糖尿病・代謝内科

糖尿病ケトアシドーシスの症状や原因、治療法について

2023.01.25

この記事では、糖尿病ケトアシドーシスの「症状」や「原因」について解説していきます。後半部分では「糖尿病ケトアシドーシスの治療法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

【目次】
糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状
糖尿病ケトアシドーシスの原因
糖尿病ケトアシドーシスの主な症状
糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症
糖尿病ケトアシドーシスの治療法
糖尿病ケトアシドーシスの予防策
まとめ

 

糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状

糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状

糖尿病ケトアシドーシスとは、糖尿病急性合併症である「糖尿病昏睡」の一つです。

血糖値を下げる働きをするインスリンが不足し、十分に血糖値が下がらないことで起こります。

糖尿病ケトアシドーシスの初期症状は、強い喉の渇きと頻尿、体重減少、吐き気、嘔吐、疲労などが起こり、小児の場合は腹痛がみられることもあります。

なお、糖尿病ケトアシドーシスは主に“1型糖尿病の方”に起こります(2型糖尿病の場合であっても引き起こされることはあります)。1型糖尿病と2型糖尿病については以下をご覧ください。

 

<1型糖尿病>

1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓の「β細胞:べーたさいぼう」が壊れ、高血糖状態になる病気です。

世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。

糖尿病には大きく分けて1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる「2型糖尿病」とは性質が異なります。

 

<2型糖尿病>

2型糖尿病は、遺伝的素因によるインスリン分泌能の低下に、環境的素因としての生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が加わり、インスリンの相対的不足に陥った場合に発症する糖尿病です。

一般的に生活習慣病と称されるタイプの糖尿病が2型糖尿病ですが、インスリン分泌能の低下が不可欠です。

生活習慣の乱れだけではなく、2型糖尿病患者さんは大なり小なり糖尿病になりやすい体質を持っているとも言えます。

なお、一般的に"糖尿病"と表現した場合は「2型糖尿病」を示すことが多いです。

 

糖尿病ケトアシドーシスの原因

糖尿病ケトアシドーシスの原因

糖尿病ケトアシドーシスの主な原因は、1型糖尿病の発症時やインスリン注射を中断したとき、あるいは感染症や外傷などによって、極端にインスリンの必要性が増加したときに起こります。

2型糖尿病でも同じように感染症や外傷などの強いストレスがあったとき、また清涼飲料水を多量に飲んだとき等で糖尿病ケトアシドーシスを起こすことがあります。

なお、2型糖尿病では、ある程度インスリンが分泌されている時期から病期が進み、インスリンの分泌量がさらに減少、あるいはインスリンへの抵抗性が高くなることで血糖が異常に高くなってしまうことがあります。

インスリンの相対的不足状態に加えて、風邪などの感染症や暴飲暴食、さらにはストレスなどが重なり、血糖が著しく高くなると(500mg/dl以上)意識障害をきたします。

なお、意識障害に至る前駆症状として高血糖による著しい口渇、多尿がみられます。

 

糖尿病ケトアシドーシスの主な症状

糖尿病ケトアシドーシスの主な症状

糖尿病ケトアシドーシスでは、口渇、多飲、多尿、体重減少、全身倦怠感などの糖尿病に典型的な症状が急激に起こります。

さらに悪化すると、呼吸困難、速くて深い呼吸(クスマウル大呼吸と呼びます)、あるいは悪心、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こります。

 

糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症

糖尿病ケトアシドーシスは、糖尿病の妊婦さんに起きる“最も重篤な合併症”だと言われております。

妊娠中、母親のからだは血糖を胎児に優先的に送ろうとするので、自分自身のエネルギーを補うため、脂肪を分解して“遊離脂肪酸”を作る働きが普段よりも活発になり、ケトン体が増えます(ケトン体は、からだの中で脂肪が変化して作られる物質でエネルギー源として利用されています)。

このケトン体が多く作られてしまった場合、「糖尿病ケトアシドーシス」の誘因となるため、妊娠中は糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高くなります。

 

<妊娠糖尿病>

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です(糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す“血糖値”が上がった状態です)。

今まで糖尿病と言われた事がないにもかかわらず、妊娠中に始めて指摘された糖代謝異常で、糖尿病の診断基準をみたさない人を妊娠糖尿病といいます。

具体的には、糖負荷試験をした際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合に「妊娠糖尿病」と診断されます。

 

糖尿病ケトアシドーシスの治療法

糖尿病ケトアシドーシスの治療法

糖尿病ケトアシドーシスの治療は、一刻も早く生理食塩水を中心とした“輸液”によって、水分とナトリウムを補充する必要があります。

そのほかには電解質の補正、適切なインスリンの投与によって高血糖とアシドーシスを是正することが重要です。

糖尿病ケトアシドーシスは、適切な処置が遅れると死に至ることもあります。

ですので、気になる症状があったときには、早めにかかりつけ医に相談してください。

 

糖尿病ケトアシドーシスの予防策

糖尿病ケトアシドーシスの予防策

糖尿病ケトアシドーシスは、口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少といった典型的な症状に続いて起こります。

そのため、これらの症状をよく覚えておき、症状があったときには血糖自己測定、尿ケトン体の測定をおこない、予防・早期発見することが重要です。

 

まとめ

糖尿病ケトアシドーシスは生命の危険を伴う合併症です。

そのため早く気づき、速やかに治療を受けることが大切です。

糖尿病ケトアシドーシスの症状にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。

 

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2023.01.21

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