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糖尿病による足のしびれの原因と治療法について
2025.02.25
この記事では、「糖尿病による足のしびれの原因と治療法」について解説していきます。後半部分では、「日常生活での対策と予防方法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
糖尿病と足のしびれの関係
血糖値コントロールと神経障害の進行
足のしびれの症状と部位
神経障害の診断と検査
糖尿病性神経障害の治療法
日常生活での対策と予防方法
糖尿病による足のしびれへの対処法
糖尿病と足のしびれの関係
糖尿病患者さんの多くが悩まされる足のしびれは、血糖値の変動や合併症と密接な関係があります。ここでは「糖尿病と足のしびれの関係」について解説します。
<糖尿病と足のしびれの関係>
糖尿病は高血糖により末梢神経に深刻な影響を与える疾患です。長期間の血糖コントロール不良は、神経障害を引き起こし、足にしびれや痛みを生じさせます。特に、血管や神経の障害は足の感覚に大きな変化をもたらし、患者さんの生活の質を著しく低下させる可能性があります。このため、早期発見と適切な管理が非常に重要となります。
<糖尿病性神経障害の特徴と発症メカニズム>
糖尿病の合併症の中でも、「糖尿病性神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」は、3大合併症とされています。この中で「糖尿病性神経障害」は、最も頻度が高く、最も早期に発症する合併症であり、手足の先に痛みを伴うことがあります。糖尿病性神経障害は、高血糖による代謝異常が神経細胞に悪影響を及ぼすことで発症します。具体的には、血糖値が高い状態が続くと神経細胞の代謝が障害され、神経伝達物質の機能が低下し、神経構造が変性します。この結果、末梢神経の感覚機能や運動機能が損なわれ、足のしびれや痛み、感覚の鈍麻などの症状が現れるのです。
<高血糖が末梢神経に与える影響>
高血糖は、神経細胞に酸化ストレスを引き起こし、ミトコンドリアの機能障害を招きます。また、血管内皮細胞が障害されることで、神経への血流が減少します。これらの要因が複合的に作用し、神経細胞は十分な栄養を受け取れなくなり、徐々に変性と機能低下が進行します。その結果、末梢神経の感覚機能が著しく低下し、足のしびれや痛みが生じるのです。
<しびれの初期症状と進行パターン>
足のしびれは通常、足先や指先から始まり、徐々に足全体に広がります。初期症状としては、軽い痛みやチクチクした感覚、夜間に特に感じられる痛みなどが特徴的です。進行すると、温度感覚や痛覚が鈍くなり、最終的には感覚を完全に失う場合もあります。そのため、定期的な血糖値管理と神経機能のチェックが非常に重要です。
糖尿病性神経障害による足のしびれは、早期発見と適切な血糖管理によって進行を抑制できます。そのため、定期的に医療機関で検査を受け、血糖コントロールを行うこと、さらに生活習慣を改善することが重要です。症状に気づいた場合は、早急に専門医に相談し、適切な治療を受けることが推奨されます。
血糖値コントロールと神経障害の進行
適切な血糖管理は、糖尿病性神経障害の進行を遅らせる最も効果的な方法です。以下では、「血糖管理の重要性」について解説します。
<血糖管理の重要性と神経障害への影響>
高血糖状態が長期間続くと、神経細胞に代謝障害が生じ、修復が困難になります。そのため、高血糖を放置せず、適切に血糖管理を行うことが重要です。血糖値を安定させることで、神経細胞への酸化ストレスを軽減し、神経機能の保護と回復が期待できます。また、継続的な血糖管理は神経障害の悪化を防ぐ最も有効な戦略です。
<HbA1cと神経障害の関連性>
HbA1cは過去3か月の平均血糖値を反映する指標で、神経障害のリスクと密接に関連しています。HbA1cが高いほど、神経障害の進行リスクが高まります。医学研究によると、HbA1cを7.0%未満に管理することで、神経障害の発症や進行を有意に抑制できることが示されています。なお、定期的な検査と適切な治療により、神経障害のリスクを低減できます。
<血糖コントロール改善による症状軽減の可能性>
血糖コントロールの改善は、神経障害の症状を軽減する可能性があります。具体的には、適切な血糖管理により、神経細胞の代謝機能が改善され、しびれや痛みなどの症状が緩和されることがあります。また、インスリン感受性の向上や生活習慣の改善が、神経機能の回復を促進する可能性があります。
血糖値コントロールは、糖尿病性神経障害の進行を抑制する最も重要な方法です。定期的な医療チェック、適切な治療、生活習慣の改善を組み合わせた包括的なアプローチが、神経障害の管理と症状軽減に不可欠です。個々の患者さんに合わせた適切な対策を講じることが、神経障害のリスクを最小限に抑える鍵となります。
足のしびれの症状と部位
ここでは、「足のしびれの症状・部位」について解説します。
<しびれが現れやすい足の部位とその特徴>
糖尿病性神経障害によるしびれは、通常、足先から始まり、足指や足裏に最も顕著に現れます。進行すると、しびれは足全体に広がり、くるぶしや下腿部にも及ぶことがあります。なお、末梢神経の障害が進むにつれ、感覚の喪失や異常が広範囲に及び、患者さんは次第に足の感覚変化を自覚するようになります。
<痛みやジンジンする感覚など関連する症状>
足のしびれに伴い、ピリピリとした痛み、チクチクする感覚、灼熱感などが生じます。特に夜間に症状が悪化することが多く、患者さんは睡眠を妨げられることがあります。また、温度感覚の低下により、熱傷や怪我のリスクが高まるため注意が必要です。
<左右対称に現れる症状の意味>
糖尿病性神経障害による足のしびれは、通常、左右対称に現れます。これは神経障害が全身性であり、両側の末梢神経に同時に影響を与えるためです。なお、両足に同様の症状が現れることは、神経障害の進行が全身的であることを示す重要なサインとなります。
糖尿病における足のしびれは、早期発見と適切な管理が鍵となります。定期的な医療チェックや血糖コントロール、生活習慣の改善によって、症状の進行を抑えることが可能です。異常を感じた場合は、速やかに専門医に相談し、適切な治療を受けることが重要です。
神経障害の診断と検査
続きましては、糖尿病性神経障害の早期発見に向けた、専門的な診断プロセスと検査方法を解説します。
<末梢神経伝導検査の概要と重要性>
末梢神経伝導検査は、神経障害の診断に最も重要な検査の一つです。末梢神経伝導検査では、電気的刺激を神経に与え、神経の伝導速度と信号強度を測定します。この検査により、神経の機能障害の程度や部位を正確に特定でき、糖尿病性神経障害の早期発見と進行度評価に不可欠な情報を提供します。
<問診と神経学的診察の内容>
医師は詳細な問診を通じて、しびれ、痛み、感覚異常の症状を確認します。次に、神経学的診察として、腱反射検査、振動覚検査、触覚検査を実施します。これらの検査により、神経障害による感覚や運動機能の変化を包括的に評価し、患者さんの神経機能の状態を詳細に把握します。
<その他の関連検査(血液検査、眼底検査など)>
血液検査では、HbA1c、血糖値、腎機能、脂質プロファイルなどを確認します。また、眼底検査では、糖尿病による血管障害の有無を評価し、これが神経障害とどのように関連しているかを調べます。これらの検査は、糖尿病が全身に及ぼす影響を包括的に理解し、神経障害の背景要因を把握する上で重要です。
糖尿病性神経障害の早期診断には、包括的な検査アプローチが欠かせません。定期的な検査と適切な管理を行うことで、神経障害の進行を抑え、患者さんの生活の質(QOL)を維持することが可能です。
糖尿病性神経障害の治療法
糖尿病性神経障害の効果的な治療には、包括的なアプローチが不可欠です。ここでは、「糖尿病性神経障害の治療法」について解説します。
<血糖コントロールの基本的アプローチ>
糖尿病性神経障害の根本的な治療は、厳格な血糖管理から始まります。患者さんは、定期的な血糖値モニタリングに加え、食事療法、運動療法、そしてインスリンや経口血糖降下薬を組み合わせた治療を行うことが重要です。特に食事療法では、低糖質かつ栄養バランスの取れた食事を心がけ、炭水化物の摂取を適切にコントロールすることが求められます。一方、運動療法はインスリン感受性を改善し、神経障害の進行を遅らせる効果があるため、積極的に取り入れることが推奨されます。治療の基本は、医療チームと協力しながら、個々の患者さんに適したカスタマイズされた血糖管理計画を策定することにあります。
<薬物療法(アルドース還元酵素阻害薬など)の選択肢>
神経障害の治療には、アルドース還元酵素阻害薬が重要な役割を果たします。これらの薬剤は、高血糖が神経細胞に与える代謝異常を抑制し、神経障害の進行を遅らせる効果が期待されます。また、神経障害に伴う痛みやしびれに対しては、プレガバリンやガバペンチンなどの抗てんかん薬、三環系抗うつ薬が使用されます。これらの薬剤はそれぞれ異なる作用機序と副作用を持つため、患者さんの症状や全身状態に応じて慎重に選択する必要があります。
<痛み・しびれに対する対症療法>
神経障害による痛みやしびれに対しては、多面的なアプローチが求められます。温熱療法やマッサージ、理学療法などの非薬物的治療は、症状緩和に役立つ場合があります。また、局所麻酔薬やカプサイシンを含む外用薬も有効な選択肢です。さらに、鎮痛剤や経皮的電気神経刺激療法(TENS)が適用される場合もあります。加えて、ストレス管理、十分な睡眠、適度な運動が症状の改善を促進する可能性があります。
糖尿病性神経障害の治療には、血糖コントロール、薬物療法、対症療法を組み合わせた包括的なアプローチが重要です。患者さん個々の症状や状態に合わせた、きめ細かな治療計画を立案し実行することで、神経障害の進行を抑制し、生活の質(QOL)の向上につなげることが可能です。
日常生活での対策と予防方法
糖尿病性神経障害の予防には、日常的な健康管理と生活習慣の改善が重要です。
<早期発見のための自己観察と定期健診の重要性>
糖尿病性神経障害を予防する上で、早期発見は極めて重要なポイントです。具体的には、足先のしびれや痛み、感覚異常などの初期症状に細心の注意を払い、些細な変化も見逃さないよう心がけることが大切です。加えて、定期的に神経学的検査や血糖値検査を受けることで、医療専門家と連携しながら症状の進行を早期に把握できます。特に、足の状態を毎日チェックし、傷や感染のリスクを最小限に抑える取り組みが求められます。
<生活習慣の改善と健康的な食生活>
血糖値を安定させ、神経障害のリスクを低減するためには、バランスの取れた食生活と適切な運動が不可欠です。低糖質かつ栄養豊富な食事を心がけ、野菜、魚、全粒穀物などを積極的に取り入れてください。また、定期的な有酸素運動や筋力トレーニングを行うことで、インスリン感受性が向上し、血糖コントロールの改善が期待できます。さらに、アルコールの過剰摂取を避けることや禁煙も、神経障害の予防において重要な要素となります。
<フットケアと日常的な神経保護対策>
糖尿病性神経障害において、足のケアは予防の中心的な役割を果たします。具体的には、足に適した靴を選び、毎日丁寧に洗浄・乾燥を行ってください。また、通気性が良く締め付けの緩い靴下を選び、傷や靴ずれを防ぐ工夫も大切です。さらに、日常的にストレッチやマッサージを取り入れることで、血行促進と神経機能の維持に役立てることができます。
糖尿病性神経障害の予防は、日々の生活習慣と健康管理が基盤です。血糖コントロール、定期健診、適切な食事と運動、そして丁寧なフットケアを実践することで、神経障害のリスクを大幅に低減することが可能です。
糖尿病による足のしびれへの対処法
糖尿病性神経障害による足のしびれは、深刻な健康リスクを伴う症状です。高血糖状態が持続することで末梢神経が徐々に損傷を受け、感覚や運動機能に大きな影響を及ぼします。この神経障害は、痛みやしびれ、感覚喪失を引き起こし、適切な対策を講じなければ、最終的に重大な合併症に発展する可能性があります。そのため、足のしびれを放置することは絶対に避けなければなりません。足のしびれを軽視せず、早期に適切な対応と管理を行うことが、糖尿病患者さんにとって生活の質を維持し、深刻な合併症のリスクを低減する最も重要な戦略となります。また、糖尿病に関連する足のしびれは、早期発見が非常に重要です。少しでも異常を感じた際は、速やかに専門医に相談することを強くお勧めします。なお、当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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糖尿病予備群(境界型糖尿病)の症状や対策について解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。
この記事では、糖尿病の可能性を否定できない者「糖尿病予備群」について解説していきます。
後半部分では「糖尿病予備群にならないための予防法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群にならないための予防法
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。
「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。
しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。
なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。
なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。
糖尿病予備群にならないための予防法
糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。
では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。
また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。
なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。
<有酸素運動>
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。
ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<レジスタンス運動>
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。
レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。
バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。
なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。
<ゆっくり食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<野菜類から食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<アルコールは適量にする>
アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。
しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。
<腹八分目でストップ>
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。
いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。
とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
<間食をしない>
間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。
また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。
そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。
日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。
ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。
後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インスリンとは何か
インスリン療法とは
インスリン療法のしくみ
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン療法の具体的な手法
インスリン療法のメリット
インスリン療法のデメリット
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
インスリンとは何か
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。
糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。
なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。
インスリン療法とは
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。
インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。
頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。
一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。
インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のしくみ
インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。
不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。
なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。
なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。
また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。
血糖自己測定の方法は以下の通りです。
⑴ 血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。
⑵ 血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。
⑶ 指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。
⑷ 血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。
⑸ 残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。
インスリン療法の具体的な手法
インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。
⑴ 注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。
⑵ インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。
⑶ インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。
⑷ ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。
⑸ 注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。
⑹ ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。
⑺ 針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。
※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。
それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。
また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。
ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。
「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のメリット
インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。
インスリン療法のデメリット
残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。
なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。
ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病と高血圧の関係
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病患者さんにおける「高血圧」の頻度は非糖尿病者に比べて約2倍高く、高血圧患者さんにおいても糖尿病の合併頻度は2~3倍高いと報告されています。
この記事では、糖尿病患者さんに向けて「糖尿病と高血圧の関係」を解説していきます。後半部分では「糖尿病と高血圧の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
糖尿病の血圧値について
糖尿病と高血圧予防
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
【糖尿病と高血圧予防】運動
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
糖尿病患者さんは「高血圧になりやすい」といわれています。なぜ糖尿病の方は高血圧になりやすいのでしょうか。糖尿病患者さんが高血圧になりやすいのには、以下の理由があげられます。
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
血糖値が高い状態では、血液の浸透圧が高くなっています。そのため、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓からの水分の吸収が増えたりして、体液・血液量が増加し、血圧が上昇します。
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
2型糖尿病患者さんには肥満が多いのが特徴です。肥満になると交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌されるため、高血圧になります。このようなことから、糖尿病患者さんは高血圧になりやすいと考えられています。
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
インスリン抵抗性とは、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態です。インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」を招きます(インスリン抵抗性自体が糖尿病の原因にもなります)。高インスリン血症では、交感神経の緊張、腎臓でナトリウムが排泄されにくい、血管壁を構成している細胞の成長が促進されるといった現象が起きて、血管が広がりにくくなり、血液量も増え、血圧が高くなるのです。
<高血圧とは?>
高血圧とは、運動したときなどの一時的な血圧上昇とは違い、安静時でも慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。具体的には「収縮期血圧が140mmHg以上」「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合をいい、どちらか一方でもこの値を超えていると高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし放置してしまうと心疾患や脳卒中など生命を脅かす病気につながるため「サイレント・キラー」といわれています。高血圧が引き起こす合併症について知りたい方は「高血圧の症状にお困りの患者の方へ」をご覧ください。
糖尿病の血圧値について
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、糖尿病患者さんの降圧目標を、130/80mmHg未満としています。ただし、高齢者では厳しい血圧コントロールは、ふらつきや起立性低血圧などの原因となる可能性があるため、やや高めに設定されています。高齢者では、それぞれの患者さんの病気の状態に合わせて慎重に血圧コントロールをしていきます。詳しくは「高血圧治療ガイドライン2014」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
糖尿病と高血圧予防
糖尿病と高血圧予防に有効な対策は「食生活の改善」と「運動」です。順番にご説明していきますね。
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
糖尿病と高血圧を予防するためには「食べ方」も大切です。食事する際は以下のポイントに注意してください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント1>野菜類から食べる
野菜類から先に食べることで食後の血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜や豆類などで少しお腹をふくらませておくと、肉類やご飯の量を減らすこともできます。ですので、食事をする際は、野菜類から食べるようにしてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント2>ゆっくり食べる
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント3>規則正しく3食を食べる
1日に2食や、間隔の空き過ぎた食事の取り方はよくありません。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、規則正しく「3食」を食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント4>腹八分目
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
【糖尿病と高血圧予防】運動
運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。なお、おすすめの運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」です。それぞれの運動については下記をご覧ください。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動1>有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動2>レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
運動の頻度は「できれば毎日」少なくとも週に3~5回行うのが良いといわれています。しかし、普段から運動に親しんでいない方(または高齢の方)などでは、急激な運動はかえって体の負担となり、思いがけない事故を引き起こしてしまうこともあります。ですので、無理のない範囲で行なってください。運動は定期的に長く続けられることが秘訣です。自然の中で風景を堪能しながらの「ウォーキング」や楽しく続けられる「スポーツ」など、自分にあった運動の方法を探してみてくださいね。
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2022.10.05
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