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- 板谷内科クリニックブログ
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糖尿病の大血管合併症:動脈硬化から心筋梗塞・脳梗塞まで解説
2025.02.05
この記事では「大血管合併症」について解説していきます。後半部分では、「大血管合併症の治療方法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
糖尿病の大血管合併症とは?
大血管障害が起こる原因
大血管障害の診断と予防
大血管合併症の治療方法
大血管障害と他の糖尿病合併症の関連
大血管障害について不安な方はいつでもご相談ください
糖尿病の大血管合併症とは?
大血管合併症とは、主に動脈硬化が原因で心臓、脳、または末梢の大きな血管に生じる障害を指します。これらの血管は、体の主要な部分に血液を供給する重要な役割を担っています。
糖尿病患者では、長期にわたる高血糖状態によって血管内皮細胞の機能が低下し、動脈硬化が促進されます。
また、糖尿病に伴う脂質異常症や高血圧も動脈硬化を加速させる要因となります。これらの要因が複合的に作用することで、大血管合併症のリスクが高まります。そして一般的に、糖尿病患者は非糖尿病者と比較して、大血管合併症の発症リスクが2〜4倍高いことが知られています。
このリスクの上昇は、糖尿病の罹患期間や血糖コントロールの状態、その他の危険因子(喫煙、肥満、高血圧など)の有無によって変動するため、注意が必要です。なお、大血管合併症は主に3つの主要な疾患群に分類されます。それぞれの特徴と影響について説明します。
<虚血性心疾患>
虚血性心疾患は、冠動脈の動脈硬化により心筋への血流が減少することで引き起こされます。主な症状として、胸痛や息切れが挙げられますが、糖尿病患者では神経障害の影響で痛みを感じにくいことがあるため、無症状で進行することもあります。
代表的な疾患には狭心症と心筋梗塞があり、狭心症は一時的な心筋虚血、心筋梗塞は持続的な虚血による心筋細胞の壊死を特徴とします。なお、診断には心電図、心エコー、冠動脈造影などが用いられ、治療法としては薬物療法、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)などがあります。ただし、糖尿病患者では、血糖コントロールに加えて、脂質異常症や高血圧の管理も重要です。また、定期的な心機能検査を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
<脳血管疾患>
脳血管疾患には、主に脳梗塞と脳出血が含まれます。脳梗塞は脳の血管が詰まることで引き起こされ、脳出血は血管が破れることで発生します。脳血管疾患は、突然の麻痺、言語障害、視覚異常、めまい、激しい頭痛などの症状が現れる可能性があります。
また、糖尿病患者では、高血糖による血管内皮細胞の障害や血液凝固能の亢進により、脳血管疾患のリスクが高まりますので注意が必要です。なお、脳血管疾患の診断にはCTやMRI、脳血管造影などの画像検査が用いられます。
治療法は発症からの時間や症状の程度によって異なりますが、急性期には血栓溶解療法や血管内治療が行われることがあります。
<末梢動脈疾患>
末梢動脈疾患(PAD)は、主に下肢の動脈が狭窄または閉塞することで引き起こされます。典型的な症状として、間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる歩行時の下肢の痛みや冷感、色調変化、潰瘍形成などが挙げられます。末梢動脈疾患は重症化すると、安静時疼痛や壊疽により下肢切断のリスクも高まります。また、糖尿病患者では高血糖による血管障害に加え、末梢神経障害によって痛みを感じにくくなり、無自覚のまま病態が進行することがあります。なお、末梢動脈疾患の診断には足関節上腕血圧比(ABI)の測定や超音波検査、CT・MR血管造影などが用いられます。そして治療では、運動療法や薬物療法、重症例では血管内治療や外科的血行再建術が行われます。
これらの大血管合併症は、糖尿病患者のQOL(生活の質)や生命予後に大きな影響を与える可能性があるため、適切な血糖コントロールや生活習慣の改善、定期的な検査による早期発見・早期治療が重要です。
大血管障害が起こる原因
大血管合併症の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っています。最も重要な原因は、長期にわたる高血糖状態です。高血糖は血管内皮細胞の機能を低下させ、動脈硬化を促進します。具体的には、高血糖によって活性酸素種(ROS)の産生が増加し、血管内皮細胞に障害や炎症反応を引き起こします。
また、糖化最終産物(AGEs)の蓄積も血管壁の構造を変化させ、動脈硬化を加速させます。さらに、インスリン抵抗性も重要な要因です。インスリン抵抗性は脂質代謝異常を引き起こし、LDLコレステロールの増加やHDLコレステロールの低下をもたらします。これらの脂質異常症も動脈硬化の進行を促進します。
加えて、糖尿病に伴う高血圧も血管壁への負担を増大させ、動脈硬化を悪化させる要因となります。なお、これらの糖尿病特有の要因に加え、一般的な動脈硬化の危険因子も大血管合併症の発症に関与します。例えば、喫煙、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣関連因子や、年齢、性別、遺伝的素因といった非修正可能な因子も重要です。
特に、これらの要因が複数重なることで、相乗的に大血管合併症のリスクが高まります。したがって、大血管合併症の予防と管理には、血糖コントロールだけでなく、総合的な生活習慣の改善や各種危険因子の適切な管理が不可欠です。
大血管障害の診断と予防
大血管障害は糖尿病患者の生命予後に大きく影響する合併症です。そのため、早期発見と適切な予防策が重要となります。ここでは、大血管障害の診断方法と効果的な予防策について詳しく解説します。
<大血管障害の診断と予防についての概要>
大血管障害の診断は、症状の有無にかかわらず定期的な「スクリーニング検査」から始まります。心臓、脳、末梢動脈それぞれに対して適切な検査が選択されます。予防においては、血糖値と血圧の厳格なコントロールに加えて、生活習慣の改善も重要な柱となります。なお、生活習慣の改善には食事療法、運動療法、禁煙などが含まれます。また、必要に応じて薬物療法も導入されます。
<心臓・脳・末梢動脈に対する検査方法>
心臓については、心電図検査、心エコー、負荷心電図、冠動脈CT、心筋シンチグラフィーなどが用いられます。脳に関しては、頭部MRI/MRA、頸動脈エコーなどが主な検査方法です。そして、末梢動脈疾患の診断には、ABI(足関節上腕血圧比)測定、下肢動脈エコー、CT血管造影などが活用されます。これらの検査を定期的に受けることで、無症状の段階から病変を発見し、早期介入につなげることができます。
<血糖値と血圧の適切な管理方法>
血糖管理では、HbA1c値を指標とし、個々の患者の状態に応じた目標値を設定します。一般的には7.0%未満を目指しますが、年齢や合併症の有無により調整します。また、血圧管理の目標は130/80mmHg未満とされていますが、これも個別化が必要です。なお、両者の管理には、生活習慣の改善と適切な薬物療法の組み合わせが効果的です。定期的な自己測定と医療機関での評価を行い、必要に応じて治療内容を調整していきます。
<生活習慣改善(食事、運動、禁煙)と予防のための薬物療法>
食事療法では、適正なカロリー摂取と栄養バランスの改善が重要です。特に、脂質や塩分の摂取量に注意を払う必要があります。次に、運動療法は、有酸素運動を中心に週150分以上の実施が推奨されます。また、生活習慣の改善には禁煙が欠かせません。禁煙は大血管障害予防において非常に重要な要素であるため、必要に応じて禁煙補助薬の使用も考慮します。なお、薬物療法としては、抗血小板薬、スタチン、降圧薬などが用いられます。これらは、個々の患者のリスク因子に応じて選択されます。
大血管合併症の治療方法
糖尿病における大血管合併症の治療は、患者の状態や合併症の進行度に応じて、薬物療法から外科的治療まで多岐にわたります。治療の基本は、血糖コントロールの改善と心血管イベントのリスク因子の管理です。これらに加えて、合併症の種類や重症度に応じた特異的な治療が行われます。ここでは、薬物療法、外科的治療、リハビリテーションについて詳しく説明します。
<薬物療法>
薬物療法は大血管合併症の予防と治療の両面で重要な役割を果たします。例えば、抗血小板薬は血栓形成を抑制し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを低下させます。そして、脂質異常症治療薬、特にスタチン系薬剤は、LDLコレステロールを低下させ動脈硬化の進行を抑制します。さらに、降圧薬や血糖降下薬も併用され、総合的なリスク管理が行われます。なお、これらの治療薬は一次予防(合併症発症前)、二次予防(合併症発症後)の両方で有効性が示されています。
<外科的治療>
大血管合併症が進行した場合、外科的治療が必要となることがあります。冠動脈疾患に対しては、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)やステント留置術が行われます(より重症例では冠動脈バイパス術も選択肢となります)。脳血管疾患に対しては、頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術が行われることがあります。また、末梢動脈疾患では、血管形成術やバイパス術が実施されます。これらの治療法は、症状の改善と長期的な予後の向上を目的としています。
<リハビリテーション>
外科的治療後や急性期治療後のリハビリテーションは、機能回復と再発予防に重要な役割を果たします。例えば、心臓リハビリテーションでは、運動療法を中心に、患者教育や生活指導が包括的に行われます。これにより、心機能の回復だけでなく、再発予防や生活の質の向上も図ることができます。なお、脳卒中後のリハビリテーションでは、機能回復訓練や日常生活動作の訓練が重点的に行われます。また、末梢動脈疾患に対しても、適切な運動療法が実施されます。リハビリテーションは、身体機能の改善だけでなく、患者の自己管理能力の向上にも貢献します。
大血管合併症の治療においては、これらの治療法を適切に組み合わせ、個々の患者の状態に応じた最適な治療計画を立てることが重要です。また、治療と並行して、生活習慣の改善や定期的な検査によるフォローアップも欠かせません。継続的な血糖管理と併せて、総合的なアプローチを行うことで、大血管合併症の進行を抑制し、患者のQOLと生命予後の改善を目指します。
大血管障害と他の糖尿病合併症の関連
糖尿病における大血管障害は、単独で発症するわけではなく、他の糖尿病合併症と密接に関連しています。特に、細小血管症や神経障害との相互作用は重要です。まず、細小血管症との関連を考えると、網膜症、腎症、神経障害などの細小血管合併症は、大血管障害の進行を加速させる因子となります。
例えば、糖尿病性腎症による慢性腎臓病は、動脈硬化を促進し、心血管イベントのリスクを高めます。また、網膜症の存在は、冠動脈疾患や脳卒中のリスク上昇と関連しています。これは、網膜血管の変化が全身の血管状態を反映しているためと考えられます。
一方で、大血管障害も細小血管症の進行に影響を与えます。大血管の動脈硬化は、臓器への血流を低下させ、細小血管障害をさらに悪化させる可能性があります。さらに神経障害との関係も重要です。自律神経障害は心血管系に直接的な影響を与え、心拍変動の低下や起立性低血圧などを引き起こし、心血管イベントのリスクを高めます。
なお、末梢神経障害は足の感覚低下をもたらし、気づかないうちに足の傷が悪化し、末梢動脈疾患と相まって重篤な足病変を引き起こす可能性があります。これらの合併症は相互に影響し合い、複雑な病態を形成します。したがって、大血管障害の管理においては、他の糖尿病合併症の存在や進行度を考慮した総合的なアプローチが必要です。早期からの適切な血糖コントロールと、各合併症に対する定期的なスクリーニングと管理が、合併症の進行予防と患者のQOL維持に重要な役割を果たします。
大血管合併症について不安な方はいつでもご相談ください
大血管合併症は深刻な問題ですが、適切な健康管理と予防策を講じることで、その発症リスクを大幅に低減できます。したがって、総合的な健康管理と自己管理を徹底してください。健康管理では、血糖値のコントロールはもちろんのこと、適切な食事療法、運動療法、そして必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、合併症の予防や進行の抑制に大きな効果が期待できます。
また、定期的な検診や自己管理の習慣化は、早期発見・早期治療にもつながります。さらに、禁煙や適度な飲酒、ストレス管理なども、大血管合併症の予防に寄与します。
これらの生活習慣の改善は、単に糖尿病の管理だけでなく、全体的な健康状態の向上にもつながりますので、積極的に行ってください。
なお、当院では、患者一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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糖尿病予備群(境界型糖尿病)の症状や対策について解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。
この記事では、糖尿病の可能性を否定できない者「糖尿病予備群」について解説していきます。
後半部分では「糖尿病予備群にならないための予防法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群にならないための予防法
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。
「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。
糖尿病予備群の主な症状
糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。
しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。
なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。
糖尿病予備群と診断された方へ
糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。
なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。
また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。
糖尿病予備群にならないための予防法
糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。
では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。
【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動
糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。
また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。
ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。
なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。
<有酸素運動>
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。
ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。
有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<レジスタンス運動>
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。
レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し
糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。
バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。
なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。
<ゆっくり食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<野菜類から食べる>
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。
食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<アルコールは適量にする>
アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。
しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。
<腹八分目でストップ>
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。
いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。
とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
<間食をしない>
間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。
また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。
【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。
そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。
日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。
ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。
糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ
糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。
後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
インスリンとは何か
インスリン療法とは
インスリン療法のしくみ
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン療法の具体的な手法
インスリン療法のメリット
インスリン療法のデメリット
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
インスリンとは何か
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。
糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。
なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。
インスリン療法とは
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。
インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。
頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。
一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。
インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のしくみ
インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。
不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。
なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。
なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。
また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。
血糖自己測定の方法は以下の通りです。
⑴ 血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。
⑵ 血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。
⑶ 指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。
⑷ 血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。
⑸ 残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。
インスリン療法の具体的な手法
インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。
⑴ 注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。
⑵ インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。
⑶ インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。
⑷ ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。
⑸ 注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。
⑹ ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。
⑺ 針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。
※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。
それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。
また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。
ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。
「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のメリット
インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。
インスリン療法のデメリット
残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。
なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。
ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
糖尿病と高血圧の関係
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病患者さんにおける「高血圧」の頻度は非糖尿病者に比べて約2倍高く、高血圧患者さんにおいても糖尿病の合併頻度は2~3倍高いと報告されています。
この記事では、糖尿病患者さんに向けて「糖尿病と高血圧の関係」を解説していきます。後半部分では「糖尿病と高血圧の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【目次】
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
糖尿病の血圧値について
糖尿病と高血圧予防
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
【糖尿病と高血圧予防】運動
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか
糖尿病患者さんは「高血圧になりやすい」といわれています。なぜ糖尿病の方は高血圧になりやすいのでしょうか。糖尿病患者さんが高血圧になりやすいのには、以下の理由があげられます。
【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです
血糖値が高い状態では、血液の浸透圧が高くなっています。そのため、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓からの水分の吸収が増えたりして、体液・血液量が増加し、血圧が上昇します。
【糖尿病と高血圧の関係2】肥満
2型糖尿病患者さんには肥満が多いのが特徴です。肥満になると交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌されるため、高血圧になります。このようなことから、糖尿病患者さんは高血圧になりやすいと考えられています。
【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです
インスリン抵抗性とは、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態です。インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」を招きます(インスリン抵抗性自体が糖尿病の原因にもなります)。高インスリン血症では、交感神経の緊張、腎臓でナトリウムが排泄されにくい、血管壁を構成している細胞の成長が促進されるといった現象が起きて、血管が広がりにくくなり、血液量も増え、血圧が高くなるのです。
<高血圧とは?>
高血圧とは、運動したときなどの一時的な血圧上昇とは違い、安静時でも慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。具体的には「収縮期血圧が140mmHg以上」「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合をいい、どちらか一方でもこの値を超えていると高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし放置してしまうと心疾患や脳卒中など生命を脅かす病気につながるため「サイレント・キラー」といわれています。高血圧が引き起こす合併症について知りたい方は「高血圧の症状にお困りの患者の方へ」をご覧ください。
糖尿病の血圧値について
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、糖尿病患者さんの降圧目標を、130/80mmHg未満としています。ただし、高齢者では厳しい血圧コントロールは、ふらつきや起立性低血圧などの原因となる可能性があるため、やや高めに設定されています。高齢者では、それぞれの患者さんの病気の状態に合わせて慎重に血圧コントロールをしていきます。詳しくは「高血圧治療ガイドライン2014」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
糖尿病と高血圧予防
糖尿病と高血圧予防に有効な対策は「食生活の改善」と「運動」です。順番にご説明していきますね。
【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善
食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。
糖尿病と高血圧予防|食事のポイント
糖尿病と高血圧を予防するためには「食べ方」も大切です。食事する際は以下のポイントに注意してください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント1>野菜類から食べる
野菜類から先に食べることで食後の血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜や豆類などで少しお腹をふくらませておくと、肉類やご飯の量を減らすこともできます。ですので、食事をする際は、野菜類から食べるようにしてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント2>ゆっくり食べる
早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント3>規則正しく3食を食べる
1日に2食や、間隔の空き過ぎた食事の取り方はよくありません。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、規則正しく「3食」を食べることを心掛けてください。
<糖尿病と高血圧予防|食事のポイント4>腹八分目
慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。
【糖尿病と高血圧予防】運動
運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。なお、おすすめの運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」です。それぞれの運動については下記をご覧ください。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動1>有酸素運動
有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。
<糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動2>レジスタンス運動
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。
糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について
運動の頻度は「できれば毎日」少なくとも週に3~5回行うのが良いといわれています。しかし、普段から運動に親しんでいない方(または高齢の方)などでは、急激な運動はかえって体の負担となり、思いがけない事故を引き起こしてしまうこともあります。ですので、無理のない範囲で行なってください。運動は定期的に長く続けられることが秘訣です。自然の中で風景を堪能しながらの「ウォーキング」や楽しく続けられる「スポーツ」など、自分にあった運動の方法を探してみてくださいね。
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2022.10.05
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