対応を続けず、当院までご相談ください。日頃の血圧の状態やお薬の内容を踏まえたうえで、患者一人ひとりに合わせたアドバイスをいたします。 当日の順番予約はこちらから

2026.08.26