板谷内科クリニックブログ
治療についての記事一覧
- 板谷内科クリニックブログ
- 治療についての記事一覧
不眠症の種類とその対策・治療法について
内科に関する記事です。
この記事では、「不眠症の種類」をご紹介していきます。後半部分では不眠症の種類に適した「対策」と「治療法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
不眠症とは
不眠症の種類について
不眠症の種類に適した対策と治療法
不眠症の種類を理解し、適切な診断を受けましょう
不眠症とは
不眠症とは、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害などの睡眠問題があり、そのために日中に様々な不調が現れる病気です。倦怠感や意欲低下、集中力低下、食欲低下などの症状の他、精神症状も引き起こす可能性があります。不眠症は、個人的な健康に影響を及ぼすだけでなく、「生産性の低下」や「交通事故の増加」など、社会経済的な損失をもたらす可能性があります。したがって早い段階で、医師の診断や適切なケア、適切な治療を受ける必要があります。また、不眠症には入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害などのさまざまな種類があり、それぞれの種類によって症状や原因が異なります。そのため、不眠症の種類を理解することは非常に重要です。「不眠症 - e-ヘルスネット - 厚生労働省」や「不眠症の種類を紹介しているサイト」でも同様のことを伝えています。
不眠症の種類について
不眠症には、大きく分けて以下4つのタイプがあります。
【不眠症の種類1】入眠障害
入眠障害は、睡眠に入ることが困難な状態を指します。主な原因としては、ストレス、不規則な生活リズム、不安やうつ症状などが挙げられます。入眠障害の対策としては、リラックスした環境を作り、規則正しい睡眠スケジュールを確保することが重要です。具体的な方法としては、「ストレス管理」や「就寝前のリラックス法」を取り入れることが効果的になります。また、入眠障害の治療法としては、睡眠薬や認知行動療法などがあります。入眠障害の治療には、専門家のアドバイスを受けながら、睡眠環境や睡眠習慣の改善に取り組むことが大切です。
【不眠症の種類2】中途覚醒
中途覚醒は、夜間に何度も目が覚める状態を指します。主な原因としては、睡眠時無呼吸症候群やストレス、心理的な要因が挙げられます。中途覚醒の対策としては、睡眠環境の改善や規則正しい生活リズムの確保が重要です。具体的な方法としては、「リラックス法」や「睡眠前の刺激物の制限」が有効になります。また、病院での治療法としては、睡眠時無呼吸症候群の治療や認知行動療法があります。中途覚醒の治療では、専門家のアドバイスを受けながら、適切な治療法や改善策を見つけることが大切です
【不眠症の種類3】早朝覚醒
早朝覚醒は、早朝に目が覚めてしまい、再び眠りに戻れない状態を指します。主な原因としては、うつ病や不安、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。早朝覚醒の対策としては、より良い睡眠を促すために、規則正しい睡眠スケジュールを守り、快適な睡眠環境を整えることが重要です。具体的なアプローチとしては、「リラックス法」や「睡眠前の刺激物の制限」が有効になります。また、病院での治療法としては、うつ病や睡眠時無呼吸症候群の治療があります。早朝覚醒の治療には、専門家のアドバイスを受けながら、適切な治療法や習慣の改善を行うことが大切です
【不眠症の種類4】熟睡障害
熟睡障害は、夜間に断続的な目覚めや浅い眠りが続く状態を指します。主な原因としては、睡眠時無呼吸症候群や不快な環境、身体的な不快感が挙げられます。熟睡障害の対策としては、快適な睡眠環境の整備や睡眠前のリラックス法が効果的です。具体的な方法としては、「寝室の静かな環境づくり」や「身体をリラックスさせる習慣」を取り入れることが挙げられます。また、病院での治療法には、睡眠時無呼吸症候群の治療や認知行動療法があります。熟睡障害の治療では、専門家のアドバイスを受けながら、適切な治療法や改善策を見つけることが重要です。
不眠症の種類に適した対策と治療法
不眠症の種類に適した対策と治療法は以下の通りです。
【不眠症のタイプ1】入眠障害
入眠障害には、リラックス法や睡眠環境の改善が有効です。リラックス法としては、入眠前にゆったりとした入浴やストレッチ、深呼吸などを行うことが挙げられます。また、寝室の環境を整えるためには、明かりを消し、外部の騒音を遮断するなど、暗い・静かな空間を作ることが重要です。なお、自分に合った寝具や枕を選ぶことも大切になります。
【不眠症のタイプ2】中途覚醒
中途覚醒に悩んでいる場合、ストレス管理や規則正しい生活リズムを意識することが重要です。日中のストレスを軽減するためには、「リラクゼーション法」や「ストレス解消の方法」を積極的に取り入れてください。また、規則正しい睡眠スケジュールを作り、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることで、体内時計を整えることができます。これにより、睡眠の質と量が向上し、中途覚醒の問題を緩和することが期待できます。
【不眠症のタイプ3】早朝覚醒
早朝覚醒の対策としては、睡眠前の刺激物の制限が効果的です。過度の飲食やアルコール、カフェインの摂取は避けてください。なお、リラックス法や深呼吸、瞑想などを行うことで、心身を落ち着かせることができます。
【不眠症のタイプ4】熟睡障害
熟睡障害に悩んでいる場合、「快適な睡眠環境づくり」や「認知行動療法」が役立ちます。具体的には、寝室の温度を適切に設定し、湿度を調整することが重要です。騒音を軽減するためには、イヤープラグやホワイトノイズマシンを活用することも有効になります。なお、認知行動療法では、睡眠に関する誤った思考や行動パターンを見直し、良質な睡眠につながる習慣を身につけることができます。具体的な方法としては、寝る前のリラックス法や規則正しい睡眠スケジュールの確保が挙げられます。
不眠症の改善には、自己ケアだけでは限界がある場合もあります。そのため、症状が継続する場合は、医師の診察が重要です。医師は症状の原因を評価し、適切な治療法を提案してくれますので、一人で悩まずに相談してください。なお、不眠症の治療法には、薬物療法と非薬物療法の2つのアプローチが一般的に用いられます。
<非薬物療法>
非薬物療法では、生活習慣の改善や睡眠衛生指導が行われます。生活習慣の改善には、規則正しい睡眠スケジュールの確立、快適な寝室環境の整備、ストレス管理、規則的な運動などが含まれます。また、睡眠衛生指導では、「睡眠に関する良い習慣の獲得」や「睡眠に影響を及ぼす要素の改善」が促されます。
不眠症の治療においては、個別の状況に応じて最適な治療プランが立案されます。そのため、医師の指導を受けながら、薬物療法や非薬物療法、またはそれらの組み合わせを適切に活用することが重要です。医師の指導を受けながら、適切な対策を行ってください。
<薬物療法>
薬物療法では、医師が処方する睡眠薬を使用して治療を行います。睡眠薬は不眠症の症状を軽減する効果がありますが、長期間の使用や誤った使い方は問題を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従うことが重要です。
不眠症の種類を理解し、適切な診断を受けましょう
前述した通り、不眠症は種類によって症状や原因が異なります。そのため、不眠症の種類を理解することは非常に重要です。不眠症の種類を正しく理解することは、適切な対策を選ぶ上で重要な要素になりますので、しっかりと把握してください。なお、不眠症の種類を正確に把握するためには、医師の診察やアドバイスを受けることが重要です。医師は症状や原因を評価し、適切な診断を行ってくれます。また、診断結果に基づいて、個々に合った対策や治療法を提案してもらえるため、一人で悩まずに医師のアドバイスを受けてください。当院では、不眠症に対する診断と治療を行っております。不眠の症状や原因について悩んでいる方、あるいは不眠症の症状にお心当たりのある方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.06.09
治療前に確認したい舌下免疫療法のデメリットについて
アレルギー科に関する記事です。
この記事では、「舌下免疫療法のデメリット」について解説していきます。後半部分では「舌下免疫療法の副作用」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法の効果について
舌下免疫療法のメリット
舌下免疫療法のデメリット
舌下免疫療法の副作用について
舌下免疫治療は長期にわたる治療です
具体的なデメリットについてはいつでもご相談ください
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)とは、アレルギーの原因(アレルゲン)となる物質を少しずつ長い間(3〜5年)投与することでアレルゲンに身体を慣らしていき、アレルギー症状を改善させる治療法です。スギ花粉症とダニのアレルギー症状を根本的に治すことができる唯一の治療法になります。2014年に舌下免疫療法が開始されるまで、減感作療法(げんかんさりょうほう)といえば、注射による「皮下免疫療法(ひかめんえきりょうほう)」が主流でした。しかし舌下免疫療法のほうが「簡便で続けやすい」「アナフィラキシーショックが少ない」など、利点が多いため現在では「舌下免疫療法」が主流となっております。「舌下免疫療法について解説しているサイト」でも同様のことを伝えております。
※皮下免疫療法とは、アレルゲンを皮下に注射して、免疫系を強化し、アレルギー症状を緩和する治療法です。舌下免疫療法と同様、アレルゲンに対する免疫応答を正常化することで、アレルギー症状を改善することを目的としています。
舌下免疫療法の効果について
舌下免疫療法では、アレルゲンを含む薬を毎日投与して、少しずつアレルゲンに対する免疫をつくっていきます。免疫ができてくると「アレルギー反応を起こさなくなる」、または「アレルギー反応が微少になる」という効果が現れます。このようなことから舌下免疫療法は、花粉飛散時期の一時的な治療とは異なり、治療期間は長くかかるものの、継続すればアレルギー症状の緩和を期待できます。つまり、「終わりのあるアレルギー治療」とも言えます。
舌下免疫療法のメリット
舌下免疫療法のメリットは、次の通りです。
【舌下免疫療法のメリット1】手軽に自宅で行える
舌下免疫療法は舌の下に薬を置いて「しばらくそのままにしてから飲み込む」という治療法のため、誰でも簡単にできます。したがって、初回の服用の際は“医師の監督下”で行うため通院が必要ですが、二回目からの服用は自宅で行うことができます。
【舌下免疫療法のメリット2】副作用が少ない
舌下免疫療法は、注射によるアレルゲン免疫療法(皮下免疫療法)に比べて、副作用が少なく、治療中に重篤なアレルギー反応が発生する可能性が低いとされています。
【舌下免疫療法のメリット3】アレルゲン耐性の向上
舌下免疫療法は、徐々にアレルゲンに慣れさせることで、アレルギー反応を抑制する効果が期待されます。そのため、次第にアレルゲンに対する耐性が向上し、「アレルギー症状の軽減」や「再発率の低下」が期待できます。ただし、アレルゲン免疫療法は、アレルゲンに対する免疫反応を改善するため、完全に治癒するわけではありません。また、効果の出方や期間には個人差がありますので、治療前には必ず医師の指導を受け、治療の適否を慎重に判断する必要があります。
【舌下免疫療法のメリット4】幅広いアレルギーに有効
舌下免疫療法は、花粉症やアレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、食物アレルギーなど、幅広い種類のアレルギー疾患に対して有効であるとされています。
【舌下免疫療法のメリット5】小児にも適用可能
舌下免疫療法は、小児にも適用可能です。そのため、小さいお子さんでもスギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎を治療できます。
【舌下免疫療法のメリット6】長期的な効果が期待される
舌下免疫療法は、アレルゲンに対する耐性を徐々に高めることで、アレルギー反応を抑制する効果が期待されます。そのため、治療後も長期的に効果が継続するとされています。
【舌下免疫療法のメリット7】保険適用
舌下免疫療法は保険適用の治療です。そのため、自己負担金を少なく抑えることができます。ただし、保険が適用される条件や範囲には制限があるため、治療前には医師や保険会社に確認することが必要です。
舌下免疫療法のデメリット
舌下免疫療法のデメリットは、次の通りです。
【舌下免疫療法のデメリット1】利用できない方がいる
残念ながら、舌下免疫療法を利用できない方がいます。次に該当する方は、舌下免疫療法の治療を受けることができません。
・重い気管支喘息の方
・がんや免疫についての病気がある方
・対象のアレルギー(スギ花粉症またはダニ)ではない方
【舌下免疫療法のデメリット2】治療期間が長い
舌下免疫療法は、効果を期待するためには治療期間が必要であり、通常は数か月から数年にわたって治療を受ける必要があります。そのため、患者さんにとっては長期にわたる治療負担が発生することがあります。
【舌下免疫療法のデメリット3】副作用が起こる可能性がある
舌下免疫療法によって、稀にアレルギー症状を悪化させるだけでなく、吐き気、口内炎、腹痛、じんましんなどの副作用が起こることがあります。しかし、注射によるアレルゲン免疫療法に比べ、副作用の発生率は低いとされています。
舌下免疫療法の副作用について
舌下免疫療法は、副作用を引き起こすことがあります。以下、舌下免疫療法における「軽度の副作用」と「重大な副作用」です。
<軽度の副作用>
・嘔吐や腹痛、下痢
・じんましん
・口の中や唇のかゆみ
・耳のかゆみ
・のどの違和感
<重大な副作用>
・アナフィラキシーショック
・喘息発作
・意識障害
※重大な副作用の症状が見られた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
舌下免疫治療は長期にわたる治療です
舌下免疫治療は、アレルギー疾患の改善に効果的な治療法ですが、治療期間は数年にわたります。したがって治療を始める前に、患者さんやご家族が長期的な治療に対して理解を深め、継続的な治療を行うことが必要です。また、患者さん自身がきちんとした自己管理を行うことも大切です。治療を途中で中断すると、アレルゲンに対する耐性が低下する可能性があるため、医師の指導に従い、定期的に治療を受けてください。なお、舌下免疫療法の治療期間は、通常3年から5年程度です。ただし、個人差があり、治療期間は患者の症状や反応によって異なる場合があります。
具体的なデメリットについてはいつでもご相談ください
舌下免疫療法はアレルギー症状を軽減したり、予防したりする有効な治療法ですが、治療期間が長く、副作用の可能性があるため、その点について理解しておく必要があります。また、治療期間は数か月から数年にわたる場合があり、定期的な通院や検査が必要になるため、生活スタイルに合わせて計画することも重要です。舌下免疫療法の治療を検討する際は、ご家族やかかりつけの医師とよく相談し、慎重に決断することをお勧めします。なお、当院ではアレルギー治療の一つとして舌下免疫療法を取り入れています。アレルギー症状についてご相談したい方、あるいはご自身のアレルギー体質についてご相談したい方などいらっしゃいましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.05.20
糖尿病とEDの関係や治療薬について
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病とEDの関係」について解説していきます。後半部分では「糖尿病性EDの治療方法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 【目次】
糖尿病になるとEDリスクが高まる
なぜ糖尿病になるとEDになりやすくなるのか
器質性EDとは
糖尿病性EDの治療方法
糖尿病性EDを改善するために
糖尿病性EDについてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になるとEDリスクが高まる
糖尿病はインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖が増えてしまう病気です。血糖の濃度が何年間も高いままで放置されると血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全といった、より重い病気につながります。また糖尿病はED (勃起不全)との関連性が高い病気の一つです。米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の調査では、糖尿病のある男性は糖尿病のない男性に比べ、ED (勃起不全)を発症する割合が2〜3倍高いと報告されております。
※ED (勃起不全)とは、「勃起機能の低下」を意味する英語“Erectile Dysfunction”の略です。専門的には「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」とされています。つまり、勃起が起こらないケースはもちろんのこと、硬さが不十分、勃起状態が維持できない等、満足な性交が行えるだけの勃起が得られない状態は、いずれもED(イーディー)となります。なお、正常な勃起のためには脳や神経、海綿体、血流などが問題なく機能する必要があります。
なぜ糖尿病になるとEDになりやすくなるのか
勃起をするには、自律神経と陰茎平滑筋の働きが非常に重要です。しかし糖尿病を患うと、つねに高血糖の状態が続くため、自律神経に悪影響が生じ、血管障害とともに勃起機能が低下します。また性的欲求や感度も弱まってしまいます。このようなことから糖尿病性EDは、以下に挙げるような複数の問題が組み合わさって発症すると考えられております。
【糖尿病とEDの関係1】神経障害
勃起は、脳で感じた性的刺激が陰茎に伝わることによって起こりますが、糖尿病によってその神経回路に障害が生じやすくなります。
【糖尿病とEDの関係2】海綿体の機能不全
平滑筋の弛緩も勃起に必要不可欠です。しかし糖尿病により、海綿体動脈などの内皮細胞において「内皮型一酸化窒素合成酵素」(eNOS)の活性が低下することで、弛緩が起こりにくくなります。
【糖尿病とEDの関係3】動脈硬化
動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きがわるくなる病変の総称です(正確に言うと病理学で使う呼び方であり、病名ではありません)。全身の血管に動脈硬化があらわれるのは、糖尿病の典型的な症状です。内腸骨動脈から陰茎動脈にかけて硬化が生じると、勃起機能の大幅な低下につながります。また性器海綿体の毛細血管は、体の中でも特に細い血管で、動脈硬化により、血流がもっとも低下しやすい血管です。なお、上記のような身体的な原因から生じるEDを「器質的(きしつてき)ED」と呼びます。
器質性EDとは
器質的(きしつてき)EDとは、体に何らかの原因があって、物理的に勃起が阻害されるEDのことを指します。この器質性EDを細かく分別すると『加齢や糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病に起因する動脈硬化、前立腺がんや前立腺肥大の外科的手術による陰茎付近の神経や血管の損傷などの血管障害によるもの』、『不慮な事故による脊椎などの脳から陰茎までの伝達神経の損傷等による神経障害によるもの』、『加齢やストレス、喫煙、飲酒などによる男性ホルモンの1つであるテストステロンの低下等の内部分泌機能低下によるもの』が挙げられます。つまり器質性EDを細かく分けると『血管障害によるもの(血管性ED)』『神経障害によるもの(神経性ED)』『内部分泌機能低下によるもの』の三つに分けられるということです。
<血管性ED>
血管性EDとは、文字通り 血管系の異常により正常な勃起が得られないものを言います。糖尿病の初期の方は陰茎海綿体や内陰部動脈の血管内皮機能障害が起こります。血管内皮由来のNO(一酸化窒素)は勃起(ぼっき)をおこしたり、勃起を維持したりするのに重要です(血管内皮障害があるとNO産生が低下します)。NO産生の低下により、陰茎に血液を貯めること=勃起ができなくなります。
<神経性ED>
神経性ED は中枢ならびに末梢(自律および体性)神経いずれか の異常により起こるEDです。重症の糖尿病になると、微小な血管の障害から、自律神経障害が進み、副交感神経である海綿体神経の障害が発生し、神経性EDが生じます。
<内部分泌機能低下によるED>
内分泌機能の低下で代表的なのは、男性ホルモンの一つであるテストステロンの低下です。精巣で主に作られるテストステロンには、男らしい体つきを作るほか、闘争心や意欲、そして性欲や勃起力、精子の産生などの性機能を維持するための働きもあります。したがってテストステロンの低下は、勃起力を弱めるためEDにつながります。また性欲自体を減退させるため、性行為の回数が減ることで、EDを更に進行させる悪循環となることがあります。
糖尿病性EDの治療方法
糖尿病性EDにはバイアグラ・レビトラ等を含むシルデナフィル等の「ED治療薬」が治療の第一選択です(糖尿病治療薬やインスリンとシルデナフィルやシェアリス等のED治療薬は併用することが可能です)。治療薬は即効性がありすぐに効果を実感していただけるため、糖尿病治療中の方もED治療薬を服用する方が多いです。2020年以降、全てのED治療薬のジェネリック医薬品が販売(処方)されるようになり、当院でもED治療薬が処方可能で、患者さんに合わせたお薬を処方することができます。
糖尿病性EDを改善するために
糖尿病が原因でEDを発症した場合、まずは糖尿病の治療を考えます。糖尿病の治療は、血糖値のコントロールが基本となり、その手段としては食事療法、運動療法、薬物療法の三つが中心となります。
【糖尿病性EDの改善1】食事療法
食事療法は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の能力は回復されます。
【糖尿病性EDの改善2】運動療法
運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本です。運動により血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病は改善します。生活習慣が原因で糖尿病になった2型糖尿病患者にとって、運動療法を行って体内の糖の利用率を高めることは、血糖値をコントロールする有効な手段の一つです。なお、運動療法は、これまで運動医学由来の整形外科的なアプローチが主体でしたが、近年では“生活習慣病改善”や“心臓リハビリテーション”のような内科的アプローチも臨床で活用されるようになってきています。
【糖尿病性EDの改善3】薬物治療
食事療法や運動療法を行っていても血糖値の改善がされない場合は「薬物治療」を行います。薬物療法で使用される薬剤には、大きく分けて「経口血糖降下薬」と「インスリン注射薬」があります。どの薬剤を使用するかは、年齢や肥満の程度、合併症の程度などを含め、医師と相談の上で決めます。薬物治療について詳しく知りたい方は「糖尿病情報サイト」をご覧ください。
糖尿病性EDについてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病性EDは、残念ながら“今の医学の力”で完治させることはできません。しかし完治こそ難しいものの、治療することでEDの症状を改善することは可能です。糖尿病性EDにお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
2023.02.16
糖尿病による目の症状
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病が目に及ぼす影響」について解説していきます。後半部分では「糖尿病網膜症の治療法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
糖尿病が目に及ぼす影響
糖尿病で視力が低下する仕組み
糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症の病期
糖尿病網膜症の特徴と原因
糖尿病網膜症の治療法について
糖尿病網膜症の予防策
糖尿病網膜症は早期発見が非常に重要です
糖尿病が目に及ぼす影響
糖尿病になると、目の網膜の毛細血管が詰まったり、高血糖による“末梢神経障害”や“代謝異常”などが発生したりするため、様々な目の合併症が起こります。
合併症の中には、初期段階では自覚症状がないものもあり、また末梢神経障害を起こした糖尿病患者さんでは、痛みを感じない場合があるため注意が必要です。
糖尿病になったら目が悪くなる可能性があることを知っておいてください。
糖尿病で視力が低下する仕組み
糖尿病で視力が低下する仕組みは「眼球の透明な組織が混濁してしまうこと」と「網膜という光を感じる神経が破壊されること」の二つです。
“眼球の透明性が低下する原因”としては、水晶体が混濁する白内障、角膜が白濁する水泡性角膜症があります(さらに硝子体に出血が生じて血液がたまると、硝子体が混濁して見えにくくなります)。
一方、光を感じる神経である“網膜の機能が失われる原因”としては、網膜剥離や血管新生緑内障などがあります(糖尿病による直接的な 2 大失明原因です)。
なお、どちらも糖尿病によって網膜の血管が損傷される、「糖尿病網膜症糖」によって引き起こされます。
糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。
「糖尿病腎症」「糖尿病神経症」と並んで糖尿病の三大合併症といわれてます。
糖尿病網膜症は、他の糖尿病合併症と同様、初期段階では自覚症状がありません。
しかし気づかずに放置していると症状が悪化して様々な視覚障害が起こり、最終的には失明に至ることもあります。
<網膜とは>
網膜は、瞳から入った光の明暗や色を感知する役割をもっていて、物を見るために大変重要な器官です。
網膜症とは、なんらかの理由でこの網膜が傷められ、カメラでいうと、フィルムの感度が低くなったり、フィルム自体が破損してしまった状態になる病気のことです。
程度の差はありますが、糖尿病の患者さんの約3分の1に、網膜症が起きているといわれます。
糖尿病網膜症の病期
糖尿病網膜症は、進行の度合いにより大きく三段階に分類されます。
【糖尿病網膜症の病期1】単純糖尿病網膜症(たんじゅんとうにょうびょうもうまくしょう)
初期の糖尿病網膜症です。最初に出現する異常は、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤や、小さな出血です。
蛋白質や脂肪が血管から漏れ出て網膜にシミ(硬性白斑)を形成することもあります。
なお、これらは血糖値のコントロールが良くなれば改善することもあります。
【糖尿病網膜症の病期2】前増殖糖尿病網膜症(ぜんぞうしょくとうにょうびょうもうまくしょう)
前増殖糖尿病網膜症は、単純網膜症より一歩進行した状態です。
細い網膜血管が広い範囲で閉塞すると、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、足りなくなった酸素を供給するために新しい血管(新生血管)を作り出す準備を始めます。
この時期になると“かすみ”などの症状を自覚することが多いのですが、全く自覚症状がないこともあります。
【糖尿病網膜症の病期3】増殖糖尿病網膜症(ぞうしょくとうにょうびょうもうまくしょう)
増殖糖尿病網膜症は、糖尿病網膜症の重症な状態です。
新生血管が網膜や硝子体に向かって伸びてきます。
新生血管は破れやすく、網膜や硝子体に出血することがあります。
硝子体に出血すると、少量なら視野に黒い影やゴミの様なものが見える飛蚊症がおこります。
また出血量が多いと視力低下をおこします。硝子体中に出血すると、よく墨を流したようなものが見えるといわれます。
何度も出血や状態の悪い期間が続くと増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、網膜剥離を起こすことがあります。
糖尿病網膜症の特徴と原因
糖尿病にかかると、血液中の糖分を細胞がうまく吸収できなくなります。
血液中の糖分が多い状態が続くと、やがて糖が血管に障害を与えるようになります。
目の網膜にある血管は細いので特に障害を受けやすく、血管がつまったり、出血したりするようになります。
もともとある血管が障害を受けて機能しなくなってくると、栄養分などを届けられなくなるため、新しい血管(新生血管)が作られます。この血管はとてももろく、出血や成分の漏れをたびたび起こします。
この状態が、視界がかすむ、視力の低下などの症状の原因になります。
そして、さらに病気が進行すると「網膜剥離」や「緑内障」といった病気を併発し、失明に至ることもあります。
糖尿病網膜症の治療法について
糖尿病網膜症の治療法には、「薬物による治療法」と「外科的な治療法」があります。
進行の度合いによって治療法は異なり、早期に治療を始めるほど負担の小さな方法で視力障害や失明を防ぐことができます。
なお、糖尿病網膜症は完全に治すことのできない病気です。
そのため治療は、症状の悪化を防ぐために行われます。具体的な治療法については以下をご覧ください。
【糖尿病網膜症の治療法1】初期
初期の場合は血糖コントロールや、高血圧の治療など内科的治療を行います。
【糖尿病網膜症の治療法2】中期
新生血管の発生を防ぐために、レーザーで眼底を焼く「レーザー光凝固術」が行われます。
<レーザー光凝固術>
レーザー光凝固術とは、網膜をはじめとする眼底(眼球の奥)の病変部にレーザー光線を照射して焼き固めることによって、病気の進行を阻止するために行われる治療法です。
この治療法で視力を改善することはできませんが、今現在の視力をほぼ維持しながら病気がそれ以上悪化することを予防するという意味では、特に網膜に発生するさまざまな病気に対して非常に有効とされています。
【糖尿病網膜症の治療法3】末期
糖尿病網膜症が進行して「網膜剥離」や「硝子体出血」が起きている場合は、硝子体手術が行われます。
<硝子体手術>
硝子体手術とは眼の硝子体と呼ばれる組織を除去し、網膜硝子体の病気を治す手術です。
とても繊細で難しい手術に分類されます。
糖尿病網膜症の予防策
糖尿病網膜症を予防するための基本は、定期検診です。
一度検査を受け、異常がないとわかると安心してしまう人が多いのですが、それではいけません。
糖尿病に関係する目の病気は網膜症だけでなく、白内障や緑内障など沢山あります。
ですので毎年、眼底検査を受けてください。
なお、糖尿病網膜症を予防するためには「血糖」「血圧」「コレステロール」に注意を払うことも大切です。
<血糖>
1~2ヵ月の血糖の平均を反映し、血糖コントロールの指標となっているHbA1cを、7.0%未満に維持してください(可能であれば6.0%未満を目指してください)。
<血圧>
糖尿病患者さんの降圧目標は、診察室血圧が130/80mmHgで、家庭血圧が125/75mmHgとなっております。
糖尿病の人は高血圧を併発していることが多いです。
両方を併発すると、心臓病や脳卒中、腎臓病などのリスクがさらに高まりますので、積極的な血圧コントロールが大切です。
<コレステロール>
現在ガイドラインで推奨されている糖尿病の患者さんにおける血液中の脂質の管理目標値は、LDLコレステロール120mg/dl未満(冠動脈疾患がある場合は100mg/dl未満)、HDLコレステロール40mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl未満です。
糖尿病網膜症は早期発見が非常に重要です
糖尿病網膜症は、自覚症状がないまま進みます。
自覚症状が出たころには、症状がかなり進んでいて、失明を覚悟しなくてはなりません。
ですので、糖尿病やその予備軍と診断されたら、医師の指示どおり血糖のコントロールを行い、自覚症状がなくても眼科での定期的な眼底検査を行ってください。
なお、糖尿病の指標のひとつに、ヘモグロビンA1c(HbA1c…正常値4.3~5.8)というのがあり、この数値が7.5以上になると、5倍以上失明する危険が高まるといわれています。
ご自身の「ヘモグロビンA1c」について気になる方、あるいは糖尿病網膜症の症状について気になる方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.26
糖尿病ケトアシドーシスの症状や原因、治療法について
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病ケトアシドーシスの「症状」や「原因」について解説していきます。後半部分では「糖尿病ケトアシドーシスの治療法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状
糖尿病ケトアシドーシスの原因
糖尿病ケトアシドーシスの主な症状
糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症
糖尿病ケトアシドーシスの治療法
糖尿病ケトアシドーシスの予防策
まとめ
糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状
糖尿病ケトアシドーシスとは、糖尿病急性合併症である「糖尿病昏睡」の一つです。
血糖値を下げる働きをするインスリンが不足し、十分に血糖値が下がらないことで起こります。
糖尿病ケトアシドーシスの初期症状は、強い喉の渇きと頻尿、体重減少、吐き気、嘔吐、疲労などが起こり、小児の場合は腹痛がみられることもあります。
なお、糖尿病ケトアシドーシスは主に“1型糖尿病の方”に起こります(2型糖尿病の場合であっても引き起こされることはあります)。1型糖尿病と2型糖尿病については以下をご覧ください。
<1型糖尿病>
1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓の「β細胞:べーたさいぼう」が壊れ、高血糖状態になる病気です。
世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。
糖尿病には大きく分けて1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる「2型糖尿病」とは性質が異なります。
<2型糖尿病>
2型糖尿病は、遺伝的素因によるインスリン分泌能の低下に、環境的素因としての生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が加わり、インスリンの相対的不足に陥った場合に発症する糖尿病です。
一般的に生活習慣病と称されるタイプの糖尿病が2型糖尿病ですが、インスリン分泌能の低下が不可欠です。
生活習慣の乱れだけではなく、2型糖尿病患者さんは大なり小なり糖尿病になりやすい体質を持っているとも言えます。
なお、一般的に"糖尿病"と表現した場合は「2型糖尿病」を示すことが多いです。
糖尿病ケトアシドーシスの原因
糖尿病ケトアシドーシスの主な原因は、1型糖尿病の発症時やインスリン注射を中断したとき、あるいは感染症や外傷などによって、極端にインスリンの必要性が増加したときに起こります。
2型糖尿病でも同じように感染症や外傷などの強いストレスがあったとき、また清涼飲料水を多量に飲んだとき等で糖尿病ケトアシドーシスを起こすことがあります。
なお、2型糖尿病では、ある程度インスリンが分泌されている時期から病期が進み、インスリンの分泌量がさらに減少、あるいはインスリンへの抵抗性が高くなることで血糖が異常に高くなってしまうことがあります。
インスリンの相対的不足状態に加えて、風邪などの感染症や暴飲暴食、さらにはストレスなどが重なり、血糖が著しく高くなると(500mg/dl以上)意識障害をきたします。
なお、意識障害に至る前駆症状として高血糖による著しい口渇、多尿がみられます。
糖尿病ケトアシドーシスの主な症状
糖尿病ケトアシドーシスでは、口渇、多飲、多尿、体重減少、全身倦怠感などの糖尿病に典型的な症状が急激に起こります。
さらに悪化すると、呼吸困難、速くて深い呼吸(クスマウル大呼吸と呼びます)、あるいは悪心、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こります。
糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症
糖尿病ケトアシドーシスは、糖尿病の妊婦さんに起きる“最も重篤な合併症”だと言われております。
妊娠中、母親のからだは血糖を胎児に優先的に送ろうとするので、自分自身のエネルギーを補うため、脂肪を分解して“遊離脂肪酸”を作る働きが普段よりも活発になり、ケトン体が増えます(ケトン体は、からだの中で脂肪が変化して作られる物質でエネルギー源として利用されています)。
このケトン体が多く作られてしまった場合、「糖尿病ケトアシドーシス」の誘因となるため、妊娠中は糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高くなります。
<妊娠糖尿病>
妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です(糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す“血糖値”が上がった状態です)。
今まで糖尿病と言われた事がないにもかかわらず、妊娠中に始めて指摘された糖代謝異常で、糖尿病の診断基準をみたさない人を妊娠糖尿病といいます。
具体的には、糖負荷試験をした際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合に「妊娠糖尿病」と診断されます。
糖尿病ケトアシドーシスの治療法
糖尿病ケトアシドーシスの治療は、一刻も早く生理食塩水を中心とした“輸液”によって、水分とナトリウムを補充する必要があります。
そのほかには電解質の補正、適切なインスリンの投与によって高血糖とアシドーシスを是正することが重要です。
糖尿病ケトアシドーシスは、適切な処置が遅れると死に至ることもあります。
ですので、気になる症状があったときには、早めにかかりつけ医に相談してください。
糖尿病ケトアシドーシスの予防策
糖尿病ケトアシドーシスは、口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少といった典型的な症状に続いて起こります。
そのため、これらの症状をよく覚えておき、症状があったときには血糖自己測定、尿ケトン体の測定をおこない、予防・早期発見することが重要です。
まとめ
糖尿病ケトアシドーシスは生命の危険を伴う合併症です。
そのため早く気づき、速やかに治療を受けることが大切です。
糖尿病ケトアシドーシスの症状にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.25
糖尿病治療に使う薬の紹介
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病治療に使う薬」をご紹介していきます。後半部分では「薬による糖尿病治療で気をつけること」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
糖尿病治療薬の特徴
糖尿病治療薬について
糖尿病治療薬|経口血糖降下薬
経口血糖降下薬による糖尿病治療が適している人とは
糖尿病治療薬|インスリン注射
薬による糖尿病治療で気をつけること
まとめ
糖尿病治療薬の特徴
糖尿病の治療薬は、大きく分けて「血糖値を下げる薬(経口血糖降下薬)」と「インスリン注射」の2種類に分けられます。
血糖値を下げる薬は、「食事療法」と「運動療法」を2~3ヵ月行っても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。
一方、インスリン注射は1型糖尿病の患者さんや、血糖降下薬を使用しても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。
糖尿病治療薬について
ここからは、「経口血糖降下薬」と「インスリン注射」について解説していきます。
糖尿病治療薬|経口血糖降下薬
血糖値を下げる飲み薬のことを「経口血糖降下薬(けいこうけっとうこうかやく)」と呼びます。
経口血糖降下薬は、その作用から大きく分けて3種類に分類されます。以下をご覧ください。
【経口血糖降下薬の種類1】インスリン抵抗性改善系
インスリン抵抗性改善系は、主に脂肪組織に働きかけ、脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させます。その名の通り「インスリン抵抗性」を改善することで血糖を下げる薬です。
以下、インスリン抵抗性改善系の薬です。
<チアゾリジン薬>
チアゾリジン薬は、肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬です。
インスリンに対する体の感受性を高めることで血糖値を下げます。
<グリミン薬>
グリミン薬は、血糖値に応じて膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。
また、肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖が取り込まれるのを改善してインスリンの効果を高めたりします。
【経口血糖降下薬の種類2】インスリン分泌促進系
インスリン分泌促進系は、膵臓の「β細胞(べーたさいぼう)」に作用してインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。簡単にご説明すると「インスリンを出しやすくする薬」になります。
以下、インスリン分泌促進系の薬です。
<GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬>
GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促し血糖値を下げる薬です。
膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。
そして血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。
<スルホニル尿素薬>
スルホニル尿素薬は、膵臓からのインスリンの分泌を増やし血糖を下げる飲み薬です。
膵臓のインスリンを作る働きがある程度、残っている患者さんで効果があります。
<速効型インスリン分泌促進薬>
速効型インスリン分泌促進薬は、インスリン分泌のスピードを早めて、食後の血糖の上昇を抑える働きがあります。
そのためインスリンをすばやく分泌させることで食後高血糖を改善することから、インスリン分泌パターンの改善薬ともいえます。
なお、食後のインスリン分泌量を増加させる作用は「スルホニル尿素薬」に比べて弱くなっています。
【経口血糖降下薬の種類3】糖吸収・排泄調節系
糖吸収・排泄調節系は、糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬です。
簡単にご説明すると「糖の吸収をゆっくりにして、血糖の急な上昇を抑える薬」になります。
なお、糖吸収・排泄調節系の薬には、体に取り込んだ糖を尿中に出させる効果もあります。
以下、糖吸収・排泄調節系の薬です。
<α-グルコシダーゼ阻害薬>
α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。
食前の血糖値はそれほど高くないけれども、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。
<SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬>
SGLT2阻害薬は、尿から余分な糖を出すことで血糖値を下げる薬です。
単独で使用する場合には低血糖のリスクも低く、国内では2014年に糖尿病の新薬として使用が開始されました。
なお、SGLT2阻害薬は副次的な効果として、体重の減少が認められています(尿から糖が出るので体重が減少します)。
経口血糖降下薬による糖尿病治療が適している人とは
経口血糖降下薬はインスリン非依存状態にあり、食事療法・運動療法を十分に行っていても血糖コントロールがうまくいかない患者さんに使われます。
つまり、経口血糖降下薬で治療効果を望むことができるのは、自分の膵臓からインスリンを出す力が残っている、「インスリン非依存状態」にある患者さんです(多くは2型糖尿病の方です)。
糖尿病治療薬|インスリン注射
インスリン注射は、効果があらわれるまでのタイミングと、持続時間によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、配合溶解、持効型溶解の6つに分類されます。
注射の回数も1日1~4回以上のもの以外にも、最近では1日1回の注射で効果が24時間持続するタイプもあります。
<超速効型インスリン製剤>
超速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンにかなり近づけることができます。
食事直前の自己注射で、食後の血糖値の上昇を抑えて食後高血糖を改善します。
超速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は10~20分と早いので、食事の直前に注射でき、仕事などで食事時間が不規則になった場合への対応が可能ですので、生活の質を高めることができます。
<速効型インスリン製剤>
速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンに近づけます。
食事の約30分前に自己注射して、食後の血糖値の上昇を抑制して食後高血糖を改善します。
速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は30分~1時間で、インスリンの作用が持続する時間は5~8時間です。
レギュラーインスリンとも呼ばれ、筋肉注射や静脈注射が唯一可能なインスリン製剤です。
<中間型インスリン製剤>
中間型インスリン製剤は健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的として、インスリンの効果が持続的に作用するようにつくられたインスリン製剤です。
不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制します。
注射してから効果が出るまでの時間は1~3時間で、インスリンの作用が持続する時間は18~24時間です。
<混合型インスリン製剤>
混合型インスリン製剤は、超速効型や速効型インスリンと中間型インスリンを、いろいろな割合であらかじめ混合したインスリン製剤です。
インスリンの基礎分泌、追加分泌の補填を同時に行えるようにつくられた製剤です。
混合型インスリン製剤の効果の発現は、「超速効型」または「速効型インスリン製剤」「中間型インスリン製剤」のそれぞれの作用時間にみられますが、作用の持続時間は「中間型インスリン製剤」とほぼ同じになります。
<配合溶解インスリン製剤>
配合溶解インスリン製剤は、超速効型インスリン製剤と持効型溶解インスリン製剤を混ぜてある製剤です。
超速効型インスリンと持効型溶解インスリンのそれぞれの作用発現時間に効果が発現します。
なお、混合型インスリン製剤の作用時間は「持効型溶解インスリン」とほぼ同じになります。
<持効型溶解インスリン製剤>
持効型溶解インスリン製剤は、健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的につくられたインスリン製剤です。
不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。
インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日で、注射してから効果が出るまでの時間は1~2時間です。
糖尿病の薬物療法で気をつけること
糖尿病の薬物療法では、以下の点に注意してください。
【薬による糖尿病治療の注意点1】食事療法・運動療法をやめてしまう
経口血糖降下薬による治療を始めると、血糖コントロールの改善が認められ、食事療法・運動療法をやめてしまう患者さんがいらっしゃいます。
糖尿病の治療の基本は、食事療法・運動療法です。
薬物療法を開始しても、この二つは変わりません。食事療法・運動療法を継続することで体重の増加を防げます。
またお薬の量を抑えることもできますので、無理のない範囲で継続してください。
【薬による糖尿病治療の注意点2】副作用(副反応)
残念ながら、インスリンには副作用(副反応)があります。
インスリン療法における主な副作用(副反応)は、「低血糖症状」です。
インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
まとめ
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
なお、糖尿病の治療薬は、患者さんの病状や合併症の有無、生活習慣などを考慮してから適したものを選びます。
糖尿病の治療薬についてご相談したい方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.23
糖尿病かもしれないと感じた方は、まずは糖尿病内科のある病院にご相談を
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病は自覚症状のないままに進行し、重篤な合併症を引き起こします。そのため、絶対に放置してはいけません。糖尿病にお心当たりのある方は、速やかに「糖尿病内科のある病院」を受診してください。
この記事では、糖尿病にお心当たりのある方に向けて「糖尿病の初期症状」や「糖尿病になりやすい人の特徴」をご紹介します。後半部分では「糖尿病の治療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
糖尿病の初期症状
糖尿病になりやすい食事
早食いの方は糖尿病になりやすい
間食の習慣がある方は糖尿病になりやすい
糖尿病の診断基準
食後高血糖とは
糖尿病の症状を放置するリスク
2型糖尿病の治療法について
糖尿病の薬物療法について
経口血糖降下薬について
自分が糖尿病かもしれないと思った方へ
糖尿病の初期症状
糖尿病は症状の自覚が難しい疾患です。
血糖値が少し高い段階では、自覚する症状はほぼありません。
しかし、高血糖のままある程度の時間が経過すると、次のような症状が現れてきます。
<糖尿病の初期症状>
・立ちくらみ
・全身の倦怠感、疲労感
・喉が渇いて沢山の水がほしくなる
・手足のしびれ、冷え、むくみ
・皮膚のかゆみ、乾燥
・目がかすむ
・視力の低下
・やけどの痛みを感じにくい
・食べているのに痩せる
・残尿感がある
・尿の臭いが気になる
糖尿病になりやすい食事
糖質の多い食品を多く摂取すると、血糖は上がりやすくなります。
特に甘いものなど単純糖質を含む食品は急激な血糖上昇の原因になりますので、注意が必要です。
以下、糖尿病の原因となりやすい食品です。
・白米
・食パン、菓子パン
・うどん、焼きそば、スパゲティなどの麺類
・かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、とうもろこし
・ホットケーキ、ケーキ
・饅頭
・スナック菓子、クッキー、せんべい
・ようかん、饅頭
・ジュース
早食いの方は糖尿病になりやすい
早食いは血糖値を急激に上昇させるため、血糖値を調整するホルモンの「インスリン」を分泌する膵臓の機能が低下してしまい、糖尿病を発症しやすくなります。
早食いの方は、「一口食べるごとにお箸を置く」「野菜から食べる」など、血糖値の上昇を緩やかにする食事習慣を身につけることが大切です。
早食いは糖尿病のリスクを高めますので、十分に注意してください。
間食の習慣がある方は糖尿病になりやすい
間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。
また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。
ですので、間食はできる限り控えてください。
糖尿病の診断基準
糖尿病は簡単に述べると、HbA1cが6.5%を超えると診断に至ります。
基準となる正常値は4%~5.5%です。
しかし血糖値やHbA1cといった検査数値は、貧血など合併する疾患で値が変わることが知られています。
一般内科の先生方でも診断を誤らないように、複雑な診断チャートが容易されています。
HbA1c、空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかが基準値を超えている場合を「糖尿病型」といいます。
空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかとHbA1c値の両方が糖尿病型である場合、もしくは口渇、多飲、多尿、体重減少などの典型的な糖尿病の症状が出たり、糖尿病網膜症がある場合は、1回の検査で「糖尿病」と診断されます。
食後高血糖とは
食後高血糖とは、食後2時間が過ぎても血糖値が高い状態のことを言います。
食事をすると血糖値は高くなり、2~3時間以内に正常値(110mg/dl未満)に戻るのが一般的です。
しかし、血糖値が低下せず長い時間140mg/dl以上の値が続く場合には「食後高血糖」と判断されます。
食後血糖値が高い状態が続くと、糖尿病の発症リスクが高くなります。
ですので、食後高血糖は糖尿病だけでなく糖尿病予備群においても重要な指標の一つとして注目されています。
なお、食後高血糖の多くは、時間がたつと次第に下がり、正常な数値に戻ります。
そのため、通常の健診で行われる空腹時血糖値では異常なしと判断され、食後高血糖を見逃してしまうことがあります。
このようなことから食後高血糖は「隠れ糖尿病」と呼ばれています。
糖尿病の症状を放置するリスク
血糖値が高い状態が続くと、全身で様々な合併症が起こります。
糖尿病の恐さは、自覚症状のないままに進行し、重篤な合併症を引き起こすことです。血糖値が高い状態が持続すると、神経や目や腎臓などに様々な障害を起こすことが知られています。
ここでは、糖尿病が引き起こす3大合併症をご紹介します。
【糖尿病の症状を放置するリスク|合併症の種類1】糖尿病網膜症
糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する合併症です。
糖尿病網膜症は、他の糖尿病合併症と同様、初期には自覚症状はありません。
しかし気づかずに放置していると疾患の進行に伴って、様々な視覚障害が起こり、最終的には失明に至ることもあります。
【糖尿病の症状を放置するリスク|合併症の種類2】糖尿病腎症
糖尿病腎症は、高血糖により、腎臓にある非常に細い血管がむしばまれていく合併症です。
進行すると、老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われてしまうため、最終的に透析治療を要することになります。
この合併症も自覚症状がないまま進行していきますので、早期発見のためには、定期的に腎臓の機能を検査する必要があります。
【糖尿病の症状を放置するリスク|合併症の種類3】糖尿病神経障害
糖尿病神経障害は、高血糖により手足の神経に異常をきたし、足の先や裏、手の指に痛みやしびれなどの感覚異常があらわれる合併症です。
糖尿病神経障害は、手袋や靴下で覆われる部分に「左右対称」にあらわれる特徴があります。
糖尿病神経障害の患者さんのなかには、痛みが慢性化したり、進行して知覚が低下した結果、足潰瘍や足壊疽となったりする場合もあります。
2型糖尿病の治療法について
2型糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法により、適正に体重をコントロールし、インスリンの効きをよくすることです。
【糖尿病の治療法1】食事療法
食事療法とは、医師や管理栄養士の指示に基づいて献立を組み立て、食事の量や成分を増減させることで疾患の改善を目指すものです。
食事療法では、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。
バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。
【糖尿病の治療法2】運動療法
運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の治療を行う療法です。運動により血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病は改善します。
また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。
ですので、糖尿病にお心当たりのある方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。
糖尿病の薬物療法について
食事療法や運動療法を行っていても血糖値の改善がされない場合は「薬物療法」を行います。
薬物療法で使用される薬剤には、大きく分けて「経口血糖降下薬」と「インスリン注射薬」があります。
どの薬剤を使用するかは、年齢や肥満の程度、合併症の程度などを含め、医師と相談の上で決めます。
経口血糖降下薬について
経口血糖降下薬は、その作用から大きく分けて3つに分類することができます。以下をご覧ください。
【経口血糖降下薬1】インスリン分泌促進系
インスリン分泌促進系は、膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。平たく言うと「インスリンを出しやすくする薬」になります。
以下、インスリン分泌促進系の薬で代表的なものです。
<GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬>
GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促して血糖値を下げる薬です。
膵臓のβ細胞(べーたさいぼう)のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。
そして、血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。
<速効型インスリン分泌促進薬>
速効型インスリン分泌促進薬は、スルホニル尿素薬と同じように、膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリン分泌を促します。
速効型インスリン分泌促進薬は、食事をする直前に内服していただくことで、インスリンが短時間だけ出るので食後の血糖のみを下げてくれます。
【経口血糖降下薬2】インスリン抵抗性改善系
インスリン抵抗性改善系は、インスリンの働きが悪くなっているのを改善し、効きめを良くする薬です。平たく言うと「インスリンを効きやすくする薬」になります。
以下、インスリン抵抗性改善系の薬で代表的なものです。
<チアゾリジン薬>
チアゾリジン薬は、肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬です。
インスリンに対するからだの感受性を高めることで血糖値を下げます。
<グリミン薬>
グリミン薬は、血糖値に応じて膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。
また、肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖が取り込まれるのを改善してインスリンの効果を高めたりします。
【経口血糖降下薬3】糖吸収・排泄調節系
糖吸収・排泄調節系は、糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬です。
平たく言うと「糖の吸収をゆっくりにして血糖の急な上昇を抑える薬」になります。
なお、糖吸収・排泄調節系のお薬には、からだに取り込んだ糖を尿中に出させる効果もあります。
<α-グルコシダーゼ阻害薬>
α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。
食前の血糖値はそれほど高くないけれども、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。
<SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬>
SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管でのブドウ糖再吸収を抑制し、尿からの糖分の排泄を促進するユニークなお薬です(尿から糖が出るので体重も減少します)。
SGLT2阻害薬は、血糖を下げるだけではなく、心臓や腎臓にも良い効果が得られることが分かってきております。
そのため近年は、SGLT2阻害薬の一部の薬が「心不全」や「慢性腎臓病」の治療薬としても使用することが認められております。
自分が糖尿病かもしれないと思った方へ
糖尿病は自覚症状のないままに進行し、神経や目や腎臓などに様々な障害を引き起こします。
そのため絶対に放置してはいけません。
速やかに「糖尿病内科のある病院」を受診してください。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、できるだけ早く受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
2023.01.22
糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。
後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
インスリンとは何か
インスリン療法とは
インスリン療法のしくみ
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン療法の具体的な手法
インスリン療法のメリット
インスリン療法のデメリット
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
インスリンとは何か
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。
糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。
なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。
インスリン療法とは
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。
インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。
頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。
一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。
インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のしくみ
インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。
不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。
なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。
インスリン注射を行う前に血糖自己測定
インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。
なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。
また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。
血糖自己測定の方法は以下の通りです。
⑴ 血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。
⑵ 血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。
⑶ 指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。
⑷ 血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。
⑸ 残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。
インスリン療法の具体的な手法
インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。
⑴ 注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。
⑵ インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。
⑶ インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。
⑷ ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。
⑸ 注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。
⑹ ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。
⑺ 針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。
※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。
それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。
また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。
ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。
「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。
インスリン療法のメリット
インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。
インスリン療法のデメリット
残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。
低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。
そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。
インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。
インスリン注射はほとんど痛くありません
インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。
なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。
インスリン療法は早期に始めることが効果的です
上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。
そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。
ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。
インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.01.21
1型糖尿病の原因や治療法について解説します
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
1型糖尿病はインスリンを作る膵臓に異常が起こることで発症する糖尿病で、「インスリン依存型」と呼ばれています。
この記事では、「1型糖尿病」について解説していきます。後半部分では「1型糖尿病の原因」や「治療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
1型糖尿病とは
1型糖尿病の症状
1型糖尿病の種類
1型糖尿病の原因
1型糖尿病の主な治療法
1型糖尿病のその他の治療法
1型糖尿病についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
1型糖尿病とは
1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓の「β細胞:べーたさいぼう」が壊れ、高血糖状態になる病気です。世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。糖尿病には大きく分けて1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる「2型糖尿病」とは性質が異なります。2型糖尿病について「糖尿病の方へ」でご説明していますので、ご興味のある方はご覧ください。
1型糖尿病の症状
1型糖尿病の典型的な症状は、口渇、多飲、多尿、体重減少です。インスリンが分泌されないと、血糖の上昇に伴い尿糖が排出され、浸透圧利尿が増えるため、脱水になります。またインスリンの不足はエネルギーの同化(蓄積)が出来なくなり痩せていきます。さらに、インスリンが全くなくなった状態ではケトン体が産生され、ケトーシスやケトアシドーシスという危機的状態となり、昏睡や死に至るケースもあります。ケトーシスやケトアシドーシスについては「日本糖尿病学会のホームページ」をご覧ください。
1型糖尿病の種類
1型糖尿病は、その破壊の進行のスピードによって以下の3タイプに分類されます。
【1型糖尿病の種類】劇症1型糖尿病
劇症1型糖尿病は、1型糖尿病の中で最も急激に発症し、数日間でβ細胞が破壊されてインスリン依存状態になるタイプです。1週間前後以内に糖尿病の急性合併症である「糖尿病ケトアシドーシス」になり危機的な状態に陥ることもあるため、速やかなインスリン投与が必要になります。
【1型糖尿病の種類】急性発症1型糖尿病
急性発症1型糖尿病は、1型糖尿病の中で最も頻度が高いタイプです。β細胞の破壊から数週間、数か月で症状が現れ、インスリン依存状態となります。
【1型糖尿病の種類】緩徐進行1型糖尿病
緩徐進行1型糖尿病は、発症から半年か数年をかけてインスリンの分泌が低下していき、最終的にインスリン依存状態に陥るタイプです。このタイプでは、すぐにインスリン依存状態になりませんが、早期に膵臓を保護する治療を行うことで進行を遅らせることができる場合があるため、早期治療が望まれます。
1型糖尿病の原因
1型糖尿病の原因はまだ不明な点もありますが、主に「自己免疫異常」と「ウイルス感染」が関わっていると考えられています。自己免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵から体を守るための防御システムで、何らかの原因によって免疫に異常が生じると、正常な細胞を攻撃してしまいます。β細胞も例外ではなく、免疫異常がβ細胞を破壊することでインスリンの分泌が低下します。ウイルス感染においては、「レトロウイルス」「サイトメガロウイルス」「麻疹ウイルス」などが関連していると言われています。「日本内分泌学会」でも同様のことを伝えています。
1型糖尿病の主な治療法
1型糖尿病の治療はインスリン療法が基本です。
【1型糖尿病の主な治療法】インスリン療法
インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。インスリン製剤を投与する方法として、「頻回ひんかいインスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。
1型糖尿病のその他の治療法
1型糖尿病の治療には、インスリン療法以外に「経口血糖降下薬による治療」や「移植手術」があります。また1型糖尿病は、生活習慣の乱れを原因としたものではありませんが、2型糖尿病と同様、食事・運動習慣に良くない点があれば、その改善が必要です。
※経口血糖降下薬とは、血糖値を下げる飲み薬のことです。
【1型糖尿病の治療法】経口血糖降下薬による治療
1型糖尿病に対する主な経口血糖降下薬に「α(アルファ)グルコシダーゼ阻害薬」があります。この薬には食べ物に含まれる糖質の消化・吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇を緩やかにする作用があるため、食後過血糖がある場合に使用されます。
【1型糖尿病の治療法】移植手術
1型糖尿病が重症の場合には、「膵臓移植」や「膵島移植」が適応となる場合があります。ただし、根治を目指せる治療法であるものの、ドナー不足などの問題から日本ではまだあまり行われていません。しかし近年では、IPS細胞などからβ細胞をつくる研究が行われているため、今後はドナーの有無にかかわらず移植できることが期待されています。
【1型糖尿病の治療法】食事療法
食事療法とは、医師や管理栄養士の指示に基づいて献立を組み立て、食事の量や成分を増減させることで病気の改善を目指すものです。「食事療法=カロリー制限」の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則です。そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。なお、1型糖尿病の方が、血糖値の高くなりやすい食事を摂っていると、インスリンをたくさん打っても「血糖値の下がりが悪くなること」があります。ですので、インスリン療法と食事療法は同時に行ってください。
【1型糖尿病の治療法】運動療法
運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の治療を行う療法です。糖尿病の方に対しては、薬物療法・食事療法と並び、重要性の高い治療方法であると言われています。なお、運動の方法としては有酸素運動が効果的で、ウォーキングや水泳、自転車やラジオ体操などを無理なく続けることが大切です。近年は、短時間高負荷の無酸素運動による筋肉トレーニングの効果も注目されています。
1型糖尿病についてご相談したい方はいつでもご相談下さい
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。1型糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2022.12.13
糖尿病が高める感染症リスクと予防について
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病の方は様々な感染症にかかりやすく、また重症化しやすいと言われています。この記事では、「糖尿病と感染症の関係」について解説していきます。後半部分では「糖尿病と新型コロナウイルスの関係」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
糖尿病はなぜ感染症リスクを高めるのか
糖尿病の方がかかりやすい感染症
糖尿病と新型コロナウイルスの関係
糖尿病の方が感染症にかかったら
糖尿病の方は自己判断で薬物療法を中止しないこと
感染症予防について不安な方はお気軽にご相談ください
糖尿病はなぜ感染症リスクを高めるのか
糖尿病をお持ちの方は様々な感染症にかかりやすく、また重症化しやすいと言われています。では、なぜ糖尿病をお持ちの方は感染症にかかりやすいのでしょうか。主な理由は以下の5つです。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由1】免疫反応の低下
免疫反応とは、一度感染した病原体に対し、体内でそれに対する抗体が作られ、次に同じ病原体が体内に侵入しようとしたときに、それを防ぐように働く仕組みのことです。高血糖では、この免疫反応が弱くなっています。ですので、糖尿病をお持ちの方は感染症にかかりやすいと言われています。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由2】免疫機能の低下
白血球の一種である好中球は、体内に入り込んだウイルスや細菌を食べる働きがあります。しかし、高血糖時はこの機能が低下してしまいます。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由3】血流が悪くなる
高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。このような状態では、酸素や栄養が十分に行き渡らず、細胞の働きが低下したり、白血球が感染部位に到達しにくくなって、感染しやすくなります。また、感染で受けたダメージの回復にも時間がかかります。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由4】神経障害
糖尿病に特有な合併症の一つに神経障害があります。神経障害があると、内臓の活動が乱れやすく、膀胱炎や胆嚢炎の原因になります。また、痛みを感じる神経も障害されるので、症状が現れにくく感染症に気づくのが遅れ、その間に病気が進行してしまいます。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由5】血糖値がいつもより上昇する
細菌類に感染すると、インスリンを効きにくくする物質が多くなり、血糖値はいつもより上昇します。このことが、糖尿病の状態をより悪くし、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。
糖尿病の方がかかりやすい感染症
糖尿病の方は、どのような感染症にかかりやすいのでしょうか。ここでは、「糖尿病の方がかかりやすい感染症」をいくつかご紹介します。
【糖尿病の方がかかりやすい感染症1】歯周病
歯周病は、口の中の細菌による歯茎の慢性感染症です。炎症が歯茎に限定されているときは歯肉炎、それ以上に進行すると歯周炎(歯槽膿漏)と呼ばれます。歯周病はある日突然、重度の症状が出るのではなく、徐々に進行する病気です。したがって初期の段階では、痛みがほとんどないため症状に気がつかなかったり、放置したりする人も多いようです。しかし、放っておけば症状はどんどん進んでしまうので、そうなる前にしっかりケアすることが大切です。糖尿病の方は歯周病になりやすいばかりでなく、歯周病のために血糖コントロールが改善しにくくなってしまいますので、ご注意ください。
【糖尿病の方がかかりやすい感染症2】尿路感染症
尿路感染症とは、尿の通る経路で起こる感染症です。尿路感染症は頻度が一番多く、膀胱炎、急性腎盂腎炎がその代表です。糖尿病の神経障害をお持ちの方では、「神経因性膀胱」といって排尿がうまくいかず尿が滞る場合があり、尿路感染にかかりやすいと言われています。
【糖尿病の方がかかりやすい感染症3】皮膚感染症
糖尿病患者さんの中には、皮膚に病原体が入り込み「皮膚感染症になる人」がいます。単に皮膚感染症といっても、「足白癬(水虫)」や「カンジダ症」など様々なものがあります。皮膚感染症については「糖尿病情報センターのホームページ」で詳しくご説明しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。
【糖尿病の方がかかりやすい感染症4】呼吸器感染症
呼吸器感染症とは、鼻やのど、気管支や肺など、空気の通り道に関連した臓器に生じる感染症を指します。風邪やインフルエンザといった身近な病気だけではなく、結核なども呼吸器感染症に含まれます。呼吸器感染症は、どの年齢層の誰にでも発症し得る病気であり、重症度も軽症から重症まで様々であることから、病気の原因や重症度に合わせて治療を行なうことが重要となります。なお、糖尿病の方は結核にかかる割合が高いと言われており、結核と診断がついた人の約15%が糖尿病だったと言われています。
糖尿病と新型コロナウイルスの関係
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第8.1版」によると、コロナウイルスに感染して重症化するリスクが高い基礎疾患のひとつとして、糖尿病が挙げられています。糖尿病が新型コロナウイルスに感染すると、糖尿病がない患者さんと比較して、重症化や死亡のリスクが2 倍程度まで上昇することが明らかになっています。また血糖コントロールが不良の場合、死亡率が高いことも報告されています。
糖尿病の方が感染症にかかったら
糖尿病の方が感染症にかかった際は、重症化する前に適切な治療を行うことが重要です。症状が軽いからといって決して侮ることなく、早めに医療機関を受診してください。なお、糖尿病の方が感染症にかかり、熱が出る・下痢をする・吐く、また食欲不振によって、食事ができないときのことを「シックデイ(体調の悪い日)」と言います。このような状態では、血糖コントロールが日頃は良好な方でも、著しい高血糖になり、たいへん重い状態になることがあります。また、体調が悪いことで食事ができずに低血糖になる可能性もあるため、血糖値の確認が大切です。糖尿病の方はシックデイの対処を予め主治医に聞いておくこと、実際シックデイでどうしたらよいか迷った場合は、「主治医に連絡をして相談すること」が重要です。
糖尿病の方は自己判断で薬物療法を中止しないこと
感染症にかかり、食事の量がいつもより少なくなったからといって、糖尿病の経口薬の服用やインスリン注射を、患者さん自身の判断で中止するのはとても危険です。病気により血糖値が高くなっているのに加え、薬を中止することで血糖値が極端に高くなり、ケトーシス(血液の酸性化)が起き、昏睡に陥ることもあります。薬の量をどう調節するかは、あらかじめ主治医の指示「シックデイルール」を受けて、それに沿って判断してください。
※シックデイの時の家庭での対応の基本を「シックデイルール」と言います。
感染症予防について不安な方はお気軽にご相談ください
糖尿病の方が、「新型コロナウイルスに感染しやすい」ということはないようですが、他の感染症と同じく“重症化の危険”は指摘されています。ですので、まずは感染予防のための「マスク着用」や「手洗い」、「三密を避ける」などの対策をしっかりと行い、普段から血糖値を良好に保って“重症化を防ぐこと”が何より重要です。感染症予防について不安な方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2022.12.11
糖尿病が引き起こす敗血症のリスク
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
敗血症は、あらゆる感染症に続いて起こりうる病態です。敗血症をより早期に察知するためにも、敗血症に関する基本的な知識をもっておく必要があります。
この記事では「敗血症」について解説していきます。後半部分では「敗血症予防のために気をつけること」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
.cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
敗血症とは
敗血症の症状
敗血症性ショックとは
敗血症と敗血症性ショックの違い
糖尿病の人はなぜ敗血症にかかりやすいのか
敗血症予防のために気をつけること
敗血症や糖尿病について不安な方はお気軽にご相談ください
敗血症とは
敗血症とは、何らかの細菌やウイルスに感染することによって全身に様々な影響が及び、心臓、肺など体の重要な臓器の機能が障害(臓器不全)される病気のことです。全身性炎症反応症候群(ぜんしんせいえんしょうはんのうしょうこうぐん)とも言います。
敗血症は組織障害や臓器障害をきたすため、敗血症と診断されたら、ただちに治療を開始することが重要です。治療が遅れると、全身のバランスが崩れ、低血圧による意識障害などを引き起こしてショック状態となります。
その結果、多数の臓器に障害が及ぶ「多臓器不全」となります(多臓器不全になると、数時間で死亡してしまう可能性が高くなります)。
敗血症は軽度な感染症から進行することもあるため、特に乳幼児や高齢の方、持病のある方などで発熱などの症状が長引く場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
「敗血症について解説しているサイト」でも同様のことを伝えています。
敗血症の症状
敗血症では、何か1つの症状が出るというようなことは基本的にありません。
障害が起きている臓器によって、様々な症状が現れるのが特徴です。
初期の主な症状としては、悪寒を感じたり、全身のふるえや発熱、発汗などが見られたりすることが多く、症状が進行してくると、心拍数や呼吸数の増加、血圧低下、排尿困難、意識障害などが生じてきます。
なお、重症化してしまうと、腎不全や肝不全といった臓器不全、敗血性ショックを招き、命を落とす危険が高まります。
敗血症性ショックとは
敗血症性ショックとは、日本救急医学会の定義では「臓器障害または臓器灌流異常をともなう敗血症のうち、適切な輸液負荷を行っても低血圧が持続する状態」とされています。
臓器障害を伴う敗血症は一般に重症敗血症と言われますので、平たく言えば「血圧が下がった重症敗血症」となります。
敗血症性ショックでは、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が放出され、人の血管の中の血管内皮細胞と呼ばれる細胞を傷つけます。
その結果、血管内に微小血栓を作り、DIC(播種性血管内凝固症候群)と呼ばれる状態などに落ち入り多臓器障害や多臓器不全を起こすことになります。
敗血症性ショックについて詳しく知りたい方は「敗血症および敗血症性ショックについて解説しているサイト」をご覧ください。
敗血症と敗血症性ショックの違い
敗血症は、 菌血症やほかの感染症に対する重篤な全身性の反応に加え、体の重要な器官の機能不全が起こる病態です。
一方、敗血症性ショックは、敗血症によって生命を脅かす低血圧(ショック)および臓器不全が引き起こされている病態です。
つまり、重症敗血症の病態のなかでショックを呈したものが「敗血症性ショック」になります。
敗血症性ショックは、放置することで命にかかわります。
そのため積極的な治療が必要になります。
糖尿病の人はなぜ敗血症にかかりやすいのか
糖尿病の方は感染症にかかりやすい状態です。
そのため、糖尿病をお持ちの方は敗血症を引き起こしやすいと言われています。
では、なぜ糖尿病をお持ちの方は感染症にかかりやすいのでしょうか。
主な理由は以下の5つです。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由1】血流が悪くなる
高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。
血液の流れが悪くなると、細胞の働きが低下し、白血球が感染部位に到達しにくくなり、感染しやすくなります。
また感染で受けたダメージの回復にも時間がかかります。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由2】免疫機能の低下
白血球の一種である好中球は、体内に入り込んだウイルスや細菌を食べる働きがあります。しかし、高血糖時はこの機能が低下してしまいます。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由3】免疫反応の低下
一度感染したことのある病原体には「抗体」が作られるため、次に体内に侵入しても感染しづらくなります。これを「免疫反応」といいます。
高血糖時の時は、この免疫反応が弱くなることがわかっています。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由4】神経障害
糖尿病に特有な合併症の一つに神経障害があります。
神経障害があると、内臓の活動が乱れやすく、膀胱炎や胆嚢炎の原因になります。
また、痛みを感じる神経も障害されるので、症状が現れにくく感染症に気づくのが遅れ、その間に病気が進行してしまいます。
糖尿病の神経障害については「糖尿病情報センターのホームページ」をご覧ください。
【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由5】血糖値がいつもより上昇する
細菌類に感染すると、インスリンを効きにくくする物質が多くなり、血糖値はいつもより上昇します。
このことが、糖尿病の状態をより悪くし、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。
敗血症予防のために気をつけること
敗血症を予防するには感染症を予防することが大切であり、万が一感染症にかかったとしても悪化させないよう注意することで発症のリスクを下げることができます。そのためにも、日頃から手洗いや手指消毒、マスク着用などの基本的な感染対策をしっかり行い、規則正しい生活を心がけることが最も重要です。また、感染症が悪化して敗血症に進行するのを防ぐには、感染症が疑われる症状がある場合、できるだけ早く医療機関を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
敗血症や糖尿病について不安な方はお気軽にご相談ください
上述した通り、敗血症は軽度な感染症から進行することもあるため、できるだけ早く治療することが大切です。持病がある人(糖尿病、呼吸器疾患、心疾患、透析を受けている人など)や免疫抑制剤などを内服している人は、体調が悪い際は我慢せず、早めに受診することをお勧めします。敗血症の症状にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2022.12.11
都賀で妊娠糖尿病にお悩みの方へ
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値のコントロールが上手くできなくなってしまう“糖代謝異常”を引き起こす病気のことです。
妊娠糖尿病になると血糖値が高くなり過ぎることで、様々な病気を引き起こします。
そのため、妊婦定期健診を指示された予定通りに受け、早期発見することが非常に重要です。
この記事では、「妊娠糖尿病」について解説していきます。
後半部分では「妊娠糖尿病の治療方法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
妊娠糖尿病とは
妊婦の糖尿病は3種類に分類されます
妊娠糖尿病の症状
妊娠糖尿病の治療方法
妊娠中の運動について
糖尿病ケトアシドーシスについて
妊娠糖尿病になりやすい人の特徴
妊娠糖尿病が不安な方はいつでもご相談ください
妊娠糖尿病とは
妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です(糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す“血糖値”が上がった状態です)。
今まで糖尿病と言われた事がないにもかかわらず、妊娠中に始めて指摘された糖代謝異常で、糖尿病の診断基準をみたさない人を妊娠糖尿病といいます。
具体的には、糖負荷試験をした際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合に「妊娠糖尿病」と診断されます。
妊婦の糖尿病は3種類に分類されます
糖代謝異常には、大きく分けて「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」の3種類があります。
「妊娠糖尿病」は前述した通り、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です。
一方、「糖尿病合併妊娠」とは、糖尿病といわれていた方が妊娠した状態です。
そして最後の「妊娠中の明らかな糖尿病」は、妊娠前から“診断されていない糖尿病があったかもしれない”という糖代謝異常などが含まれます。
なお、妊娠前から既に糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断された場合は、妊娠糖尿病より重度の状態ですので、血糖をより厳密に管理する必要があります。
「日本産婦人科学会」でも同様の見解を述べています。
妊娠糖尿病の症状
妊娠糖尿病の症状はほとんどありません。
気づかずうちに血糖値が高くなっていることがあります。
ですので、妊婦定期健診を指示された予定通りに受け、早期発見することが非常に重要です。
なお、お母さんが高血糖であると、おなかの中の赤ちゃんも高血糖になり、様々な合併症が起こり得ます。
合併症については以下をご覧ください。
<妊娠糖尿病が引き起こす“お母さん”に起こる病気>
・妊娠高血圧症候群
・流産
・早産
・羊水過多
・膀胱炎、腎盂炎などの感染症
・血管障害
・網膜症
・脱水
・意識障害
<妊娠糖尿病が引き起こす“赤ちゃん”に起こる病気>
・子宮内胎児脂肪
・新生児ピルピリン血症
・新生児低血糖
・低カルシウム血症
・呼吸窮迫症候群
・先天奇形
・発育遅延
・心臓の肥大
・多血症
・電解質異常
・黄疸
妊娠糖尿病の治療方法
糖尿病の治療には「食事療法」「運動療法」「薬物治療」の3つの柱があります。
しかし、妊娠中は積極的な運動療法はあまりできないため、まず食事療法を行います。
そして、それでもうまくいかない場合には、インスリン療法に移行します。
【妊娠糖尿病の治療方法1】食事療法
食事療法では、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えて様々な食品をまんべんなくとることが大切です。
お母さんと赤ちゃんがともに健全に妊娠を継続でき、食後の高血糖を起こさず空腹時のケトン体産生を亢進させないよう配慮してください。
なお、1日3食、規則正しく適正量を食べても食後の血糖値が高い場合は、1日の食事を6回に分けて食べてください(この食事方法を分割食と言います。1回の食事量を減らすことで食後の血糖上昇を抑えます)。
<通常の糖尿病と妊娠糖尿病の食事療法の違いとは?>
通常の糖尿病と妊娠糖尿病の食事療法の違いは目標とする血糖値の範囲になります。妊娠糖尿病の場合、血糖値の目標値が食前100㎎/dl、食後2時間120㎎/dl未満となります。妊娠中は赤ちゃんのために必要なエネルギー、必要な栄養素を摂る必要がありますので、単に食事制限するのではなく、適切な栄養素を含み適切な量をバランスよく摂取しなければなりません。そのため、妊娠糖尿病食は通常の糖尿病食よりも食事量は多くなります。ただし妊娠糖尿病の状態や妊娠の時期によって目標摂取量は変わりますので、十分に注意してください。
【妊娠糖尿病の治療方法2】インスリン療法
食事療法のみでは健康な妊婦さんの“血糖値目標”に達成できないとき、インスリン療法が加わります。経口血糖降下薬は妊婦に使用できないため、強化インスリン療法による厳格な血糖管理が必要です。インスリンの中には妊娠時に使用可能なカテゴリーBとそうでないものがあるので注意してください。インスリンについては「糖尿病情報センターのホームページ」に記載しています。ご興味のある方はご覧ください。
妊娠中の運動について
妊娠中の運動は「血糖コントロールの改善」につながる効果がありますが、妊娠の状況によっては運動をできない場合があります。また不適切な運動は逆効果です。したがって妊娠中の運動は、必ず医師の許可を得て行ってください。
糖尿病ケトアシドーシスについて
妊娠中、母親のからだは血糖を胎児に優先的に送ろうとするので、自分自身のエネルギーを補うため、脂肪を分解して“遊離脂肪酸”を作る働きが普段よりも活発になります。その結果、ケトン体が増えます(ケトン体は、からだの中で脂肪が変化して作られる物質でエネルギー源として利用されています)。このケトン体が多く作られてしまった場合、「糖尿病ケトアシドーシス」という病気の誘因となり、妊娠中はその病気のリスクが高くなります。糖尿病ケトアシドーシス」は糖尿病昏睡の一種であり、糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症です。糖尿病合併妊娠の1.2%に発症すると報告されています。糖尿病ケトアシドーシスについては「糖尿病ネットワーク」に詳しく記載していますので、気になる方はご覧ください。
妊娠糖尿病になりやすい人の特徴
下記の項目に一つでも当てはまる方は「妊娠糖尿病」になりやすいといえます。
・家族に糖尿病の人がいる
・肥満(BMI 25kg/m2 以上)
・35歳以上の高齢出産である
・巨大児分娩歴がある
・妊娠高血圧症群、既往にある
・羊水過多
・原因不明の習慣流早産歴がある
・先天奇形児の分娩歴がある
・強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
妊娠糖尿病が不安な方はいつでもご相談ください
妊娠糖尿病になっても、症状はほとんどありません。そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。妊娠糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2022.11.27
突発性発疹にご注意ください
内科に関する記事です。
突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型、もしくはヒトヘルペスウイルス7型によって起こる感染症です。突然の高熱と解熱前後の発疹(ほっしん)が特徴で、99%の人は3歳までに感染すると言われています。
この記事では、突発性発疹について解説していきます。後半部分では「突発性発疹の治療法」についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
.cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
突発性発疹とは?
突発性発疹の症状
突発性発疹の原因
突発性発疹の合併症
突発性発疹の治療法
突発性発疹の予防法
突発性発疹の登校基準・出席停止期間について
突発性発疹とは?
突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)もしくはヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)によって起こる感染症です。子供が初めてかかる病気の代表格であり、生まれて初めての発熱が突発性発疹ということも少なくありません。突発性発疹は発熱から始まり、その後に発疹が出るため、発熱だけでは診断がつかないことがあります。そのため、下熱後に発疹が出現して初めて突発性発疹と診断される場合もあります。なお、お子さんによってはウイルスに感染しても症状が出ないこともあります(不顕性感染)。
突発性発疹の症状
突発性発疹の主な症状は発熱と発疹です。3~4日間、38℃以上の発熱があり、解熱して1日以内に顔面や全身に紅斑や丘疹(ぶつぶつ)などの発疹が現れるのが典型的な症状になります。発疹が出現するまでは突発性発疹かどうかは分かりませんが、以下のような症状があれば突発性発疹を疑います。
・生後6カ月以降で初めての高熱
・高熱があっても比較的機嫌がいい
・便が少しゆるい
・咳や鼻水といった感冒症状がほぼない
突発性発疹の原因
突発性発疹の原因はヒトヘルペスウイルス6型(7型)への感染です。周囲の大人や突発性発疹を経験した子供の体のなかにウイルスが潜在しており、唾液などを介して、食器の共用や顔などへの接触によって感染すると言われています。なお、ヒトヘルペスウイルス6型と7型には、それぞれに特徴があります。詳しくは以下をご覧ください。
【突発性発疹の原因1】ヒトヘルペスウイルス6型
ヒトヘルペスウイルス6型は生後6カ月~2歳までに多くの子供が感染します(生後6カ月まで感染しないのは胎児期に母親の血液から移行した抗体が身体に残っているためです)。ヒトヘルペスウイルス6型に感染すると身体の中に一生潜伏し続ける特徴がありますが、潜伏していても症状としては何も現れません。そのため、体内にウイルスを持っている両親から子供へ感染することが多いです。また、保育所では突発性発疹に感染した子供から別の子供に感染することも起こり得ます。
【突発性発疹の原因2】ヒトヘルペスウイルス7型
ヒトヘルペスウイルス7型は6型よりも感染頻度は少ないですが、同じ感染経路で2~4歳の頃に感染します。突発性発疹に2回感染する子供がいるのはこのためです。どちらに感染しても症状の大半は同じですが、ヒトヘルペスウイルス6型の感染では多くの子供に発疹が出るのに対して、7型は一部の子供にだけ発疹が現れます。
突発性発疹の合併症
突発性発疹は高熱が出たときに熱性痙攣を伴うことがあるため注意が必要です。また稀にではありますが、脳炎、劇症肝炎を合併することがあります。くれぐれもご注意ください。なお、突発性発疹の合併症については以下をご覧ください。
【突発性発疹の合併症1】熱性痙攣
熱性痙攣とは「ひきつけ」のことです。高熱が出たときに白目をむいて、全身を突っ張らせるけいれんは、強直性痙攣と呼ばれる痙攣で、ガクンガクンと手足を震わせたりする状態になります。0〜5歳くらいまでの間に38度以上の発熱に伴って起き、発症確率は7~8%とされています。
【突発性発疹の合併症2】脳炎
肺炎とは、肺に炎症を起こす病気のことを指します。この炎症は、細菌やウイルスなどによって起こります(細菌やウイルスは、鼻や口から侵入し、のどを経由して肺の中に入り込みます)。健康な人は、この細菌やウイルスをのどでブロックできますが、風邪をひいたり免疫力が落ちている時は細菌やウイルスがのどや気管を通りぬけて肺まで侵入し、炎症を起こします。この状態を肺炎と言います。
【突発性発疹の合併症3】劇症肝炎
劇症肝炎とは、肝臓の機能が急激に低下し、意識障害などの重篤な症状が現れる疾患です。この意識障害は肝性脳症と呼ばれ、ひどい場合は昏睡状態に陥ります。
突発性発疹の治療法
ヒトヘルペスウイルス6型(7型)を直接攻撃する特効薬はなく、自然に治るまでは症状を緩和する解熱剤で経過をみることが多いです。感染しても比較的元気な子供が多く、その場合は高熱があっても解熱剤は不要です。発疹はかゆみを伴うことがあまりなく、自然に消失します。なお、解熱していれば保育所への登園も可能です。
突発性発疹の予防法
突発性発疹の予防法は特にありません。発熱時は「安静」と「十分な睡眠」で免疫力が落ちないようにしてください。また、脱水を防ぐための水分補給も大切です。下痢などの症状があるので、電解質を含む飲料がおすすめになります。
突発性発疹の登校基準・出席停止期間について
突発性発疹は「学校保健安全法による出席停止期間」が決まっていません。しかし突発性発疹は感染すると高熱によって痙攣などが起こる可能性があります。ですので、保育園に通っている乳幼児が感染した場合は、しばらく登園を控えるようにしてください。なお、しばらく休んだのちに登校・登園する場合、園によっては「登校許可証」が必要になる場合があります。「登校許可証」をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2022.09.19
ヒトメタニューモウイルス感染症にご注意ください
内科に関する記事です。
ヒトメタニューモウイルス感染症は呼吸器に炎症を引き起こす病気です。1~3歳の幼児の間で流行することが多いのですが、大人にも感染します。そのため、幼児だけではなく大人も注意が必要な病気だと言えるでしょう。
この記事では、ヒトメタニューモウイルス感染症について解説していきます。後半部分では「ヒトメタニューモウイルス感染症の予防対策」についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
.cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
ヒトメタニューモウイルス感染症とは?
ヒトメタニューモウイルス感染症の特徴
ヒトメタニューモウイルス感染症の症状
ヒトメタニューモウイルス感染症の原因
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療方法
ヒトメタニューモウイルス感染症の予防対策
登校許可証について
ヒトメタニューモウイルス感染症とは?
ヒトメタニューモウイルス感染症は呼吸器に炎症を引き起こす病気です。ヒトメタニューモウイルスは一般にあまり聞き慣れないウイルス名だと思いますが、2001年にオランダの研究グループが発見して報告した比較的歴史の浅いウイルスです。ヒトメタニューモウイルスは感染力が非常に強く、くしゃみや咳による飛沫感染や、ウイルスが付いた手や鼻水を拭いたタオルなどによる接触感染で広がります。ですので、普段から「手洗い」「うがい」、保育園や幼稚園で流行している時は「タオルやコップは別々にする」などの対策が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症の特徴
ヒトメタニューモウイルス感染症は一年中感染する可能性はありますが、中でも3~6月が多く、ほぼ毎年流行がみられます。主に1~3歳の幼児の間で流行し、症状は「インフルエンザのような39度台の高熱が続き、RSウイルス感染症のような喘鳴が認められる」のが特徴です。RSウイルス感染症については「RSウイルス感染症について解説している記事」をご覧ください。
ヒトメタニューモウイルス感染症の症状
ヒトメタニューモウイルス感染症は咳、鼻水、発熱などの症状が主にみられます。症状はRSウイルス感染症と似ています。成人も含めて多くの場合は上気道炎(喉や鼻の風邪)症状のみですが、0~5歳の乳幼児や高齢者に感染すると気管支炎や肺炎を起こしやすいです。重症化すると呼吸困難に陥ることがありますが、命に関わることは極めて稀です。気管支炎と肺炎については下記をご覧ください。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の症状1】気管支炎
気管支炎とは、気管支に炎症の中心があって、咳や痰などの呼吸器症状を引きおこす病気の総称です。 急性に起きる気管支炎の大半はウイルスやマイコプラズマなどによる感染症です。一方、慢性の気管支炎とは、数週間から数カ月の間咳や痰などの症状が続く場合を言います。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の症状2】肺炎
肺炎とは、肺に炎症を起こす病気のことを指します。この炎症は、細菌やウイルスなどによって起こります(細菌やウイルスは、鼻や口から侵入し、のどを経由して肺の中に入り込みます)。健康な人は、この細菌やウイルスをのどでブロック出来ますが、風邪をひいたり免疫力が落ちている時は細菌やウイルスがのどや気管を通りぬけて肺まで侵入し、炎症を起こします。この状態を肺炎と言います。
ヒトメタニューモウイルス感染症の原因
ヒトメタニューモウイルス感染症の原因は、ヒトメタニューモウイルスに感染することです。このウイルスを保有している人から、飛沫感染・接触感染によって感染します。飛沫感染・接触感染については下記をご覧ください。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の原因1】飛沫感染
飛沫感染は感染者の口から出た咳やくしゃみなどで飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の原因2】接触感染
接触感染は感染者の咳やくしゃみ、鼻水の飛沫が付いたタオルや食器に触れる事で感染します。
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療方法
ヒトメタニューモウイルス感染症に特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法(症状を和らげる治療)が行われます。症状が強い時は、咳止め、解熱剤などのお薬を出すことがあります。水分をしっかりととり、温かくして、ゆっくりと休んでくださいね。
ヒトメタニューモウイルス感染症の予防対策
ヒトメタニューモウイルス感染症を予防できるワクチンは現在のところありません。ヒトメタニューモウイルス感染症の予防には手洗いやうがいを徹底して行ってください。以下、主な予防対策です。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の予防対策1】手洗い・うがい
もっとも重要な予防対策は「手洗い」と「うがい」です。手洗いは石けんと流水でしっかり洗ってください。なお、手指の消毒にはアルコール手指消毒薬を使ってくださいね。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の予防対策2】マスクの着用
せきが出ている年長児や成人はできる限り、ヒトメタニューモウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくてもマスクを着用してください。また新生児、乳児への接触を避けることが感染予防につながります。マスクの着用とあわせてご注意ください。
【ヒトメタニューモウイルス感染症の予防対策3】身の回りの消毒
子供たちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめに消毒してください。消毒には、アルコール系消毒薬や次亜塩素酸ナトリウムを使うか、熱による消毒を行います。手すりのようなよく手が触れる場所は、アルコール系消毒薬や次亜塩素酸ナトリウムでこまめにふき掃除をしてください。なお、子供たちが日常的に触れるおもちゃはできるだけ個人専用にしてくださいね。
登校許可証について
学校や幼稚園に通っているお子さんが、感染症にかかった場合、感染症が拡がるのを防ぐため、感染の恐れがある間は登校・登園を控えていただく場合があります。ご注意ください。尚その後、感染の恐れがなくなり登校・登園する場合、学校や園によっては「登校許可証」が必要になる場合があります。「登校許可証」をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2022.09.17
RSウイルス感染症にご注意ください
内科に関する記事です。
RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって引き起こされる呼吸器の疾患です。基礎疾患を有する小児や乳児期早期の小児がRSウイルスに初めて感染すると、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。RSウイルスには子供が主に発症しますが、気づかないうちに大人も感染している可能性があります。ですので、子供だけではなく大人も注意が必要な疾患だと言えるでしょう。
この記事では、RSウイルス感染症について解説していきます。後半部分では「RSウイルス感染症の予防対策」についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
.cv_box {
text-align: center;
}
.cv_box a{
text-decoration: none !important;
color: #fff !important;
width: 100%;
max-width: 400px;
padding: 10px 30px;
border-radius: 35px;
border: 2px solid #fff;
background-color: #ffb800;
box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%);
position: relative;
text-align: center;
font-size: 18px;
letter-spacing: 0.05em;
line-height: 1.3;
margin: 0 auto 40px;
text-decoration: none;
}
.cv_box a:after {
content: "";
position: absolute;
top: 52%;
-webkit-transform: translateY(-50%);
transform: translateY(-50%);
right: 10px;
background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg");
width: 15px;
height: 15px;
background-size: contain;
display: inline-block;
}
【目次】
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症の症状
RSウイルス感染症が引き起こす重篤な合併症
RSウイルス感染症の原因と感染経路
RSウイルス感染症の治療方法
RSウイルス感染症の予防対策
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が一度感染するとされています。RSウイルス感染症は9月頃から流行し、初春まで続くとされてきましたが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。RSウイルス感染症は非常に感染力が強く、幼稚園や保育園などの施設内感染に注意が必要です。「厚生労働省のホームページ」でも同様の見解を述べています。
RSウイルス感染症の症状
RSウイルス感染症の症状としては、軽い風邪の症状から重い肺炎まで様々です。しかしながら、初めて感染発症した場合は重くなりやすいといわれており、乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。以下、重症化するリスクの高いお子さんの特徴です。
<重症化するリスクの高いお子さん>
・生後6か月未満の赤ちゃん
・早産・低出生体重の赤ちゃん
・先天性心疾患
・慢性肺疾患
・ダウン症
・免疫不全症など
RSウイルス感染症が引き起こす重篤な合併症
RSウイルス感染症が引き起こす重篤な合併症には、無呼吸発作、急性脳症があります。詳しくは以下をご覧ください。
【RSウイルス感染症が引き起こす重篤な合併症1】無呼吸発作
無呼吸発作は、呼吸の停止が20秒間以上続く、または呼吸の停止が20秒に満たなくても1分間に100以下の徐脈かチアノーゼを起こす病気です。この病気には原発性のものと二次性のものがあります。原発性はもととなる疾患が見られない未熟児に見られ、二次性では中枢神経や呼吸器系、循環器系、消化器系、血液などにもととなる疾患があった上で認められます。
【RSウイルス感染症が引き起こす重篤な合併症2】急性脳症
急性脳症とは、なんらかの病原体に感染した際、身体が病原体に対して反応を起こすことで、脳の急激なむくみが生じ、痙攣発作、意識障害、嘔吐などの症状をきたす病気です。特に痙攣は急性脳症を発症した際の最初の症状であることも多く、痙攣が出現した場合、急性脳症の可能性も考えて診断を進める必要があります。
RSウイルス感染症の原因と感染経路
病原体はRSウイルス(Respiratory syncytial virus)です。患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛まつ感染」が主な感染経路ですが、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」もあります。ですので、感染している人との直接の濃厚接触や「間接的な接触感染」にはくれぐれもご注意ください。
RSウイルス感染症の治療方法
RSウイルス感染症に特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法(症状を和らげる治療)が行われます。なお、重症化した場合には、酸素投与、補液、呼吸管理が行われます。詳しくは「国立感染症研究所のホームページ」に記載していますので、ご興味のある方はご覧ください。
RSウイルス感染症の予防対策
RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。一方、再感染以降では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれてない年長児や成人が存在しています。したがって、咳等の呼吸器症状を認める年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。また、0歳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用して0歳児、1歳児に接することが大切です。予防対策のポイントについては以下にまとめていますので、ぜひご覧ください。
【RSウイルス感染症の予防対策1】手洗い
もっとも重要な予防対策は、厳重な手洗いと手指の消毒です。石けんと流水でしっかり洗ってください。なお、手指の消毒にはアルコール手指消毒薬を使ってくださいね。「千葉市ホームページ」でも同様のことを伝えています。
【RSウイルス感染症の予防対策2】マスクの着用
せきが出ている年長児や成人はできる限り、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくてもマスクを着用して下さい。また新生児、乳児への接触を避けることが感染予防につながります。マスクの着用とあわせてご注意ください。
【RSウイルス感染症の予防対策3】身の回りの消毒
子供たちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめに消毒してください。消毒には、アルコール系消毒薬や次亜塩素酸ナトリウムを使うか、熱による消毒を行います。手すりのようなよく手が触れる場所は、アルコール系消毒薬や次亜塩素酸ナトリウムでこまめにふき掃除をしてください。なお、子供たちが日常的に触れるおもちゃはできるだけ個人専用にしてくださいね。
登校許可証について
学校や幼稚園に通っているお子さんが、感染症にかかった場合、感染症が拡がるのを防ぐため、感染の恐れがある間は登校・登園を控えていただく場合があります。ご注意ください。尚その後、感染の恐れがなくなり登校・登園する場合、学校や園によっては「登校許可証」が必要になる場合があります。「登校許可証」をご希望の方は、お気軽にご相談下さい。
当日の順番予約はこちらから
2022.09.13
BLOG CATEGORY
-
神経内科
神経内科についての記事はこちらをクリック
-
アレルギー科
アレルギー科についての記事はこちらをクリック
-
リウマチ科
リウマチ科についての記事はこちらをクリック
-
糖尿病・代謝内科
糖尿病・代謝内科についての記事はこちらをクリック
-
美容注射
美容注射についての記事はこちらをクリック
-
各種検診
各種検診についての記事はこちらをクリック
-
内分泌内科
内分泌内科についての記事はこちらをクリック
-
腎臓内科
腎臓内科についての記事はこちらをクリック
-
循環器内科
循環器内科についての記事はこちらをクリック
-
消化器内科
消化器内科についての記事はこちらをクリック
-
呼吸器内科
呼吸器内科についての記事はこちらをクリック
-
内科
内科についての記事はこちらをクリック
BLOG TAG
- フルミスト点鼻液
- 鼻から
- インフルエンザワクチン
- 低血糖
- 大血管症
- がん
- うつ病
- 血糖コントロール
- メタボリックシンドロームとは
- ミトコンドリア糖尿病
- 家族性若年糖尿病
- MODY
- なりやすい
- 日本人
- 何型
- 確率
- 遺伝
- 副鼻腔炎
- 痩せる
- 治らない
- 頭痛
- 血糖値スパイクとは
- いつまで
- コロナ後遺症
- 中耳炎
- インフルエンザ脳症とは
- ワクチン
- 麻疹
- 違い
- D型
- C型
- B型
- A型
- インフルエンザC型
- インフルエンザB型
- インフルエンザA型
- インフルエンザ潜伏期間
- 潜伏期間
- インフルエンザ
- SAS
- 睡眠時無呼吸症候群
- 内科
- ダイアベティス
- 下げる
- 若い女性
- ピーク
- タバコ
- 変異株
- ピロラ
- エリス
- 目
- 食後
- 吐き気
- 60代
- 不眠
- 血糖値スパイク
- カフェイン
- 30代
- うつ
- 50代
- 40代
- 更年期
- 相談
- 方法
- タイプ
- 関連
- 20代
- 診察
- 評価法
- 診断基準
- 関係性
- 女性ホルモン
- 女性
- 副作用
- 費用
- デメリット
- メリット
- 減感作療法
- 男性
- チェック
- 不眠症
- 居眠り
- 意識が朦朧
- 眠気
- 痒み
- 皮膚
- 病名変更
- 名称変更
- 塩分
- 病気
- 脱毛症
- 糖質
- 抜け毛
- バナナ
- 摂取量
- コーヒー
- 糖尿病性ED
- ED
- 偏見
- 例
- 病名
- 言葉
- アドボカシー活動
- スティグマ
- ホルモン
- 精神疾患
- ストレス
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病ケトアシドーシス
- 影響
- 喫煙
- 経口血糖降下薬
- 糖尿病かもしれない
- 境界型糖尿病
- 糖尿病予備群
- インスリン療法
- 骨折
- 骨粗鬆症
- 心筋梗塞
- 後遺症
- 脳梗塞
- 1型糖尿病
- 検診
- 生活習慣
- 歯周病
- 重症化
- 新型コロナウイルス
- 敗血症性ショック
- 感染症
- 敗血症
- 水分補給
- 関係
- 脱水症状
- 注意
- 効果
- 糖尿病予防
- 糖質制限
- 食べ物
- アルコール
- お酒
- 妊娠糖尿病
- 初期症状
- 慢性合併症
- 糖尿病腎症
- 理由
- スキンケア
- 保湿剤
- 痒さ
- 血糖値
- 食事
- 食べてはいけないもの
- 乳製品
- おすすめ
- 食生活
- ヒトヘルペスウイルス
- ウイルス
- 発熱
- 突発性発疹
- 呼吸器
- ヒトメタニューモウイルス感染症
- ヒトメタニューモウイルス
- 感染経路
- 小児
- RSウイルス感染症
- 手足口病
- 特徴
- 夏風邪
- ヘルパンギーナ
- 糖尿病足病変
- 血糖
- 糖尿病チェック
- 足
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
- 合併症
- インスリン
- 運動療法
- 子供
- くしゃみ
- 新型コロナウイルス感染症
- 点眼薬
- 点鼻薬
- 内服薬
- 有効
- 薬
- 対策
- 飛散
- 舌下免疫療法
- アナフィラキシーショック
- アレルギー
- 治療法
- 花粉症
- 無症状
- 待機期間
- 濃厚接触
- 期間
- 甲状腺ホルモン
- 甲状腺機能低下症
- 風邪
- 初期
- 感染対策
- オミクロン株
- 接種券
- 対象
- 新型コロナワクチン
- 3回目
- 甲状腺
- 栄養素
- 糖尿病
- 血圧
- 減塩
- 動脈硬化
- 食事療法
- 生活習慣病
- DASH食
- 高血圧
- 若葉区
- 脂質異常症
- 都賀
- 高脂血症
- 感染
- 運動
- 飲酒
- 接種後
- 接種率
- 千葉市
- 副反応
- 種類
- 接種
- 予約
- コロナワクチン
- コロナ
- 診断
- 予防
- 治療
- 改善
- 原因
- 検査
- 症状