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不眠症の診断基準について
内科に関する記事です。
この記事では、「不眠症の診断基準」について解説していきます。後半部分では「不眠症の自己診断の方法と注意点」について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 .cv_box {
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【目次】
不眠症とは何か
不眠症が日常生活に与える影響
不眠症の診断基準とは
不眠症の診断基準|睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)
不眠症(睡眠障害)の評価法
不眠症の自己診断の方法と注意点
不眠症かどうかの判断は医師による診察が重要です
医師の診察を受けるメリット
不眠症に対する自己ケアと対策方法
結論とまとめ
不眠症とは何か
不眠症とは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害によって、その人にとって必要な睡眠時間が十分に取れないことや“睡眠の質”が低下することで、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。不眠は、眠気、倦怠感、集中力低下、抑うつや不安などの精神症状を引き起こし、その結果として生産性の低下、交通事故の増加など、様々な人的及び社会経済的損失をもたらすと考えられております。したがって、「睡眠が浅い」「寝付けない」など、睡眠に関して気になる症状がある方は、早い段階で医療機関に相談することをお勧めします。なお、日本においては約5人に1人が不眠の症状で悩んでいると言われております。詳しくは「不眠症 - e-ヘルスネット - 厚生労働省」をご覧ください。
不眠症が日常生活に与える影響
不眠によって脳が休息できないと、集中力や作業効率が低下しやすくなるため、日常生活に支障をきたします。また、睡眠不足が続くと、食欲が高まるホルモンが増え、結果的に太りやすくなる他、「高血圧や糖尿病などの発症リスクが高まること」、「うつ病と関連すること」なども知られています。さらに、睡眠時間が短すぎても長すぎても寿命に影響することが示されています。量・質ともに良い睡眠をとることができる人は、年齢を重ねても心身が健康であり、生活の質も高いという研究結果があります。そのため、睡眠と日常生活、健康の関係は明らかになっています。
不眠症の診断基準とは
不眠は一時的なものであり、通常は数日から数週間で改善します。しかし、長期間にわたって不眠が続くこともあります。不眠が続くと、日中にさまざまな不調が現れ、倦怠感や集中力低下などの症状が現れます。このように、「夜間の不眠が続き」「日中に精神や身体の不調を自覚し、生活の質が低下する」という二つの条件が認められた場合、不眠症と診断されます。なお、不眠症は慢性不眠症(慢性不眠障害)と短期不眠症(短期不眠障害)の二つに分けられます。不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症、3カ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。詳しくは「不眠症 - e-ヘルスネット - 厚生労働省」をご覧ください。
不眠症の診断基準|睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)
不眠症の国際的な診断基準に「睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)」があります。睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では、不眠症の診断基準として、以下のように定められています。
・睡眠の質に対する訴えがあること
・訴えは適切な睡眠環境下においても生じていること
・以下の日中の機能障害が少なくとも1つ認められていること
①倦怠感や不定愁訴
②集中力や注意、記憶の障害
③社会的機能の低下
④気分の障害や焦燥感
⑤日中の眠気
⑥動悸や意欲の障害
⑦仕事中や運転中のミスや事故の危険
⑧睡眠不足に伴う緊張や頭痛、消化器症状
⑨睡眠に関する不安
つまり、普通の睡眠環境で、日中に何らかの影響があって、睡眠のことで困っていることが不眠症の診断基準になります。
※睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)について詳しく知りたい方は「国立精神・神経医療研究センターのホームページ」や「日経メディカル」をご覧ください。
不眠症(睡眠障害)の評価法
睡眠障害の代表的な評価法としては、「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」及び「睡眠潜時反復検査(MSLT)」があります。
<終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)>
終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査は、脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度などの生体活動を、一晩にわたって測定する検査です。この検査により、閉塞性睡眠時無呼吸、周期性四肢 (しし) 運動障害、睡眠時随伴 (ずいはん) 症などの睡眠障害の診断が可能となります。また、睡眠の状態も測定できます。
<睡眠潜時反復検査(MSLT)>
睡眠潜時反復検査(MSLT)は、日中の眠気を測定する検査です。日中9時、11時、13時、15時、17時に、約20分程度眠っていただき、眠るまでの早さからどの程度眠気が強いかを判定します。なお通常、MSLT検査は、PSG検査の翌日に行います。
不眠症の自己診断の方法と注意点
自分の不眠の度合いをはかる目安として、世界共通で使われているチェックシートがあります。下記のチェックシートが全てではありませんが、自分の状態を客観的に見るのにお役立ていただければと思います。過去1ヶ月間に、少なくとも週3回以上経験したものに当てはまるものにチェックを入れてください。
<寝つきは?(布団に入ってから眠るまで要する時間)>
いつも寝つきはよい 0点
いつもより少し時間がかかった 1点
いつもよりかなり時間がかかった 2点
いつもより非常に時間がかかったか、全く眠れなかった 3点
<夜間、睡眠途中に目が覚めることは?>
問題になるほどではなかった 0点
少し困ることがあった 1点
かなり困っている 2点
深刻な状態か、全く眠れなかった 3点
<希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか?>
そのようなことはなかった 0点
少し早かった 1点
かなり早かった 2点
非常に早かったか、全く眠れなかった 3点
<総睡眠時間は?>
十分である 0点
少し足りない 1点
かなり足りない 2点
全く足りないか、全く眠れなかった 3点
<全体的な睡眠の質は?>
満足している 0点
少し不満 1点
かなり不満 2点
非常に不満か、全く眠れなかった 3点
<日中の気分は?>
いつも通り 0点
少しめいった 1点
かなりめいった 2点
非常にめいった 3点
<日中の活動は?(身体的および精神的)>
いつも通り 0点
少し低下 1点
かなり低下 2点
非常に低下 3点
<日中の眠気について>
全くない 0点
少しある 1点
かなりある 2点
激しい 3点
【合計点数】
4点未満 不眠症の疑いは少ないです。
4~5点 不眠症の疑いが少しあります。できれば医師に相談してください。
6点以上 不眠症の疑いがあります。医師に相談することをお勧めします。
※不眠症の自己診断には限界があります。不眠症は症状や原因が個人によって異なるため、正確な診断と適切な治療には医師の専門知識が必要です。したがって自己診断はあくまで参考程度に留め、睡眠障害について悩んでいる場合は、医師に相談することをお勧めします。
不眠症かどうかの判断は医師による診察が重要です
医師は病歴や症状を詳しく聴取し、必要な検査や評価を行うことで正確な診断を下すことができます。また、医師は他の睡眠障害や健康上の問題との関連性を見極めることもできます。さらに、適切な治療法を提案し、必要に応じて「薬物療法」や「非薬物療法」を勧めることができます。したがって、不眠症に悩んでいる場合は、医師の診察を受けることをお勧めします。なお、不眠症は個人によって症状や原因が異なるため、医師の専門的な判断が非常に重要です。医師による診察は、患者さんの睡眠の質や生活の改善に向けた重要な第一歩となりますので、不眠症に悩んでいる方は積極的に医療機関を受診してください。
医師の診察を受けるメリット
医師の診察を受けるメリットは多岐にわたります。以下、医師の診察を受ける主なメリットです。
【医師の診察を受けるメリット1】正確な診断
医師は不眠症に関する専門的な知識を有しています。そのため、詳細な病歴の聴取や必要な検査を通じて、正確な診断を下すことができます。
【医師の診察を受けるメリット2】個別に合わせた治療プランの提案
医師は不眠症の原因や症状に応じて、薬物療法、非薬物療法、睡眠環境の改善など、適切な治療プランを提案します。医師の診察を受けることで、患者さんの個別のニーズに合わせた最適な治療が行われ、不眠症の「症状の改善」や「睡眠の質の向上」が図られます。
【医師の診察を受けるメリット3】継続的なサポート
医師は治療の進行状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて調整を行います。不眠症の症状や反応は個人によって異なるため、医師のサポートは重要です。患者さんとのコミュニケーションを通じて、治療の効果や副作用、症状の変化を把握し、最適な治療法を提供します。また、必要に応じて追加の検査を行い、専門家との連携も活用して、より効果的な治療を実施します。
【医師の診察を受けるメリット4】情報の提供
医師は不眠症に関する豊富な知識を有しています。そのため、患者さんに対して不眠症の原因やメカニズム、予防策、自己管理の方法などを具体的に説明してくれます。また、睡眠に関する正しい知識や健康的な生活習慣の指導も行われます。これにより、患者さんは自身の状況をより深く理解し、適切な対策を取ることができます。
【医師の診察を受けるメリット5】合併症の予防
不眠症は他の身体的な疾患や精神的な問題と関連している場合があります。医師は患者さんの全体的な健康状態を考慮し、必要な検査や評価を行います。これにより、他の潜在的な病気や合併症の早期発見が可能となります。
不眠症に対する自己ケアと対策方法
不眠症に対する自己ケアと対策方法は、次の通りです。
【不眠症に対する自己ケアと対策方法1】睡眠のルーティン化
睡眠のリズムを整えるために、毎晩同じ時間に寝る習慣を作ってください。また、朝起きたらすぐに起きることも大切です。
【不眠症に対する自己ケアと対策方法2】適度な運動
適度な運動は睡眠の質を向上させる助けとなります。日中に適度な運動を取り入れることで、夜の眠りを深くすることができます。
【不眠症に対する自己ケアと対策方法3】睡眠前の習慣
寝る前にリラックスする習慣を作ってください。入浴や軽いストレッチ、音楽を聴くなど、心地よいリラックスタイムを設けることが重要です。
【不眠症に対する自己ケアと対策方法4】カフェインやアルコールの摂取制限
カフェインやアルコールは睡眠を妨げることがありますので、摂取量を制限する、または避けるようにしてください。
【不眠症に対する自己ケアと対策方法5】睡眠環境の整備
快適な寝室環境を作ってください。暗い部屋、静かな環境、快適な温度、適切なマットレスや枕などが重要です。
【不眠症に対する自己ケアと対策方法6】ストレス管理
ストレスは不眠症の悪化を引き起こすことがあります。リラクゼーション法やストレス解消の方法を取り入れて、日常的なストレスを軽減してください。
※自己ケアや生活習慣の改善策は、個人によって効果が異なる場合があります。重度の不眠症や症状が持続する場合には、医師と相談してください。
結論とまとめ
不眠症の診断においては、診断基準を正しく適用することが非常に重要です。不眠症の症状は個人によって異なるため、自己診断には限界があります。一時的な睡眠の問題や他の潜在的な病気との関連性を見極めるためにも、専門家の診断が必要になりますので、睡眠に関して気になる症状がある場合は、お近くの医療機関にご相談ください。適切な不眠症の治療法を選択するためには、自己診断だけでなく、医師との相談が重要です。当院では不眠症に関する診療を行っており、患者さん一人ひとりに合わせた個別のアプローチを提供しています。不眠で悩んでいる方、あるいは不眠症の症状にお心当たりのある方などいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
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2023.05.27
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