板谷内科クリニックブログ

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糖尿病・代謝内科についての記事一覧

糖尿病・代謝内科

糖尿病による目の症状

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病が目に及ぼす影響」について解説していきます。後半部分では「糖尿病網膜症の治療法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病が目に及ぼす影響 糖尿病で視力が低下する仕組み 糖尿病網膜症とは 糖尿病網膜症の病期 糖尿病網膜症の特徴と原因 糖尿病網膜症の治療法について 糖尿病網膜症の予防策 糖尿病網膜症は早期発見が非常に重要です   糖尿病が目に及ぼす影響 糖尿病になると、目の網膜の毛細血管が詰まったり、高血糖による“末梢神経障害”や“代謝異常”などが発生したりするため、様々な目の合併症が起こります。 合併症の中には、初期段階では自覚症状がないものもあり、また末梢神経障害を起こした糖尿病患者さんでは、痛みを感じない場合があるため注意が必要です。 糖尿病になったら目が悪くなる可能性があることを知っておいてください。   糖尿病で視力が低下する仕組み 糖尿病で視力が低下する仕組みは「眼球の透明な組織が混濁してしまうこと」と「網膜という光を感じる神経が破壊されること」の二つです。 “眼球の透明性が低下する原因”としては、水晶体が混濁する白内障、角膜が白濁する水泡性角膜症があります(さらに硝子体に出血が生じて血液がたまると、硝子体が混濁して見えにくくなります)。 一方、光を感じる神経である“網膜の機能が失われる原因”としては、網膜剥離や血管新生緑内障などがあります(糖尿病による直接的な 2 大失明原因です)。 なお、どちらも糖尿病によって網膜の血管が損傷される、「糖尿病網膜症糖」によって引き起こされます。   糖尿病網膜症とは 糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。 「糖尿病腎症」「糖尿病神経症」と並んで糖尿病の三大合併症といわれてます。 糖尿病網膜症は、他の糖尿病合併症と同様、初期段階では自覚症状がありません。 しかし気づかずに放置していると症状が悪化して様々な視覚障害が起こり、最終的には失明に至ることもあります。   <網膜とは> 網膜は、瞳から入った光の明暗や色を感知する役割をもっていて、物を見るために大変重要な器官です。 網膜症とは、なんらかの理由でこの網膜が傷められ、カメラでいうと、フィルムの感度が低くなったり、フィルム自体が破損してしまった状態になる病気のことです。 程度の差はありますが、糖尿病の患者さんの約3分の1に、網膜症が起きているといわれます。   糖尿病網膜症の病期 糖尿病網膜症は、進行の度合いにより大きく三段階に分類されます。 【糖尿病網膜症の病期1】単純糖尿病網膜症(たんじゅんとうにょうびょうもうまくしょう) 初期の糖尿病網膜症です。最初に出現する異常は、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤や、小さな出血です。 蛋白質や脂肪が血管から漏れ出て網膜にシミ(硬性白斑)を形成することもあります。 なお、これらは血糖値のコントロールが良くなれば改善することもあります。   【糖尿病網膜症の病期2】前増殖糖尿病網膜症(ぜんぞうしょくとうにょうびょうもうまくしょう) 前増殖糖尿病網膜症は、単純網膜症より一歩進行した状態です。 細い網膜血管が広い範囲で閉塞すると、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、足りなくなった酸素を供給するために新しい血管(新生血管)を作り出す準備を始めます。 この時期になると“かすみ”などの症状を自覚することが多いのですが、全く自覚症状がないこともあります。   【糖尿病網膜症の病期3】増殖糖尿病網膜症(ぞうしょくとうにょうびょうもうまくしょう) 増殖糖尿病網膜症は、糖尿病網膜症の重症な状態です。 新生血管が網膜や硝子体に向かって伸びてきます。 新生血管は破れやすく、網膜や硝子体に出血することがあります。 硝子体に出血すると、少量なら視野に黒い影やゴミの様なものが見える飛蚊症がおこります。 また出血量が多いと視力低下をおこします。硝子体中に出血すると、よく墨を流したようなものが見えるといわれます。 何度も出血や状態の悪い期間が続くと増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、網膜剥離を起こすことがあります。   糖尿病網膜症の特徴と原因 糖尿病にかかると、血液中の糖分を細胞がうまく吸収できなくなります。 血液中の糖分が多い状態が続くと、やがて糖が血管に障害を与えるようになります。 目の網膜にある血管は細いので特に障害を受けやすく、血管がつまったり、出血したりするようになります。 もともとある血管が障害を受けて機能しなくなってくると、栄養分などを届けられなくなるため、新しい血管(新生血管)が作られます。この血管はとてももろく、出血や成分の漏れをたびたび起こします。 この状態が、視界がかすむ、視力の低下などの症状の原因になります。 そして、さらに病気が進行すると「網膜剥離」や「緑内障」といった病気を併発し、失明に至ることもあります。   糖尿病網膜症の治療法について 糖尿病網膜症の治療法には、「薬物による治療法」と「外科的な治療法」があります。 進行の度合いによって治療法は異なり、早期に治療を始めるほど負担の小さな方法で視力障害や失明を防ぐことができます。 なお、糖尿病網膜症は完全に治すことのできない病気です。 そのため治療は、症状の悪化を防ぐために行われます。具体的な治療法については以下をご覧ください。   【糖尿病網膜症の治療法1】初期 初期の場合は血糖コントロールや、高血圧の治療など内科的治療を行います。   【糖尿病網膜症の治療法2】中期 新生血管の発生を防ぐために、レーザーで眼底を焼く「レーザー光凝固術」が行われます。   <レーザー光凝固術> レーザー光凝固術とは、網膜をはじめとする眼底(眼球の奥)の病変部にレーザー光線を照射して焼き固めることによって、病気の進行を阻止するために行われる治療法です。 この治療法で視力を改善することはできませんが、今現在の視力をほぼ維持しながら病気がそれ以上悪化することを予防するという意味では、特に網膜に発生するさまざまな病気に対して非常に有効とされています。   【糖尿病網膜症の治療法3】末期 糖尿病網膜症が進行して「網膜剥離」や「硝子体出血」が起きている場合は、硝子体手術が行われます。 <硝子体手術> 硝子体手術とは眼の硝子体と呼ばれる組織を除去し、網膜硝子体の病気を治す手術です。 とても繊細で難しい手術に分類されます。   糖尿病網膜症の予防策 糖尿病網膜症を予防するための基本は、定期検診です。 一度検査を受け、異常がないとわかると安心してしまう人が多いのですが、それではいけません。 糖尿病に関係する目の病気は網膜症だけでなく、白内障や緑内障など沢山あります。 ですので毎年、眼底検査を受けてください。 なお、糖尿病網膜症を予防するためには「血糖」「血圧」「コレステロール」に注意を払うことも大切です。   <血糖> 1~2ヵ月の血糖の平均を反映し、血糖コントロールの指標となっているHbA1cを、7.0%未満に維持してください(可能であれば6.0%未満を目指してください)。   <血圧> 糖尿病患者さんの降圧目標は、診察室血圧が130/80mmHgで、家庭血圧が125/75mmHgとなっております。 糖尿病の人は高血圧を併発していることが多いです。 両方を併発すると、心臓病や脳卒中、腎臓病などのリスクがさらに高まりますので、積極的な血圧コントロールが大切です。   <コレステロール> 現在ガイドラインで推奨されている糖尿病の患者さんにおける血液中の脂質の管理目標値は、LDLコレステロール120mg/dl未満(冠動脈疾患がある場合は100mg/dl未満)、HDLコレステロール40mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl未満です。   糖尿病網膜症は早期発見が非常に重要です 糖尿病網膜症は、自覚症状がないまま進みます。 自覚症状が出たころには、症状がかなり進んでいて、失明を覚悟しなくてはなりません。 ですので、糖尿病やその予備軍と診断されたら、医師の指示どおり血糖のコントロールを行い、自覚症状がなくても眼科での定期的な眼底検査を行ってください。 なお、糖尿病の指標のひとつに、ヘモグロビンA1c(HbA1c…正常値4.3~5.8)というのがあり、この数値が7.5以上になると、5倍以上失明する危険が高まるといわれています。 ご自身の「ヘモグロビンA1c」について気になる方、あるいは糖尿病網膜症の症状について気になる方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.26

糖尿病・代謝内科

糖尿病ケトアシドーシスの症状や原因、治療法について

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病ケトアシドーシスの「症状」や「原因」について解説していきます。後半部分では「糖尿病ケトアシドーシスの治療法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状 糖尿病ケトアシドーシスの原因 糖尿病ケトアシドーシスの主な症状 糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症 糖尿病ケトアシドーシスの治療法 糖尿病ケトアシドーシスの予防策 まとめ   糖尿病ケトアシドーシスの特徴・初期症状 糖尿病ケトアシドーシスとは、糖尿病急性合併症である「糖尿病昏睡」の一つです。 血糖値を下げる働きをするインスリンが不足し、十分に血糖値が下がらないことで起こります。 糖尿病ケトアシドーシスの初期症状は、強い喉の渇きと頻尿、体重減少、吐き気、嘔吐、疲労などが起こり、小児の場合は腹痛がみられることもあります。 なお、糖尿病ケトアシドーシスは主に“1型糖尿病の方”に起こります(2型糖尿病の場合であっても引き起こされることはあります)。1型糖尿病と2型糖尿病については以下をご覧ください。   <1型糖尿病> 1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓の「β細胞:べーたさいぼう」が壊れ、高血糖状態になる病気です。 世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。 糖尿病には大きく分けて1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる「2型糖尿病」とは性質が異なります。   <2型糖尿病> 2型糖尿病は、遺伝的素因によるインスリン分泌能の低下に、環境的素因としての生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が加わり、インスリンの相対的不足に陥った場合に発症する糖尿病です。 一般的に生活習慣病と称されるタイプの糖尿病が2型糖尿病ですが、インスリン分泌能の低下が不可欠です。 生活習慣の乱れだけではなく、2型糖尿病患者さんは大なり小なり糖尿病になりやすい体質を持っているとも言えます。 なお、一般的に"糖尿病"と表現した場合は「2型糖尿病」を示すことが多いです。   糖尿病ケトアシドーシスの原因 糖尿病ケトアシドーシスの主な原因は、1型糖尿病の発症時やインスリン注射を中断したとき、あるいは感染症や外傷などによって、極端にインスリンの必要性が増加したときに起こります。 2型糖尿病でも同じように感染症や外傷などの強いストレスがあったとき、また清涼飲料水を多量に飲んだとき等で糖尿病ケトアシドーシスを起こすことがあります。 なお、2型糖尿病では、ある程度インスリンが分泌されている時期から病期が進み、インスリンの分泌量がさらに減少、あるいはインスリンへの抵抗性が高くなることで血糖が異常に高くなってしまうことがあります。 インスリンの相対的不足状態に加えて、風邪などの感染症や暴飲暴食、さらにはストレスなどが重なり、血糖が著しく高くなると(500mg/dl以上)意識障害をきたします。 なお、意識障害に至る前駆症状として高血糖による著しい口渇、多尿がみられます。   糖尿病ケトアシドーシスの主な症状 糖尿病ケトアシドーシスでは、口渇、多飲、多尿、体重減少、全身倦怠感などの糖尿病に典型的な症状が急激に起こります。 さらに悪化すると、呼吸困難、速くて深い呼吸(クスマウル大呼吸と呼びます)、あるいは悪心、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こります。   糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症 糖尿病ケトアシドーシスは、糖尿病の妊婦さんに起きる“最も重篤な合併症”だと言われております。 妊娠中、母親のからだは血糖を胎児に優先的に送ろうとするので、自分自身のエネルギーを補うため、脂肪を分解して“遊離脂肪酸”を作る働きが普段よりも活発になり、ケトン体が増えます(ケトン体は、からだの中で脂肪が変化して作られる物質でエネルギー源として利用されています)。 このケトン体が多く作られてしまった場合、「糖尿病ケトアシドーシス」の誘因となるため、妊娠中は糖尿病ケトアシドーシスのリスクが高くなります。   <妊娠糖尿病> 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です(糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す“血糖値”が上がった状態です)。 今まで糖尿病と言われた事がないにもかかわらず、妊娠中に始めて指摘された糖代謝異常で、糖尿病の診断基準をみたさない人を妊娠糖尿病といいます。 具体的には、糖負荷試験をした際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合に「妊娠糖尿病」と診断されます。   糖尿病ケトアシドーシスの治療法 糖尿病ケトアシドーシスの治療は、一刻も早く生理食塩水を中心とした“輸液”によって、水分とナトリウムを補充する必要があります。 そのほかには電解質の補正、適切なインスリンの投与によって高血糖とアシドーシスを是正することが重要です。 糖尿病ケトアシドーシスは、適切な処置が遅れると死に至ることもあります。 ですので、気になる症状があったときには、早めにかかりつけ医に相談してください。   糖尿病ケトアシドーシスの予防策 糖尿病ケトアシドーシスは、口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、体重減少といった典型的な症状に続いて起こります。 そのため、これらの症状をよく覚えておき、症状があったときには血糖自己測定、尿ケトン体の測定をおこない、予防・早期発見することが重要です。   まとめ 糖尿病ケトアシドーシスは生命の危険を伴う合併症です。 そのため早く気づき、速やかに治療を受けることが大切です。 糖尿病ケトアシドーシスの症状にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.25

糖尿病・代謝内科

喫煙が糖尿病に与える影響

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「喫煙が糖尿病に与える影響」について解説していきます。後半部分では「合併症のリスク」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 喫煙すると糖尿病にかかりやすくなります 喫煙がなぜ糖尿病に影響するのか 喫煙は既に糖尿病にかかっている人においても悪影響 喫煙が引き起こす糖尿病・合併症のリスク     糖尿病の方には禁煙をおすすめします 禁煙後の体重増加を心配している方へ 喫煙についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   喫煙すると糖尿病にかかりやすくなります 喫煙すると交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。 そのため糖尿病にかかりやすくなります。 我が国の7つの研究を含めた25の追跡調査を統合した研究では、喫煙者は、糖尿病に関係する他の要因(BMI・身体活動・飲酒など)を調整しても、2型糖尿病に1.4倍かかりやすいことが報告されています。 また喫煙本数が多いほど糖尿病になりやすく、禁煙した人ではリスクの低下がみられています。 (グラフ引用:厚生労働省e-ヘルスネット)   喫煙がなぜ糖尿病に影響するのか 喫煙すると糖尿病になりやすいのは、喫煙が「交感神経を刺激して血糖を上昇させること」と「体内のインスリンの働きを妨げる」という2つの作用が関係していると考えられています(喫煙が糖尿病発症を高めるメカニズムは必ずしも明らかではありません)。 健康成人を対象に、喫煙による血糖やインスリン、Cペプチドに対する急性作用を検討した研究では,喫煙テストによって“非喫煙者”でも“喫煙者”でも血糖値の上昇が認められました。 しかし、その程度は非喫煙者に比べ、喫煙者でより顕著でした。 さらに、喫煙テストによるインスリン値やCペプチドの上昇が“喫煙者でのみ”認められました。 このことは慢性的に喫煙を行うことで、インスリン感受性が低下することを示していると推察されます。   喫煙は既に糖尿病にかかっている人においても悪影響 喫煙は既に糖尿病にかかっている人においても悪影響を及ぼします。 糖尿病患者さんがたばこを吸い続けると、治療の妨げとなるほか、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症のリスクが高まることがわかっています。 また喫煙は腎機能を悪化させ、慢性腎臓病の発症と進行のリスクを高めます。 このようなことから日本腎臓学会発行の「CKD診療ガイド2009」では、「禁煙はCKDの進行抑制とCVD(心血管疾患)の発症抑制のために必須である」として、すべての病期ステージにおいて禁煙を推奨しております。   喫煙が引き起こす糖尿病・合併症のリスク 糖尿病患者さんが喫煙すると、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病性腎症などの合併症のリスクが高まることがわかっています。 また糖尿病による神経障害や網膜症についても、喫煙により発症のリスクが高まることが報告されています。 糖尿病が引き起こす「三大合併症」については、以下をご覧ください。   【糖尿病が引き起こす合併症1】糖尿病神経障害 糖尿病神経障害は、高血糖により手足の神経に異常をきたし、足の先や裏、手の指に痛みやしびれなどの感覚異常があらわれる合併症です。 糖尿病神経障害は、手袋や靴下で覆われる部分に「左右対称」にあらわれる特徴があります。 なお、糖尿病神経障害の患者さんのなかには、痛みが慢性化したり、進行して知覚が低下した結果、足潰瘍や足壊疽となることもあります。   【糖尿病が引き起こす合併症2】糖尿病網膜症 糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する合併症です。 糖尿病網膜症は、他の糖尿病合併症と同様、初期には自覚症状はありません。 しかし気づかずに放置していると病気の進行に伴って、様々な視覚障害が起こり、最終的には失明に至ることもあります。   【糖尿病が引き起こす合併症3】糖尿病腎症 糖尿病腎症は、高血糖により、腎臓にある非常に細い血管がむしばまれていく合併症です。 進行すると、老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われてしまうため、最終的に透析治療を要することになります。 この合併症も自覚症状がないまま進行していきますので、早期発見のためには、定期的に腎臓の機能を検査する必要があります。 なお、腎臓の働きが低下し透析治療を必要とされる患者さんのうち、糖尿病による腎臓病を原因とする方が40%以上と最も頻度が高く、1年間に約1万6千人が糖尿病のため透析治療を開始されています。 糖尿病と腎障害の関係については「日本腎臓学会のホームページ」をご覧ください。   糖尿病の方には禁煙をおすすめします 糖尿病の方が喫煙することは大変危険です。 喫煙は動脈硬化の進展を促進し、心臓血管死のリスクが確実に高まります。 また上述した通り、喫煙は膵臓から分泌されたインスリンの効きを悪くすることが判明しています。 インスリン効きが悪いことで、膵臓は「さらに働くことを要求され」、徐々に疲れインスリン分泌能が低下していきます。 ですので、糖尿病の方には、できるだけ早期に禁煙することをお勧めします。 「禁煙する自信がない…」という方には禁煙外来をお勧めします。   <禁煙外来> 禁煙外来とは、たばこをやめたい方のため病院に設けられた専門外来のことをいいます。 カウンセリングや生活指導といった精神面での禁煙サポートや、ニコチンガム・ニコチンパッチを使用したニコチン置換療法などによる禁煙治療が行われます。 禁煙補助薬を用いた治療では、禁煙後の離脱症状が緩和されるため自力で禁煙するよりも、ラクに禁煙することが可能です。 ですので、「禁煙する自信がない…」という方には禁煙外来をお勧めします。   禁煙後の体重増加を心配している方へ たばこを止められない理由のひとつに「禁煙後の体重増加」が挙げられます。 確かに禁煙後は体重が増加することがありますが、たとえ体重が増えても禁煙によるメリットは大きいです。 たとえば、インスリン治療中の方では、治療に必要なインスリン量が禁煙によって減少するという報告があります。 また、糖尿病があり喫煙習慣のある方が禁煙すると、HbA1cが下がり、血糖コントロールを改善する最大の効果を得られるという研究も発表されております。   喫煙についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 上述した通り、喫煙すると交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。 そのため糖尿病にかかりやすくなります。 また既に糖尿病にかかっている人においても、喫煙は治療の妨げとなるほか、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症のリスクが高まることがわかっています。 ですので、糖尿病の方には、できるだけ早期に禁煙することをお勧めします。 糖尿病の方で喫煙している方、あるいは喫煙している方で糖尿病かもしれないと思う方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.24

糖尿病・代謝内科

糖尿病治療に使う薬の紹介

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、「糖尿病治療に使う薬」をご紹介していきます。後半部分では「薬による糖尿病治療で気をつけること」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病治療薬の特徴 糖尿病治療薬について 糖尿病治療薬|経口血糖降下薬 経口血糖降下薬による糖尿病治療が適している人とは 糖尿病治療薬|インスリン注射 薬による糖尿病治療で気をつけること まとめ   糖尿病治療薬の特徴 糖尿病の治療薬は、大きく分けて「血糖値を下げる薬(経口血糖降下薬)」と「インスリン注射」の2種類に分けられます。 血糖値を下げる薬は、「食事療法」と「運動療法」を2~3ヵ月行っても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。 一方、インスリン注射は1型糖尿病の患者さんや、血糖降下薬を使用しても血糖コントロールがうまくいかない2型糖尿病の患者さんに用いられます。   糖尿病治療薬について ここからは、「経口血糖降下薬」と「インスリン注射」について解説していきます。   糖尿病治療薬|経口血糖降下薬 血糖値を下げる飲み薬のことを「経口血糖降下薬(けいこうけっとうこうかやく)」と呼びます。 経口血糖降下薬は、その作用から大きく分けて3種類に分類されます。以下をご覧ください。   【経口血糖降下薬の種類1】インスリン抵抗性改善系 インスリン抵抗性改善系は、主に脂肪組織に働きかけ、脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させます。その名の通り「インスリン抵抗性」を改善することで血糖を下げる薬です。 以下、インスリン抵抗性改善系の薬です。   <チアゾリジン薬> チアゾリジン薬は、肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬です。 インスリンに対する体の感受性を高めることで血糖値を下げます。   <グリミン薬> グリミン薬は、血糖値に応じて膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。 また、肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖が取り込まれるのを改善してインスリンの効果を高めたりします。   【経口血糖降下薬の種類2】インスリン分泌促進系 インスリン分泌促進系は、膵臓の「β細胞(べーたさいぼう)」に作用してインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。簡単にご説明すると「インスリンを出しやすくする薬」になります。 以下、インスリン分泌促進系の薬です。   <GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬> GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促し血糖値を下げる薬です。 膵臓のβ細胞のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。 そして血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。   <スルホニル尿素薬> スルホニル尿素薬は、膵臓からのインスリンの分泌を増やし血糖を下げる飲み薬です。 膵臓のインスリンを作る働きがある程度、残っている患者さんで効果があります。   <速効型インスリン分泌促進薬> 速効型インスリン分泌促進薬は、インスリン分泌のスピードを早めて、食後の血糖の上昇を抑える働きがあります。 そのためインスリンをすばやく分泌させることで食後高血糖を改善することから、インスリン分泌パターンの改善薬ともいえます。 なお、食後のインスリン分泌量を増加させる作用は「スルホニル尿素薬」に比べて弱くなっています。   【経口血糖降下薬の種類3】糖吸収・排泄調節系 糖吸収・排泄調節系は、糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬です。 簡単にご説明すると「糖の吸収をゆっくりにして、血糖の急な上昇を抑える薬」になります。 なお、糖吸収・排泄調節系の薬には、体に取り込んだ糖を尿中に出させる効果もあります。 以下、糖吸収・排泄調節系の薬です。   <α-グルコシダーゼ阻害薬> α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。 食前の血糖値はそれほど高くないけれども、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。   <SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬> SGLT2阻害薬は、尿から余分な糖を出すことで血糖値を下げる薬です。 単独で使用する場合には低血糖のリスクも低く、国内では2014年に糖尿病の新薬として使用が開始されました。 なお、SGLT2阻害薬は副次的な効果として、体重の減少が認められています(尿から糖が出るので体重が減少します)。   経口血糖降下薬による糖尿病治療が適している人とは 経口血糖降下薬はインスリン非依存状態にあり、食事療法・運動療法を十分に行っていても血糖コントロールがうまくいかない患者さんに使われます。 つまり、経口血糖降下薬で治療効果を望むことができるのは、自分の膵臓からインスリンを出す力が残っている、「インスリン非依存状態」にある患者さんです(多くは2型糖尿病の方です)。   糖尿病治療薬|インスリン注射 インスリン注射は、効果があらわれるまでのタイミングと、持続時間によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、配合溶解、持効型溶解の6つに分類されます。 注射の回数も1日1~4回以上のもの以外にも、最近では1日1回の注射で効果が24時間持続するタイプもあります。   <超速効型インスリン製剤> 超速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンにかなり近づけることができます。 食事直前の自己注射で、食後の血糖値の上昇を抑えて食後高血糖を改善します。 超速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は10~20分と早いので、食事の直前に注射でき、仕事などで食事時間が不規則になった場合への対応が可能ですので、生活の質を高めることができます。   <速効型インスリン製剤> 速効型インスリン製剤は、健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンに近づけます。 食事の約30分前に自己注射して、食後の血糖値の上昇を抑制して食後高血糖を改善します。 速効型インスリン製剤は、注射してから効果が出るまでの時間は30分~1時間で、インスリンの作用が持続する時間は5~8時間です。 レギュラーインスリンとも呼ばれ、筋肉注射や静脈注射が唯一可能なインスリン製剤です。   <中間型インスリン製剤> 中間型インスリン製剤は健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的として、インスリンの効果が持続的に作用するようにつくられたインスリン製剤です。 不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制します。 注射してから効果が出るまでの時間は1~3時間で、インスリンの作用が持続する時間は18~24時間です。   <混合型インスリン製剤> 混合型インスリン製剤は、超速効型や速効型インスリンと中間型インスリンを、いろいろな割合であらかじめ混合したインスリン製剤です。 インスリンの基礎分泌、追加分泌の補填を同時に行えるようにつくられた製剤です。 混合型インスリン製剤の効果の発現は、「超速効型」または「速効型インスリン製剤」「中間型インスリン製剤」のそれぞれの作用時間にみられますが、作用の持続時間は「中間型インスリン製剤」とほぼ同じになります。   <配合溶解インスリン製剤> 配合溶解インスリン製剤は、超速効型インスリン製剤と持効型溶解インスリン製剤を混ぜてある製剤です。 超速効型インスリンと持効型溶解インスリンのそれぞれの作用発現時間に効果が発現します。 なお、混合型インスリン製剤の作用時間は「持効型溶解インスリン」とほぼ同じになります。   <持効型溶解インスリン製剤> 持効型溶解インスリン製剤は、健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的につくられたインスリン製剤です。 不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。 インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日で、注射してから効果が出るまでの時間は1~2時間です。   糖尿病の薬物療法で気をつけること 糖尿病の薬物療法では、以下の点に注意してください。 【薬による糖尿病治療の注意点1】食事療法・運動療法をやめてしまう 経口血糖降下薬による治療を始めると、血糖コントロールの改善が認められ、食事療法・運動療法をやめてしまう患者さんがいらっしゃいます。 糖尿病の治療の基本は、食事療法・運動療法です。 薬物療法を開始しても、この二つは変わりません。食事療法・運動療法を継続することで体重の増加を防げます。 またお薬の量を抑えることもできますので、無理のない範囲で継続してください。   【薬による糖尿病治療の注意点2】副作用(副反応) 残念ながら、インスリンには副作用(副反応)があります。 インスリン療法における主な副作用(副反応)は、「低血糖症状」です。 インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。 低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。 そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。   まとめ 糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。 そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。 健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 なお、糖尿病の治療薬は、患者さんの病状や合併症の有無、生活習慣などを考慮してから適したものを選びます。 糖尿病の治療薬についてご相談したい方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.23

糖尿病・代謝内科

糖尿病かもしれないと感じた方は、まずは糖尿病内科のある病院にご相談を

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病は自覚症状のないままに進行し、重篤な合併症を引き起こします。そのため、絶対に放置してはいけません。糖尿病にお心当たりのある方は、速やかに「糖尿病内科のある病院」を受診してください。 この記事では、糖尿病にお心当たりのある方に向けて「糖尿病の初期症状」や「糖尿病になりやすい人の特徴」をご紹介します。後半部分では「糖尿病の治療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 【目次】 糖尿病の初期症状 糖尿病になりやすい食事 早食いの方は糖尿病になりやすい 間食の習慣がある方は糖尿病になりやすい 糖尿病の診断基準 食後高血糖とは 糖尿病の症状を放置するリスク 2型糖尿病の治療法について 糖尿病の薬物療法について 経口血糖降下薬について 自分が糖尿病かもしれないと思った方へ   糖尿病の初期症状 糖尿病は症状の自覚が難しい疾患です。 血糖値が少し高い段階では、自覚する症状はほぼありません。 しかし、高血糖のままある程度の時間が経過すると、次のような症状が現れてきます。 <糖尿病の初期症状> ・立ちくらみ ・全身の倦怠感、疲労感 ・喉が渇いて沢山の水がほしくなる ・手足のしびれ、冷え、むくみ ・皮膚のかゆみ、乾燥 ・目がかすむ ・視力の低下 ・やけどの痛みを感じにくい ・食べているのに痩せる ・残尿感がある ・尿の臭いが気になる   糖尿病になりやすい食事 糖質の多い食品を多く摂取すると、血糖は上がりやすくなります。 特に甘いものなど単純糖質を含む食品は急激な血糖上昇の原因になりますので、注意が必要です。 以下、糖尿病の原因となりやすい食品です。 ・白米 ・食パン、菓子パン ・うどん、焼きそば、スパゲティなどの麺類 ・かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、とうもろこし ・ホットケーキ、ケーキ ・饅頭 ・スナック菓子、クッキー、せんべい ・ようかん、饅頭 ・ジュース   早食いの方は糖尿病になりやすい 早食いは血糖値を急激に上昇させるため、血糖値を調整するホルモンの「インスリン」を分泌する膵臓の機能が低下してしまい、糖尿病を発症しやすくなります。 早食いの方は、「一口食べるごとにお箸を置く」「野菜から食べる」など、血糖値の上昇を緩やかにする食事習慣を身につけることが大切です。 早食いは糖尿病のリスクを高めますので、十分に注意してください。   間食の習慣がある方は糖尿病になりやすい 間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。 また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。 ですので、間食はできる限り控えてください。   糖尿病の診断基準 糖尿病は簡単に述べると、HbA1cが6.5%を超えると診断に至ります。 基準となる正常値は4%~5.5%です。 しかし血糖値やHbA1cといった検査数値は、貧血など合併する疾患で値が変わることが知られています。 一般内科の先生方でも診断を誤らないように、複雑な診断チャートが容易されています。 HbA1c、空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかが基準値を超えている場合を「糖尿病型」といいます。 空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかとHbA1c値の両方が糖尿病型である場合、もしくは口渇、多飲、多尿、体重減少などの典型的な糖尿病の症状が出たり、糖尿病網膜症がある場合は、1回の検査で「糖尿病」と診断されます。   食後高血糖とは 食後高血糖とは、食後2時間が過ぎても血糖値が高い状態のことを言います。 食事をすると血糖値は高くなり、2~3時間以内に正常値(110mg/dl未満)に戻るのが一般的です。 しかし、血糖値が低下せず長い時間140mg/dl以上の値が続く場合には「食後高血糖」と判断されます。 食後血糖値が高い状態が続くと、糖尿病の発症リスクが高くなります。 ですので、食後高血糖は糖尿病だけでなく糖尿病予備群においても重要な指標の一つとして注目されています。 なお、食後高血糖の多くは、時間がたつと次第に下がり、正常な数値に戻ります。 そのため、通常の健診で行われる空腹時血糖値では異常なしと判断され、食後高血糖を見逃してしまうことがあります。 このようなことから食後高血糖は「隠れ糖尿病」と呼ばれています。   糖尿病の症状を放置するリスク 血糖値が高い状態が続くと、全身で様々な合併症が起こります。 糖尿病の恐さは、自覚症状のないままに進行し、重篤な合併症を引き起こすことです。血糖値が高い状態が持続すると、神経や目や腎臓などに様々な障害を起こすことが知られています。 ここでは、糖尿病が引き起こす3大合併症をご紹介します。   【糖尿病の症状を放置するリスク|合併症の種類1】糖尿病網膜症 糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する合併症です。 糖尿病網膜症は、他の糖尿病合併症と同様、初期には自覚症状はありません。 しかし気づかずに放置していると疾患の進行に伴って、様々な視覚障害が起こり、最終的には失明に至ることもあります。 【糖尿病の症状を放置するリスク|合併症の種類2】糖尿病腎症 糖尿病腎症は、高血糖により、腎臓にある非常に細い血管がむしばまれていく合併症です。 進行すると、老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われてしまうため、最終的に透析治療を要することになります。 この合併症も自覚症状がないまま進行していきますので、早期発見のためには、定期的に腎臓の機能を検査する必要があります。 【糖尿病の症状を放置するリスク|合併症の種類3】糖尿病神経障害 糖尿病神経障害は、高血糖により手足の神経に異常をきたし、足の先や裏、手の指に痛みやしびれなどの感覚異常があらわれる合併症です。 糖尿病神経障害は、手袋や靴下で覆われる部分に「左右対称」にあらわれる特徴があります。 糖尿病神経障害の患者さんのなかには、痛みが慢性化したり、進行して知覚が低下した結果、足潰瘍や足壊疽となったりする場合もあります。   2型糖尿病の治療法について 2型糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法により、適正に体重をコントロールし、インスリンの効きをよくすることです。 【糖尿病の治療法1】食事療法 食事療法とは、医師や管理栄養士の指示に基づいて献立を組み立て、食事の量や成分を増減させることで疾患の改善を目指すものです。 食事療法では、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。 食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。 バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。   【糖尿病の治療法2】運動療法 運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の治療を行う療法です。運動により血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病は改善します。 また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。 ですので、糖尿病にお心当たりのある方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。   糖尿病の薬物療法について 食事療法や運動療法を行っていても血糖値の改善がされない場合は「薬物療法」を行います。 薬物療法で使用される薬剤には、大きく分けて「経口血糖降下薬」と「インスリン注射薬」があります。 どの薬剤を使用するかは、年齢や肥満の程度、合併症の程度などを含め、医師と相談の上で決めます。   経口血糖降下薬について 経口血糖降下薬は、その作用から大きく分けて3つに分類することができます。以下をご覧ください。 【経口血糖降下薬1】インスリン分泌促進系 インスリン分泌促進系は、膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。平たく言うと「インスリンを出しやすくする薬」になります。 以下、インスリン分泌促進系の薬で代表的なものです。   <GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬> GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促して血糖値を下げる薬です。 膵臓のβ細胞(べーたさいぼう)のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促します。 そして、血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。   <速効型インスリン分泌促進薬> 速効型インスリン分泌促進薬は、スルホニル尿素薬と同じように、膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリン分泌を促します。 速効型インスリン分泌促進薬は、食事をする直前に内服していただくことで、インスリンが短時間だけ出るので食後の血糖のみを下げてくれます。   【経口血糖降下薬2】インスリン抵抗性改善系 インスリン抵抗性改善系は、インスリンの働きが悪くなっているのを改善し、効きめを良くする薬です。平たく言うと「インスリンを効きやすくする薬」になります。 以下、インスリン抵抗性改善系の薬で代表的なものです。   <チアゾリジン薬> チアゾリジン薬は、肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬です。 インスリンに対するからだの感受性を高めることで血糖値を下げます。   <グリミン薬> グリミン薬は、血糖値に応じて膵臓からインスリンを分泌させ血糖値を下げます。 また、肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖が取り込まれるのを改善してインスリンの効果を高めたりします。   【経口血糖降下薬3】糖吸収・排泄調節系 糖吸収・排泄調節系は、糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬です。 平たく言うと「糖の吸収をゆっくりにして血糖の急な上昇を抑える薬」になります。 なお、糖吸収・排泄調節系のお薬には、からだに取り込んだ糖を尿中に出させる効果もあります。   <α-グルコシダーゼ阻害薬> α-グルコシダーゼ阻害薬は、小腸でのブドウ糖の分解・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑える薬です。 食前の血糖値はそれほど高くないけれども、食後の血糖値があがりやすい患者さんに適しています。   <SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬> SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管でのブドウ糖再吸収を抑制し、尿からの糖分の排泄を促進するユニークなお薬です(尿から糖が出るので体重も減少します)。 SGLT2阻害薬は、血糖を下げるだけではなく、心臓や腎臓にも良い効果が得られることが分かってきております。 そのため近年は、SGLT2阻害薬の一部の薬が「心不全」や「慢性腎臓病」の治療薬としても使用することが認められております。   自分が糖尿病かもしれないと思った方へ 糖尿病は自覚症状のないままに進行し、神経や目や腎臓などに様々な障害を引き起こします。 そのため絶対に放置してはいけません。 速やかに「糖尿病内科のある病院」を受診してください。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、できるだけ早く受診することをお勧めします。 糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。

2023.01.22

糖尿病・代謝内科

糖尿病予備群(境界型糖尿病)の症状や対策について解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人(合わせて約2,000万人)と推計されています。 この記事では、糖尿病の可能性を否定できない者「糖尿病予備群」について解説していきます。 後半部分では「糖尿病予備群にならないための予防法」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは 糖尿病予備群の主な症状 糖尿病予備群と診断された方へ 糖尿病予備群にならないための予防法 【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動 【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し 【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙 糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ   糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは 糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖値が正常より高い状態にあることを指します。 「HbA1c 6.5%未満」「空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満」「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満」のいずれかを満たす人が該当します。   糖尿病予備群の主な症状 糖尿病予備群(境界型糖尿病)では、自覚症状がありません。 しかし体内では、既に血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。 また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。 さらに高血圧や脂質異常症なども併発しやすくなり、全体として、血糖値が正常な状態に比べ、動脈硬化の進行は加速されます。 なお、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患が引き起こされる危険性が高くなります。   糖尿病予備群と診断された方へ 糖尿病予備群の方は、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直し、肥満や高血圧、ストレスなどに対する健康管理に取り組むことで、糖尿病へ進行するリスクを減らすことができます。 ですので、糖尿病予備群と診断された方は、まずは生活習慣の見直しから始めてください。 なお上述した通り、糖尿病予備群でも、既に血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きづらくなったりする変化が起きています。 また糖尿病に特有の合併症である、網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行するとも言われています。 ですので、糖尿病予備群と診断された方は、絶対に放置してないでください。   糖尿病予備群にならないための予防法 糖尿病予備群では、生活習慣の改善により「糖尿病の発症のリスク」を減らすことができます。 では、具体的には何をすればいいのでしょうか。順番にご紹介していきます。   【糖尿病予備群にならないための予防法1】運動 糖尿病を予防するためには「運動」が効果的です。運動をすることで、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進。インスリンに頼らずに糖分が細胞や筋肉の中に吸収されるようになり、血糖値の低下が期待できます。 また長期的には、インスリン抵抗性を改善させ、血中のブドウ糖の量を良好にコントロールできるようにすることが期待されます。 ですので、糖尿病予備群と診断された方は、できれば毎日、少なくとも週に3~5回は体を動かしてください。 なお、糖尿病を予防するための運動としては「有酸素運動」と「レジスタンス運動」が推奨されております。   <有酸素運動> 有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことです。 ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといった少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。 有酸素運動は時間をかけて体を動かすため「心肺機能の向上」や「体脂肪の減少」などの効果が期待できます。   <レジスタンス運動> レジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。 スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います(レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します)。 レジスタンス運動は、筋肉量増加・筋力向上・筋持久力向上を促す筋力トレーニングとして高齢者からアスリートまで広く行われています。   【糖尿病予備群にならないための予防法2】食生活の見直し 糖尿病予防の基本は「食生活を見直すこと」です。 食事は、自分の適正エネルギー量を知り、その範囲で栄養バランスを考えてさまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。 食事を抜いたり、まとめ食いしたりはせず、朝食、昼食、夕食の3回ゆっくりよく噛んで、腹八分目で食べるよう心掛けてください。 バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、膵臓の負担は軽くなり、膵臓の能力は回復されます。 なお、食事のポイントについては以下をご覧ください。   <ゆっくり食べる> 早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。 食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。   <野菜類から食べる> 早食いは食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招きます。 食事をする際はひと口入れたら箸を置くクセをつけ、ゆっくり食べることを心掛けてください。   <アルコールは適量にする> アルコールには一時的にはインスリンの働きを改善する効果があります。 しかし長期間飲んでいると逆にインスリンの分泌量が低下することがわかっていますので、アルコールは、ほどほどにしてください。   <腹八分目でストップ> 慢性的な食べすぎは、余分なブドウ糖をつくり、糖尿病を発症させる最大の原因となります。 いつもお腹いっぱいに食べないと満足できない人は、注意が必要です。 とくに脂肪分の多い肉類の食べすぎは、カロリーの取りすぎにつながりやすいので、量を控えてください。   <間食をしない> 間食をすると血糖値の高い状態が続き、インスリンを分泌する膵臓に大きな負担がかかります。 また、その状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなります。糖尿病を予防するためにも間食はできる限り控えてください。   【糖尿病予備群にならないための予防法3】禁煙 喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させるだけでなく、体内のインスリンの働きを妨げる作用があります。 そのため、たばこを吸うと「糖尿病にかかりやすくなる」といえます。 日本人を対象とした研究データによると、喫煙者は非喫煙者と比べ糖尿病を発症するリスクが38%高くなると言われています。 ですので、糖尿病予備群の方は喫煙を控えてください。   糖尿病予備群の疑いがある方、医師の診断を受けたい方へ 糖尿病予備群の方は、自覚症状がありません。 そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。 健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 また糖尿病予備群の方の“適切な対策”を知りたい方も、いつでもご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.21

糖尿病・代謝内科

糖尿病治療法の一つ、インスリン療法を解説

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
この記事では、糖尿病の代表的な治療法である「インスリン療法」について解説していきます。 後半部分では「インスリン療法のメリット・デメリット」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 インスリンとは何か インスリン療法とは インスリン療法のしくみ インスリン注射を行う前に血糖自己測定 インスリン療法の具体的な手法 インスリン療法のメリット インスリン療法のデメリット インスリン注射はほとんど痛くありません インスリン療法は早期に始めることが効果的です インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   インスリンとは何か インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの一種です。 糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っております。 なお、インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが「糖尿病」です。 糖尿病について詳しく知りたい方は「糖尿病情報センター」をご覧ください。   インスリン療法とは インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。 インスリン製剤を投与する方法として、「頻回インスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。 頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。 一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。 インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。 なお、インスリン療法については「インスリンとは?特徴・種類・注意点」でも同様のことを伝えています。   インスリン療法のしくみ インスリンの自己注射を行うのは「1型糖尿病」の方、または「2型糖尿病」のうち内服治療が難しい方です。 不足したインスリンを注射で補うことで、健康な人のインスリン分泌に近づけます。 なおインスリンの自己注射では、効果が長時間持続するインスリン製剤を1日に1,2回と、即効性のあるものを毎食前に打つなどして、この2つの分泌を再現します(どのインスリン製剤を使うか、どのタイミングで注射するかは体格や生活様式などに合わせて調整します)。   インスリン注射を行う前に血糖自己測定 インスリン注射を行う前に、自分で血糖値を測定する「血糖自己測定」を行うことがあります。 なぜなら日々の血糖値を記録することで、血糖コントロールを良好に行えるからです。 また直前に測定することで、「血糖値が低いにも関わらず自己注射を行い、さらに低血糖になる」といったことを防ぐことができます。 血糖自己測定の方法は以下の通りです。   ⑴    血糖測定器、測定用チップ、消毒用アルコール綿、穿刺器、穿刺針、自己管理ノート、針捨て容器を準備し、手を洗ってください。 ⑵    血糖測定器に測定用チップを、穿刺器に針をセットします。 ⑶    指先などを消毒します。そして針を消毒した場所に押し当て、穿刺器のボタンを押して針を刺してください。 ⑷    血液を測定用チップに染み込ませて、血糖値を測定します。 ⑸    残った血液を拭き取り、血糖値を自己管理ノートに記録してください。   インスリン療法の具体的な手法 インスリン注射の具体的な方法は以下の通りです。 ⑴    注入器、製剤カートリッジ、消毒綿など必要な物品を準備します。インスリン製剤が混濁している場合は均一になるようにカートリッジを振ってください。 ⑵    インスリン製剤に注射針をセットします(針が曲がらないように真っすぐ刺してください)。 ⑶    インスリン製剤の空打ちをして針先まで薬液を満たします。 ⑷    ダイヤルを回転させて注射する単位数を医師の指示した値にセットしてください。 ⑸    注射する部位を消毒します。そして皮膚を軽くつまんで直角に注射針を刺してください。 ⑹    ダイヤルが0になるまで、しっかりと薬液を注入します。そして10秒程度数え、注入ボタンを押したままで針を抜きます。 ⑺    針はキャップをかぶせてから取り外します。なお、針は1回きりの使用になりますので、ご注意ください。 ※インスリン注射をする場所はお腹、太もも、おしり、腕です。   それぞれ薬の吸収速度が異なるため、注射部位を医師から指示される場合があります。 また、同じところに針を刺し続けると皮膚が硬くなり、痛みの原因になったり、薬の効きが悪くなります。 ですので毎回2〜3cmずらすようにしてください。 「糖尿病のインスリン注射器の使い方と副作用の対処法」でも同様のことを伝えています。   インスリン療法のメリット インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。 インスリン治療によって膵臓の働きが回復したら、インスリン注射の回数を減らせたり、経口血糖降下薬だけの治療に戻せる可能性があります(インスリン療法により、膵臓のインスリン分泌機能が回復することもあります)。   インスリン療法のデメリット 残念ながら、インスリンには副作用があります。インスリン療法における主な副作用は、「低血糖症状」です。インスリンには、血糖値を下げ、良好な血糖コントロールが期待できる分、その裏返しで「低血糖症状」という副作用があります。 低血糖症状は、インスリン療法に限らず、糖尿病の治療に用いられる飲み薬全般でも起こりうる副作用です。 そのため、低血糖症状に対する適切な処置方法を把握し、血糖の自己測定などで自身を管理することが大切になってきます。 インスリン療法における副作用について詳しく知りたい方は「糖尿病ネットワーク」をご覧ください。   インスリン注射はほとんど痛くありません インスリン注射は予防接種や採血などでイメージする注射とは異なり、痛みはそれほどありません。 なぜならインスリン注射で使う専用の注射針は、採血用の注射針とは違い、痛みが少なくなるようデザインされているからです(採血で使う注射針の3分の1ぐらいの細さで針の先も特殊なカットがしてあり、痛みが少ないように工夫されています)。   インスリン療法は早期に始めることが効果的です 上述した通り、インスリンを体外から補充することによって、無理にインスリンを出そうとする膵臓の働きすぎを防ぎ、疲れた膵臓を一時的に休めることができます。 そのため、インスリン療法は早期に始めることが効果的です。近年では、高血糖毒性をとり除くために、早期からインスリン注射薬を使ったり、また比較的軽症の糖尿病にもインスリン注射薬を用いる場合があります。 ですので、主治医にインスリン療法を勧められたら積極的に受け入れるようにしてください。 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会が発表した「糖尿病標準診療マニュアル」でも、いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず,HbA1c 9%以上が持続するなら、インスリン療法を積極的に始める必要があると伝えています。   インスリン療法についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。 そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2023.01.21

糖尿病・代謝内科

糖尿病が高める認知症のリスクについて

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病の合併症として「神経障害」や「網膜症」は知られていますが、現在では「認知症」も、これらと同じ合併症の一つと考えられています。 この記事では、「認知症」について解説していきます。後半部分では「糖尿病と認知症の関係」や「認知症の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 認知症とは 認知症の種類 認知症の症状 糖尿病と認知症の関係 なぜ糖尿病がアルツハイマー型認知症リスクを高めるのか 糖尿病患者が認知症を予防するために 糖尿病患者の認知症に対する治療法 認知症の方の糖尿病治療 糖尿病や認知症についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   認知症とは 認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因によって「認知機能」が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態を言います。認知症は病名ではなく、まだ病名が決まっていない「症候群」です。 つまり医学的には、まだ診断が決められず、原因もはっきりしていない状態のことを表しています。 なお、日本における65歳以上の認知症の人の数は「約600万人(2020年現在)」と推計され、2025年には「約700万人」が認知症になると予測されております。 そのため、高齢社会の日本では、認知症に向けた取組が今後ますます重要になります。   認知症の種類 認知症には、原因となる病気によって色々な種類があります。 日本では「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」が3大認知症と言われております。 なお、3大認知症の中で最も多いのは「アルツハイマー型認知症」です。 アルツハイマー型認知症については「認知症について解説しているサイト」をご覧ください。   認知症の症状 認知症の症状は「中核症状」と「行動・心理症状:BPSD」に大別されます。 中核症状は脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能障害で、症例には「新しいことが覚えられない」「物事の段取りができない」などが挙げられ、ほぼ全ての人に認められます。 一方、行動・心理症状は、中核症状によって引き起こされる二次的な症状です。 行動・心理症状は、周囲の不適切なケアや身体の不調や不快、ストレスや不安などの心理状態が原因となって現れます。 たとえば、「怒りっぽくなる」「妄想がある」「意欲がなくなり元気がない」「一人でウロウロと歩き回る」などになります。   糖尿病と認知症の関係 糖尿病の方は、高血糖の状態が長く続くことで認知機能が低下しやすくなります。 そのため、もともと軽度の認知障害がある方は、さらに進んで認知症を発症しやすいと言われています。 近年、糖尿病の方はそうでない方と比べると、アルツハイマー型認知症に約1.5倍なりやすく、脳血管性認知症に約2.5倍なりやすいと報告されています。 また、糖尿病治療の副作用で重症な低血糖が起きると、認知症を引き起こすリスクが高くなると言われています。   なぜ糖尿病がアルツハイマー型認知症リスクを高めるのか 認知症の中で最も多いのは「アルツハイマー型認知症」です。 前述した通り、糖尿病の方はアルツハイマー型認知症のリスクが1.5倍高いという報告があります。 では、なぜ糖尿病の方はアルツハイマー型認知症のリスクが高くなるのでしょうか。糖尿病がアルツハイマー型認知症の発症リスクを高める理由は、主に2つあります。   【糖尿病が認知症の発症リスクを高める理由1】糖尿病がインスリンの働きを低下させるため アルツハイマー型認知症が起こるメカニズムはまだわかっていませんが、脳内に「アミロイドβ」という蛋白が蓄積されて“神経障害”を起こすのではないかと考えられています。 このアミロイドβを分解して脳に蓄積しないように働いているのが「インスリン分解酵素」です。 ところが、糖尿病でインスリンの効きが悪い状態になると、インスリンが大量に必要となり、そのために「インスリン分解酵素」も大量に使われてしまいます。 その結果、脳内のアミロイドβを分解することができず、蓄積が進んでいくのです。このようにして、アミロイドβが脳に蓄積し、アルツハイマー型認知症のリスクが高まると考えられております。   【糖尿病が認知症の発症リスクを高める理由2】糖尿病が脳内の血流を悪化させるため 糖尿病による高血糖状態が続くと、血管の動脈硬化が起こります。動脈硬化が起こると、脳内の血流が悪くなり、脳細胞に酸素や栄養が届きにくくなります。 その結果、アミロイドβが脳に蓄積しやすくなり、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まります。   糖尿病患者が認知症を予防するために 認知症の予防には、低血糖を起こさない範囲で血糖値を良好に安定させることが重要です。 最新の研究では、糖尿病治療によって血糖値をよくすると、認知機能も一部改善することがわかってきています。 さらに、高血糖だけでなく、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどは認知症に繋がりやすいと言われていますので、こうした危険因子を減らすことも有効です。 認知症を予防するためにも、まずは生活習慣の改善から行ってください。   糖尿病患者の認知症に対する治療法 認知症の治療は大きく分けて「薬物治療」と「非薬物治療」の2つがあります。 【認知症の治療1】薬物療法 薬物療法とは認知症に効果的といわれる治療薬を服用することを言います。 認知症の治療薬には認知症の進行をなだらかにするという効果があり、薬物療法を取りいれるだけで急激な進行を未然に防ぐことが可能となっています。   【認知症の治療2】非薬物療法 非薬物療法は認知症の治療薬を服用することなく、認知症の進行を予防する方法になります。 非薬物療法には様々なアプローチ方法があります。詳しくは「厚生労働省のホームページ」をご覧ください。   ※認知症には、根本的な治療が「困難な認知症」と「治療可能な認知症」があります。 根本的な治療が困難な認知症としては、「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」などの変性性認知症が挙げられます。   認知症の方の糖尿病治療 認知症の方の糖尿病治療では、通常の糖尿病治療と同じように「食事療法」や「運動療法」が大切です。   【認知症の方の糖尿病治療1】食事療法 食事療法とは、医師や管理栄養士の指示に基づいて献立を組み立て、食事の量や成分を増減させることで病気の改善を目指すものです。 「食事療法=カロリー制限」の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則です。 そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。 なお、糖尿病の方が、血糖値の高くなりやすい食事を摂っていると、インスリンをたくさん打っても「血糖値の下がりが悪くなること」があります。 ですので、インスリン療法と食事療法は同時に行ってください。   【認知症の方の糖尿病治療2】運動療法 運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の治療を行う療法です。 糖尿病の方に対しては、薬物療法・食事療法と並び、重要性の高い治療方法であると言われています。 なお、運動の方法としては有酸素運動が効果的で、ウォーキングや水泳、自転車やラジオ体操などを無理なく続けることが大切です。 近年は、短時間高負荷の無酸素運動による筋肉トレーニングの効果も注目されています。   糖尿病や認知症についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 認知症になりやすいのは、糖尿病の方だけではありません。 糖尿病の前段階である「予備群(耐糖能障害)」の方でも、認知症になりやすいことがわかっています。 ですので、健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。 認知症にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2022.12.16

糖尿病・代謝内科

糖尿病が高める骨粗鬆症のリスクについて

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
骨粗鬆症とは、骨に含まれるカルシウムなどが減り、骨がもろくなる病気です。骨粗鬆症は、がんや脳卒中のように「直接的に生命をおびやかす病気」ではありません。しかし骨粗鬆症による骨折から介護が必要になったり、寝たきりになったりしますので、注意が必要です。 この記事では、「糖尿病と骨粗鬆症の関係」について解説していきます。後半部分では「骨粗鬆症の予防」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 骨粗鬆症とは 骨粗鬆症の症状 糖尿病の方は骨折しやすい なぜ糖尿病が骨粗鬆症リスクを高めるのか 糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するために 糖尿病や骨粗鬆症についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   骨粗鬆症とは 骨粗鬆症とは、骨に含まれるカルシウムなどが減り、骨がもろくなる病気です。 骨粗しょう症になると、それだけでは痛みなどの症状はないものの、転んだり、尻もちをつくなど、ちょっとしたはずみで骨折を起こしやすくなります。 なお、日本には約1000万人以上の骨粗鬆症患者さんがいると言われており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。   骨粗鬆症の症状 骨粗鬆症になっても、基本的に「痛み」は発生しません。 骨粗鬆症は自覚症状が乏しく、「背中が丸くなる」「身長が縮む」といった症状が徐々に起こるため「病気」と気付かないことが多いのです。そして、気付いた時には病状がかなり進行していたということも少なくありません。 なお、骨粗鬆症になると、「軽く転んでしまった」「尻もちをついてしまった」「重い物を持ち上げた」程度で圧迫骨折が起こります。圧迫骨折を起こすと激しい痛みを感じます。 しかし場合によっては、痛みを伴わないこともあり、特に高齢者は痛みに気付きにくいこともあるため注意が必要です。   糖尿病の方は骨折しやすい 骨は毎日新しく作り替えられていますが、糖尿病になると新しい骨を作るのが下手になり、古い骨は「サビつき」が増えます。 そのため、糖尿病患者さんの骨は、「質」が悪くなって折れやすくなるのです(骨質の低下)。 また、糖尿病による神経障害で足底の感覚が鈍かったり、網膜症で視力が低下していたりすると転びやすくなりますので、これも骨折しやすい原因とされています。 糖尿病の方は非糖尿病者と比べて、同じ骨密度であっても骨折する危険性がより一層高くなりますので、十分にご注意ください。   なぜ糖尿病が骨粗鬆症リスクを高めるのか 糖尿病とは、インスリンの作用不足によって慢性高血糖をきたす病気です。 インスリンの役目はブドウ糖の利用を高め、血糖値を下げるだけではありません。 インスリンの作用が低下すると、骨代謝にさまざまな影響を与え、骨量減少が進行します。   【インスリン作用不足の骨代謝への影響1】骨芽細胞の減少 新しい骨を作り出す骨芽細胞にはインスリンを受けとる受容体があり、インスリンには骨芽細胞を増殖させる作用があります。 インスリンが足りないと骨芽細胞は増えず、骨形成が低下します。 実際に糖尿病の方では、検査で骨代謝マーカーである「オステオカルシンの低下」が確認され、低代謝回転の骨量減少が起きています。   【インスリン作用不足の骨代謝への影響2】活性型ビタミンDの不足 カルシウムは単独で食べても体内に取り入れられず、腸から吸収する際には「活性型ビタミンD」が必要です。 活性型ビタミンDは、ビタミンDを材料としてインスリンの働きにより、腎臓で作られています。 インスリンの作用が不足している糖尿病の方では、活性型ビタミンDが足りずに、せっかく食べたカルシウムが腸から吸収されにくくなっています。 また、活性型ビタミンDには、骨芽細胞の働きを高める作用もありますが、高血糖状態ではその作用が低下します。   【インスリン作用不足の骨代謝への影響3】尿中カルシウムやマグネシウムが増加 インスリンの作用不足により高血糖になると、それにつれて尿が多くなります。 結果的に尿とともに排泄されるカルシウムが増え、体内はカルシウム不足になります。 同じ理由でマグネシウムが不足すると、副甲状腺ホルモンの分泌が減って腎臓からカルシウムが排泄されやすくなり、また、骨代謝はさらに低代謝回転になります。   【インスリン作用不足の骨代謝への影響4】コラーゲンの減少 コラーゲンは骨の中にある蛋白成分で、骨の柔軟さを保つ役目を果たしています。 高血糖状態では蛋白質の糖化という現象が起きますが、それによって正常なコラーゲンが減り、骨がもろくなります。   糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するために 骨粗鬆症を予防する方法には、カルシウムを多く含んだ食事を摂ることや、適度な運動、日光浴などがあります。 【糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するために1】食事 骨に欠かせない栄養といえば、やはりカルシウムです。 しかし、カルシウムだけを摂取していれば骨粗鬆症を予防できるわけではありません。 骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムの吸収を助けてくれる「ビタミンD」や、骨を丈夫に保つ働きがある「ビタミンK」なども取り入れたバランス良い食事を心がけることが大切です。 なお、カルシウムは乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、魚、ナッツ類などに多く含まれております。   【糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するために2】運動 骨粗鬆症を予防するためには、骨に重力負荷が加わる適度な運動をすることが良いといわれています。 なぜなら運動で骨に力がかかると、骨に弱いマイナスの電気が発生し、カルシウムを呼び寄せるからです。 また運動は骨の血液の流れをよくし、骨をつくる細胞の働きを活発にします。 適度な運動はエネルギーを消費するだけでなく、生活習慣病の改善につながりますので、積極的に行ってください。 ただし、突然激しい運動をするのはかえって危険です。まずは毎日30分程度の散歩や、それに相当する家事や庭仕事をお勧めします。   【糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するために3】日光浴 ビタミンDは食事から摂る以外に、太陽光に当たることにより「皮膚」で作られます。 日焼けしない程度に戸外を歩き、適度な日光浴をすると効果的です。   糖尿病や骨粗鬆症についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 骨粗鬆症とは、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。 ほとんどの場合、自覚症状がないため、進行してから気づくことも珍しくありません。 骨の状態は検査で確認することが可能で、早期に病気を発見できれば、食事、運動などで骨に含まれるカルシウムなどの量を増やしていくことができます。 ですので、骨粗鬆症の症状にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。   当日の順番予約はこちらから

2022.12.15

糖尿病・代謝内科

糖尿病が高める心筋梗塞のリスクとは

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
心筋梗塞は突然起こり、命を奪うこともある恐ろしい病気です。糖尿病の方は、非糖尿病者に比べ、心筋梗塞を発症するリスクが高いと言われています。 この記事では、「心筋梗塞」について解説していきます。後半部分では「心筋梗塞を予防するために必要なこと」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 心筋梗塞とは 心筋梗塞の症状 心筋梗塞の原因 なぜ糖尿病が心筋梗塞のリスクを高めるのか 無痛性心筋梗塞とは 心筋梗塞は再発します 糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと 入浴時の注意 糖尿病や心筋梗塞についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   心筋梗塞とは 心筋梗塞とは、心臓に酸素と栄養分を運ぶ冠動脈が詰まって血液が流れなくなり、心筋が死んでしまう病気です。突然死を起こしたり、心臓の機能を著しく落としたりします。心筋梗塞を発症する前には胸痛や圧迫感、背中の痛み、歯の痛みなどの前兆が起こる場合があります。しかし全ての患者さんに前兆が生じるわけではなく、半数程度の方は前兆なしに突然、心筋梗塞に至ると考えられています。   心筋梗塞の症状 心筋梗塞の主な症状は、突然の強い胸痛です。「押しつぶされる」「締め付けられる」「焼けるような」といった強い痛みを生じて、冷や汗、吐き気や嘔吐などを伴うこともあります。そして、その症状が20分から数時間続きます。心筋梗塞は、ニトログリセリンなどの薬は効果が乏しいことが多く、使用しても症状が続きます。ですので、痛みの長さに関わらず、締めつけられるような胸痛が突然起こり、冷や汗や吐き気がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。   心筋梗塞の原因 心筋梗塞の主な原因は動脈硬化です。動脈硬化とは、血管が硬くなって柔軟性が失われている状態です。冠動脈の壁にコレステロールなどが沈着すると、こぶのように盛り上がった「プラーク:粥腫(じゅくしゅ)」ができます。薄い膜で覆われている粥腫は破れやすく、傷付くとその回りに血栓ができ、さらに血栓が大きくなると冠動脈を塞いでしまい血液を堰き止めてしまいます。そのため酸素不足となった心筋細胞が壊死を起こすのです。なお、動脈硬化は、中高年の人に生じる病態と思われがちですが、実は小児期から徐々に進行し、様々な病気の原因となります。そのため、若い頃から動脈硬化の進行を予防することが大切です。   なぜ糖尿病が心筋梗塞のリスクを高めるのか 糖尿病は血糖値が高くなりすぎる病気です。高血糖状態が続くと血液が糖でドロドロになって、血流が悪くなり血管が傷つきやすくなります。この状態が続くと動脈硬化を促し、心筋梗塞の原因となるのです。そのため、糖尿病が心筋梗塞のリスクを高めると言われております。なお、国内外の研究では、糖尿病は動脈硬化性疾患の発症・死亡リスクを2~3倍上げると言われております。「糖尿病ネットワーク」でも同様のことを伝えています。   無痛性心筋梗塞とは 心筋梗塞には、痛みの症状がない無痛性心筋梗塞があります。これは心電図や核医学検査などで心筋梗塞の存在が認められているにもかかわらず、胸痛などの症状が無いものを指します。無痛性心筋梗塞は、糖尿病の方に起こりやすいとされています。なぜなら糖尿病では、合併症の神経障害により痛みを感じないことがあるからです。無痛性心筋虚血は、前兆なく心臓発作を起こして突然死したり、心筋の大部分を壊死させる心筋梗塞を起こしたりしますので、十分にご注意ください。   心筋梗塞は再発します 心筋梗塞を起こしたことがある人は、起こしたことがない人よりも、心筋梗塞を繰り返したり、心臓がだんだん悪くなり命を縮める「心不全」などを起こしたりするリスクが高いことがわかっています。そのため、一度心筋梗塞を起こした人は、さらに注意して再発を予防することが大切です。   糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと 心筋梗塞を繰り返さないためには、心筋梗塞で死亡するリスクを高める「糖尿病」「高血圧」「肥満」などをしっかりとコントロールし、運動、食事、喫煙などの生活習慣を改善する必要があります。心筋梗塞を予防するためにも、まずは生活習慣の改善から行ってください。 【糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと1】禁煙 心筋梗塞の要因となる生活習慣のなかで、極めてリスクが大きいのが喫煙です。喫煙をすると血管に傷ができたり、炎症が促進されるため動脈硬化が進行します。動脈硬化が進むと心筋梗塞は再発しやすくなりますので、ご注意ください。「厚生労働省」も同様のことを伝えています。 【糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと2】お酒はほどほどに 過度な飲酒は動脈硬化に繋がると言われています。また飲酒の際には塩分の高い食事をとりがちです。適量のアルコール摂取に努めてください。 【糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと3】ストレスを溜めない 過度のストレスや緊張状態は血圧を上昇させ、心筋梗塞を引き起こす原因となります。ストレスの上手な解消法を身につけ、リラックスする時間を持つようにしてください。 【糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと4】塩分を控える 食塩は1日8g未満が目標です。高血圧のある方は6g未満と言われています。漬物や梅干し、ラーメンの汁など塩分の高い食品を避けたり、量を少なくするなど工夫してください。 【糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと5】適度な運動 適度な運動はエネルギーを消費するだけでなく、生活習慣病の改善につながります。ウォーキングなどの軽い運動でも十分な効果が得られますので、まずは散歩から始めてください。 【糖尿病患者が心筋梗塞を予防するために必要なこと6】水分補給 体内の水分が不足して脱水症状になると血液が凝縮されて血栓ができやすくなり、血管が詰まる可能性が高まります。特に高齢の方は、体に蓄えられる水分量が減っているため普段から不足しがちです。1日に必要な水分量は1.5~2リットルになりますので、意識的に水分を摂取してください。   入浴時の注意 入浴は心筋梗塞の引き金になることがあるため注意が必要です。主な原因としては、入浴にともなう「急激な血圧の変化」や「脱水」などが挙げられます。血圧の変動により血管に負担がかかり、心筋梗塞を引き起こす可能性がありますので、注意してください。なお、入浴の時間は10分を目安とし、湯と温室の温度差を少なくしてください。また冬場は脱衣場にヒーターを置くようにする等の工夫も積極的に行ってください。   糖尿病や心筋梗塞についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 糖尿病患者さんが心筋梗塞を繰り返さないためには、「血糖コントロール」が大切です。糖尿病の方は非糖尿病者に比べ、心筋梗塞を起こした後の1年以内の死亡率が高くなっています。また、血糖値がそれほど高くない糖尿病予備軍の人であっても、心筋梗塞を起こすリスクが高まることが知られています。そのため、心筋梗塞の再発を予防するにあたっては、糖尿病の方は「早期から血糖コントロールを行うこと」、糖尿病にかかっていない方では、「予備軍になっていないか検査でチェックしておくこと」が勧められています。「心筋梗塞の症状」や「糖尿病の症状」にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2022.12.15

糖尿病・代謝内科

糖尿病が高める脳梗塞のリスクとは

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
脳梗塞は脳の血管が詰まって、その先に栄養が届かなくなり、脳細胞が死んでしまう病気です。糖尿病の方は、非糖尿病者に比べると「脳梗塞発症リスク」が2〜4倍高いと言われています。 この記事では、「脳梗塞」について解説していきます。後半部分では「脳梗塞の再発率」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 脳梗塞とは 脳梗塞の症状 なぜ糖尿病が脳梗塞リスクを高めるのか 脳梗塞の再発率 糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと 入浴時の注意 糖尿病や脳梗塞についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   脳梗塞とは 脳梗塞とは、脳動脈が狭くなったり、塞がってしまったりして、必要な血液を得られない「脳組織細胞」が死んでしまう病気です。呂律が回らない、言葉が出てこない、視野が欠ける、など様々な症状が突然出現し、多くの方が後遺症を残します。そのため、脳梗塞後の後遺症を最小限に食い止めるためにも、少しでも早く体が出すサインを見つけて、早く治療を開始することが大切です。なお、厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」では、平成29年「1年間」の死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万9,880人で全体の8.2%を占めており、内訳をみると、「脳梗塞」が最も多く6万2,122人となっております。   脳梗塞の症状 脳梗塞の主な症状は「言語障害」「感覚障害」「視覚障害」「運動障害」です(これらの症状は複合して現れるケースもあります。もちろん1つだけ発症することもあります)。 【脳梗塞の症状1】言語障害 ・言葉が出てこない ・言葉の意味が分からない ・話し方がぎこちない ・呂律が回らない 【脳梗塞の症状2】感覚障害 ・片側の手足が突然しびれる ・片側の手などの感覚が鈍くなる 【脳梗塞の症状3】視覚障害 ・一瞬ものが見えなくなる ・ものが二重に見える ・視野が狭くなる ・視野が半分欠ける 【脳梗塞の症状4】運動障害 ・食事中に箸や茶碗を落とす ・身体の片側に力が入らない ・傾いてまっすぐ歩けない ・急に片側の手足が動かなくなる ・同じ側の顔に麻痺がある   なぜ糖尿病が脳梗塞リスクを高めるのか 糖尿病は血糖値が高くなりすぎる病気です。血糖値が上がりすぎると、血液がドロドロになるため血管が詰まりやすくなり、「脳梗塞のリスク」が高まることがわかっています。また血糖値が高い状態が続くと、細い動脈だけでなく太い動脈にもダメージを与えます。動脈は心臓から全身に酸素と栄養素を送り込む血管で、動脈硬化が進行すると内壁の弾力性がなくなったり詰まったりして脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすことがあります。国内外の研究で、糖尿病は動脈硬化性疾患の発症・死亡リスクを2~3倍上げることが知られています。 <動脈硬化とは> 動脈硬化とは、文字どおり動脈が硬くなる状態のことです。動脈硬化は、中高年の人に生じる病態と思われがちですが、実は小児期から徐々に進行し、様々な病気の原因となります。そのため、若い頃から動脈硬化の進行を予防することが大切です。動脈硬化は、糖尿病、高血圧、脂質異常などの生活習慣病によって進みますので、十分にご注意ください。   脳梗塞の再発率 一度脳梗塞を起こした患者さんは再発しやすく、発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%の人が再発すると言われています。また糖尿病があると、血管を傷めるため、さらに脳梗塞の再発率が高くなると言われています。脳梗塞の再発を予防するには、まず生活改善を行うことが大切です。医師や栄養士などの指導の下、規則正しい生活を送ってください。なお、合併症予防のためにはヘモグロビンA1c値7.0%未満、空腹時血糖値130m/dL未満、随時血糖値180mg/dL未満にするのが良いとされています。   糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと 脳梗塞を引き起こす主な原因は動脈硬化です。その動脈硬化を招く要因としては、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙などが挙げられます。つまり、脳梗塞は生活習慣病が要因となっているのです。脳梗塞を予防するためにも、まずは生活習慣の改善から行ってください。 【糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと1】塩分を控える 食塩は1日8g未満が目標です。高血圧のある方は6g未満と言われています。漬物や梅干し、ラーメンの汁など塩分の高い食品を避けたり、量を少なくするなど工夫してください。 【糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと2】禁煙 脳梗塞の要因となる生活習慣のなかで、極めてリスクが大きいのが喫煙です。喫煙をすると血管に傷ができたり、炎症が促進されるため動脈硬化が進行します。動脈硬化が進むと脳梗塞は再発しやすくなりますので、ご注意ください。 【糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと3】お酒はほどほどに 過度な飲酒は動脈硬化に繋がると言われています。また飲酒の際には塩分の高い食事をとりがちです。適量のアルコール摂取に努めてください。 【糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと4】適度な運動 適度な運動はエネルギーを消費するだけでなく、生活習慣病の改善につながります。ウォーキングなどの軽い運動でも十分な効果が得られますので、まずは散歩から始めてください。 【糖尿病患者が脳梗塞を予防するために必要なこと5】水分補給 体内の水分が不足して脱水症状になると血液が凝縮されて血栓ができやすくなり、血管が詰まる可能性が高まります。特に高齢の方は、体に蓄えられる水分量が減っているため普段から不足しがちです。1日に必要な水分量は1.5~2リットルになりますので、意識的に水分を摂取してください。   入浴時の注意 入浴は脳梗塞の引き金になることがあるため注意が必要です。主な原因としては、入浴にともなう「急激な血圧の変化」や「脱水」などが挙げられます。血圧の変動により血管に負担がかかり、脳梗塞を引き起こす可能性がありますので、注意してください。なお、入浴の時間は10分を目安とし、湯と温室の温度差を少なくしてください。また冬場は脱衣場にヒーターを置くようにする等の工夫も積極的に行ってください。   糖尿病や脳梗塞についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 脳梗塞は治療が早いほど、脳を救える可能性が高くなります。血栓を効果的に溶かす薬が登場してから、特に早期治療の重要性が高まっています。ですので、深刻な後遺症を残さないためにも、「おかしい」と思ったらすぐに受診してください。「脳梗塞の症状」や「糖尿病の症状」にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2022.12.14

糖尿病・代謝内科

1型糖尿病の原因や治療法について解説します

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
1型糖尿病はインスリンを作る膵臓に異常が起こることで発症する糖尿病で、「インスリン依存型」と呼ばれています。 この記事では、「1型糖尿病」について解説していきます。後半部分では「1型糖尿病の原因」や「治療法」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 1型糖尿病とは 1型糖尿病の症状 1型糖尿病の種類 1型糖尿病の原因 1型糖尿病の主な治療法 1型糖尿病のその他の治療法 1型糖尿病についてご相談したい方はいつでもご相談下さい   1型糖尿病とは 1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓の「β細胞:べーたさいぼう」が壊れ、高血糖状態になる病気です。世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。糖尿病には大きく分けて1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる「2型糖尿病」とは性質が異なります。2型糖尿病について「糖尿病の方へ」でご説明していますので、ご興味のある方はご覧ください。   1型糖尿病の症状 1型糖尿病の典型的な症状は、口渇、多飲、多尿、体重減少です。インスリンが分泌されないと、血糖の上昇に伴い尿糖が排出され、浸透圧利尿が増えるため、脱水になります。またインスリンの不足はエネルギーの同化(蓄積)が出来なくなり痩せていきます。さらに、インスリンが全くなくなった状態ではケトン体が産生され、ケトーシスやケトアシドーシスという危機的状態となり、昏睡や死に至るケースもあります。ケトーシスやケトアシドーシスについては「日本糖尿病学会のホームページ」をご覧ください。   1型糖尿病の種類 1型糖尿病は、その破壊の進行のスピードによって以下の3タイプに分類されます。 【1型糖尿病の種類】劇症1型糖尿病 劇症1型糖尿病は、1型糖尿病の中で最も急激に発症し、数日間でβ細胞が破壊されてインスリン依存状態になるタイプです。1週間前後以内に糖尿病の急性合併症である「糖尿病ケトアシドーシス」になり危機的な状態に陥ることもあるため、速やかなインスリン投与が必要になります。 【1型糖尿病の種類】急性発症1型糖尿病 急性発症1型糖尿病は、1型糖尿病の中で最も頻度が高いタイプです。β細胞の破壊から数週間、数か月で症状が現れ、インスリン依存状態となります。 【1型糖尿病の種類】緩徐進行1型糖尿病 緩徐進行1型糖尿病は、発症から半年か数年をかけてインスリンの分泌が低下していき、最終的にインスリン依存状態に陥るタイプです。このタイプでは、すぐにインスリン依存状態になりませんが、早期に膵臓を保護する治療を行うことで進行を遅らせることができる場合があるため、早期治療が望まれます。   1型糖尿病の原因 1型糖尿病の原因はまだ不明な点もありますが、主に「自己免疫異常」と「ウイルス感染」が関わっていると考えられています。自己免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵から体を守るための防御システムで、何らかの原因によって免疫に異常が生じると、正常な細胞を攻撃してしまいます。β細胞も例外ではなく、免疫異常がβ細胞を破壊することでインスリンの分泌が低下します。ウイルス感染においては、「レトロウイルス」「サイトメガロウイルス」「麻疹ウイルス」などが関連していると言われています。「日本内分泌学会」でも同様のことを伝えています。   1型糖尿病の主な治療法 1型糖尿病の治療はインスリン療法が基本です。 【1型糖尿病の主な治療法】インスリン療法 インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。インスリン製剤を投与する方法として、「頻回ひんかいインスリン注射療法」と「持続皮下インスリン注入療法」があります。頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨されています(これらの部位を少しずつ、ずらしながら注射します)。一方、持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入した「カニューレ」からインスリンを持続的に注入する方法です。インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。   1型糖尿病のその他の治療法 1型糖尿病の治療には、インスリン療法以外に「経口血糖降下薬による治療」や「移植手術」があります。また1型糖尿病は、生活習慣の乱れを原因としたものではありませんが、2型糖尿病と同様、食事・運動習慣に良くない点があれば、その改善が必要です。 ※経口血糖降下薬とは、血糖値を下げる飲み薬のことです。 【1型糖尿病の治療法】経口血糖降下薬による治療 1型糖尿病に対する主な経口血糖降下薬に「α(アルファ)グルコシダーゼ阻害薬」があります。この薬には食べ物に含まれる糖質の消化・吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇を緩やかにする作用があるため、食後過血糖がある場合に使用されます。 【1型糖尿病の治療法】移植手術 1型糖尿病が重症の場合には、「膵臓移植」や「膵島移植」が適応となる場合があります。ただし、根治を目指せる治療法であるものの、ドナー不足などの問題から日本ではまだあまり行われていません。しかし近年では、IPS細胞などからβ細胞をつくる研究が行われているため、今後はドナーの有無にかかわらず移植できることが期待されています。 【1型糖尿病の治療法】食事療法 食事療法とは、医師や管理栄養士の指示に基づいて献立を組み立て、食事の量や成分を増減させることで病気の改善を目指すものです。「食事療法=カロリー制限」の印象があるかもしれませんが、単に摂取カロリーを制限すればよいというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則です。そのため、食品に含まれる栄養素やエネルギー量を知っておくことも大切です。なお、1型糖尿病の方が、血糖値の高くなりやすい食事を摂っていると、インスリンをたくさん打っても「血糖値の下がりが悪くなること」があります。ですので、インスリン療法と食事療法は同時に行ってください。 【1型糖尿病の治療法】運動療法 運動療法とは、運動を行うことで障害や疾患の治療を行う療法です。糖尿病の方に対しては、薬物療法・食事療法と並び、重要性の高い治療方法であると言われています。なお、運動の方法としては有酸素運動が効果的で、ウォーキングや水泳、自転車やラジオ体操などを無理なく続けることが大切です。近年は、短時間高負荷の無酸素運動による筋肉トレーニングの効果も注目されています。   1型糖尿病についてご相談したい方はいつでもご相談下さい 糖尿病になっても、初期段階では自覚症状がありません。そのため健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということも多々あります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、「糖尿病の症状かもしれない…」と気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。1型糖尿病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2022.12.13

糖尿病・代謝内科

糖尿病と歯周病の関係

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
歯周病は細菌感染による慢性の炎症です。歯周病が進行すれば膿が出たり、歯がグラグラして抜けてしまうことはよく知られていますが、近年では口の中だけに留まらず、様々な生活習慣病と関係があることがわかってきております。その一つが糖尿病です。 この記事では、「糖尿病と歯周病の関係」について解説していきます。後半部分では「糖尿病患者の歯周病治療」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 歯周病とは 糖尿病患者は歯周病になりやすい 糖尿病と歯周病がそれぞれに及ぼすリスク 糖尿病患者の歯周病治療 歯周病治療で血糖値が下がります 歯周病予防のために必要なこと 糖尿病患者で歯周病が不安な方はご相談ください   歯周病とは 歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯茎(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。炎症が歯茎に限定されているときは歯肉炎、それ以上に進行すると歯周炎(歯槽膿漏)と呼ばれます。歯周病は自覚症状に乏しいため、気がつかないうちに進行します。そして、さらに進行すると膿が出たり歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。このようなことから歯周病は、初期の段階でしっかりケアすることが何より大切だと言えます。   糖尿病患者は歯周病になりやすい 糖尿病を持つ人は、歯周病になりやすいことが知られています。また糖尿病のコントロールがよくない場合や罹病期間が長い場合には、歯周病の進行が速く、早期に重症化しやすいと言われています。これには「歯周病細菌が糖分を好むため、唾液中の糖によって増殖しやすいこと」「免疫力の低下」「唾液量の低下」「血液の循環が悪いこと」、さらに「歯肉の血管がもろくなり傷が治りにくいこと」など、様々な理由が関係しています。   糖尿病と歯周病がそれぞれに及ぼすリスク 近年、歯周病は「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」などと並び、糖尿病の合併症の一つに数えられています。糖尿病は、血糖をコントロールするインスリンが不足したり、うまく作用しないために、血液中に糖分があふれてしまう病気です。歯周病により、炎症を引き起こすサイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質の総称)の一種であるTNF-αという物質が作られ、血液中を巡りだすと、さらにインスリンの働きが低下します。その結果、高血糖が続いて糖尿病が悪化してしまいます。また、歯周病で歯を失ってしまうと、食べ物をよくかむことができなくなり、軟らかい物ばかりを食べてしまうなど、食生活の偏りを招き、糖尿病の要因となります。このように糖尿病が歯周病を悪化させ、歯周病が悪化すると糖尿病をさらに悪化させるという悪循環が起こります。そして糖尿病が悪化すると、歯周病以外の深刻な合併症を引き起こすリスクが高まることにつながってしまうのです。   糖尿病患者の歯周病治療 歯周病の治療は、早期発見、早期治療が重要です。炎症がまだ歯肉にとどまっている歯肉炎であれば、ほとんどの場合に正しい歯磨きや歯石除去で治ります。正しい歯の磨き方をぜひ歯科医にご相談ください。なお、炎症が歯肉を通り越して歯槽骨や歯根膜まで及んでいる歯周炎であれば、歯周ポケットの深部まで徹底的に感染源を除去するなど、専門的な治療が必要となります。歯周病の進行の程度によっては外科的な処置をすることもありますので、歯周病専門医や、日本糖尿病協会の歯科医師登録医に受診することをお勧めします。   歯周病治療で血糖値が下がります 歯周病の治療をすると「血糖コントロールが改善する」という研究成果が数多く報告されています。ここで言う「歯周病治療」とは、患者さん自身のブラッシングによるプラークコントロールをしっかり行い、歯科医院で炎症の原因となっている歯石を確実に取り除くことです。歯肉の炎症をコントロールできればインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールも改善するということが、日本での研究を含めた多くの臨床研究で報告されています。「糖尿病ネットワーク」でも同様のことを伝えています。   歯周病予防のために必要なこと 歯周病は感染症であるとともに、生活習慣が発症のきっかけになることから「生活習慣病」とも言われています。そのため、「正しい歯磨き」や「歯石除去」だけでなく、規則正しい生活リズムを心掛け、適切な食生活を送る必要があります。また、歯周病を防ぐには、毎日のブラッシングによるお家でのケアとともに、定期的な検診や歯石除去などの、専門家によるケアが必要です。ぜひ定期的な検診や予防処置を受けるよう心掛けてください。なお、歯磨きだけでは取り除くことができない歯石については、歯科医院でスケーリングやルートプレーニングという歯周病の治療があります。スケーリングとは、スケーラーという器具を用いて歯にこびりついた歯石を除去する歯周病の治療法です。ルートプレーニングとは、キュレットという器具を用いて歯茎の内部に入り込んだ歯石を除去する歯周病の治療法です。詳しくは「日本歯周病学会のホームページ」に記載していますので、ぜひご覧ください。   糖尿病患者で歯周病が不安な方はご相談ください 歯周病と糖尿病は、どちらも好ましくない生活習慣によって発症する生活習慣病であり、どちらも自覚症状がないまま進行します。そのため定期的な「歯科検診」や「健康診断」が大切です。どちらかの病気が見つかったら進行を止める治療をするとともに、歯周病なら糖尿病、糖尿病なら歯周病の「発症」や「兆候」がないか、こまめに確認するようにしてください。歯周病にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2022.12.12

糖尿病・代謝内科

糖尿病が高める感染症リスクと予防について

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
糖尿病の方は様々な感染症にかかりやすく、また重症化しやすいと言われています。この記事では、「糖尿病と感染症の関係」について解説していきます。後半部分では「糖尿病と新型コロナウイルスの関係」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 糖尿病はなぜ感染症リスクを高めるのか 糖尿病の方がかかりやすい感染症 糖尿病と新型コロナウイルスの関係 糖尿病の方が感染症にかかったら 糖尿病の方は自己判断で薬物療法を中止しないこと 感染症予防について不安な方はお気軽にご相談ください   糖尿病はなぜ感染症リスクを高めるのか 糖尿病をお持ちの方は様々な感染症にかかりやすく、また重症化しやすいと言われています。では、なぜ糖尿病をお持ちの方は感染症にかかりやすいのでしょうか。主な理由は以下の5つです。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由1】免疫反応の低下 免疫反応とは、一度感染した病原体に対し、体内でそれに対する抗体が作られ、次に同じ病原体が体内に侵入しようとしたときに、それを防ぐように働く仕組みのことです。高血糖では、この免疫反応が弱くなっています。ですので、糖尿病をお持ちの方は感染症にかかりやすいと言われています。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由2】免疫機能の低下 白血球の一種である好中球は、体内に入り込んだウイルスや細菌を食べる働きがあります。しかし、高血糖時はこの機能が低下してしまいます。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由3】血流が悪くなる 高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。このような状態では、酸素や栄養が十分に行き渡らず、細胞の働きが低下したり、白血球が感染部位に到達しにくくなって、感染しやすくなります。また、感染で受けたダメージの回復にも時間がかかります。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由4】神経障害 糖尿病に特有な合併症の一つに神経障害があります。神経障害があると、内臓の活動が乱れやすく、膀胱炎や胆嚢炎の原因になります。また、痛みを感じる神経も障害されるので、症状が現れにくく感染症に気づくのが遅れ、その間に病気が進行してしまいます。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由5】血糖値がいつもより上昇する 細菌類に感染すると、インスリンを効きにくくする物質が多くなり、血糖値はいつもより上昇します。このことが、糖尿病の状態をより悪くし、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。   糖尿病の方がかかりやすい感染症 糖尿病の方は、どのような感染症にかかりやすいのでしょうか。ここでは、「糖尿病の方がかかりやすい感染症」をいくつかご紹介します。 【糖尿病の方がかかりやすい感染症1】歯周病 歯周病は、口の中の細菌による歯茎の慢性感染症です。炎症が歯茎に限定されているときは歯肉炎、それ以上に進行すると歯周炎(歯槽膿漏)と呼ばれます。歯周病はある日突然、重度の症状が出るのではなく、徐々に進行する病気です。したがって初期の段階では、痛みがほとんどないため症状に気がつかなかったり、放置したりする人も多いようです。しかし、放っておけば症状はどんどん進んでしまうので、そうなる前にしっかりケアすることが大切です。糖尿病の方は歯周病になりやすいばかりでなく、歯周病のために血糖コントロールが改善しにくくなってしまいますので、ご注意ください。 【糖尿病の方がかかりやすい感染症2】尿路感染症 尿路感染症とは、尿の通る経路で起こる感染症です。尿路感染症は頻度が一番多く、膀胱炎、急性腎盂腎炎がその代表です。糖尿病の神経障害をお持ちの方では、「神経因性膀胱」といって排尿がうまくいかず尿が滞る場合があり、尿路感染にかかりやすいと言われています。 【糖尿病の方がかかりやすい感染症3】皮膚感染症 糖尿病患者さんの中には、皮膚に病原体が入り込み「皮膚感染症になる人」がいます。単に皮膚感染症といっても、「足白癬(水虫)」や「カンジダ症」など様々なものがあります。皮膚感染症については「糖尿病情報センターのホームページ」で詳しくご説明しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。 【糖尿病の方がかかりやすい感染症4】呼吸器感染症 呼吸器感染症とは、鼻やのど、気管支や肺など、空気の通り道に関連した臓器に生じる感染症を指します。風邪やインフルエンザといった身近な病気だけではなく、結核なども呼吸器感染症に含まれます。呼吸器感染症は、どの年齢層の誰にでも発症し得る病気であり、重症度も軽症から重症まで様々であることから、病気の原因や重症度に合わせて治療を行なうことが重要となります。なお、糖尿病の方は結核にかかる割合が高いと言われており、結核と診断がついた人の約15%が糖尿病だったと言われています。   糖尿病と新型コロナウイルスの関係 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第8.1版」によると、コロナウイルスに感染して重症化するリスクが高い基礎疾患のひとつとして、糖尿病が挙げられています。糖尿病が新型コロナウイルスに感染すると、糖尿病がない患者さんと比較して、重症化や死亡のリスクが2 倍程度まで上昇することが明らかになっています。また血糖コントロールが不良の場合、死亡率が高いことも報告されています。   糖尿病の方が感染症にかかったら 糖尿病の方が感染症にかかった際は、重症化する前に適切な治療を行うことが重要です。症状が軽いからといって決して侮ることなく、早めに医療機関を受診してください。なお、糖尿病の方が感染症にかかり、熱が出る・下痢をする・吐く、また食欲不振によって、食事ができないときのことを「シックデイ(体調の悪い日)」と言います。このような状態では、血糖コントロールが日頃は良好な方でも、著しい高血糖になり、たいへん重い状態になることがあります。また、体調が悪いことで食事ができずに低血糖になる可能性もあるため、血糖値の確認が大切です。糖尿病の方はシックデイの対処を予め主治医に聞いておくこと、実際シックデイでどうしたらよいか迷った場合は、「主治医に連絡をして相談すること」が重要です。   糖尿病の方は自己判断で薬物療法を中止しないこと 感染症にかかり、食事の量がいつもより少なくなったからといって、糖尿病の経口薬の服用やインスリン注射を、患者さん自身の判断で中止するのはとても危険です。病気により血糖値が高くなっているのに加え、薬を中止することで血糖値が極端に高くなり、ケトーシス(血液の酸性化)が起き、昏睡に陥ることもあります。薬の量をどう調節するかは、あらかじめ主治医の指示「シックデイルール」を受けて、それに沿って判断してください。 ※シックデイの時の家庭での対応の基本を「シックデイルール」と言います。   感染症予防について不安な方はお気軽にご相談ください 糖尿病の方が、「新型コロナウイルスに感染しやすい」ということはないようですが、他の感染症と同じく“重症化の危険”は指摘されています。ですので、まずは感染予防のための「マスク着用」や「手洗い」、「三密を避ける」などの対策をしっかりと行い、普段から血糖値を良好に保って“重症化を防ぐこと”が何より重要です。感染症予防について不安な方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2022.12.11

糖尿病・代謝内科

糖尿病が引き起こす敗血症のリスク

糖尿病・代謝内科に関する記事です。
敗血症は、あらゆる感染症に続いて起こりうる病態です。敗血症をより早期に察知するためにも、敗血症に関する基本的な知識をもっておく必要があります。 この記事では「敗血症」について解説していきます。後半部分では「敗血症予防のために気をつけること」について解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box { text-align: center; } .cv_box a{ text-decoration: none !important; color: #fff !important; width: 100%; max-width: 400px; padding: 10px 30px; border-radius: 35px; border: 2px solid #fff; background-color: #ffb800; box-shadow: 0 0 10pxrgb(0 0 0 / 10%); position: relative; text-align: center; font-size: 18px; letter-spacing: 0.05em; line-height: 1.3; margin: 0 auto 40px; text-decoration: none; } .cv_box a:after { content: ""; position: absolute; top: 52%; -webkit-transform: translateY(-50%); transform: translateY(-50%); right: 10px; background-image: url("https://itaya-naika.co.jp/static/user/images/common/icon_link_w.svg"); width: 15px; height: 15px; background-size: contain; display: inline-block; } 【目次】 敗血症とは 敗血症の症状 敗血症性ショックとは 敗血症と敗血症性ショックの違い 糖尿病の人はなぜ敗血症にかかりやすいのか 敗血症予防のために気をつけること 敗血症や糖尿病について不安な方はお気軽にご相談ください   敗血症とは 敗血症とは、何らかの細菌やウイルスに感染することによって全身に様々な影響が及び、心臓、肺など体の重要な臓器の機能が障害(臓器不全)される病気のことです。全身性炎症反応症候群(ぜんしんせいえんしょうはんのうしょうこうぐん)とも言います。 敗血症は組織障害や臓器障害をきたすため、敗血症と診断されたら、ただちに治療を開始することが重要です。治療が遅れると、全身のバランスが崩れ、低血圧による意識障害などを引き起こしてショック状態となります。 その結果、多数の臓器に障害が及ぶ「多臓器不全」となります(多臓器不全になると、数時間で死亡してしまう可能性が高くなります)。 敗血症は軽度な感染症から進行することもあるため、特に乳幼児や高齢の方、持病のある方などで発熱などの症状が長引く場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。 「敗血症について解説しているサイト」でも同様のことを伝えています。   敗血症の症状 敗血症では、何か1つの症状が出るというようなことは基本的にありません。 障害が起きている臓器によって、様々な症状が現れるのが特徴です。 初期の主な症状としては、悪寒を感じたり、全身のふるえや発熱、発汗などが見られたりすることが多く、症状が進行してくると、心拍数や呼吸数の増加、血圧低下、排尿困難、意識障害などが生じてきます。 なお、重症化してしまうと、腎不全や肝不全といった臓器不全、敗血性ショックを招き、命を落とす危険が高まります。   敗血症性ショックとは 敗血症性ショックとは、日本救急医学会の定義では「臓器障害または臓器灌流異常をともなう敗血症のうち、適切な輸液負荷を行っても低血圧が持続する状態」とされています。 臓器障害を伴う敗血症は一般に重症敗血症と言われますので、平たく言えば「血圧が下がった重症敗血症」となります。 敗血症性ショックでは、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が放出され、人の血管の中の血管内皮細胞と呼ばれる細胞を傷つけます。 その結果、血管内に微小血栓を作り、DIC(播種性血管内凝固症候群)と呼ばれる状態などに落ち入り多臓器障害や多臓器不全を起こすことになります。 敗血症性ショックについて詳しく知りたい方は「敗血症および敗血症性ショックについて解説しているサイト」をご覧ください。   敗血症と敗血症性ショックの違い 敗血症は、 菌血症やほかの感染症に対する重篤な全身性の反応に加え、体の重要な器官の機能不全が起こる病態です。 一方、敗血症性ショックは、敗血症によって生命を脅かす低血圧(ショック)および臓器不全が引き起こされている病態です。 つまり、重症敗血症の病態のなかでショックを呈したものが「敗血症性ショック」になります。 敗血症性ショックは、放置することで命にかかわります。 そのため積極的な治療が必要になります。   糖尿病の人はなぜ敗血症にかかりやすいのか 糖尿病の方は感染症にかかりやすい状態です。 そのため、糖尿病をお持ちの方は敗血症を引き起こしやすいと言われています。 では、なぜ糖尿病をお持ちの方は感染症にかかりやすいのでしょうか。 主な理由は以下の5つです。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由1】血流が悪くなる 高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。 血液の流れが悪くなると、細胞の働きが低下し、白血球が感染部位に到達しにくくなり、感染しやすくなります。 また感染で受けたダメージの回復にも時間がかかります。   【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由2】免疫機能の低下 白血球の一種である好中球は、体内に入り込んだウイルスや細菌を食べる働きがあります。しかし、高血糖時はこの機能が低下してしまいます。   【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由3】免疫反応の低下 一度感染したことのある病原体には「抗体」が作られるため、次に体内に侵入しても感染しづらくなります。これを「免疫反応」といいます。 高血糖時の時は、この免疫反応が弱くなることがわかっています。   【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由4】神経障害 糖尿病に特有な合併症の一つに神経障害があります。 神経障害があると、内臓の活動が乱れやすく、膀胱炎や胆嚢炎の原因になります。 また、痛みを感じる神経も障害されるので、症状が現れにくく感染症に気づくのが遅れ、その間に病気が進行してしまいます。 糖尿病の神経障害については「糖尿病情報センターのホームページ」をご覧ください。 【糖尿病の人が感染症にかかりやすい理由5】血糖値がいつもより上昇する 細菌類に感染すると、インスリンを効きにくくする物質が多くなり、血糖値はいつもより上昇します。 このことが、糖尿病の状態をより悪くし、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。   敗血症予防のために気をつけること 敗血症を予防するには感染症を予防することが大切であり、万が一感染症にかかったとしても悪化させないよう注意することで発症のリスクを下げることができます。そのためにも、日頃から手洗いや手指消毒、マスク着用などの基本的な感染対策をしっかり行い、規則正しい生活を心がけることが最も重要です。また、感染症が悪化して敗血症に進行するのを防ぐには、感染症が疑われる症状がある場合、できるだけ早く医療機関を受診して、適切な治療を受けることが大切です。   敗血症や糖尿病について不安な方はお気軽にご相談ください 上述した通り、敗血症は軽度な感染症から進行することもあるため、できるだけ早く治療することが大切です。持病がある人(糖尿病、呼吸器疾患、心疾患、透析を受けている人など)や免疫抑制剤などを内服している人は、体調が悪い際は我慢せず、早めに受診することをお勧めします。敗血症の症状にお心当たりのある方、あるいは検診などで血糖値に異常を指摘された方などいらっしゃいましたら、まずお気軽にご相談ください。 当日の順番予約はこちらから

2022.12.11