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脂質異常症の原因とは?食生活・肥満・遺伝・病気との関係や改善方法を解説

2026.08.26

健康診断で「LDLコレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と指摘され、原因が気になっている患者は少なくありません。脂質異常症は、食生活の乱れだけで起こるわけではありません。遺伝的な体質や運動不足、喫煙・飲酒などの生活習慣、さらには他の病気や服用中の薬剤が関係している場合もあります。そのため、原因を正しく理解することが、改善への第一歩になります。この記事では、脂質異常症を引き起こす主な原因を整理しながら、生活習慣でできる改善策、そして検査や治療が必要になるケースについても詳しく解説いたします。

【目次】
脂質異常症とは
脂質異常症になる主な原因
遺伝が原因となる脂質異常症もある
他の病気が原因となる脂質異常症
薬が原因となる場合もある
脂質の種類によって考えられる原因は異なる
脂質異常症を放置するとどうなる?
脂質異常症の原因を調べる検査
脂質異常症を改善するためにできること
まとめ

 

脂質異常症とは

脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中に含まれるLDLコレステロールや中性脂肪、HDLコレステロールといった脂質の値が、基準の範囲から外れている状態を指します。具体的には、LDLコレステロールや中性脂肪が基準より高い場合、またはHDLコレステロールが基準より低い場合に、脂質異常症と診断されます。これらの脂質にはそれぞれ異なる役割があります。LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ運ぶ役割を担っており、増えすぎると血管の壁に蓄積し、動脈硬化を進める原因になります。そのため「悪玉コレステロール」と呼ばれています。なお、中性脂肪は体を動かすエネルギー源として使われる脂質ですが、余った分は脂肪として体内に蓄積されるため、増えすぎると肥満や動脈硬化のリスクを高めます。一方で、HDLコレステロールは血管壁に溜まった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す働きを持つため、「善玉コレステロール」と呼ばれています。脂質異常症の厄介な点は、自覚症状がほとんどないまま進行することです。痛みやだるさといった体の変化を感じにくいため、健康診断で指摘されて初めて気づく患者が多く見られます。そのため、自覚症状がないからといって放置せず、数値の変化に気を配ることが大切です。

 

脂質異常症になる主な原因

脂質異常症になる主な原因

脂質異常症は一つの原因だけで起こるものではありません。ここでは、日常生活に潜む代表的な原因について、それぞれ詳しく解説します。

食生活の乱れ

脂質異常症の原因として、まず食生活の乱れが挙げられます。バターや肉の脂身などに多く含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎると、肝臓でのLDLコレステロールの生成が促進され、血中濃度が上昇します。また、ご飯やパン、菓子類などの糖質を過剰に摂取すると、余った糖質が中性脂肪に変換されて体内に蓄積されやすくなります。さらに、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続くと、余分なエネルギーが脂肪として蓄積され、脂質値全体に悪影響を及ぼします。このように、脂質異常症は特定の栄養素の摂りすぎだけでなく、食事全体のバランスやエネルギー量とも密接に関わっています。

運動不足

運動不足も、脂質異常症を引き起こす大きな原因の一つです。体を動かす機会が減ると、筋肉で消費されるエネルギー量が低下し、消費しきれなかったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。これにより肥満が進行すると、脂質代謝そのものが乱れ、中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を招きます。加えて、運動には中性脂肪を分解する酵素の働きを高める効果があるため、運動不足が続くと、この分解機能が十分に発揮されず、脂質バランスがさらに崩れやすくなります。日常的な運動習慣の有無は、脂質値に直接的な影響を与える要因といえます。

肥満・内臓脂肪

肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症と深く関わっています。内臓脂肪が増えると、脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスが崩れ、中性脂肪の合成が促進されます。また、内臓脂肪の蓄積はインスリンの働きを低下させる原因にもなり、これが中性脂肪の増加やHDLコレステロールの低下を招きます。さらに、内臓脂肪型肥満は動脈硬化の進行とも関連が深く、脂質異常症を放置すると心血管疾患のリスクがさらに高まります。ウエスト周りの脂肪が気になる患者は、脂質値の変化にも注意を払うことが望ましいといえます。

飲酒

過度な飲酒も、脂質異常症、特に中性脂肪の上昇と密接に関係しています。アルコールが肝臓で分解される過程において、中性脂肪の合成が促進されるためです。日常的に飲酒量が多い状態が続くと、肝臓での中性脂肪の生成が増え続け、血中の中性脂肪値が高い状態が定着しやすくなります。また、過度な飲酒は肥満やエネルギー過多にもつながりやすく、脂質代謝全体にも影響を及ぼします。適量を超える飲酒習慣がある患者は、中性脂肪の数値に特に注意を払うことをおすすめします。

喫煙

喫煙も、脂質異常症のリスクを高める要因として知られています。タバコに含まれる成分は、HDLコレステロールの働きを低下させ、血中濃度を減少させる作用があります。HDLコレステロールが低下すると、血管壁に蓄積した余分なコレステロールの回収機能が弱まり、動脈硬化が進行しやすくなります。さらに、喫煙は血管内皮を傷つけ、LDLコレステロールが血管壁に沈着しやすい環境を作り出すことも指摘されています。このように、喫煙は脂質値そのものに加え、動脈硬化のリスクを複合的に高める習慣といえます。

脂質異常症は、食生活の乱れや運動不足、肥満、飲酒、喫煙など、複数の生活習慣が絡み合って起こります。原因を正しく理解し、生活習慣を見直すことが、脂質値の改善につながります。

 

遺伝が原因となる脂質異常症もある

遺伝が原因となる脂質異常症もある

脂質異常症は、生活習慣が悪い人だけがなる病気ではありません。中には、生まれ持った体質によってLDLコレステロールが高くなる「家族性高コレステロール血症(FH)」という遺伝性の疾患も存在します。これは、LDLコレステロールを肝臓に取り込む役割を担う受容体の働きに、遺伝的な異常が生じることで起こります。この受容体がうまく機能しないと、血液中のLDLコレステロールを十分に処理できず、若い頃から高い数値が続くことになります。なお、家族性高コレステロール血症の特徴として、食生活や運動習慣に大きな問題がないにもかかわらず、10代や20代といった若年層からLDLコレステロール値が高い状態が続く点が挙げられます。また、この疾患は遺伝によって受け継がれるため、血縁者にも同様の傾向がみられることが少なくありません。加えて、コレステロールが蓄積しやすい体質のため、動脈硬化が若いうちから進行しやすく、放置すると心筋梗塞などの冠動脈疾患を若年で発症するリスクも高まります。そのため、家族に高コレステロール血症と診断された方がいる場合や、若くして心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患を経験した血縁者がいる場合には、自覚症状がなくても一度医療機関へ相談することをおすすめします。早期に発見し、適切な治療を始めることで、将来的な心血管疾患のリスクを大きく減らすことにつながります。生活習慣を整えていても脂質値が改善しにくい患者は、遺伝的な要因が関わっている可能性も視野に入れて、専門的な検査を受けることが望ましいといえます。

 

他の病気が原因となる脂質異常症

他の病気が原因となる脂質異常症

脂質異常症の中には、他の病気が原因となって起こるものもあります。このように、他の疾患によって二次的に脂質値が乱れる状態は「続発性(二次性)脂質異常症」と呼ばれます。ここでは、原因となりやすい代表的な病気について解説します。

糖尿病

糖尿病と脂質異常症は、併存しやすい関係にあることが知られています。インスリンの働きが低下すると、脂肪の分解が進みやすくなり、肝臓での中性脂肪の合成が促進されます。また、糖代謝の異常はHDLコレステロールの低下や、小型で酸化されやすい性質を持つLDLコレステロールの増加にもつながりやすく、動脈硬化のリスクをさらに高める要因となります。そのため、糖尿病の患者は、血糖値だけでなく脂質値の変化にも注意を払うことが大切です。糖尿病については「千葉市都賀で生活習慣病が気になる方へ|基礎知識から予防・管理まで解説」でより詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症も、脂質異常症の原因となる病気の一つです。甲状腺ホルモンには、LDLコレステロールを肝臓で分解・排出する働きを助ける役割がありますが、甲状腺機能が低下すると、この働きが弱まり、LDLコレステロールが血液中に蓄積しやすくなります。加えて、甲状腺機能低下症は中性脂肪の代謝にも影響を及ぼすことがあり、あわせて数値が上昇するケースもみられます。生活習慣に大きな変化がないのに脂質値が急に悪化した場合は、甲状腺の機能を確認することも重要です。なお、甲状腺機能低下症については「甲状腺機能低下症の症状とは?初期症状や女性にみられやすい変化、検査・治療を解説」でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

腎臓病

腎臓病も、脂質代謝に影響を及ぼすことがある病気です。特に、ネフローゼ症候群と呼ばれる腎疾患では、尿中に大量のタンパク質が排出されることで血液中のタンパク質濃度が低下し、これを補おうとして肝臓でのコレステロール合成が活発になります。その結果、LDLコレステロールや中性脂肪が上昇しやすくなります。なお、慢性腎臓病においても腎機能の低下に伴って脂質代謝のバランスが崩れ、脂質異常症を合併することが少なくありません。腎機能の状態と脂質値は互いに関連しているため、どちらも継続的に確認することが望ましいといえます。

肝臓・胆道系の病気など

肝臓や胆道系の病気も、脂質値に異常をもたらすことがあります。肝臓は脂質の合成や分解、コレステロールの排出に深く関わる臓器であるため、肝機能が低下すると脂質代謝全体に影響が及びやすくなります。また、胆道が閉塞して胆汁の流れが滞る病気では、本来排出されるはずのコレステロールが血液中に滞留し、数値が上昇する場合があります。このほかにも、クッシング症候群や一部の薬剤なども脂質値に影響を与えることが知られており、原因は多岐にわたります。

このように、脂質異常症は他の病気によって引き起こされている場合があります。この場合、生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらないことも多く、原因となっている疾患そのものを治療することが重要になります。数値の改善がみられない際は、背景にある病気の有無を確認することをおすすめします。

 

薬が原因となる場合もある

薬が原因となる場合もある

脂質異常症は、服用している薬剤の影響によって起こる場合もあります。治療のために使用している薬が、体内の脂質代謝に作用し、結果としてLDLコレステロールや中性脂肪の値を変化させることがあるためです。例えば、ステロイド薬や一部の利尿薬、経口避妊薬などは、脂質値に影響を及ぼす可能性がある薬剤として知られています。また、薬の種類によって、LDLコレステロールが上昇しやすいもの、中性脂肪が上昇しやすいものなど、影響の現れ方はさまざまです。このように薬剤が原因となっている場合、他の疾患が原因のケースと同様、生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらないことがあります。ただし、薬剤性の脂質異常症が疑われるからといって、自己判断で服用中の薬を中止することは避けてください。持病の治療のために処方されている薬を急に中断すると、もとの病状が悪化してしまう危険性があります。薬の効果と脂質値への影響を天秤にかけながら、治療方針を検討することが大切です。そのため、健康診断などで脂質値の異常を指摘され、服用中の薬剤との関連が疑われる場合には、自己判断で対応せず、処方医または薬剤師へ相談することをおすすめします。医師が薬の種類や量を調整したり、必要に応じて他の薬剤への変更を検討したりすることで、脂質値の改善が期待できる場合もあります。現在治療中の病気があり、薬を服用している患者は、脂質値の変化についても定期的に確認しておくと安心です。

 

脂質の種類によって考えられる原因は異なる

脂質の種類によって考えられる原因は異なる

脂質異常症とひと口にいっても、どの数値に異常があるかによって、考えられる原因は異なります。

LDLコレステロールが高い場合

LDLコレステロールが高い場合、まず考えられるのは食生活の影響です。飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪の摂りすぎは、肝臓でのLDLコレステロールの生成を促進します。また、家族性高コレステロール血症のように、遺伝的にLDLコレステロールが高くなる体質を持つ患者も存在します。この場合、若いうちから数値が高く、生活習慣の乱れがなくても改善しにくいという特徴がみられます。さらに、甲状腺機能低下症もLDLコレステロールを上昇させる原因の一つです。甲状腺ホルモンにはLDLコレステロールの分解を助ける働きがあるため、この機能が低下すると、血液中に蓄積しやすくなります。このように、LDLコレステロールが高い背景には、生活習慣・遺伝・他の病気など、複数の要因が関わっている場合があります。

中性脂肪が高い場合

中性脂肪が高い場合には、糖質やアルコールの過剰摂取が大きく関係しています。ご飯やパン、菓子類などの糖質を摂りすぎると、余った分が中性脂肪として体内に蓄積されやすくなります。また、アルコールも肝臓での中性脂肪の合成を促進するため、飲酒量が多い患者では数値が上昇しやすい傾向がみられます。加えて、肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、中性脂肪の代謝に悪影響を及ぼす要因として知られています。さらに、糖尿病のようにインスリンの働きが低下する病気も、中性脂肪の上昇と深く関わっています。このように、中性脂肪が高い場合には、食生活や飲酒習慣に加え、肥満や糖代謝の異常が背景にあるケースが多くみられます。

HDLコレステロールが低い場合

HDLコレステロールが低い場合には、運動不足が主な原因の一つとして挙げられます。運動には、HDLコレステロールを増やす働きがあるため、日頃から体を動かす機会が少ないと、数値が低下しやすくなります。また、肥満、特に内臓脂肪の蓄積もHDLコレステロールを低下させる要因として知られています。さらに、喫煙もHDLコレステロールに悪影響を及ぼすことが分かっており、タバコに含まれる成分がHDLコレステロールの働きを妨げ、血中濃度を減少させます。このように、HDLコレステロールが低い背景には、運動習慣の不足や肥満、喫煙といった、複数の生活習慣が重なっている場合が少なくありません。

検査値からみる原因と見直したいポイント

これまで解説してきた内容を、検査値ごとに整理すると以下の通りです。

検査値 関連する生活習慣・疾患 見直したいポイント
LDLコレステロールが高い 飽和脂肪酸の多い食生活、家族性高コレステロール血症、甲状腺機能低下症など 動物性脂肪の摂りすぎを控える、若年からの高値や家族歴があれば医療機関へ相談
中性脂肪が高い 糖質・アルコールの過剰摂取、肥満、糖尿病など 糖質・お酒の摂取量を見直す、適正体重を目指す
HDLコレステロールが低い 運動不足、肥満、喫煙など 有酸素運動を習慣にする、禁煙に取り組む
LDL・中性脂肪ともに高い 摂取エネルギー過多、内臓脂肪の蓄積など 食事量・内容全体を見直す、内臓脂肪を減らす取り組みを行う
数値に大きな変動がある 薬剤の影響、他の病気(腎臓病・肝臓病など) 服用中の薬を自己判断で中止せず医師に相談する

どの数値に異常がみられるかによって、関連しやすい生活習慣や疾患、見直すべきポイントは異なります。ご自身の検査結果と照らし合わせながら、原因を把握する際の参考にしてください。

このように、脂質異常症は「どの数値が」「どの方向に」異常を示しているかによって、考えられる原因が異なります。LDLコレステロールが高い場合には食生活や遺伝、甲状腺機能低下症、中性脂肪が高い場合には糖質・アルコールの過剰摂取や肥満、糖尿病、HDLコレステロールが低い場合には運動不足や肥満、喫煙といった要因が関係しています。自分の検査結果のどこに異常があるのかを正しく把握することで、見直すべき生活習慣や、疑うべき病気の方向性も見えてきます。数値の意味を理解したうえで、原因に応じた対策に取り組むことが、脂質異常症の改善につながります。

 

脂質異常症を放置するとどうなる?

脂質異常症を放置するとどうなる?

脂質異常症を放置すると、動脈硬化が静かに進行していきます。血液中に増えすぎたLDLコレステロールは血管の内壁に入り込み、そこに蓄積していくことで血管の壁が厚く、硬くなっていきます。この状態が動脈硬化であり、血管の内側が狭くなることで血流が悪化し、全身のさまざまな臓器に負担がかかるようになります。動脈硬化は、自覚症状がないまま進行することが多いため、気づいたときにはかなり進行しているケースも少なくありません。動脈硬化が進行すると、心臓や脳、足の血管など、全身の血管に影響が及びます。また、心臓に栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋梗塞や狭心症を引き起こすリスクが高まります。さらに、脳の血管で同様の変化が起こると、脳梗塞につながる可能性があります。加えて、足の血管の動脈硬化が進行すると、末梢動脈疾患を発症し、歩行時の痛みやしびれ、重症化すると足の壊死に至ることもあります。これらはいずれも、命に関わる、あるいは生活の質を大きく損なう病気です。このように、脂質異常症は自覚症状が乏しいまま進行し、気づかないうちに重大な病気のリスクを高めてしまう病気です。だからこそ、自分の脂質異常症がどのような原因によって起こっているのかを正しく理解し、それに応じた改善や治療に早めに取り組むことが重要になります。原因を知ることは、単に数値を下げるためだけでなく、将来の心血管疾患を防ぎ、健康な生活を長く維持するための第一歩といえます。

 

脂質異常症の原因を調べる検査

脂質異常症の原因を調べる検査

脂質異常症と診断された場合、単にLDLコレステロールや中性脂肪の数値を確認するだけでなく、その背景にある原因を調べる検査を行う場合があります。これまで説明してきたように、脂質異常症には食生活や運動不足といった生活習慣によるものだけでなく、遺伝や他の病気、服用中の薬剤が関係しているケースもあるため、原因を明らかにすることが、その後の治療方針を決めるうえで重要な意味を持ちます。具体的な検査では、まずLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪といった脂質の数値を詳しく確認します。これらの数値のバランスを見ることで、動脈硬化のリスクをより正確に把握することができます。また、甲状腺機能低下症が脂質異常症の原因になっている場合もあるため、必要に応じて甲状腺ホルモンの値を調べる血液検査を行うことがあります。加えて、肝臓や腎臓の機能も脂質代謝と深く関わっているため、肝機能・腎機能に関する項目もあわせてチェックされることが一般的です。なお、このほかにも糖尿病の有無を確認するための血糖値やHbA1cの検査、家族性高コレステロール血症が疑われる場合には、家族歴の聞き取りや遺伝子検査が行われることもあります。このように、脂質異常症の検査は、数値の異常を見つけるだけでなく、その原因を多角的に探るために行われます。原因に応じた適切な治療を受けるためにも、医療機関での検査を通じて、自身の脂質異常症の背景を正しく把握しておくことが大切です。

 

脂質異常症を改善するためにできること

脂質異常症を改善するためにできること

脂質異常症の原因は人によってさまざまであるため、改善方法もその原因に応じて考えることが大切です。ここでは、脂質異常症を改善するためにできることについて解説します。

食生活を見直す

脂質異常症の改善において、食生活の見直しは基本となる取り組みです。ただし、原因や脂質値の状態によって、意識すべきポイントは異なります。LDLコレステロールが高い場合には、バターや脂身の多い肉などに含まれる飽和脂肪酸を控え、青魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸を意識的に取り入れることが望ましいといえます。また、中性脂肪が高い場合には、ご飯やパン、菓子類、アルコールなど、糖質やエネルギーの摂りすぎに注意する必要があります。このように、自分の脂質値のどこに問題があるのかを把握したうえで、それに合わせた食事内容を選ぶことが、効果的な改善につながります。

適度な運動を続ける

運動習慣を身につけることも、脂質異常症の改善に役立ちます。特に、ウォーキングや水泳、サイクリングといった有酸素運動は、中性脂肪の分解を促し、HDLコレステロールを増やす効果が期待できます。運動は、激しい内容よりも、無理なく継続できる強度と頻度で行うことが重要です。急に負荷の高い運動を始めると長続きしにくいため、まずは一日20~30分程度のウォーキングなど、日常生活に取り入れやすい運動から始めることをおすすめします。なお、通勤時に階段を使う、一駅分歩くなど、生活の中で体を動かす機会を増やす工夫も効果的です。

適正体重を目指す

肥満や内臓脂肪の蓄積がみられる場合には、体重管理に取り組むことが脂質値の改善につながります。内臓脂肪が減少すると、中性脂肪の合成が抑えられるとともに、HDLコレステロールの値が改善しやすくなることが知られています。体重を減らす際は、急激な減量ではなく、食事の見直しと運動を組み合わせながら、無理のないペースで進めることが大切です。また、体重だけでなく、ウエスト周囲径の変化にも注目すると内臓脂肪の減り具合を確認する目安になります。適正体重を維持することは、脂質異常症だけでなく、他の生活習慣病の予防にもつながります。

飲酒・喫煙を見直す

過度な飲酒や喫煙の習慣がある場合には、これらを見直すことも脂質異常症の改善に有効です。飲酒量が多いと中性脂肪が上昇しやすくなるため、適量を意識し、休肝日を設けるなどの工夫が求められます。また、喫煙はHDLコレステロールを低下させ、動脈硬化のリスクを高める要因となるため、禁煙に取り組むことが望ましいといえます。加えて、喫煙は血管そのものにも負担をかけるため、脂質値の改善とあわせて、血管の健康を守るという観点からも禁煙は重要な取り組みといえます。

必要に応じて薬物療法を行う

生活習慣の改善を行っても十分に脂質値が下がらない場合や、動脈硬化のリスクが高いと判断される場合には、薬物療法を検討することがあります。使用する薬剤は、LDLコレステロールを下げるものや中性脂肪を下げるものなど、脂質値の状態や原因によって選択されます。また、家族性高コレステロール血症のように遺伝的な要因が関わっている場合や、他の病気が背景にある場合には、生活習慣の改善とあわせて薬物療法が必要になることも少なくありません。なお、薬物療法の必要性については、脂質値や年齢、他の危険因子の有無などを踏まえて、医師が総合的に判断します。

脂質異常症の改善には、食生活の見直しや運動習慣、体重管理、飲酒・喫煙の見直しといった生活習慣の改善が基本となります。ただし、家族性高コレステロール血症のような遺伝性の脂質異常症や、他の病気・薬剤が原因となっている続発性の脂質異常症の場合には、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られないことがあります。このようなケースでは、原因疾患の治療や薬物療法をあわせて行うことが必要になります。自分の脂質異常症がどのような原因によるものかを把握したうえで、生活習慣の改善と、必要に応じた医療的なサポートを組み合わせて取り組むことが、健康な血管を維持するために大切です。

 

まとめ

脂質異常症の原因とは?食生活・肥満・遺伝・病気との関係や改善方法を解説

ここまで解説してきたように、脂質異常症の原因は食生活の乱れだけでなく、運動不足や肥満、遺伝、他の病気、服用中の薬剤など、多岐にわたります。そのため、健康診断で脂質値の異常を指摘された際には、自分の生活習慣を振り返るとともに、それ以外の原因が隠れている可能性についても視野に入れることが大切です。特に、生活習慣に大きな乱れがないにもかかわらずLDLコレステロールが高い場合には、家族性高コレステロール血症のような遺伝性疾患の可能性も考慮する必要があります。なお、脂質異常症は原因によって適切な対応が異なる病気です。健康診断で脂質異常を指摘された際に、これを放置してしまうと、自覚症状のないまま動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など重大な病気につながるおそれがあります。したがって指摘を受けた際には、原因を確認するとともに、動脈硬化のリスクがどの程度あるのかを把握することが重要です。原因を正しく理解することが、その後の改善や治療の方向性を決めるための第一歩になります。当院では、脂質異常症をはじめ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に関する診療を行っております。血液検査による脂質値や血糖値の確認に加え、必要に応じて甲状腺機能や肝機能・腎機能などの検査もあわせて実施し、原因を多角的に確認しながら診療を進めてまいります。健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪の数値について指摘を受けた方、原因がわからず不安を感じている方は、放置せずに一度当院までご相談ください。