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発熱はなぜ起こる?体温が上がる分子メカニズムと受診の目安|都賀の内科クリニックが解説

2026.08.17

「熱が出た」とき、体の中では何が起きているのでしょうか。発熱は体調が崩れた結果ではなく、体が病原体と戦うために「体温の目標値」を自ら引き上げている、きわめて能動的な反応です。この記事では、千葉市若葉区・都賀の内科クリニックである板谷内科クリニックが、発熱が起こる仕組みをPAMPs・サイトカイン・プロスタグランジンE2といった分子レベルまでさかのぼって解説します。悪寒やふるえが起こる理由、解熱剤が効く仕組み、そして「この熱は受診すべきか」を判断するための具体的な目安まで、図解つきでわかりやすくまとめました。

この記事でわかること
  • 発熱が起こる仕組みを分子レベルで理解できる(PAMPs → サイトカイン → PGE2 → EP3受容体)
  • 悪寒・ふるえ・大量の汗がなぜ起こるのか、そのとき温めるべきか冷やすべきかがわかる
  • 解熱剤(NSAIDs/アセトアミノフェン)が効く仕組みと、使い分けの意味がわかる
  • 「この熱は受診すべきか」を判断するための、具体的で実用的な目安がわかる
  • 都賀の内科クリニックで実際に行っている発熱の検査と診療の流れがわかる

専門用語も出てきますが、ひとつずつ図解しながら進みますので、医学の知識がない方でも読み進められる構成にしています。都賀の内科クリニックとして、日々の診療で実際にお伝えしている内容をまとめました。

発熱でお困りの方へ|都賀の内科クリニック

板谷内科クリニックは、千葉市若葉区都賀で内科・糖尿病内科を診療しています。
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01発熱とは?平熱・微熱・高熱の境界線

発熱とは?平熱・微熱・高熱の境界線|都賀の内科クリニックが解説

▲ 体温の区分はあくまで目安。大切なのは「平常時の自分より何℃高いか」です

まず言葉の整理から始めます。日本では一般に37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」として扱うことが多く、感染症法などの公的な基準でもこの数字が使われています。37.0〜37.4℃程度は「微熱」と表現されます。

ただし、都賀の内科クリニックとして患者さんを診ていて強く感じるのは、この数字を絶対視しすぎない方がよいということです。平熱には大きな個人差があり、36.9℃が平熱の方もいれば、35.8℃が平熱の方もいらっしゃいます。平熱35.8℃の方にとっての37.3℃は、数字の上では「微熱」ですが、体感としてはかなりの高熱です。

Pここがポイント

発熱かどうかを判断する軸は「絶対値」ではなく「平熱からの上昇幅」です。ふだんから体調のよいときに体温を測り、自分の平熱を知っておくと、体調不良時の判断がはるかに正確になります。

体温は1日の中でも変動している

体温は一定ではなく、概日リズム(サーカディアンリズム)に従って1日の中で0.5〜1.0℃ほど変動します。一般に明け方の午前4〜6時ごろに最も低く、夕方の16〜18時ごろに最も高くなります。「夕方になると微熱が出る」という訴えは非常によくありますが、この生理的な変動の範囲内であることも少なくありません。

また、測定部位によっても数値は変わります。腋窩(わきの下)は深部体温より0.5℃前後低く出やすく、口腔内、鼓膜、直腸の順に深部体温に近づきます。都賀の内科クリニックでは、ご自宅での測定は毎回同じ体温計・同じ部位・同じ時間帯で行っていただくようお願いしています。条件をそろえないと、変化の意味が読み取れなくなるためです。

区分体温の目安考え方
平熱36.0〜37.0℃前後個人差が大きい。健康なときに複数回測って把握しておく
微熱37.0〜37.4℃生理的変動の可能性もあるが、続く場合は原因検索の対象
発熱37.5〜38.9℃感染症をはじめとする炎症反応が起きている可能性が高い
高熱39.0℃以上つらさが強く、脱水も進みやすい。持病がある方は特に注意

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M「うつ熱」と「発熱」は別のもの

熱中症のように、外部からの熱や運動によって体温が上がってしまう状態は「うつ熱(高体温症)」と呼ばれ、発熱とは機序がまったく異なります。発熱は体が意図して目標体温を上げているのに対し、うつ熱は目標体温はそのままで、放熱が追いつかずに体温が上がってしまう状態です。そのためうつ熱には解熱剤が効きません。冷却と水分補給が対応の中心になります。

02体温を決めているのは脳|視床下部のセットポイント

体温を決めているのは脳|視床下部のセットポイント|都賀の内科クリニック

▲ 体温は脳が決めた「目標値」に向けて調整されています

発熱の分子メカニズムを理解するうえで、最初に押さえておきたいのが「セットポイント」という考え方です。

私たちの体温は、エアコンの温度設定とよく似た仕組みで管理されています。エアコンに「26℃」という設定値があるように、体にも「今、体温を何℃に保つか」という目標値があります。この目標値を決めているのが、脳の視床下部、なかでも視索前野(POA:Preoptic Area)と呼ばれる領域です。

センサーと司令塔の関係

皮膚や内臓、脊髄には温度センサーが分布しています。分子としてはTRPチャネル(TRPM8、TRPV1など)という温度感受性のイオンチャネルが働いており、冷たさや熱さを電気信号に変換して脳へ送っています。視索前野はこの入力を受け取り、「目標体温」と「現在の体温」のズレを計算します。

体温調節のフィードバック回路

01視索前野が目標体温を設定する脳内の体温中枢が「今の目標値」を決めている
02皮膚・深部の温度センサーが現在値を送るTRPチャネルなどが温度を電気信号に変換
03ズレがあれば産熱・放熱を指令する低ければ熱をつくり、高ければ熱を逃がす
04目標値そのものが上がる=発熱センサーは正常。基準が引き上げられている状態

ズレが「現在値が低い」方向であれば、体は産熱を増やします。具体的には、皮膚の血管を収縮させて熱が逃げるのを防ぎ、骨格筋をふるわせ(シバリング)、褐色脂肪組織で熱を産生します。逆に「現在値が高い」方向であれば、放熱を増やします。皮膚血管を拡張し、汗をかいて気化熱で体温を下げるわけです。

P発熱の正体は「目標値の引き上げ」

発熱では、温度センサーが壊れているわけでも、熱がこもっているわけでもありません。視索前野のセットポイント自体が、たとえば37.0℃から39.0℃へと引き上げられているのです。だから体は「まだ2℃足りない」と判断し、必死に熱をつくろうとします。この「まだ足りない」という状態こそが、次に説明する悪寒やふるえの正体です。

03分子メカニズム①|病原体を見つけるPAMPsとTLR

病原体を見つける仕組み|PAMPsとTLR|都賀の内科クリニックが解説

▲ 免疫系が「敵が来た」と認識する最初のステップです

では、なぜセットポイントが引き上げられるのでしょうか。ここから3段階に分けて、分子の連鎖を追っていきます。第一段階は「体が病原体の存在に気づく」過程です。

PAMPs|病原体が持つ共通の目印

細菌やウイルスは、ヒトの細胞には存在しない特徴的な分子構造を持っています。これをPAMPs(Pathogen-Associated Molecular Patterns:病原体関連分子パターン)と呼びます。代表的なものには次のようなものがあります。

  • リポ多糖(LPS/内毒素):グラム陰性菌の外膜に含まれる成分。最も強力な発熱誘導物質のひとつで、外因性発熱物質(外因性パイロジェン)とも呼ばれます
  • ペプチドグリカン・リポタイコ酸:グラム陽性菌の細胞壁成分
  • 二本鎖RNA・一本鎖RNA:ウイルスが増殖するときに現れる核酸。ヒト細胞の細胞質には通常存在しません
  • 非メチル化CpG DNA:細菌やウイルスのDNAに特徴的な配列パターン

TLR|PAMPsを検知するセンサー分子

マクロファージや樹状細胞、好中球といった自然免疫の細胞は、これらのPAMPsを検知するための受容体を備えています。これがPRRs(パターン認識受容体)で、なかでも有名なのがTLR(Toll様受容体)です。

たとえばTLR4はLPSを、TLR3は二本鎖RNAを、TLR7/8は一本鎖RNAを認識します。TLRがPAMPsと結合すると、細胞内でシグナル伝達がドミノ倒しのように進み、最終的にNF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)という転写因子が活性化されます。

NF-κBは、ふだんは細胞質でIκBという抑制タンパクに押さえ込まれています。シグナルが入るとIκBが分解され、解放されたNF-κBが核内へ移動し、炎症に関わる多数の遺伝子のスイッチを一斉にオンにします。この瞬間、次のステップである発熱性サイトカインの生産が始まります。

M感染がなくても発熱するのはなぜ?

実は同じ受容体は、自分自身の壊れた細胞から漏れ出す分子も検知します。これをDAMPs(Damage-Associated Molecular Patterns)と呼びます。心筋梗塞、外傷、手術後、熱中症などで熱が出るのは、このDAMPsが引き金になっているためです。発熱=感染症とは限らないのは、分子レベルで見るとこうした理由があります。

04分子メカニズム②|発熱を起こすサイトカイン

発熱を起こす内因性発熱物質(サイトカイン)|都賀の内科クリニックが解説

▲ 免疫細胞が放出する「発熱の伝令役」たち

NF-κBによってスイッチが入ると、免疫細胞はサイトカインと呼ばれる情報伝達物質を放出します。このうち発熱を引き起こす作用を持つものを内因性発熱物質(内因性パイロジェン)と呼びます。

サイトカイン主な産生細胞発熱・全身症状との関わり
IL-1βマクロファージ、単球最も強力な発熱性サイトカインのひとつ。少量でも強い発熱を起こす。食欲低下や倦怠感にも関与
IL-6マクロファージ、線維芽細胞など発熱に加え、肝臓でのCRP(C反応性蛋白)産生を強く促す。血液検査のCRP上昇はこの働きの結果
TNF-αマクロファージ、T細胞炎症の最初期から放出される。発熱・倦怠感・筋肉痛・食欲低下の中心的存在
インターフェロン(IFN)ウイルス感染細胞、免疫細胞ウイルス感染時に増加。関節痛・悪寒・強い倦怠感の一因とされる

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「インフルエンザの関節痛」の正体

インフルエンザにかかると、熱と同時に関節や筋肉がひどく痛むことがあります。これはウイルスが関節を直接攻撃しているわけではありません。IL-1βやTNF-α、インターフェロンといったサイトカインが全身を巡り、痛覚を過敏にしたり炎症を起こしたりしている結果です。

都賀の内科クリニックの外来でも「熱よりも体の痛みがつらい」という訴えは非常によく聞かれます。分子の視点で見ると、これは体が本気で免疫を動員している証拠でもあります。同時に、こうした全身症状の強さはただのかぜとインフルエンザを見分ける手がかりにもなります。

Dr都賀の内科クリニックより

血液検査で測定するCRPは、IL-6の刺激を受けて肝臓がつくるタンパク質です。つまりCRPは「炎症そのもの」ではなく、炎症の下流にある反応の指標です。上昇までに半日〜1日程度かかるため、発症直後に測ると低く出ることがあります。検査値は必ず「発症から何時間経っているか」とセットで解釈する必要があります。

05分子メカニズム③|最終スイッチはプロスタグランジンE2

最終スイッチはPGE2|脳の目標体温を押し上げる|都賀の内科クリニックが解説

▲ 発熱の最終共通経路。ここが解熱剤の作用点でもあります

さて、サイトカインは血液中を流れていますが、脳には血液脳関門(BBB)という強固なバリアがあり、大きな分子はそのまま脳内へ入れません。では、どうやって視索前野のセットポイントを動かしているのでしょうか。

脳血管の内皮細胞が「中継地点」になる

答えは、脳の血管内皮細胞が中継役を果たしていることにあります。血液中のIL-1βやIL-6が脳血管の内皮細胞に作用すると、その細胞の中で2つの酵素が誘導されます。

  • COX-2(シクロオキシゲナーゼ2):細胞膜由来のアラキドン酸からプロスタグランジンH2をつくる酵素
  • mPGES-1(膜結合型PGE合成酵素1):プロスタグランジンH2からプロスタグランジンE2(PGE2)をつくる酵素

こうして脳血管の内皮でつくられたPGE2は小さな脂質分子なので、脳の実質へと拡散できます。そして視索前野に到達し、そこにあるEP3受容体に結合します。

EP3受容体がブレーキを外す

視索前野には、ふだん産熱を「抑えておく」役割の抑制性ニューロンがあります。PGE2がEP3受容体に結合すると、この抑制性ニューロンの活動が低下します。ブレーキが外れるわけです。

その結果、下流の交感神経系が活性化され、皮膚血管の収縮、シバリング、褐色脂肪組織での熱産生が一斉に始まります。これが「セットポイントの上昇」の実体です。

発熱の分子カスケード(全体像)

01病原体のPAMPsをTLRが検知マクロファージ・樹状細胞がNF-κBを活性化
02IL-1β・IL-6・TNF-αが放出される内因性発熱物質が血流に乗って全身へ
03脳血管内皮でCOX-2・mPGES-1が誘導アラキドン酸からPGE2が合成される
04PGE2が視索前野のEP3受容体に結合抑制性ニューロンが止まり、ブレーキが外れる
05セットポイント上昇 → 産熱開始 → 発熱血管収縮・シバリング・褐色脂肪で熱をつくる

Pこの一点を押さえれば解熱剤が理解できる

PAMPsもサイトカインも種類はさまざまですが、最終的にはほぼすべてが「PGE2」という一点に集約されます。これを発熱の最終共通経路と呼びます。そして、後述する解熱剤の多くは、まさにこのPGE2の産生を止めることで熱を下げています。

06悪寒・ふるえ・熱感はなぜ起こるのか

悪寒・ふるえ・熱感はなぜ起こるのか|都賀の内科クリニックが解説

▲ 同じ「発熱」でも、上がる時期と下がる時期で体の反応は正反対です

ここまでの理解があると、発熱に伴うつらい症状の理由がきれいに説明できます。

体温が上がる途中|悪寒・ふるえ・鳥肌

セットポイントが39.0℃に上がった瞬間、実際の体温はまだ36.5℃です。体は「2.5℃も足りない、寒すぎる」と判断します。だから、部屋が暖かくてもガタガタふるえ、布団を何枚もかぶりたくなるのです。

このとき体内では、皮膚血管の収縮によって手足が冷たく青白くなり、立毛筋が収縮して鳥肌が立ち、骨格筋が細かく収縮を繰り返して(シバリング)熱をつくっています。シバリングは安静時の4〜5倍の熱産生を生み出すとされ、非常に効率のよい産熱手段です。

体温が下がるとき|熱感・発汗・顔のほてり

やがて感染が収まり、あるいは解熱剤が効いてPGE2が減ると、セットポイントは元の37.0℃前後に戻ります。すると今度は、実際の体温39.0℃が「2℃も高すぎる」状態になります。

体は放熱に切り替え、皮膚血管を拡張させて顔が赤くなり、大量の汗をかいて気化熱で体温を下げます。解熱時に汗びっしょりになるのはこのためで、体が正しく働いている証拠です。ただしこの時期は脱水が一気に進むため、水分と電解質の補給がとても重要になります。

!悪寒がある時期に「冷やす」のは逆効果

ガタガタふるえている悪寒期に体を冷やすと、体はさらに熱をつくろうとしてシバリングが強まり、体力を余計に消耗させてしまいます。この時期は毛布や着衣で保温してください。冷やすのは、ふるえがおさまり「暑い」と感じ始めてからにしましょう。都賀の内科クリニックでも、この使い分けは必ずご説明しています。

07発熱は体に有利?免疫を助ける分子的な意味

発熱は体に有利?免疫を助ける分子的な意味|都賀の内科クリニックが解説

▲ 発熱には生体防御としての合理性があります

ここまで読むと、ひとつの疑問が浮かびます。体はなぜ、わざわざエネルギーを使ってまで体温を上げるのでしょうか。

発熱という反応は、哺乳類だけでなく爬虫類や魚類にも見られます。トカゲに細菌を感染させると、より暖かい場所へ移動して体温を上げようとすることが知られています。進化の過程で長く保存されてきた反応であり、それだけ生存上の利点があると考えられています。

発熱がもたらす免疫上の利点

  • 病原体の増殖を抑える:多くの細菌やウイルスは、ヒトの平熱付近で最も効率よく増殖するよう最適化されています。体温が数℃上がるだけで増殖速度が落ちるものがあります
  • 免疫細胞の働きが高まる:好中球やリンパ球の遊走能・貪食能が上昇し、リンパ球がリンパ節へ集まりやすくなることが報告されています
  • 熱ショックタンパク(HSP)が増える:細胞を保護すると同時に、抗原提示を助けて獲得免疫の立ち上がりを支えます
  • 鉄・亜鉛の血中濃度が下がる:細菌の増殖に必要な金属イオンを隠す「栄養免疫」と呼ばれる仕組みが働きます

Dr都賀の内科クリニックより

「熱は無理に下げない方がいい」という話を聞いたことがあるかもしれません。理論的には上記のような利点がありますが、実際の診療では利点と消耗のバランスで考えます。高熱が続けば体力・水分・食欲が失われ、心臓や腎臓に持病のある方では負担が大きくなります。当院では「熱の数字を下げること」ではなく「つらさを軽くして、休息と水分摂取ができる状態にすること」を目的に解熱剤をご提案しています。

08感染症だけではない|発熱を起こす4つの領域

感染症だけではない|発熱を起こす4つの領域|都賀の内科クリニックが解説

▲ 長引く発熱では、感染症以外の可能性も検討します

発熱の原因は感染症が圧倒的に多いのですが、それだけではありません。原因を体系的に整理すると、大きく4つの領域に分けられます。

領域代表的な疾患・原因特徴
感染症かぜ症候群、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、扁桃炎、肺炎、尿路感染症、胆道感染、蜂窩織炎など最も頻度が高い。多くは数日で軽快する
炎症性・自己免疫疾患関節リウマチ、成人スチル病、血管炎、膠原病、炎症性腸疾患など発熱が長引き、関節痛・皮疹・体重減少を伴うことがある
薬剤性・内分泌ほか薬剤熱、ワクチン接種後の反応、甲状腺機能亢進症、副腎不全、深部静脈血栓症など新しい薬の開始時期との関連が手がかりになる
悪性腫瘍(腫瘍熱)悪性リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝細胞癌など原因不明の発熱が続く場合に鑑別へ挙がる

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不明熱(FUO)という考え方

38.3℃以上の発熱が3週間以上続き、一定の検査を行っても原因が特定できない状態を不明熱(FUO:Fever of Unknown Origin)と呼びます。原因の内訳としては感染症、悪性腫瘍、膠原病がそれぞれ一定の割合を占め、詳しい問診と段階的な検査が必要になります。

都賀の内科クリニックでは、熱が長引く場合に「いつから」「どのくらいの高さで」「1日の中でどう変動するか」「どんな症状を伴うか」「最近始めた薬はあるか」「渡航歴・動物との接触はあるか」といった情報を丁寧に伺います。これらが診断の大きな手がかりになるためです。可能であれば、体温を記録した用紙やスマートフォンのメモをお持ちいただくと、診療が格段にスムーズになります。

09解熱剤はどう効く?分子レベルの作用の違い

解熱剤はどう効く?分子レベルの作用の違い|都賀の内科クリニックが解説

▲ 作用点が違うため、使い分けにも意味があります

ここまで理解できていれば、解熱剤の効き方は自然に説明できます。発熱の最終共通経路はPGE2でした。ならば、PGE2をつくらせなければ熱は下がります。

NSAIDs|COXを阻害してPGE2を減らす

ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、PGE2の合成酵素であるCOX(シクロオキシゲナーゼ)を阻害します。PGE2が減れば視索前野のEP3受容体への刺激が減り、セットポイントが下がって熱が下がるわけです。

同時に、炎症の場でもPGE2が減るため、抗炎症作用・鎮痛作用も得られます。関節痛や喉の痛みが強いときに効果を実感しやすいのはこのためです。

一方で、COXは胃粘膜を守るプロスタグランジンや、腎血流を保つプロスタグランジンもつくっています。そのためNSAIDsには胃粘膜障害や腎機能への影響という副作用があり、脱水状態での使用や、腎機能が低下している方、高齢の方では特に注意が必要です。

アセトアミノフェン|主に中枢に作用する

アセトアミノフェン(カロナールなど)は、末梢での抗炎症作用はほとんどありませんが、主に中枢神経系に作用して解熱・鎮痛効果を発揮します。胃腸への負担が少なく、小児や妊娠中の方でも比較的選択しやすい薬です。

ただし過量投与では肝障害を起こすため、市販のかぜ薬との重複には注意が必要です。市販薬にもアセトアミノフェンが含まれていることが多く、知らずに併用すると総量が過剰になります。

比較項目NSAIDs(ロキソプロフェン等)アセトアミノフェン
主な作用点末梢+中枢のCOX阻害主に中枢に作用
抗炎症作用あり(強い)ほとんどない
胃への負担比較的大きい少ない
腎機能への影響注意が必要(特に脱水時)比較的少ない
主な注意点胃潰瘍、腎障害、喘息発作の誘発過量による肝障害、市販薬との重複

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!お薬の選択は必ず医師・薬剤師にご相談を

解熱剤は「どれでも同じ」ではありません。持病、内服中の薬、年齢、脱水の程度によって適切な選択は変わります。特に、腎機能が低下している方、胃潰瘍の既往がある方、抗凝固薬を服用中の方、妊娠中・授乳中の方は自己判断を避けてください。都賀の内科クリニックでは、お薬手帳をご持参いただければ併用の可否まで確認いたします。

10発熱時のセルフケア|水分・冷やし方・栄養

発熱時のセルフケア|水分・冷やし方・栄養|都賀の内科クリニックが解説

▲ 分子メカニズムを踏まえると、ケアの理由も納得できます

1|水分と電解質をこまめに

体温が1℃上がるごとに、基礎代謝はおよそ10〜13%増加するとされ、不感蒸泄(皮膚や呼気から失われる水分)も増えます。さらに解熱期には大量の発汗が加わります。水だけを大量に飲むと血中ナトリウムが薄まることがあるため、経口補水液やスープなど、塩分を含む水分を少量ずつ頻回に摂ることをおすすめします。

2|冷やすタイミングを間違えない

前述のとおり、悪寒・ふるえがある間は保温、暑いと感じ始めたら冷却が原則です。冷やす場合は、額よりも首の側面、脇の下、脚の付け根など太い血管が皮膚に近い場所を冷やす方が効率的です。ただし冷やしすぎて不快になるようであれば無理は不要です。

3|食事は「食べられるもの」を優先

発熱時はサイトカインの作用で食欲が落ちます。これも生体反応の一部なので、無理に食べる必要はありません。おかゆ、うどん、ゼリー、果物など消化のよいものを少量ずつ。食べられないときは、まず水分と糖分・塩分の確保を優先してください。

4|解熱剤は「つらさを取る」ために使う

解熱剤の目的は数字を下げることではなく、痛みや不快感を和らげ、眠れて水分が摂れる状態をつくることです。熱があっても本人が比較的元気で水分が摂れているなら、必ずしも使う必要はありません。

  • 室温は20〜25℃前後、湿度は50〜60%を目安に保つ
  • 厚着をしすぎない(特に小児は熱がこもりやすい)
  • 入浴は体調に応じて。短時間のシャワーで汗を流す程度なら差し支えないことが多い
  • 職場・学校への復帰は、疾患ごとの基準に従う(インフルエンザなどは出席停止期間の定めがある)

11この発熱はすぐ受診を|見逃せない危険なサイン

この発熱はすぐ受診を|見逃せない危険なサイン|都賀の内科クリニックが解説

▲ 熱の高さよりも「全身状態」が重要な判断材料です

都賀の内科クリニックとして最もお伝えしたいのは、「熱の数字」より「全身の状態」を見てくださいということです。39℃でも会話ができて水分が摂れている方より、37.8℃でもぐったりして反応が鈍い方の方が、はるかに緊急度が高い場合があります。

すぐに医療機関へ(救急受診を検討)

  • 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんがある
  • 息が苦しい、呼吸が浅く速い、唇や爪が紫色になっている
  • 水分がまったく摂れない、半日以上尿が出ていない
  • 強い頭痛と嘔吐、首が硬くて前に曲げられない(髄膜炎を疑う所見)
  • 紫色の点状の発疹が出てきた、皮膚のどこかが急速に赤く腫れて激しく痛む
  • 血圧が下がっている、手足が冷たく皮膚がまだらになっている

早めに内科を受診したいケース

  • 38℃以上の発熱が4日以上続いている
  • いったん下がった熱がふたたび上がってきた(二峰性の発熱)
  • 糖尿病、慢性腎臓病、心不全、呼吸器疾患などの持病がある
  • 免疫を抑える薬(ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗がん剤)を使用中
  • 高齢の方(熱が上がりにくく、重症でも微熱にとどまることがある)
  • 咳、喉の痛み、腹痛、背部痛、排尿時痛など、はっきりした症状を伴う
  • 最近新しい薬を始めた、または海外渡航歴がある

!高齢の方・持病のある方は「熱が低い」ことが安心材料になりません

高齢の方では、重い感染症でも体温が上がりきらず37℃台にとどまる、あるいは平熱のままということがあります。この場合、「なんとなく元気がない」「食事量が減った」「急に動けなくなった」といった変化が唯一のサインになることがあります。糖尿病をお持ちの方も感染が重症化しやすいため、早めのご相談をおすすめします。

12都賀の内科クリニックで行う発熱の検査と流れ

都賀の内科クリニックで行う発熱の検査と流れ|板谷内科クリニック

▲ 問診と診察で原因を絞り込み、必要な検査を選択します

板谷内科クリニックは、千葉市若葉区都賀にある内科クリニックとして、発熱の診療を日常的に行っています。実際の流れをご紹介します。

STEP1|問診で熱の「物語」を組み立てる

発熱診療で最も重要なのは問診です。いつから、どのくらいの高さで、1日の中でどう変動し、どんな症状を伴うか。さらに、周囲での流行状況、渡航歴、動物との接触、新しく始めた薬、持病と内服薬。これらを組み合わせることで、原因の候補は大きく絞り込めます。

STEP2|診察で「感染の場所」を探す

体温だけでは原因はわかりません。咽頭の所見、扁桃の腫れ、頸部リンパ節、胸部の聴診、腹部の圧痛、背部の叩打痛、皮膚の発疹、関節の腫れなどを確認し、どの臓器で炎症が起きているのかを探ります。

STEP3|必要に応じた検査

  • 迅速抗原検査:インフルエンザ、新型コロナウイルス、溶連菌など
  • 血液検査:白血球数と分画、CRP、肝機能・腎機能、電解質など。細菌性かウイルス性かの推定や、脱水・臓器障害の評価に用います
  • 尿検査:尿路感染症の評価に有用です
  • 胸部X線検査:肺炎の有無を確認します

STEP4|治療と経過観察、必要時は連携医療機関へ

原因に応じて、対症療法、抗ウイルス薬、抗菌薬などを選択します。ウイルス性のかぜに抗菌薬は効きませんので、当院では必要性を見極めたうえで処方しています。入院や専門的な検査が必要と判断した場合は、連携医療機関へご紹介いたします。

熱が続く・つらい症状がある方はご相談ください

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13発熱についてよくあるご質問

解熱剤を使うと治りが遅くなりますか?

一般的なかぜやインフルエンザにおいて、適切な用量の解熱剤で治癒が明らかに遅れるという結論は得られていません。理論上は発熱の免疫的な利点を減らす可能性が指摘されていますが、臨床的な影響は限定的と考えられています。つらさが強くて眠れない、水分が摂れないという状況の方が、回復にとって不利です。都賀の内科クリニックでは、症状の程度に応じた使用をおすすめしています。

熱が上がったり下がったりを繰り返すのはなぜですか?

サイトカインやPGE2の産生は一定ではなく、波があります。また体温には本来1日の中での変動(夕方に高くなる)があるため、感染が続いている間は上下を繰り返すのが自然です。ただし、いったん平熱に戻って数日経ってから再び発熱する「二峰性の発熱」は、細菌の二次感染などの可能性があり、受診をおすすめします。

汗をたくさんかけば熱は下がりますか?

順序が逆です。「汗をかいたから熱が下がる」のではなく、「セットポイントが下がったから、体が放熱のために汗をかいている」のが正しい理解です。厚着をして無理に汗を出しても、セットポイントが高いままなら熱は下がらず、脱水だけが進みます。むしろ危険ですので避けてください。

体温計はどこで測るのが正確ですか?

厳密には直腸温が深部体温に最も近いのですが、日常では腋窩(わきの下)で十分です。大切なのは毎回同じ条件で測ること。わきの汗を拭き、体温計の先端をわきのくぼみの中央に下から斜めに当て、腕をしっかり閉じます。運動後、入浴後、食後すぐは高めに出るため、30分ほど空けてから測定してください。

抗生物質(抗菌薬)を出してもらえば早く治りますか?

抗菌薬は細菌に対する薬で、ウイルスにはまったく効きません。かぜの原因の大半はウイルスですので、抗菌薬を使っても治りは早くならず、下痢などの副作用や薬剤耐性菌の問題が生じます。細菌感染が疑われる所見があるかどうかを診察と検査で判断し、必要な方にのみ処方するのが、都賀の内科クリニックの基本方針です。

ワクチン接種後の発熱も同じ仕組みですか?

はい、基本的な分子メカニズムは同じです。ワクチンによって免疫系が刺激されると、IL-1βやIL-6などのサイトカインが放出され、PGE2を介してセットポイントが上がります。接種後の発熱は、免疫が正常に反応している証拠とも言えます。多くは1〜2日で軽快しますが、高熱が続く、あるいは他の症状を伴う場合はご相談ください。

都賀の内科クリニックで発熱の相談をする際、持参するとよいものはありますか?

お薬手帳は必ずお持ちください。併用の可否や薬剤熱の判断に役立ちます。加えて、体温の記録(測った時刻と数値)、健診結果、他院での検査結果があると診断の精度が上がります。スマートフォンのメモや写真でも構いません。

14まとめ

発熱は「体が目標体温を上げている」サイン|都賀の内科クリニックが解説

▲ 発熱の正体は、脳のセットポイントの上昇です

発熱は、体が病原体と戦うために意図的に体温の目標値を引き上げている現象です。分子レベルでは、次のような一本の道筋でつながっています。

この記事のポイント

  • 発熱=視床下部のセットポイント上昇。センサーの故障でも、熱のこもりでもありません
  • 分子の流れはPAMPs → TLR → NF-κB → IL-1β・IL-6・TNF-α → COX-2/mPGES-1 → PGE2 → EP3受容体
  • 悪寒・ふるえは体温を上げている途中発汗・熱感は下げている途中のサイン。冷やす/温めるはこれで判断する
  • NSAIDsはCOXを阻害してPGE2を減らし、アセトアミノフェンは主に中枢に作用する。作用点が違うので使い分けに意味がある
  • 判断の軸は熱の高さではなく全身状態。意識、呼吸、水分摂取、尿量を確認する
  • 発熱は感染症だけが原因ではない。長引く熱は原因検索が必要

熱が出たときは不安になりますが、体の中では非常に精密な仕組みが働いています。とはいえ、その反応が過剰になったり、原因が重い病気だったりする場合もあります。判断に迷うとき、熱が長引くとき、持病をお持ちの方は、どうぞお早めにご相談ください。

板谷内科クリニックは、千葉市若葉区都賀の内科クリニックとして、発熱をはじめとする内科全般の診療を行っています。都賀駅からすぐの立地ですので、体調がすぐれないときにもお越しいただきやすい環境です。地域のかかりつけ医として、皆さまの健康を支えてまいります。

板谷内科クリニック|都賀の内科クリニック
所在地
〒264-0025 千葉県千葉市若葉区都賀3丁目9-1 都賀M3ビル1F
電話番号
043-234-0220
診療科目
内科/糖尿病・代謝内科/呼吸器内科/循環器内科/内分泌内科/アレルギー内科/各種検診
診療時間
午前 8:30〜12:15/午後 14:00〜17:00
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※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療に代わるものではありません。症状が心配な場合は医療機関を受診してください。参考:厚生労働省「感染症情報」