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不眠症とお酒(アルコール)の関係性を解説
内科に関する記事です。
この記事では、「睡眠とお酒の関係」について解説していきます。後半部分では「不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方」をご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
睡眠とお酒の関係とは?
アルコールが不眠症に与える影響
不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方
不眠症の他の原因にも目を向けることが重要
お酒は適度な量を目指し、不眠症についてはいつでもご相談ください
睡眠とお酒の関係とは?
アルコールと睡眠の関係について検討した研究によると、適量のアルコールは入眠時間を短縮し、睡眠の深さを増加させる効果があります。しかしながら、これは一時的なものに過ぎません。アルコールの摂取は、むしろ弊害のほうが多いです。具体的には、飲酒によってレム睡眠が減少し、睡眠の後半は眠りが浅くなり、睡眠の質にはかなりの歪みが生じます。また、アルコールの睡眠作用には耐性が生じるため、1週間も飲酒を続けると「入眠時間の短縮」や「深い睡眠の増加」はみられなくなり、睡眠時間は徐々に短縮していきます。そして、飲酒を中断すると、かえって寝つきが悪くなり、睡眠は浅くなります。さらにレム睡眠が反跳性に増加し、これが悪夢の原因にもなります。健康な睡眠を確保するためにも、適度な飲酒を心掛けてください。なお、不眠症の解消のためにアルコールを利用することは、アルコール依存症に進展するリスクを高める可能性がありますので、ご注意くださいね。
アルコールが不眠症に与える影響
アルコールが不眠症に与える影響は次の通りです。
【アルコールが不眠症に与える影響1】睡眠のサイクルを乱す
アルコールは睡眠のサイクルを乱す要因となります。睡眠サイクルは、眠りの深さや浅さが繰り返されるパターンで、このサイクルを正常に辿ることが良質な睡眠につながります。しかし、アルコールの影響によりサイクルが崩れ、睡眠の質が低下することがあります。
【アルコールが不眠症に与える影響2】目覚めたときに疲れを感じる
アルコールの摂取により、脳は深い睡眠段階であるREM(Rapid Eye Movement)睡眠をスキップし、非REM睡眠に過度に留まりがちになります。これにより、睡眠の質が低下し、目覚めたときに疲れを感じることがあります。
【アルコールが不眠症に与える影響3】不眠症が慢性化する可能性がある
アルコールの摂取量や個人の体質によって影響は異なりますが、長期的に過剰なアルコール摂取が続くと、不眠症が慢性化する可能性があります。慢性的な睡眠障害は、日常生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、健康への影響も懸念されますので、ご注意ください。
【アルコールが不眠症に与える影響4】夜中にトイレに行く頻度が増える
アルコールは利尿作用があるため、摂取後に体内の尿の量が増加します。特に就寝前にアルコールを摂取すると、夜間に何度もトイレに起きることが多くなります。夜中にトイレに行く頻度が増えると、睡眠が断続され、睡眠の深さが減少します。また、トイレに起きるたびに眠りが浅くなることで、朝までの継続的な良質な睡眠が妨げられる可能性もあります。
【アルコールが不眠症に与える影響5】睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる
アルコールは筋肉の緊張を緩和するため、喉の筋肉も弛緩しやすくなります。これにより、気道が閉塞しやすくなり、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まることがあります。特に、アルコールの摂取量が多い場合やアルコールと他の抑制剤を併用する場合は、このリスクが増加します。
不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方
不眠症に悩む方は、飲酒習慣の見直しを行うことで睡眠の質を向上させることができます。以下に、不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方をいくつかご紹介します。
【不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方1】飲酒量の抑制
睡眠の質を向上させるためには、アルコールの摂取量を減らすことが重要です。特に寝る前のアルコール摂取は避けてください。睡眠の質を低下させる要因となります。飲酒をする場合は、量を適度に抑え、寝る2〜3時間前には摂取しないよう心掛けてくださいね。なお、適切な飲酒量については、以下をご覧ください。
<厚生労働省の指針>
厚生労働省の指針では、節度ある適切な飲酒を「1日平均・純アルコールで約20g程度」としています。これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中瓶1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、焼酎は0.6合(100ml)、ワインはグラス2杯(180ml)、缶チューハイは1.5缶(520ml)となります。健康にお酒を楽しむには、摂取量を適量に抑えることが大切になりますので、くれぐれも飲みすぎには注意してください。なお、「厚生労働省のホームページ」では、週2日お酒を飲まず、肝臓を休める「休肝日」を推奨しています。休肝日を設けると、アルコール依存症の予防に繋がる他、アルコールによる死亡リスクの低下に繋がります。ですので、なるべく休肝日を設けるようにしてください。
【不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方2】お酒と同量以上のお水を飲む
アルコールの分解にはお水が必要なため、最低でもお酒と同量以上のお水を飲んでください。ひと口飲んだら「お水を飲む」と決めておけば、必然的に飲むスピードも緩やかになり、ゆっくりとお酒を楽しむことにも繋がります。また、お水を飲むことによって、「食べ過ぎ」や「飲み過ぎ」を防ぐ効果が期待できます。適切な水分補給によって、睡眠中の頻繁な目覚めを減らし、睡眠の連続性を保つことができます。
【不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方3】なるべく食事と一緒にお酒を飲む
アルコールは胃を通じて95%が小腸で吸収されますが、食事と一緒に摂取することで、胃でのアルコールの滞留時間が長くなります。このため、小腸でのアルコールの吸収がより均一に分散され、アルコールの血中濃度の急激な上昇を抑えることができます。食事との同時摂取により、睡眠前のアルコールの影響が緩和され、深い睡眠に達しやすくなるかもしれません。適切な食事と一緒にお酒を楽しむことで、より健康的な睡眠を促進してくださいね。
【不眠症改善のための飲酒習慣の見直し方4】飲酒の時間帯を見直す
睡眠の質を向上させるためには、早い時間帯に飲酒し、アルコールが体内から代謝される時間を確保することが大切です。飲酒後、アルコールが体内から完全に排出されるまでには時間がかかります。そのため、就寝前に飲酒を控えることで夜間の目覚めを減らし、睡眠の連続性を保つことができます。
不眠症の他の原因にも目を向けることが重要
飲酒が不眠症の一因である場合、飲酒を見直すだけでなく、不眠症の他の原因にも目を向けることが重要です。ストレス、不規則な生活リズム、精神的な問題など、不眠症の背後には様々な要因が考えられます。原因を特定し、それに合わせた対策を取ることで、より効果的な改善が期待できます。したがって、「睡眠が浅い」「寝付けない」など、睡眠に関して気になる症状がある方は、早い段階で医療機関に相談することをお勧めします。なお、不眠症を引き起こす主な原因については、以下をご覧ください。
【睡眠障害:不眠症の原因1】心理的原因
何らかのストレスに関連して起こる不眠です。
【睡眠障害:不眠症の原因2】身体的原因
身体の病気や症状が原因で起こる不眠です。
【睡眠障害:不眠症の原因3】薬理学的原因
服用している薬や、アルコール、カフェイン、ニコチンなどが原因で起こる不眠です。
【睡眠障害:不眠症の原因4】精神医学的原因
精神や神経の病に伴って起こる不眠です。精神や神経の病には、不眠を伴うことが少なくありません。なかでも不眠になりやすいのは、不安と抑うつになります。
お酒は適度な量を目指し、不眠症についてはいつでもご相談ください
不眠症の解消のためにアルコールを利用することは、アルコール依存症に進展するリスクを高める可能性があります。そのため、不眠症の解消のためにアルコールを利用している方は、早めに専門家に相談することをお勧めします。睡眠不足は単に身体の疲れが残りやすくなるだけでなく、体の病気や心の病気の原因となることもあります。また、睡眠障害自体が“心の病気”の前兆の可能性も考えられます。ですので、「睡眠が浅い」「なかなか寝付けない」など、睡眠に関して気になる症状がある方は放っておかずに、お近くの医療機関に足を運んでください。なお、当院では“不眠症の診療”や“薬の処方”だけでなく、診断書の発行も行っております。不眠で悩んでいる方、あるいは不眠症の症状にお心当たりのある方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2023.07.27
お酒が糖尿病に与える影響について
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病と診断された方は、一般的に“飲酒を控えなければいけない”と言われています。適量以上の飲酒を続けて糖尿病が進行した場合、様々な合併症の危険性が出てくるからです。
この記事では、「お酒が糖尿病に与える影響」について解説していきます。後半部分では「糖尿病の方の適切な飲酒量」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 【目次】
お酒(アルコール)が糖尿病に与える影響
お酒によって糖尿病が悪化する危険性
糖尿病の方の適切な飲酒量
糖尿病の方がお酒を飲む際に気をつけるポイント3つ
糖尿病が不安な方はいつでもご相談ください
お酒(アルコール)が糖尿病に与える影響
お酒(アルコール)はアルコールそのものの作用やアルコールの代謝に伴って、血糖値に影響を与えます。長年の多量飲酒により肝臓や膵臓に障害が加わると、コントロールが難しい糖尿病となるため、糖尿病患者さんは習慣的な多量飲酒は控えるべきです。また、「インスリン注射」や「経口血糖降下薬」で糖尿病治療をうけている方は、低血糖が起こりやすくなるので、食事を摂らずに飲酒をすることは避けてください。「厚生労働省」でも同様の見解を述べています。
お酒によって糖尿病が悪化する危険性
お酒には「百薬の長」ということわざがある通り、適量のアルコール摂取は“身体”や“健康”に良いと言われています。しかしながら、適量を超えて多量のお酒を飲むと話は違います。なぜなら、度を越した過剰なアルコール摂取は高血糖を来たし、糖尿病を発症する危険性が一気に高まってしまうからです。また、糖尿病を発症しているにも関わらず、適量以上の飲酒を続けると、恐ろしい合併症を併発するリスクが高くなります。代表的な合併症は以下の3つです。
<糖尿病腎症>
腎臓に傷みが生じて腎臓の機能が低下することを腎機能低下、腎症などと呼びますが、特に糖尿病が原因で腎臓の機能が低下した場合を、「糖尿病腎症」と呼びます。糖尿病性腎症の初期には、検尿で微量アルブミンが検出され、進行すると持続性の蛋白尿となります。腎機能が低下すると、全身の浮腫や尿毒症などを来たし、透析療法が必要になります。
<糖尿病網膜症>
糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。網膜とは、目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、脳への視神経に伝達する組織で、カメラでいうとフィルムの働きをしています。網膜症は、網膜内の血管に障害が起こり、視力の低下や失明を招く危険な病気です。
<糖尿病神経障害>
神経障害は、糖尿病の三大合併症のひとつです。 症状は、手足のしびれや 痛み、感覚の鈍麻、下痢や便秘を繰り返す、立ちくらみ、味覚が鈍くなる、発汗異常、排尿障害、勃起障害など、様々な形で全身にあらわれます。進行すると無自覚性低血糖や無痛性心筋虚血、壊疽、突然死のような深刻な状態に陥る危険性があります。
糖尿病の方の適切な飲酒量
厚生労働省の指針では、節度ある適切な飲酒を「1日平均・純アルコールで約20g程度」としています。これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中瓶1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、焼酎は0.6合(100ml)、ワインはグラス2杯(180ml)、缶チューハイは1.5缶(520ml)となります。健康にお酒を楽しむには、摂取量を適量に抑えることが大切になりますので、くれぐれも飲みすぎには注意してください。なお、厚生労働省の「飲酒のガイドライン」では、週2日お酒を飲まず、肝臓を休める「休肝日」を推奨しています。休肝日を設けると、アルコール依存症の予防に繋がる他、アルコールによる死亡リスクの低下に繋がります。ですので、なるべく休肝日を設けるようにしてください。
糖尿病の方がお酒を飲む際に気をつけるポイント3つ
ここでは、糖尿病患者さんが「お酒を飲む際に気をつけるポイント」を3つご紹介します。
【糖尿病の方がお酒を飲む際に気をつけるポイント1】お酒と同量以上のお水を飲む
アルコールの分解にはお水が必要なため、最低でもお酒と同量以上のお水を飲んでください。ひと口飲んだら「お水を飲む」と決めておけば、必然的に飲むスピードも緩やかになり、ゆっくりとお酒を楽しむことにも繋がります。また、お水を飲むことによって、「食べ過ぎ」や「飲み過ぎ」を防ぐ効果が期待できます。
【糖尿病の方がお酒を飲む際に気をつけるポイント2】なるべく食事と一緒にお酒を飲む
アルコールは胃を通じて95%が小腸で吸収されます。小腸には絨毛という突起のようなものがあるため、表面積が非常に大きく、「食べたもの」や「飲んだもの」を吸収しやすいのです。そのため、アルコールが胃にとどまる時間を少しでも長くし、小腸に送る時間を遅らせることで、小腸でのアルコールの吸収を和らげることができます。アルコールの血中濃度の急激な上昇を抑えるためにも、食事と一緒にお酒を飲むのが効果的です。
【糖尿病の方がお酒を飲む際に気をつけるポイント3】糖質ゼロに注意
近年、「糖質ゼロ」や「カロリーオフ」を謳った商品が数多く出ています。このような表示のあるお酒は非常に魅力的ですが、残念ながら、「糖質ゼロ」と表示してあっても、「カロリーゼロ」ではありません。なぜなら、健康増進法に基づく栄養表示基準では、「飲料では100mL当りで糖質0.5g未満であれば“糖質ゼロ”と表示でき、熱量(カロリー)が20kcal以下であれば“カロリーオフ”と表示できる」としているからです。詳しくは「消費者庁のホームページ」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
糖尿病が不安な方はいつでもご相談ください
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
2022.11.29
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