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糖尿病の原因|糖尿病に関わるホルモンについて解説
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病に関わるホルモン」について解説していきます。後半部分では「ホルモンに関する病気」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
ホルモンの働きについて
糖尿病との関係
血糖値に関わるホルモンの種類
ホルモンに関する病気
まとめ
ホルモンの働きについて
ホルモンとは、体のさまざまな働きを調節する化学物質です。ホルモンは、体の外側、内側で環境の変化が起きても、体の働きが常に同じになるように保つ働きをしています。現在、ホルモンとして確かめられているものは100種類ほどあり、さらに発見され続けています。したがってホルモンの種類は、まだ増えると考えられております。
糖尿病との関係
血糖値を上げる働きのあるホルモンが何らかの病気によって正常よりも大量に分泌されるとインスリンとのバランスが取れなくなり、血糖値が必要以上に上がってしまいます。その結果、糖尿病やその一歩手前の“耐糖能異常”を引き起こしてしまう可能性があります。なお、血糖は人間が生きていくために必要不可欠なものです。そのため体の中では、血糖値を下げる働きのあるホルモンよりも上昇させる働きのあるホルモンの方が多く存在します。
血糖値に関わるホルモンの種類
血糖値を低下させるホルモンは“インスリン”だけです。一方、血糖値を上昇させるホルモンは“インスリン”と拮抗するグルカゴンだけでなく、成長ホルモン、コルチゾール、アドレナリン、甲状腺ホルモンなど多数あります。血糖調節に関与するホルモンについては、以下をご覧ください。
【血糖調節に関与するホルモン1】インスリン
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。
【血糖調節に関与するホルモン2】グルカゴン
グルカゴンは、血糖値を上昇させる作用を持つホルモンの一つです。膵臓のα(アルファ)細胞で作られます。グルカゴンは肝臓で貯蔵してあるブドウ糖のもとを分解したり、アミノ酸からブドウ糖を合成したりして、血糖値を上げる効果があります。また、同じ膵臓のβ(ベータ)細胞から作られるインスリンの分泌を促進したり、成長ホルモンの分泌を促進する効果もあります。
【血糖調節に関与するホルモン3】成長ホルモン
成長ホルモンとは、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。成長という名前がついていますが、成長ホルモンは“成長”のためだけに働くものではありません。人間の一生にわたって、代謝調節に関与し、現在では免疫機能、認知機能などにも作用を持つことがわかってきております。なお、成長ホルモンには脂肪を分解する作用があるため、蓄えられた脂肪が遊離脂肪酸に分解されて、その遊離脂肪酸はインスリン作用をブロックします。つまり、成長ホルモンが多く出ると、インスリン作用が低下して血糖値が上がる仕組みになっているのです。
【血糖調節に関与するホルモン4】コルチゾール
コルチゾールは、副腎皮質から分泌される、生命を維持するために欠かせないホルモンです。コルチゾールは,グルカゴンやアドレナリンの作用を高め、肝臓における糖新生を促進する一方、筋や脂肪組織における“インスリン抵抗性”を助長するため、高血糖となります。したがってのコルチゾールが必要以上にたくさん分泌されると血糖値が上昇します。なお、コルチゾールの主な働きは、肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織での脂肪の分解などの代謝の促進、抗炎症および免疫抑制などです。
【血糖調節に関与するホルモン5】アドレナリン(エピネフリン、エピペン)
アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンです。アドレナリンは、すい臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を抑制し、血糖値を上げる働きを持っています。またグルカゴンの分泌を促進したり、肝臓でグリコゲンからブドウ糖を作る事を促進したりすることによっても血糖値を上昇させます。
【血糖調節に関与するホルモン6】甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンとは、甲状腺で作られるホルモンです。甲状腺ホルモンは、血液の流れに乗って全身の細胞に働きかけ、新陳代謝を活発にする働きをしています。また骨や神経、精神状態にも関わり、子どもの成長や発育を促進するなど、人間が生きていくうえで必要なホルモンです。なお、甲状腺ホルモンの上昇により肝臓における糖新生が亢進するため、血糖値は増加するとされています。
ホルモンに関する病気
ホルモンが過剰に分泌してしまう病気には以下のようなものがあります。
【ホルモンに関する病気1】グルカゴノーマ
グルカゴノーマは、グルカゴンというホルモンを分泌する膵臓の腫瘍です。グルカゴンの作用により血液中のグルコース濃度(血糖値)が上昇することで、非常に特徴的な発疹が現れます。なお、グルカゴノーマのおよそ80%は悪性腫瘍です。しかし腫瘍の増殖が遅いため、多くの人が診断後15年以上生存します。
【ホルモンに関する病気2】下垂体性巨人症(かすいたいせいきょじんしょう)
下垂体性巨人症とは、脳の下垂体という小さな臓器から成長ホルモンがたくさん分泌される病気です。お子さんの場合は、骨が伸びる最中に成長ホルモンがたくさん分泌されるため、身長がとても高くなる特徴があります。なお、大人になってから発症した場合は、身長は伸びずに、手足が大きくなる、口唇・鼻が大きくなる、おでこや顎が出っ張ってくるなどの特徴を持ち、先端巨大症(せんたんきょだいしょう)と呼ばれます。
【ホルモンに関する病気3】クッシング症候群
クッシング症候群とは、副腎から分泌されるコルチゾールの作用が過剰になることにより、特徴的な身体徴候を呈する病気です。主な症状として、赤ら顔になる、顔が丸くなる満月様顔貌(まんげつようがんぼう)や、体幹に脂肪の付きやすくなる中心性肥満など、見た目から分かる症状のほか、階段の上り下りが難しくなる筋力低下や高血圧、糖尿病や骨粗しょう症、月経の異常、気分の落ち込みなどが挙げられます。
【ホルモンに関する病気4】甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺が活発に活動し、血中に甲状腺ホルモンが多く分泌される病気です。原因としては、健常な人には認められない甲状腺を刺激する異常な物質が「血中および組織の中に存在するため」と考えられております。なお、甲状腺機能亢進症の代表的なものについては「バセドウ病」が挙げられます。バセドウ病については「こちらのページ」で詳しくご説明しておりますので、ぜひご覧ください。
まとめ
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と感じている方は、早めに受診することをお勧めします。糖尿病にお心当たりのある方、あるいはホルモンバランスの乱れによって心身の不調を感じている方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
当日の順番予約はこちらから
2023.02.27
糖尿病とストレスの関係
糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病の約95%を占める2型糖尿病の発症要因は「運動不足」「高脂肪食」「体質(遺伝)」などが原因だと考えられています。しかし現在では、これらの要素に加えて「ストレス」の影響も大きいことが分かっております。
この記事では、「糖尿病とストレスの関係」について解説していきます。後半部分では「合併症リスク」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
ストレスがなぜ糖尿病リスクを高めるのか
ストレス解消のための食べ過ぎに注意
ストレス解消のための喫煙に注意
ストレスは糖尿病の合併症リスクを上昇させる
ストレスが関係している精神疾患
ストレスを和らげ、糖尿病リスクを軽減しましょう
まとめ
ストレスがなぜ糖尿病リスクを高めるのか
糖尿病とストレスには深い関係があり、そこには“ホルモン”が関与しています。人がストレスを感じると、「アドレナリン」や「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
これらのホルモンは、「血圧」「心拍数」「血糖値」を上げます。コルチゾールは人がストレスに耐えるために必要なホルモンなので、そういった面では人を助けています。
しかし糖尿病の方の場合は、血糖値を上げる作用によって糖尿病の悪化を促します。またストレスを受け続けると、インスリンに対しての感受性が鈍くなり血糖値が下がりにくくなることが分かっています。
このように、ストレスを受け続けると高血糖の状態が続くため糖尿病を招いてしまうのです。
ストレス解消のための食べ過ぎに注意
ストレス解消の手段として、つい過食(食べ過ぎ)をしてしまうことがあります。
イライラしていたり精神的に不安定なときには、空腹でなくても、つい手近にあるものを口に運んでしまいます。
お酒を飲む人なら、その量も増えるでしょう。
このようなことが、血糖コントロールの悪化につながります。食生活の乱れは糖尿病の発症や悪化させる要因になりますので、十分に注意してください。
ストレス解消のための喫煙に注意
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。
そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」と言えます。
日本人を対象としたある研究では、喫煙者は、非喫煙者と比べて、2型糖尿病を発症するリスクが38%高くなることが分かっております。ですので、糖尿病の方は喫煙を控えてください。
ストレスは糖尿病の合併症リスクを上昇させる
ストレスが強いと糖尿病リスクが上昇するだけでなく、「心臓病」や「脳卒中」のリスクも悪化することが分かっています。
ストレスを放置していると、重大な病気に進行するリスクがありますので、十分にご注意ください。
以下、糖尿病の合併症です。
【糖尿病の合併症1】心筋梗塞
心筋梗塞とは心臓が酸素不足になり壊死する病気です。
心筋を取り巻いている冠動脈は心臓に血液と酸素を送っています。
これが動脈硬化で硬くなり“コレステロール”などが沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができません。そのため心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こしてしまいます。
これが心筋梗塞です。なお、心筋梗塞は激しい痛みが特徴です。
しかし糖尿病になると神経障害のために痛みを感じにくくなり、心筋梗塞を起こしても胸の痛みを感じないことがありますので、注意が必要です。
【糖尿病の合併症2】脳卒中
脳卒中とは、急性期脳血管障害のことを指し、突然脳の血管が詰まったり、破れたりして引き起こされる病気の総称です。
脳卒中は原因によって「脳の血管が詰まるタイプ(脳梗塞、一過性脳虚血発作)」と「脳の血管が破れるタイプ(脳出血、くも膜下出血)」の2つに分けられます。
脳卒中は、障害を受けた脳が司っていた「身体機能」や「言語機能」が失われたり、場合によっては死に至ることもありますので、非常に危険な病気です。
【糖尿病の合併症3】狭心症
狭心症は、心臓の筋肉に供給される酸素が不足するため、胸部に一時的な痛みや圧迫感が起きる病気です。
狭心症になると、心筋を養う冠動脈の内腔が狭くなって、心臓の筋肉に十分な血液が流れなくなります。
その結果、心臓に必要なだけの栄養と酸素がなくなり、心筋は酸素と栄養不足に陥ってうまく働けなくなってしまいます。
【糖尿病の合併症4】脂質異常症
脂質異常症(高脂血症)とは、中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたした状態のことを言います。
脂質異常症は多くの場合、自覚症状がありません。
脂質異常症の状態が続くと動脈硬化症をきたし、狭心症や心筋梗塞といった合併症が生じるリスクが高まります。ですので、絶対に放置してはいけません。
【糖尿病の合併症5】大動脈瘤
大動脈瘤とは、心臓から始まる全身に血液を送る大動脈という臓器が拡大し破裂の恐れを呈する病気です。
発生する部位によって「胸部」「胸腹部」「腹部」に区別されます。
ストレスが関係している精神疾患
ストレスは、様々な精神疾患のリスク因子として知られており、最近では認知症との関係も注目されています。
以下、ストレスが関係している精神疾患です。
【ストレスが関係している精神疾患1】うつ病
うつ病とは、意欲の低下・無気力・気分の落ち込みなどが続き、日常生活に影響を及ぼす病気です。
症状が重度になると、自傷行為や自殺企図など、直接命に関わってくる場合もあります。
【ストレスが関係している精神疾患2】統合失調症
統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳機能にあると考えられています。約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。
思春期から40歳くらいまでに発病しやすい病気です。
ストレスを和らげ、糖尿病リスクを軽減しましょう
ストレスが強いと糖尿病リスクが上昇するだけでなく、心臓病や脳卒中のリスクも悪化することが分かっております。
そのため、普段からストレスを軽減させるように努めることが大切です。
代表的なストレス解消法については、以下をご覧ください。
【ストレス解消法1】適度な運動
運動はストレス解消に大きな効果があります。
加えて、脂肪を燃焼し、肥満を改善する効果が期待できます。
糖尿病の方は、習慣的に「ウォーキング」や「ジョギング」などの適度な運動を行ってください。
【ストレス解消法2】野菜を食べる
オーストラリアの「エディスコーワン大学栄養健康イノベーション研究所」の研究では、野菜を十分に食べている人は、「ストレスレベルが低く抑えられている傾向がある」と発表されております。
特に女性では、野菜を毎日食べている人は、ほとんど食べない人に比べ、ストレスのリスクが18%低いことが判明しております。
ホウレンソウ・レタス・リーフレタス・キャベツ・ブロッコリーなどの葉物野菜を食べていると、心臓病や脳卒中の発症が少ないことも分かっておりますので、積極的に摂取してください。
【ストレス解消法3】日光浴
日光を浴びると、私たちの脳内ではセロトニンという神経伝達物質が分泌されます。
セロトニンが増えることで、ストレス発散や集中力アップ、気持ちが明るくなるなどの効果が期待できます。
ですので、ストレスを感じている方は積極的に日光浴を行ってください。
まとめ
糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。
そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。
健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。
糖尿病の症状や“ストレス”への対応について不安な方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。
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2023.01.27
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