糖尿病・代謝内科

糖尿病の初期症状|女性特有の糖尿病の初期症状や予防法について解説

2025.02.25

この記事では「女性特有の糖尿病の初期症状」について解説していきます。後半部分では「糖尿病の予防法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

【目次】
糖尿病とは?女性が特に注意すべき理由
女性特有の糖尿病の初期症状について
見逃しやすい代表的な糖尿病の初期症状
女性の糖尿病予防と対策
糖尿病合併症を防ぐためのケア方法
まとめ

 

糖尿病とは?女性が特に注意すべき理由

糖尿病とは?女性が特に注意すべき理由

女性の糖尿病は、ホルモンバランスの変動や生活環境の変化に大きく影響を受けます。まずは、女性が特に意識すべき「糖尿病の特徴」と「対策」について詳しく解説します。

糖尿病の基本的な症状

糖尿病の初期症状は自覚しにくく、進行するまで気付かないことが多いのが特徴です。最も代表的な症状は、喉の渇きと頻尿です。体内で血糖値が上昇すると、それを薄めようとして喉が渇き、水分を多く摂取することで頻尿になります。また疲れやすさや傷の治りが遅いことも特徴的です。血液中のブドウ糖が細胞内に取り込めないため、エネルギー不足になり疲労感が生じます。さらに高血糖状態が続くと、血管が傷つき、網膜症や腎症などの合併症を引き起こす可能性が高まります。なお、女性特有の症状として、膣カンジダ症にかかりやすくなることも知られています。高血糖状態は細菌の増殖を促すため、感染症のリスクが高まるのです。

女性ホルモンと糖尿病の関係性

女性ホルモンのエストロゲンには、インスリンの働きを助ける効果があります。しかし月経周期によってホルモンバランスが変動するため、血糖値のコントロールが難しくなることがあります。特に月経前は、プロゲステロンの影響でインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇しやすくなります。また妊娠中は、胎盤から分泌されるホルモンの影響で一時的にインスリンの効きが悪くなり、妊娠糖尿病を発症するリスクが高まります。なお、更年期以降はエストロゲンの分泌が減少するため、それまで保たれていた血糖値が上昇しやすくなります。

年代別の発症リスクと要因

女性の糖尿病発症リスクは、年齢やライフイベントによって大きく変化します。各年代特有の生活習慣や身体的な変化を理解し、適切な予防対策を講じることが重要です。ここでは、年代別の主なリスク要因と、その予防法について解説します。

<20代前半-30代前半のチェックポイント:生活習慣の乱れに要注意>

この時期は、就職や結婚など、生活環境が大きく変化する時期です。不規則な生活習慣や運動不足が主なリスク要因となります。特に夜型の生活習慣は、体内時計の乱れを引き起こし、血糖値のコントロールに悪影響を与えます。また、食生活の乱れや偏り、特に欠食や深夜の食事は、インスリンの分泌リズムを狂わせる原因となります。さらに、デスクワークによる運動不足も、血糖値の上昇を促進する要因となります。

<30代後半-40代のチェックポイント:妊娠・出産期の血糖管理>

妊娠・出産を経験する可能性が高いこの時期は、特に注意が必要です。妊娠中は、胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの効きが悪くなり、妊娠糖尿病を発症するリスクが高まります。また、出産後の体重増加や、育児・仕事の両立によるストレスも血糖値に大きな影響を与えます。特に産後うつや睡眠不足は、ホルモンバランスを崩す原因となり、糖尿病リスクを高めます。

<50代-60代のチェックポイント:更年期と加齢の影響>

更年期を迎えるこの時期は、女性ホルモンの急激な減少により、血糖値が上昇しやすくなります。エストロゲンの減少は、インスリンの働きを低下させる要因となります。また、加齢に伴う筋肉量の減少も、血糖値の上昇を促進します。この時期は、基礎代謝の低下も著しいため、同じ食事量でも体重が増加しやすく、それに伴って血糖値も上昇しやすくなります。

<遺伝的要因と家族歴>

年齢に関係なく重要なのが、遺伝的要因です。両親や兄弟に糖尿病患者がいる場合、発症リスクは約2倍に上昇すると言われています。特に母親が糖尿病の場合、そのリスクはさらに高まります。ただし、これは発症が確定するということではなく、適切な生活習慣の改善により、リスクを大きく低減することができます。

女性の糖尿病は、ホルモンバランスの変動や生活環境の変化に大きく影響を受けます。しかし、定期的な健康診断で血糖値をチェックし、バランスの良い食事と適度な運動を心がければ、予防や早期発見が可能です。特に家族歴のある方は、若いうちから生活習慣の改善を意識することが重要です。また妊娠を考えている方は、妊娠前から血糖値の管理を始めることで、母体と赤ちゃんの健康を守ることができます。糖尿病は決して特別な病気ではありません。正しい知識を持ち、適切な予防と管理を行うことで、健康的な生活を送ることができるのです。

 

女性特有の糖尿病の初期症状について

女性特有の糖尿病の初期症状について

女性の場合、糖尿病の初期症状が更年期障害や月経前症候群と似ているため、見過ごされやすい傾向にあります。そのため、早期発見のためにも、女性特有の症状を正しく理解することが重要です。ここでは、女性が特に注意すべき「糖尿病の初期症状」について、詳しく解説していきます。 

更年期症状との見分け方

糖尿病の初期症状は、更年期障害との区別が難しいことがあります。例えば、疲労感や不眠、イライラなどの精神症状は両者に共通しています。しかし、糖尿病特有のサインがいくつかあります。まず、のどの渇きと頻尿の組み合わせです。更年期でも頻尿は起こりますが、強い口渇を伴うことは少ないのが特徴です。また、手足のしびれも重要なサインです。更年期障害による一時的なしびれと異なり、糖尿病の場合は持続的で、特に夜間に悪化することが多いです。さらに、体重変化のパターンも異なります。更年期では緩やかな体重増加が一般的ですが、糖尿病では急激な体重減少が起こることがあります。

女性ホルモンの変化による症状の特徴

女性ホルモンの変動は、血糖値に大きな影響を与えます。月経周期に伴う症状の変化が特徴的です。例えば、月経前は血糖値が上昇しやすく、疲労感や食欲増加が強くなります。また、エストロゲンの減少は皮膚の乾燥を引き起こしますが、糖尿病があると症状がより顕著になります。特に、デリケートゾーンのかゆみや不快感が生じやすくなります。これは高血糖状態が酵母菌の増殖を促すためです。さらに、爪の変形や巻き爪になりやすい、足の裏が異常に熱くなるなども、女性に特徴的な初期症状です。

妊娠・出産による糖尿病リスク

妊娠中は、胎盤から分泌されるホルモンの影響で一時的にインスリンの効きが悪くなります。そのため、妊娠糖尿病を発症するリスクが高まります。初期症状としては、急激な体重増加、強い疲労感、頻尿などが現れます。また、つわりとの区別が難しい吐き気や食欲不振も注意が必要です。なお、妊娠糖尿病の場合、出産後に通常は血糖値は正常化しますが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが約7倍高くなると言われています。特に出産後、授乳期の急激な体重変化や強い疲労感は、糖尿病発症の警告サインかもしれません。

女性特有の糖尿病の初期症状は、ホルモンバランスの変化や生活環境の影響を受けやすく、他の症状と見分けることが難しい場合があります。しかし、症状の組み合わせや持続時間、発現パターンを注意深く観察することで、早期発見につながります。特に、のどの渇きと頻尿の組み合わせ、持続的なしびれ、皮膚症状の悪化などは重要なサインです。また、妊娠・出産期は糖尿病のリスクが高まる時期であり、定期的な検査と適切な生活管理が必要です。不安な症状がある場合は、医師に相談することをお勧めします。

 

見逃しやすい代表的な糖尿病の初期症状

見逃しやすい代表的な糖尿病の初期症状

糖尿病の初期症状は、日常生活でよくある症状と似ているため、見過ごされやすい特徴があります。特に、皮膚や爪の変化、神経症状などは他の疾患と混同されやすく、発見が遅れる原因となっています。ここでは、「見逃しやすい初期症状」について解説していきます。

皮膚の変化(かゆみ、乾燥)

糖尿病による皮膚の変化は、最も見落としやすい初期症状の一つです。高血糖状態が続くと、皮膚の血行が悪くなり、全身的な乾燥が起こります。特に、肘や膝の内側、首の後ろなどが黒ずんでくることがあります。また、皮膚の痒みも特徴的です。高血糖により皮膚の水分が奪われ、乾燥が進むことで痒みが生じます。この痒みは入浴後や就寝前に特に強くなり、掻きすぎによる傷跡が治りにくいのも特徴です。さらに、水虫などの皮膚感染症にもかかりやすくなるため、日頃から皮膚の状態を確認し、異常を感じたら早めに医療機関を受診するようにしてください。

爪のトラブル(変形、感染症)

爪の変化は、糖尿病の重要な初期サインとなります。高血糖状態が続くと、爪が脆くなり、割れやすくなります。特に足の爪は変形しやすく、巻き爪や肥厚爪になりやすい傾向があります。また、爪周囲の感染症も起こりやすくなります。これは血糖値が高いと、白血球の働きが低下し、免疫力が弱まるためです。なお、爪の変化は、単なる加齢現象と思われがちですが、複数の爪に同時に起こる変化や、急激な変形は注意が必要です。詳しくは「糖尿病初期症状による爪の変化|色や形の特徴や予防策を解説」をご覧ください。

神経症状(しびれ、痛み)

神経症状は、糖尿病の代表的な初期症状の一つです。高血糖により神経が障害されると、手足のしびれや痛みが現れます。特に、足先から始まり、徐々に上方に広がっていく感覚障害が特徴的です。初期は夜間に悪化することが多く、「靴下をはいているような」「ピリピリする」といった症状を訴える方が多いです。また、暑さや寒さを感じにくくなったり、足の位置感覚が鈍くなったりすることもあります。これらの症状は、疲労や加齢による症状と混同されやすいですが、持続的で左右対称性に現れることが特徴です。

その他の全身症状

糖尿病の初期には、様々な全身症状が現れます。疲れやすさや倦怠感は最も一般的ですが、これらは日常的なストレスや睡眠不足による症状と区別が難しいです。また、視界がぼやけたり、かすんだりする症状も見られます。これは水晶体が高血糖の影響を受けて一時的に腫れることが原因です。さらに、歯周病になりやすくなったり、傷の治りが遅くなったりすることもあります。これらの症状は、高血糖による血行障害や免疫力低下が原因です。なお、性機能の低下や、うつ状態なども見られることがあります。

糖尿病の初期症状は、日常生活で経験する様々な不調と似ているため、単なる疲れや加齢現象と思われがちです。しかし、これらの症状が持続的に現れたり、複数の症状が同時に出現したりする場合は、糖尿病を疑う必要があります。特に、皮膚の変化、爪のトラブル、神経症状は重要なサインとなります。早期発見・早期治療が合併症の予防につながるため、気になる症状がある場合は、できるだけ早く医師に相談することをお勧めします。

 

女性の糖尿病予防と対策

女性の糖尿病予防と対策

女性の糖尿病は、ホルモンバランスの変化や生活スタイルの影響を強く受けます。特に仕事と家庭の両立や、妊娠・出産、更年期など、ライフステージの変化に応じた適切な予防と対策が重要です。ここでは、女性の生活に寄り添った「実践的な予防法」と「対策」について解説していきます。

生活習慣の改善ポイント

女性の糖尿病予防には、規則正しい生活リズムの確立が不可欠です。特に睡眠時間の確保は重要で、成人女性は7-8時間の睡眠が推奨されます。質の良い睡眠は血糖値の安定に直接影響を与えるだけでなく、食欲のコントロールにも重要な役割を果たします。また、夜型生活を避け、朝食をしっかりとることで、一日の血糖値の変動を抑えることができます。家事や育児で忙しい女性は、自分の時間を確保することが難しいかもしれませんが、家族の協力を得ながら、少なくとも週に一度は自分のための時間を作ることをお勧めします。なお、定期的な健康診断の受診も重要です。年に一度は必ず血糖値のチェックを行ってください。

食事管理のコツ

女性の食事管理では、栄養バランスと食事のタイミングが重要です。一日三食を規則正しく取り、特に朝食は血糖値の安定に欠かせません。主食、主菜、副菜をバランスよく摂取し、食物繊維を意識的に取り入れることで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。また、女性に不足しがちな鉄分やカルシウムも意識的に摂取してください。なお、間食については、完全な制限は逆効果です。適度な間食は血糖値の急激な変動を防ぐことができます。ただし、菓子類は糖質が多いため、ナッツ類や低糖質のおやつを選ぶことをお勧めします。

運動療法の実践方法

女性に適した運動療法は、無理なく継続できることが最も重要です。ウォーキングは最も取り組みやすい運動です。また、ヨガやピラティスなども女性に人気の運動で、筋力アップとストレス解消の両方に効果的です。なお、運動は一度に長時間行う必要はなく、10分程度の短い運動を一日に数回行うことでも十分な効果が得られます。また、家事の合間にストレッチを行ったり、階段を使ったりするなど、日常生活の中で運動を取り入れることも有効です。ただし、月経期間中は体調に合わせて運動強度を調整することが大切です。

ストレス管理の重要性

ストレスは血糖値を上昇させる大きな要因となります。特に女性は、仕事、家事、育児など多くの役割を担う中で、ストレスを感じやすい傾向にあります。そのため、ストレス管理は糖尿病予防や血糖コントロールにおいて非常に重要です。まずは、自分がどのような場面でストレスを感じやすいか、ストレス要因を把握することから始めてください。例えば、定期的にリラックスできる時間を確保したり、趣味に打ち込む時間を持つことは、効果的なストレス解消法になります。また、深呼吸やストレッチ、アロマテラピーなど、自宅で簡単にできるリラクゼーション法も取り入れてください。さらに、悩みを一人で抱え込まず、家族や友人に話して気持ちを楽にすることも大切です。必要に応じて、カウンセリングなど専門家のサポートを受けることも検討してください。

女性の糖尿病予防と対策は、日々の生活習慣の改善から始まります。規則正しい生活リズム、バランスの取れた食事、適度な運動、そして効果的なストレス管理が重要です。これらの取り組みは、一度に完璧に実行する必要はありません。できることから少しずつ始め、自分のペースで習慣化していくことが大切です。

 

糖尿病合併症を防ぐためのケア方法

糖尿病合併症を防ぐためのケア方法

糖尿病の合併症は、早期発見と適切なケアによって予防や進行を抑えることができます。特に足のケアや皮膚の管理は、重要な予防策となります。ここでは、日常生活で実践できる「具体的なケア方法」と「定期検査の重要性」について解説していきます。

フットケアの具体的な方法

フットケアは、糖尿病の合併症予防において欠かせない管理の一つです。毎日の足の観察と清潔保持を基本として取り組んでください。具体的には、入浴時に38度程度のぬるめのお湯で優しく洗い、特に指の間は丁寧に洗って、しっかり乾かすことが大切です。また、爪は深爪を避け、まっすぐに切ることで、巻き爪や爪周囲の炎症を予防してください。さらに、靴選びも重要です。足に合った大きさで、つま先に余裕があり、圧迫や摩擦が少ないものを選んでください。なお、足の皮膚が乾燥している場合は、保湿クリームを塗布して、乾燥やひび割れを防ぎますが、指の間には塗らないようにしてください。また、冬場は足元を温めすぎないよう注意が必要です。電気毛布や湯たんぽは低温やけどの危険があるため、長時間の使用は避け、温度にも十分注意してください。

スキンケアの重要性

糖尿病患者の皮膚は乾燥しやすく、感染症にかかりやすいため、全身的なスキンケアに取り組むことが大切です。入浴は皮膚を清潔に保つ良い機会ですが、熱いお湯や長時間の入浴は避け、ぬるめのお湯で10-15分程度を目安にしてください。また、洗浄料は刺激の少ない弱酸性のものを選び、ナイロンタオルやたわしの使用は避けて、柔らかいタオルや手で優しく洗うようにしてください。さらに入浴後は、肌が温かく柔らかいうちに、全身に保湿剤を塗布してください。特に、肘、膝、かかとなど乾燥しやすい部分は、丁寧に保湿を行うことが重要です。なお、日光対策も欠かせません。外出時は、日焼け止めを使用し、帽子や日傘を活用して直射日光を避けるようにしてください。

定期的な健康診断の活用

定期的な健康診断は、合併症を早期に発見するために欠かせません。一般的な血糖値検査に加えて、眼科検査、腎機能検査、心電図検査も定期的に受けるようにしてください。特に、眼科検査は年に1〜2回受診し、網膜症の早期発見に努めることが大切です。また、歯科検診も重要で、糖尿病患者は歯周病になりやすいため、半年に一度は受診し、口腔内の健康を保つようにしてください。さらに、血圧測定や脂質検査も欠かさず行い、心血管系の合併症予防に取り組んでください。これらの検査結果は記録し、経過を把握しておくことで、異常の早期発見につながります。継続的に健康状態を確認しながら、適切な管理を続けていくことが大切です。

早期発見のためのセルフチェック

日々のセルフチェックは、合併症を早期に発見するために重要な役割を担います。まず、朝晩に血糖値を測定し、習慣として続けてください。測定値は必ず記録し、変動の傾向を把握することで、異常に早く気付くことができます。また、体重測定も定期的に行い、急激な増減がないか確認してください。加えて、足の観察は毎日行い、傷や腫れ、変色などがないか丁寧にチェックしてください。さらに、視力の変化や手足のしびれ、疲れやすさなど、体のわずかな異変にも注意を払ってください。なお、新たな症状が現れたり、いつもと違う違和感を覚えたりした場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

糖尿病合併症の予防には、日常的なケアと定期的な検査の両方が重要です。フットケアやスキンケアは毎日の習慣として取り入れ、定期検査は必ず受診するようにしてください。

 

まとめ

まとめ

女性の糖尿病は、ホルモンバランスの変動や生活環境の変化に大きく影響を受けるため、男性とは異なる特徴があります。特に、更年期障害との症状の類似性や、妊娠・出産による影響など、女性特有の注意が必要な点があります。初期症状として注意してほしいのは、皮膚の変化や爪のトラブル、神経症状です。具体的には、皮膚の乾燥やかゆみ、爪の変形や感染症のリスク増加、手足のしびれなどが代表的です。これらの症状は、日常的な不調と混同されやすいため、持続的に現れる場合や、複数の症状が同時に出現する場合は、糖尿病の可能性を考えてください。さらに、合併症を防ぐために、日々のケアも欠かせません。フットケアやスキンケアなどの日常的な取り組みに加え、定期的に健康診断を受け、自己管理の一環としてセルフチェックを続けることが大切です。これらは、一度に完璧に行う必要はありません。無理なくできることから少しずつ始め、自分のペースで続けてください。なお、当院では、患者一人ひとりの状態に合わせた総合的な治療を提供しています。糖尿病の初期段階から進行した症例まで幅広く対応しておりますので、糖尿病の症状に心当たりのある方、もしくは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

同じカテゴリのブログ記事

糖尿病・代謝内科

糖尿病予備群(境界型糖尿病)の症状や対策について解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。 この記事では、糖尿病の可能性を否定できない者「糖尿病予備群」について解説していきます。 後半部分では「糖尿病予備群にならないための予防法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは 糖尿病予備群の主な症状 糖尿病予備群と診断された方へ 糖尿病予備群にならないための予防法 【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動 【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し 【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙 糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ   糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは 糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。 「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。   糖尿病予備群の主な症状 糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。 しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。 また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。 さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。 なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。   糖尿病予備群と診断された方へ 糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。 ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。 なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。 また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。 ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。   糖尿病予備群にならないための予防法 糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。 では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。   【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動 糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。 また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。 ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。 なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。   <有酸素運動> 有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。 ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。 有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。   <レジスタンス運動> レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。 スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。 レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。   【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し 糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。 食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。 食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。 バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。 なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。   <ゆっくり食べる> 早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。 食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。   <野菜類から食べる> 早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。 食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。   <アルコールは適量にする> アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。 しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。   <腹八分目でストップ> 慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。 いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。 とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。   <間食をしない> 間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。 また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。   【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙 喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。 そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。 日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。 ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。   糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ 糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。 そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。 健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.21

糖尿病・代謝内科

糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。 後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 インスリンとは何か インスリン療法とは インスリン療法のしくみ インスリン注射を行う前に血糖自己測定 インスリン療法の具体的な手法 インスリン療法のメリット インスリン療法のデメリット インスリン注射はほとんど痛くありません インスリン療法は早期に始めることが効果的です インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   インスリンとは何か インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。 糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。 なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。 糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。   インスリン療法とは インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。 インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。 頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。 一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。 インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。 なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。   インスリン療法のしくみ インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。 不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。 なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。   インスリン注射を行う前に血糖自己測定 インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。 なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。 また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。 血糖自己測定の方法は以下の通りです。   ⑴    血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。 ⑵    血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。 ⑶    指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。 ⑷    血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。 ⑸    残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。   インスリン療法の具体的な手法 インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。 ⑴    注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。 ⑵    インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。 ⑶    インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。 ⑷    ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。 ⑸    注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。 ⑹    ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。 ⑺    針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。 ※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。   それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。 また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。 ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。 「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。   インスリン療法のメリット インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。 インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。   インスリン療法のデメリット 残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。 低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。 そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。 インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。   インスリン注射はほとんど痛くありません インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。 なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。   インスリン療法は早期に始めることが効果的です 上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。 そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。 ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。   インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。 そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.21

糖尿病・代謝内科

糖尿病と高血圧の関係

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病患者さんにおける「高血圧」の頻度は非糖尿病者に比べて約2倍高く、高血圧患者さんにおいても糖尿病の合併頻度は2~3倍高いと報告されています。 この記事では、糖尿病患者さんに向けて「糖尿病と高血圧の関係」を解説していきます。後半部分では「糖尿病と高血圧の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか 【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです 【糖尿病と高血圧の関係2】肥満 【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです 糖尿病の血圧値について 糖尿病と高血圧予防 【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善 糖尿病と高血圧予防|食事のポイント 【糖尿病と高血圧予防】運動 糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について   糖尿病の方がなぜ高血圧になりやすいのか 糖尿病患者さんは「高血圧になりやすい」といわれています。なぜ糖尿病の方は高血圧になりやすいのでしょうか。糖尿病患者さんが高血圧になりやすいのには、以下の理由があげられます。 【糖尿病と高血圧の関係1】高血糖で循環血液量が増えるからです 血糖値が高い状態では、血液の浸透圧が高くなっています。そのため、水分が細胞内から細胞外に出てきたり、腎臓からの水分の吸収が増えたりして、体液・血液量が増加し、血圧が上昇します。 【糖尿病と高血圧の関係2】肥満 2型糖尿病患者さんには肥満が多いのが特徴です。肥満になると交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌されるため、高血圧になります。このようなことから、糖尿病患者さんは高血圧になりやすいと考えられています。 【糖尿病と高血圧の関係3】インスリン抵抗性があるからです インスリン抵抗性とは、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が低下している状態です。インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌され「高インスリン血症」を招きます(インスリン抵抗性自体が糖尿病の原因にもなります)。高インスリン血症では、交感神経の緊張、腎臓でナトリウムが排泄されにくい、血管壁を構成している細胞の成長が促進されるといった現象が起きて、血管が広がりにくくなり、血液量も増え、血圧が高くなるのです。 <高血圧とは?> 高血圧とは、運動したときなどの一時的な血圧上昇とは違い、安静時でも慢性的に血圧が高い状態が続いていることを指します。具体的には「収縮期血圧が140mmHg以上」「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合をいい、どちらか一方でもこの値を超えていると高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし放置してしまうと心疾患や脳卒中など生命を脅かす病気につながるため「サイレント・キラー」といわれています。高血圧が引き起こす合併症について知りたい方は「高血圧の症状にお困りの患者の方へ」をご覧ください。   糖尿病の血圧値について 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、糖尿病患者さんの降圧目標を、130/80mmHg未満としています。ただし、高齢者では厳しい血圧コントロールは、ふらつきや起立性低血圧などの原因となる可能性があるため、やや高めに設定されています。高齢者では、それぞれの患者さんの病気の状態に合わせて慎重に血圧コントロールをしていきます。詳しくは「高血圧治療ガイドライン2014」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。   糖尿病と高血圧予防 糖尿病と高血圧予防に有効な対策は「食生活の改善」と「運動」です。順番にご説明していきますね。 【糖尿病と高血圧予防】食生活の改善 食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。   糖尿病と高血圧予防|食事のポイント 糖尿病と高血圧を予防するためには「食べ方」も大切です。食事する際は以下のポイントに注意してください。 <糖尿病と高血圧予防|食事のポイント1>野菜類から食べる 野菜類から先に食べることで食後の血糖値の上昇が緩やかになります。また、野菜や豆類などで少しお腹をふくらませておくと、肉類やご飯の量を減らすこともできます。ですので、食事をする際は、野菜類から食べるようにしてください。 <糖尿病と高血圧予防|食事のポイント2>ゆっくり食べる 早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。 <糖尿病と高血圧予防|食事のポイント3>規則正しく3食を食べる 1日に2食や、間隔の空き過ぎた食事の取り方はよくありません。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、規則正しく「3食」を食べることを心掛けてください。 <糖尿病と高血圧予防|食事のポイント4>腹八分目 慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。   【糖尿病と高血圧予防】運動 運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進され、インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。また、長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。なお、おすすめの運動は「有酸素運動」と「レジスタンス運動」です。それぞれの運動については下記をご覧ください。 <糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動1>有酸素運動 有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。 <糖尿病と高血圧予防|おすすめの運動2>レジスタンス運動 レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。   糖尿病と高血圧予防|運動の頻度について 運動の頻度は「できれば毎日」少なくとも週に3~5回行うのが良いといわれています。しかし、普段から運動に親しんでいない方(または高齢の方)などでは、急激な運動はかえって体の負担となり、思いがけない事故を引き起こしてしまうこともあります。ですので、無理のない範囲で行なってください。運動は定期的に長く続けられることが秘訣です。自然の中で風景を堪能しながらの「ウォーキング」や楽しく続けられる「スポーツ」など、自分にあった運動の方法を探してみてくださいね。 当日の順番予約はこちらから

2022.10.05