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傷が治りにくいのは糖尿病のサイン?血流・神経・免疫から考える回復遅延の原因と対策
2026.08.26
「ちょっとした傷なのになかなか治らない…」「いつの間にか傷が悪化していた…」そんな経験に心当たりはありませんか。実は、この症状が糖尿病の重要なサインである可能性があります。傷が治りにくい背景には「血流・神経・免疫」という3つの機能の低下が深く関与しています。また、それぞれの機能が低下することで、傷の修復が妨げられ、気づかないうちに悪化するリスクも高まります。この記事では、そのメカニズムと日常生活で注意すべきポイントを詳しく解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。
【目次】
健康な人と糖尿病患者で傷の治り方が違う理由
糖尿病で傷が治りにくくなる3つの原因
特に注意が必要な「足の傷」(糖尿病足病変)
こんな傷・症状があれば受診を|チェックリスト
傷が治りにくいと感じたら何科を受診すればよいか
まとめ
健康な人と糖尿病患者で傷の治り方が違う理由

そもそも、傷はどのように治るのでしょうか。まず、健康な人の傷の治癒プロセスを確認してください。
通常の傷の治癒プロセス
・止血期:傷口の血液が固まり、出血を止めます
・炎症期:免疫細胞が集まり、細菌や異物を排除します
・増殖期:新しい細胞が生成され、傷口が塞がれていきます
・リモデリング期:皮膚が再構築され、傷跡が目立たなくなります
健康な人では、上記の4つのステップがスムーズに進み、小さな傷であれば数日から1週間程度で回復します。しかし糖尿病の患者では、高血糖状態が続くことでこの各ステップに支障をきたします。止血がうまくいかず、炎症期では免疫細胞の働きが鈍くなります。また、増殖期に必要な細胞の生成も滞り、リモデリング期まで正常に進みにくくなります。さらに、血流や神経・免疫機能の低下が重なることで、傷の回復はより一層遅れてしまいます。では、なぜ糖尿病になるとこれほどまでに傷が治りにくくなるのでしょうか。その背景には、「血流・神経・免疫」という3つの機能低下が深く関わっています。
糖尿病で傷が治りにくくなる3つの原因

糖尿病の患者では、傷がなかなか治らない原因があります。その背景には、高血糖が長期間続くことで引き起こされる「血流・神経・免疫」3つの機能低下が深く関わっています。それぞれのメカニズムを詳しく解説しますので、ぜひ確認してください。
血流障害(細小血管・大血管のダメージ)
高血糖状態が続くと、全身の血管壁が少しずつ傷つき、細い血管が狭くなったり詰まったりしていきます。血流が低下すると、傷の修復に欠かせない酸素や栄養分、そして免疫細胞が傷口に届きにくくなり、治癒のプロセスが大幅に遅れてしまいます。また、心臓から遠い足先ほど血流が届きにくいため、足の傷は特に重症化しやすい傾向があります。糖尿病患者に足のトラブルが多いのは、こうした血流障害が深く関係しています。
神経障害(感覚鈍麻で傷に気づかない)
高血糖が末梢神経にダメージを与えると、足や手の感覚が徐々に鈍くなっていきます。痛みや熱さを感じにくくなるため、靴ずれや小さな切り傷、やけどに気づかないまま放置してしまうことがあります。さらに、傷の存在に気づかない間に細菌が侵入し、感染や潰瘍へと進行してしまうケースも少なくありません。「痛くないから大丈夫」という判断が、重大なリスクにつながる可能性があることを覚えておいてください。
免疫機能の低下(感染リスクの上昇)
高血糖の状態では、細菌と戦う白血球の働きが抑制され、体の感染への抵抗力が低下します。傷口から細菌が侵入した場合、通常であれば軽度の炎症で済むところが、蜂窩織炎や壊死性筋膜炎といった重篤な感染症へと発展するリスクがあります。加えて、血流障害による酸素不足も重なることで、感染した組織の回復はさらに困難になります。健康な人では問題にならないような小さな傷でも、糖尿病の患者では決して油断できません。
糖尿病で傷が治りにくくなる背景には、血流障害・神経障害・免疫機能の低下という3つの原因が複雑に絡み合っています。そのため、小さな傷でも軽視せず、早めに適切なケアをすることが大切です。また、日頃から血糖値のコントロールを意識することが、傷の悪化を防ぐ最大の予防策となります。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
特に注意が必要な「足の傷」(糖尿病足病変)

糖尿病の合併症の中でも、特に深刻なリスクをもたらすのが「糖尿病足病変(diabetic foot)」です。神経障害・血流障害・免疫機能の低下という3つの問題が重なることで、足に潰瘍や壊疽が生じやすくなります。糖尿病の患者は感覚が鈍くなっているため、靴ずれや小石による小さな傷でも気づかないことがあります。そのため、傷が悪化してから初めて異変に気づくケースが非常に多く、発見が遅れるほど治療は困難になります。また、血流障害によって組織への酸素供給が不足した状態では、感染した組織が壊死へと進行するリスクも高まります。実際に、足潰瘍や壊疽は糖尿病患者における下肢切断の最も多い原因のひとつとされており、日本創傷外科学会のデータでも糖尿病は下肢切断に至る主要な基礎疾患として挙げられています。こうした深刻な事態を防ぐために、日常的なフットケアが非常に重要です。まず、毎日足全体を丁寧に観察し、傷・赤み・腫れ・変色がないかを確認してください。次に、皮膚の乾燥はひび割れや傷の原因となるため、入浴後には保湿クリームを使ってしっかりと保湿することが大切です。また、合わない靴は靴ずれや圧迫による傷の原因となりますので、足にフィットした靴を選ぶようにしてください。加えて、自分では気づきにくい足の状態を定期的に医療機関でチェックしてもらうことも、早期発見・早期治療につながります。「これくらいの傷なら大丈夫」という判断が、取り返しのつかない結果を招くことがあります。糖尿病がある場合、小さな傷でも決して軽視しないでください。少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。なお、糖尿病足病変を含む合併症全般の種類や予防方法については「糖尿病合併症の種類と予防方法」でより詳しく解説していますので、ぜひ合わせて確認してください。日本創傷外科学会のデータ
こんな傷・症状があれば受診を|チェックリスト

傷の治りにくさや足のしびれは、糖尿病のサインである可能性があります。以下のチェックリストを確認して、該当する項目がないか確認してください。
受診を検討すべき症状チェックリスト
・1〜2週間経っても改善しない傷、切り傷がある
・傷口が赤く腫れている、膿が出ている、臭いがある
・足や手の感覚が鈍い、しびれがある
・足が冷たい、皮膚の色が悪い(青白い・黒ずんでいる)
・足に変形やタコ、魚の目がある
・傷ができてもなかなか痛みを感じない
・健康診断で血糖値、HbA1cの異常を指摘されたことがある
・最近、傷の回復が以前より遅くなったと感じる
上記のうち、一つでも当てはまる項目がある場合は、できるだけ早めに医療機関を受診してください。糖尿病による合併症は、早期に発見し適切な治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。また、「たった一つだけだから大丈夫」と自己判断せず、些細な変化でも医師に相談することが大切です。特に、傷口から膿が出ている・皮膚が黒ずんでいるといった症状がある場合は、感染や壊疽が進行している可能性があります。そのため、一刻も早く受診するようにしてください。加えて、糖尿病の診断を既に受けている方は、症状が軽くても定期的な受診を怠らないようにしてください。なお、傷の治りにくさ以外にも、糖尿病にはさまざまな初期症状が現れることがあります。気になる症状がある方は「糖尿病の初期症状が出た方はいつでも当院にご相談ください」もぜひ参考にしてください。
傷が治りにくいと感じたら何科を受診すればよいか

傷がなかなか治らないと感じたとき、「どの科に行けばいいのかわからない」と迷う方は少なくありません。傷の状態や症状によって適切な受診先が異なりますので、以下を参考に受診先を検討してください。まず、傷口の赤みや腫れ、皮膚のただれなど、皮膚症状が主体である場合は、皮膚科または形成外科への受診が適しています。皮膚科では感染や炎症への対処、形成外科では傷の修復や瘢痕治療を専門的に行っています。そのため、見た目の変化が気になる段階では、これらの科への受診を検討してください。また、糖尿病の診断をまだ受けていない方や、健康診断で血糖値の異常を指摘されたことがある方は、内科(一般内科・糖尿病内科)への受診をおすすめします。傷の治りにくさが糖尿病によるものであれば、血糖コントロールを行わない限り、傷の治療だけを続けても再発や悪化を繰り返す可能性があります。根本的な原因に向き合うためにも、内科での診察を受けてください。さらに、足に潰瘍や壊疽の疑いがある場合は、早急に内科を受診し、必要に応じて血管外科や形成外科への紹介を受けることが重要です。血流障害が進行している場合は、外科的な処置が必要になるケースもあります。なお、どの科に行くべきか迷った場合は、まずかかりつけの内科医に相談することが、最も確実な第一歩となります。傷だけを治療しても、血糖値のコントロールが不十分なままでは、同じ問題が繰り返されます。傷の治りにくさを感じたら、表面的なケアにとどまらず、その背景にある血糖の状態にも目を向けることが大切です。血糖値の基準や健康診断で異常を指摘された際の対応については「健康診断で血糖値が高いと言われたら|正常値・判断基準・次にすべき行動を解説」で詳しく解説していますので、ぜひ合わせて確認してください。
まとめ

傷の回復を妨げる主な原因は、血流障害・神経障害・免疫機能の低下という3つの機能低下です。これらが複合的に重なることで、小さな傷でも治癒が遅れ、気づかないうちに悪化するリスクが高まります。特に足の傷は注意が必要です。神経障害によって痛みを感じにくくなっているため、傷の存在自体に気づかないことがあります。また、血流障害が加わることで組織への酸素供給が不足し、感染から潰瘍・壊疽へと急速に進行するケースもあります。壊疽が進行した場合、下肢切断を余儀なくされる可能性もあるため、早期発見・早期受診が非常に重要です。「たかが傷」と軽視せず、治りが遅いと感じたら、まず医療機関への受診を検討してください。そのうえで、血糖値のコントロールを含めた根本的な治療に取り組むことが、再発防止と健康維持につながります。千葉市都賀周辺にお住まいの方で、傷の治りにくさや血糖値の異常が気になる方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。なお、当院では血液検査による血糖値の確認をはじめ、診察・生活指導まで一貫してサポートしています。加えて、糖尿病の早期発見・早期治療に力を入れており、患者一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を心がけています。「まだ大丈夫」と思わず、気になる症状があれば早めに受診してください。
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糖尿病予備群(境界型糖尿病)の症状や対策について解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。
この記事では、糖尿病の可能性を否定できない者「糖尿病予備群」について解説していきます。
後半部分では「糖尿病予備群にならないための予防法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群にならないための予防法
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。
「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。
しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。
なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。
なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。
糖尿病予備群にならないための予防法
糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。
では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。
また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。
なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。
<有酸素運動>
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。
ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<レジスタンス運動>
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。
レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。
バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。
なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。
<ゆっくり食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<野菜類から食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<アルコールは適量にする>
アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。
しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。
<腹八分目でストップ>
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。
いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。
とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
<間食をしない>
間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。
また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。
そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。
日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。
ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。
後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インスリンとは何か
インスリン療法とは
インスリン療法のしくみ
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン療法の具体的な手法
インスリン療法のメリット
インスリン療法のデメリット
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
インスリンとは何か
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。
糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。
なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。
インスリン療法とは
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。
インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。
頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。
一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。
インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のしくみ
インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。
不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。
なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。
なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。
また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。
血糖自己測定の方法は以下の通りです。
⑴ 血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。
⑵ 血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。
⑶ 指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。
⑷ 血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。
⑸ 残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。
インスリン療法の具体的な手法
インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。
⑴ 注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。
⑵ インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。
⑶ インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。
⑷ ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。
⑸ 注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。
⑹ ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。
⑺ 針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。
※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。
それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。
また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。
ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。
「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のメリット
インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。
インスリン療法のデメリット
残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。
なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。
ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病と高血圧の関係
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病患者さんにおける「高血圧」の頻度は非糖尿病者に比べて約2倍高く、高血圧患者さんにおいても糖尿病の合併頻度は2~3倍高いと報告されています。
この記事では、糖尿病患者さんに向けて「糖尿病と高血圧の関係」を解説していきます。後半部分では「糖尿病と高血圧の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
糖尿病の血圧値について
糖尿病と高血圧予防
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
【糖尿病と高血圧予防】運動
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
糖尿病患者さんは「高血圧になりやすい」といわれています。なぜ糖尿病の方は高血圧になりやすいのでしょうか。糖尿病患者さんが高血圧になりやすいのには、以下の理由があげられます。
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
血糖値が高い状態では、血液の浸透圧が高くなっています。そのため、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓からの水分の吸収が増えたりして、体液・血液量が増加し、血圧が上昇します。
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
2型糖尿病患者さんには肥満が多いのが特徴です。肥満になると交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌されるため、高血圧になります。このようなことから、糖尿病患者さんは高血圧になりやすいと考えられています。
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
インスリン抵抗性とは、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態です。インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」を招きます(インスリン抵抗性自体が糖尿病の原因にもなります)。高インスリン血症では、交感神経の緊張、腎臓でナトリウムが排泄されにくい、血管壁を構成している細胞の成長が促進されるといった現象が起きて、血管が広がりにくくなり、血液量も増え、血圧が高くなるのです。
<高血圧とは?>
高血圧とは、運動したときなどの一時的な血圧上昇とは違い、安静時でも慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。具体的には「収縮期血圧が140mmHg以上」「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合をいい、どちらか一方でもこの値を超えていると高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし放置してしまうと心疾患や脳卒中など生命を脅かす病気につながるため「サイレント・キラー」といわれています。高血圧が引き起こす合併症について知りたい方は「高血圧の症状にお困りの患者の方へ」をご覧ください。
糖尿病の血圧値について
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、糖尿病患者さんの降圧目標を、130/80mmHg未満としています。ただし、高齢者では厳しい血圧コントロールは、ふらつきや起立性低血圧などの原因となる可能性があるため、やや高めに設定されています。高齢者では、それぞれの患者さんの病気の状態に合わせて慎重に血圧コントロールをしていきます。詳しくは「高血圧治療ガイドライン2014」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
糖尿病と高血圧予防
糖尿病と高血圧予防に有効な対策は「食生活の改善」と「運動」です。順番にご説明していきますね。
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
糖尿病と高血圧を予防するためには「食べ方」も大切です。食事する際は以下のポイントに注意してください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント1>野菜類から食べる
野菜類から先に食べることで食後の血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜や豆類などで少しお腹をふくらませておくと、肉類やご飯の量を減らすこともできます。ですので、食事をする際は、野菜類から食べるようにしてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント2>ゆっくり食べる
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント3>規則正しく3食を食べる
1日に2食や、間隔の空き過ぎた食事の取り方はよくありません。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、規則正しく「3食」を食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント4>腹八分目
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
【糖尿病と高血圧予防】運動
運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。なお、おすすめの運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」です。それぞれの運動については下記をご覧ください。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動1>有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動2>レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
運動の頻度は「できれば毎日」少なくとも週に3~5回行うのが良いといわれています。しかし、普段から運動に親しんでいない方(または高齢の方)などでは、急激な運動はかえって体の負担となり、思いがけない事故を引き起こしてしまうこともあります。ですので、無理のない範囲で行なってください。運動は定期的に長く続けられることが秘訣です。自然の中で風景を堪能しながらの「ウォーキング」や楽しく続けられる「スポーツ」など、自分にあった運動の方法を探してみてくださいね。
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2022.10.05
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