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MODY(家族性若年糖尿病)とは?原因・症状・治療法を解説
2025.02.05
この記事では、「MODY(家族性若年糖尿病)」について解説していきます。後半部分では、「MODY(家族性若年糖尿病)の治療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
MODY(家族性若年糖尿病)とは?特徴と一般的な糖尿病との違いについて
MODY(家族性若年糖尿病)の原因について
MODY(家族性若年糖尿病)の症状と診断方法
MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴
MODY(家族性若年糖尿病)の治療法
MODY(家族性若年糖尿病)の合併症とリスク
MODY(家族性若年糖尿病)についてご相談したい方へ
MODY(家族性若年糖尿病)とは?特徴と一般的な糖尿病との違いについて
MODY(Maturity-Onset Diabetes of the Young)は、家族性若年糖尿病とも呼ばれる遺伝性の糖尿病です。通常25歳未満で発症し、常染色体優性遺伝形式をとることが特徴です。また、MODYは2型糖尿病と似た症状を示しますが、1型や2型糖尿病とは異なる遺伝的原因によって発症します。具体的には、MODYは糖代謝に関わる単一遺伝子の機能障害が原因で発症し、肥満を伴わないことが多いです。なお、MODYと一般的な糖尿病との大きな違いは、発症年齢と遺伝形式にあります。1型糖尿病は自己免疫疾患であり、2型糖尿病は主に生活習慣や環境要因が関与しますが、MODYは単一遺伝子の変異が原因です。また、MODYは肥満とは無関係に発症することが多く、初期段階ではインスリン抵抗性が見られないことが多いです。さらに、MODYの治療アプローチも一般的な糖尿病とは異なります。MODYのタイプによっては、スルホニル尿素薬などの特定の経口血糖降下薬で良好なコントロールが得られる場合があり、必ずしもインスリン療法を必要としません。また、MODYは一般的に進行が緩やかで、合併症のリスクが比較的低いことがあります。このように、MODYは発症の仕組み、診断方法、治療アプローチ、そして疾患の進行において、一般的な糖尿病とは異なる独特な特徴を持つ疾患であると言えます。
MODY(家族性若年糖尿病)の原因について
MODYは単一遺伝子の変異によって引き起こされる特殊な型の糖尿病です。MODYに関係する遺伝子は、これまでに約14種類が判明しており、その中でもHNF-1α(MODY3)、HNF-4α(MODY1)、GCK(MODY2)が主要なものです。そして、これらの遺伝子の多くは、膵臓のβ細胞の機能維持に重要な役割を果たしています。具体的には、インスリンの転写因子や膵臓の発生、グルコース代謝に関与する遺伝子などが含まれます。これらの遺伝子に変異が生じることで、インスリンの産生や分泌に異常が起こり、結果として糖尿病を発症します。なお、各遺伝子の変異によってMODYのサブタイプが決定され、それぞれ臨床像や治療反応性が異なる可能性があります。
そのため、遺伝子検査による正確な診断は、個々の患者さんに最適な治療方針を立てる上で非常に重要です。また、MODYの遺伝様式は常染色体優性遺伝であり、親から子へ50%の確率で遺伝子変異が受け継がれる可能性があります。
このような遺伝的背景を理解することは、家族内での早期診断や予防的介入にも役立つ可能性があります。
なお遺伝子検査については保険適用がなされないのでご注意ください。
MODY(家族性若年糖尿病)の症状と診断方法
MODYの典型的な症状としては、若年期からの高血糖と膵β細胞機能の進行性低下が挙げられます。また、口渇、多飲、多尿、体重減少といった症状も見られることがあります。しかし、患者さんによっては症状が軽微であったり、無症状であることも珍しくありません。したがって多くの場合、患者自身が自覚症状を通じて気づくことは難しく、健康診断や家族歴の調査などで偶然発見されることがあります。このため、家族に若年発症の糖尿病患者さんがいる場合は、たとえ症状がなくても定期的な血糖検査が推奨されます。なお、診断には標準的な糖尿病の診断基準が用いられますが、MODYの確定診断には遺伝子検査が不可欠です。この検査により特定の遺伝子変異を確認することで、適切な治療方針の決定や家族のスクリーニングに役立ちます。そのため、若年発症の糖尿病患者さんは、症状の有無にかかわらず、MODYの可能性を考慮して積極的に遺伝子検査を検討することが重要です。
MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴
MODY(家族性若年糖尿病)は、遺伝子変異の違いにより複数のサブタイプに分類されます。ここでは、最も一般的で臨床的に重要なMODY1からMODY6までについて説明します。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴1】MODY1
MODY1は、HNF4A遺伝子異常による糖尿病です。HNF4Aは、転写因子と呼ばれる遺伝子の一つで、膵臓や肝臓などの分化・発生に関与しています。MODY1は、MODY2やMODY3に比べて稀な糖尿病です。また、MODY1の患者さんは通常、思春期または若年成人期に発症し、進行性のインスリン分泌障害を示します。なお、MODY1の特徴的な症状としては、巨大児と新生児期の高インスリン血症による低血糖が見られます。さらに、低血糖や大型児出産のリスクが高く、腎機能障害や脂質異常症を伴うことがあります。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴2】MODY2
MODY2は、グルコキナーゼ(GCK)遺伝子の変異によるもので、全MODYの約30〜50%を占める最も一般的なタイプです。他のMODYタイプとは異なり、MODY2は通常軽度の高血糖を示し、年齢とともに悪化することはほとんどありません。多くの場合、治療を必要とせず、合併症のリスクも低いのが特徴です。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴3】MODY3
MODY3は、HNF1A遺伝子異常による糖尿病です。MODY2に次いで頻度が高く、全MODYの約30~50%を占めます。MODY3の患者さんは通常、思春期または若年成人期に発症し、進行性のインスリン分泌障害を示します。なお、MODY3の特徴としては、尿中のグルコース排泄閾値が低く、スルホニル尿素薬に対する感受性が高いことが挙げられます。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴4】MODY4
MODY4は、PDX1遺伝子の変異によるもので、非常に稀なタイプです。この遺伝子は膵臓の発生と機能に重要な役割を果たします。なお、MODY4の患者さんは、インスリン分泌障害と膵外分泌機能不全を示すことがあります。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴5】MODY5
MODY5は、HNF1B遺伝子の変異によるもので、全MODYの約5%を占めます。MODY5の特徴は、糖尿病以外にも多彩な症状を呈することです。腎嚢胞、腎機能障害、生殖器異常、膵臓の構造異常などが見られることがあります。また、インスリン分泌障害だけでなく、インスリン抵抗性も示すことがあります。
【MODY(家族性若年糖尿病)の種類と特徴6】MODY6
MODY6は、NEUROD1遺伝子の変異によるもので、非常に稀なタイプです。この遺伝子は膵β細胞の発生と機能に関与しています。なお、MODY6の患者さんは、若年期に発症する進行性のインスリン分泌障害を示します。
MODY(家族性若年糖尿病)の治療法
MODYの治療法は、各タイプに応じて異なり、主にインスリン療法、薬物療法、そして遺伝カウンセリングが行われます(MODYは遺伝子の異常が原因となるため、根本的な治療法はまだありません)。
<インスリン療法>
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法です。MODYの治療において、インスリン療法は特定のタイプで有効です。特にMODY2やMODY3では、インスリン分泌の問題が関連しているため、インスリン療法が治療の基本となります。なお、インスリン療法は、血糖値の管理を効果的に行うための手段として用いられますが、すべてのMODY患者さんに適用されるわけではありません。MODYの中にはインスリン分泌能が保たれているケースもあります。
<薬物療法>
薬物療法とは、経口糖尿病薬やSGLT2阻害薬などを使用して血糖値を管理する方法です。MODYの治療において、薬物療法はより広範に使用されます。特にMODYやMODY4型など、インスリン抵抗性が主な問題ではない場合に有効です。これらのタイプでは、血糖コントロールを改善するために、経口糖尿病薬やSGLT2阻害薬などが処方されます。
<遺伝カウンセリング>
MODYの治療には、遺伝カウンセリングも重要な役割を果たします。MODYは遺伝的な要因が大きいため、家族歴や遺伝子検査を通じて、正確な診断と治療方針の決定が求められます。遺伝カウンセリングを通じて、患者さんやその家族が疾患の理解を深め、適切な治療と予防策を講じることができます。なお、遺伝カウンセリングでは、疾患と遺伝・遺伝子の関係、子への遺伝のリスクといった医学的情報だけでなく、心理的・社会的支援も行われます。
MODYの治療は、個々の遺伝的要因に基づいた専門的なアプローチが必要です。インスリン療法、薬物療法、そして遺伝カウンセリングを組み合わせることで、より効果的な管理が可能となります。
MODY(家族性若年糖尿病)の合併症とリスク
MODYは、インスリン分泌の異常によって発症するため、長期的にはさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。血糖値が適切に管理されていない場合、心血管疾患、腎機能障害、網膜症などの合併症が進行するリスクが高まります。特に、MODY1やMODY3では、腎症や網膜症などの「細小血管合併症」を併発する頻度が高いです。また、MODY3やMODY5では、心血管疾患や腎障害のリスクが増加することが知られています。そのため、MODYの管理には、単なる血糖コントロールにとどまらず、これらの長期的な健康リスクを見据えた全体的なアプローチが求められます。具体的にMODYの合併症を予防し、管理するためには、以下のポイントが重要です。
<定期的な血糖値のモニタリング>
血糖値を定期的にチェックし、目標範囲内に保つことで、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。自己血糖測定やHbA1cのチェックを通じて、日々の血糖コントロールを行うことが推奨されます。
<生活習慣の改善>
健康的な食事と定期的な運動は、血糖コントロールを助け、心血管疾患や肥満などのリスクを減少させます。特に、バランスの取れた食事と適度な運動を取り入れることが重要です。
<早期の医療介入>
合併症の兆候を早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。定期的な眼科検診や腎機能検査を行うことで、合併症の進行を防ぐことができます。
<医師との連携>
専門医との継続的なフォローアップを受け、個別の治療計画を立てることが重要です。治療方針や生活習慣の変更について、医師と相談しながら進めることで、より効果的な管理が可能となります。
MODYの合併症とリスクを管理するためには、血糖コントロールだけでなく、生活習慣の見直しと定期的な医療チェックが不可欠です。長期的な健康を維持するためには、これらの予防策と管理方法を実践することが重要です。
MODY(家族性若年糖尿病)についてご相談したい方へ
MODYは、インスリン分泌の異常によって発症するため、長期的にはさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。診断が遅れると、血糖コントロールが不十分となり、合併症のリスクが増大します。
特にMODYのタイプによっては、特定の治療法や薬物が必要とされるため、正確な診断によって最適な治療法を選択することが大切です。MODYの発症年齢や症状の程度には個人差がありますので、MODYが疑われる場合や家族にMODY患者さんがいる場合は、専門医に相談し、必要に応じて遺伝子検査や遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。
MODYについてご相談したい方、または検診などで血糖値に異常を指摘された方がいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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糖尿病予備群(境界型糖尿病)の症状や対策について解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。
この記事では、糖尿病の可能性を否定できない者「糖尿病予備群」について解説していきます。
後半部分では「糖尿病予備群にならないための予防法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群にならないための予防法
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。
「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。
しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。
なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。
なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。
糖尿病予備群にならないための予防法
糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。
では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。
また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。
なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。
<有酸素運動>
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。
ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<レジスタンス運動>
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。
レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。
バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。
なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。
<ゆっくり食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<野菜類から食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<アルコールは適量にする>
アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。
しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。
<腹八分目でストップ>
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。
いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。
とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
<間食をしない>
間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。
また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。
そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。
日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。
ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。
後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インスリンとは何か
インスリン療法とは
インスリン療法のしくみ
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン療法の具体的な手法
インスリン療法のメリット
インスリン療法のデメリット
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
インスリンとは何か
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。
糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。
なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。
インスリン療法とは
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。
インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。
頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。
一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。
インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のしくみ
インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。
不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。
なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。
なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。
また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。
血糖自己測定の方法は以下の通りです。
⑴ 血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。
⑵ 血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。
⑶ 指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。
⑷ 血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。
⑸ 残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。
インスリン療法の具体的な手法
インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。
⑴ 注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。
⑵ インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。
⑶ インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。
⑷ ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。
⑸ 注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。
⑹ ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。
⑺ 針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。
※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。
それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。
また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。
ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。
「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のメリット
インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。
インスリン療法のデメリット
残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。
なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。
ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病と高血圧の関係
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病患者さんにおける「高血圧」の頻度は非糖尿病者に比べて約2倍高く、高血圧患者さんにおいても糖尿病の合併頻度は2~3倍高いと報告されています。
この記事では、糖尿病患者さんに向けて「糖尿病と高血圧の関係」を解説していきます。後半部分では「糖尿病と高血圧の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
糖尿病の血圧値について
糖尿病と高血圧予防
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
【糖尿病と高血圧予防】運動
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
糖尿病患者さんは「高血圧になりやすい」といわれています。なぜ糖尿病の方は高血圧になりやすいのでしょうか。糖尿病患者さんが高血圧になりやすいのには、以下の理由があげられます。
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
血糖値が高い状態では、血液の浸透圧が高くなっています。そのため、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓からの水分の吸収が増えたりして、体液・血液量が増加し、血圧が上昇します。
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
2型糖尿病患者さんには肥満が多いのが特徴です。肥満になると交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌されるため、高血圧になります。このようなことから、糖尿病患者さんは高血圧になりやすいと考えられています。
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
インスリン抵抗性とは、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態です。インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」を招きます(インスリン抵抗性自体が糖尿病の原因にもなります)。高インスリン血症では、交感神経の緊張、腎臓でナトリウムが排泄されにくい、血管壁を構成している細胞の成長が促進されるといった現象が起きて、血管が広がりにくくなり、血液量も増え、血圧が高くなるのです。
<高血圧とは?>
高血圧とは、運動したときなどの一時的な血圧上昇とは違い、安静時でも慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。具体的には「収縮期血圧が140mmHg以上」「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合をいい、どちらか一方でもこの値を超えていると高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし放置してしまうと心疾患や脳卒中など生命を脅かす病気につながるため「サイレント・キラー」といわれています。高血圧が引き起こす合併症について知りたい方は「高血圧の症状にお困りの患者の方へ」をご覧ください。
糖尿病の血圧値について
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、糖尿病患者さんの降圧目標を、130/80mmHg未満としています。ただし、高齢者では厳しい血圧コントロールは、ふらつきや起立性低血圧などの原因となる可能性があるため、やや高めに設定されています。高齢者では、それぞれの患者さんの病気の状態に合わせて慎重に血圧コントロールをしていきます。詳しくは「高血圧治療ガイドライン2014」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
糖尿病と高血圧予防
糖尿病と高血圧予防に有効な対策は「食生活の改善」と「運動」です。順番にご説明していきますね。
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
糖尿病と高血圧を予防するためには「食べ方」も大切です。食事する際は以下のポイントに注意してください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント1>野菜類から食べる
野菜類から先に食べることで食後の血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜や豆類などで少しお腹をふくらませておくと、肉類やご飯の量を減らすこともできます。ですので、食事をする際は、野菜類から食べるようにしてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント2>ゆっくり食べる
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント3>規則正しく3食を食べる
1日に2食や、間隔の空き過ぎた食事の取り方はよくありません。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、規則正しく「3食」を食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント4>腹八分目
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
【糖尿病と高血圧予防】運動
運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。なお、おすすめの運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」です。それぞれの運動については下記をご覧ください。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動1>有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動2>レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
運動の頻度は「できれば毎日」少なくとも週に3~5回行うのが良いといわれています。しかし、普段から運動に親しんでいない方(または高齢の方)などでは、急激な運動はかえって体の負担となり、思いがけない事故を引き起こしてしまうこともあります。ですので、無理のない範囲で行なってください。運動は定期的に長く続けられることが秘訣です。自然の中で風景を堪能しながらの「ウォーキング」や楽しく続けられる「スポーツ」など、自分にあった運動の方法を探してみてくださいね。
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2022.10.05
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